| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】軍司 憲一郎 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】運転要求に応じたバッテリの充放電制御を行って、バッテリの耐久性を確保しつつ運転性を十分に満たすことができるようにする。
【解決手段】短時間に大きな電力を供給又は回収する必要がある要件のときは、バッテリのマージンを小さくし、大電力を供給又は回収するように充放電電流を大きく設定して要求を満たし、かつ、充放電継続時間は短く設定してトータルの充放電量が過大となることを抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと、電動機又は発電機として機能するモータジェネレータと、該モータジェネレータとの間で電力を充放電するバッテリと、を備えて構成されるハイブリッド車両において、車両の走行条件に応じて、前記バッテリを使用して充放電するときの使用許可容量及び使用許可時間を可変に設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】前記バッテリの使用許可容量が大きいほど使用許可時間を短くすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】前記バッテリの充電状態を推定し、該推定した充電状態からバッテリの入出力可能電力を算出し、該入出力可能電力の範囲内で前記バッテリの使用許可容量及び使用許可時間を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】バッテリの充電状態を推定できないときは、前記バッテリの使用許可容量を小さい値に固定することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】バッテリの充電状態としてバッテリ開放端電圧のみを検出できるときは、該バッテリ開放端電圧に基づいて前記バッテリの使用許可容量を設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項6】前記バッテリ開放端電圧が高圧側設定値より高いときは、バッテリの充電許可容量を小さい値に固定し、前記バッテリ開放端電圧が低圧側所定値より低いときは、バッテリの放電許可容量を小さい値に固定することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項7】少なくとも前記モータジェネレータの駆動力を使用して全輪駆動が可能である車両であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項8】モータジェネレータによるエンジン始動時、エンジンとモータジェネレータとで前後輪の駆動力を分配した全輪駆動中にエンジン駆動輪にスリップを生じたとき、シフトダウン変速時にモータジェネレータにより入力側回転速度を増速して出力側回転速度と同期させて変速するとき、上り坂発進時に車両の後ずさりを検出したときは、前記バッテリの使用許可容量を最大レベル、使用許可時間を最小に設定し、前記スリップ非発生時の全輪駆動中は、同じく使用許可容量を中レベル、使用許可時間を中程度に設定し、上記以外のモータジェネレータ駆動時は、同じく使用許可容量を最小レベル、使用許可時間を最大に設定することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項9】エンジン始動時の余剰トルクを吸収するとき、エンジン駆動輪のスリップ発生時にモータジェネレータを発電機として機能させてトラクション制御を行うとき、シフトアップ変速時にモータジェネレータを発電機として機能させて入力側回転速度を減速して出力側回転速度と同期させて変速するとき、下り坂発進時に車両の前滑りを検出したときは、前記バッテリの使用許可容量を最大レベル、使用許可時間を最小に設定し、エンジンブレーキ時にモータジェネレータを発電機として機能させて減速機能をアシストするときは、前記バッテリの使用許可容量を最小レベル、使用許可時間を最大に設定することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