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【発明の名称】 電気車の制御装置及び制御方法
【発明者】 【氏名】山田 博之
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会社日立カーエンジニアリング内

【氏名】神長 実
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株式会社日立製作所自動車機器グループ内

【氏名】野村 琢磨
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株式会社日立製作所自動車機器グループ内

【要約】 【課題】電流検出手段の異常を各々個別に判定できるようにし、不必要な電流検出手段を削減しコスト低減を図ると共に、制御装置を的確に動作停止または動作継続を維持できるようにする電気車の制御装置を提供する。

【解決手段】上記課題を解決するために、制御手段内部に3相の判定用電流指示値を演算する判定用2相3相変換手段15を有し、電流検出手段8からの電流検出値と判定用電流指示値を偏差演算手段17で比較し、その結果を異常判定手段18によって判定して目標指令演算手段10に伝達し、駆動装置の動作停止または継続処置を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】交流電動機の固定子に供給する一次電流をq軸制御用電流指令値、d軸制御用電流指令値に基づいて分離独立して制御するdq軸ベクトル電流制御により行い、電流検出手段によって前記交流電動機の一次電流を検出して電流フィードバック制御を行う電気車の制御装置であって、前記制御装置は、指令値に基づき制御用電流指令値を生成し前記交流電動機に供給すると共に前記電流検出手段で検出し電流変換手段による変換を施して電流フィードバック制御を行う運転処理部と、判定用の電流指令値を生成し、前記電流検出手段の正常、異状の判定処理を行う判定処理部により構成され、前記判定処理部は、前記q軸制御用電流指令値及び前記d軸制御用電流指令値を基に、指令値変換手段を用いて前記制御用電流指令値とは独立し前記電流フィードバックの影響を受けない比較判定用の判定用電流指令値を生成し、前記電流検出手段で検出し前記電流変換手段による変換を施さない交流電流検出値と、前記判定用電流指令値とを突き合わせて比較し、比較結果がしきい値を越えている場合に前記電流検出手段が異常であると判定する構成を有する、ことを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項2】交流電動機の固定子に供給する一次電流を、トルク成分であるq軸電流成分をq軸制御用電流指令値、励磁成分であるd軸電流成分をd軸制御用電流指令値に基づいて各々分離独立して制御するdq軸ベクトル電流制御により、前記交流電動機への前記一次電流の振幅と位相を調節して前記交流電動機の速度またはトルクの制御を行う構成を有し、前記一次電流は、電力変換手段によって前記交流電動機に印加制御され、前記交流電動機への前記一次電流が電流検出手段によって交流電流検出値として検出される電気車の制御装置であって、前記制御装置は、指令値に基づき制御用電流指令値を生成し、前記交流電動機に供給すると共に電流フィードバック制御を行う運転処理部と、判定用の電流指令値を生成し、前記電流検出手段の正常、異状の判定処理を行う判定処理部により構成され、前記運転処理部は、前記一次電流を電流変換手段によってq軸電流検出値及びd軸電流検出値として検出変換し、前記q軸制御用電流指令値と前記q前記軸電流検出値、前記d軸制御用電流指令値と前記d軸電流検出値を各々突き合わせてフィードバック電流制御を行う構成を有し、前記判定処理部は、前記q軸制御用電流指令値及び前記d軸制御用電流指令値を基に、指令値変換手段を用いて前記フィードバック制御の為の電流指令値とは独立した比較判定用の判定用電流指令値を生成し、前記電流検出手段で検出し前記電流変換手段による変換を施さない交流電流成分である前記交流電流検出値と、前記判定用電流指令値とを突き合わせて比較し、比較結果がしきい値を越えている場合に前記電流検出手段が異常であると判定する構成を有する、ことを特徴とする電気車の制御装置。
【請求項3】請求項2において、前記交流電流検出値と前記判定用電流指示値は3相の各相個別に独立した値として演算を行い、前記判定用電流指示値と前記交流電流検出値を各相個別に独立して比較し、前記電流検出手段に異常がある事を各相個別に識別判定することを特徴とした電気車の制御装置。
【請求項4】請求項3において、前記交流電流検出値は3相分のうち任意の2相分の検出値であって、前記判定用電流指示値は任意の組合せの前記交流電流検出値の各相に対応した2相分の演算を行い、2相の前記判定用電流指示値と前記交流電流検出値を各相個別に独立して比較し、2相の内いずれかもしくは双方の前記電流検出手段に異常がある事を識別判定し、前記電気車の制御装置の動作を停止することを特徴とした電気車の制御装置。
【請求項5】請求項3において、前記交流電流検出値は3相分の検出値であって、前記判定用電流指示値は前記交流電流検出値の各相に対応した3相分の演算を行い3相の前記判定用電流指示値と前記交流電流検出値を各相個別に独立して比較識別判定し、3相のうち1相に異常があると判定した場合には残り2相の前記交流電流検出値を基に異常が発生した相の前記交流電流検出推定値を演算生成し、前記電気車の制御装置の動作を制限または継続することを特徴とした電気車の制御装置。
【請求項6】請求項5において、3相のうち2相もしくは3相全てに異常があると判定した場合には、前記電気車の制御装置の動作を停止することを特徴とした電気車の制御装置。
