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【発明の名称】 ハイブリッド建設機械の駆動制御装置、ハイブリッド建設機械及びその駆動制御プログラム
【発明者】 【氏名】江川 栄治
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】落合 正巳
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】山下 誠二
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】榑沼 透
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】大平 修司
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】糟谷 博嗣
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【要約】 【課題】コンパクトで管理の容易な蓄電手段をエネルギーの一次貯蔵庫として用いることで、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能とし、更にエンジンを適切に制御できるようにする。

【解決手段】エンジン1、回転数センサ3、燃料噴射ガバナ4、エンジン1で駆動される発電機5、油圧ポンプ6を駆動する電動機7、蓄電部8、発電機制御部9、電動機制御部10、バッテリセンサ15、コントローラ12で駆動制御装置を構成し、コントローラ12は、バッテリセンサ15で検出した蓄電部8の充電状態によりエンジン1と発電機5を運転するか停止させるかを判断し、エンジン1と発電機5を運転すべき場合は、回転数センサ3の検出値に基づくガバナ4への燃料噴射指令と発電機5へのトルク指令を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項2】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記駆動力伝達手段は、前記電動機により駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を前記作業装置に油圧的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項3】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも2つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、少なくとも2つの作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する少なくとも2つの駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記駆動力伝達手段の1つは、前記電動機の1つにより駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータを有し、電動機の駆動力を前記作業装置の1つに油圧的に伝達するものであり、前記駆動力伝達手段の他の1つは、前記電動機の他の1つに連結された減速装置を有し、この減速装置を介して前記電動機の駆動力を前記作業装置の他の1つに機械的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項4】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、複数の電動機と、この複数の電動機をそれぞれ制御し前記蓄電手段との電力授受を行う複数の電動機制御手段と、複数の作業装置と、前記複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に伝達する複数の駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記複数の駆動力伝達手段は、その全てが、前記複数の電動機にそれぞれ連結された複数の減速装置を有し、これら減速装置を介して複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に機械的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項5】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、複数の電動機と、この複数の電動機をそれぞれ制御し前記蓄電手段との電力授受を行う複数の電動機制御手段と、複数の作業装置と、前記複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に伝達する複数の駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記複数の駆動力伝達手段は、その全てが、前記電動機により駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプと閉回路により接続された油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を前記作業装置の対応するものに油圧的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項記載のハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記全体制御手段は、前記エンジンと発電機を運転すべき場合は前記エンジンを最適運転状態とする所定の目標回転数を設定し、前記エンジン制御手段は、その所定の目標回転数に基づいて前記エンジンの回転数を