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【発明の名称】 自動車用制御システム
【発明者】 【氏名】久保 守
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【氏名】太田垣 和久
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【氏名】佐々木 重晴
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内

【要約】 【課題】エンジンのアイドリングストップを効果的に実施しながら、快適な車室内空調を実現可能な自動車用制御システムを提供する。

【解決手段】エンジン2によって駆動される発電機4と、この発電機4によって充電される車載バッテリー5とを具備した自動車1に用いられるものであり、車載バッテリー5からの給電により駆動される電動コンプレッサ10を有する空調手段と、主制御装置8と、エンジン制御装置34と、モータコントロールシステム37と、バッテリー制御装置32とを備え、これら制御装置8等は、自動車1の走行及び/又は停車の状況に基づいて、走行中における発電機4の発電量、或いは、電動コンプレッサ10の消費電力量を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンによって駆動される発電手段と、該発電手段によって充電される蓄電手段とを具備した自動車に用いられ、前記蓄電手段からの給電により駆動される電動コンプレッサを有する空調手段と、制御手段とを備え、該制御手段は、前記自動車の走行及び/又は停車の状況に基づいて、走行中における前記発電手段の発電量、或いは、前記電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする自動車用制御システム。
【請求項2】 前記制御手段は、停車中に前記エンジンを停止して当該エンジンの停止中に前記蓄電手段の蓄電量が所定値に低下した場合には前記エンジンを始動する制御を実施し、且つ、該エンジンの停止中に前記電動コンプレッサを駆動可能とすると共に、走行後の停車中における前記電動コンプレッサの電力消費により、前記蓄電手段の蓄電量が前記所定値まで低下することを防止する方向で前記走行中における前記発電手段の発電量、或いは、前記電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする請求項1の自動車用制御システム。
【請求項3】 前記制御手段は、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、前記次回の走行中における前記発電手段の発電量、或いは、前記電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする請求項2の自動車用制御システム。
【請求項4】 前記制御手段は、走行中における前記発電手段の発電量を優先的に制御する発電制御優先モードと、前記電動コンプレッサの消費電力量を優先的に制御する空調制御優先モードとを選択可能とされていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の自動車用制御システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンによって駆動される発電手段と、この発電手段によって充電される蓄電手段とを具備した自動車に採用される自動車用制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の例えばハイブリッド自動車(HEV)は、エアコンのコンプレッサをエンジンにより駆動していたため、停車時にエンジンを停止するアイドリングストップを実施すると、エアコンを運転できなくなり、常に快適な車室空間を提供できないという問題があった。
【0003】そこで、エアコンのコンプレッサを電動コンプレッサとし、車載バッテリーにて駆動すれば、停車中にアイドリングストップを実施してエンジンを停止させても、エアコンを運転して快適な車室空間を提供することができるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、停車時間が長くなり、エンジン停止中における車載バッテリーからの放電量が増加すると、やがて車載バッテリーの蓄電量は予め定められた値まで低下してしまうので、エンジンは車載バッテリーへの充電を行うために始動されることになる。
【0005】そのため、停車時の排気ガスの減量及び騒音の低下と云うHEV本来の目的を果たせなくなると共に、停車中の発電効率は走行中よりも悪化するため、全体として発電量自体も増加してしまう問題があった。