【請求項7】請求項1〜6のいずれかにおいて、前記運転処理部は、目標指令演算手段、電流制御手段、2相3相変換手段、PWM生成手段、3相2相変換手段、電気角演算手段の各機能を含んでおり、前記判定処理部は、判定用2相3相変換手段、偏差演算手段、判定手段の各機能を含んでおり、前記判定処理部は、前記偏差演算手段において、前記電流検出手段によって電流として検出され前記3相2相変換手段による変換を施さない電流値と前記判定用2相3相変換手段の出力とを比較することを特徴とした電気車の制御装置。
【請求項8】交流電動機の固定子に供給する一次電流をトルク成分であるq軸電流成分をq軸制御用電流指令値、励磁成分であるd軸電流成分をd軸制御用電流指令値に基づいて分離独立して制御するdq軸ベクトル電流制御により、前記交流電動機への前記一次電流の振幅と位相を調節して前記交流電動機の速度またはトルクの制御を行い、前記一次電流を電力変換手段によって前記交流電動機に印加制御し、前記交流電動機への前記一次電流を電流検出手段によって交流電流検出値として検出する電気車の制御方法であって、前記一次電流をq軸電流検出値及びd軸電流検出値として検出変換し、前記q軸制御用電流指令値と前記q前記軸電流検出値、前記d軸制御用電流指令値と前記d軸電流検出値を各々突き合わせてフィードバック電流制御を行い、前記q軸制御用電流指令値及び前記d軸制御用電流指令値を基に、前記フィードバック制御の為の電流指令値とは独立した比較判定用の判定用電流指令値を生成し、前記電流検出手段で検出し変換を施さない交流電流成分である前記交流電流検出値と、前記判定用電流指令値とを突き合わせて比較し、比較結果がしきい値を越えている場合に前記電流検出手段が異常であると判定する、ことを特徴とする電気車の制御方法。
【請求項9】請求項8において、前記しきい値と比較する差分の値を、複数の差分演算結果の平均値を用いてしきい値と比較する、ことを特徴とする電気車の制御方法。
【請求項10】請求項8において、前記交流電流検出値は3相分のうち任意の2相分の各相の判定用電流指令値及び電流検出値それぞれの値を絶対値化し、各相の電流指令値と電流検出値の差分を求めてしきい値と比較する、ことを特徴とする電気車の制御方法。
【請求項11】請求項8において、前記交流電流検出値は3相分の各相の判定用電流指令値及び電流検出値それぞれの値を絶対値化し、各相の電流指令値と電流検出値の差分を求めてしきい値と比較する、ことを特徴とする電気車の制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車の制御装置に係り、特に交流電動機の電動機電流を検出する電流検出手段の異常を検出する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電動機を駆動する装置における、電流検出手段の異常を検出する制御装置については、例えば特開平9−172791号公報及び特開2000−116176号公報に記載されたものが知られている。
【0003】特開平9−172791号公報では、電動機に印加すべき電圧の電圧指令値または瞬時電流を示す電流指令値により、電流センサにて検出された電動機の電流値を参照しながら交流電動機を制御し、電流センサにて検出された電動機の電流値と、電圧指令より推定した電動機の電流の推定値または電流指令値と比較し、電流センサもしくは関連する回路、電力系統に異常が生じていると判断する技術が記載されている。
【0004】特開2000−116176号公報には、3相の交流電動機を制御し2相分の電流センサによって2相分の電流を検出し、電流検出値をもとに残り1相の電流を推定する第一の推定手段、電流の位相角と2相の電流検出値より残り1相の電流を推定する第二の推定手段によって各々第一の電流推定値と第二の電流推定値を求め、それらの比較により電流センサの異常を判断する技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術においては、例えば特開平9−172791号公報に記載されたものでは、交流である電流センサの検出値と、電動機に印加すべき電圧指令値または瞬時電流指令値とを直接比較する構成となっている。しかし制御装置では、モータに流れる電流そのものを指令に追従させるように、電流センサで検出した電流検出値を帰還制御することも並行して行っている。このような構成においては、電流検出値と、電圧指令値もしくは瞬時電流指令値は比較参照されながら制御されている構成であるので、電流センサもしくは電力系統に異常が生じた場合、制御装置は電動機に流れる電流を電圧指令値もしくは瞬時電流指令に追従させようとする帰還制御を行うことになる。そのため、例えば電流センサの出力ゲインが低下した場合などは、制御装置での帰還制御によって電流センサの出力ゲインが低下した相について電圧指令値もしくは電流指令値に追従させようと制御するため、結果としてその相には過大な電流が流れるおそれがあり、また結果的には電流検出値と指令値が釣り合ってしまう状況も考えられ、特に電流センサの異常判定については考慮されていない点がある。
【0006】特開2000−116176号公報においては、同様に電流指令値と電流検出値は比較参照されながら帰還制御されており、異常判定に用いる電流推定値は電流センサによる電流検出値を基にしている。このため、やはり電流センサに異常が生じた場合に、電流指令と電流検出値が釣り合う状況が考えられ、電流センサの異常が判定できない場合があると考えられる。
【0007】本発明の目的は、電流検出手段の様々な故障状態それぞれにおいて適切に異常を判定できるようにした電気車の制御装置及び制御方法を提供することにある。
