トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法
【発明者】 【氏名】水田 徹
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【氏名】遠矢 正一
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【氏名】寺地 淳
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【要約】 【課題】ハイブリッドカーの走行に悪影響を与えることなく容量ばらつきを解消する。電池寿命を短くすることなく容量ばらつきを解消する。

【解決手段】充放電制御方法は、複数の電池を直列に接続してなる駆動用二次電池8を複数の電池ユニットに分割すると共に、電池ユニットまたは駆動用二次電池8全体の相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池8の充放電を制御する。充放電許容領域は、通常モード領域と容量差解消モード領域とを設けており、容量差解消モード領域の最大値を、100%以下であって通常モード領域の最大値よりも大きく設定している。充放電制御方法は、複数の電池ユニットの相対残存容量の差を検出して、この差が設定値よりも大きくなると、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に変更して充放電して、各々の電池ユニットの相対残存容量の差を少なくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の電池を直列に接続してなる走行用モーターを駆動する駆動用二次電池(8)を複数の電池ユニットに分割すると共に、電池ユニットまたは駆動用二次電池(8)全体の相対残存容量があらかじめ設定している充放電許容領域となるように駆動用二次電池(8)の充放電を制御するハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法において、充放電許容領域として、通常モード領域と容量差解消モード領域とを設け、容量差解消モード領域の最大値を、100%以下であって通常モード領域の最大値よりも大きく設定し、複数の電池ユニットの相対残存容量の差を検出して、電池ユニットの相対残存容量の差が設定値よりも大きくなると、駆動用二次電池(8)の充放電を制御する充放電許容領域を、通常モード領域から容量差解消モード領域に変更して充放電して、各々の電池ユニットの相対残存容量の差を少なくすることを特徴とするハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項2】 複数の素電池を直列に接続しているひとつの電池モジュール(1)をひとつの電池ユニットとする請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項3】 複数の素電池を直列に接続している電池モジュール(1)の複数個をひとつの電池ユニットとする請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項4】 電池モジュール(1)を構成する素電池をひとつの電池ユニットとする請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項5】 駆動用二次電池(8)全体の相対残存容量を検出し、駆動用二次電池(8)全体の相対残存容量が充放電許容領域となるように、駆動用二次電池(8)の充放電を制御する請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項6】 複数の電池ユニットの相対残存容量を検出し、全ての電池ユニットの相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池(8)の充放電を制御する請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項7】 複数の電池ユニットの相対残存容量を検出し、検出した電池ユニットの相対残存容量の平均値を演算し、演算された平均相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池(8)の充放電を制御する請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項8】 通常モード領域の最低容量を20〜40%とし、最大容量を60〜80%とする請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項9】 容量差解消モード領域の最低値を通常モード領域の最大値とする請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項10】 