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項7】請求項1〜5のいずれか1項記載のハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記全体制御手段は、前記蓄電手段の充電が必要な場合は前記エンジンを最適運転状態とする所定の目標回転数を設定し、前記エンジン制御手段にその所定の目標回転数に基づいて前記エンジンの回転数を制御させ、前記蓄電手段の充電が不要な場合は前記エンジンを停止させることを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項8】請求項6又は7記載のハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記全体制御手段は、前記所定の目標回転数として、前記エンジンの最少燃費を得る目標回転数を設定することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項9】請求項6又は7記載のハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記全体制御手段は、前記所定の目標回転数として、前記エンジンの排ガス有害成分が少なく騒音の低い目標回転数を設定することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御装置。
【請求項10】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも1つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械において、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械。
【請求項11】エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも1つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えたハイブリッド建設機械の駆動制御プログラムにおいて、前記エンジンと発電機を前記電動機と独立して制御するためにコンピュータを、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段として機能させ、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御することを特徴とするハイブリッド建設機械の駆動制御プログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベル、ホイールローダ等の油圧建設機械に適用して好適なハイブリッド建設機械の駆動制御装置、ハイブリッド建設機械及びその駆動制御プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油圧ショベルなどの油圧建設機械は、油圧ポンプをエンジン出力トルクだけによって駆動し油圧作業部を駆動するのが一般的である。しかし、この場合は、油圧作業部の負荷変動がそのままエンジンの負荷変動となり、これによって燃費の低下や黒煙など排ガス特性の悪化、騒音の増加を招いていた。
【0003】このような問題を解決するための提案として、例えば特開2001−11888号公報に記載のようなハイブリッド建設機械がある。このハイブリッド建設機械では、エンジンで直接油圧ポンプを回転駆動するのではなく、エンジンで発電機を駆動し、この発電機で生じた電力をバッテリに蓄電し、このバッテリの電力で電動機を駆動し、この電動機で油圧ポンプを駆動するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開2001−11888号公報に記載のようなハイブリッド建設機械によれば、エンジンで直接駆動するのは発電機であるので、油圧作業部の負荷変動がそのままエンジンの負荷変動とならず、燃費の向上、排ガス特性の改善及び騒晋の低減が期待できる。しかし、特開2001−11888号公報では、エンジンの制御については検討されていない。一般に、油圧ショベル等の建設機械に用いられるエンジンはディーゼルエンジンであり、このディーゼルエンジンではスロットルダイヤルなどでオペレータが目標回転数を設定し、ガバナ装置によりその目標回転数を維持するよう制御される。しかし、オペレータが任意に目標回転数を設定しただけでは、エンジンを最適運転状態とすることはできず、燃費を向上させたり、排ガスや騒晋の特性を向上させることはできない。
【0005】本発明の目的は、コンパクトで管理の容易な蓄電手段をエネルギーの一次貯蔵庫として用いることで、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能とし、更にエンジンを適切に制御できるようにしたハイブリッド建設機械の駆動制御装置、ハイブリッド建設機械及びその駆動制御プログラムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0007】このように発電機、蓄電手段、発電機制御手段、電動機、電動機制御手段を設け、コンパクトで管理の容易な蓄電手段をエネルギーの一次貯蔵庫として用いることにより、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができる。また、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0008】(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記駆動力伝達手段は、前記電動機により駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を前記作業装置に油圧的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0009】これによっても、駆動力伝達手段として、油圧ポンプと複数の油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を作業装置に油圧的に伝達するもの(油圧システム)を備えたハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0010】また、駆動力伝達手段として油圧システムを用いるので、外部からの耐衝撃性や耐久性などを向上できる。
