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【発明の名称】 ハイブリッド電源システム
【発明者】 【氏名】遠藤 貴義
【住所又は居所】神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製作所研究所内

【要約】 【課題】キャパシタのようなパワー型電源デバイスを有効に活用することができ、蓄電池のようなエネルギー型電源デバイスの負担を平坦化でき、しかも、効率も高いハイブリッド電源システムを提供する。

【解決手段】負荷30と接続される系統電圧ライン26、27に、キャパシタ21が接続され、これと並列に、大容量の蓄電池22と電圧コントローラ23の出力端子との直列接続体が接続される。蓄電池22の電圧Vbはほぼ一定である。電圧コントローラ23は例えばDC/DCコンバータであり、その出力電圧Vvが可変である。システムコントローラ25が、電圧コントローラ23の出力電圧Vvを変化させることで、系統電圧Vsを変化させる。負荷30に大電力を供給すべきときは、系統電圧Vsを低下させることで、キャパシタ21からエネルギーを急速に放出させて負荷30へ供給する。負荷30から大電力を戻すべきときは、系統電圧Vsを上昇させることで、負荷30からエネルギーを急速にキャパシタ21に吸収させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 負荷(30)に接続されることになる系統電圧ライン(26、27)と、前記系統電圧ラインに接続されたエネルギー型電源デバイス(22)と、前記系統電圧ラインに接続されたパワー型電源デバイス(21)と、前記系統電圧ラインの電圧(Vs)を変化させて前記パワー型電源デバイスの電圧を変化させ、それにより、前記パワー型電源デバイスから前記系統電圧ラインへ電力を出力し及びその逆へ電力を吸収することを可能にする系統電圧コントロール手段(23、25)とを備えたハイブリッド電源システム。
【請求項2】 前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、前記負荷(30)が必要とする電力に応じて前記系統電圧(Vs)を変化させる請求項1記載のハイブリッド電源システム。
【請求項3】 前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、前記負荷(30)に電力を供給すべきときには前記系統電圧(Vs)を低下させ、前記負荷(30)から電力を戻すべきときには、前記系統電圧(Vs)を上昇させる請求項1記載のハイブリッド電源システム。
【請求項4】 前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、出力電圧が可変である電圧コントローラ(23)を有し、前記電圧コントローラ(23)の出力端子が前記エネルギー型電源デバイス(22)と直列接続され、前記エネルギー型電源デバイス(22)と前記電圧コントローラ(23)の出力端子との直列接続体が、前記パワー型電源デバイス(21)と並列の関係で、前記系統電圧ラインに接続されている請求項1記載のハイブリッド電源システム。
【請求項5】 前記電圧コントローラ(23)の入力端子に電力を供給するために、前記エネルギー型電源デバイス(22)とは別に設けられたエネルギー型の追加の電源デバイス(51)と、前記エネルギー型電源デバイス(22)の電力供給能力の不良を検出する電源不良検出器(52)とを更に備え、前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、前記電源不良検出器(52)により前記不良が検出されると、不良な前記エネルギー型電源デバイス(22)を実質的に使わないようにして、前記追加の電源デバイス(51)からの電力で動作する前記電圧コントローラ(23)の出力電圧を、実質的に直接に前記系統電圧ラインに加えるように動作する、請求項4記載のハイブリッド電源システム。