【0006】そこで本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、エンジンのアイドリングストップを効果的に実施しながら、快適な車室内空調を実現可能な自動車用制御システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、請求項1の発明の自動車用制御システムは、エンジンによって駆動される発電手段と、この発電手段によって充電される蓄電手段とを具備した自動車に用いられるものであり、蓄電手段からの給電により駆動される電動コンプレッサを有する空調手段と、制御手段とを備え、この制御手段は、自動車の走行及び/又は停車の状況に基づいて、走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする。
【0008】請求項2の発明の自動車用制御システムは、上記において制御手段は、停車中にエンジンを停止してこのエンジンの停止中に蓄電手段の蓄電量が所定値に低下した場合にはエンジンを始動する制御を実施し、且つ、このエンジンの停止中に電動コンプレッサを駆動可能とすると共に、走行後の停車中における電動コンプレッサの電力消費により、蓄電手段の蓄電量が所定値まで低下することを防止する方向で走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする。
【0009】請求項1の発明によれば、エンジンによって駆動される発電手段と、この発電手段によって充電される蓄電手段とを具備した自動車に用いられるものであり、蓄電手段からの給電により駆動される電動コンプレッサを有する空調手段と、制御手段とを備え、この制御手段は、自動車の走行及び/又は停車の状況に基づいて、走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御するので、例えば、請求項2の如く停車中にエンジンを停止してこのエンジンの停止中に蓄電手段の蓄電量が所定値に低下した場合にはエンジンを始動する制御を実施し、且つ、このエンジンの停止中に電動コンプレッサを駆動可能とすると共に、走行後の停車中における電動コンプレッサの電力消費により、蓄電手段の蓄電量が所定値まで低下することを防止する方向で走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御することで、アイドリングストップを実施した停車中に電動コンプレッサを駆動した場合にも、当該電動コンプレッサの電力消費によってエンジンが始動されてしまう不都合を防止若しくは抑制可能となる。
【0010】これにより、停車時における排気ガスや騒音の低下を達成しながら快適な車室内空調を実現することができるようになると共に、発電量も全体として削減できるようになる。
【0011】請求項3の発明の自動車用制御システムは、請求項2の発明に加えて、制御手段は、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、次回の走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御することを特徴とする。
【0012】請求項3の発明の自動車用制御システムによれば、請求項2の発明に加えて、制御手段は、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、次回の走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御するので、より正確な制御が実現可能となる。
【0013】請求項4の発明の自動車用制御システムは、上記各発明において、制御手段は、走行中における発電手段の発電量を優先的に制御する発電制御優先モードと、電動コンプレッサの消費電力量を優先的に制御する空調制御優先モードとを選択可能とされていることを特徴とする。
【0014】請求項4の発明の自動車用制御システムによれば、上記各発明において、制御手段は、走行中における発電手段の発電量を優先的に制御する発電制御優先モードと、電動コンプレッサの消費電力量を優先的に制御する空調制御優先モードとを選択可能とされているので、使用者の好みや自動車の使用環境に応じてモードを選択することができ、より効果的なアイドリングストップと車室内空調を実現できるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の自動車用制御システムを適用する実施例としての自動車1の構成図、図2は図1の自動車1の駆動系の構成図、図3は本発明における自動車用制御システムを構成する空気調和装置(AC)9の構成図、図4は空気調和装置9の冷媒回路図、図5は本発明の自動車用制御システムを含む自動車1の制御系のブロック図をそれぞれ示している。
