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【発明の名称】 セル電圧検出装置
【発明者】 【氏名】杉本 智永
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】セルの電圧を検出する電圧検出回路で消費する電力を低減する。

【解決手段】モジュールM1〜M12内のある1つのセルC1〜C96を対応する電圧検出回路VT1〜VT96により検出し、他のセルと対応する電圧検出回路とはスイッチSW1〜SW97を開いて非接続とする。他のセルの電圧は、検出したセル電圧と、予め記憶したモジュール内の全セルの電圧とに基づいて推定する。電圧を検出するセルを順次切り替えることにより、特定のセルの電圧のみが消費されることはなく、かつ、全ての電圧検出回路を作動させずに、全セルの電圧を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】組電池を構成する複数のセルごとに設けられ、対応するセルの電圧を検出する複数の電圧検出回路と、前記複数の電圧検出回路のうち、電圧を検出する対象セルを選択し、この電圧検出対象セルに対応する電圧検出回路だけを作動し、電圧検出非対象セルに対応する電圧検出回路を非作動とする制御回路と、前記電圧検出非対象セルの電圧を推定する電圧推定回路とを備え、前記制御回路は、前記電圧検出対象セルを順次切り替えることを特徴とするセル電圧検出装置。
【請求項2】請求項1に記載のセル電圧検出装置において、前記組電池は、複数のセルを直列に接続して構成されるモジュールを複数直列に接続して構成されるものであり、予め前記電圧検出回路により検出された前記モジュール内の全セルの電圧を記憶する記憶回路をさらに備え、前記制御回路は、前記モジュールごとに前記電圧検出対象セルを順次切り替え、前記電圧推定回路は、前記電圧検出回路で検出されたセル電圧と、前記記憶回路に記憶された前記モジュール内の全セルの電圧とに基づいて、前記電圧検出非対象セルの電圧を推定することを特徴とするセル電圧検出装置。
【請求項3】請求項2に記載のセル電圧検出装置において、前記制御回路は、前記電圧検出対象セルの順次切り替えにより前記モジュール内の全セルの電圧を検出した後、前記モジュール内の全セルを前記電圧検出対象セルとし、前記記憶回路は、前記電圧検出回路により検出される全セルの電圧を新たに記憶することを特徴とするセル電圧検出装置。
【請求項4】請求項2または3に記載のセル電圧検出装置において、同一のセルに対して、前記電圧検出回路により検出されたセル電圧と、前記電圧推定回路により推定されたセル電圧との差が所定値以上であるか否かを判定する電圧誤差判定回路と、前記記憶回路に記憶された前記モジュール内の全セルの電圧に基づいて、前記モジュール内の異常セルを検出する異常セル検出回路とをさらに備え、前記制御回路は、前記電圧誤差判定回路により前記検出電圧と前記推定電圧との差が所定値以上であると判定されたときに、前記モジュール内の全セルを前記電圧検出対象セルとし、前記記憶回路は、前記電圧検出回路により検出される全セルの電圧を新たに記憶し、前記異常セル検出回路は、前記記憶回路に新たに記憶された全セルの電圧に基づいて、前記異常セルを検出することを特徴とするセル電圧検出装置。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のセル電圧検出装置において、前記組電池のSOCが第1のしきい値以上であるか、または第2のしきい値以下であるか否かを判定するSOC判定回路をさらに備え、前記制御回路は、前記SOC判定回路により、前記組電池のSOCが前記第1のしきい値以上であるか、または前記第2のしきい値以下であると判定されると、前記電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルを前記電圧検出対象セルとすることを特徴とするセル電圧検出装置。
【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のセル電圧検出装置において、前記組電池に流れる電流を検出する電流検出回路と、前記電流検出回路により検出された電流が所定の電流値以上であるか否かを判定する過電流判定回路とをさらに備え、前記制御回路は、前記過電流判定回路により前記組電池に前記所定の電流値以上の電流が流れていると判定されると、前記電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルを前記電圧検出対象セルとすることを特徴とするセル電圧検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド車に搭載される組電池を構成するセルの電圧を検出するセル電圧検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の単セルを直列や並列に接続して組電池を構成し、この組電池の電力を駆動源の一つとして車両を駆動する電気自動車やハイブリッド車が知られている。