【請求項6】 前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、前記系統電圧ライン(26、27)に互いに並列に接続された複数の電源モジュール(70、70)を有し、各電源モジュール(70)は、前記エネルギー型電源デバイス(22)と前記電圧コントローラ(72)の出力端子との直列接続体から構成される請求項4記載のハイブリッド電源システム。
【請求項7】 前記系統電圧コントロール手段(23、25)が、前記系統電圧ライン(26、27)に接続された複数のエネルギー型電源デバイス(61、63)と、前記複数のエネルギー型電源デバイス(61、62)同士を選択的に直列接続又は並列接続するスイッチ(63、64)とを有し、前記複数のエネルギー型電源デバイス(61、62)同士を直列接続するか並列接続するかによって前記系統電圧(Vs)を変化させる請求項1記載のハイブリッド電源システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えば電気自動車や電気建設車両などの駆動用電源装置などとして好適なハイブリッド電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車などの動力源たる三相交流モータにインバータ(直交変換器)を介して直流電力を供給する電源システムとして、特性の異なる少なくとも2タイプの電源デバイスを組み合わせたハイブリッド式のものが知られている。ここで使用される一方のタイプの電源デバイスは、安定して長時間にわたり電力を供給できる大きいエネルギー量をもった、この明細書で「エネルギー型」と呼ぶ電源デバイスである。他方は、加減速時などの負荷の急変に即応して大パワーを供給及び吸収できる、この明細書で「パワー型」と呼ぶ電源デバイスである。エネルギー型デバイスには、例えば、大容量の蓄電池や燃料電池やエンジン駆動発電機などがあり、パワー型デバイスには、例えば、キャパシタやハイブリッド用電池などがある。
【0003】ハイブリッド電源システムでは、加減速時などの負荷変動にパワー型デバイスで即応することにより、エネルギー型デバイスの負担を平坦化するように、エネルギー型とパワー型のデバイスが組み合わせられる。図1〜図3は、従来知られているハイブリッド電源システムの代表的な3種類の構成を示す。
【0004】図1に示すハイブリッド電源システム1は、最も原始的な構成をもつもので、そこでは、エネルギー型の典型である蓄電池2と、パワー方の典型例であるキャパシタ3が単純に並列接続されている。蓄電池2からのほぼ一定の電圧がインバータ4に出力される。
【0005】この原始的なハイブリッド電源システム1では、蓄電池2の電圧がそのままキャパシタ3に加わる。ここで、蓄電池2の電圧の変動幅は小さい。そのため、その小さい電圧変動幅に対応する少ないエネルギー量しか、キャパシタ3からインバータ4へ供給することができない。つまり、キャパシタ3に蓄えられたエネルギー量を有効に活用できない。
【0006】図2に示す2番目のタイプのハイブリッド電源システム6では、蓄電池6が電流源タイプのDC/DCコンバータ7の入力に接続され、DC/DCコンバータ7の出力がキャパシタ8に並列接続される。インバータ4へのエネルギー供給はキャパシタ8から行い、キャパシタ8へのエネルギー供給を、電流源タイプのDC/DCコンバータ7を介して電池6から行う。インバータ4への出力電圧はほぼ一定に制御される。
【0007】この2番目のタイプのハイブリッド電源システム4では、蓄電池5の電圧の選択の自由度が大きいという利点がある。しかし、蓄電池6での電圧変動幅が小さいから、キャパシタ8に蓄積されたエネルギーを有効活用できないという問題は依然としてある。また、インバータ4と同じ電力容量をもったDC/DCコンバータ6が必要であるから、DC/DCコンバータ6のサイズが大きく、そのコストも高い。加えて、その大電力容量のDC/DCコンバータ6での電力消費分だけ効率が落ちる。
【0008】図3に示す3番目のタイプのハイブリッド電源システム9では、キャパシタ10がDC/DCコンバータ11の入力に接続され、DC/DCコンバータ11の出力が蓄電池12に並列接続される。インバータ4へのエネルギー供給は蓄電池12から行い、急峻なエネルギー供給や回生はDC/DCコンバータ11を通じてキャパシタ10から行う。インバータ4への出力電圧はほぼ一定である。
