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【発明の名称】 車両用回転電機駆動装置
【発明者】 【氏名】山下 剛
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】給電する車両用回転電機の動作状態切り替えによる電源系の電圧変動を抑止可能な車両用回転電機駆動装置を提供すること。

【解決手段】DC−DCコンバータ2のスイッチング素子Q1、Q2のデューティ比を高電圧電源系200の電圧VHを所定の目標範囲に収束させるようにフィードバック制御する。この場合、スイッチング素子Q1、Q2の制御を力行動作と回生動作とで切り替えが生じると、切り替え時の回路状態急変により低電圧電源系100の電圧や電流が急変し、低電圧電源系100のバッテリ1や他の低圧系のコンポーネントに悪影響を与える可能性がある。そこで、切り替え前後において、DC−DCコンバータ2の送電方向切り替えと同時に、低電圧電源系100の電圧や電流が低電圧電源系100のバッテリ1の許容範囲内に収まるようにスイッチング素子Q1、Q2の最大デューティ比を切り替える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行動力の発生、回生の少なくとも一部を担当する高電圧の車両用回転電機とインバータ装置を通じて双方向電力授受する高電圧電源系と、低電圧のバッテリを有して前記高電圧電源系よりも低電圧を発生する低電圧電源系と、前記両電源系の間に配置されて前記両電源系間の双方向電力授受を制御するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータに内蔵されるスイッチング素子をPWM制御する制御部と、を備える車両用回転電機駆動装置において、前記制御部は、前記高電圧電源系の電圧を所定の目標範囲に収束させるように前記スイッチング素子のデューティ比をフィードバック制御するとともに、前記車両用回転電機の力行動作と回生動作との切り替えに応じて、又は、前記切り替えに伴う前記高電圧電源系の電圧変化に応じて、前記スイッチング素子の最大デューティ比を前記低電圧電源系の電圧変動抑制方向に切り替えることを特徴とする車両用双方向DC−DCコンバータ装置。
【請求項2】請求項1記載の車両用回転電機駆動装置において、前記DC−DCコンバータは、互いに直列接続されて前記高電圧電源系の両端に接続されるハイサイド側の前記スイッチング素子及びローサイド側の前記スイッチング素子と、前記両スイッチング素子の接続点と前記低電圧電源系の高位端とを接続するリアクトルとを有し、前記制御部は、前記高電圧電源系から前記低電圧電源系への送電時すなわち前記回生動作時に前記ハイサイド側のスイッチング素子を第一の最大デューティ比の範囲内でPWM制御し、前記低電圧電源系から前記高電圧電源系への送電時すなわち前記力行動作時に前記ローサイド側のスイッチング素子を第二の最大デューティ比の範囲内でPWM制御することを特徴とする車両用回転電機駆動装置。
【請求項3】請求項1記載の車両用回転電機駆動装置において、前記制御部は、前記バッテリの温度又は電流に関連する検出信号に基づいて、前記最大デューティ比を変更することを特徴とする車両用回転電機駆動装置。
【請求項4】高電圧のバッテリを有して走行動力の発生、回生の少なくとも一部を担当する高電圧の車両用回転電機とインバータ装置を通じて双方向電力授受する高電圧電源系と、低電圧のバッテリを有して前記高電圧電源系よりも低電圧を発生する低電圧電源系と、前記両電源系の間に配置されて前記両電源系間の双方向電力授受を制御するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータに内蔵されるスイッチング素子をPWM制御する制御部と、を備える車両用回転電機駆動装置において、前記制御部は、前記車両用回転電機の動作状態の急変に応じて、又は、前記急変に伴う前記高電圧電源系の急変に応じて、前記低電圧のバッテリの許容電流範囲内で前記高電圧電源系の電圧変動を抑制する向きに自己の送電状態を制御することを特徴とする車両用回転電機駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用回転電機駆動装置に関し、詳しくは双方向DC−DCコンバータを有する車両用回転電機駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走行動力の発生、回生だけを行う車両用回転電機や、それらの動作としてのトルクアシスト動作や回生制動動作に加えて更にエンジン始動動作や車両電気負荷給電用の発電動作を行う車両用回転電機が知られている。このように電動動作と発電動作を適宜切り替えることができる車両用回転電機としては、インバータ回路により交流駆動されるブラシレス同期機が採用されるのが通常である。