【0008】本発明の電気車の制御装置の他の目的は、3相分ある電流検出手段のうち1相分に異常が生じても継続的に動作可能となるようにした電気車の制御装置及び制御方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、電流検出手段の異常を各々個別に判断できるように構成することによって、不必要な電流検出手段を削減し装置のコスト低減を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するための本発明の電気車の制御装置は、交流電動機の固定子に供給する一次電流をq軸制御用電流指令値、d軸制御用電流指令値に基づいて分離独立して制御するdq軸ベクトル電流制御により行い、電流検出手段によって前記交流電動機の一次電流を検出して電流フィードバック制御を行う電気車の制御装置であって、前記制御装置は、指令値に基づき制御用電流指令値を生成し前記交流電動機に供給すると共に前記電流検出手段で検出し電流変換手段による変換を施して電流フィードバック制御を行う運転処理部と、判定用の電流指令値を生成し、前記電流検出手段の正常、異状の判定処理を行う判定処理部により構成され、前記判定処理部は、前記q軸制御用電流指令値及び前記d軸制御用電流指令値を基に、指令値変換手段を用いて前記制御用電流指令値とは独立し前記電流フィードバックの影響を受けない比較判定用の判定用電流指令値を生成し、前記電流検出手段で検出し前記電流変換手段による変換を施さない交流電流検出値と、前記判定用電流指令値とを突き合わせて比較し、比較結果がしきい値を越えている場合に前記電流検出手段が異常であると判定する構成を有する、ことを特徴とする。
【0011】本発明の好ましくは、前記判定用電流指示値は3相分のうち任意の組合せの2相分の演算を行い、前記交流電流検出値は3相分のうち任意の2相分の検出値であって、2相の前記判定用電流指示値と前記交流電流検出値を各相個別に比較し、2相の内いずれか、もしくは双方に異常があると判定した場合には前記電気車の制御装置の動作を停止することを特徴とする。
【0012】本発明の好ましくは、前記判定用電流指示値は3相分の演算を行い、前記交流電流検出値は3相分の検出値であって、3相の前記判定用電流指示値と前記交流電流検出値を各相個別に比較し、3相のうち1相に異常があると判定した場合には、残り2相の前記交流電流検出値を基に異常が発生した相の前記交流電流検出推定値を演算生成し、前記電気車の制御装置の動作を制限または継続することを特徴とする。
【0013】本発明の好ましくは、3相のうち2相もしくは3相全てに異常があると判定した場合には、前記電気車の制御装置の動作を停止することを特徴とする。
【0014】本発明の他の特徴は、交流電動機の固定子に供給する一次電流をトルク成分であるq軸電流成分をq軸制御用電流指令値、励磁成分であるd軸電流成分をd軸制御用電流指令値に基づいて分離独立して制御するdq軸ベクトル電流制御により、前記交流電動機への前記一次電流の振幅と位相を調節して前記交流電動機の速度またはトルクの制御を行い、前記一次電流を電力変換手段によって前記交流電動機に印加制御し、前記交流電動機への前記一次電流を電流検出手段によって交流電流検出値として検出する電気車の制御方法であって、前記一次電流をq軸電流検出値及びd軸電流検出値として検出変換し、前記q軸制御用電流指令値と前記q前記軸電流検出値、前記d軸制御用電流指令値と前記d軸電流検出値を各々突き合わせてフィードバック電流制御を行い、前記q軸制御用電流指令値及び前記d軸制御用電流指令値を基に、前記フィードバック制御の為の電流指令値とは独立した比較判定用の判定用電流指令値を生成し、前記電流検出手段で検出し変換を施さない交流電流成分である前記交流電流検出値と、前記判定用電流指令値とを突き合わせて比較し、比較結果がしきい値を越えている場合に前記電流検出手段が異常であると判定する、ことにある。
【0015】本発明によれば、フィードバック制御の為の電流指令値とは独立した判定用電流指令値を生成し、これと電流検出手段で検出し変換を施さない交流電流成分である交流電流検出値とを比較判定するため、電流検出手段の様々な故障状態それぞれにおいて適切に異常を判定できる電気車の制御装置及び制御方法を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明による電気車の制御装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は本発明の電気車の制御装置における第一の実施例を示す図である。本発明の電気車の制御装置は、制御手段4,電力変換手段5,電源6,電動機7等によって構成されている。制御手段4にはマイクロコンピュータ41が備えられ、マイクロコンピュータ41にはCPU42,メモリ手段43、異常検出手段44、入出力手段45、A/D変換手段46が内包されている。メモリ手段43には、電動機の運転制御や各種の異常検出処理を行うためのプログラムが保持されている。
【0017】電動機7には回転を検出する回転検出手段9が備えられており、検出した回転を回転信号33としてマイクロコンピュータ41に伝達する。マイクロコンピュータ41の内部では、アクセル検出手段1,ブレーキ検出手段2、U相電流検出値30及びV相電流検出値31の信号をA/D変換手段46によって検出し、CPU42またはメモリ手段43に伝達する。前後進選択手段3や回転検出信号33の信号は入出力手段45によって検出を行い、同様にCPU42またはメモリ手段43に伝達する。
【0018】CPU42は、伝達された各種信号を基に電動機7に供給すべき電力の演算を行い、入出力手段45を介して電力変換手段5を駆動して電源6の電力を電動機7に供給すべき電力へ変換し、電動機7にこの電力を供給する。電動機7は供給された電力に応じて車両を駆動する駆動力を発生し電気車の駆動を行う。