項10】走行中に運転状態とそのときのバッテリ状態を、車室でモニター表示することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン(内燃機関)と、電動機又は発電機として機能するモータジェネレータと、該モータジェネレータとの間で電力を充放電するバッテリと、を含んで構成されるハイブリッド車両に関し、特にバッテリ使用量の制御に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のハイブリッド車両の制御装置として、特開平11−164402号に開示される装置がある。これは、バッテリ充電量を車両走行条件に応じて可変に設定し、例えば、放電の可能性が高いときには、放電に備えて高い充電状態に管理し、逆に充電の可能性が高いときには、充電に備えて低い充電状態に管理するもので、バッテリ容量に対して充放電能力を実質的に高めようとしたものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の制御方式では、バッテリの充電状態を走行条件に応じて管理しているだけで、バッテリ使用時における使用量の範囲は一定のマージンを持たせて固定的に設定されていたため、例えば、短時間で大きな駆動力が要求される条件で電動機を駆動する電力量を十分に確保できなかったり、電力回収時に十分な電力を回収することができないようなことがあった。十分な電力量の供給と回収を行うようにマージンを小さめに設定すると、必要以上の電力量を消費したり、過剰な電力の回収が行われて、充電状態を適正に管理することができなくなる。 【0004】本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、車両走行条件に応じてバッテリの使用を適切に制御することにより、バッテリの耐久性と運転性とを両立することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】このため、請求項1に係る発明は、エンジンと、電動機又は発電機として機能するモータジェネレータと、該モータジェネレータとの間で電力を充放電するバッテリと、を備えて構成されるハイブリッド車両において、車両の走行条件に応じて、前記バッテリを使用して充放電するときの使用許可容量及び使用許可時間を可変に設定することを特徴とする。 【0006】請求項1に係る発明によると、車両の走行条件に応じてモータジェネレータが要求する電力の供給量または回収量の要求レベルに応じてバッテリの使用許可容量(充放電電流)を設定し、かつ該使用許可容量に応じた使用許可時間(充放電継続時間)を設定することにより、モータジェネレータの要求を満たしつつバッテリの充電状態も良好に維持できる。 【0007】また、請求項2に係る発明は、前記バッテリの使用許可容量が大きいほど使用許可時間を短くすることを特徴とする。バッテリの使用許可容量(充放電電流)が大きいときはバッテリ充電状態が限界(高電圧側の充電限界、低電圧側の放電限界)に近づく速度が大きいので、使用許可時間を短くすることで、バッテリの過充放電を防止して充電状態を良好に維持できる。 【0008】また、バッテリの使用許可容量が小さいときはバッテリ充電状態が限界に近づく速度が小さいので、使用許可時間を長くすることで要求に応じた制御を可能な限り長引かせることができる。また、請求項3に係る発明は、前記バッテリの充電状態を推定し、該推定した充電状態からバッテリの入出力可能電力を算出し、該入出力可能電力の範囲内で前記バッテリの使用許可容量及び使用許可時間を設定することを特徴とする。 【0009】請求項3に係る発明によると、走行中にバッテリの充電状態を推定しつつバッテリの入出力可能電力を算出し、該入出力可能電力の範囲内で前記バッテリの使用許可容量及び使用許可時間を設定することにより、バッテリの充電状態を良好に維持しつつモータジェネレータの要求を可能な限り満足させることができ走行性が向上する。 【0010】また、請求項4に係る発明は、バッテリの充電状態を推定できないときは、前記バッテリの使用許可容量を小さい値に固定することを特徴とする。