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【発明の名称】 ハイブリッド型車両の駆動力制御装置
【発明者】 【氏名】木間 康夫
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】モータのフリクションによるエンジンの駆動効率の低下を防止できるとともに、モータを作用させない状態からモータによるアシスト状態や回生制動状態にスムーズに移行できるハイブリッド型車両の駆動力制御装置を提供することを課題とする。

【解決手段】キャリアにエンジン2の出力軸が連結され、サンギヤにジェネレータ4のロータが連結される第1プラネタリギヤ装置30と、サンギヤにモータ3のロータが連結され、リングギヤに第1プラネタリギヤ装置30のリングギヤが連結される第2プラネタリギヤ装置40とを備え、第2プラネタリギヤ装置40のキャリアから駆動力を出力するハイブリッド型車両の駆動力制御装置1であって、モータ3のロータを回転させて車両を発進させ、エンジン2の起動後、第1所定条件のときにモータ3のロータの回転を停止することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、電力が供給されてロータが回転するモータと、ロータに入力された回転によって電力を発生するジェネレータと、を有し、キャリアに前記エンジンの出力軸が連結され、サンギヤに前記ジェネレータのロータが連結される第1プラネタリギヤ装置と、サンギヤに前記モータのロータが連結され、リングギヤに前記第1プラネタリギヤ装置のリングギヤが連結される第2プラネタリギヤ装置と、を備え、前記第2プラネタリギヤ装置のキャリアから駆動力を出力するハイブリッド型車両の駆動力制御装置であって、前記モータのロータを回転させて前記車両を発進させ、前記エンジンの起動後、第1所定条件のときに前記モータのロータの回転を停止することを特徴とするハイブリッド型車両の駆動力制御装置。
【請求項2】 前記第2プラネタリギヤ装置のリングギヤと前記モータのロータとの間で、駆動力の伝達を断接可能なクラッチを備え、前記モータのロータの回転を停止した後、再度前記モータのロータを回転させ、第2所定条件のときに前記クラッチを係合することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド型車両の駆動力制御装置。
【請求項3】 前記クラッチは、油圧クラッチとワンウェイクラッチからなることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド型車両の駆動力制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンおよびモータによる2つの駆動源とジェネレータによる発電源を有するハイブリッド型車両の駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンおよびモータによる2つの駆動源を有するハイブリッド型車両の開発が盛んに行われている。ハイブリッド型車両には、エンジンの駆動力およびモータの駆動力を伝達する機構を備えるとともに運転状態に応じて2つの駆動力の配分や発電力を制御する駆動力制御装置が搭載されている。以下に、駆動力制御装置の構成の例を挙げる。その1つ目の例としては、エンジンの出力軸がプラネタリギヤ装置のキャリアに連結され、ジェネレータの入力軸がサンギヤに連結され、リングギヤからの駆動力とモータの駆動力とを合わせて出力する駆動力制御装置である。この駆動力制御装置では、プラネタリギヤ装置によってエンジンの駆動力とモータの駆動力とを配分し、高速、高出力のときにモータの負担の割合を大きくするように制御している。2つ目の例としては、エンジンと変速機との間にモータを配置し、エンジンの出力軸にモータのロータを直結して駆動力を出力する駆動力制御装置である。この駆動力制御装置では、エンジンを主駆動力源とし、モータを補助動力源として、加速時等のエンジンの負荷が大きいときにモータによってアシストするように制御している。
【0003】3つ目の例としては、特開平11−332018号公報に開示されている動力出力装置およびその制御方法である。この動力出力装置は、エンジンの出力軸、第1のモータの回転軸および駆動軸をプラネタリギヤ装置によって連結するとともに、第2のモータの回転軸とエンジンの出力軸とを第1のクラッチによって断続可能とし、第2のモータの回転軸と駆動軸とを第2のクラッチによって断続可能としている。そして、この動力出力装置は、第2のモータをエンジンの出力軸または駆動軸から切り離すことにより運転効率を向上させるために、第1のクラッチおよび第2のクラッチのオン/オフを制御している。4つ目の例としては、特開平2000−220731号公報に開示されている電動車両である。この電動車両は、エンジンの出力(回転軸)がクラッチ手段を介してプラネタリギヤ装置のキャリアに連結され、キャリアが出力軸に連結されるとともに高速摩擦係合要素を介してリングギヤに断続可能であり、モータの回転軸がサンギヤに連結されている。そして、この電動車両では、低速段と高速段とを切り換える場合、高速摩擦係合要素の伝達トルク量をクラッチ手段の伝達トルク量で相殺するように、高速摩擦係合要素およびクラッチ手段の伝達トルク量を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した駆動力制御装置のうち3つ目の動力出力装置以外の駆動力を伝達する機構では、エンジンとモータとがプラネタリギヤ装置を介して連結されているかあるいはエンジンとモータとが直結されているので、エンジンの駆動力によってモータのロータが回転する機構となっている。そのため、エンジンの駆動力によってモータのロータが回転すると、そのロータを回転させるためのトルクがエンジンに対するフリクションロスとなって消費される。特に、エンジンのみでハイブリッド型車両を駆動する場合には、そのフリクションロスによってエンジンの駆動効率が低下する。
【0005】また、前記した動力出力装置では、エンジンのみでハイブリッド型車両を駆動する場合、クラッチをオフすることによって第2のモータをプラネタリギヤ装置から切り離すことができるので、エンジンの駆動力によって第2のモータのロータが回転しないようにすることができる。このとき、ドライバから加速要求あるいは制動要求があると、動力出力装置では、第2のモータによって駆動力をアシストあるいは回生制動力を発生するために、クラッチをオンして第2のモータをプラネタリギヤ装置に連結する。しかし、この動力出力装置では、出力軸の回転速度と駆動軸の回転速度とに応じてクラッチをオン/オフ制御しているので、クラッチがオンすることによって車両にクラッチの締結ショックが生じる。
【0006】そこで、本発明の課題は、モータのフリクションによるエンジンの駆動効率の低下を防止できるとともに、モータを作用させない状態からモータによるアシスト状態や回生制動状態にスムーズに移行できるハイブリッド型車両の駆動力制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発明の請求項1に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、エンジンと、電力が供給されてロータが回転するモータと、ロータに入力された回転によって電力を発生するジェネレータとを有し、キャリアに前記エンジンの出力軸が連結され、サンギヤに前記ジェネレータのロータが連結される第1プラネタリギヤ装置と、サンギヤに前記モータのロータが連結され、リングギヤに前記第1プラネタリギヤ装置のリングギヤが連結される第2プラネタリギヤ装置とを備え、前記第2プラネタリギヤ装置のキャリアから駆動力を出力するハイブリッド型車両の駆動力制御装置であって、前記モータのロータを回転させて前記車両を発進させ、前記エンジンの起動後、第1所定条件のときに前記モータのロータの回転を停止することを特徴とする。このハイブリッド型車両の駆動力制御装置によれば、エンジンの駆動力を第1プラネタリギヤ装置のキャリアからリングギヤを介して第2プラネタリギヤ装置のリングギヤに伝達するとともにモータの駆動力を第2プラネタリギヤ装置を介して伝達し、第2プラネタリギヤ装置のキャリアからエンジンおよび/またはモータの駆動力を出力する。さらに、この駆動力制御装置では、エンジンのみでハイブリッド型車両を駆動する場合等の第1所定条件のときには、2つのプラネタリギヤ装置によりエンジンによる駆動力をモータのロータに伝達しないようにし、モータのロータを停止する。そのため、この駆動力制御装置では、モータのフリクションによってエンジンの駆動力をロスしない。また、この駆動力制御装置では、エンジンの駆動力を第1プラネタリギヤ装置のキャリアを介してサンギヤに伝達し、ジェネレータのロータを回転させることによって発電する。
【0008】また、本発明の請求項2に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、前記請求項1に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置において、前記第2プラネタリギヤ装置のリングギヤと前記モータのロータとの間で、駆動力の伝達を断接可能なクラッチを備え、前記モータのロータの回転を停止した後、再度前記モータのロータを回転させ、第2所定条件のときに前記クラッチを係合することを特徴とする。このハイブリッド型車両の駆動力制御装置によれば、モータの休止状態からアシスト状態に移行する場合、モータをロータを再回転させ、最初にモータの駆動力を第2プラネタリギヤ装置のサンギヤを介してキャリアから出力し、その後、係合によるショックを発生しないタイミング(第2所定条件)でクラッチを係合して第2プラネタリギヤ装置のリングギヤも介してキャリアから出力する。さらに、この駆動力制御装置では、モータの休止状態から回生制動状態に移行する場合、モータのロータを再回転させ、最初に外部からの回転力を第2プラネタリギヤ装置のサンギヤを介してモータのロータに伝達し、その後、係合によるショックを発生しないタイミング(第2所定条件)でクラッチを係合して第2プラネタリギヤのリングギヤも介してモータのロータに伝達する。そのため、この駆動力制御装置では、モータによる駆動力のアシスト状態や回生制動状態にスムーズに移行できる。
【0009】また、本発明の請求項3に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、前記請求項2に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置において、前記クラッチは、油圧クラッチとワンウェイクラッチからなることを特徴とする。このハイブリッド型車両の駆動力制御装置によれば、モータによるアシスト状態の場合、ワンウェイクラッチを介してモータの駆動力をエンジンの駆動力に付加でき、ワンウェイクラッチによってモータのロータの逆回転による逆駆動力をエンジンの駆動力に付加しない。また、この駆動力制御装置では、モータによる回生制動状態に移行する場合、油圧クラッチによってクラッチの係合力を調整しながら外部からの回転力をモータのロータに伝達するので、回生制動状態にスムーズに移行できる。
【0010】なお、第1所定条件は、モータによるアシストやモータによる回生制動が必要ない場合あるいはモータによるアシストやモータによる回生制動ができない場合等のモータを使用しない場合であり、例えば、エンジンの駆動力のみで走行する場合、モータが故障した場合、モータに電力を供給できない場合等である。また、第2所定条件は、クラッチの係合によるショックが発生しない条件かあるいはショックを低減できる条件であり、例えば、第2プラネタリギヤ装置のリングギヤの回転数とモータのロータの回転数とが同じ回転数になった場合あるいはほぼ同じ回転数等である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置の実施の形態について説明する。