【0019】電動機7に供給した電力は、電流検出手段8によって電流として検出し、U相電流検出値30及びV相電流検出値31としてマイクロコンピュータ41に伝達され、電流フィードバック制御を行う。マイクロコンピュータ41のCPU42には異常検出手段44も備えられ、メモリ手段43からの信号やCPU42からのアクセスに従い異常検出処理、特に電流検出手段8の異常を検出する動作を行う構成としている。
【0020】図1の制御手段4として、マイクロコンピュータ41で実行処理される機能を、分かり易く説明するためにブロック化して示したものが図2である。図2において、制御手段4は、指令値に基づき制御用電流指令値を生成し、電動機7に供給すると共に電流フィードバック制御を行う運転処理部と、判定用の電流指令値を生成し、電流検出手段の正常、異状の判定処理を行う判定処理部により構成される。
【0021】このうち、運転処理部は、目標指令演算手段10、電流制御手段11、2相3相変換手段12、PWM生成手段13、3相2相変換手段14、電気角演算手段19の各機能を含んでいる。一方、判定処理部14は、判定用2相3相変換手段15、偏差演算手段17、判定手段18の各機能を含んでいる。判定処理部は、偏差演算手段17において、電流検出手段8によって電流として検出し3相2相変換手段による変換を施さない電流値と判定用2相3相変換手段15の出力とを比較し、その結果に基づき判定手段18において電流検出手段の異状の有無を判定する。
【0022】目標指令演算手段10では、アクセル検出手段1,ブレーキ検出手段2,前後進選択手段3、また電気角演算値37等の信号をもとに電動機7が発生すべき目標トルクまたは目標回転速度を求め、その目標値を基に電動機7に供給すべき電流の指令であるq軸電流指令22とd軸電流指令23を演算出力する。
【0023】電動機7に流れる電流は電流検出手段8によって検出され、U相電流検出値30、V相電流検出値31として3相2相変換手段14に伝達される。3相2相変換手段14では、検出された交流の電動機7の電流をいわゆる直交座標系のdq軸電流値に変換し、q軸電流検出値24とd軸電流検出値25を演算する。q軸電流指令22とd軸電流指令23、q軸電流検出値24とd軸電流検出値25はそれぞれ突き合わせの帰還制御を行い、その結果を基に電流制御演算11にて電流制御し、q軸電圧指令26とd軸電圧指令27を出力する。この電流制御演算11の処理は通常の比例積分補償でも良いし、また別の制御であっても同様の結果が得られるものである。
【0024】q軸電圧指令26とd軸電圧指令27は2相3相変換手段12に入力され、ここで直交の2相座標系から3相の電圧指令に変換が行われる。変換結果は3相電圧指令28としてPMW生成手段13に伝達され、電力変換手段5を駆動するためのPWM指令29が生成され電力変換器5を動作させる。電力変換器5はPWM指令29の信号を基にPWM変調を用いて電源6の電力を電動機7に供給できる交流に変換し電動機7に供給する。先に述べたq軸電流指令22とd軸電流指令23は、判定用2相3相変換手段15にも伝達される。判定用2相3相変換手段15では、入力されたq軸電流指令22とd軸電流指令23を基に座標変換を行い、交流の成分であるU相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35を演算出力する。
【0025】図3は本発明の第一の実施例の制御装置における、2相3相変換指示値の一例を示す図である。
【0026】2相3相変換指示値は、電流検出手段8からの電流検出値と突き合わせて比較するための値であり、この値は実際の電動機7への供給電流へは影響を及ぼさない経路で生成される物である。よって、電流検出手段8のいずれかに何らかの異常が生じてU相電流検出値30、V相電流検出値31、W相電流検出値32の何れが異常な値を示した場合でも、この帰還信号の影響を受けることがない値として扱うことが出来る。その方法は、q軸電流指令22とd軸電流指令23の値を基に式(1)及び式(2)で示す様に、【式1】

【式2】

但し θ:電気角によって求めることができる。この演算は電力変換手段5のスイッチングの周波数毎程度に高速多点に行っても良いし、目標指令演算手段10の演算のタイミングと同期して行っても良く、必ずしも交流の瞬時値を示す値である必要は無い。
【0027】図4は本発明の第一の実施例の制御装置における、2相3相変換指示値の第二の例を示す図である。
【0028】相3相変換指示値は、先に述べたいわゆる2相3相の座標変換に基づく演算方法の他に、図4に示す方法によっても求める事ができる、その方法は式(3)及び式(4)に示すように、【式3】

【式4】

但し θ:電気角の演算式でも求める事ができる。この演算についても図3にて説明した事と同様に、電力変換手段5のスイッチングの周波数毎に高速多点に行っても良いし、目標指令演算手段10の演算のタイミングと同期して行っても良く、必ずしも交流の瞬時値を示す値である必要は無い。
【0029】U相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35は、q軸電流指令22とd軸電流指令23から生成されるものであり、実際に電動機7に流れる電流とは無関係の値であり、当然ながら電動機7に流れている電流の状態の影響を受けないものである。
【0030】U相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35は偏差演算手段17に伝達され、U相電流検出値30とU相判定用電流指令値34、V相電流検出値31とV相判定用電流指令値35がこの偏差演算手段17にて比較される。
【0031】この比較方法は、U相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35及びU相電流検出値30とV相電流検出値31それぞれの値を絶対値化し、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31の差分を求めてしきい値と比較しても良い。