請求項4に係る発明によると、バッテリの開放端電圧を検出できないなど、充電状態の推定が不可能なときは、バッテリの使用許可容量を小さい値に固定することにより、バッテリの良好な充電状態を確保することができる。 【0011】また、請求項5に係る発明は、バッテリの充電状態としてバッテリ開放端電圧のみを検出できるときは、該バッテリ開放端電圧に基づいて前記バッテリの使用許可容量を設定することを特徴とする。バッテリ使用時の充放電電流を検出する電流センサは故障したが、バッテリ開放端電圧は正常に検出できる場合は、該バッテリ開放端電圧によって充電状態が高目か低目か程度の大まかな推定は行えるので、該バッテリ開放端電圧に基づいて前記バッテリの使用許可容量を設定し、該使用許可容量に応じて使用許可時間を設定することで、バッテリの充電状態を確保しつつ可能な限りモータジェネレータの要求を満たすことができる。 【0012】また、請求項6に係る発明は、前記バッテリ開放端電圧が高圧側設定値より高いときは、バッテリの充電許可容量を小さい値に固定し、前記バッテリ開放端電圧が低圧側所定値より低いときは、バッテリの放電許可容量を小さい値に固定することを特徴とする。請求項6に係る発明によると、バッテリ開放端電圧が高圧側設定値より高いときは、バッテリの充電量に余裕が無いときであるのでバッテリの充電許可容量を小さい値に固定し、バッテリ開放端電圧が低圧側所定値より低いときは、バッテリの放電量に余裕が無いときであるのでバッテリの放電許可容量を小さい値に固定することでバッテリの充電状態を良好に維持できる。そして、これ以外のときは、正常時と同様に使用許可容量と使用許可時間を設定することにより、バッテリ充電状態を良好に維持しつつモータジェネレータの要求を満たすことができる。 【0013】また、請求項7に係る発明は、少なくとも前記モータジェネレータの駆動力を使用して全輪駆動が可能である車両であることを特徴とする。請求項7に係る発明によると、本発明の適用により、モータジェネレータの駆動力を使用した全輪駆動時に生じるモータジェネレータの要求を十分に満たすことができる。 【0014】また、請求項8に係る発明は、モータジェネレータによるエンジン始動時、エンジンとモータジェネレータとで前後輪の駆動力を分配した全輪駆動中にエンジン駆動輪にスリップを生じたとき、シフトダウン変速時にモータジェネレータにより入力側回転速度を増速して出力側回転速度と同期させて変速するとき、上り坂発進時に車両の後ずさりを検出したときは、前記バッテリの使用許可容量を最大レベル、使用許可時間を最小に設定し、前記スリップ非発生時の全輪駆動中は、同じく使用許可容量を中レベル、使用許可時間を中程度に設定し、上記以外のモータジェネレータ駆動時は、同じく使用許可容量を最小レベル、使用許可時間を最大に設定することを特徴とする。 【0015】請求項8に係る発明によると、上記各条件により要求される電力供給量に見合ったバッテリの使用許可容量(放電電流)と使用許可時間(放電継続時間)とを設定して、各要求を良好に満たすことができる。また、請求項9に係る発明は、エンジン始動時の余剰トルクを吸収するとき、エンジン駆動輪のスリップ発生時にモータジェネレータを発電機として機能させてトラクション制御を行うとき、シフトアップ変速時にモータジェネレータを発電機として機能させて入力側回転速度を減速して出力側回転速度と同期させて変速するとき、下り坂発進時に車両の前滑りを検出したときは、前記バッテリの使用許可容量を最大レベル、使用許可時間を最小レベルに設定し、エンジンブレーキ時にモータジェネレータを発電機として機能させて減速機能をアシストするときは、前記バッテリの使用許可容量を最小レベル、使用許可時間を最大レベルに設定することを特徴とする。 【0016】請求項9に係る発明によると、上記各条件により要求される電力回収量に見合ったバッテリの使用許可容量(充電電流)と使用許可時間(充電継続時間)とを設定して、各要求を良好に満たすことができる。また、請求項10に係る発明は、走行中に運転状態とそのときのバッテリ状態を、車室でモニター表示することを特徴とする。 【0017】請求項10に係る発明によると、乗車員が、走行時の逐次の制御状態を表示で確認することができ、ドライブ気分を高めることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド式車両制御装置を備える車両の駆動伝達系構成の概略を示している。