【0016】各図において、実施例の自動車1は前述したハイブリッド自動車(HEV)であり、この自動車1にはエンジン(内燃機関)2と、制御手段を構成する空調用制御装置28を具備した空気調和装置9が搭載されている。空気調和装置9は自動車1の車室内の冷房、暖房及び除湿等の空調を行なうもので、ロータリーコンプレッサ等にて構成されたコンプレッサ(電動コンプレッサ)10の吐出側の配管10Aは室外熱交換器としての凝縮器13に接続され、凝縮器13の出口側は受液器17に接続されている。
【0017】受液器17の出口側の配管17Aは減圧装置としての膨張弁18に接続され、膨張弁18は室内熱交換器(冷却器)としての蒸発器19に接続されている。蒸発器19の出口側はコンプレッサ10の吸込側の配管10Bに接続されて環状の冷凍サイクル(冷媒回路)を構成している(図4)。尚、図1において33はヒータであり、車室内を暖房したい時に使用するものである。
【0018】前記コンプレッサ10、凝縮器13及びエンジン2などは人が乗車しない車室外に設けられると共に、蒸発器19は人が乗車する車室内に設置されている。コンプレッサ10にはコンプレッサモータ(電気モータ)11が設けられ、このコンプレッサモータ11によってコンプレッサ10は駆動される。凝縮器13には室外送風機15が設けられており、この室外送風機15は室外送風機モータ16によって回転駆動される。蒸発器19には室内送風機21が設けられており、この室内送風機21は室内送風機モータ22によって回転駆動される。
【0019】また、コンプレッサ10の冷媒吐出側には冷媒吐出温度を検出するための温度センサ12が設けられ、凝縮器13の冷媒出口側には冷媒出口温度を検出するための温度センサ14が設けられると共に、蒸発器19の冷媒出口側には冷媒出口温度を検出するための温度センサ20が設けられ、これらは空調用制御装置28に接続されている。また、室内送風機21より車室内に吹き出される空気の温度を検出するための温度センサ23も空調用制御装置28に接続されている。また、室外送風機モータ16、室内送風機モータ22、車室内の空調操作パネルに設けられた温度設定ボリューム24或いは空調用スイッチ25なども空調用制御装置28に接続されている。
【0020】ここで、空調用制御装置28は所定の昇降圧回路により車載バッテリー(若しくはキャパシタ。何れも蓄電手段を構成する。BATT)5の電圧(例えば、DC240V)を希望の電圧に昇圧若しくは降圧し、inverterによってコンプレッサモータ11の駆動電圧に変換してコンプレッサ10を回転駆動させる。
【0021】また、空調用制御装置28にはコンプレッサ10の回転数に比例して回転するAUTOと、一定割合で1.2.3の三段階に室内送風機21の回転数を変化させ、車室内に吹き出す送風量をマニュアルで決定するブロアファンスイッチ26が接続されている。尚、27はバッテリー5の電圧をDC12Vに変換して図示しない前照灯、方向指示器、ラジオ(図5ではその他の負荷で示す)及び空調用制御装置28などを動作させるための電源(補機電源)を生成する変換器である。
【0022】前記自動車1にはエンジン(内燃機関)2と、走行用モータ(走行用駆動手段としての電動モータ。)3と、発電手段としての発電機4とが設けられており(これらでHEVのモータコントロールシステムが構成される)、走行用モータ3はモータ制御用インバータ3Aを介して車載バッテリー(DC240V)5に接続されると共に、発電機4は発電用インバータ(INV)4Aを介して車載バッテリー5に接続されている。エンジン2と走行用モータ3と発電機4とには図示しないトルク分割機構が接続され、トルク分割機構は走行用モータ3と発電機4、及び、エンジン2と走行用モータ3の回転を一つに合わせて、後述する無段変速機6を駆動する。尚、トルク分割機構にて走行用モータ3と発電機4、及び、エンジン2と走行用モータ3の回転を一つに合わせて無段変速機6を駆動する技術については周知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0023】係る走行用モータ3は主にエンジン2での熱効率の悪い発進時、低速時に使用され、エンジン2単独の駆動力以上に駆動力を必要とする際にもアシスト駆動源として使用される。そして、エンジン2の熱効率の良い高速に移るにつれて、エンジン2主導で動作する。また、エンジン2主導時は詳細は後述する如く車載バッテリー5の充電状態に応じて発電機4で発電された電力が車載バッテリー5に充電される。また、発電機4はエンジン2の回転中の発電作用の他、エンジン2の始動時にスタータとしても利用される。