【0011】(3)更に、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも2つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、少なくとも2つの作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する少なくとも2つの駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記駆動力伝達手段の1つは、前記電動機の1つにより駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータを有し、電動機の駆動力を前記作業装置の1つに油圧的に伝達するものであり、前記駆動力伝達手段の他の1つは、前記電動機の他の1つに連結された減速装置を有し、この減速装置を介して前記電動機の駆動力を前記作業装置の他の1つに機械的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0012】これによっても、駆動力伝達手段として、油圧ポンプと複数の油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を作業装置の1つに油圧的に伝達するものと、減速装置を有し、この減速装置を介して電動機の駆動力を作業装置の他の1つに機械的に伝達するものとを備えたハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0013】また、一部の駆動力伝達手段として、減速装置を介して電動機の駆動力を作業装置に機械的に伝達するものを用いることにより、コントロールバルブで絞られたり捨てられている油圧的なエネルギー損失を少なくし、電動機の発電作用により作業装置の慣性エネルギーを回生することで燃費を向上することができる。
【0014】(4)また、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、複数の電動機と、この複数の電動機をそれぞれ制御し前記蓄電手段との電力授受を行う複数の電動機制御手段と、複数の作業装置と、前記複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に伝達する複数の駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記複数の駆動力伝達手段は、その全てが、前記複数の電動機にそれぞれ連結された複数の減速装置を有し、これら減速装置を介して複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に機械的に伝達する手段であり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0015】これによっても、駆動力伝達手段として、その全てが、複数の減速装置を有し、これら減速装置を介して複数の電動機の駆動力を複数の作業装置に機械的に伝達する複数の駆動力伝達手段を備えたハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0016】また、全ての駆動力伝達手段として、減速装置を介して電動機の駆動力を作業装置に機械的に伝達するものを用いることにより、コントロールバルブで絞られたり捨てられている油圧的なエネルギー損失を完全に無くし、電動機の発電作用により作業装置の慣性エネルギーを回生することで燃費を向上することができる。
【0017】(5)また、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、複数の電動機と、この複数の電動機をそれぞれ制御し前記蓄電手段との電力授受を行う複数の電動機制御手段と、複数の作業装置と、前記複数の電動機の駆動力を前記複数の作業装置に伝達する複数の駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、前記複数の駆動力伝達手段は、その全てが、前記電動機により駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプに閉回路により接続された油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を前記作業装置の対応するものに油圧的に伝達するものであり、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0018】これによっても、駆動力伝達手段として、その全てが、油圧ポンプとこの油圧ポンプに閉回路接続された油圧アクチュエータとを有し、電動機の駆動力を作業装置の対応するものに油圧的に伝達するもの(油圧システム)を備えたハイブリッド建設機械の駆動制御装置において、上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0019】また、駆動力伝達手段として油圧システムを用いるので、外部からの耐衝撃性や耐久性などを向上できる。