なお、進行方向は、図の左向きであり、向かって左側に前輪が、その逆の右側に後輪が位置している。 【0019】本車両では、エンジン1の出力側に、電動機又は発電機として機能する第1のモータジェネレータ(以下第1MGという)2を直結し、さらに、エンジン1及び第1MG2に対して、トルクコンバータ3及び変速機4を接続している。そして、変速機4の出力側に接続された動力伝達軸(プロペラシャフト)5により、後輪側差動装置6を介してエンジン駆動輪(ここでは、後輪7,7)の車輪駆動軸8,8が駆動されるようにしている。 【0020】ここで、第1MG2は、エンジン1のアシスト装置として機能し、エンジン1の始動時又は車両の発進時には、エンジン1のクランキングを行う始動手段として用いられる。また、減速運転時には、第1MG2を発電機として機能させ、制動エネルギーを回生して発電を行い、バッテリ14の充電のために使用することが可能である。 【0021】一方、非エンジン駆動輪である前輪9,9に対しては、電動機又は発電機として機能する第2のモータジェネレータ(以下第2MGという)第2MG10が設けられており、その出力側に接続された動力伝達軸(比較的小型のプロペラシャフト)11及び前輪側差動装置12を介して、第2MG10により発生された駆動トルクが前輪(「モータ駆動輪」ともいう。)の車輪駆動軸13,13に伝達され、もって前輪側からも駆動力が得られるようにしている。 【0022】第2MG10は、その電力源を構成するバッテリ14に対してインバータ15bを介して接続されており、第2MG10から駆動トルクが得られている状態では、バッテリ14の放電電力がインバータ15によって三相交流電力に変換され、第2MG10に供給される。第1MG2は、バッテリ14に対してインバータ15aを介して接続されており、第1MG2から駆動トルクが得られている状態では、バッテリ14の放電電力がインバータ15aによって三相交流電力に変換され、第1MG2に供給される。 【0023】ここで、後輪駆動軸8,8と前輪駆動軸13,13との間には物理的な結合がなく、すなわち、前後の駆動軸に対してそれぞれ無関係に駆動トルクを伝達することが可能であり、後輪駆動軸8,8へは、エンジン1及び第1MG2により、また、前輪駆動軸13,13へは、第2MG10により、それぞれ駆動トルクが伝達される。 【0024】そして、通常走行モードでは、後輪7,7のみを駆動輪としてFR方式により車両の駆動力を発生するが、ドライバーの選択などに基づいて4輪駆動走行モードに入ると、前輪9,9に対して第2MG10の駆動トルクが伝達されることにより前後両方を駆動輪とし、4WD方式を成立させることが可能である。次に、制御系について大まかに説明すると、エンジン1、第1MG2及び第2MG10の統合コントローラとしてのハイブリッドコントロールモジュール(以下「HCM」という。)21には、アクセル開度センサ41からアクセル開度APOが、車速センサ42から車速Vが、前後の各車輪9,9,7,7に対してそれぞれ取り付けられた車輪速センサ43〜46から前右輪回転数Nfr、前左輪回転数Nfl、後右輪回転数Nrr及び後左輪回転数Nrlが、また、第2MG10の回転速度センサ47からモータ回転速度NMが入力される。さらに、車室内に設けられた4WD切換スイッチ51から、走行モード切換信号が入力される。 【0025】HCM21は、これらの情報を含む各種運転条件に基づいて、エンジンコントロールモジュール(以下「ECM」という。)31、第1MG2及び第2MG10の各制御装置(モータコントローラ、以下「M/C」という。)32及び33に対して、通信ライン61を介して制御指令を発生する。特に、本発明では、HCM21は、前記各種運転条件毎にバッテリ14の使用許可容量(充放電電流)及び使用許可時間(充放電継続時間)を設定して充放電制御を行う。詳細には、バッテリ14の電圧及び電流を電圧センサ及び電流センサによって常時監視しつつバッテリ14の充電状態(SOC)を算出し、該SOCによって決まる入出力可能電力に対し、運転条件に応じた要求度に見合ったマージンを設定し、該入出力可能電力とマージンとから使用許可容量(充放電電流)及び使用許可時間(充放電継続時間)を設定する。 