【0024】前記無段変速機(CVT機構(Continuously VariableTransmission))6は、車輪7に接続されている。そして、エンジン2或いは走行用モータ3は無段変速機6を介して車輪7を回転させ、自動車1を走行させる。
【0025】尚、エンジン2或いは走行用モータ3にて駆動される無段変速機6にて車輪7を回転させ、自動車1を走行させる技術については従来より周知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0026】図5における8は制御手段を構成する自動車1の主制御装置(VCU)であり、前述同様の昇降圧回路により車載バッテリー5の電圧(DC240V)を所定の電圧に昇圧若しくは降圧して、inverter(モータ制御用インバータ3A)によって走行用モータ3の駆動電圧に変換し、走行用モータ3を回転させる。
【0027】また、空調用制御装置28はコンプレッサ10の駆動信号を生成する。そして、空調用制御装置28はコンプレッサモータ11の誘起電圧からコンプレッサモータ11の回転子の位置検出を行ない、マイクロコンピュータで次の励磁パターンを作るインバータにより、コンプレッサモータ11の運転周波数(回転数)制御を行なう。尚、図5において32は車載バッテリー5の電力を制御するためのバッテリー制御装置(BATTECU)、34はエンジン2にトルク指令、アクセル開度等を伝達してその運転を制御するためのエンジン制御装置(ENGECU)である。また、36は自動車1のアクセル、ブレーキの各ペダル、シフトレバーなどの運転操作部であり、これらの操作量や操作状態を検出するセンサが主制御装置8に接続される。また、この主制御装置8は、当該自動車1が走行状態であるか停車状態であるかの状況を検出するものであり、係る停車状態と停車状態との間の走行時間及び走行状態と走行状態との間の停車時間をそれぞれ計測し、記憶するものとする。
【0028】ここで、前記空気調和装置9による基本的な車室内空調動作について説明しておく。コンプレッサモータ11と室外送風機モータ16は車載バッテリー5より給電される。空気調和装置9が運転されると空調用制御装置28はコンプレッサモータ11の運転周波数を制御してコンプレッサ10の能力制御を行なう。コンプレッサ10により圧縮され、吐出された高温高圧のガス冷媒は、配管10Aから凝縮器13に流入する。このとき、室外送風機15の送風によって凝縮器13は車室外で冷却される(図1中抜き矢印)。この凝縮器13に流入したガス冷媒はそこで放熱して凝縮液化された後、受液器17に流入する。そして、受液器17に一旦貯溜された液冷媒は、配管17Aを経て膨張弁18に至り、そこで絞られた後、蒸発器19に流入する。
【0029】蒸発器19に流入した冷媒はそこで蒸発し、その時に周囲から熱を吸収することにより冷却作用を発揮すると共に、冷却された車室内の空気は室内送風機21によって車室内に循環され、冷却して空調を行なう(図1中抜き矢印)。蒸発器19を出た冷媒はアキュムレータ(図示せず)に入り、そこで未蒸発液冷媒が気液分離された後、ガス冷媒のみがコンプレッサ10に吸い込まれ、再度コンプレッサ10で圧縮されて吐出される冷凍サイクルを繰り返す。
【0030】次に、車室内に吹き出される空気の温度(室内送風機21より車室内に吹き出される空気の温度を検出するための温度センサ23で検出された温度)とコンプレッサモータ11の運転周波数と室内送風機モータ22の回転数との関係を次の計算式に示している。計算式では蒸発器19の吹出口温度と設定温度との偏差(e)と前回の偏差(em)との偏差(Δe)からPI(比例・積分)演算を行ない、目標の運転周波数(F)を決定する。
Δe=e−em ・・・(1)
(1)式において、e=(設定温度=温度設定ボリューム24にて設定された温度)−(吹出口温度=温度センサ23で検出された温度)、emの初期値:0を示している。
ΔF=Kp×Δe+Ki×e・・・(2)
(2)式において、ΔF:目標運転周波数変動分演算値、Kp:比例定数、Ki:積分定数を示している。
F=ΔF+Fm ・・・(3)
(3)式において、Fm:前回目標運転周波数を示している。
【0031】上記式より求めた目標運転周波数を下記計算式に当てはめ、室内送風機モータ22の印加電圧をPWM制御(印加電圧の調節)し、室内送風機21の風量調整を行なう。
PWMduty=(MAXduty−MINduty)/(MAX周波数−MIN周波数)×(目標周波数−MIN周波数)+MINduty・・・(4)
(4)式において、MAXduty:室内送風機PWM制御最大duty、MINduty:室内送風機PWM制御最小duty、MAX周波数:目標運転周波数最大値、MIN周波数:目標運転周波数最小値を示している。