【0020】(6)上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記全体制御手段は、前記エンジンと発電機を運転すべき場合は前記エンジンを最適運転状態とする所定の目標回転数を設定し、前記エンジン制御手段は、その所定の目標回転数に基づいて前記エンジンの回転数を制御する。
【0021】これによりエンジンは最適の目標回転数に応じて制御されるようになり、上記(1)で述べたようにエンジンを適切に制御することができる。
【0022】(7)また上記(1)〜(5)において、好ましくは、前記全体制御手段は、前記蓄電手段の充電が必要な場合は前記エンジンを最適運転状態とする所定の目標回転数を設定し、前記エンジン制御手段にその所定の目標回転数に基づいて前記エンジンの回転数を制御させ、前記蓄電手段の充電が不要な場合は前記エンジンを停止させる。
【0023】これによりエンジンは充電が必要なときは最適の目標回転数に応じて制御され、充電が不要なときは停止するようになり、上記(1)で述べたようにエンジンを適切に制御することができる。
【0024】(8)また、上記(6)又は(7)において、前記全体制御手段は、前記所定の目標回転数として、前記エンジンの最少燃費を得る目標回転数を設定する。
【0025】これによりエンジンは最少の燃費となるよう制御されるようになり、燃費を向上できる。
【0026】(9)上記(6)又は(7)において、前記全体制御手段は、前記所定の目標回転数として、前記エンジンの排ガス有害成分が少なく騒音の低い目標回転数を設定してもよい。
【0027】これによりエンジンは排ガス有害成分が少なく騒音の低い状態となるよう制御されるようになり、排ガスと騒音の特性を向上できる。
【0028】(10)また、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも1つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えるハイブリッド建設機械において、前記蓄電手段の充電量を計測する手段と、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段とを備え、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0029】これにより上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0030】(11)更に、上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンを目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段と、前記エンジンにより駆動される発電機と、蓄電を行う蓄電手段と、前記発電機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う発電機制御手段と、少なくとも1つの電動機と、この電動機を制御し前記蓄電手段との電力授受を行う電動機制御手段と、作業装置と、前記電動機の駆動力を前記作業装置に伝達する駆動力伝達手段とを備えたハイブリッド建設機械の駆動制御プログラムにおいて、前記エンジンと発電機を前記電動機と独立して制御するためにコンピュータを、前記蓄電手段の充電量の計測結果に応じて前記エンジンと発電機の運転状態の切り換えを指令する全体制御手段として機能させ、前記エンジン制御手段及び発電機制御手段は前記全体制御手段の指令に応じて前記エンジンと発電機を制御するものとする。
【0031】これにより上記(1)で述べたように、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができるるとともに、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うことにより、エンジンを適切に制御することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るハイブリッド建設機械の駆動制御装置を示す図である。
【0034】図1において、本実施の形態に係わる駆動制御装置は、エンジン1と、エンジン回転数を検出する回転数センサ3と、エンジン1の燃料噴射量を調整するガバナ4と、エンジン1により駆動される発電機5と、電動機7と、蓄電部8と、発電機5のトルクを制御し蓄電部8との電力授受を行う発電機制御部9と、電動機7の回転数やトルクを制御し蓄電部8との電力授受を行う電動機制御部10と、電動機7の駆動力を建設機械の作業装置(後述)に油圧的に伝達する駆動力伝達装置14と、蓄電部8の充電状態を検出するバッテリセンサ15と、エンジン1、発電機5及び電動機7を統合制御する全体制御手段としてのコントローラ11とを備えている。
【0035】エンジン1はディーゼルエンジンであり、ガバナ4により燃料噴射量を制御することで調速される。このガバナ4は、例えば燃料噴射ポンプを備えた電子ガバナであり、設定回転数(後述)と回転数センサ3で検出された実測回転数の偏差に基づきコントローラ11により制御される。
【0036】発電機5は交流発電機であり、蓄電部8はバッテリ或いはキャパシタであり、発電機制御部9はコンバータであり、発電機制御部9で発電する電力を制御してバッテリ8に電力を蓄電する。
【0037】駆動力伝達装置14は油圧ポンプ6と油圧制御装置13とからなり、油圧制御装置13はバルブ装置13aやアクチュエータ13b,13c等を備えている。油圧ポンプ6はインバータである電動機制御部10により電動機7を駆動することで回転数が制御され、圧油の吐出流量(圧油の供給流量)が制御される。油圧ポンプ6から吐出された圧油はバルブ装置13aを介してアクチュエータ13b,13c等に供給され、これらのアクチュエータにより建設機械の作業装置を駆動する。