このような車両においては、組電池の制御や車両の制御を目的として、セルの電圧を検出するセル電圧検出装置が搭載されている。すなわち、各セルごとに、対応するセルの電圧を検出する電圧検出回路を備え、電圧検出回路で検出された各セルの電圧を用いて、組電池の制御や車両の制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のセル電圧検出装置では、各セルごとに電圧検出回路を備えており、各電圧検出回路は組電池に蓄電されている電力を用いて駆動するので、各セルの電圧を検出する際に消費する電力が大きいものとなり、組電池の電力を駆動源として走行する車両の航続距離が短くなるという問題があった。
【0004】本発明の目的は、組電池を構成するセルの電圧を検出する電圧検出回路で消費する電力を低減するセル電圧検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1を参照して本発明を説明する。
(1)請求項1の発明は、組電池10を構成する複数のセルC1〜C96ごとに設けられ、対応するセルの電圧を検出する電圧検出回路VT1〜VT96と、複数の電圧検出回路VT1〜VT96のうち、電圧を検出する対象セルを選択し、この電圧検出対象セルに対応する電圧検出回路だけを作動し、電圧検出非対象セルに対応する電圧検出回路を非作動とする制御回路50,C/C1〜C/C12と、電圧検出非対象セルの電圧を推定する電圧推定回路50とを備え、制御回路50,C/C1〜C/C12は、電圧検出対象セルを順次切り替えることにより、上記目的を達成する。
(2)請求項2の発明は、請求項1のセル電圧検出装置において、組電池10は、複数のセルを直列に接続して構成されるモジュールM1〜M12を複数直列に接続して構成されるものであり、電圧検出回路VT1〜VT96により検出されたモジュールM1〜M12内の全セルの電圧を記憶する記憶回路50をさらに備え、制御回路50,C/C1〜C/C12は、モジュールM1〜M12ごとに電圧検出対象セルを順次切り替え、電圧推定回路50は、電圧検出回路で検出されたセル電圧と、記憶回路50に記憶されたモジュールM1〜M12内の全セルの電圧とに基づいて、電圧検出非対象セルの電圧を推定することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2のセル電圧検出装置において、制御回路50,C/C1〜C/C12は、電圧検出対象セルの順次切り替えによりモジュールM1〜M12内の全セルの電圧を検出した後、モジュールM1〜M12内の全セルC1〜C96を電圧検出対象セルとし、記憶回路50は、電圧検出回路VT1〜VT96により検出される全セルの電圧を新たに記憶する。
(4)請求項4の発明は、請求項2または3のセル電圧検出装置において、同一のセルに対して、電圧検出回路VT1〜VT96により検出されたセル電圧と、電圧推定回路50により推定されたセル電圧との差が所定値以上であるか否かを判定する電圧誤差判定回路50と、記憶回路50に記憶されたモジュールM1〜M12内の全セルの電圧に基づいて、モジュール内の異常セルを検出する異常セル検出回路50とをさらに備え、制御回路50,C/C1〜C/C12は、電圧誤差判定回路50により検出電圧と推定電圧との差が所定値以上であると判定されたときに、モジュールM1〜M12内の全セルC1〜C96を電圧検出対象セルとし、記憶回路50は、電圧検出回路VT1〜VT96により検出される全セルの電圧を新たに記憶し、異常セル検出回路50は、記憶回路50に新たに記憶された全セルの電圧に基づいて、異常セルを検出することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかのセル電圧検出装置において、組電池10のSOCが第1のしきい値以上であるか、または第2のしきい値以下であるか否かを判定するSOC判定回路50をさらに備え、制御回路50,C/C1〜C/C12は、SOC判定回路50により、組電池10のSOCが第1のしきい値以上であるか、または第2のしきい値以下であると判定されると、電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルC1〜C96を電圧検出対象セルとすることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかのセル電圧検出装置において、組電池10に流れる電流を検出する電流検出回路60と、電流検出回路60により検出された電流が所定の電流値以上であるか否かを判定する過電流判定回路50とをさらに備え、制御回路50,C/C1〜C/C12は、過電流判定回路50により組電池10に所定の電流値以上の電流が流れていると判定されると、電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルC1〜C96を電圧検出対象セルとすることを特徴とする。