【0032】あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31それぞれの組合せの差分を求めた結果を絶対値化してしきい値と比較しても良い。あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31の差分を求めた結果を直接しきい値と比較しても良い。
【0033】いずれの比較方法においても、しきい値と比較する差分の値を、複数の差分演算結果の平均値を用いてしきい値と比較する、あるいは差分演算の結果を一次遅れフィルタ等でフィルタ処理した後に比較する等の処置を行えば、ノイズ等による誤検出の可能性を低減することもできる。
【0034】比較した結果は異常判定手段18に伝達される。異常判定手段18では偏差演算手段17にて求められた比較結果に基づき、U相とV相それぞれについてしきい値と比較し、異常の有無を判定する。偏差がしきい値以上である等の異常があった場合には、その相の電流検出手段8の系統に異常が発生したものと判断して、駆動装置モードフラグ21の設定を実行する。
【0035】この時駆動装置モードフラグ21は駆動装置を停止させる状態に設定する。この駆動装置モードフラグ21は目標指令演算手段10に伝達され、目標指令演算手段10ではこの駆動装置モードフラグ21に従い、駆動装置停止モードとなった場合には目標指令値の演算中断、q軸電流指令22及びd軸電流指令23をリセットする等の処置を行い、駆動装置の動作を停止し電動機7への電力供給を停止する動作を行う。
【0036】図5は本発明の第一の実施例の制御装置における、偏差演算手段17の入力信号例を示す図である。偏差演算手段17には、先に述べた電流検出手段8からの信号であるU相電流検出値30、V相電流検出値31,W相電流検出値32が入力される。また、2相3相変換手段15によって先に述べた式(1)と式(2)の演算、または式(3)と式(4)の演算に基づくU相判定用電流指令値34、V相判定用電流指令値35,W相判定用電流指令値36も入力される。この電流検出値と電流指示値は偏差演算手段17にて比較を行われる。
【0037】図に示す様に、正常な動作状態である場合には例えばU相判定用電流指令値34とU相電流検出値30は比較的相似した波形となり、振幅及び位相についてもほぼ一致した波形を示す状態で動作する。ここでU相の電流検出手段8に異常が生じた場合には、U相電流検出値30の信号の振幅もしくは位相、あるいは振幅と位相の両方がU相判定用電流指令値34と異なる状態が生じる。偏差演算手段17では、このU相判定用電流指令値34とU相電流検出値30の不一致を比較演算し、結果を異常判定手段18に伝達して電流検出手段8の異常判定を行うように動作する。また、この比較判定は他のV相及びW相についても同様に行われ、各U,V,W相は個別独立して比較判定を行うので、他の相の動作の影響を受けずに各相の異常判定を行うことができる。
【0038】図6に本発明の第一の実施例の制御装置における、2相の信号の異常判定方法を示すフローチャートを示す。まず処理7bにおいて、q軸電流指令22及びd軸電流指令23の値を基にU相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35を算出する。次に処理7cに電流検出手段8からの信号を基にU相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35を取り込む。次に処理7dにおいてU相判定用電流指令値34とU相判定用電流指令値34より差分ΔIu、V相判定用電流指令値35とV相判定用電流指令値35より差分ΔIvを演算する。
【0039】この演算は、U相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35及びU相電流検出値30とV相電流検出値31それぞれの値を絶対値化し、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31の差分を求めてそれぞれΔIu,ΔIvとしても良い。
【0040】あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31それぞれの組合せのの差分を求めた結果を絶対値化して差分を求めて、それぞれΔIu,ΔIvとしても良い。あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31の差分を求めた結果をそれぞれ直接ΔIu,ΔIvとしても良い。
【0041】いずれの比較方法においても、複数の差分演算結果の平均値を用いてΔIu,ΔIvとする、あるいは差分演算の結果を一次遅れフィルタ等でフィルタ処理した後にΔIu,ΔIvとする等の処置を行えば、ノイズ等による誤検出の可能性を低減することもできる。
【0042】このようにして得られたΔIuとΔIvについて、処理7eにおいてしきい値との比較を行う。しきい値との比較を行った結果がしきい値以上である場合には、処理7fに進み、しきい値に達していない場合には処理7gに進む。しきい値以上か否かの判定については異常状態を積分し回数もしくは異常時間を判定に加えても良い。処理7fに進んだ場合には電流検出手段8に異常が生じている状態であると判定できるので、駆動装置モードフラグ21を駆動停止にセットし、電力変換手段5及び電動機7の動作を停止させるように処置する。処理7gに進んだ場合には電流検出手段8には異常が生じていないと判断して良いので、駆動装置モードフラグ21は通常動作にセットし、通常動作を継続させるように動作させる。
