| 【発明の名称】 |
パンタグラフの離線検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】庭川 誠 【住所又は居所】東京都品川区大崎二丁目1番17号 株式会社明電舎内
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| 【要約】 |
【課題】パンタグラフの離線を正確に検出する。
【解決手段】加速度センサ1はパンタグラフの上下方向加速度を示す加速度信号u(t)を出力する。加速度信号u(t)をデジタル化した加速度信号U(t)をウェーブレット変換器3にてウェーブレット信号X(ω,b)に変換する。このウェーブレット信号X(ω,b)を、分離器4にて周波数帯域に応じて切りわけて分離する。分離した各周波数帯域毎のウェーブレット信号は、各判定器5−1〜5−10にて、振幅に応じて1,0,−1に変換された判定信号Y1 〜Y10となる。離線判定器6は、周波数が低い帯域の判定信号Y1,Y2 に多数の1,−1が含まれているときには、離線が発生したと判定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電車のパンタグラフに取り付けられており、前記パンタグラフの上下方向振動に対応した加速度信号を出力する加速度センサと、前記加速度信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル信号に変換された加速度信号をウェーブレット変換してウェーブレット信号とするウェーブレット変換器と、前記ウェーブレット信号を、周波数の大きさに応じて切り出した複数の周波数帯域に分離して出力する分離器と、切り分けられた複数の周波数帯域のウェーブレット信号が個別に入力されて各ウェーブレット信号の強度を判定し、強度が正でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には1を、強度が負でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には−1を、その他の時には0となる判定信号を出力する複数の判定器と、複数の各判定器から判定信号が入力されており、周波数帯域の低いウェーブレット信号が入力される判定器から出力される判定信号に多数の1や−1が含まれているときに、離線が発生したと判定する離線判定器と、を有することを特徴とするパンタグラフの離線検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、パンタグラフの離線検出装置に関し、ウェーブレット変換器を利用することにより、離線に起因するパンタグラフ加速度を正確に検出して、パンタグラフがトロリー線から離線したことを正確に検出できるように工夫したものである。 【0002】 【従来の技術】電車では、屋根に設置したパンタグラフを介して、トロリー線から集電をしている。集電性能はパンタグラフのトロリー線への追従性能で決まり離線率で評価される。集電時において、パンタグラフが衝撃によりトロリ線から離線するとアークを発生する。アークの発生は、トロリ線やパンタグラフのみならず、各種の電気機器に悪影響を与えるため、なるべく離線が発生しないようにする必要がある。そこで、離線発生位置を検出して、アークが発生しないように、この位置におけるトロリ線の張り渡し状態を調整する等の保線作業が行われる。 【0003】離線が発生する位置を検査するために、一般線路では電気検測車(新幹線では電気試験車)を走行させて、離線発生位置を検査している。電気検測車や電気試験車では、そのパンタグラフに、上下方向の加速度を検出する加速度センサを取り付けている。この加速度センサから出力される加速度信号の周波数をフーリエ変換して検査することにより、離線の発生を検出することができる。即ち、パンタグラフがトロリー線に接触しつつ移動しているときには、パンタグラフの上下方向の機械的振動は小さく加速度信号の周波数は大きいのに対して、パンタグラフがトロリー線から離線して大きく上下方向に振動すると加速度信号の周波数は小さくなる。そこで、加速度信号のうち、周波数の小さい周波数成分の強度が、予め決めた値よりも大きくなったことを検出したら、その検査位置において、離線が発生したと判定することができる。 【0004】加速度センサから出力される信号には、パンタグラフの上下方向振動に対応した加速度信号と、加速度センサに固有の一定周波数の固有ノイズ(ホワイトノイズ)とが含まれている。このため、加速度センサから出力される信号を、所定のバンドパスフィルタに通過させ、パンタグラフの上下方向振動に対応した加速度信号のみを取り出すようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来では、加速度センサから出力される信号をバンドパスフィルタに通し、固有ノイズ(ホワイトノイズ)を除いて、パンタグラフの上下方向振動に対応した加速度信号を取り出しているため、バンドパスフィルタの種類の選定や、フィルタの次数(フィルタパラメータ、フィルタ係数)の選定によっては、フィルタを通過した加速度信号の波形が鈍ったり、フィルタを通過した加速度信号に位相遅れが生じたりする。波形が鈍った場合には、フィルタを通過した加速度信号が示す加速度が、本来の加速度よりも小さくなり、位相遅れが生じた場合には、位相遅れに起因して新たな波形が生成され、この新たに生成した波形による架空の加速度が検出されるという問題があった。 【0006】また、離線はランダムに突発的に発生するため、周波数の小さい加速度信号もランダムに突発的にしか発生しない。このように突発的に発生する加速度信号をフーリエ変換により検出しようとしても、ゴースト成分が現れたり、変化に対する追従性が悪いといった問題もあった。 