各々の電池ユニットの相対残存容量の差を検出し、相対残存容量の差が設定値よりも小さくなると、駆動用二次電池(8)を充放電させる充放電許容領域を、容量差解消モード領域から通常モード領域に切り換える請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項11】 充放電許容領域を容量差解消モード領域として駆動用二次電池(8)を充放電させる時間をタイマーで設定している請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項12】 電池温度を検出し、電池温度が設定温度よりも低いときにかぎって、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に切り換える請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【請求項13】 ハイブリッドカーのイグニッションスイッチをオンとするときに、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に切り換えて、駆動用二次電池(8)を充放電する請求項1に記載されるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モーターとエンジンの両方で走行するハイブリッドカーに搭載される電源装置の充放電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッドカーは、搭載しているエンジンで発電機を回転させて駆動用二次電池を充電しながら走行する。駆動用二次電池は、モーターに電力を供給して放電され、エンジンで駆動される発電機で充電される。駆動用二次電池は、相対残存容量を充放電許容領域に制御しながら、充放電される。ハイブリッドカーにおいて、充放電許容領域は、たとえば30〜70%に設定される。相対残存容量をこの範囲に制御しながら充放電させるのは、駆動用二次電池の寿命をできるかぎり長くするためである。この範囲で充放電される駆動用二次電池は、過充電と過放電が防止されると共に、電池の劣化を最小にできる範囲で充放電される。
【0003】ところで、ハイブリッドカーに搭載される電源装置は、出力を大きくするために、複数の電池ユニットを直列に接続している。直列接続の電池ユニットは、同じ電流で充放電される。したがって、原理的には、各々の電池ユニットの相対残存容量が同じになるはずである。しかしながら、現実には、各々の電池ユニットの相対残存容量にばらつきが発生する。それは、全ての電池ユニットを全く同一特性に製造することができず、また、複数の電池ユニットの使用環境、とくに周囲温度を全く同一にできないことが原因で発生する。多数の電池ユニットを使用して、相対残存容量にばらつきが発生すると、相対残存容量が大きい電池ユニットは過充電に近い状態となり、相対残存容量の小さい電池ユニットは過放電に近い状態で使用される。この状態になった電池ユニットは劣化しやすく、電池寿命を短くする原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この弊害を解消するために、各々の電池ユニットのばらつきを解消する制御方法として、以下の3つの方法が開発されている。第1の方法は、各々の電池ユニットの充放電電流を変化させて、相対残存容量を均一にする。この方法は、たとえば、容量が大きくなっている電池ユニットにバイパス回路を接続して充電電流を減少し、あるいは容量が大きくなっている電池ユニットに放電回路を接続して、この電池ユニットを放電して容量を小さくする。この方法は、各々の電池ユニットの単位で充放電の電流を制御するので、回路が複雑になると共に、充放電の制御も複雑になる欠点がある。
【0005】第2の方法は、相対残存容量が100%を越えるまで充電して、電池ユニットの相対残存容量を100%に揃える。この方法は、電池ユニットを過充電するので、電池寿命が短くなるという最大の欠点がある。ハイブリッドカーの駆動用二次電池は、極めて多数の電池で構成されるので極めて高価である。このため、いかにして長い期間使用できるかが極めて大切である。したがって、寿命を短くする制御は、この種の電池制御に最大の弊害となる。さらに、この方法は、容量のばらつきを少なくするときに電池が高温になる欠点もある。
【0006】第3の方法は、第2の方法と同じように、100%を越えるまで充電して、電池ユニットの容量を100%に揃えた後、強制的に放電して容量を、たとえば60%程度まで減少させる。この方法は、強制的に放電して容量を60%まで減少させるので、このときに電池の充電が禁止される。したがって、回生制動での減速ができなくなるなど、ハイブリッドカーの走行を制限する弊害がある。さらに、この方法は、全ての電池ユニットを100%を越えるまで充電した後、容量が60%になるまで強制的に放電させるので、容量のばらつきを解消するのに時間がかかり、しかもこの時間帯において、ハイブリッドカーの走行を優先した制御をできなくなる欠点がある。