【0003】これらの車両用回転電機は、回転電機やそれを駆動するインバータ回路の小型化や効率向上のためにできるだけ高電圧仕様とすることが望ましいが、車載バッテリは定められた所定の低電圧定格のものを用いざるを得ないため、車載バッテリとインバータ回路との間に双方向電力授受可能なDC−DCコンバータを介設する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した双方向DC−DCコンバータをもち車両用回転電機に給電する車両用回転電機駆動装置では、車両用回転電機の電動動作と発電動作との切り替え時に回路状態の急変により低電圧電源系又は高電圧電源系の電圧がオーバーシュートして過大となり、バッテリやそれに接続される電気機器に悪影響を与える可能性がある。
【0005】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、給電する車両用回転電機の動作状態切り替えによる電源系の電圧変動を抑止可能な車両用回転電機駆動装置を提供することを、その目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の車両用回転電機駆動装置は、走行動力の発生、回生の少なくとも一部を担当する高電圧の車両用回転電機とインバータ装置を通じて双方向電力授受する高電圧電源系と、低電圧のバッテリを有して前記高電圧電源系よりも低電圧を発生する低電圧電源系と、前記両電源系の間に配置されて前記両電源系間の双方向電力授受を制御するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータに内蔵されるスイッチング素子をPWM制御する制御部とを備える車両用回転電機駆動装置において、前記制御部は、前記高電圧電源系の電圧を所定の目標範囲に収束させるように前記スイッチング素子のデューティ比をフィードバック制御するとともに、前記車両用回転電機の力行動作と回生動作との切り替えに応じて、又は、前記切り替えに伴う前記高電圧電源系の電圧変化に応じて、前記スイッチング素子の最大デューティ比を前記低電圧電源系の電圧変動抑制方向に切り替えることを特徴としている。
【0007】すなわち、本構成によれば、DC−DCコンバータのスイッチング素子のデューティ比を高電圧電源系の電圧を所定の目標範囲に収束させるようにフィードバック制御する。この場合、スイッチング素子の制御を力行動作と回生動作とで切り替えが生じると、切り替え時の回路状態急変により低電圧電源系の電圧や電流が急変し、低電圧電源系のバッテリに悪影響が生じる。
【0008】そこで、本構成では、切り替え前後において、DC−DCコンバータの送電方向切り替えと同時に、低電圧電源系の電圧や電流が低電圧電源系のバッテリの許容範囲内に収まるようにスイッチング素子の最大デューティ比の値も同時に切り替える。これにより、DC−DCコンバータの動作状態(送電方向)の切り替え時に低電圧電源系の電源ラインに重畳するオーバーシュート電圧を抑制することができるので、バッテリへの悪影響を抑止しつつ、車両用回転電機の動作モードの切り替えを実行することができる。
【0009】請求項2記載の構成は請求項1記載の車両用回転電機駆動装置において更に、前記DC−DCコンバータが、互いに直列接続されて前記高電圧電源系の両端に接続されるハイサイド側の前記スイッチング素子及びローサイド側の前記スイッチング素子と、前記両スイッチング素子の接続点と前記低電圧電源系の高位端とを接続するリアクトルとを有し、前記制御部が、前記高電圧電源系から前記低電圧電源系への送電時すなわち前記回生動作時に前記ハイサイド側のスイッチング素子を第一の最大デューティ比の範囲内でPWM制御し、前記低電圧電源系から前記高電圧電源系への送電時すなわち前記力行動作時に前記ローサイド側のスイッチング素子を第二の最大デューティ比の範囲内でPWM制御することを特徴としている。
【0010】すなわち、本構成によれば、簡素な構成で上記請求項1記載の効果を実現することができる。
【0011】請求項3記載の構成は請求項1記載の車両用回転電機駆動装置において更に、前記制御部が、前記バッテリの温度又は電流に関連する検出信号に基づいて、前記最大デューティ比を変更することを特徴としている。