【0009】この3番目のタイプのハイブリッド電源システム9では、キャパシタ10の電圧が大きく変えられるので、キャパシタ10の蓄積エネルギーを有効に活用できるメリットがある。しかし、インバータ4と同じ電力容量をもったDC/DCコンバータ11が必要であるから、DC/DCコンバータ11のサイズが大きく、コストも高い。加えて、その大電力容量のDC/DCコンバータ11の電力消費分だけ効率が落ちる。また、DC/DCコンバータ11での電力変換の時間遅れのために、キャパシタ10から大電流の放出や吸収の開始が遅れてしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑みなされたものであり、その目的は、キャパシタのようなパワー型電源デバイスを有効に活用することができ、蓄電池のようなエネルギー型電源デバイスの負担を平坦化でき、しかも、効率も高いハイブリッド電源システムを提供することにある。
【0011】本発明の別の目的は、ハイブリッド電源システムにおいて、負荷側のインバータの入力範囲内でそのインバータへの入力電圧を制御するために必要となるDC/DCコンバータのような電力変換器の電力容量を、より小さくすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの態様に従うハイブリッド電源システムは、負荷に接続されることになる系統電圧ラインと、その系統電圧ラインに接続されたエネルギー型電源デバイスと、系統電圧ラインに接続されたパワー型電源デバイスと、系統電圧ラインの電圧を変化させてパワー型電源デバイスの電圧を変化させ、それにより、パワー型電源デバイスから系統電圧ラインへ電力を出力し及びその逆へ電力を吸収することを可能にする系統電圧コントロール手段とを備える。
【0013】好適な実施形態では、系統電圧コントロール手段が、負荷が必要とする電力に応じて系統電圧を変化させる。例えば、負荷に電力を供給すべきときには系統電圧を低下させ、また、負荷から電力を戻すべきときには系統電圧を上昇させる。
【0014】好適な実施形態では、系統電圧コントロール手段が、出力電圧が可変である電圧コントローラを有し、この電圧コントローラの出力端子がエネルギー型電源デバイスと直列接続されており、その直列接続体がパワー型電源デバイスと並列の関係で系統電圧ラインに接続されている。
【0015】上記電圧コントローラには、エネルギー型電源デバイスから電力供給を受けて動作する入出力間絶縁型の電圧コンバータを用いることができる。或るいは、上記電圧コントローラには、エネルギー型電源デバイスとは別に設けられたエネルギー型の追加の電源デバイスから電力供給を受けて動作する入出力間非絶縁型又は絶縁型のコンバータを用いることもできる。後者のコンバータを用いた好適な実施形態では、上記エネルギー型電源デバイスの電力供給能力の不良(例えば、故障や蓄電量不足)を検出する電源不良検出器があり、それがエネルギー型電源デバイスの電力供給能力不良を検出すると、その不良になったエネルギー型電源デバイスは実質的に使わずに、上記追加の電源デバイスからの電力で動作する電圧コントローラの出力電圧を、実質的に直接に、系統電圧ラインに加えるようになっている。これにより、エネルギー型電源デバイスで故障や蓄電量不足が生じても、追加の電源デバイスからの電力で運転を継続することができる。
【0016】上記直列接続体を一つのモジュールに構成し、そして、複数個のそのようなモジュールを系統電圧ラインに互いに並列に接続することもできる。モジュールの個数を選択することで、ハイブリッド電源システムのトータルの電流容量を所望の値にすることができる。
【0017】系統電圧コントロール手段の別の構成例として、複数のエネルギー型電源デバイス同士を選択的に直列接続又は並列接続できるようにしたものを採用することもできる。