【0012】本発明は、エンジンとモータを駆動源とするハイブリッド型車両においてモータの駆動力あるいは回生制動力を必要としない場合、モータによるフリクションがエンジンの負荷にならないように構成した駆動力制御装置である。そのために、この駆動力制御装置は、エンジンとジェネレータとを連結するための第1プラネタリギヤ装置および第1プラネタリギヤ装置のリングギヤとモータとを連結するための第2プラネタリギヤ装置を備えるとともに、エンジンによる駆動力をモータのロータに断続可能なクラッチを備えている。そして、この駆動力制御装置は、ハイブリッド型車両の運転状態がエンジンのみの駆動力で走行する場合等に、クラッチの係合を解放してモータのロータの回転を休止するように制御する。
【0013】本実施の形態では、駆動源としてのエンジンおよびモータ(ただし、回生による発電源としても機能)と発電源としてのジェネレータならびに変速機としての自動変速機を有するハイブリッド型車両の駆動力制御装置に本発明を適用する。本実施の形態に係る駆動力制御装置は、モータ休止機構を有する駆動力伝達機構を備え、この駆動力伝達機構およびエンジン、モータ、ジェネレータを4つのコントローラが協働して制御している。なお、本実施の形態では、モータ休止機構の構成として2つの実施の形態がある。そこで、本実施の形態では、第1の実施の形態に係る駆動力制御装置については詳細に説明し、第2の実施の形態に係る駆動力制御装置についてはモータ休止機構の構成についてのみ詳細に説明する。また、本実施の形態では、クラッチが「係合する」ことを「オンする」といい、「係合が解放する」ことを「オフする」という。
【0014】まず、図1を参照して、実施の形態に係るハイブリッド型車両の駆動系について説明する。図1は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置の全体構成図である。
【0015】ハイブリッド型車両は、駆動源としてエンジン2およびモータ3を有しており、駆動力制御装置1によってエンジン2による駆動力とモータ3による駆動力とを最適配分し、この最適配分された駆動力を自動変速機ATおよびディファレンシャルギヤDGおよび車軸DS等を介して駆動輪W,Wに伝達している。また、ハイブリッド型車両は、発電源としてジェネレータ4および回生によって発電するモータ3を有するとともにバッテリ5を有しており、駆動力制御装置1によってジェネレータ4による発電とモータ3による発電を制御し、この発電した電力をバッテリ5に充電している。
【0016】エンジン2は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関であれば特に限定されないが、本実施の形態では水冷式のガソリンエンジンとする。エンジン2は、エンジンコントローラ10に制御されており、スロットルアクチュエータ2aによってスロットル開度が調整されて駆動力が制御される。そして、エンジン2では、この制御された駆動力をクランク軸2bからフライホイール6を介して駆動力伝達機構1aに出力している。
【0017】モータ3は、三相交流式の電動モータであり、ステータコイル3aに通電されて磁界を発生すると回転軸と一体となったロータ3bが回転するとともに、外力によってロータ3bが回転して磁界を発生するとステータコイル3aに電流が流れて電力を発生する。モータ3は、モータジェネレータコントローラ11に制御されており、モータジェネレータドライバ12によってステータコイル3aの通電量(モータ電流)が調整されて駆動力または発電力が制御される。そして、モータ3は、この制御された駆動力を駆動力伝達機構1aに出力するとともに、制御された発電力をモータジェネレータドライバ12を介してバッテリ5に充電している。モータジェネレータドライバ12では、モータ3が駆動力を出力する場合にはバッテリ5から直流電流を取り出して三相交流電流に変換し、モータ3が発電する場合にはステータコイル3aで発生した三相交流電流を取り出して直流電流に変換している。
【0018】ジェネレータ4は、三相交流式の発電機であり、外力によってロータ4bが回転して磁界を発生するとステータコイル4aに電流が流れて電力を発生する。ジェネレータ4は、モータジェネレータコントローラ11に制御されており、モータジェネレータドライバ12によってステータコイル4aの通電量(ジェネレータ電流)が調整されて発電力が制御される。そして、ジェネレータ4は、この制御された発電力をモータジェネレータドライバ12を介してバッテリ5に充電している。モータジェネレータドライバ12では、ジェネレータ4が発電する場合にはステータコイル4aで発生した三相交流電流を取り出して直流電流に変換している。
【0019】なお、ハイブリッド型車両には、ドライバからの入力(アクセルペダルの踏み込み、ブレーキペダルの踏み込み)、車速、バッテリ5の残容量等に基づいて、幾つかのモードがある。このモードとしては、モータ発進&走行モード、エンジン起動モード、ハイブリッド走行モード、モータ休止モード、エンジン走行モード、モータアシスト再開モードおよびモータ回生制動(&アシスト再開)モードがある。モータ発進&走行モードは、ドライバが発進操作を開始してからエンジン2が起動するまでのモードであり、モータ3の駆動力のみで発進および走行するモードである。エンジン起動モードは、エンジン2が起動してからハイブリッド走行になるまでのモードであり、モータ3の駆動力のみで走行するモードである。ハイブリッド走行モードは、加速時等のモードであり、エンジン2の駆動力とモータ3の駆動力により走行するモードである。モータ休止モードは、ハイブリッド走行からエンジン走行に移行するまでのモードであり、エンジン2の駆動力と低減するモータ3の駆動力により走行するモードである。エンジン走行モードは、クルーズ走行時等のモードであり、エンジン2の駆動力のみで走行するモードである。モータアシスト再開モードは、エンジン走行からハイブリッド走行に移行するまでのモードであり、エンジン2の駆動力と増加するモータ3の駆動力により走行するモードである。モータ回生制動モードは、制動時のモードであり、エンジン2の駆動力とモータ3の駆動力が低減するとともにブレーキ力とモータ3の回生制動力により制動しかつモータ3の発電力により充電するモードである。ちなみに、モータ回生制動モードに移行する前がエンジン走行モードの場合には、モータ回生制動&アシスト再開モードとなる。なお、本実施の形態では、エンジン走行モードの場合にモータ3のロータの回転を休止するので、エンジン走行モードが特許請求の範囲に記載の第1所定条件に相当する。
【0020】それでは、図1および図2を参照して、第1の実施の形態に係る駆動力制御装置1の構成について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る駆動力制御装置における駆動力伝達機構のスケルトン図である。
【0021】駆動力制御装置1は、各種センサからの信号に基づいてエンジン2による駆動力(スロットル開度)とモータ3による駆動力(モータ電流)を設定し、この駆動力を自動変速機ATに伝達している。また、駆動力制御装置1は、各種センサからの信号に基づいてジェネレータ4による発電力(ジェネレータ電流)とモータ3による発電力(モータ電流)を設定し、この発電力をバッテリ5に充電している。さらに、駆動力制御装置1は、エンジン走行モード中にはモータ3によるフリクションロスを低減あるいは無くすために、モータ3のロータ3bを休止させる。そのために、駆動力制御装置1は、駆動力伝達機構1a、エンジン2、モータ3、ジェネレータ4、エンジンコントローラ10、モータジェネレータコントローラ11、モータジェネレータドライバ12、ミッションコントローラ13、ブレーキコントローラ14、車速センサ20、アクセル開度センサ21、水温センサ22、エンジン回転数センサ23、バッテリ残容量センサ24、モータロータ回転数センサ25、ジェネレータロータ回転数センサ26、レンジセンサ27、リングギヤ回転数センサ28、ブレーキペダルセンサ29等から構成されている。
【0022】駆動力伝達機構1aについて説明する。駆動力伝達機構1aは、エンジンプラネタリギヤ装置30、モータプラネタリギヤ装置40、直結用ワンウェイクラッチ50、回生用クラッチ51、回生用クラッチ圧調圧バルブ52、モータ休止用クラッチ53、モータ休止用クラッチ圧調圧バルブ54、モータ休止用ワンウェイクラッチ55およびオイルポンプ56等から構成されている。特に、モータ3のロータ3bを休止するための機構として、駆動力伝達機構1a中のエンジンプラネタリギヤ装置30以外の構成要素によりモータ休止機構1bを構成している。なお、本実施の形態では、エンジンプラネタリギヤ装置30が特許請求の範囲に記載する第1プラネタリギヤ装置に相当し、モータプラネタリギヤ装置40が特許請求の範囲に記載する第2プラネタリギヤ装置に相当し、直結用ワンウェイクラッチ50が特許請求の範囲に記載するワンウェイクラッチに相当し、回生用クラッチが特許請求の範囲に記載する油圧クラッチに相当する。
【0023】エンジンプラネタリギヤ装置30は、サンギヤ31、複数のプラネットギヤ32の公転に伴い回転するキャリア33およびリングギヤ34からなり、エンジン2による駆動力をモータプラネタリギヤ装置40およびジェネレータ4のロータ4bに伝達している。サンギヤ31には、ジェネレータ4のロータ4bの回転軸4cが連結されている。キャリア33には、エンジン2からの駆動力がフライホイール6を介して伝達されている出力軸6aが連結されている。出力軸6aは、回転軸4cと同心であり、回転軸4cの中空部を通っている。リングギヤ34には、伝達軸35を介してモータプラネタリギヤ装置40のリングギヤ44が連結されている。
【0024】モータプラネタリギヤ装置40は、サンギヤ41、複数のプラネットギヤ42の公転に伴い回転するキャリア43およびリングギヤ44からなり、エンジンプラネタリギヤ装置30からの駆動力および/またはモータ3による駆動力を自動変速機ATに伝達するとともに、制動時には駆動輪W,Wからの回転力をモータ3のロータ3bに伝達している。サンギヤ41には、モータ3のロータ3bの回転軸3cが連結されている。キャリア43には、伝達軸45を介して自動変速機ATが連結されている。伝達軸45は、回転軸3cと同心であり、回転軸3cの中空部を通っている。リングギヤ44には、前記したように、伝達軸35を介してエンジンプラネタリギヤ装置30のリングギヤ34が連結されている。
【0025】直結用ワンウェイクラッチ50は、モータ3のロータ3bとリングギヤ44の回転軸44aとの間に配設されており、ロータ3bとリングギヤ44間の駆動力(回転力)の伝達を断続するためのクラッチであるとともにロータ3bの逆回転による逆駆動力をリングギヤ44に伝達しないために回転方向を一方向に規制するためのクラッチである。そして、直結用ワンウェイクラッチ50は、モータ発進&走行モード、エンジン起動モード時およびハイブリッド走行モード時にオンし、モータ3による駆動力をリングギヤ44に伝達する。ちなみに、回転軸44aは、中空部を有するとともに回転軸3cおよび伝達軸45と同心であり、中空部の中には回転軸3cおよび伝達軸45が通っている。