【0006】なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図1と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1〜6の発明によれば、電圧検出対象セルを対応する電圧検出回路により検出するとともに、電圧検出非対象セルの電圧を推定し、制御回路により電圧検出対象セルを順次切り替えるので、電圧を検出する際に全ての電圧検出回路を駆動する必要が無く、電圧検出回路による消費電力を低減することができる。(2)請求項2の発明によれば、組電池は、複数のセルを直列に接続して構成されるモジュールを複数直列に接続して構成されるものであり、制御回路は、モジュールごとに電圧検出対象セルを順次切り替え、電圧推定回路は、電圧検出回路で検出されたセル電圧と、記憶回路に記憶されたモジュール内の全セルの電圧とに基づいて、電圧検出非対象セルの電圧を推定するので、電圧検出非対象セルの電圧を確実に推定することができる。
(3)請求項3の発明によれば、電圧検出対象セルの順次切り替えにより、モジュール内の全セルの電圧を順次検出した後、モジュール内の全セルを電圧検出対象セルとし、電圧検出回路により検出される全セルの電圧を記憶回路に新たに記憶するので、電圧推定回路で推定する電圧の推定精度を向上することができる。
(4)請求項4の発明によれば、同一のセルに対して、電圧検出回路で検出された電圧と、電圧推定回路で推定された電圧との差が所定値以上であるときには、モジュール内の全セルを電圧検出対象セルとし、電圧検出回路により全セルの電圧を検出して記憶回路に新たに記憶し、新たに記憶された全セルの電圧に基づいて、異常セルの検出を行うので、組電池の安全性を確保することができる。
(5)請求項5の発明によれば、組電池のSOCが第1のしきい値以上か第2のしきい値以下であると判定されると、電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルを電圧検出対象セルとするので、組電池の過充電/過放電を防いで、組電池の安全性を確保することができる。
(6)請求項6の発明によれば、組電池に所定の電流値以上の電流が流れていると判定されると、電圧検出対象セルの順次切り替えを中止して、全てのセルを電圧検出対象セルとするので、組電池の安全性を確保することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明によるセル電圧検出装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図である。この電気自動車はインバータ80を有し、複数の単セルを直列に接続して構成される二次電池10の直流電力をインバータ80で交流電力に変換し、変換した交流電力を走行駆動源である三相同期モータ90へ供給する。供給された交流電力により三相同期モータ90が回転駆動することにより、減速機100、ドライブシャフト105a,105bを介して左右の駆動輪110a,110bが回転して電気自動車が駆動することができる。
【0009】組電池10は、複数のセルC1〜C96を直列に接続して構成されており、セルC1〜C96は8個ずつまとめられてモジュールM1,…,M12を構成している。なお、組電池および各モジュールを構成するセルの個数は上述の個数に限定されるものではない。各モジュールM1〜M12には、それぞれセルコントローラC/C1〜C/C12が接続されている。セルコントローラC/C1〜C/C12は、図示しないCPU、ROM及びRAMを有し、対応するモジュールM1〜M12内のセルを管理する。
【0010】各セルC1〜C96には、対応するセルC1〜C96の電圧を検出する電圧検出回路VT1〜VT96が設けられている。各電圧検出回路VT1〜VT96で検出されたセル電圧は、各セルを管理するセルコントローラC/C1〜C/C12に送られる。例えば、モジュールM1内のセルC1〜C12の電圧は、それぞれ対応する電圧検出回路VT1〜VT12で検出されて、セルコントローラC/C1に送られる。
【0011】各セルC1〜C96と対応する電圧検出回路VT1〜VT96との間には、スイッチSW1〜SW97が設けられており、セルC1〜C96と対応する電圧検出回路VT1〜VT96とを接続/非接続とすることができる。各スイッチSW1〜SW97は、各セルコントローラC/C1〜C/C12からのオン/オフ信号に基づいて、開閉する。例えば、電圧検出回路VT1とセルC1とを接続する時は、電圧検出回路VT1とセルC1との間に設けられているスイッチSW1とSW2とをオンとし、それ以外のスイッチSW3〜SW97はオフとする。
【0012】尚、以下の説明では、一般的なセルC1〜C96を表すのに、セルCn(nは、自然数)と表現する。同様に、一般的なモジュールM1〜M12、セルコントローラC/C1〜C/C12、電圧検出回路VT1〜VT96、スイッチSW1〜SW97もそれぞれ、モジュールMn、セルコントローラC/Cn、電圧検出回路VTn、スイッチSWnと表すことにする。