【0007】本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、ハイブリッドカーの走行を優先するように駆動用二次電池を充放電をさせて、ハイブリッドカーの走行に悪い影響を与えることなく容量ばらつきを解消できるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法を提供することにある。また、本発明の他の大切な目的は、電池の過充電を防止しながら容量ばらつきを解消して、電池寿命を短くすることなく容量ばらつきを解消できるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法を提供することにある。さらにまた、本発明の他の大切な目的は、過充電して容量ばらつきを解消する方法に比較して電池の温度を低温にでき、しかも容量ばらつきを解消した後における駆動用二次電池の出力低下を極減できるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法を提供することにある。また、多数の電池ユニットを個々に充放電制御する必要がなく、充放電を制御する回路と制御方法の両方を簡単にして容量ばらつきを少なくできるハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のハイブリッドカーの電源装置の充放電制御方法は、複数の電池を直列に接続して、走行用モーターを駆動する駆動用二次電池8を複数の電池ユニットに分割すると共に、電池ユニットまたは駆動用二次電池8全体の相対残存容量があらかじめ設定している充放電許容領域となるように駆動用二次電池8の充放電を制御する。さらに、本発明の充放電制御方法は、充放電許容領域として、通常モード領域と容量差解消モード領域とを設けている。容量差解消モード領域は、最大値を、100%以下であって通常モード領域の最大値よりも大きく設定している。充放電制御方法は、複数の電池ユニットの相対残存容量の差を検出して、電池ユニットの相対残存容量の差が設定値よりも大きくなると、駆動用二次電池8の充放電を制御する充放電許容領域を、通常モード領域から容量差解消モード領域に変更して充放電して、各々の電池ユニットの相対残存容量の差を少なくする。
【0009】本発明の充放電制御方法は、複数の素電池を直列に接続しているひとつの電池モジュール1をひとつの電池ユニットとすることができる。さらに、充放電制御方法は、複数の素電池を直列に接続している電池モジュール1の複数個をひとつの電池ユニットとすることも、電池モジュール1を構成する素電池をひとつの電池ユニットとすることもできる。
【0010】さらに、本発明の充放電制御方法は、駆動用二次電池8全体の相対残存容量を検出し、駆動用二次電池8全体の相対残存容量が充放電許容領域となるように、駆動用二次電池8の充放電を制御することができる。さらに、充放電制御方法は、複数の電池ユニットの相対残存容量を検出し、全ての電池ユニットの相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池8の充放電を制御することもできる。さらにまた、充放電制御方法は、検出した複数の電池ユニットの相対残存容量の平均値を演算し、演算された平均相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池8の充放電を制御することもできる。
【0011】通常モード領域は、最低容量を20〜40%とし、最大容量を60〜80%とすることができる。容量差解消モード領域は、最低値を通常モード領域の最大値とすることができる。
【0012】さらに、充放電制御方法は、各々の電池ユニットの相対残存容量の差を検出し、相対残存容量の差が設定値よりも小さくなると、駆動用二次電池8を充放電させる充放電許容領域を、容量差解消モード領域から通常モード領域に切り換えることができる。さらに、充放電制御方法は、充放電許容領域を容量差解消モード領域として駆動用二次電池8を充放電させる時間をタイマーで設定することもできる。
【0013】さらに、充放電制御方法は、電池温度を検出し、電池温度が設定温度よりも低いときにかぎって、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に切り換えることができる。さらにまた、充放電制御方法は、ハイブリッドカーのイグニッションスイッチをオンとするときに、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に切り換えて、駆動用二次電池8を充放電することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための充放電制御方法を例示するものであって、本発明は充放電制御方法を以下の方法に特定しない。