【0026】回生用クラッチ51は、モータ3のロータ3bとリングギヤ44の回転軸44aとの間に配設されており、ロータ3bとリングギヤ44間の駆動力(回転力)の伝達を断続するためのクラッチである。また、回生用クラッチ51は、クラッチ圧を調整することにより係合力を変えることができる油圧クラッチであり、オイルポンプ56から油圧が供給される。そして、回生用クラッチ51は、モータ回生制動モード時に係合し、係合力(伝達トルク)を調整しながらリングギヤ44の回転力(すなわち、駆動輪W,Wからの回転力)をロータ3bに伝達する。
【0027】回生用クラッチ圧調圧バルブ52は、回生用クラッチ51のクラッチ圧を調整するための調圧バルブであり、ミッションコントローラ13により制御される。
【0028】モータ休止用クラッチ53は、モータ休止用ワンウェイクラッチ55の一端側に設けられており、モータ3のロータ3bの回転を固定するためのクラッチである。また、モータ休止用クラッチ53は、クラッチ圧を調整することにより係合力を変えることができる油圧クラッチであり、オイルポンプ56から油圧が供給される。そして、モータ休止用クラッチ53は、レンジがドライブレンジのときに係合し、ロータ3bの回転力(モータトルク)に応じて係合力(伝達量)を調整してロータ3bの回転を固定する。
【0029】モータ休止用クラッチ圧調圧バルブ54は、モータ休止用クラッチ53のクラッチ圧を調整するための調圧バルブであり、ミッションコントローラ13により制御される。
【0030】モータ休止用ワンウェイクラッチ55は、モータ3のロータ3bとモータ休止用クラッチ53との間に配設されており、モータ休止用クラッチ53によるロータ3bに対する固定力の伝達を断続するためのクラッチであるとともにロータ3bの逆回転による逆駆動力を伝達しないために回転方向を一方向に規制するためのクラッチである。そして、モータ休止用ワンウェイクラッチ55は、エンジン走行モード時にオンし、モータ休止用クラッチ53による固定力をロータ3bに伝達する。
【0031】エンジンコントローラ10について説明する。エンジンコントローラ10は、車速センサ20からの車速信号SS、アクセル開度センサ21からのアクセル開度信号AS、水温センサ22からの水温信号TSおよびエンジン回転数センサ23からのエンジン回転数信号ES等が入力され、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御等によってエンジン2を統括的に制御するコントローラである。そのために、エンジンコントローラ10は、図示しない各種演算や処理等を行うCPU[Central Processing Unit]、入力回路、出力回路、記憶装置、電源回路等を備えている。
【0032】特に、エンジンコントローラ10は、駆動力制御装置1のコントローラとしても機能しており、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて以下の処理を行う。エンジンコントローラ10は、モータジェネレータコントローラ11で設定されたエンジントルクになるようにスロットル開度を制御するために、スロットルアクチュエータ2aにスロットル開度信号THを送信する。
【0033】モータジェネレータコントローラ11について説明する。モータジェネレータコントローラ11は、車速センサ20からの車速信号SS、アクセル開度センサ21からのアクセル開度信号AS、水温センサ22からの水温信号TS、エンジン回転数センサ23からのエンジン回転数信号ES、バッテリ残容量センサ24からのバッテリ残容量信号BS、モータロータ回転数センサ25からのモータロータ回転数信号MS、ジェネレータロータ回転数センサ26からのジェネレータロータ回転数信号GS、リングギヤ回転数センサ28からのリングギヤ回転数信号ISおよびブレーキコントローラ14からのブレーキ踏力信号FS等が入力され、モータ3およびジェネレータ4を統括的に制御するコントローラである。そのために、モータジェネレータコントローラ11は、図示しない各種演算や処理等を行うCPU、入力回路、出力回路、記憶装置、電源回路等を備えている。
【0034】特に、モータジェネレータコントローラ11は、駆動力制御装置1を統括するコントローラであり、エンジンコントローラ10、ミッションコントローラ13およびブレーキコントローラ14に各種指令を送信する。モータジェネレータコントローラ11は、各種センサ20〜28からの信号SS,AS,TS,ES,BS,MS,GS,ISやコントローラ10,13,14からの情報に基づいて、前記したハイブリッド型車両のモードを設定し、後記する各モードに応じた制御を行う。モータジェネレータコントローラ11は、アクセル開度信号ASと車速信号SSに基づいて、アクセル要求トルクを決定してエンジントルク、モータトルクおよびジェネレータトルクを設定するとともに、クラッチ50,51,53,55のオン/オフを決定する。さらに、モータジェネレータコントローラ11は、設定したモータトルクとなるようにモータジェネレータドライバ12にモータ電流信号MCを送信する。モータ電流信号MCは、モータ3に駆動力を発生させる場合には正のモータ電流が設定され、モータ3に回生制動力を発生させる場合には負のモータ電流が設定される。また、モータジェネレータコントローラ11は、設定したジェネレータトルクとなるようにモータジェネレータドライバ12にジェネレータ電流信号GCを送信する。ジェネレータ電流信号GCは、発電する場合には負のジェネレータ電流が設定され、エンジン起動モードの場合だけ正のジェネレータ電流が設定される。
【0035】モータジェネレータドライバ12について説明する。モータジェネレータドライバ12は、モータジェネレータコントローラ11からのモータ電流信号MCおよびジェネレータ電流信号GCが入力され、モータ3およびジェネレータ4をドライブする。モータ電流信号MCに正のモータ電流が設定されている場合、モータジェネレータドライバ12は、バッテリ5から直流電流を取り出して三相交流電流に変換し、設定されたモータ電流に相当する三相交流電流をモータ3のステータコイル3aに供給する。モータ電流信号MCに負のモータ電流が設定されている場合、モータジェネレータドライバ12は、モータ3のステータコイル3aの通電量を設定されたモータ電流になるように調整し、モータ電流(三相交流電流)をステータコイル3aから取り出し、さらに三相交流電流を直流電流に変換してバッテリ5に充電する。ジェネレータ電流信号GCに正のジェネレータ電流が設定されている場合、モータジェネレータドライバ12は、バッテリ5から直流電流を取り出して三相交流電流に変換し、設定されたジェネレータ電流に相当する三相交流電流をジェネレータ4のステータコイル4aに供給する。ジェネレータ電流信号GCに負のジェネレータ電流が設定されている場合、モータジェネレータドライバ12は、ジェネレータ4のステータコイル4aの通電量が設定されたジェネレータ電流になるように調整し、そのジェネレータ電流(三相交流電流)をステータコイル4aから取り出し、さらに三相交流電流を直流電流に変換してバッテリ5に充電する。
【0036】ミッションコントローラ13について説明する。ミッションコントローラ13は、車速センサ20からの車速信号SS、エンジン回転数センサ23からのエンジン回転数信号ES、レンジセンサ27からのレンジ信号RSおよびリングギヤ回転数センサ28からのリングギヤ回転数信号IS等が入力され、変速制御、ロックアップ制御、エンジントルク制御等によって自動変速機ATを統括的に制御するコントローラである。そのために、ミッションコントローラ13は、図示しない各種演算や処理等を行うCPU、入力回路、出力回路、記憶装置、電源回路等を備えている。
【0037】特に、ミッションコントローラ13は、駆動力制御装置1のコントローラとしても機能しており、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて以下の処理を行う。ミッションコントローラ13は、直結用ワンウェイクラッチ50をオン/オフ制御する。また、ミッションコントローラ13は、回生用クラッチ圧調圧バルブ52に回生用クラッチ圧信号RPを送信して回生用クラッチ51のクラッチ圧を調整して回生用クラッチ51をエンゲージ制御する。また、ミッションコントローラ13は、レンジ信号RSに基づいて、レンジがドライブレンジのときにはモータ休止用クラッチ圧調圧バルブ54にモータ休止用クラッチ圧信号SPを送信してモータ休止用クラッチ53のクラッチ圧を調整してモータ休止用クラッチ53をオン/オフ制御する。また、ミッションコントローラ13は、モータ休止用ワンウェイクラッチ55をオン/オフ制御する。
【0038】ブレーキコントローラ14について説明する。ブレーキコントローラ14は、ブレーキペダルセンサ29からのブレーキペダル位置信号PS等が入力され、ABS[Anti lock Brake System]制御等によってブレーキシステム(図示せず)を統括的に制御するコントローラである。そのために、ブレーキコントローラ14は、図示しない各種演算や処理等を行うCPU、入力回路、出力回路、記憶装置、電源回路等を備えている。
【0039】特に、ブレーキコントローラ14は、駆動力制御装置1のコントローラとしても機能しており、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて以下の処理を行う。ブレーキコントローラ14は、ブレーキペダル位置信号PSに基づいて、ブレーキペダル(図示せず)の踏力を演算し、ブレーキ踏力信号FSを送信する。
【0040】車速センサ20について説明する。車速センサ20は、車速を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応した車速信号SSを送信している。
【0041】アクセル開度センサ21について説明する。アクセル開度センサ21は、アクセルペダル(図示せず)の開度を検出するセンサであり、検出した開度に対応したアクセル開度信号ASを送信している。
【0042】水温センサ22について説明する。水温センサ22は、エンジン2の冷却水温をサーミスタにより抵抗値として検出するセンサであり、検出した抵抗値に対応した水温信号TSを送信している。
【0043】エンジン回転数センサ23について説明する。エンジン回転数センサ23は、クランク軸2bの回転数を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応したエンジン回転数信号ESを送信している。
【0044】バッテリ残容量センサ24について説明する。バッテリ残容量センサ24は、バッテリ5に充電されている容量(電力)を検出するセンサであり、検出した容量に対応したバッテリ残容量信号BSを送信している。
【0045】モータロータ回転数センサ25について説明する。モータロータ回転数センサ25は、モータ3のロータ3bの回転数を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応したモータロータ回転数信号MSを送信している。
【0046】ジェネレータロータ回転数センサ26について説明する。ジェネレータロータ回転数センサ26は、ジェネレータ4のロータ4bの回転数を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応したジェネレータロータ回転数信号GSを送信している。
【0047】レンジセンサ27について説明する。レンジセンサ27は、セレクタレバー(図示せず)のシフトレンジを検出するセンサであり、検出したシフトレンジに対応したレンジ信号RSを送信している。ちなみに、セレクタレバーのレンジとしては、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、セカンドレンジ、ローレンジがある。