【0038】コントローラ11は、バッテリセンサ15で検出した蓄電部8の充電状態によりエンジン1と発電機5を運転するか停止させるかを判断し、エンジン1と発電機5を運転すべき場合は、上記回転数偏差に基づガバナ4への燃料噴射指令とコンバータ9への発電機5のトルク指令を出力する。つまり、本実施の形態では、蓄電部8を電力の一時貯蔵庫として用いるため、油圧ポンプ6を駆動する電動機7とエンジン1で駆動する発電機5とを独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができ、燃費や排ガス、騒音の特性の向上が可能となる(後述)。
【0039】また、コントローラ11は、例えばアクチュエータ13b,13c等に係わる作業装置の図示しない操作手段の操作信号Lxを入力し、その操作信号からアクチュエータ13b,13c等の要求流量を計算し、油圧ポンプ6の吐出流量がその要求流量と等しくなるよう電動機7を制御する。
【0040】図2は上記油圧駆動制御装置を搭載したハイブリッド建設機械の一例としてハイブリッド油圧ショベルの外観を示す図である。なお、本発明は油圧ショベル以外、ホイールローダや油圧クレーンなど他の建設機械に適用できることは勿論である。
【0041】図2において、21はハイブリッド油圧ショベルであり、油圧ショベル21は下部走行体22、上部旋回体23、フロント作業機24を有し、上部旋回体23は下部走行体22に対して旋回可能に搭載され、フロント作業機24は上部旋回体23の前部に上下動可能に取り付けられている。下部走行体22には走行モータ22aにより駆動される左右の走行装置28a,28b(片側のみ図示)が設けられ、下部走行体22と上部旋回体23の間には旋回モータ23aにより駆動される旋回装置29が配置されている。フロント作業機24はブーム25、アーム26、バケット27を有する多関節構造であり、ブーム25はブームシリンダ25aにより、アーム26はアームシリンダ26aにより、バケット27はバケットシリンダ27aによりそれぞれ回転駆動される。
【0042】油圧ショベル21には、図示の如く、上記油圧駆動制御装置のエンジン1、発電機5、油圧ポンプ6、電動機7、バルブ装置13aを搭載しており、ハイブリッド建設機械として構成されている。走行モータ22a、旋回モータ23a、ブームシリンダ25a、アームシリンダ26a、バケットシリンダ27aはアクチュエータ13b,13cを構成する。また、油圧ショベルのフロント作業機24や走行モータ22aにより駆動される左右の走行装置28a,28b及び旋回モータ23aにより駆動される旋回装置29は油圧ショベルの作業装置を構成する。
【0043】図3は、コントローラ11及びガバナ4によりエンジン1を制御するときのエンジン1の最大トルク線図、ガバナ特性線図、等燃費線図を示す図である。図中、実線Xはエンジン1の仕様で決まる最大トルク線図であり、一点鎖線Yは設定回転数をNとしたときのガバナ特性線図であり、同心円状の複数の曲線Zは等燃費線図である。
【0044】前述したように、ガバナ4は例えば燃料噴射ポンプを備えた電子ガバナであり、エンジン1の目標回転数をN(以下適宜設定回転数という)に設定したとき、ガバナ4は、コントローラ11により図3に波線Yで示すような所定の傾きを持った特性で作動するよう制御される。つまり、エンジン1の負荷トルクが大きくエンジン回転数Nが低くなると、燃料噴射量を増やし軸トルクを増大させ、エンジン1の負荷トルクが減少しエンジン回転数Nが高くなると、燃料噴射量を減らし、軸トルクを減少させ、これにより負荷変動に対してエンジン回転数Nをほぼ一定に保持するように制御する。コントローラ11は、このような制御を行うため、エンジン1の設定回転数(例えば図3のN)と回転数センサ3で検出された実測回転数(例えば、負荷トルクが図3のTであるときはN)の偏差ΔNを計算し、偏差ΔNが増大すると、燃料噴射量増の指令信号をガバナ4に出力し、偏差ΔNが減少すると、燃料噴射量減の指令信号をガバナ4に出力する。これによりエンジン1の負荷変動、即ち発電機5のON・OFF制御(後述)による負荷変動に対してもエンジン回転数Nをほぼ一定に制御している。
【0045】以上のコントローラ11の処理機能と回転数センサ3及びガバナ4によりエンジン1を目標回転数となるよう制御するエンジン制御手段を構成する。
【0046】なお、ガバナ4はそれ自身が図3に波線Yで示す所定の傾きを持った特性を有するメカニカルガバナであってもよく、この場合はコントローラ1からは設定回転数に応じた指令値が出力され、メカニカルガバナの燃料噴射量調整機構により実際の回転数と設定回転数との偏差に応じた燃料噴射量の調整が行われる。
【0047】また、図3において、等燃費線図Zは、ある設定回転数において軸トルクに応じた燃料消費量を算出し、全設定回転数において燃料消費量が等しくなる軸トルク点をプロットしたものであり、A点は最も燃費の良い点であり、設定回転数Nで軸トルクがTとなる点である。また、B点は低速運転で排ガスや騒音の低い点であり、設定回転数N、軸トルクTに対応する点である。C点はエンジンの停止状態を示す点である。
【0048】本実施の形態は、例えば掘削作業をメインとする油圧ショベルに本発明を適用した場合のものであり、主に燃費を向上させるように、充電が必要な場合には燃費の最も良い点Aの状態で、充電が不要な場合には停止点Cの状態でエンジンを運転するように切り換えるものである。なお、充電が不要な場合には排ガスが比較的きれいで騒音の低い点Bの状態でエンジンを運転してもよい。
【0049】また、走行系をメインとするホイールローダなどに本発明を適用する場合は、燃費を向上させると同時に低速走行時の排ガスや騒音を減らすように、充電が必要な場合は走行状態に応じて中高速走行時には燃費の良い点Aの状態で、低速走行時には排ガスが比較的きれいで騒音の低い点Bの状態でエンジンを運転するように制御してもよい。また、この場合も、充電が不要な場合は排ガスが比較的きれいで騒音の低い点Bの状態或いは停止点Cの状態でエンジンを運転してもよい。