【0018】因みに、従来、車両用電源やその他の各種電気回路において、キャパシタは、電源電圧を平滑化する目的で使用されている。従来のハイブリッド電源でも、同様の目的でキャパシタが使用されており、電源電圧(系統電圧)をほぼ一定か又は狭い電圧範囲内に制御されるようになっている。これに対して、本発明は、系統電圧を積極的に変動させることにより、キャパシタのようなパワー型電源デバイスに大きな充放電を行わせ、それにより、電池のようなエネルギー型電源デバイスとキャパシタのようなパワー型電源デバイスの負荷分担を最適化するという、新しい原理に従うものである。
【0019】
【発明の実施の形態】図4は、本発明の一実施形態にかかるハイブリッド電源システム20の構成を示す。
【0020】このハイブリッド電源システム20は、例えば、電動自動車や電動建設車両などの動力源である三相交流モータ40に対して、インバータ(直交変換器)30を介して、直流電力を供給するために用いられる。
【0021】図4に示すように、このハイブリッド電源システム20では、エネルギー型電源デバイスの典型例である大容量の蓄電池22と、電圧コントローラ23の出力端子とが、直列接続されて系統電圧ライン26,27間に接続されている。さらに、パワー型電源デバイスの典型例であるキャパシタ21が、上述した蓄電池22と電圧コントローラ23の直列接続体に対して並列の関係で、系統電圧ライン26,27間に接続されている。系統電圧ライン26,27は、インバータ30の入力端子に接続される。
【0022】インバータ30は、以下に説明するような系統電圧Vsの可変範囲を包含する広い入力電圧範囲をもち、入力電圧が前記範囲内のどの値であってもモータ40に対しては所望の電圧と電流を提供できるタイプの直交変換回路である。
【0023】電圧コントローラ23は、その出力電圧が所定の可変範囲内で任意に制御できるように構成された、例えばDC/DCコンバータである(その入力端子は図1では図示省略してある)。この電圧コントローラ23の出力電圧は、システムコントローラ25から電圧コントローラ23に加わる制御信号28によって制御される。システムコントローラ25は、電系統電圧ライン26,27間に現れる系統電圧(つまり、この電源システム20の出力電圧)Vs及びこの電源システム20の出力電流Ioを検出する電圧・電流検出器24からの電圧・電流検出信号29、並びに図示しない外部回路から入力される負荷(インバータ30及びモータ40)の運転状態を表す運転信号(例えば、モータが運転か停止か、モータが力行運転か回生運転か、インバータが必要とする電力Pの大きさなどを表す信号)を入力し、これらの入力信号に基づいて、電圧コントローラ23の出力電圧を制御する。
【0024】このような構成において、系統電圧(出力電圧)Vsは、蓄電池22の出力電圧Vbと電圧コントローラ23の出力電圧Vvとを加算した電圧となる。蓄電池22の出力電圧Vbはほぼ一定であるが、電圧コントローラ23の出力電圧Vvは任意に可変できる。よって、電圧コントローラ23の出力電圧Vvの可変幅と実質的に等しい可変幅で、系統電圧Vsも可変である。この可変の系統電圧(出力電圧)Vsは、キャパシタ21の両端電圧でもある。従って、キャパシタ21は、系統電圧Vsの可変幅に対応した量のエネルギーをインバータ30へ放出及びインバータ30から吸収することができる。
【0025】簡単な数値例を用いて説明する。蓄電池22の出力電圧Vbが例えば200[V]でほぼ固定であると仮定する。また、電圧コントローラ23の出力電圧Vvが例えば0[V]から200[V]の範囲内で可変であると仮定する。よって、系統電圧Vsは200[V]から400[V]の範囲で可変である。従って、キャパシタ21に蓄積できる最大のエネルギーQmaxと、電圧コントローラ23の電圧制御によってキャパシタ21が放出及び吸収可能なエネルギーQcは、キャパシタ21の静電容量をCとすると、Qmax=1/2×C×400Qc=1/2×C×(400−200
となる。従って、この簡単な例の場合、キャパシタ21から放出させたり吸収させたりして利用できるエネルギーQcは、キャパシタ21に蓄積可能な最大エネルギーQmaxの75%に達する。
【0026】上記の例から分かるように(実際はこれほど単純ではないが)、図4に示したハイブリッド電源システム20によれば、キャパシタ21の使用効率が非常に高いという利点が得られる。