【0043】このような処理を行うことにより、3相のうち2相分しか電流検出手段8が装備されていない場合にはそのうち1個に異常が生じた場合を速やかに検知する事が出来、電力変換手段8と電動機7を速やかに動作停止させることができ、電気車の制御装置の信頼性を向上させることができる。また、電流検出手段8が2個しか装備されていない場合であっても、各相の電流検出手段8の異常を個別に診断できるようになるため、3相平衡に基づく電流検出手段8の異常診断を行う必要がないので、余分な電流検出手段8の搭載が不要となるため電気車の制御装置のコスト低減を図ることも可能である。
【0044】このようにすることにより、電流検出手段8の系統について、U相とV相それぞれに個別に異常を診断することが可能となり、その判定結果を速やかに反映して駆動装置を停止させることができる。また、U相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35は、電流検出手段8等に異常が発生しても、その電流検出手段8の帰還信号に基づいて変化する値ではなく、目標指令演算手段10によって演算されたq軸電流指令22とd軸電流指令23に基づく指示値である。電流検出手段8の信号に基づくq軸電流検出値24とd軸電流検出値25は電流検出手段8の信号が異常になるに伴って不定な値を示すが、U相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35は変化することがないので、このU相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35とU相電流検出値30及びV相電流検出値31との比較により、確実に異常を判定することが可能である。
【0045】このような構成とすることにより、電流検出手段8が3相の内2相分の2個しか装備していない場合であっても、いわゆる3相平衡の状態に基づく診断方法に依っていないため各々の電流検出手段8の異常を個別に判定できるので、不必要な電流検出手段8を搭載する必要がなく、装置のコストを削減する効果もある。
【0046】図7は、本発明の第二の実施例になる電気車の制御装置を示す図である。
【0047】第二の実施例においては、電流検出手段8はU相、V相、W相の3相すべてについて設けている。この実施例においても同様に、q軸電流指令22とd軸電流指令23を基にU相判定用電流指令値34,V相判定用電流指令値35、W相判定用電流指令値36を判定用2相3相変換手段15によって演算する。U相判定用電流指令値34,V相判定用電流指令値35、W相判定用電流指令値36は偏差演算手段17に伝達されてU相電流検出値30とU相判定用電流指令値34、V相電流検出値31とV相判定用電流指令値35、W相電流検出値32とW相判定用電流指令値36がこの偏差演算手段17にて比較される。比較した結果は異常判定手段18に伝達される。異常判定手段18では偏差演算手段17にて求められた比較結果に基づき、U相、V相、W相それぞれについてしきい値と比較し、異常の有無を判定する。
【0048】しきい値以上に偏差が大きい等の異常が合った場合には、その相の電流検出手段8の系統に異常が発生したものと判断して、駆動装置モードフラグ21を発生させると同時に、モードデータ20を生成し電流選択手段16に伝達する。電流選択手段16では、モードデータ20が示すデータに基づき、電流検出手段8の異常が3相のうち1相である場合には、異常が発生した相については2相分の信号から3相平衡の式、 Iu+Iv+Iw=0 ・・・式(5)
に基づき、異常が発生した相について演算した電流検出値を代替演算し、3相2相変換手段14に伝達する処理を行う。電流検出手段8が3相のうち2相以上に異常が発生している場合には、電流選択手段16では代替演算は行わない。この場合には駆動装置モードフラグ21により目標指令演算手段10によって駆動装置停止の措置が行われる。
【0049】このような構成とすることによって、電流検出手段8に発生した異常が3相のうち1相だけであった場合には、その異常な相の検出値を補い駆動装置の動作を継続させることが可能となる。また、3相のうち2相以上の電流検出手段8に異常が生じた場合には、先に述べた3相平衡に基づく処置が不可能であるため、この場合にはすみやかに駆動装置の動作を停止させるように適切な処置を行うことができるようになる。
【0050】図8は、本発明の第二の実施例の制御装置における、3相信号の状態判定例を示す図である。すなわち、U相、V相、W相の3相ともに電流検出手段8が備えられている場合において、図7で述べた異常判定をもとに図8に示すような処置を行うものである。
【0051】まずU、V,W相全て正常な場合には、モードデータ20は0であり、電流選択手段16は正常なので特に代替処置はせず、駆動装置モードフラグ21も通常動作を指し示す状態になっている。ここで例えばW相の電流検出手段8に異常が生じた事が判定された場合、異常判定手段18はモードデータ=2,駆動装置モードフラグ21を駆動制限設定に設定し出力する。この出力を受けて電流選択手段16では異常が発生したW相のW相電流検出信号32に変わり、 Iw=−Iu−Iv ・・・式(6)
の演算処置によって代替のW相電流検出信号を生成する。この処置によって3相2相変換手段14の出力であるq軸電流検出値24及びd軸電流検出値25は異常発生前の状態を維持できることになり、動作を継続することが可能である。目標指令演算手段10では、制御装置の動作が継続可能ではあっても異常は発生していると認識しているので、目標指令及びq軸電流指令22とd軸電流指令23の値を制限するなどの制限処置を行い、使用者に修理を促すなどの処置を行う。むろんそのまま制御装置を継続使用しても特に不都合は生じない。