【0050】図4にコントローラ11の制御機能をフローチャートで示す。このフローチャートは、充電が必要な場合には燃費の最も良い点Aの状態で、充電が不要な場合には停止点Cの状態でエンジンを運転するように切り換える場合のものである。
【0051】コントローラ11は、まず、バッテリセンサ15の検出信号を入力し、バッテリ8の充電状態を検出する(ステップS100)。一例として、バッテリセンサ15は電圧センサであり、コントローラ11には図5に示すようなバッテリ残量SOC(%)と電圧(V)との関係が予め設定されており、バッテリセンサ15で検出した電圧からそれに対応するバッテリ残量SOCを計算する。
【0052】次いで、バッテリ8の残量SOCが予め定めたバッテリ残量の下限値Lowよりも少ないかどうかを判断し(ステップS110)、その判断が肯定されるとエンジン1をON(運転)すべくエンジン1の目標回転数をNに設定し(ステップS120)、発電機5の目標トルクをTに設定する(ステップS130)。ここで、設定回転数Nで目標トルクTは図3のA点、つまりエンジン1の最も燃費の良い点である。
【0053】次いで、バッテリ8の残量SOCが予め定めたバッテリ残量の上限値Highよりも多いかどうかを判断し(ステップS140)、その判断が肯定されるとエンジン1をOFF(運転停止)すべくエンジン1の目標回転数を0に設定し(ステップS150)、発電機5の目標トルクを0に設定する(ステップS160)。ここで、設定回転数及び目標トルクが共に0の状態は図3のC点に対応する。
【0054】ステップS110の判断が否定されると、直接ステップS140に進み、ステップS140の判断が否定されると始めに戻る。
【0055】コントローラ11は以上のようにエンジン1の目標回転数及び発電機5の目標トルクが設定されると、エンジン1に対しては上記のように実測回転数との偏差ΔNを計算し、偏差ΔNに応じた燃料噴射量の指令信号をガバナ4に出力し、設定回転数となるようエンジン1を制御する。また、発電機5に対しては、目標トルクに応じた指令信号をコンバータ9に出力し、発電機5の発電量を制御する。
【0056】図6は、以上のようにエンジン1及び発電機5が制御されるときのバッテリ残量SOCの変化を示す図である。バッテリ残量SOCが下限値Lowよりも多くエンジン1及び発電機5がOFFの状態にあるとき、バッテリ残量SOCが徐々に減少する(ステップS100→ステップS110→ステップS140→始めに戻る)。バッテリ残量SOCが下限値Lowよりも少なくなるとエンジン1及び発電機5がONとなり、バッテリ残量SOCが徐々に増大する(ステップS100→ステップS110〜S130→ステップS140→始めに戻る)。バッテリ残量SOCが上限値Highよりも多くなるとエンジン1及び発電機5がOFFとなり、バッテリ残量SOCは再び減少する(ステップS100→ステップS110→ステップS140→ステップS160→始めに戻る)。このことが繰り返され、バッテリ残量SOCは下限値Lowと上限値Highの間に維持される。
【0057】以上のように構成した本実施の形態によれば、蓄電部8を電力の一時貯蔵庫として用いることにより、油圧ポンプ6を駆動する電動機7とエンジン1で駆動する発電機5とを独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジン1を使用することができる。
【0058】また、エンジン1及び発電機5の制御については、バッテリ8の充電が必要な場合は燃費の最も良い図3のA点でエンジン1を運転し、充電が不要な場合は図3の停止点Cの状態でエンジン1を運転するよう切り換えられるので、燃費を向上することができる。
【0059】また、本発明を走行系をメインとするホイールローダなどに適用した場合は、バッテリ8の充電が必要な場合で走行状態に応じて中低速時には燃費の良い図3のA点でエンジン1を運転し、低速走行時には排ガス有害成分(例えば黒煙)が少なく騒音の低い図3のB点でエンジン1を運転し、バッテリ8の充電が不要な場合は図3の停止点Cの状態でエンジン1を運転するよう切り換えることができ、燃費の向上と共に排ガスや騒音の特性の向上が可能となる。
【0060】また、駆動力伝達装置14として油圧システムを用いるので、外部からの耐衝撃性や耐久性を向上することができる。
【0061】本発明の第2の実施の形態を図7により説明する。図中、図1に示したものと同等の部分には同じ符号を付している。
【0062】図7において、本実施の形態に係わる油圧駆動制御装置は、第1の実施の形態の構成に加えて、電動機17と、電動機17の駆動力を建設機械の作業装置に機械的に伝達する駆動力伝達装置18と、電動機17を制御し蓄電部8との電力授受を行うインバータである電動機制御部19とを備えている。駆動力伝達装置18は例えば遊星歯車やボールねじ等の減速装置18aを有し、この減速装置18aを介して油圧ショベルの旋回装置29(図2参照)等の作業装置を駆動することで、電動機17による電気駆動により作業を行うことができる。減速装置18aを備えた駆動力伝達装置18については第3の実施の形態で詳述する。
【0063】コントローラ11Aはエンジン1,発電機5,電動機7に加え電動機16も制御する全体制御手段として機能する。
【0064】つまり、コントローラ11Aは、例えばアクチュエータ13b,13c等に係わる作業装置の図示しない操作手段の操作信号Lxを入力し、その操作信号からアクチュエータ13b,13c等の要求流量を計算し、油圧ポンプ6の吐出流量がその要求流量と等しくなるよう電動機7を制御すると共に、駆動力伝達装置18に係わる作業装置の図示しない操作手段の操作信号Lyを入力し、その操作信号から作業装置の要求トルクを計算し、電動機16の出力トルクがその要求トルクと等しくなるように電動機15を制御する。
【0065】以上のように構成した本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様に、エンジンを適切に制御することができる。