【0012】本構成によれば、低電圧電源系のバッテリの許容電圧(充電時最大電圧と放電時最小電圧)がその温度や電流に応じて変動するのに合わせて、上記バッテリ充電時の最大デューティ比及び上記バッテリの放電時の最大デューティ比をそれぞれ変化させるので、バッテリの温度や電流が変化しても上記切り替えによるバッテリへの悪影響の増大を回避することができる。
【0013】請求項4記載の車両用回転電機駆動装置は、高電圧のバッテリを有して走行動力の発生、回生の少なくとも一部を担当する高電圧の車両用回転電機とインバータ装置を通じて双方向電力授受する高電圧電源系と、低電圧のバッテリを有して前記高電圧電源系よりも低電圧を発生する低電圧電源系と、前記両電源系の間に配置されて前記両電源系間の双方向電力授受を制御するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータに内蔵されるスイッチング素子をPWM制御する制御部とを備える車両用回転電機駆動装置において、前記制御部が、前記車両用回転電機の動作状態の急変に応じて、又は、前記急変に伴う前記高電圧電源系の急変に応じて、前記低電圧のバッテリの許容電流範囲内で前記高電圧電源系の電圧変動を抑制する向きに自己の送電状態を制御することを特徴としている。
【0014】すなわち、本構成によれば、高電圧電源系及び低電圧電源系がそれぞれバッテリを有する二電源系において、高電圧電源系のバッテリの電圧変動を抑止するために低電圧電源系のバッテリの許容範囲でDC−DCコンバータを駆動制御するので、高電圧電源系の電圧変動を低減することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の車両用回転電機駆動装置の好適な実施態様を図1を参照して説明する。
【0016】(全体構成)1は低電圧電源系100のバッテリ(低圧バッテリ)、2は双方向DC−DCコンバータ(DC−DCコンバータ)、3は三相のインバータ回路、4はDC−DCコンバータ制御用のコントローラ(制御部)、5は車両走行モータをなす同期機、6、7は平滑コンデンサである。
【0017】DC−DCコンバータ2は、リアクトルLと、それぞれフライホイルダイオードDを有するIGBTからなるハイサイド側のスイッチング素子Q1及びローサイド側のスイッチング素子Q2とからなる。リアクトルLは、両スイッチング素子Q1、Q2の接続点と低圧バッテリ1の高位端とを接続し、ハイサイド側のスイッチング素子Q1の他端は高電圧電源系200の高電位電源ラインVHに接続され、ローサイド側のスイッチング素子Q2の他端は接地されている。VLは低電圧電源系100の高電位電源ラインであり、リアクトルLと低圧バッテリ1の高位端とを接続している。
【0018】インバータ回路3は、6個のIGBTと6個のフライホイルダイオードとを一対づつ逆並列接続してなる周知の三相インバータ回路であって、高電圧電源系200の直流高電圧を三相交流電圧に変換して三相同期機5の電機子コイルに印加している。インバータ回路3は、図示しないインバータ制御用コントローラに制御されて、同期機5の回転子位置に応じて所定の位相の三相交流電圧を同期機5の電機子巻線に印加する。なお、この三相交流電圧の上記所定の位相は発電動作時と電動動作時とで異なる。すなわち、上記インバータ制御用コントローラは車両の要求に応じて、同期機5の回転子位置を基準として三相交流電圧の上記所定の位相を変更することにより、同期機5の発電動作と電動動作とを切り替える。これらの制御はもはや周知であるので、更に詳しい説明は省略する。
【0019】コントローラ4は、高電位電源ラインVHの電圧が所定目標値になるようにフィードバック制御するとともに、双方向DC−DCコンバータ2の動作モード切替に際してそのデューティ比を所定の最大デューティ比未満に制限する機能を有している。
【0020】(基本動作)車両用回転電機5の電動動作(力行動作)時と、発電動作(回生動作)時とで動作が異なるので、両動作を順次説明する。
【0021】まず、電動動作(力行動作)におけるDC−DCコンバータ制御の基本を以下に説明する。
【0022】電動動作(力行動作)には低圧バッテリ1が必要電力をインバータ回路に給電する必要がある。
【0023】そこで、コントローラ4は、ローサイド側のスイッチング素子Q2を第一のデューティ比の範囲内でPWMスイッチングする。すなわち、スイッチング素子Q2をオンすると低圧バッテリ1からリアクトルL、スイッチング素子Q2を通じて電流が流れ、リアクトルLに電磁エネルギーが蓄積され、スイッチング素子Q2を遮断するとリアクトルLは電流状態を持続しようとしてハイサイド側のスイッチング素子Q1と逆並列に接続したフライホイルダイオードDを通じて高電位電源ラインVHに電流を流す。以下、低圧バッテリ1はこの繰り返しにより持続的にインバータ回路3に直流電力を給電する。