【0015】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】図1は、ハイブリッドカーに搭載される電源装置の回路図である。この電源装置は、ハイブリッドカーを走行させるモーターを駆動する駆動用二次電池8を備える。駆動用二次電池8は、出力電圧を高くするために、複数の電池モジュール1を直列に接続している。電池モジュール1は、複数の素電池を直列に接続している。素電池は、ニッケル−水素電池やリチウムイオン二次電池である。ただ、この素電池には、鉛電池やニッケル−カドミウム電池も使用できる。図の電源装置は、複数の電池モジュール1を直列に接続して駆動用二次電池8としている。
【0017】本発明の充放電制御方法は、駆動用二次電池8を複数の電池ユニットに分割して、各々の電池ユニットの相対残存容量を揃えるように充放電を制御する。ひとつの電池ユニットは、ひとつまたは複数の素電池で構成される。複数の素電池で構成される電池ユニットは、好ましくはひとつの電池モジュール1とする。すなわち、ひとつの電池モジュール1をひとつの電池ユニットとして、電池ユニットの相対残存容量を揃えるように充放電する。ただ、複数個の電池モジュールをひとつの電池ユニットとして、電池ユニットの相対残存容量を揃えるように制御することもできる。
【0018】図の電源装置は、ひとつの電池モジュール1をひとつの電池ユニットとして、相対残存容量を検出する。直列に接続している複数の電池モジュール1は、充放電する電流は同じであっても、相対残存容量は必ずしも同じにはならない。それは、電池モジュール1によって使用される温度環境等が異なり、これによって充電できる最大容量や充放電の効率等が変化するからである。図示しないが、複数の電池モジュールをひとつの電池ユニットとする装置は、複数の電池モジュールをひとつとして相対残存容量を検出する。
【0019】図の電源装置は、各々の電池モジュール1の相対残存容量を検出するために、各々の電池モジュール1に、電圧と温度を検出するセンサー(図示せず)と、相対残存容量を検出する演算回路2を設けている。演算回路2は、検出した電圧と、温度と、演算した相対残存容量を、通信バス4を介してコントロール3に伝送する。演算回路2は、各々の電池モジュール1の相対残存容量を演算し、演算した相対残存容量を通信バス4でコントロール3に伝送する。演算回路2は、以下の式で示すように、充電容量と放電容量と最大充電容量から相対残存容量を演算する。
相対残存容量=(充電容量−放電容量)×100/最大充電容量充電容量は、充電電流の積算値に充電効率を掛けて計算される。放電容量は、放電電流の積算値に放電効率を掛けて計算される。最大充電容量は、電池ユニットに充電できる最大容量である。最大充電容量は、電池ユニットが劣化するにしたがって減少する。このため、充放電の回数や経過時間で補正され、あるいは、最低電圧から最高電圧になるまでの充電容量等で補正される。
【0020】演算回路2は、電池ユニットの電圧を検出して相対残存容量を検出することもできる。相対残存容量が減少するにしたがって電圧が低下するので、電池ユニットの電圧を検出して相対残存容量を演算できる。また、前述の計算式で示すように、充電容量と放電容量から計算した相対残存容量を、所定の電圧になったときに補正して、相対残存容量を最も正確に検出できる。したがって、本発明の充放電制御方法は、電池ユニットの相対残存容量を検出する方法を特定しない。電池ユニットの相対残存容量は、現在採用される全ての方法で検出でき、また、これから開発される方法で検出できる。
【0021】演算回路2は、検出した電圧と温度と、演算した相対残存容量をデジタル信号に変換して通信バス4で出力する。したがって、電圧と温度をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを内蔵している。A/Dコンバータは、検出したアナログ信号をデジタル信号に変換してコントロール3に伝送する。演算回路2は、一定のサンプリング周期で、検出した信号をデジタル信号に変換して相対残存容量を演算し、演算した相対残存容量をコントロール3に伝送する。サンプリング周期は、好ましくは100msecである。ただし、サンプリング周期は10msec〜1secとすることもできる。演算回路2は、常に一定のサンプリング周期で、電圧や温度を検出する必要はない。たとえば、ハイブリッドカーを走行しているときのサンプリング周期を短くして、走行していないときにはサンプリング周期を長くして、無駄な電力消費を少なくすることもできる。