【0032】即ち、空調用制御装置28は、室内送風機21により車室内に吹き出される空気の温度に基づいてコンプレッサモータ11の運転周波数を決定している。そして、決定されたコンプレッサモータ11の運転周波数に基づいて室内送風機モータ22の回転数を制御するようにしている。即ち、車室内の空気の温度が温度設定ボリューム24にて設定された設定温度より僅かに高い場合は、コンプレッサモータ11の運転周波数と室内送風機モータ22の回転数を僅かだけ増加させる(コンプレッサモータ11の消費電力は僅か増加)。これにより、コンプレッサモータ11と室内送風機モータ22との回転騒音が極端に大きくならず、僅かに大きくなるだけで済む。
【0033】また、車室内の空気の温度が温度設定ボリューム24にて設定された設定温度より大きく高い場合は、コンプレッサモータ11の運転周波数と室内送風機モータ22の回転数を大きくして、車室内の空調を急速に行ない、快適な車室内空調を行なうことがきるようになる(コンプレッサモータ11の消費電力は大きく増加)。特に、車室内の空気の温度が温度設定ボリューム24にて設定された設定温度と大きな変化がない場合、コンプレッサモータ11の運転波数制御による能力制御と、それに基づいて決定される室内送風機21の僅かな風量制御とで快適な車室内空調を行なうことができるようになる。
【0034】このように、空調用制御装置28は蒸発器19の吹出口温度と設定温度との偏差からコンプレッサモータ11の運転周波数をインバータ制御しているので、温度偏差が大きければ大きいほどコンプレッサモータ11の回転数は大きくなり(消費電力大)、温度偏差が無くなればコンプレッサモータ11の回転数は小さく0に近づく制御(消費電力小)を行なえる。この場合、室内送風機モータ22もコンプレッサモータ11同様に制御しているので、車室内の乗員が感じる温度差に合わせた風量を送風することができ、快適な車室内空調を行なうことが可能となる。
【0035】また、車載バッテリー5よりコンプレッサモータ11に給電するようにしているので、コンプレッサモータ11の回転数制御を容易に行なうことが可能となる。これにより、コンプレッサモータ11の回転数制御を好適に行なうことができるようになる。従って、コンプレッサ10の好適な駆動が行なえるようになり、車室内の快適な空気調和を行なうことが可能となる。
【0036】次に、図5に基づいて本発明における自動車1の空気調和装置9に関連する電力制御について説明する。図5において、CT1は車載バッテリー5への充電電流値及び車載バッテリー5からの放電電流値を検出する電流検出手段としてのカレントトランス(変流器)であり、このカレントトランスCT1が検出する充電電流値或いは放電電流値はバッテリー制御装置32に入力される。CT2は発電機4の発電電流値を検出するカレントトランスであり、このカレントトランスCT2が検出する発電電流値はモータコントロールシステム37に入力される。
【0037】CT3は発電用インバータ4Aを経た発電電流値を検出するカレントトランスであり、このカレントトランスCT3が検出する発電電流値もモータコントロールシステム37に入力される。CT5はコンプレッサモータ11を含む空気調和装置9の通電電流値(消費電流値)を検出するカレントトランスであり、このカレントトランスCT5が検出する通電電流値は空調用制御装置28に入力される。また、主制御装置8、モータコントロールシステム37、エンジン制御装置34、バッテリー制御装置32及び空調用制御装置28は自動車1内のネットワーク(以下、CANと云う)に接続され、このCANを介して相互にデータの送受信が行われる。尚、各カレントトランスなどの検出電流値(放電電流、充電電流、発電電流)のデータもモータコントロールシステム37や各制御装置32、28からCAN上に送信され、CANに接続された機器にて相互に利用可能とされている。
【0038】モータコントロールシステム37はカレントトランスCT2、CT3が検出する発電機4の現在の発電電流値やエンジン2の回転数などから、発電機4において更に発電が可能な前記余裕発電量ΔG1(発電機4が供給できる最大許容電力−現在出力している発電電力)を計算する。そして、この余裕発電量ΔG1のデータをCAN上に送信する。エンジン制御装置34はエンジン2の最大トルク曲線から現在出力しているトルクを差し引くことにより、更にエンジン2が出力することができる余裕馬力ΔHを計算する。そして、この余裕馬力ΔHのデータをCAN上に送信する。
【0039】バッテリー制御装置32は、カレントトランスCT1が検出する放電電流の積算値及び車載バッテリー5の電圧などから車載バッテリー5の蓄電量を推定し、カレントトランスCT1が検出する放電電流値と車載バッテリー5の蓄電量から車載バッテリー5にて許容される放電電流の増加量(バッテリー5の限界放電量−現在の放電量)である許容放電増加量ΔEを計算する。そして、この許容放電増加量ΔEのデータをCAN上に送信する。