【0024】また、コントローラ4は、高電位電源ラインVHの電圧の増加によりスイッチング素子Q2のデューティ比を減少し、高電位電源ラインVHの電圧の減少によりスイッチング素子Q2のデューティ比を増大するフィードバック制御を行っている。
【0025】これにより、高電位電源ラインVHの電圧が増加するとスイッチング素子Q2のデューティ比減少によりリアクトルLの蓄積電磁エネルギーが減少してDC−DCコンバータ2の出力電圧が低下し、逆に、高電位電源ラインVHの電圧が減少するとスイッチング素子Q2のデューティ比増大によりリアクトルLの蓄積電磁エネルギーが増大してDC−DCコンバータ2の出力電圧が増加し、高電位電源ラインVHの電圧は所定範囲に維持される。
【0026】したがって、スイッチング素子Q2のデューティ比の増加は、低圧バッテリ1の放電電流の増大を招く。そこで、低圧バッテリ1の放電電流が許容最大放電電流値未満となるように、スイッチング素子Q2のデューティ比を所定の最大デューティ比未満に制限する。なお、スイッチング素子Q2の断続と逆のパターンで(相補的に)スイッチング素子Q1を断続してもよい。
【0027】次に、発電動作(回生動作)におけるDC−DCコンバータの制御の基本を以下に説明する。
【0028】発電動作(回生動作)時には低圧バッテリ1が必要電力をインバータ回路から吸収する必要がある。
【0029】そこで、コントローラ4は、ハイサイド側のスイッチング素子Q1を第二のデューティ比の範囲内でPWMスイッチングする。すなわち、スイッチング素子Q1をオンすると高電位電源ラインVHからリアクトルLを通じて低圧バッテリ1に電流が流れ、リアクトルLに電磁エネルギーが蓄積され、スイッチング素子Q1を遮断するとリアクトルLは電流状態を持続しようとしてローサイド側のスイッチング素子Q2と逆並列に接続したフライホイルダイオードDを通じて低圧バッテリ1に電流を流す。以下、低圧バッテリ1はこの繰り返しにより持続的にインバータ回路3から直流電力を給電される。
【0030】また、コントローラ4は、高電位電源ラインVHの電圧の増加によりスイッチング素子Q1のデューティ比を増大し、高電位電源ラインVHの電圧の減少によりスイッチング素子Q2のデューティ比を減少するフィードバック制御を行っている。
【0031】これにより、高電位電源ラインVHの電圧が増加するとスイッチング素子Q1のデューティ比増加によりリアクトルLの蓄積電磁エネルギーやバッテリ充電電流が増加して高電位電源ラインVHの電圧が低下し、逆に、高電位電源ラインVHの電圧が減少するとスイッチング素子Q1のデューティ比減少によりリアクトルLの蓄積電磁エネルギーやバッテリ充電電流が減少して高電位電源ラインVHの電圧が増大し、高電位電源ラインVHの電圧は所定範囲に維持される。
【0032】したがって、スイッチング素子Q1のデューティ比の増加は、低圧バッテリ1の充電電流の増大を招く。そこで、低圧バッテリ1の充電電流が許容最大充電電流値未満となるように、スイッチング素子Q1のデューティ比を所定の最大デューティ比未満に制限する。なお、スイッチング素子Q1の断続と逆のパターンで(相補的に)スイッチング素子Q2を断続してもよい。
【0033】更に説明すると、低電圧電源系100の高電位電源ラインVLの電圧は、充電時と放電時とで変化する。これは、低圧バッテリ1の充電時の印加電圧はその開放電圧よりも高く設定しなければ充電をなし得ないが、低圧バッテリ1の放電時の端子電圧はその内部抵抗による電圧降下により開放電圧よりも低くならざるを得ないためである。電動動作(力行動作)時と発電動作(回生動作)時とにおける上記低電圧電源系100の高電位電源ラインVLの電圧変更は、強制的に行ってもよいが、上記高電位電源ラインVHを一定化するためのフィードバック制御にまかせるだけでも自然に実施することができる。
【0034】すなわち、回生動作時に低圧バッテリ1の充電がうまくいかなければ高電位電源ラインVHの電圧は急速に高くなるので、それに応じて、スイッチング素子Q1のデューティ比が急速に増大して、低電圧電源系100の高電位電源ラインVLの電圧が上昇し、バッテリ1の充電が円滑にできるようになる。逆に、力行動作に低圧バッテリ1の充電がうまくいかなければ高電位電源ラインVHの電圧は急速に低下するので、それに応じて、スイッチング素子Q2のデューティ比が急速に増大して、低電圧電源系100の高電位電源ラインVLの電圧が低下し、バッテリ1の放電が円滑にできるようになる。