【0027】この利点を生かして、例えば、次のように電圧コントローラ23の電圧制御を行うことができる。すなわち、モータ30の力行時にモータ30に大電力を供給する必要があるときには、電圧コントローラ23の電圧Vvを下げる。これにより、系統電圧(キャパシタ21の電圧)Vsが下がり、その電圧低下によりキャパシタ21内で余剰となったエネルギーQcがキャパシタ21から放出されインバータ30に供給される。また、モータ30の回生時にモータ30から大電力を戻す必要があるときには、電圧コントローラ23の電圧Vvを上げる。これにより、系統電圧(キャパシタ21の電圧)Vsが上がり、その電圧上昇によりキャパシタ21内で不足となったエネルギーQcがインバータ30からキャパシタ21へ戻される。
【0028】このように、インバータ30が必要とする電力の大きさに応じて、系統電圧(キャパシタ21の電圧)Vsを増減させることにより、キャパシタ21の電流Icを大幅に変化させて、大電力をキャパシタ21からインバータ30へ供給したり逆に戻したりすることができる。それにより、蓄電池22の出力電流Ib(出力電力)は、大きく変動せずに済み、蓄電池22の負担は平坦化され、理想的にはインバータが必要とする激しく変動する負荷の平均値を出力することになる。
【0029】また、図4に示したハイブリッド電源システム20によれば、キャパシタ21がDC/DCコンバータを介さずにインバータ30に接続されるので、図3に示した従来のシステム9のようなDC/DCコンバータの介在による応答の遅れという問題はない。さらに、系統電圧Vsは蓄電池22の電圧Vbと電圧コントローラ23の出力電圧Vvとに分割されるから、電圧コントローラ23の電力容量は、蓄電池22と電圧コントローラ23の直列接続体に供給される電力よりも小さくて済み、かつ負荷の平坦化により大電流が流れないため、インバータ30の電力容量よりもずっと小さい。そのため、電圧コントローラ23のサイズやコストやそこでの電力消費による効率低下は、図2又は図3に示した従来のシステム5、9におけるDC/DCコンバータのそれよりも小さい。
【0030】図5と図6は、図4に示したハイブリッド電源システム20における、システムコントローラ25の電圧制御動作の例を示している。図5は、モータ40の運転時に行う電圧制御例を示し、図6はモータ40の停止時に行う電圧制御例を示している。
【0031】図5に例示するように、モータ40の運転時には、システムコントローラ25は、系統電圧Vs(=Vb+Vv)が所定の最大電圧Vmaxを上回りそうであれば、そうならないように、また、所定の最小電圧Vminを下回りそうであれば、そうならないように、電圧コントローラ23の電圧Vvを調整する(ステップS1、S2、S3、S4)。この調整を行っている間は、蓄電池の負担の平坦化が不可能(制御不能)な状態となるため、インバータが必要とする電力は、蓄電池が供給、あるいは逆に、インバータから戻ってくる電力は、蓄電池が吸収することになる。ここで、系統電圧Vsの最大電圧Vmax及び最小電圧Vminは、例えば、電圧コントローラ23の電圧Vvの制御によって可変できる系統電圧Vsの可変範囲の中の、実用上適切と認められる可変範囲の最大値と最小値である。
【0032】上記のように所定の最大電圧Vmaxと最小電圧Vminの間の範囲内に系統電圧Vsを制御するとともに、システムコントローラ25は、さらに、前述の運転信号などに基づいて、モータ40の運転状態が力行か回生かを判断する(S5)。そして、力行運転時には、システムコントローラ25は、電圧コントローラ23の電圧Vvを低下させることで、キャパシタ21からインバータ30へ電力を供給する(S6)。このときの電圧Vvの低下率(又は低下量)V-は、例えば、インバータ40が必要とする電力Pの所定関数F(P)として決定する。一方、回生運転時には、システムコントローラ25は、電圧コントローラ23の電圧Vvを上昇させることで、インバータ30からキャパシタ21へと電力を吸収する(S7)。このときの電圧Vvの上昇率(又は上昇量)V+は、例えば、インバータ40が必要とする電力Pの所定関数G(P)として決定する。この制御により、蓄電池は常に一定電力を出力し、インバータの負荷の変動分はキャパシタが受け持つことが実現できる。