【0040】主制御装置8はこのようにCAN上に送信された余裕発電量ΔG1と余裕馬力ΔHを比較し、小さい方の値を発電機4にて許容される発電量の増加量である許容発電増加量ΔGとする。そして、この許容発電増加量ΔGのデータをCAN上に送信する。また、主制御装置8は許容発電増加量ΔGに前記許容放電増加量ΔEを加えた電力量(ΔG+ΔE)を算出し、そのデータもCAN上に送信する。更に主制御装置8は前記許容発電増加量ΔGに前記許容放電増加量ΔEを加え、この加えた値から前記余裕馬力ΔHを差し引いた値に比例して0以上1以下の範囲で変動する余裕電力活用率αを算出する。この余裕電力活用率αは、許容発電増加量ΔGと許容放電増加量ΔEを加えた値に対する余裕馬力ΔHの割合が大きい場合には小さくなり(0に近づく)、逆に余裕馬力ΔHの割合が小さい場合には大きくなる(1に近づく)。そして、この余裕電力活用率αのデータもCAN上に送信する。
【0041】更にまた、主制御装置8は前記許容発電増加量ΔGと許容放電増加量ΔEを加えた値に余裕電力活用率αを乗算することによって空気調和装置9において更に増加可能な消費電力量である許容消費電力増加量ΔUを算出する。この場合、許容発電増加量ΔGと許容放電増加量ΔEを加えた値に対する余裕馬力ΔHの割合が大きく、余裕電力活用率αが小さい場合には許容消費電力増加量ΔUは小さくなり、逆に余裕馬力ΔHの割合が小さく、余裕電力活用率αが大きい場合には許容消費電力増加量ΔUは大きくなる。例えば余裕馬力ΔHが0で余裕電力活用率αが1の場合には許容発電増加量ΔGと許容放電増加量ΔEを加えた値が許容消費電力増加量ΔUとなる。そして、主制御装置8はこの許容消費電力増加量ΔUのデータもCAN上に送信する。
【0042】前記空調用制御装置28はCAN上に送信されたこれら余裕発電量ΔG1、余裕馬力ΔH、許容発電増加量ΔG、許容放電増加量ΔE、余裕電力活用率α、許容消費電力増加量ΔUの各データを受信し、後述する如き制御に活用する。尚、前記許容消費電力増加量ΔUは、空気調和装置9の空調用制御装置28が前述の如き基本的な車室内空調動作を行うに際して、空気調和装置9における消費電力が増加する場合に許容される当該空気調和装置9の消費電力の増加量となる。
【0043】以上の構成で、実際の制御動作について説明する。主制御装置8は、前記アクセルやブレーキ及びシフトなどの運転操作部により検出されるこれらの操作量や操作状態により、停車状態であるか走行状態であるかを認識する。ここで、主制御装置8が当該自動車1が停車状態であることを認識した場合には、停車状態であることをCAN上に送信し、前記エンジン制御装置34は、エンジン2を停止し、停車状態は所謂アイドリングストップとする。
【0044】また、バッテリー制御装置32は、前述の如くCAN上に送信されたカレントトランスCT1が検出する車載バッテリー5への充電電流値及び車載バッテリー5からの放電電流値から算出される車載バッテリー5の蓄電量Sを常時フィードバックして監視している。そして、電動コンプレッサ10のコンプレッサモータ11の運転などにより、この蓄電量Sが低下して最低限許容できる下限値である所定の設定値Ssを下回った場合、エンジン制御装置34はアイドリングストップをやめ、エンジン2を始動する制御を実施する。エンジン2の始動により発電機4で発電された電力は車載バッテリー5に蓄電され、係る蓄電量により前記電動コンプレッサ10のコンプレッサモータ11を駆動可能とする。
【0045】次に、図6を用いて本発明における主制御装置8等の制御装置の制御動作を説明する。主制御装置8は、前述の如く前記アクセルやブレーキ及びシフトなどの運転操作部により検出されるこれらの操作量や操作状態により、停車状態であるか走行状態であるかを認識する。このとき、主制御装置8は、それぞれの停車状態と停車状態との間の走行時間及び走行状態と走行状態との間の停車時間をそれぞれ計測し、記憶する。
【0046】そして、主制御装置8は、上述の如く主制御装置8に記憶された過去の複数の走行時間及び停車時間により次回の走行時間Tr及び停車時間Tiの予測を行う。本実施例では次回の予測走行時間Trは、過去の走行時間Tr1からTrnまでの値を用いると共に、次回の予測停車時間Tiは、過去の停車時間Ti1からTinまでの値を用いて、即ち、次回の予測走行時間Tr及び予測停車時間Tiは、以下の式(5)、(6)により算出する。
Tr=(Tr1+・・・+Trn)/n ・・・(5)
Ti=(Ti1+・・・+Tin)/n ・・・(6)
【0047】そして、停車状態により、次回の停車時間開始時における車載バッテリー5への蓄電量、即ち、係る停車時間直前の走行状態により車載バッテリー5へ蓄電される蓄電量Sは、以下のように算出される。尚、式(7)におけるSsは蓄電量Sが最低限許容できる下限値である所定の設定値であり、Cは単位時間当たりの車載バッテリー5から放電される消費電力である。