【0052】さらにU相とW相の電流検出手段8双方に異常が生じた場合には異常判定手段18はモードデータ=5,駆動装置モードフラグ21を駆動停止に設定し出力する。この出力を受けた場合には電流選択手段16は特に何も処置を行わない。何故ならば、3相の電流検出手段8の3個の内2個に異常が生じた場合には先に述べた3相平衡の関係式、 Iu+Iv+Iw=0 ・・・式(5)
に基づいて行う、異常が発生した相の電流検出信号を演算によって求める処置が出来ないためである。
【0053】この場合には駆動装置モードフラグ21が目標指令演算手段10にも伝達されているので、目標指令演算手段10ではこの駆動装置モードフラグ21が駆動停止に設定されている場合には直ちに目標指令のリセット及びq軸電流指令22及びd軸電流指令23のリセットを行い、電力変換手段5の動作を停止させて電動機7の駆動を遮断する。このような構成とすることによって、3相の電流検出手段8の3個の内2個以上に異常が発生した場合には直ちに電動機7の駆動を停止できるようにできるため、信頼性の高い電気車の制御装置を提供することができる。
【0054】図9及び図10に、本発明の第二の実施例の制御装置における、3相の信号の異常判定方法を示すフローチャートを示す。
【0055】まず処理8bにおいて、q軸電流指令22及びd軸電流指令23の値を基にU相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35を算出する。
【0056】次に処理8cにおいて、U相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35の値を基に、 Iw*=−Iu*−Iv* ・・・式(7)
の演算式によりW相判定用電流指令値36を演算する。次に処理8dにて電流検出手段8からの信号を基にU相判定用電流指令値34及びV相判定用電流指令値35、W相判定用電流指令値36を取り込む。次に処理8eにおいてU相判定用電流指令値34とU相電流検出値30より差分ΔIu、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31より差分ΔIv、W相判定用電流指令値36とW相電流検出値32より差分ΔIwを演算する。
【0057】この演算は、U相判定用電流指令値34とV相判定用電流指令値35とW相判定用電流指令値36及びU相電流検出値30とV相電流検出値31とW相電流検出値32それぞれの値を絶対値化し、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31、W相判定用電流指令値36とW相電流検出値32の差分を求めてそれぞれΔIu,ΔIv、ΔIwとしても良い。
【0058】あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31、W相判定用電流指令値36とW相電流検出値32それぞれの組合せの差分を求めた結果を絶対値化して差分を求めてそれぞれΔIu,ΔIv,ΔIwとしても良い。あるいは、U相判定用電流指令値34とU相電流検出値30、V相判定用電流指令値35とV相電流検出値31、W相判定用電流指令値36とW相電流検出値32の差分を求めた結果をそれぞれ直接ΔIu,ΔIv,ΔIwとしても良い。
【0059】いずれの比較方法においても、複数の差分演算結果の平均値を用いてΔIu,ΔIv,ΔIwとする、あるいは差分演算の結果を一次遅れフィルタ等でフィルタ処理した後にΔIu,ΔIv,ΔIwとする等の処置を行えば、ノイズ等による誤検出の可能性を低減することもできる。
【0060】このようにして得られたΔIu、ΔIv、ΔIwについて、処理8fにおいてしきい値との比較を行う。しきい値との比較を行った結果がしきい値以上である場合には処理8gに進み、しきい値に達していない場合には■の経路に進む。しきい値以上か否かの判定については異常状態を積分し回数もしくは異常時間を判定に加えても良い。処理8gに進んだ場合には、電流検出手段8に異常が生じている状態であると判定できるので、さらに処理8g以降の処理においてしきい値を越えている相の判別を行う。処理8gでΔIuとΔIvについてしきい値を越えているかを判定し、この両者がしきい値を越えている場合には処理8jに進んでモードデータ20の値を”4”に設定し、■の経路に進む。処理8gでΔIuとΔIvいずれかがしきい値を越えていない場合には、処理8hに進んで今度はΔIuとΔIwについてしきい値を越えているかの判定を行う。このΔIuとΔIwの両者がしきい値を越えている場合には処理8kに進んでモードデータ20の値を”5”に設定し、■の経路に進む。
【0061】処理8hでΔIuとΔIwいずれかがしきい値を越えていない場合には、処理8iに進んで今度はΔIvとΔIwについてしきい値を越えているかの判定を行う。このΔIvとΔIwの両者がしきい値を越えている場合には処理8lに進んでモードデータ20の値を”6”に設定し、■の経路に進む。
【0062】■の経路において、まず処理8mにてモードデータ20の値を参照する。モードデータ20の値が”4”以上である場合、この場合はU相、V相、W相の3相の内2つ以上の相に異常が発生したことが判定された結果であるので、この場合には処理8nに進み、駆動装置モードフラグ21を駆動停止にセットして処理を終了する。この駆動停止モードフラグ21が駆動停止にセットされると、目標指令演算手段10では電動機7を駆動するための目標指令のリセット、q軸電流指令22及びq軸電流指令23のリセット等の措置を行い。電力変換手段5及び電動機7の動作を停止させるように動作する。処理8mにおいてモードデータ20の値が”4”未満である場合には、3相の内異常が発生した相が1つであると判定された状態であるので、処理8oに進む。処理8o以降ではさらに3相の各相個別に異常の判定を行う。処理8oにてしきい値を越えているのがΔIuであるかどうかの判定を行い、ΔIuである場合には処理8rに進んでモードデータ20の値を”3”に設定する。