【0026】例えば、一時的に大きな駆動電力が要求される場合は、出力(放電)側のマージンを小さくして使用許可容量(放電電流)を大きくし、一方、使用許可容量を大きくすると短時間で大きく放電されるので、使用許可時間(放電継続時間)は短く設定する。また、車両制動力の要求度が大きいときは、モータジェネレータの発電電力を大きくして制動力を増大することができ、この場合は、入力(充電)側のマージンを小さくして使用許可容量(充電電流)を大きくする一方、過充電を防止するため使用許可時間(充電継続時間)は短く設定する。時間あたりの充放電の要求度が小さくなるほど、マージンを大きくして使用許可容量を小さくしつつ使用許可時間は大きくしてできるだけ長く充放電制御を実行できるようにする。 【0027】さらに、前記バッテリ14の電圧を検出できず、充電状態(SOC)算出が不可能なときは、マージンを最大に固定し、電流検出は行えないが電圧検出は行えるときは、該電圧に基づいて概略の充電状態(SOC)を算出しつつマージンを大きめに設定して、バッテリ保護を重視したフェールセーフを行う。なお、前記バッテリ14は走行用の第1MG2、第2MG10の電力を確保するため、100Vを超える高電圧電力を供給できる強電バッテリが用いられる。 【0028】各運転状態とその時点の前記HCM21で制御されるバッテリ状態が運転席に設けたれたモニター52に表示される。以下に、上記本発明にかかるバッテリの充放電制御を、図2〜図5に示したフローチャートに従い、図6に示すバッテリの運転条件毎の入出力マージンと使用許可時間のテーブルを参照しつつ説明する。 【0029】ステップ1では、アイドル時にエンジンを停止するアイドルストップ中かを判定する。アイドルストップ中と判定されたときは、ステップ2へ進み、モータ駆動によるクリープ発進の要求があるかを判定する。クリープ発進の要求があると判定された場合は、ステップ3へ進んでバッテリの充電状態SOC(ステートオブチャージ)と要求駆動力からエンジン始動要求の判定を行う。具体的には、SOCが十分大きく、かつ、アクセル踏み込み量又は踏み込み速度が大きいなど運転者が速やかな発進を要求している場合は、エンジン始動要求があると判定してクリープ発進からエンジン始動による発進に切り換える。 【0030】そして、ステップ4でエンジン始動要求があるかを判別し、エンジン始動要求があると判定された場合はステップ5へ進む。ステップ5ではエンジン始動制御を開始する。この場合、第1MG2をスタータとしてエンジンを始動するため、大きな駆動電力を必要とする。したがって、バッテリ14の出力マージン(放電限界からの余裕代)を最小として、使用許可容量(放電電流)を最大レベルAとする一方、使用許可時間(放電継続時間)は、放電電流の増大に応じて最小(例えば1秒)として消費電力量の増大を抑制する。 【0031】ステップ6では、エンジン始動後に吹け上がりによる余剰トルクがあるかを判定する。余剰トルクがある場合は、ステップ7へ進んで該余剰トルクを電力に変換して回収する。この場合、性能安定性を重視してバッテリ14の入力マージン(充電限界からの余裕代)を最小として、使用許可容量(充電電流)を最大レベルAとする一方、使用許可時間(充電継続時間)は、充電電流の増大に応じて最小(例えば1秒)としてバッテリへの過充電を抑制するように設定を切り換える。 【0032】ステップ6で、吹け上がりによる余剰トルクが無いと判定されたときは、ステップ8でバッテリの使用許可容量及び使用許可時間を現状、つまり、ステップ5で設定された状態に維持する。一方、ステップ4でエンジン始動要求が無いと判定された場合は、クリープ発進の要求が維持され、ステップ9へ進んでロールバック(上り坂での車両の後ずさり又は下り坂での車両の前滑り)が検出されたかを判定する。 【0033】ステップ9でロールバックが検出されたときは、ステップ10へ進んでロールバックを回避する制御を行う。ロールバックとして上り坂での車両の後ずさりに対しては、第1MG2による発進駆動力を最大限大きくするため、バッテリ14の出力マージンを最小として使用許可容量(放電電流)を最大レベルAとし、使用許可時間は短時間での回避が可能なため最小とする。ロールバック下り坂等での車両の前進に対しては、第1MG2の発電による制動力を最大限大きくするため、バッテリ14の入力マージンを最小として充電電流最大レベルAとし、使用許可時間は短時間での回避が可能なため最小とする。 