【0033】図6に例示するように、モータ40の停止時には、システムコントローラ25は、系統電圧Vsと所定の適正電圧Vaveとを比較する(S10)。ここで、系統電圧Vsの適正電圧Vaveとは、力行運転にも回生運転にも移行し易い電圧であって、例えば、電圧Vvの制御による系統電圧Vsの可変範囲内の中央値や、或いは、系統電圧Vsの可変範囲に対応するキャパシタ21の蓄積エネルギーの可変範囲内の中央値に対応する系統電圧値などである。
【0034】上記比較の結果、系統電圧Vsが適正電圧Vaveより低いときには、システムコントローラ25は、電圧コントローラ23の電圧Vvを上昇させ、それにより、蓄電池22からキャパシタ21を充電し、系統電圧Vsを適正電圧Vaveヘ近づける(S11)。このとき、蓄電池22の電流Ibが、蓄電池22の特性上適切な所定の小さい値になるように、電圧Vvの上昇率(又は上昇量)を制御する。
【0035】一方、上記ステップS10の比較の結果、系統電圧Vsが適正電圧Vaveより高いときには、システムコントローラ25は、蓄電池22の放電状態を公知のチェック方法などを用いて調べ(S12)、その放電状態に応じて、例えば予め用意したルックアップテーブルなどを用いて、蓄電池22の適正な充電電流Ixを割り出す(S13)。続いて、システムコントローラ25は、電圧コントローラ23の電圧Vvを低下させ、それにより、キャパシタ21から余剰電荷を放出さえて蓄電池22を充電する(S14)。このとき、蓄電池22の充電電流Ibが、ステップS13で決定した適正値Ixになるように、電圧Vvの下降率(又は下降量)を制御する。
【0036】図7は、図5及び図6に示した電圧制御による系統電圧Vsの時間的な変化例を大雑把に示す。
【0037】図7において、一点鎖線はインバータ30が必要とする電力Pを示す。電力Pが正の区間(t0〜t1)はモータ40を力行運転している区間、電力Pが負の区間(t1〜t2)はモータ40を回生運転している区間、及び電力Pがゼロの区間(t2以降)はモータ40が停止している区間である。
【0038】図7に示すように、力行運転区間(t0〜t1)では、例えば、インバータ30に供給すべき電力Pの大きさに応じた下降率で、系統電圧Vsを下降させる。それにより、キャパシタ21から電力が出力されインバータ30に供給される。また、回生運転区間(t1〜t2)では、例えば、インバータ30から戻すべき電力Pの大きさに応じた上昇率で、系統電圧Vsを上昇させる。それにより、インバータ30から戻される電力をキャパシタ21が吸収する。
【0039】モータ停止区間(t2以降)では、図示のように系統電圧Vsが適正電圧Vaveより高い場合には、系統電圧Vsを適正電圧Vaveに向けて下降させる。それにより、キャパシタ21が蓄電池22を充電する。図示してないが、系統電圧Vsが適正電圧Vaveより低い場合には、系統電圧Vsを適正電圧Vaveに向けて上昇させる。それにより、蓄電池22がキャパシタ21を充電する。
【0040】図8及び図9は、図4に示したハイブリッド電源システム20内の電圧コントローラ23の入力回路に関する2種類の構成例をそれぞれ示す。
【0041】図8に示す例では、電圧コントローラ23はDC/DCコンバータであり、その入力端子には補助的な蓄電池51が接続されていて、この補助電池51からの電力で動作する。補助電池51は、インバータ30へ電力を供給する主電源たる蓄電池(主電池)22よりも容量の小さいものでよい。この補助電池51の出力電圧(つまり電圧コントローラ23の入力電圧)は、電圧コントローラ23の出力電圧の可変範囲の最高値より高くてもよいし、低くても良い。補助電池51の出力電圧が電圧コントローラ23の出力電圧最高値より高い場合には、電圧コントローラ23には降圧型のDC/DCコンバータ、例えば降圧チョッパ回路を採用することができる。逆に、補助電池51の出力電圧が電圧コントローラ23の出力電圧の最高値より低い場合には、電圧コントローラ23には、昇圧型のDC/DCコンバータ、例えば昇圧チョッパ回路を採用することができる。後者の場合、補助電池51の出力電圧より低い電圧範囲にまで電圧コントローラ23の出力電圧を可変できるようにするために、上記昇圧型DC/DCコンバータは降圧機能を併せ持つことが望ましい。