【0048】リングギヤ回転数センサ28について説明する。リングギヤ回転数センサ28は、伝達軸35(すなわち、エンジンプラネタリギヤ装置30のリングギヤ34、モータプラネタリギヤ装置40のリングギヤ44)の回転数を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応したリングギヤ回転数信号ISを送信している。
【0049】ブレーキペダルセンサ29について説明する。ブレーキペダルセンサ29は、ブレーキペダル(図示せず)の踏む込まれた位置を検出するセンサであり、検出した位置に対応したブレーキペダル位置信号PSを送信している。
【0050】次に、駆動力制御装置1における制御を図3のタイムチャートに従って説明する。図3は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置の各制御を説明するためのタイムチャートである。なお、以下に各制御をフローチャートに沿って説明するが、各制御では、コントローラ10,11,13,14のCPUのクロックに基づいて一定時間毎に各フローチャートの処理を繰り返し実行している。
【0051】図3に示すタイムチャートは、ハイブリッド型車両が走行を開始してから停止するまでの走行パターンの一例(モータ発進&走行モード→エンジン起動モード→ハイブリッド走行モード→モータ休止モード→エンジン走行モード→モータアシスト再開モード→ハイブリッド走行モード→モータ休止モード→エンジン走行モード→モータ回生制動&アシスト再開モード)であり、前記したハイブリッド型車両のモードを全て含んでいる。駆動力制御装置1では、各モードに対応して、コントローラ10,11,13,14が協働して駆動力伝達機構1a、エンジン2、モータ3およびジェネレータ4を制御している。
【0052】図3では、横軸に時間を示し、縦軸に上からスロットル開度とアクセル開度、車軸DSのトルク、エンジン2のトルク、モータ3のモータ電流(モータトルクの変化に相当)、ジェネレータ4のジェネレータ電流(ジェネレータトルクの変化に相当)、直結用ワンウェイクラッチ50のオン/オフ、回生用クラッチ51のオン/オフ(なお、回生クラッチ51は、単純にオン/オフするのではなく、係合力を変化させながらオン/オフする)、モータ休止用ワンウェイクラッチ55のオン/オフ、モータ休止用クラッチ53のオン/オフ、車速、エンジン2のクランク軸2bの回転数、モータ3のロータ3bの回転数、ジェネレータ4のロータ4bの回転数を示している。
【0053】ここで、各モードにおける制御の説明を行う前に、図1、図2、図12、図13および図14を参照して、駆動力制御装置1でのモータ制御フラグの判定処理を図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるモータ制御フラグ判定処理を示すフローチャートである。図12は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置で用いられる3次元空間上に表したアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップである。図13は、二次元平面上に表したハイブリッド型車両の運転状態を示す駆動力(逆駆動力)−車速マップである。図14は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置で用いられるバッテリ残容量を表すグラフである。
【0054】モータ制御フラグは、モータ3の休止状態に移行または休止状態から移行するための制御を示すフラグであり、モータ休止制御、モータ回生制動&アシスト再開制御またはモータアシスト再開制御が設定される。
【0055】駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル開度信号ASおよび車速信号SSに基づいて図12に示すアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップからアクセル要求トルクを設定する(S1)。図12では、3軸にアクセル開度、車速、アクセル要求トルクを示しており、アクセル開度および車速に対応するアクセル要求トルクを3次元空間上に平面または曲面(斜線面)で示したものである。ちなみに、アクセル要求トルクを図12で設定する場合、アクセル開度と車速との交点からアクセル要求トルク軸に平行な線をその斜線面に下ろし、その交点(星印)から車速軸に平行な線をアクセル開度−アクセル要求トルク平面に下ろし、さらにその交点からアクセル開度軸に平行な線をアクセル要求トルク軸上に下ろし、その交点が設定するアクセル要求トルクとなる。
【0056】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で駆動力(逆駆動力)と車速信号SSに基づいて図13に示す駆動力(逆駆動力)−車速マップからエンジン駆動領域か否かを判定する(S2)。図13では、横軸に車速を示しており、縦軸に正の値ではハイブリッド型車両の駆動力と負の値では逆駆動力を示しており、駆動力制御装置1でどのような制御を行うのかを車速と駆動力(逆駆動力)との関係で領域として示している。ここで用いられる駆動力または逆駆動力(すなわち、制動力)は、(1)式に示すアクセル要求トルクまたはアクセル要求トルク+制動要求トルクに駆動力伝達系ギヤレシオとタイヤ半径の逆数を乗算した値である。アクセル要求トルクは前記したようにアクセル開度と車速に基づく値であり(図12参照)、制動要求トルクはブレーキペダルの踏力に基づく値であり(図16参照)、駆動力伝達系ギヤレシオは駆動力伝達機構1aとモータプラネタリギヤ装置40のキャリア43による出力から下流側の自動変速機ATおよびディファレンシャルギヤDG等までからなるギヤ比であり、タイヤ径は駆動輪W,Wの径である。
【0057】
【数1】

【0058】S2の判定でエンジン駆動領域の場合、ハイブリッド型車両ではエンジン2のみでの駆動に移行するので、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグをモータ休止制御と設定する(S3)。
【0059】一方、S2の判定でエンジン駆動領域でない場合、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で駆動力(逆駆動力)と車速信号SSに基づいて図13に示す駆動力(逆駆動力)−車速マップからモータ回生制動領域か否かを判定する(S4)。S4の判定でモータ回生制動領域でない場合、モータ駆動領域(ハイブリッド走行も含む)であり、ハイブリッド型車両ではモータ3の休止状態からモータ3によるアシスト状態に移行するので、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグをモータアシスト再開制御と設定する(S5)。
【0060】一方、S4の判定でモータ回生制動領域の場合、ハイブリッド型車両ではモータ3による回生制動状態に移行する。この回生制動状態に移行する前のモードとしてはエンジン走行モードとハイブリッド走行モードがあり、エンジン走行モードから移行する場合にはモータ回生制動&アシスト再開モードに移行するが、ハイブリッド走行モードから移行する場合にモータ回生制動モードに移行する。ここで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でバッテリ残容量信号BSに基づいてバッテリ5の残容量が回生充電受入限度量(図14参照)以下か否かを判定する(S6)。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でバッテリ5の残容量が回生充電受入限度量より大きいと判定した場合にはモータ制御フラグを設定せずに、モータ制御フラグ判定処理を終了する。というのは、バッテリ5の容量が十分であり、モータ3の回生による充電を必要としていないからである。この場合、モータ3によって充電を行わないが、モータ3による制動力をハイブリッド型車両に付加するようにしてもよい。図14には、縦軸にバッテリ5の残容量を百分率で示しており、回生充電受入限度量としては85%程度と設定している。
【0061】一方、S6の判定でバッテリ5の残容量が回生充電受入限度量以下の場合、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグにモータ回生制動制御かあるいはモータ回生制動制御&アシスト再開制御と設定する(S7)。
【0062】各モードにおける制御の説明に移る。
[モータ発進&走行制御]図1、図2、図3および図12を参照して、駆動力制御装置1でのモータ発進&走行モードにおけるモータ発進&走行制御を図4のフローチャートに沿って説明する。図5は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるモータ発進&走行制御を示すフローチャートである。
【0063】ハイブリッド型車両の停止状態において、ドライバが、セレクタレバー(図示)をドライブレンジを選択し、パーキングブレーキを解除し、さらにアクセルペダル(図示せず)に踏み込む。すると、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で車速信号SSやアクセル開度信号AS等に基づいてモータ発進&走行モードと判定する。また、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でレンジ信号RSに基づいてドライブレンジであることを判定し、ミッションコントローラ13からモータ休止用クラッチ圧信号SPをモータ休止用クラッチ圧調圧バルブ54に送信して、モータ休止用クラッチ53をオンする。なお、駆動力制御装置1では、回生用クラッチ51をオフしている。
【0064】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル開度信号ASおよび車速信号SSに基づいて図12に示すアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップからアクセル要求トルクを設定する(S10)。
【0065】モータ発進&走行モードではモータ3の駆動力(モータトルク)のみで走行を開始するので、設定したアクセル要求トルクを全てモータ3で発生させる。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル要求トルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S11)。すると、モータ3では、ロータ3bが回転し、モータ電流信号MCに応じたモータトルクを発生する。さらに、モータプラネタリギヤ装置40では、サンギヤ41の回転に伴ってプラネットギヤ42を介してキャリア43が回転し、その回転を伝達軸45を介して自動変速機ATに伝達する。また、駆動力制御装置1では、直結用ワンウェイクラッチ50をオンする。続いて、伝達された回転が、自動変速機ATで変速され、ディファレンシャルギヤDGを介して駆動輪W,Wに伝達される。その結果、ハイブリッド型車両が走行し始める。そして、時間が経過するに伴って、モータ3の回転数が増加し、その増加に応じて車速が上昇する。
【0066】ちなみに、エンジン2では、スロットル開度が0でクランク軸2bの回転が停止し、エンジントルクも発生していない。また、モータプラネタリギヤ装置40では、モータ3のロータ3bの回転に伴って直結用ワンウェイクラッチ50を介してリングギヤ44が回転し、その回転を伝達軸35を介してエンジンプラネタリギヤ装置30のリングギヤ34に伝達している。このとき、サンギヤ41およびリングギヤ44の回転数は、ロータ3bの回転数と同じ回転数となっている。また、エンジンプラネタリギヤ装置30では、エンジン2のクランク軸2bの回転停止によってキャリア33が固定され、リングギヤ34の回転をプラネタリギヤ32を介してサンギヤ31に伝達している。そのため、ジェネレータ4では、発電するときとは逆方向にロータ4bが回転している。