【0034】ステップ9でロールバックが検出されないときは、ステップ第2MG10へ進んで通常の第1MG2によるクリープ発進制御を行う。すなわち、クリープ発進はゆっくりとした発進なので駆動電力及び余剰トルク発生時の回収電力は少なくてすみその分、走行時間を長引かせることができるので、バッテリ14の出力マージン及び入力マージンを最大として充放電電流を最小レベルCとし、使用許可時間は最大(例えば5秒)とする。 【0035】このようにして、発進時のバッテリ14の入出力マージン及び使用許可時間が設定され、通常はバッテリの充電状態SOCに基づいて算出された入出力可能電力に対し、前記設定されたマージンを差し引いてバッテリ14の使用許可容量(充放電電流)を算出し、該使用許可容量(充放電電流)と設定された使用許可時間(充放電継続)で充放電制御を行う。しかし、バッテリの充電状態SOCを算出できないとき、若しくは正確に算出することができないときは、所定のフェールセーフを行う。これについては後述する。 【0036】また、ステップ2でモータ駆動によるクリープ発進の要求が無いと判定されたときは、ステップ12へ進み、アイドルストップ運転を継続するため、バッテリの出力マージン及び入力マージンを最大として使用許可容量(充放電電流)を最小レベルC、使用許可時間は最大に設定する。一方、ステップ1でアイドルストップ中でないと判定された場合は、ステップ13へ進み、判定後初回はバッテリの出力マージン及び入力マージンを最大として使用許可容量(充放電電流)を最小レベルC、使用許可時間(充放電継続時間)は最大に設定し、2回目以降はそれまでの設定を維持する。 【0037】そして、ステップ14へ進んでアクセルが踏み込まれているか(非アイドル)を判定し、アクセルが踏み込まれていない、つまりアイドルストップ時以外の通常アイドル中と判定された場合は、ステップ15へ進み、通常のアイドル制御を行う。該アイドル制御時はバッテリ14の使用許可容量(充放電電流)は必要最小限ですむため、出力及び入力マージンを最大とし、それに伴い使用許可容量(充放電電流)を最小レベルC、使用許可時間(充放電継続時間)を最大に設定する。 【0038】また、ステップ14でアクセルが踏み込まれたと判定されたときは、ステップ16へ進んで、4輪駆動モードが選択されているかを判定する。4輪駆動モードが選択されているときは、ステップ17へ進んで4輪駆動制御に対応してバッテリ14の出力側のマージンを中レベルに設定し、これに対応して使用許可容量(放電電流)を中レベル、使用許可時間(放電継続時間)を中程度(例えば3秒)に設定するように設定を切り換える。第2MG10を用いて4輪駆動制御を行うときは、最大までは必要ないが性能確保のため所定以上の駆動力を要求されるからである。 【0039】一方、ステップ16の判定で4輪駆動モードが選択されていない、つまり、2輪駆動モードが選択されているときは、ステップ18へ進んで2輪駆動制御に対応してバッテリ14の出力側のマージンを最大として使用許可容量(放電量)を最小レベルCに設定し、これに対応して使用許可時間(放電継続時間)を最大に設定するように設定を切り換える。2輪駆動制御では第1MG2による駆動力は、エンジン1のアシストとして用いる程度であるので、駆動力を小さくしながら可能な限りモータアシスト走行を継続することができるからである。 【0040】上記ステップ17またはステップ18を経た後、ステップ19へ進み、後輪にスリップの発生を検知したかを判定する。スリップの発生を検知したと判定したときは、ステップ20へ進み、2輪駆動制御時でMG1によるトラクション制御(TCS)の作動要求があるかを判定する。 【0041】トラクション制御の作動要求があると判定されたときは、ステップ21へ進み、第1MG2を発電機として機能させてエンジン1の駆動力を吸収しつつスリップを抑制するトラクション制御を行う。この場合は、十分に駆動力を吸収できるように、バッテリ14の入力マージンを最小にして、使用許可容量(充電電流)を最大レベルAに設定し、かつ、トラクション制御における駆動力の吸収は短時間で断続的に行えばよいので、使用許可時間(充電継続時間)を最小に設定して過充電を防止するように設定を切り換える。 