【0042】図8には、また、蓄電池22の電力供給能力が不良になった時(例えば、蓄電量不足や故障などの時)に作動する救済回路も図示されている。
【0043】すなわち、スイッチ55が、主電池22の両端子間に接続されている。なお、スイッチ55は、システムコントローラ25によって制御されて、主電池22の正常時には図示のように開いている。また、別のスイッチ57が、主電池22と系統電圧ライン26との間に介在し、それもシステムコントローラ25によって制御されて、主電池22の正常時には図示のように閉じている。そして、電源不良検出器52が、蓄電池22の出力電圧などの電力供給能力を示す状態53を監視しており、その状態53から蓄電池22の電力供給能力が不良になった(例えば、蓄電量不足や故障など)と判断すると、検出信号54をシステムコントローラ25に出力する。システムコントローラ25は、その検出信号54に応答して、スイッチ57を開き、そして、スイッチ55を閉じる。スイッチ57が開くことで、不良の主電池57は系統電圧ライン26,27から切り離され、運転には使用されなくなる。また、スイッチ55を閉じることで、電圧コントローラ23の出力端子が、不良の主電池22をバイパスして直接的に、系統電圧ライン26,27に接続される。以後、主電池57を用いずに、補助電池51で作動する電圧コントローラ23の出力電力を用いて運転を行うよう、システムコントローラ25が矢印28で示すように電圧コントローラ23の出力電力を制御する。こうして、主電池22が使えなくなった場合でも、補助電池51の容量の続く限りで、運転を継続することができる。
【0044】図9に示す例では、電圧コントローラ23はDC/DCコンバータであり、主電池22から直流電圧変換回路52を介して駆動電圧を入力する。直流電圧変換回路52は、入力と出力間が電気的に絶縁されたタイプのものである。直流電圧変換回路52は、例えばリンギングチョークコンバータであり、図示のように主電池22からの直流電圧を発振回路3で交流電圧に変換し、これを一次・二次絶縁型のトランス54を用いて入力側から絶縁された交流電圧に変換し、その交流電圧を整流器55で直流電圧に変換して電圧コンバータ23に入力する。なお、この例では、上述したように、直流電圧変換回路52と電圧コントローラ23を含めた電力変換回路は、入出力間が絶縁されたものとなる。これに対し、図8に示した構成における電圧コントローラ23は、主電池22とは別の補助電池51を電源とするので、入出力間が絶縁型である必要はなく、非絶縁型のものでよい。
【0045】図10は、図4に示したハイブリッド電源システム20において、DC/DCコンバータを用いずに系統電圧Vsを可変にするための構成例を示す。
【0046】図10に示す回路60は、2つの蓄電池61、62とスイッチ63、64を組み合わせたものであり、スイッチ63、64の接続状態を切り替えることで、2つの蓄電池61、62をAのように直列接続したり、Bのように並列接続したりすることができる。スイッチ63、64の操作は、図4に示したシステムコントローラ25によって行うことができる。組み合わされる蓄電池の個数として図10は2個を例示しているが、3個以上であってもよい。このような蓄電池組み合わせ回路60を1個又は複数個直列接続したものを、図4に示したハイブリッド電源システム20において、蓄電池22と電圧コントローラ23の直列接続体に代えて、又は電圧コントローラ23に代えて用いることができる。それにより、段階的ではあるが、系統電圧Vsを変化させることができ、よって、上述した電圧コントローラを用いた場合と同様にキャパシタ21の蓄積エネルギーを有効に活用することができる。
【0047】図11は、図4に示したハイブリッド電源システム20において、系統電圧Vsを可変にするための別の構成例を示す。