【0022】各々の電池モジュール1は直列に接続しているので、流れる電流は同じである。したがって、図の電源装置は、ひとつの電流検出回路5を設けている。この電流検出回路5も、A/Dコンバータを内蔵している。検出された電流信号は、デジタル信号に変換されて、通信バス4を介して演算回路2とコントロール3に伝送される。このA/Dコンバータも、所定のサンプリング周期で電流信号をデジタル信号に変換する。ハイブリッドカーが走行しているとき、電池に流れる電流は、短い時間で大きく変動する。したがって、電流検出回路5は、できるかぎり短いサンプリング周期、たとえば100msecの周期で、電流信号をデジタル信号に変換して、コントロール3に伝送する。さらに、サンプリング周期を短くすることもできる。
【0023】図のコントロール3は、バッテリECU7と車側コントロール6を備える。コントロール3は、各々の演算回路2から伝送されてくる相対残存容量が充放電許容領域となるように、駆動用二次電池8の充放電を制御する。コントロール3は、通常モードと容量差解消モードのいずれかで、駆動用二次電池8を充放電させる。通常モードは、ハイブリッドカーを通常に走行させるモードである。容量差解消モードは、電池ユニットの相対残存容量の差が所定値よりも大きくなったときに充放電するモードで、電池ユニットの相対残存容量の差を少なくする充放電モードである。
【0024】コントロール3は、通常モードと容量差解消モードにおいて、充放電許容領域を変更する。図2は、通常モード領域と容量差解消モード領域を示している。この図は、通常モード領域を30〜70%とし、容量差解消モード領域を70〜100%としている。充放電許容領域をこの範囲に設定するコントロール3は、通常モードにおいては、相対残存容量が30〜70%となるように充放電を制御し、容量差解消モードにおいては、相対残存容量が70〜100%となるように充放電を制御する。容量差解消モードは、容量差を少なくするために、充放電許容領域の最大値を通常モード領域の最大値よりも大きく設定している。また、図2は、容量差解消モード領域の最低値を通常モード領域の最大値としている。このように、容量差解消モード領域を設定すると、速やかに容量差を解消できる。ただ、容量差解消モード領域の最低値は、通常モード領域の最大値よりも小さくすることもできる。容量差解消モード領域をこの領域に設定すると、容量差解消モードにおいて駆動用二次電池8を実質的に充放電できる容量を大きくできる。
【0025】電池ユニットは、100%近くまで充電されるにしたがって、充電効率が低下する。このため、100%近くまで充電すると、相対残存容量の大きい電池ユニットの充電効率は、相対残存容量の小さい電池ユニットの充電効率より低下する。したがって、図2に示すように、容量差解消モード領域で充放電することにより、電池ユニットの容量差が少なくなる。なお、図2は、相対残存容量の大きい電池ユニットの相対残存容量の変化を実線で、相対残存容量の小さい電池ユニットの相対残存容量の変化を鎖線で示している。
【0026】図2は、容量差解消モード領域を70〜100%に設定しているが、容量差解消モード領域は、最大値を100%以下であって、通常モード領域の最大値よりも大きく設定して、容量差を少なくできる。最大値を100%以下にするのは、過充電による電池性能の低下を防止するためである。また、最大値を通常モード領域の最大値よりも大きくするのは、より深く充電して容量差を少なくするためである。さらに、図2は、通常モード領域を30〜70%に設定しているが、通常モード領域は、最低値を20〜40%とし、最大値を60〜80%とすることもできる。通常モード領域の最低値を小さくして最大値を大きくして範囲を広くすると、駆動用二次電池8を実質的に充放電できる容量が増加する。ただ、この範囲を広くすることは、駆動用二次電池8の寿命を短くする。したがって、通常モード領域は、駆動用二次電池8の寿命と放電容量を考慮して最適値に設定する。
【0027】コントロール3は、駆動用二次電池8の相対残存容量を検出し、検出した相対残存容量が充放電許容領域となるように充放電を制御する。このとき、コントロール3は、好ましくは、複数の電池ユニットの相対残存容量を別々に検出し、全ての電池ユニットの相対残存容量が充放電許容領域にあるように駆動用二次電池8の充放電を制御する。この制御方法は、いずれの電池ユニットの相対残存容量も、充放電許容領域からでることがない。このため、電池ユニットの劣化を最も少なくできる。ただ、本発明の充放電制御方法は、複数の電池ユニットの相対残存容量を検出して、検出した電池ユニットの相対残存容量の平均値を演算し、演算された平均相対残存容量が充放電許容領域となるように駆動用二次電池8の充放電を制御することもできる。また、駆動用二次電池8全体の相対残存容量を検出し、駆動用二次電池8全体の相対残存容量が充放電許容領域となるように、駆動用二次電池8の充放電を制御することもできる。