S−Ss=CTi S=CTi+Ss ・・・(7)
【0048】また、走行状態により、次回の停車時間開始時における車載バッテリー5への蓄電量、即ち、係る停車時間直前の走行状態により車載バッテリー5へ蓄電される蓄電量Sは、以下の式(8)のように算出される。尚、式(8)におけるGは走行状態における発電機4の単位時間当たりの発電量である。
S=(G−C)Tr+Ss ・・・(8)
【0049】上記(7)及び(8)式より次回の停車状態に要される蓄電量Sを賄うための当該停車状態直前の走行状態での単位時間当たりの発電量Gを次式(9)の如く算出することができる。
(G−C)Tr+Ss=CTi+Ss (G−C)Tr=CTi G=C(Ti+Tr)/Tr ・・・(9)
【0050】上述より主制御装置8は、上述の如く算出された次回の予測停車時間及び予測走行時間に基づき、式(9)の右辺で算出される単位時間当たりの予測消費電力量をCAN上に送信する。そして、モータコントロールシステム37は、CAN上に送信された次回の停車時間で要する予測消費電力量に基づき、次回の走行中における発電機4の発電量を制御する。即ち、走行後の停車中における電動コンプレッサ10等の予測消費電力量により、蓄電器4の蓄電量が最低限許容できる下限値である所定の設定値Ssまで低下することを防止する方向で、走行中における発電機4の発電量を制御する。
【0051】これにより、本発明によれば、主制御装置8などにより、当該自動車1の走行及び停車の状況に基づいて、走行中における発電機4の発電量を制御することができるため、上記基本制御におけるアイドリングストップを実施した停車中に電動コンプレッサ10を駆動した場合にも、当該電動コンプレッサ10の電力消費によってエンジン2が始動されてしまう不都合を防止若しくは抑制することができるようになる。
【0052】そのため、停車時における排気ガスや騒音の低下を達成しながら快適な車室内空調を実現することができるようになると共に、停車時にエンジン2を始動させる状況を抑制することにより発電量も全体として削減できるようになる。
【0053】また、本実施例では、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、次回の走行中における発電機4の発電量を制御するため、より正確な制御が実現可能となる。
【0054】他方、前記式(9)を次式(10)の如く変形することにより、次回の走行状態における発電量で賄うことができる走行状態及び停車状態における単位時間当たりの消費電力量を算出することができる。
C=GTr/(Ti+Tr) ・・・(10)
【0055】上述より主制御装置8は、上述の如く算出された次回の予測停車時間及び予測走行時間に基づき、式(10)の右辺で算出される単位時間当たりの予測発電量をCAN上に送信する。そして、空調用制御装置28は、CAN上に送信された次回の走行時間で得られる予測発電量に基づき、次回の走行中及び停車中における電動コンプレッサ10等の消費電力量を制御する。即ち、走行後の停車中における電動コンプレッサ10等の予測消費電力量により、蓄電器4の蓄電量が最低限許容できる下限値である所定の設定値Ssまで低下することを防止する方向で、走行中及び停車中の電動コンプレッサ10の消費電力量を制御する。
【0056】これにより、本発明によれば、主制御装置8などにより、当該自動車1の走行及び停車の状況に基づいて、走行中及び停車中における電動コンプレッサ10の消費電力量を制御することができるため、上記基本制御におけるアイドリングストップを実施した停車中に電動コンプレッサ10を駆動した場合にも、当該電動コンプレッサ10の電力消費によってエンジン2が始動されてしまう不都合を防止若しくは抑制することができるようになる。
【0057】そのため、停車時における排気ガスや騒音の低下を達成しながら快適な車室内空調を実現することができるようになると共に、停車時にエンジン2を始動させる状況を抑制することにより発電量も全体として削減できるようになる。
【0058】また、本実施例では、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、次回の走行中及び停車中における電動コンプレッサ10の消費電力量を制御するため、より正確な制御が実現可能となる。
【0059】また更に、主制御装置8には走行中における発電機4の発電量を優先的に制御する発電制御優先モードと、電動コンプレッサ10の消費電力量を優先的に制御する空調制御優先モードとを選択可能とする図示しない選択手段が設けられていても良いものとする。