【0013】バッテリーコントローラ50は、カウンタ51、タイマ52、不図示のCPU,ROMおよびRAMを備えている。各セルコントローラC/Cnは、隣接するセルコントローラC/Cnと通信線で接続されており、バッテリーコントローラ50は、両端のセルコントローラC/Cn、すなわち、セルコントローラC/C1とC/C12と接続されている。従って、バッテリーコントローラ50は、シリアル通信により各セルコントローラC/Cnを制御するとともに、各セルコントローラC/Cnからのデータを受信する。これにより、バッテリーコントローラ50は、各セルコントローラC/Cnを制御して組電池10全体を管理する。
【0014】電流センサ60は、組電池10に流れる充放電電流を検出する。また、電圧センサ70は、組電池10の総電圧を検出する。電流センサ60により検出された充放電電流、および電圧センサ70により検出された総電圧は、バッテリコントローラ50に送られる。
【0015】トルクプロセッシングコントローラ130は、不図示のCPUやメモリなどを備え、図示しないアクセルペダルやブレーキペダルの操作量等に基づいて、三相同期モータ90のトルク指令値を演算する。演算したトルク指令値は、モータコントローラ120に送信される。モータコントローラ120は、トルクプロセッシングコントローラ130から送られてきたトルク指令値や、三相同期モータ90の回転位置情報などに基づいて、インバータ80の制御を行う。また、バッテリーコントローラ50とトルクプロセッシングコントローラ130は、図示しない接続線によって接続され、バッテリーコントローラ50は組電池に関する各種情報をトルクプロセッシングコントローラ130へと出力している。また、トルクプロセッシングコントローラ130には、組電池10の異常を含む車両の異常を乗員に報知するためのインジケータ140およびブザー150が接続されている。
【0016】図2〜図4は、バッテリコントローラ50で行われる制御の一実施の形態の手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、車両の起動時に1回のみ演算される制御手順を示すものであり、図3に示すフローチャートは、車両の起動とともに処理を開始し、以後、所定周期ごとに行われる制御手順を示すものである。また、図4に示すフローチャートの制御も、車両の起動とともに開始される。ただし、車両の起動時に行われる順番としては、初めに図2に示すフローチャートによる制御が行われ、次に図3に示すフローチャートによる制御、最後に図4に示すフローチャートによる制御が行われる。
【0017】始めに、図2に示すフローチャートの制御について説明する。ステップS10では、図示しないイグニッションスイッチがオンとなっているか否かを判定する。オンとなっていると判定するとステップS20に進み、オンになっていないと判定すると、オンされるまでステップS10で待機する。ステップS20では、スイッチSWnを全てオンにする。これは、バッテリコントローラ50が、各セルコントローラC/CnにスイッチSWnを全てオンにする旨の信号を送出し、各セルコントローラC/Cnが全スイッチSWnのオン信号を出力することにより行われる。スイッチSWnを全てオンにすると、ステップS30に進む。
【0018】ステップS30では、各モジュールMnごとに、各電圧検出回路VTnを用いて全てのセルCnの電圧を検出する。検出されたセル電圧は、バッテリコントローラ50に送られる。次のステップS40では、ステップS30で検出した各モジュールMnごとの全セル電圧を図示しないRAMに記憶する。なお、以下の説明では、後述する処理の時点で検出するセル電圧と、本処理で記憶するセル電圧とを区別するために、本処理で記憶するセル電圧は、「セル電圧分布」と呼ぶことにする。上述したように、全セル電圧は、各モジュールMnごとに検出されるので、セル電圧分布も各モジュールMnごと、換言すれば、セルコントローラC/Cnごとに区別して記憶する。セル電圧分布を記憶するとステップS50に進む。
【0019】ステップS50では、電圧値が異常値を示す異常セルがあるか否かを判定する。この判定は、モジュールMnごとに行われる。すなわち、ステップS40で記憶したセル電圧分布から、モジュールMn内の全セルの平均電圧を算出し、そのモジュールMn内の各セルCnの電圧と算出した平均電圧との差が所定値以上であるセルがあるか否かを判定する。各セルCnの電圧と平均電圧との差が所定値以上であるセルが1つでもあるときは、異常セルがあると判定して、ステップS60に進む。ステップS60では、異常セルの存在を示すフラグFをセットして、ステップS70に進む。ステップS70では、インジケータ140および/またはブザー150により、異常セルの存在を乗員に報知して、本制御を終了する。