【0063】処理8oにてΔIuがしきい値を越えていない場合にはU相に異常が発生していないことを示しているので、処理8pに進んで今度はΔIvがしきい値を越えていないかどうかの判定を行う。しきい値を越えているのがΔIvである場合には処理8sに進んでモードデータ20の値を”2”に設定する。処理8pにてΔIvがしきい値を越えていない場合にはV相に異常が発生していないことを示しているので、処理8qに進んで今度はΔIwがしきい値を越えていないかどうかの判定を行う。しきい値を越えているのがΔIwである場合には処理8uに進んでモードデータ20の値を”1”に設定する。処理8o、処理8p、処理8qでいずれも該当しなかった場合には3相全てについて異常が無かった事になるので、処理8wに進んで駆動装置モードフラグ21を通常動作に設定し、処理を終了する。
【0064】この様な判定処理を経ることによって、モードデータ20の値に応じ図8で述べたように、3相の内1相に異常が生じた場合には他の残り2相で異常が発生した相の信号を生成し、電気車の制御装置の動作を継続させることが可能であるし、3相の内2相に異常が生じた場合にはその異常を直ちに検知し、電気車の制御装置を速やかに停止させることができるようになり、電気車の制御装置の信頼性向上を図る事ができるようになる。
【0065】図11は、本発明の電気車の制御装置における第三の実施例を示す図である。本実施例の制御装置は、制御手段4,電力変換手段5,電源6,電動機7等によって構成されている。制御手段4にはマイクロコンピュータ41が備えられ、マイクロコンピュータ41にはCPU42,メモリ手段43、入出力手段45、A/D変換手段46が内包されている。
【0066】本発明の第三の実施例においては、車両の動力源として電動機7の他に内燃機関48を備えており、内燃機関48は内燃機関制御手段47からの信号を基に制御が実施される。この内燃機関制御手段47は制御手段4との間で通信手段50を介して協調した制御を行うように構成すれば、電動機7の駆動力を内燃機関48の駆動力と協調して制御するハイブリッド車両として構成することもできる。電動機7には回転を検出する回転検出手段9が備えられており、検出した回転を回転信号33としてマイクロコンピュータ41に伝達する。
【0067】マイクロコンピュータ41の内部では、アクセル検出手段1,ブレーキ検出手段2、U相電流検出値30及びV相電流検出値31の信号をA/D変換手段46によって検出しCPU42またはメモリ手段43に伝達する。前後進選択手段3や回転検出信号33の信号は入出力手段45によって検出を行い、同様にCPU42またはメモリ手段43に伝達する。
【0068】CPU42は伝達された信号を基に電動機7に供給すべき電力の演算を行い、入出力手段45を介して電力変換手段5を駆動して電源6の電力を電動機7に供給すべき電力に変換を行い、電動機7に電力を供給する。電動機7は供給された電力に応じて駆動力を発生し、その動力は動力伝達手段49を介して内燃機関48の駆動力出力部に伝達され電気車の駆動あるいは内燃機関48の駆動補助動力を発生するように動作を行う。電動機7に供給した電力は電流検出手段8によって電流として検出し、U相電流検出値30及びV相電流検出値31としてマイクロコンピュータ41に伝達する。
【0069】CPU42には異常検出手段44も備えられ、メモリ手段43からの信号やCPU42からのアクセスに従い異常検出処理、特に電流検出手段8の異常を検出する動作を行う。
【0070】この第三の実施例においても、第一の実施例と同様に、電流検出手段8が3相の内2相分の2個しか装備していない場合であっても、いわゆる3相平衡の状態に基づく診断方法に依っていないため各々の電流検出手段8の異常を個別に判定できるので、不必要な電流検出手段8を搭載する必要がなく、装置のコストを削減する効果もある。なお、ハイブリッド車両の制御装置として、第二の実施例のような、電流検出手段を3相分3個搭載した方式を採用しても良いことは言うまでもない。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、電気車の制御装置において電流検出手段に異常が発生した場合にその異常を直ちに検知する事ができ、信頼性の高い電気車の制御装置及び方法を提供する事ができる。
【0072】また、本発明によれば、電動機への電力供給の3相の内2相分しか電流検出手段を装備していなくても個別に電流検出手段の異常を判別でき、電流検出手段の異常発生時には速やかに電気車の制御装置を駆動停止する事ができるため、不必要な電流検出手段を搭載する必要が無くなるのでコストを低減する事が可能となり、使用者にとって経済的な電気車の制御装置及び方法を提供する事ができる。
【0073】また、本発明によれば、電流検出手段を3相分3個搭載した場合には個別の電流検出手段の異常判定により異常な1相のみの電流検出手段の信号を排除し、残り2相で電気車の制御装置の駆動を継続することが可能となり、使い勝手の良い電気車の制御装置及び方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【識別番号】000232999
【氏名又は名称】株式会社日立カーエンジニアリング
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市高場2477番地
【出願日】 平成13年11月7日(2001.11.7)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2003−153401(P2003−153401A)
【公開日】 平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願番号】 特願2001−341790(P2001−341790)