【0048】図11に示すように、1個又は複数個の電池モジュール70、70、…が、系統電圧ライン26、27間に並列に接続される。各電池モジュール70は、蓄電池71と電圧コントローラ72の出力端子とを直列接続したものであり、望ましくは、単一のユニット又は単一のパックになっている。電圧コントローラ72は、その出力電圧が可変の例えばDC/DCコンバータであり、システムコントローラ25によってその出力電圧などの状態が制御される。並列接続される電池モジュール70の個数は、ハイブリッド電源システム20のトータルの電流容量によって適宜に選択される。すなわち、トータルの容量が大きいほど、並列接続される電池モジュール70の個数は増える。
【0049】なお、各電池モジュール70内の電圧コントローラ72の駆動電力は、図8に示したように、蓄電池71とは別に設けられた補助電池(図11では図示してないが、各電池モジュール70内に設けても良いし、電池モジュール70外に設けてもよい)から供給するようにしてもよいし、或いは、図9に示したように、蓄電池71から電圧変換回路(図11では図示してないが、各電池モジュール70内に設けても良いし、電池モジュール70外に設けてもよい)を通じて供給するようにしてもよい。前者の場合には、補助電池だけでなく、図8に示したような、蓄電池71の不良時に作動する救済回路の電圧不良検出器やスイッチ類(図11では図示せず)も、各電池モジュール70内に設けてもよい。
【0050】一般に、蓄電池71は、個体間の特性(インピーダンスなど)のばらつきが大きいため、複数個の蓄電池71を並列接続することは、一部の蓄電池71に負荷が偏るという問題があり、好ましくない。しかし、図11に示す構成によれば、各電池モジュール70の電圧コントローラ72の状態を調整することで、蓄電池71の特性のばらつきを吸収して、電池モジュール70、70、…の特性を均一化できるので、複数個の電池蓄モジュール70、70、…を並列接続しても問題はない。そして、並列接続する電池モジュール70の個数を選択することで、ハイブリッド電源システム20のトータルの容量を所望値にすることができる。
【0051】以上、本発明の実施形を態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であり、この実施形態のみに本発明の範囲を限定する趣旨ではない。従って、本発明は、その要旨を逸脱することなく、他の様々な形態で実施することが可能である。
【0052】例えば、図4に示したハイブリッド電源システム20では、キャパシタ21が系統電圧ライン26、27間に直接に接続され、また、蓄電池22と電圧コントローラ23とが直接に直列接続され、その直列接続体が系統ライン26、27間に直接に接続されているが、必ずしもそうでなければならないわけではない。何らかの追加的な回路要素を介して、キャパシタ21が系統電圧ライン26、27間に間接的に接続されていたり、蓄電池22と電圧コントローラ23が互いに間接的に直列接続されていたり、或いは、その直列接続体が系統電圧ライン26、27間に間接的に接続されていてもよい。
【0053】また、上記実施形態では、エネルギー型電源デバイスとして蓄電池を、パワー型電源デバイスとしてキャパシタを用いたが、それらに代えて、エネルギー型電源デバイスとして燃料電池又はエンジン駆動発電機などを、或いは、パワー型電源デバイスとしてハイブリッド用電池などを用いることもできる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【住所又は居所】東京都港区赤坂二丁目3番6号
【出願日】 平成13年11月5日(2001.11.5)
【代理人】 【識別番号】100095371
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 輝之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−143713(P2003−143713A)
【公開日】 平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願番号】 特願2001−339746(P2001−339746)