【0020】一方、ステップS50で、モジュールMnごとに判定を行った結果、全てのセルCnの電圧と異常判定値である平均電圧との差が所定値より小さいときは、全てのセルCnが正常であると判定して、ステップS80に進む。ステップS80では、スイッチSWnを全てオフにして本制御を終了する。
【0021】次に、図3に示すフローチャートの制御について説明する。ステップS100では、図示しないイグニッションスイッチがオンとなっているか否かを判定する。オンとなっていると判定するとステップS110に進み、オンになっていないと判定すると、オンされるまでステップS100で待機する。ステップS110では、電圧センサ70により組電池10の総電圧を検出する。検出した総電圧は、バッテリコントローラ50に送られる。次のステップS120では、ステップS110で検出した総電圧に基づいて、組電池のSOC(充電率)を算出する。SOCの算出は、組電池10の総電圧とSOCとの関係を定めたマップを予め用意しておき、このマップを用いて表引き計算することにより行われる。SOCを算出するとステップS130に進む。
【0022】ステップS130では、電流センサ60により、組電池10に流れる電流を検出する。検出した電流は、バッテリコントローラ50に送られる。次のステップS140では、組電池10が過充電となっていないかを判定する。この判定のために、予め、組電池10が過充電(過電圧)となるときのSOCのしきい値Xを定めておく。各セルCnの電圧にはバラツキがあるため、しきい値Xからバラツキを考慮した値αを引いたX−αを判定しきい値とする。このαは、全セル電圧のうち、最も値の大きい電圧を考慮して定める必要がある。従って、ステップS140では、ステップS120で算出したSOCが判定しきい値X−αより大きいときは、過充電であると判定してステップS170に進み、判定しきい値X−α以下であるときは、過充電ではないと判定してステップS150に進む。
【0023】ステップS150では、組電池10が過放電となっていないかを判定する。この判定のために、予め、組電池10が過放電となるときのSOCのしきい値Yを定めておく。各セルCnの電圧にはバラツキがあるため、しきい値Yからバラツキを考慮した値βを引いたY+βを判定しきい値とする。ただし、βは、全セル電圧のうち、最低電圧を考慮して定める必要がある。従って、ステップS150では、ステップS120で算出したSOCが判定しきい値Y+βより小さいときは、過放電であると判定してステップS170に進み、判定しきい値Y+β以上であるときは、過放電ではないと判定してステップS160に進む。
【0024】ステップS160では、ステップS130で検出した電流の絶対値|I|が所定の規定値Imax以上であるか否かを判定する。この判定は、組電池10に流れる電流が規定値Imax以上である場合、組電池10およびセルCnの電圧変動率が高くなる可能性があるので、組電池10の安全性を確保するために行われる。また、絶対値とするのは、充電電流および放電電流のいずれの電流も対象とするためである。電流の絶対値|I|が所定の規定値Imax以上であると判定すると、ステップS170に進み、所定の規定値Imaxより小さいと判定すると本制御を終了する。以上の説明では、この電流の絶対値|I|が所定の規定値Imax以上であることを「過電流である」と記載する。
【0025】ステップS170では、組電池10が過充電または過放電であるか、過電流が流れているので、フラグFをセットして、ステップS180に進む。ステップS180では、スイッチSWnを全てオンにする。これにより、各セルCnの電圧を、対応する電圧検出回路VTnでそれぞれ検出することができる。
【0026】上述した図3に示すフローチャートによる制御では、組電池10が過充電であるか否か(ステップS140)、過放電であるか否か(ステップS150)、過電流が流れているか否か(ステップS160)を判定し、いずれかの判定において肯定されるときは、フラグFをセットするとともに、スイッチSWnを全てオンにした。すなわち、過充電、過放電および過電流などの状況下では、後述するセル電圧の推定を正確に行うことができないので、従来通り、全ての電圧検出回路VTnを用いてセル電圧を検出するようにしている。
【0027】最後に、図4に示すフローチャートによる制御について説明する。ステップS200では、フラグFがセットされているか否かを判定する。フラグFがセットされていないと判定するとステップS210に進み、セットされていると判定すると本制御を終了する。ステップS210では、モジュールMn内のある1つのセルCnの電圧を検出するために、対応するスイッチSWnをオンにするとともに、他のスイッチをオフにする。本実施の形態では、モジュールM1を例にあげると、セルC1、C2、C3の順に電圧を検出していくことにする。例えば、セルC1の電圧を検出するときは、スイッチSW1とSW2とをオンにするとともに、他のスイッチをオフにする。スイッチ制御を行うと、ステップS220に進む。