【0067】[エンジン起動制御]次に、図1、図2、図3、図12および図14を参照して、駆動力制御装置1でのエンジン起動モードにおけるエンジン起動制御を図6のフローチャートに沿って説明する。図6は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるエンジン起動制御を示すフローチャートである。
【0068】モータ発進&走行モードに引き続き、ドライバはアクセルペダル(図示せず)を踏み込んでいるので、モータ3の回転数が増加するのに伴って車速が上昇するとともにジェネレータ4のロータ4bの回転数が逆回転方向に増加する。このとき、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ3の回転数やジェネレータ4の回転数等に基づいてエンジン起動モードと判定する。
【0069】最初に、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル開度信号ASおよび車速信号SSに基づいて図12に示すアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップからアクセル要求トルクを設定する(S20)。
【0070】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でバッテリ残容量信号BSに基づいてバッテリ5の残容量が放電限度量(図14参照)以上か否かを判定する(S21)。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でバッテリ5の残容量が放電限度量未満と判定した場合にはエンジン起動制御での処理を終了する。というのは、これからエンジン2を起動するために、モータ3にモータ電流を供給するのに加えてジェネレータ4にジェネレータ電流を供給するので、その電流を取り出すだけの電力がバッテリ5にない場合、エンジン2を起動できないからである。図14には、縦軸にバッテリ5の残容量を百分率で示しており、放電限度量としては50%程度と設定している。ちなみに、バッテリ5の残容量が放電限度量以下の場合、警告表示等によりドライバに知らせ、バッテリ交換や充電を促す。
【0071】一方、S21の判定でバッテリ5の残容量が放電限度量以上の場合、エンジン2を起動させるために、エンジンプラネタリギヤ装置30のサンギヤ31の回転にブレーキをかけてキャリア33(ひいては、エンジン2のクランク軸2b)の回転数を増加させる。具体的には、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でエンジン起動時ジェネレータトルクになるようにジェネレータ電流信号GCを設定し、モータジェネレータドライバ12からジェネレータ電流信号GCに基づくジェネレータ電流をジェネレータ4のステータコイル4aに供給する(S22)。すると、ジェネレータ4では、ジェネレータ電流信号GCに応じたエンジン起動時ジェネレータトルクが発生し、ロータ4bの回転数(逆回転方向)が減少していく。エンジンプラネタリギヤ装置30では、このロータ4bの回転数の減少に伴ってサンギヤ31の逆回転方向の回転数が減少し、リングギヤ34の回転に応じて回転していたプラネットギヤ32の回転数が減少し、このプラネットギヤ32の回転数の減少によってキャリア33が回転し始める。そして、キャリア33の回転に伴って、エンジン2では、フライホイール6を介してクランク軸2bが回転を始める。ちなみに、エンジン起動時ジェネレータトルクは、エンジン2の起動するために必要なジェネレータトルクとして予め設定されたトルクであり、エンジン2の特性、ジェネレータ4の特性、エンジンプラネタリギヤ装置30のギヤ比等が考慮されたトルクである。
【0072】さらに、エンジンプラネタリギヤ装置30では、プラネットギヤ32の回転数の減少により、リングギヤ34に負荷(すなわち、エンジン起動時ジェネレータトルクによる負荷)がかかる。そのため、リングギヤ34およびモータプラネタリギヤ装置40のリングギヤ44の回転数の増加を維持するためには、モータ3によるモータトルクの増加が必要となる。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(2)式に示すアクセル要求トルクにエンジン起動時ジェネレータトルクの負荷を加算したモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S22)。すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じた以前より大きなモータトルクを発生し、ロータ3bの回転数の増加を維持する。そして、モータプラネタリギヤ装置40でも、サンギヤ41およびリングギヤ44の回転数の増加が維持し、キャリア43の回転数の増加も維持する。そのため、車速も上昇していく。
【0073】
【数2】

【0074】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でエンジン回転信号ESに基づいてエンジン2の回転数がエンジンアイドル回転数以上か否かを判定する(S23)。そして、エンジン2の回転数がエンジンアイドル回転数未満の場合、駆動力制御装置1では、前記したS22での処理を継続してエンジン2の回転数を増加させる。
【0075】一方、S23の判定でエンジン2の回転数がエンジンアイドル回転数以上の場合、エンジン2を起動する。具体的には、駆動力制御装置1では、エンジンコントローラ10でエンジントルクがエンジン全開トルクになるようにスロットル開度信号THを設定し、スロットルアクチュエータ2aによりスロットル開度信号THに基づいてスロットル開度を制御する(S24)。すると、エンジン2では、エンジン全開トルクが発生する。このエンジントルクに応じて、エンジンプラネタリギヤ装置30では、キャリア33に回転力が加わり、プラネットギヤ32を介してサンギヤ31が正回転方向に回転するとともに、リングギヤ34にも回転力が加わる。ちなみに、エンジン全開トルクは、エンジン2のスロットルバルブを全開にしたときのトルクであり、エンジン回転数に応じて変る。
【0076】すると、ジェネレータ4では、サンギヤ31を介してロータ4bが回転する。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(3)式に示すジェネレータトルクになるようにジェネレータ電流信号GC(負値)を設定し、モータジェネレータドライバ12によってジェネレータ電流信号GCに基づくジェネレータ電流(負値)となるように制御してそのジェネレータ電流を取り出す(S24)。そして、モータジェネレータドライバ12では、取り出したジェネレータ電流をバッテリ5に充電する。ちなみに、(3)式ではジェネレータトルクが負の値となっているのは、ジェネレータ4に外部から回転力が供給されるからである。
【0077】また、モータプラネタリギヤ装置40では、リングギヤ34からリングギヤ44に回転力が加わるので(すなわち、エンジン起動時ジェネレータトルクによる負荷がなくなり、エンジントルクの作用が加わるので)、キャリア43の回転数の増加を維持するためにモータ3により発生すべきモータトルクは減少する。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(4)式に示す現在のモータトルクにエンジン起動時ジェネレータトルクの負荷およびエンジントルクの作用を差し引いたモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S24)。すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じた以前より小さなモータトルクを発生し、ロータ3bの回転数の増加を維持する。そして、モータプラネタリギヤ装置40でも、サンギヤ41およびリングギヤ44の回転数の増加が維持し、キャリア43の回転数の増加も維持する。そのため、車速も上昇していく。
【0078】
【数3】

【0079】[ハイブリッド走行制御]次に、図1、図2、図3および図12を参照して、駆動力制御装置1でのハイブリッド走行モードにおけるハイブリッド走行制御を図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるハイブリッド走行制御を示すフローチャートである。
【0080】エンジン起動モードに引き続き、ドライバはアクセルペダル(図示せず)を踏み込んでいるので、エンジン2およびモータ3の回転数が増加するのに伴って車速が上昇するとともにジェネレータ4のロータ4bの回転数が正回転方向に増加する。このとき、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でエンジン2の回転数、モータ3の回転数およびアクセル開度信号AS等に基づいてハイブリッド走行モードと判定する。
【0081】最初に、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル開度信号ASおよび車速信号SSに基づいて図12に示すアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップからアクセル要求トルクを設定する(S30)。
【0082】続いて、駆動力制御装置1では、エンジンコントローラ10でエンジントルクがエンジン全開トルクになるようにスロットル開度信号THを設定し、スロットルアクチュエータ2aによりスロットル開度信号THに基づいてスロットル開度を制御する(S31)。すると、エンジン2では、エンジン全開トルクが発生する。このエンジントルクにより、エンジンプラネタリギヤ装置30では、キャリア33に回転力が加わり、プラネットギヤ32を介してサンギヤ31が正回転方向に回転するとともに、リングギヤ34にも回転力が加わる。
【0083】そのため、ジェネレータ4では、引き続き、サンギヤ31を介してロータ4bが回転する。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(3)式に示すジェネレータトルクになるようにジェネレータ電流信号GC(負値)を設定し、モータジェネレータドライバ12によってジェネレータ電流信号GCに基づくジェネレータ電流(負値)となるように制御してそのジェネレータ電流を取り出す(S31)。そして、モータジェネレータドライバ12では、取り出したジェネレータ電流をバッテリ5に充電する。これ以降、ジェネレータ4(エンジンプラネタリギヤ装置30のサンギヤ31)の回転数は、バッテリ5の充放電状態に応じて制御される。
【0084】また、ハイブリッド走行では、エンジン2によるリングギヤ34の回転力に、モータプラネタリギヤ装置40でモータ3による回転力も付加する。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(5)式に示すアクセル要求トルクからエンジントルクの作用を差し引いたモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S31)。すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じたモータトルクを発生する。モータプラネタリギヤ装置40では、このモータトルクによりサンギヤ41および直結用ワンウェイクラッチ50を介してリングギヤ44に回転力が加わるとともに、エンジンプラネタリギヤ装置30を介して伝達されているエンジン2の駆動力によりリングギヤ44に回転力が加わり、その回転力に応じてプラネットギヤ42を介してキャリア43が回転する。そして、ハイブリッド型車両では、エンジン2による駆動力とモータ3による駆動力で走行する。