【0028】コントロール3は、電池ユニットの容量差が設定値よりも大きくなると、充放電のモードを通常モードから容量差解消モードに切り換える。容量差解消モードで充放電させて、電池ユニットの容量差が設定値よりも少なくなり、あるいは所定の時間経過すると、容量差解消モードから通常モードに切り換えて通常の状態で駆動用二次電池8を充放電させる。
【0029】図3は、コントロールが電池ユニットの容量差を少なくするフローチャートを示している。この方法は、以下のようにて、電池ユニットの容量差を少なくする。
[n=1のステップ]コントロール3は、駆動用二次電池8を通常モードで充放電させる。
[n=2のステップ]コントロール3は、各々の電池ユニットの容量差が設定値よりも大きくなったかどうかを判別する。容量差が設定値よりも小さいとこのステップをループする。
[n=3のステップ]電池ユニットの容量差が設定値よりも大きくなると、このステップで通常モードを容量差解消モードに切り換える。
[n=4〜5のステップ]容量差解消モードの充放電許容領域は、通常モード領域よりも大きい。したがって、このステップにおいて、駆動用二次電池8を充電して、各々の電池ユニットまたは駆動用二次電池8全体の相対残存容量を容量差解消モード領域とする。
[n=6のステップ]駆動用二次電池8を容量差解消モードで充放電させる。容量差解消モードで充放電された電池ユニットは、図2の実線と鎖線で示すように、容量差が次第に少なくなる。
[n=7のステップ]電池ユニットの容量差が設定値よりも小さくなったかどうかを判別する。電池ユニットの容量差が設定値より少なくなるまでn=6のステップをループする。このステップは、電池ユニットの容量差を検出して、容量差解消モードを終了させるので、電池ユニットの容量差を確実に減少できる。ただ、本発明は容量差解消モードをタイマーで終了させることもできる。このタイマーは、容量差解消モードで駆動用二次電池8を充放電させる時間を記憶している。この方法は、タイマーがセットアップすると、容量差解消モードを通常モードに切り換える。
[n=8のステップ]電池ユニットの容量差が設定値よりも小さくなると、容量差解消モードを通常モードに切り換える。
[n=9〜10のステップ]通常モードの充放電許容領域は、容量差解消モードよりも小さいので、駆動用二次電池8を放電して、電池ユニットまたは駆動用二次電池8全体の相対残存容量を通常モード領域とする。いいかえると、相対残存容量が通常モード領域となるまで放電する。
【0030】
【発明の効果】本発明の充放電制御方法は、駆動用二次電池の容量ばらつきを極めて理想的に解消できる特長がある。それは、本発明の充放電制御方法が、駆動用二次電池を複数の電池ユニットに分割すると共に、複数の電池ユニットの相対残存容量の差を検出して、この差が設定値よりも大きくなると、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に変更して充放電するからである。本発明の充放電制御方法は、容量差解消モード領域の最大値を、100%以下であって通常モード領域の最大値よりも大きく設定している。すなわち、容量差解消モード領域を通常モード領域よりも高い領域に設定している。電池ユニットは、100%近くまで充電されるにしたがって充電効率が低下する特性がある。このため、容量差解消モード領域で充電することによって、相対残存容量の大きい電池ユニットは、相対残存容量の小さい電池ユニットに比べて充電効率が低下し、これらの電池ユニットの容量差が少なくなる。このように、本発明の充放電制御方法は、充放電許容領域を通常モード領域から容量差解消モード領域に変更するという極めて簡単な制御によって、複数の電池ユニットの容量ばらつきを解消できる。
【0031】以上のように、本発明の充放電制御方法は、電池を過充電することなく容量のばらつきを解消できるので、ハイブリッドカーの走行に悪い影響を与えることなく、いいかえるとハイブリッドカーの走行を優先しながら充放電を制御できる特長がある。さらに、本発明の充放電制御方法は、電池を過充電しないので、電池温度を高温にすることがなく、容量ばらつきを解消した後における駆動用二次電池の出力低下を極減できる特長もある。さらにまた、過充電されない電池は、電池寿命を長くできる特長もある。電池寿命を長くできることは、極めて多数の電池で構成されるハイブリッドカーの駆動用二次電池にとって極めて重要である。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
【公開番号】 特開2003−111204(P2003−111204A)
【公開日】 平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願番号】 特願2001−299085(P2001−299085)