【0035】その他、上記フィードバック制御に任せることなく、回生動作から電動動作への切り替えにおいてスイッチング素子Q2のデューティ比を所定短時間だけ所定値に強制セットし、これにより、速やかに低圧バッテリ1から高電位電源ラインVHへ電力を供給して高電位電源ラインVHの電圧低下を防止し、逆に、電動動作から回生動作への切り替えにおいてスイッチング素子Q1のデューティ比を所定短時間だけ所定値に強制セットし、これにより、速やかに高電位電源ラインVHから低圧バッテリ1へ電力を供給して高電位電源ラインVHの電圧増大を防止することもできる。もちろん、この場合には、上記所定短時間経過後は、通常の上記フィードバック制御に戻る必要がある。
【0036】(コントローラ4の説明)次に、上記したDC−DCコンバータの制御を行うコントローラ4について図2を参照して更に詳しく説明する。
【0037】40はアナログしきい値電圧用のマイコン、41〜45はコンパレータ、46、47はAND回路、48は切り替え回路である。
【0038】マイコン40は、力行動作時におけるスイッチング素子Q2の最大デューティ比と、回生動作時におけるスイッチング素子Q1の最大デューティ比とを設定するマイコンである。マイコン40には、低圧バッテリ1の温度と電流に比例するアナログ信号電圧が図示しないセンサから入力され、これらアナログ信号電圧はマイコン40に内蔵されたA/Dコンバータによりデジタル信号に変換される。
【0039】マイコン40は、入力された低圧バッテリ1の温度と電流に応じて力行動作時のスイッチング素子Q2の最大デューティ比と、回生動作時のスイッチング素子Q1の最大デューティ比とを補正する。具体的に説明すると、マイコン40は、低圧バッテリ1の温度と電流と最大デューティ比補正量との関係を示すマップを保持しており、入力された温度、電流に応じてマップから最大デューティ比の補正量を求める。更に説明すると、低圧バッテリ1の温度が高ければ、最大デューティ比を小さくする方向に補正量を変更し、低圧バッテリ1の電流が大きければ最大デューティ比を小さくする方向に補正量を変更する。これにより、低圧バッテリ1の温度が高いか又は電流が大きい場合には、最大デューティ比を小さくして低圧バッテリ1の最大電流を低下し、その追加発熱又は追加電流の増大による低圧バッテリ1の仕様条件悪化を防止することができる。
【0040】マイコン40で求められた力行動作時のスイッチング素子Q2の最大デューティ比と、回生動作時のスイッチング素子Q1の最大デューティ比とは、マイコン40内でD/A変換されてコンパレータ43、45に個別に出力される。なお、Vref1は力行動作時のスイッチング素子Q2の最大デューティ比に相当するアナログしきい値電圧であり、Vref2は回生動作時のスイッチング素子Q1の最大デューティ比に相当するアナログしきい値電圧である。
【0041】コンパレータ41は、力行動作と回生動作とを判別する回路であるが、これを省略して上記したインバータ回路3を制御するコントローラから力行動作と回生動作とを区別する信号を受信してもよい。
【0042】更に説明すると、力行動作時と回生動作時とでは、高電圧電源系200の高電位電源ラインVHの電圧はかなり異なり、それは力行動作時に低く、回生動作時に高くなるので、コンパレータ41は、回生動作時にがハイレベルを出力し、力行動作時にローレベルを出力する。
【0043】コンパレータ41は、信号切り替え回路48を制御して、力行動作時に、AND回路46の出力信号をスイッチング素子Q2に出力し、かつ、AND回路47からスイッチング素子Q1への出力信号伝送を遮断する。逆に、コンパレータ41は、信号切り替え回路48を制御して、回生動作時に、AND回路47の出力信号をスイッチング素子Q1に出力し、かつ、AND回路46からスイッチング素子Q2への出力信号伝送を遮断する。
【0044】力行動作時には、コンパレータ42は高電位電源ラインVHの電圧VH(ここでは同符号とする)と三角波電圧とを比較して、比較結果をAND回路46に入力する。注意することは、コンパレータ42が出力するパルス電圧(ハイレベル期間)のパルス幅(すなわちPWMデューティ比)は、高電位電源ラインVHの電圧VHが大きくなるほど小さくなることである。これにより、高電位電源ラインVHの電圧VHが大きくなるとスイッチング素子Q2のオン時間が減少して高電位電源ラインVHの電圧VHが低下する。