【0028】ステップS220では、タイマ52をスタートさせて、ステップS230に進む。このタイマ52は、ステップS210でスイッチの切り替え制御を行うためのものであり、切り替え時間を制御することにより、各セル間の電力消費の偏りを防ぐことができる。ステップS230では、ステップS210でスイッチSWnをオンにすることにより、電圧の検出が可能となったセルCnの電圧を、対応する電圧検出回路VTnにより検出する。検出したセル電圧は、バッテリコントローラ50に送られる。次のステップS240では、ステップS220でタイマ52をスタートさせてから、所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過したと判定するとステップS250に進む。所定の時間が経過していないと判定すると、所定の時間が経過するまで待機する。
【0029】ステップS250では、タイマ52をリセットしてステップS260に進む。ステップS260では、ステップS230で検出したセル電圧と、後述するステップS270で推定したセル電圧との差が所定値以上であるか否かを判定する。ステップS230でセル電圧を検出する処理と、ステップS270でセル電圧を推定する処理は、モジュールMn内の全てのセルCnに対して行われるので、後述するステップS300で図示しないイグニッションスイッチがオフされたと判定されない限り繰り返し行われる。従って、ステップS260では、前回のステップS270の処理時に推定したセル電圧と、今回のステップS230で検出したセル電圧とを用いて判定を行う。この判定の結果、検出セル電圧と推定セル電圧との差が所定値以上であると判定(肯定)するとステップS340に進み、所定値より小さいと判定(否定)すると、ステップS270に進む。また、ステップS230で最初のセル電圧を検出したときは、推定セル電圧が存在しないことになるので、判定を行わずにステップS270に進む。
【0030】ステップS270では、ステップS230で検出したセル電圧と、図2に示すフローチャートのステップS40で不図示のRAMに記憶したセル電圧分布とに基づいて、ステップS230で検出したセル電圧以外のセルの電圧を推定する。例えば、ステップS230でセルC1の電圧を検出したときは、モジュールM1内の他のセルC2〜C8の電圧を推定する。電圧の推定方法は、例えば、ステップS40で記憶したセルC1の電圧とステップS230で検出したセルC1との電圧差を算出し、ステップS40で記憶した他のセルC2〜C8の電圧に対して、セルC1の電圧差分を加減算することにより行う。
【0031】ステップS230で検出したセル電圧以外のセルの電圧を推定すると、ステップS280に進む。ステップS280では、ステップS230で電圧を検出したセル数(カウント値)Nが、モジュールMn内のセル数(本実施の形態では8)以上であるか否かを判定する。ステップS230でセルの電圧を検出する処理は、モジュールMn内の全てのセルCnに対して行うものであるが、電圧を検出したセル数は、カウンタ51を用いてカウントする。モジュールMn内の全てのセルCnに対して電圧を検出したと判定すると、ステップS340に進み、全てのセルCnの電圧を検出していないと判定すると、同じモジュールMn内の他のセルに対しても、ステップS260の処理を行うために、ステップS290に進む。
【0032】ステップS290では、カウンタ51のカウント値Nに1を足して新たなカウント値Nとして、ステップS300に進む。ステップS300では、図示しないイグニッションスイッチがオフとなっているか否かを判定する。オフになっていないと判定するとステップS200に戻り、次のセルCnに対して、ステップS200以降の処理を行う。一方、図示しないイグニッションスイッチがオフになっていると判定すると本制御を終了する。
【0033】ステップS260で、ステップS230で検出したセル電圧と、前回のステップS270で推定したセル電圧との差が所定値以上であると判定すると、ステップS340に進む。ステップS260での判定は、推定した電圧を用いており、また、タイミングの異なる処理で検出および推定した電圧を用いて行うことから、直ちに異常が発生しているとは判断せず、ステップS340以降の処理により、異常セルの有無の判断を正確に行う。また、モジュールMn内の全てのセルCnに対して、ステップS260の処理が行われた時もステップS340に進む。
【0034】ステップS340では、全てのスイッチSWnをオンにしてステップS350に進む。ステップS350では、カウンタ51のカウント値Nをリセットして、ステップS360に進む。ステップS360では、各電圧検出回路VTnにより対応する全てのセルCnの電圧を検出する。検出されたセル電圧は、バッテリコントローラ50に送られる。次のステップS370では、ステップS360で検出した全セル電圧、すなわちセル電圧分布を図示しないRAMに記憶して、ステップS380に進む。