【0042】一方、ステップ20でトラクション制御の作動要求が無いと判定されたときは、4輪駆動時でエンジン駆動される後輪にスリップが発生している場合であるので、相対的に前輪を駆動する第2MG10の駆動力が不足していると判断し、ステップ23へ進んで、バッテリ14の出力マージンを最小として使用許可容量(放電量)を最大レベルAに設定し、使用許可時間(放電継続時間)を最小に設定する。これにより、第2MG10の駆動力を十分に増大させることができ、また、トラクション制御と同様、スリップ発生時のみ短時間駆動力を増大させるだけで、十分に安定性を維持でき過放電を防止できる。 【0043】ステップ19で、後輪のスリップ発生を検知しなかったときは、ステップ17またはステップ18で設定された4輪駆動用または2輪駆動用のバッテリ14のマージンしたがって使用許可容量及び使用許可時間の設定を維持しつつ(ステップ22)、ステップ24へ進む。ステップ24では、変速中か否かを判定する。 【0044】変速中と判定されたときは、ステップ25へ進んで変速時のトルクショックを抑制するモータデュエット制御を行う。すなわち、シフトダウン制御時には第1MG2のモータ駆動力を増大して入力側(モータ出力軸側)の回転速度を増大させて、出力側(車軸側)の回転速度と同期させて変速させ、シフトアップ制御時には第1MG2を発電機として作動させて入力側の回転速度を減少させて、出力側の回転速度と同期させて変速させるようにする。この場合、短時間で応答性良く入力側回転速度を増減する必要があるので、バッテリ14の出力マージンまたは入力マージンを最小として使用許可量(充放電量)を最大レベルAに設定し、使用許可時間(充放電継続時間)を最小に設定する。 【0045】ステップ24で変速中でないと判定されたときは、引き続き4輪駆動用または2輪駆動用のバッテリ14のマージンしたがって使用許可容量及び使用許可時間の設定を維持する(ステップ26)。基本的には、上記各種要求に応じて設定されたバッテリのマージンないし使用許可容量と使用許可時間となるように制御するが、既述したように、現状のバッテリ状態SOCを把握できない若しくは正確な把握ができないときは、以下のように状況に応じたフェールセーフを行う。 【0046】ステップ27では、バッテリセンサの異常が検知されているかを判定する。正常時は、上記各種要求に応じたバッテリのマージンないし使用許可容量と使用許可時間の設定を維持しつつ(ステップ28)ステップ35へ進む。ステップ27でバッテリセンサ検出値の異常が検知されていると判定されときは、ステップ29へ進み、バッテリセンサのうち電圧センサが故障しているか、又はバッテリセンサへ電力を供給するセンサ電源が故障しているかを判定し、いずれかが故障と判定されたときは、バッテリ14の充電状態SOCが全く不明であるので、上記各種要求に応じたバッテリのマージンないし使用許可容量と使用許可時間の設定をキャンセルし、バッテリ14の耐久性を確保するため、ステップ28で入出力マージンを最大レベルCつまり使用許可容量(充放電電流)を最小レベルとし、使用許可時間も小に設定してトータルの充放電量を減少させる。 【0047】ステップ29で、電圧センサもセンサ電源も故障していない、(つまり、バッテリセンサの中、電流センサが故障している)と判定された場合は、バッテリ充電状態SOCを正確には把握できないが、バッテリの開放端電圧は正常に機能する電圧センサによって検出でき、該バッテリの開放端電圧に基づいてバッテリの充電量が過大か過小かの判別は可能である。 【0048】そこで、ステップ31で、前記バッテリ14の開放端電圧が高圧側閾値を超えて高いかを判定し、高いと判定されたときはバッテリ充電量が多いと判断してステップ32へ進み、入力(充電)側マージンを最大として、使用許可容量(充電電流)を最小レベルCに制限し、使用許可時間(充電継続時間)も小としてトータルの充電量を減少させるようにする。 【0049】ステップ31でバッテリの開放端電圧が高圧側閾値以下と判定されたときは、ステップ33へ進み、バッテリの開放端電圧が低圧側閾値より低いかを判定し、低いと判定されたときはバッテリ充電量が少ないと判断してステップ34へ進み、出力(放電)側マージンを最大として、使用許可容量(放電電流)を最小レベルCに制限し、使用許可時間(放電継続時間)も小としてトータルの放電量を減少させるようにする。 