【0060】係る場合には、発電制御優先モードと、空調制御優先モードとを使用者の好みや自動車1の使用環境に応じてモード選択することができ、より効果的なアイドリングストップと車室内空調を実現することができるようになる。
【0061】また、上記実施例では、自動車1としてエンジン2を走行のアシスト駆動源として使用されているハイブリッド自動車(HEV)を取り上げて本発明を説明したが、エンジン2を発電のみに使用するハイブリッド自動車(HEV)であっても本発明を実現することができる。
【0062】更に、図7に示す如き通常の燃料エンジン自動車にも適用可能である。この図においても図1から図5と同一符号は同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この場合、走行用の燃料エンジン(内燃機関)42によって駆動される発電機(GEN)43によって発電された電力が車載バッテリー5(DC42V)に充電され、この車載バッテリー5の電力によって空気調和装置9が駆動されることになる。そして、燃料エンジン42はCANに接続されたエンジン制御装置34によって制御され、カレントトランスCT3の検出値もエンジン制御装置34に入力されて発電機43の発電量も制御される。この発電機43の余裕発電量ΔG1はエンジン制御装置34で算出され、そのデータはCAN上に送信される。また、余裕馬力ΔHのデータもエンジン制御装置34からCAN上に送信される。更に、許容放電増加量ΔEもバッテリー制御装置32からCAN上に送信され、これらによって、前述のハイブリット自動車の場合と同様に電力制御が実現可能とされる。
【0063】更に、実施例における各種電流値や制御信号はシリアル通信、パラレル通信、アナログ通信、デジタル通信、或いは、スイッチ信号の各種通信方式によって伝達可能であり、物理的にも有線、無線のいずれも可能である。また、CANを用いない通信システムでも実現可能であることは云うまでもない。
【0064】
【発明の効果】以上詳述した如く請求項1の発明の自動車用制御システムによれば、エンジンによって駆動される発電手段と、この発電手段によって充電される蓄電手段とを具備した自動車に用いられるものであり、蓄電手段からの給電により駆動される電動コンプレッサを有する空調手段と、制御手段とを備え、この制御手段は、自動車の走行及び/又は停車の状況に基づいて、走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御するので、例えば、請求項2の如く停車中にエンジンを停止してこのエンジンの停止中に蓄電手段の蓄電量が所定値に低下した場合にはエンジンを始動する制御を実施し、且つ、このエンジンの停止中に電動コンプレッサを駆動可能とすると共に、走行後の停車中における電動コンプレッサの電力消費により、蓄電手段の蓄電量が所定値まで低下することを防止する方向で走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御することで、アイドリングストップを実施した停車中に電動コンプレッサを駆動した場合にも、当該電動コンプレッサの電力消費によってエンジンが始動されてしまう不都合を防止若しくは抑制可能となる。
【0065】これにより、停車時における排気ガスや騒音の低下を達成しながら快適な車室内空調を実現することができるようになると共に、発電量も全体として削減できるようになる。
【0066】請求項3の発明の自動車用制御システムによれば、請求項2の発明に加えて、制御手段は、過去の走行時間と停車時間から次回の走行時間と当該走行後の停車時間とを予測し、当該予測結果に基づいて、次回の走行中における発電手段の発電量、或いは、電動コンプレッサの消費電力量を制御するので、より正確な制御が実現可能となる。
【0067】請求項4の発明の自動車用制御システムによれば、上記各発明において、制御手段は、走行中における発電手段の発電量を優先的に制御する発電制御優先モードと、電動コンプレッサの消費電力量を優先的に制御する空調制御優先モードとを選択可能とされているので、使用者の好みや自動車の使用環境に応じてモードを選択することができ、より効果的なアイドリングストップと車室内空調を実現できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【住所又は居所】大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100098361
【弁理士】
【氏名又は名称】雨笠 敬
【公開番号】 特開2003−111201(P2003−111201A)
【公開日】 平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願番号】 特願2001−302182(P2001−302182)