【0035】尚、以後の処理において、ステップS270のセル電圧の推定を行うときは、ステップS370で記憶したセル電圧分布を用いる。すなわち、モジュールMn内の全てのセルに対して、ステップS260の処理が行われると、ステップS280を経てステップS370に進み、最新のセル電圧分布が記憶される。後述するように、セルに異常が発生していないときは、再びステップS200以降の処理が行われるので、ステップS270にてセル電圧の推定を行うときは、最新のセル電圧分布が用いられる。これにより、セル電圧の推定精度を向上させることができる。
【0036】ステップS380では、電圧値が異常値を示す異常セルがあるか否かを判定する。ここでの判定は、図2に示すフローチャートのステップS50で行う判定と同じである。すなわち、ステップS370で記憶したセル電圧分布から、全セルの平均電圧を算出し、各セルCnの電圧と算出した平均電圧との差が所定値以上であるセルがあるか否かを判定する。異常セルがあると判定すると、ステップS390に進み、異常セルが無いと判定すると、ステップS200に戻る。ステップS390では、異常セルの存在を示すフラグFをセットして、ステップS400に進む。ステップS400では、インジケータ140および/またはブザー150により、異常セルの存在を乗員に報知して、ステップS300に進む。
【0037】以上、本発明によるセル電圧検出装置によれば、異常セルが存在するとき(ステップS50,S390)、組電池10が過充電または過放電であると判定されたとき(ステップS140,S150)および組電池10に過大電流が流れているとき(ステップS160)には、フラグFをセットする。このフラグFがセットされているときは、従来と同様に、全ての電圧検出回路VTnを用いて対応するセルCnの電圧を検出する。一方、フラグFがセットされていないときは、モジュールMn内の1つの電圧検出回路VTnのみを駆動して対応するセルの電圧を検出し(ステップS210〜S230)、検出したセル電圧と、記憶されているセル電圧分布(ステップS50)とに基づいて、検出したセル以外のセルの電圧を推定する(ステップS270)。次に他のセルの電圧を検出した時には、この推定したセル電圧と、実際に検出したセル電圧との差が所定値以下の時には、検出したセル以外のセル電圧を推定し(ステップS270)、所定値より大きいときには、全セルの電圧を検出して、異常の判断を正確に行う(ステップS340〜S380)。
【0038】本実施の形態によるセル電圧検出装置によれば、1つのセル電圧を検出し、他のセル電圧を推定することにより、組電池の管理を行うので、全ての電圧検出回路を駆動させる必要がなく、電圧検出回路で消費する電力を低減することができる。従って、組電池を搭載する電気自動車の航続距離を長くすることができる。また、電圧を検出するセルは、順次切り替えていくので、1つのセルの電力のみが消費されることはなく、各セル電圧間のバランスを保つことができるとともに、電気自動車の航続距離を長くすることができる。すなわち、電気自動車の航続距離は、電圧の最も低いセルを基準に定められるので、他のセル電圧に比べて極端に低い電圧を示すセルを無くすことにより、電気自動車の航続距離を長くすることができる。さらに、検出電圧と推定電圧との誤差の判定を行うので、推定電圧の精度をある一定以上に確保することができる。
【0039】また、組電池のSOCに基づいて、過充電、過放電である領域や、過電流が流れる場合には、全てのセル電圧を検出してセルの異常判定を行うので、過充電や過放電になるのを未然に防いで、組電池の安全性を確保することができる。
【0040】本発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、上述した一実施の形態では、本発明によるセル電圧検出装置を電気自動車に適用した例について説明したが、ハイブリッド車に適用することもできる。一般に、ハイブリッド車に搭載される組電池の容量は、電気自動車に搭載される組電池の容量よりも小さいので、電圧検出回路で消費される電力の影響は大きい。従って、本発明によるセル電圧検出装置をハイブリッド車に適用すれば、航続距離の向上等の効果は、電気自動車に適用した場合よりも大きくなる。
【0041】また、電圧を検出するセルの切り替えや、電圧を検出しない(電圧検出回路と非接続とされた)セルの電圧の推定は、モジュールMnごとに行ったが、モジュールMnごとではなく組電池10全体で行ってもよい。さらに、電圧を検出するセルの切り替えも、1つずつ行うのではなく、複数のセルを1単位として行うこともできる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成13年11月29日(2001.11.29)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開2003−164001(P2003−164001A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−364287(P2001−364287)