【0085】
【数4】

【0086】このハイブリッド走行モードの途中で、ドライバがアクセルペダル(図示せず)の踏み込みを緩めると、アクセル開度信号ASも変化する。このアクセル開度信号ASの変化に応じてアクセル要求トルクも低下し、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(5)式に示すモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S31)。すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じた以前より小さいモータトルクを発生する。モータプラネタリギヤ装置40では、このモータトルクによりサンギヤ41および直結用ワンウェイクラッチ50を介してリングギヤ44に以前より小さい回転力が加わるとともにリングギヤ34の回転力が加わり、その回転力に応じてプラネットギヤ42を介してキャリア43の回転数の増加率が低下する。そのため、車速も上昇率も低下し、ハイブリッド型車両ではクルーズ走行に移る。ちなみに、エンジン2では、エンジン全開トルクを発生しており、一定のエンジントルクは維持されている。つまり、ハイブリッド型車両ではクルーズ走行に徐々に移っていくため、モータ3による駆動力を低下させていく。
【0087】[モータ休止制御]次に、図1、図2、図3および図15を参照して、駆動力制御装置1でのモータ休止モードにおけるモータ休止制御を図8のフローチャートに沿って説明する。図8は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるモータ休止制御を示すフローチャートである。図15は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置で用いられるモータ減速制御時のエンジントルク−モータトルクマップを示すグラフである。
【0088】ハイブリッド走行モード中、駆動力制御装置1では、前記したモータ制御フラグ判定処理(図4参照)を実行する(S40)。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグがモータ休止制御か否かを判定する(S41)。S41の判定でモータ制御フラグがモータ休止制御でない場合、駆動力制御装置1では、モータ休止制御での処理を終了する。
【0089】一方、S41の判定でモータ制御フラグがモータ休止制御の場合、モータ3による駆動力がモータプラネタリギヤ装置40に徐々に加わらないようにし、最終的にモータ3のロータ3bを停止する。まず、エンジンコントローラ10でエンジントルクがアクセル要求トルクになるようにスロットル開度信号THを設定し、スロットルアクチュエータ2aによりスロットル開度信号THに基づいてスロットル開度を制御する(S42)。すると、エンジン2では、アクセル要求トルクが発生する。そして、このエンジントルクに応じてモータ3からモータトルクが発生される。このとき、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(5)式に示すアクセル要求トルクからエンジントルクの作用を差し引いたモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S42)。
【0090】ここで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて、ミッションコントローラ13で回生用クラッチ51をオフする(S43)。この状態では、エンジン2の回転数とモータ3の回転数とは変動の少ない略釣り合い状態にある。
【0091】さらに、モータ3による駆動力を徐々に減少するために、モータ3を減速制御する。駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でエンジントルクに基づいて図15に示すマップからモータトルクを検索し、そのモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S44)。図15には、横軸にエンジントルクを示しており、縦軸にモータトルクを示しており、モータ3を減速制御する場合のエンジントルクに対するモータトルクが設定されている。この場合のモータトルクは、エンジントルクに応じて増加するが、増加量は少ない。
【0092】すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じた徐々に小さくなるモータトルクを発生し、回転数が徐々に減少する。モータプラネタリギヤ装置40では、このモータトルクによりサンギヤ41に加わる回転力が徐々に減少するが、エンジンプラネタリギヤ装置30から伝達される回転力が増加しているので、キャリア43の回転数の増加率は維持している。そのため、車速の上昇率も維持している。
【0093】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータロータ回転数信号MSに基づいてモータ3のロータ3bの回転数が0以下か否かを判定する(S45)。そして、駆動力制御装置1では、ロータ3bの回転数が0以下になるまでS44のモータ3の減速制御を継続し、ロータ3bの回転数を減少させる。
【0094】一方、S45の判定でロータ3bの回転数が0以下になると、モータ3のロータ3bの回転を固定(休止)して、2つのプラネタリギヤ装置30,40を介して伝達されるエンジン2の駆動力によってロータ3bが回転しないようにする。すると、モータ3では、ロータ3bの回転がモータ休止用ワンウェイクラッチ55を介してモータ休止用クラッチ53で停止される(S46)。このとき、モータプラネタリギヤ装置40では、サンギヤ41の回転が固定され、エンジンプラネタリギヤ装置30を介して伝達されているエンジン2の駆動力によりリングギヤ44に回転力が加わり、その回転力に応じてプラネットギヤ42を介してキャリア43が回転する。そして、ハイブリッド型車両では、エンジン2の駆動力のみの走行に移行する。
【0095】[エンジン走行制御]次に、図1、図2、図3および図12を参照して、駆動力制御装置1でのエンジン走行モードにおけるエンジン走行制御を図9のフローチャートに沿って説明する。図9は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるエンジン走行制御を示すフローチャートである。
【0096】モータ休止用ワンウェイクラッチ55をオンすると、駆動力制御装置1では、エンジン走行モードに移行する。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル開度信号ASおよび車速信号SSに基づいて図12に示すアクセル開度−車速−アクセル要求トルクマップからアクセル要求トルクを設定する(S50)。
【0097】続いて、駆動力制御装置1では、エンジンコントローラ10でエンジントルクがアクセル要求トルクになるようにスロットル開度信号THを設定し、スロットルアクチュエータ2aによりスロットル開度信号THに基づいてスロットル開度を制御する(S51)。すると、エンジン2ではアクセル要求トルクが発生し、エンジンプラネタリギヤ装置30ではそのエンジントルクに応じてキャリア33に回転力が加わり、この回転力によりリングギヤ34が回転する。ちなみに、ジェネレータ4では、そのエンジントルクに応じてサンギヤ31を介してロータ4bが回転している。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でジェネレータ電流信号GCを設定し、モータジェネレータドライバ12によってジェネレータ電流信号GCに基づくジェネレータ電流をバッテリ5に充電している。
【0098】すると、モータプラネタリギヤ装置40では、サンギヤ41の回転が停止されており、エンジンプラネタリギヤ装置30を介して伝達されているエンジン2の駆動力によりリングギヤ44に回転力が加わり、その回転力に応じてプラネットギヤ42を介してキャリア43が回転する。そして、ハイブリッド型車両では、エンジン2の駆動力のみで走行する。
【0099】[モータアシスト再開制御]次に、図1、図2および図3を参照して、駆動力制御装置1でのモータアシスト再開モードにおけるモータアシスト再開制御を図10のフローチャートに沿って説明する。図10は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるモータアシスト再開制御を示すフローチャートである。
【0100】エンジン走行モード中、駆動力制御装置1では、前記したモータ制御フラグ判定処理(図4参照)を実行する(S60)。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグがモータアシスト再開制御か否かを判定する(S61)。S61の判定でモータ制御フラグがモータアシスト再開制御でない場合、駆動力制御装置1では、モータアシスト再開制御での処理を終了する。
【0101】一方、エンジン走行モード中に、ドライバがアクセルペダル(図示せず)を踏み込むとアクセル要求トルクが増加し、S60のモータ制御フラグ判定処理でモータ制御フラグがモータアシスト再開制御に設定される。そのため、S61の判定でモータ制御フラグがモータアシスト再開制御と判定し、モータ3による駆動力をモータプラネタリギヤ装置40に徐々に加わるようにし、最終的にエンジン2とモータ3によるハイブリッド走行に移行する。まず、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でアクセル要求トルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S62)。すると、モータ3ではアクセル要求トルクが発生し、このモータトルクに応じてモータプラネタリギヤ装置40ではキャリア43に回転力が加わり、この回転力によりリングギヤ44が減速回転する。また、モータ3では、ロータ3bはモータ休止用クラッチ53による停止状態から回転が可能な状態となる(S63)。
【0102】すると、モータ3では、モータ電流信号MCに応じたモータトルクを発生し、回転数が徐々に増加する。このモータトルクにより、ハイブリッド型車両では、車速が上昇する。また、モータプラネタリギヤ装置40では、サンギヤ41の回転力がプラネットギヤ42を介してリングギヤ44に加わる。そのため、エンジンプラネタリギヤ装置30ではリングギヤ34を介してキャリア33の回転数が減少し、エンジン2でも回転数が減少している。
【0103】続いて、モータ3のロータ3bの回転力をリングギヤ44から伝達するために、直結用ワンウェイクラッチ50をオンするが、直結用ワンウェイクラッチ50締結時のショックを発生させないために、ロータ3bの回転数とリングギヤ44の回転数を合わせる。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータロータ回転数信号MSとリングギヤ回転数信号ISに基づいてロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数か否かを判定する(S64)。そして、駆動力制御装置1では、ロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数になるまでロータ3bの回転数を増加させる。なお、本実施の形態では、S64でのロータ3bの回転数とリングギヤ44の回転数とを同じ回転数とする条件が特許請求の範囲に記載する第2所定条件に相当する。