【0045】AND回路46は、コンパレータ43がハイレベルを出力する期間内でのみ、コンパレータ42のハイレベル出力を許可するので、力行動作時にスイッチング素子Q2の最大デューティ比は、上記力行動作時用アナログしきい値電圧Vref1により規定されることがわかる。
【0046】回生動作時には、コンパレータ45は高電位電源ラインVHの電圧VH(ここでは同符号とする)と三角波電圧とを比較して、比較結果をAND回路47に入力する。注意することは、コンパレータ45が出力するパルス電圧(ハイレベル期間)のパルス幅(すなわちPWMデューティ比)は、高電位電源ラインVHの電圧VHが大きくなるほど大きくなることである。これにより、高電位電源ラインVHの電圧VHが大きくなるとスイッチング素子Q1のオン時間が増大して大電流を低電圧電源系100へ流し、高電位電源ラインVHの電圧VHを低下させることができる。
【0047】AND回路46は、コンパレータ44がハイレベルを出力する期間内でのみ、コンパレータ45のハイレベル出力を許可するので、回生動作時にスイッチング素子Q1の最大デューティ比は、上記回生動作時用アナログしきい値電圧Vref2により規定されることがわかる。
【0048】(実施例効果)上記説明したように、この実施例では、力行動作時と回生動作時にそれぞれ異なる最大デューティ比を設定し、力行動作時のスイッチング素子Q2のPWM動作、並びに、回生動作時のスイッチング素子Q1のPWM動作をそれぞれの最大デューティ比の範囲に制限しているので、力行動作から回生動作に切り替えたとしても、低圧バッテリ1に過大な充電電流が流れ込むことを防止することができる。また、それにより、低圧側の電源ラインに接続されるほかのコンポーネント(たとえば補機バッテリ充電用のDC−DCコンバータ)に力行/回生切り換え時でもサージ電圧を与えることがない。
【0049】(変形態様)上記実施例では、力行動作時にはスイッチング素子Q2を、回生動作時にはスイッチング素子Q1をPWM制御させたが、残りのスイッチング素子を上記PWM制御されるスイッチング素子と逆動作(相補動作)させることにより、ダイオードの損失を低減することもできる。
【0050】(変形態様)上記実施例では、リアクトルチョッパ形式の双方向DC−DCコンバータを用いたが、一対の単相ブリッジ型インバータ回路とトランスとを用いた双方向DC−DCコンバータを採用することもできる。
【0051】この場合には、力行動作時に第一の単相ブリッジ型インバータ回路の最大デューティ比を第一の所定値以下に制限し、回生動作時には残るもう一つの単相ブリッジ型インバータ回路の最大デューティ比を第二の所定値以下に制限すればよい。
【0052】(変形態様)上記実施例では、力行動作と回生動作との切り替え前後において高電位電源ラインVHの電圧VHを所定目標値にフィードバック制御していたが、力行動作から回生動作への切り替えた瞬間又はその直前からスイッチング素子Q1を回生動作に好適な強制的に所定のデューティ比で実行するしてもよい。
【0053】(変形態様)上記実施例では、車両用回転電機5として走行モータを想定したが、車両用電気負荷に電力を給電し、エンジン始動動力を発生する発電電動機をトルクアシストや回生制動に用いる場合に適用することもできる。
【0054】
【実施例2】他の実施例を図3を参照して以下に説明する。
【0055】この実施例は、図1の回路図の高電位電源ラインVHと接地ラインの間に高圧バッテリ8を設けて車両用二電源型電源装置としたものである。
【0056】この場合には、双方向DC−DCコンバータ2は高圧バッテリ8と低圧バッテリ1との間で電力を融通し合うように、更に言えば、低圧バッテリ1の電圧を所定値に維持するように双方向DC−DCコンバータが運転されるが、この時、図2に示す高電位電源ラインVHの電圧が所定範囲を逸脱した場合に、高電位電源ラインVHの電圧が上記所定範囲に収束するように双方向DC−DCコンバータ2のスイッチング素子Q1、Q2を動作させることができる。
【0057】このようにすれば、高圧バッテリ8の充電、放電の負担を低圧バッテリ1の許容範囲内で低圧バッテリ1により一部分担させることができるという効果を奏することができる。
【0058】具体的な双方向DC−DCコンバータの制御動作自体は図2に示す実施例1の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2003−111203(P2003−111203A)
【公開日】 平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願番号】 特願2001−303307(P2001−303307)