【0066】また、駆動力伝達装置18を油圧ショベルの旋回装置やホイールローダの走行装置のように電動化が容易な作業装置に用いることで、装置の簡略化や油圧損失の低減によるエネルギー効率の向上が図れ、更には電動機16の発電作用により作業装置の慣性エネルギーの回生が図れる。
【0067】本発明の第3の実施の形態を図8〜図11により説明する。図中、図1及び図2に示したものと同等の部分には同じ符号を付している。
【0068】図8において、本実施の形態に係わる油圧駆動制御装置は、第1の実施の形態と同様、エンジン1、回転数センサ3、ガバナ4、発電機5、蓄電部8と、発電機制御部(コンバータ)9を備えるとともに、複数の電動機7a〜7fと、電動機7a〜7fの回転数やトルクを制御し蓄電部8との電力授受を行う電動機制御部(インバータ)10a〜10fと、電動機7a〜7fの駆動力を建設機械の作業装置に機械的に伝達する駆動力伝達装置30a〜30fと、エンジン1、発電機5及び電動機7a〜7fを統合制御する全体制御手段としてのコントローラ11Bとを備えている。
【0069】駆動力伝達装置30a〜30fのうち駆動力伝達装置30a〜30cは遊星歯車式の減速装置であり、これら減速装置は例えば油圧ショベルの左走行装置、右走行装置、旋回装置を駆動するよう設けられている。また、駆動力伝達装置30d〜30fはボールねじ式の減速装置を内蔵した電動シリンダであり、これら電動シリンダは例えば油圧ショベルのフロント作業機を構成するブーム、アーム、バケットを駆動するよう設けられている。走行用の電動機7a,7bと駆動力伝達装置30a,30bは油圧ショベルの下部走行体に配置され、それ以外の部品は油圧ショベルの上部旋回体に配置されており、走行用のインバータ10a,10bと電動機7a,7b間には旋回装置の回転部を介して電気を伝送するための回転式電気伝送部30が設けられている。
【0070】コントローラ11Bのエンジン1及び発電機5に対する制御機能は第1の実施の形態と同じである。
【0071】また、コントローラ11Bは、左走行装置、右走行装置、旋回装置、ブーム、アーム、バケットの図示しない操作手段の操作信号La〜Lfを入力し、その操作信号から各操作装置の要求トルクを計算し、電動機7a〜7fの出力トルクがその要求トルクと等しくなるように電動機7a〜7fを制御する。
【0072】図9は上記油圧駆動制御装置を搭載したハイブリッド建設機械の一例としてハイブリッドショベルの外観を示す図である。なお、本発明はショベル以外、ホイールローダやクレーンなど他の建設機械に適用できることは勿論である。また、本実施の形態のハイブリッドショベルは、駆動力伝達装置30a〜30fの全てを電動機7a〜7fの駆動力を建設機械の作業装置に機械的に伝達する電動システムとしたものであり、厳密には電動ショベルと言うべきものである。
【0073】図9において、21は電動ショベルであり、電動ショベル21は下部走行体22、上部旋回体23、フロント作業機24を有し、上部旋回体23は下部走行体22に対して旋回可能に搭載され、フロント作業機24は上部旋回体23の前部に上下動可能に取り付けられている。下部走行体22には電動機7a,7bと減速装置30a,30bにより駆動される左右の走行装置28a,28b(片側のみ図示)が設けられ、下部走行体22と上部旋回体23の間には電動機7cと減速装置30cにより駆動される旋回装置29が配置されている。フロント作業機24はブーム25、アーム26、バケット27を有する多関節構造であり、ブーム25は電動機7d及び電動シリンダ30dにより、アーム26は電動機7e及び電動シリンダ30eにより、バケット27は電動機7f及び電動シリンダ30fによりそれぞれ回転駆動される。
【0074】電動ショベル21のフロント作業機24や左右の走行装置及び旋回装置はそれぞれ作業装置を構成する。また、走行用の電動機7a,7bと減速装置30a,30bは下部走行体22に配置され、それ以外の部品は上部旋回体23に配置されている。このため、走行用のインバータ10a,10bと電動機7a,7b間には旋回装置の回転部を介して電気を伝送するため回転式電気伝送部30が設けられている。
【0075】図10は電動機7aと減速装置30a、電動機7bと減速装置30b、電動機7cと減速装置30cの各組み合わせの具体的構造を示す図である。
【0076】図10において、減速装置30aは、電動機7aの出力軸50に連結された太陽歯車51と、内周側で太陽歯車51に噛み合い外周側でケーシング52の内歯歯車に噛み合う複数の第1段遊星歯車53と、第1段遊星歯車53と一体に太陽歯車51の周囲を公転する第1段出力部54と、第1段出力部54の内歯歯車と噛み合う中間出力軸55と、内周側で中間出力軸55の外歯歯車と噛み合い外周側でケーシング52の内歯歯車と噛み合う複数の第2段遊星歯車56とで構成されている。ケーシング52は最終段出力部を兼ね、ケーシング52に設けられたフランジ57を左走行装置の走行スプロケットにボルト結合することにより、電動機7aが回転するとその回転が減速されて走行スプロケットに伝えられ、走行の駆動力が得られる。減速装置30b,30cも同様に構成されている。
【0077】図11は電動機7dと電動シリンダ30d、電動機7eと電動シリンダ30e、電動機7fと電動シリンダ30fの各組み合わせの具体的構造を示す図である。
【0078】図11において、電動シリンダ30dは、ボールねじ溝付きのシャフト61と、このシャフト61のボールねじ溝と係合するボールを内蔵したスライダ62と、このスライダ62を移動可能に収納したシリンダ63と、スライダ62を一端に固定し、他端側をシリンダ63の外側に突出させたピストン64とを有し、シャフト61の一端はタイミングプーリ65,66及びタイミングベルト67を介して電動機7dの出力軸68に連結されている。電動機7dは電磁ブレーキ69、角度検出器70を備えている。シリンダ63の基端部を上部旋回体23の旋回フレームに連結し、ピストン64の先端をブーム53の側部に連結することにより、電動機7dが回転するとその回転が減速されてピストン64の直線運動に変換され、ブーム53を上下方向に回動することができる。電動シリンダ30e,30fも同様に構成されている。