【0104】一方、S64の判定でロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数になったと判定すると、モータ3のロータ3bの回転力をリングギヤ44から伝達するようにする。すると、モータプラネタリギヤ装置40では、直結用ワンウェイクラッチ50を介してモータ3の駆動力がリングギヤ44に伝達され、同時に回生用クラッチ51をオンする(S65)。このとき、モータプラネタリギヤ装置40では、モータ3のロータ3bと同じ回転数で、サンギヤ41およびリングギヤ44が回転している。つまり、駆動力制御装置1では、エンジン2による駆動力にモータ3による駆動力を加えた駆動力の伝達経路となり、ハイブリッド走行が可能となる。
【0105】そこで、前記したハイブリッド走行制御と同様に、駆動力制御装置1では、エンジンコントローラ10でエンジントルクがエンジン全開トルクになるようにスロットル開度信号THを設定し、スロットルアクチュエータ2aによりスロットル開度信号THに基づいてスロットル開度を制御する(S66)。また、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(3)式に示すジェネレータトルクになるようにジェネレータ電流信号GC(負値)を設定し、モータジェネレータドライバ12によってジェネレータ電流信号GCに基づくジェネレータ電流(負値)となるように制御してそのジェネレータ電流を取り出す(S66)。さらに、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11で(5)式に示すモータトルクになるようにモータ電流信号MCを設定し、モータジェネレータドライバ12からモータ電流信号MCに基づくモータ電流をモータ3のステータコイル3aに供給する(S66)。すると、駆動力制御装置1ではエンジン2による駆動力およびモータ3による駆動力を自動変速機ATに伝達し、ハイブリッド型車両ではエンジン2による駆動力とモータ3による駆動力でハイブリッド走行する。
【0106】ここで、図3では、モータアシスト再開制御に続いてハイブリッド走行制御、モータ休止制御、エンジン走行制御に移行しているが、ハイブリッド走行制御、モータ休止制御およびエンジン走行制御については既に説明したので、次のモータ回生制動&アシスト再開制御の説明に移る。
【0107】[モータ回生制動&アシスト再開制御]次に、図1、図2、図3、図16および図17を参照して、駆動力制御装置1でのモータ回生制動&アシスト再開モードにおけるモータ回生制動&アシスト再開制御を図11のフローチャートに沿って説明する。図11は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置によるモータ回生制動&アシスト再開制御を示すフローチャートである。図16は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置で用いられるブレーキ踏力−制動要求トルクマップを示すグラフである。図17は、ハイブリッド型車両の駆動力制御装置で用いられる回生用クラッチのエンゲージ制御時のモータトルク−回生用クラッチトルクマップを示すグラフである。
【0108】エンジン走行モード中、駆動力制御装置1では、前記したモータ制御フラグ判定処理(図4参照)を実行する(S70)。そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータ制御フラグがモータ回生制動&アシスト再開制御か否かを判定する(S71)。S71の判定でモータ制御フラグがモータ回生制動&アシスト再開制御でない場合、駆動力制御装置1では、モータ回生制動&アシスト再開制御での処理を終了する。
【0109】一方、エンジン走行モード中に、ドライバがアクセルペダル(図示せず)の踏み込みを解放してアクセル要求トルクが減少する(あるいは0になる)とともにブレーキペダル(図示せず)を踏み込んで制動要求トルクが増加すると、S70のモータ制御フラグ判定処理でモータ制御フラグがモータ回生制動&アシスト再開制御に設定される。そのため、S71の判定でモータ制御フラグがモータ回生制動&アシスト再開制御と判定し、モータ3による回生によってバッテリ5に充電するとともに、ブレーキシステム(図示せず)による制動力にモータ3の回生制動力を加えてハイブリッド型車両を停車させる。すると、モータ3では、ロータ3bはモータ休止用クラッチ53による停止状態から回転が可能な状態となる(S72)。
【0110】このとき、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込みに応じて、ブレーキシステム(図示せず)から制動力が付加されており、車軸DSには負の値のトルクが加わっている。また、その車軸DSから回転力が、ディファレンシャルギヤDGおよび自動変速機ATを介してモータプラネタリギヤ装置40のキャリア43に伝達される。モータプラネタリギヤ装置40では、このキャリア43の回転力により、プラネットギヤ42を介してサンギヤ41が回転する。すると、モータ3では、サンギヤ41の回転によってロータ3bが回転し、回転数が増加する。そのため、ロータ3bによって車軸DSの運動エネルギが消費されるので、このロータ3bによる回生トルクにより車軸DSに回生制動力が作用する。
【0111】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でブレーキ踏力信号FSに基づいて図16に示すマップから制動要求トルクを検索する。図16には、横軸にブレーキ踏力を示しており、縦軸に制動要求トルクを示しており、ブレーキ踏力に対する制動要求トルクが設定されている。制動要求トルクは、負の値であり、ブレーキ踏力に応じてその絶対値が増加する。
【0112】そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータトルクが(アクセル要求トルク+制動要求トルク)になるようにモータ電流信号MC(負値)を設定し、モータジェネレータドライバ12によってモータ電流信号MCに基づくモータ電流(負値)となるように制御している(S73)。さらに、モータジェネレータドライバ12では、取り出したモータ電流をバッテリ5に充電する。ちなみに、アクセル要求トルクは0かあるいは0に近い値であるので、モータトルクは負の値である。
【0113】このとき、駆動力制御装置1では、スロットル開度を0にしてエンジン2による駆動力(エンジントルク)を発生させていないし、ジェネレータ電流も0にしてジェネレータ4による充電も行っていない。したがって、エンジンプラネタリギヤ装置30では、エンジン2の回転数の減少に応じてキャリア33の回転数が減少し、このキャリア33の回転数の減少に応じてリングギヤ34の回転数も減少している。そのため、モータプラネタリギヤ装置40でも、リングギヤ44の回転数が減少する。
【0114】そして、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータトルク(負値)に基づいて図17に示すマップから回生用クラッチ51の係合力(すなわち、伝達可能なトルク)を検索する。さらに、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて、ミッションコントローラ13でこの検索した回生用クラッチトルクに基づいて回生用クラッチ圧信号RPを設定し、回生用クラッチ圧調圧バルブ52により回生用クラッチ51のクラッチ圧を調整して回生用クラッチ51をエンゲージ制御する(S74)。つまり、リングギヤ44の回転数とロータ3bの回転数とが一致していないので、回生用クラッチ51を完全にオンすると、その回転数の差によってクラッチ締結時にショックが発生する。そこで、リングギヤ44の回転数が減少し、ロータ3bの回転数が増加して、その回転数の差が徐々に小さくなるのに応じて回生クラッチ51の係合力を増加させてエンゲージ制御を行い、クラッチ締結時のショックを防止している。なお、図17には、横軸にモータトルク(負値)を示しており、縦軸に回生用クラッチトルクを示しており、モータトルクに対する回生用クラッチトルクが設定されている。回生用クラッチトルクは、モータトルク(絶対値)に応じて増加し、やがて一定値(完全オン状態であり、100%の係合力)となる。
【0115】続いて、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11でモータロータ回転数信号MSとリングギヤ回転数信号ISとに基づいてロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数か否かを判定する(S75)。そして、駆動力制御装置1では、ロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数になるまでS74の回生用クラッチ51に対するエンゲージ制御を続ける。なお、本実施の形態では、S75でのロータ3bの回転数とリングギヤ44の回転数とを同じ回転数とする条件も特許請求の範囲に記載する第2所定条件に相当する。
【0116】一方、S75の判定でロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数になったと判定すると、回生用クラッチ51を完全にオンして回生用クラッチ51での伝達トルクを最大にする。そこで、駆動力制御装置1では、モータジェネレータコントローラ11からの指令に応じて、ミッションコントローラ13で係合力を最大にした回生用クラッチ圧信号RPを設定し、回生用クラッチ圧調圧バルブ52により回生用クラッチ51を完全にオンする(S76)。すると、ロータ3bとリングギヤ44とが同じ回転数で回転し、サンギヤ41とリングギヤ44も同じ回転数で回転する。そして、モータプラネタリギヤ装置40では、車軸DSからのキャリア43の回転力により、プラネットギヤ42を介してサンギヤ41およびリングギヤ44が回転する。さらに、モータ3では、サンギヤ41およびリングギヤ44の回転によってロータ3bが回転する。
【0117】前記したように、エンジン2ではエンジントルクを発生していないので、エンジンプラネタリギヤ装置30では、リングギヤ34の回転数が徐々に減少している。また、車軸DSでのモータ3による回生制動力とブレーキシステム(図示せず)による制動力のため、車軸DSの回転数も徐々に減少している。そのため、モータプラネタリギヤ装置40でもリングギヤ44およびサンギヤ41の回転数が徐々に減少し、モータ3でもロータ3bの回転数が徐々に減少する。また、エンジンプラネタリギヤ装置30では、一定であったサンギヤ31(すなわち、ジェネレータ4のロータ4b)の回転数もリングギヤ34の回転数の減少に応じて減少を始め、逆方向に回転する。
【0118】やがて、エンジン2のクランク軸2bの回転が完全に停止し、キャリア33の回転も停止する。そして、エンジンプラネタリギヤ装置30では、サンギヤ31およびリングギヤ34の回転数も一層減少し、やがてサンギヤ31およびリングギヤ34の回転も完全に停止する。また、モータプラネタリギヤ装置40でも、サンギヤ41およびリングギヤ44の回転数も一層減少し、やがてサンギヤ41およびリングギヤ44の回転も完全に停止する。モータ3でも、ロータ3bの回転数が一層減少し、やがてロータ3bの回転も完全に停止する。そして、モータ3による回生制動力とブレーキシステム(図示せず)による制動力によって車軸DSの回転も停止して駆動輪W,Wの回転も停止し、ハイブリッド型車両が停止する。