【0050】ステップ33で、バッテリの開放端電圧が低圧側閾値以上と判定されたときは、特にフェールセーフを行うことなく、前記各種要求に応じたバッテリのマージンないし使用許可容量と使用許可時間の設定を維持しつつ(ステップ28)、ステップ35へ進む。そして、ステップ35で、現在のバッテリ充電状態SOCと、上記のように各条件に応じて設定されたバッテリのマージン乃至使用許可容量と使用許可時間の設定レベルとに基づいて、実際の使用許可容量(充放電電流)と使用許可時間(充放電継続時間)とを算出する。 【0051】具体的には、バッテリ充電状態SOCを以下のように算出する。長時間停車時にバッテリ14と電源回路とを接続するリレーがOFFになっているときに電圧センサで検出されるバッテリ開放端電圧の初期値に基づいて充電状態SOCの初期値を求め、その後電流センサによって検出される充放電電流を充電時は+、放電時は−として積算しつつ現在の充電状態SOCを算出する。但し、ステップ27でバッテリの開放端電圧を検出できない異常が検出されたときには、充電状態SOCを平均的な基準値SOC0に設定し、ステップ30で開放端電圧が高いと検出されたときは、充電状態SOCを高圧側所定値SOCHに設定し、ステップ31開放端電圧が低いと検出されたときは、充電状態SOCを低圧側所定値SOCLに設定する。 【0052】そして、上記のように算出乃至設定した現在の充電状態SOCと各条件に応じて最終的に設定されたバッテリマージンのレベルに基づいて、使用許可容量(充放電電流)Ipを算出する。具体的な算出例としては、例えば、充電状態SOCで定まる最大可能電流Imaxから、バッテリマージンのレベルに基づいて設定される余裕代ΔImを差し引いて使用許可容量(充放電電流)Ipとする。ここで、バッテリマージンのレベルが大きいほど、余裕代ΔImが大きい値に設定され、その分使用許可容量(充放電電流)Ipが減少して設定されることになる。 【0053】また、バッテリセンサ検出値が正常なときは、使用許可容量(充放電電流)Ipが大きい(小さい)ときほど、使用許可時間tpを短く(長く)することで、条件に応じて応答性に優れた運転性を確保しつつ限界付近まで充放電を継続した電力制御を行うことができ、バッテリの耐久性も満たされる。なお、使用許可容量(充放電電流)Ipと使用許可時間tpとの積を一定とするようにしてもよいが、充電状態SOCに応じて変えるようにしてもよく、例えば、バッテリ充電量が大きいときは放電に対して余裕代が大きいので、放電時の積(トータルの放電量)を大きくしたり、バッテリ充電量が小さいときは充電に対して余裕代が大きいので、充電時の積(トータルの充電量)を大きくしたりしてもよい。 【0054】一方、バッテリセンサ検出値が異常で充電状態SOCを算出できないとき、開放端電圧が高すぎるとき及び低すぎるときの、入出力の制限される方の使用許可時間は、それらに応じて設定されたレベルに合わせて短めに設定し、トータルの充放電量を小さめとなるようにしてバッテリの耐久性を確保する。ステップ36では、車両運転停止要求があるかを判定し、要求がないときはステップ1へ戻り、要求があったときは車両停止と共に本制御を終了する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成13年9月18日(2001.9.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078330 【弁理士】 【氏名又は名称】笹島 富二雄
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| 【公開番号】 |
特開2003−92804(P2003−92804A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月28日(2003.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願2001−283805(P2001−283805) |
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