【0079】以上のように構成した本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様に、エンジンを適切に制御することができる。
【0080】また、駆動力伝達装置30a〜30fの全てを電動機7a〜7fに連結された遊星歯車式の減速装置或いはボールねじ式の減速装置を有し、これらの減速装置を介して電動機7a〜7fの駆動力を作業装置24,28a,28b,29に機械的に伝達するものとしたので、走行装置28a,28b、旋回装置29、フロント作業機24(ブーム25、アーム26、バケット27)の全てが電動システムとなり、コントロールバルブで絞られたり捨てられている油圧的なエネルギー損失を完全に無くし、燃費を向上することができる。また、旋回停止時やブーム落下時は旋回用の電動機7cやブーム用の電動機7dが慣性エネルギーで回転駆動されるので、電動機制御部(インバータ)10c、10dを適宜制御すれば電動機7c,7dの発電作用により慣性エネルギーを回生することができ、この点でも燃費を向上することができる。
【0081】更に、フロント作業機24(ブーム25、アーム26、バケット27)に対する駆動力伝達装置30d〜30fを電動シリンダとしたので、図9に示したように、従来のブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダと置換することができ、それら油圧シリンダと同様、リンク結合によりブーム25、アーム26、バケット27の各作業部材を回転駆動することができ、電動機7d〜7fの出力をそれほど大きくしなくても各作業部材を駆動することができる。このため、電動機7d〜7fを小型、低重量化でき、フロント作業機24を電動システムとしても、上部旋回体23やフロント作業機24の重量の増加を極力抑えることができる。
【0082】本発明の第4の実施の形態を図12により説明する。図中、図1及び図8に示したものと同等の部分には同じ符号を付している。
【0083】図12において、本実施の形態に係わる油圧駆動制御装置は、第3の実施の形態における電動機7a〜7fの駆動力を建設機械の作業装置に機械的に伝達する駆動力伝達装置30a〜30fの代わりに、電動機7a〜7fの駆動力を建設機械の作業装置に油圧的に伝達する駆動力伝達装置33〜38を備えている。それ以外の構成は第3の実施の形態と同じである。
【0084】駆動力伝達装置33〜35は油圧ポンプ33a〜35aと油圧モータ33b〜35bを備えた油圧閉回路であり、これら油圧閉回路の油圧モータ33b〜35bは例えば油圧ショベルの左走行装置、右走行装置、旋回装置を駆動するように取り付けられている。また、駆動力伝達装置36〜38は油圧ポンプ36a〜38aと油圧シリンダ36b〜38bを備えた油圧閉回路であり、これら油圧閉回路の油圧シリンダ36b〜38bは例えば油圧ショベルのフロント作業機を構成するブーム、アーム、バケットを駆動するように取り付けられている。走行用の油圧モータ33b,34bは油圧ショベルの下部走行体に配置され、それ以外の部品は油圧ショベルの上部旋回体に配置されており、走行用の油圧モータ33b,34bと油圧ポンプ33a,34a間には旋回装置の回転部を介して油圧を伝達するための回転式油圧伝送部39が設けられている。
【0085】本実施の形態によっても第1の実施の形態と同様に、エンジンを適切に制御することができる。また、駆動力伝達装置33〜38として油圧システムを用いるので、外部からの耐衝撃性や耐久性を向上することができる。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、従来は、油圧ポンプをエンジンで直接駆動していたためエンジンの負荷変動が大きかったものを、コンパクトで管理の容易な蓄電手段をエネルギーの一次貯蔵庫として用いることで、油圧ポンプを駆動する電動機とエンジンで駆動する発電機を独立に制御可能となり、作業負荷によらず常に最適な運転状態でエンジンを使用することができる。また、蓄電手段の充電量の計測結果に応じてエンジンと発電機を運転するか停止させるかの制御を行うので、エンジンを適切に制御することができる。
【0087】また、駆動力伝達手段として電動機の駆動力を作業装置に油圧的に伝達するもの(油圧システム)を用いるので、外部からの耐衝撃性や耐久性などを向上できる。
【0088】また、少なくとも一部の駆動力伝達手段として、電動機の駆動力を作業装置に機械的に伝達するもの(電動システム)を用いるので、コントロールバルブで絞られたり捨てられている油圧的なエネルギー損失を少なくするか完全に無くし、電動機の発電作用により作業装置の慣性エネルギーを回生することで燃費を向上することができる。
【0089】また、本発明によれば、エンジンの目標回転数として最少燃費を得る目標回転数を設定するので、燃費を向上できる。
【0090】更に、本発明によれば、エンジンの目標回転数として排ガス有害成分が少なく騒音の低い目標回転数を設定するので、排ガスと騒音の特性を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【住所又は居所】東京都文京区後楽二丁目5番1号
【出願日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓 (外1名)
【公開番号】 特開2003−102106(P2003−102106A)
【公開日】 平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願番号】 特願2001−288575(P2001−288575)