【0119】この駆動力制御装置1によれば、エンジン走行モードでモータ3の駆動力を必要としない場合、モータ3のロータ3bの回転を固定することによってエンジン2の駆動力がロータ3bの回転によるフリクションで消費されないので、エンジン2の駆動効率が低下しない。また、この駆動力制御装置1では、ロータ3bを固定する場合、エンジントルクに応じてモータ3を減速制御してロータ3bの回転数を徐々に減少させ、ロータ3bの回転数が0になってからモータ休止用ワンウェイクラッチ55をオンさせるので、モータ3の休止状態にスムーズに移行する。
【0120】また、この駆動力制御装置1によれば、モータ3の休止状態からアシスト状態に移行する場合、エンジントルクに応じてモータ3を加速制御してロータ3bの回転数を徐々に増加させ、ロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数になったときに直結用ワンウェイクラッチ50をオンさせるので、クラッチの締結によるショックを生じることなくアシスト状態にスムーズに移行する。さらに、この駆動力制御装置1によれば、直結用ワンウェイクラッチ50をオンしてモータ3の駆動力をリングギヤ44に伝達できるようになるまで、サンギヤ41を介してモータ3の駆動力を伝達できるので、ドライバの加速要求に応じて素早くモータ3によるアシストができる。
【0121】また、この駆動力制御装置1によれば、モータ3の休止状態から回生制動状態に移行する場合、回生用クラッチ51をエンゲージ制御して係合力を徐々に増加させ、ロータ3bの回転数がリングギヤ44の回転数と同じ回転数になったときに回生用クラッチ51を完全にオンさせるので、クラッチの締結によるショックを生じることなく回生制動状態にスムーズに移行する。さらに、この駆動力制御装置1によれば、回生用クラッチ51を完全にオンしてモータ3の回生制動力をリングギヤ44に充分伝達できるようになるまで、サンギヤ41を介してモータ3の回生制動力を伝達できるので、ドライバの制動要求に応じて素早くモータ3による回生制動ができる。
【0122】次に、図1および図18を参照して、第2の実施の形態に係る駆動力制御装置61の構成について説明する。なお、駆動力制御装置61では、第1の実施の形態に係る駆動力制御装置1と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。また、駆動力制御装置61の全体構成としては、図示しないが、図1の駆動力伝達機構1aを駆動力伝達機構61aに置き換えた構成となる。図18は、第2の実施の形態に係る駆動力制御装置における駆動力伝達機構のスケルトン図である。
【0123】駆動力制御装置61は、各種センサからの信号に基づいてエンジン2による駆動力(スロットル開度)とモータ63による駆動力(モータ電流)を設定し、この駆動力を自動変速機ATまで伝達している。また、駆動力制御装置61は、各種センサからの信号に基づいてジェネレータ4による発電力(ジェネレータ電流)とモータ63による発電力(モータ電流)を設定し、この発電力をバッテリ5に充電している。さらに、駆動力制御装置61は、エンジン走行モード中にはモータ63によるフリクションロスを低減あるいは無くすために、モータ63のロータ63bを休止させる。そのために、駆動力制御装置61は、駆動力伝達機構61a、エンジン2、モータ63、ジェネレータ4、エンジンコントローラ10、モータジェネレータコントローラ11、モータジェネレータドライバ12、ミッションコントローラ13、ブレーキコントローラ14、車速センサ20、アクセル開度センサ21、水温センサ22、エンジン回転数センサ23、バッテリ残容量センサ24、モータロータ回転数センサ25、ジェネレータロータ回転数センサ26、レンジセンサ27、リングギヤ回転数センサ28、ブレーキペダルセンサ29等から構成されている。駆動力伝達機構61aは、エンジンプラネタリギヤ装置30、モータプラネタリギヤ装置40、直結用ワンウェイクラッチ50、回生用クラッチ51、回生用クラッチ圧調圧バルブ52、モータ休止用クラッチ53、モータ休止用クラッチ圧調圧バルブ54、モータ休止用ワンウェイクラッチ67、オイルポンプ56および第1減速ギヤ64、第2減速ギヤ65等から構成されている。特に、モータ63のロータ63bを休止するための機構として、駆動力伝達機構61a中のエンジンプラネタリギヤ装置30以外の構成要素によりモータ休止機構61bを構成している。
【0124】駆動力制御装置61は、駆動力制御装置1に対して(図2参照)、モータ63、モータ63の駆動力をモータプラネタリギヤ装置40に伝達する機構およびモータ休止用ワンウェイクラッチ67の配設位置が異なるだけで、他の構成は同じ構成である。そこで、モータ63、その駆動力の伝達機構およびモータ休止用ワンウェイクラッチ67の配設位置について説明する。
【0125】モータ63は、三相交流式の電動モータであり、ステータコイル63aに通電されて磁界を発生すると回転軸と一体となったロータ63bが回転するとともに、外力によってロータ63bが回転して磁界を発生するとステータコイル63aに電流が流れて電力を発生する。モータ63は、前記のように第1の実施の形態のモータ3と同様の構成であるが、モータ3と比較して、発生するモータトルクが小さくかつ高速回転可能な小型モータである。
【0126】モータ63は、ロータ軸63cに第1減速ギヤ64が連結されている。そして、第1減速ギヤ64には第2減速ギヤ65が噛み合っている。さらに、第2減速ギヤ65は、その回転軸65aにモータプラネタリギヤ装置40のサンギヤ41が連結されている。また、第2減速ギヤ65の回転軸65aとモータプラネタリギヤ装置40のリングギヤ44との間には、直結用ワンウェイクラッチ50および回生用クラッチ51が配設されている。
【0127】したがって、モータ63のロータ軸63cの回転は、第1減速ギヤ64および第2減速ギヤ65を介してモータプラネタリギヤ装置40のサンギヤ41に伝達され、第1減速ギヤ64と第2減速ギヤ65との減速比に応じて回転速度が減速されるが、その減速比に基づいて伝達トルクが大きくなる。そのため、モータ63は、前記したように、高速回転かつ小モータトルクのモータを用いている。
【0128】また、モータ63のロータ軸63cの回転は、第1減速ギヤ64および第2減速ギヤ65を介して直結用ワンウェイクラッチ50に伝達され、さらに直結用ワンウェイクラッチ50がオンしているときにはモータプラネタリギヤ装置40のリングギヤ44に伝達され、第1減速ギヤ64と第2減速ギヤ65との減速比に応じて回転速度が減速されるが、その減速比に基づいて伝達トルクが大きくなる。
【0129】さらに、車軸DSからの回転は、モータプラネタリギヤ装置40のキャリア43からプラネットギヤ42を介してサンギヤ41に伝達され、さらにサンギヤ41から第2減速ギヤ65および第1減速ギヤ64を介してモータ63のロータ軸63に伝達される。また、車軸DSからの回転は、リングギヤ44から回生用クラッチ51に伝達され、さらに回生用クラッチ51がオンしているときには第2減速ギヤ65および第1減速ギヤ64を介してモータ63のロータ軸63に伝達される。
【0130】モータ休止用ワンウェイクラッチ67は、第2減速ギヤ65の回転軸65aとモータ休止用クラッチ53との間に配設されており、モータ休止用クラッチ53によるロータ63bに対する固定力の伝達を断続するためのクラッチであるとともにロータ63bの逆回転による逆駆動力を伝達しないために回転方向を一方向に規制するためのクラッチである。そして、モータ休止用ワンウェイクラッチ67は、エンジン走行モード時にオンし、モータ休止用クラッチ53による固定力を第2減速ギヤ65および第1減速ギヤ64を介してロータ63bに伝達する。
【0131】駆動力制御装置61における制御は、前記した第1の実施の形態と同様の制御を行うので、その説明を省略する。なお、駆動力制御装置61での制御は、第1減速ギヤ64と第2減速ギヤ65との減速比を考慮し、第1の実施の形態の制御と比較して、モータ63の回転速度を高速かつモータトルクを低トルクとして制御する必要がある。
【0132】この駆動力制御装置61によれば、第1の実施の形態での効果に加えて、小型のモータ63を用いるので、スペース効率が向上し、コストも低減する。また、駆動力制御装置61では、エンジン走行モードにおいてモータ63を休止状態にしない場合は、車両の加減速に供しないロータ63bのイナーシャトルクが第2減速ギヤ65と第1減速ギヤ64との間のギヤ比の二乗にて回転イナーシャに加算されるため、モータ休止状態の効果が更に大きくなる。
【0133】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。例えば、本実施の形態ではエンジン走行モードの場合にモータのロータの回転を休止したが、モータが故障した場合やモータに電力を供給できない場合等のモータによる駆動力を発生できないときにもモータのロータの回転を休止するようにしてもよい。また、本実施の形態では駆動力制御装置を4つのコントローラで制御したが、1つのコントローラ等の幾つのコントローラで制御してもよい。また、本実施の形態では直結用ワンウェイクラッチおよび回生クラッチをモータプラネタリギヤ装置のリングギヤとモータのロータとの間に配設したが、エンジンプラネタリギヤ装置のリングギヤとモータプラネタリギヤ装置のリングギヤとは伝達軸を介して一体で回転するので、エンジンプラネタリギヤ装置のリングギヤとモータのロータとの間等に配設してもよい。また、本実施の形態ではモータのロータの回転をモータ休止用ワンウェイクラッチを介してモータ休止用クラッチで固定したが、他の機械的な機構で固定してもよいし、モータにモータ電流を供給してモータの作用により固定するようにしてもよい。
【0134】
【発明の効果】本発明の請求項1に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、モータによる駆動力を必要としない場合にはモータのロータの回転を休止することによって、モータのフリクションによってエンジンの駆動効率が低下しない。また、このハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、2つのプラネタリギヤ装置によりエンジンとモータとの動力を切断することができるので、エンジンによるモータの引きずりを防止することができる。
【0135】本発明の請求項2に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、第2所定条件のときにクラッチを係合して第2プラネタリギヤ装置のリングギヤとモータのロータとの間の回転を伝達できるようにしているので、クラッチ締結時のショックを防止し、モータの休止状態からアシスト状態や回生制動状態にスムーズに移行できる。
【0136】本発明の請求項3に係るハイブリッド型車両の駆動力制御装置は、ワンウェイクラッチによって、回転同期のタイミングを確実にすることができる。また、この駆動力制御装置は、油圧クラッチによって、クラッチの係合力を調整しながら回生制動状態にスムーズに移行できる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2003−111205(P2003−111205A)
【公開日】 平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願番号】 特願2001−299184(P2001−299184)