【0007】本発明は、上記従来技術に鑑み、パンタグラフの上下方向加速度を正確に検出して、ランダムに発生する離線を確実に検出することができる、パンタグラフの離線検出装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の構成は、電車のパンタグラフに取り付けられており、前記パンタグラフの上下方向振動に対応した加速度信号を出力する加速度センサと、前記加速度信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、デジタル信号に変換された加速度信号をウェーブレット変換してウェーブレット信号とするウェーブレット変換器と、前記ウェーブレット信号を、周波数の大きさに応じて切り出した複数の周波数帯域に分離して出力する分離器と、切り分けられた複数の周波数帯域のウェーブレット信号が個別に入力されて各ウェーブレット信号の強度を判定し、強度が正でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には1を、強度が負でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には−1を、その他の時には0となる判定信号を出力する複数の判定器と、複数の各判定器から判定信号が入力されており、周波数帯域の低いウェーブレット信号が入力される判定器から出力される判定信号に多数の1や−1が含まれているときに、離線が発生したと判定する離線判定器と、を有することを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。 【0010】図1は、本発明の実施の形態に係るパンタグラフの離線検出装置を示す。同図において、加速度センサ1は、パンタグラフの舟体(パンタグラフの頂部に配置されておりトロリー線に接触する棒状部材)に取り付けられており、パンタグラフの舟体の上下方向振動に対応する加速度信号u(t)を出力する。この加速度信号u(t)は、パンタグラフがトロリー線に接触しつつ移動しているときには、その周波数が大きい。しかし、パンタグラフがトロリー線から離線した場合には、図2に示すように、加速度信号u(t)は振幅が大きくなり、その周波数が小さくなる。なお加速度信号u(t)は、時間tの関数として表されている。 【0011】A/D(アナログ/デジタル)変換器2は、加速度センサ1から出力されたアナログ信号である加速度信号u(t)を、デジタル信号である加速度信号U(t)に変換する。 【0012】ウェーブレット変換器3は、1次元データである加速度信号U(t)を、ウェーブレット変換して、2次元データであるウェーブレット信号X(ω,b)に変換する。このウェーブレット変換は、次式(1)により行う。なお、ωは周波数を、bは時間を、hは基本ウェーブレットを表す。 【0013】 【数1】
【0014】図2に示す離線時の加速度信号u(t)をデジタル化した加速度信号U(t)を、ウェーブレット変換したウェーブレット信号X(ω,b)の状態を図3に示す。図3において、横軸は時間bを示し、縦軸は周波数ωを示し、濃度は各時間と各周波数における信号強度を示す。なお図3では図示の都合上、強度を5段階の濃度で示しているが、実際には強度は最高値から最低値まで多段階的に連続して存在しており、ウェーブレット変換器3の実際の表示器では、強度を多段階的に連続して表示している。 【0015】ちなみに、図3では、黒塗りした部分は、強度が正でその絶対値が大きい領域を、クロスハッチングを施した部分は強度が正でその絶対値が中程度の領域を、ハッチングを施した部分は強度が零ないし零近傍の領域を、ドットを施した部分は強度が負でその絶対値が中程度の領域を、白抜きした部分は強度が負でその絶対値が大きい領域を示している。 【0016】ウェーブレット変換器3により行うウェーブレット変換では、■高周波成分の時間分解能が高い、■波形の変化点を敏感にとらえる、といった特長を有している。したがって離線振動のように、周期的でなく突発的な振動検出に向いている。 【0017】分離器4は、ウェーブレット信号X(ω,b)を、周波数の大きさに応じて切り分けた10種の周波数帯域に分離して出力する。即ち、(1)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω0 〜ω10の周波数帯域の信号成分X(b10)を、切り出して判定器5−1に送り、(2)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω10〜ω20の周波数帯域の信号成分X(b20)を、切り出して判定器5−2に送り、(3)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω20〜ω30の周波数帯域の信号成分X(b30)を、切り出して判定器5−3に送り、(4)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω30〜ω40の周波数帯域の信号成分X(b40)を、切り出して判定器5−4に送り、(5)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω40〜ω50の周波数帯域の信号成分X(b50)を、切り出して判定器5−5に送り、(6)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω50〜ω60の周波数帯域の信号成分X(b60)を、切り出して判定器5−6に送り、(7)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω60〜ω70の周波数帯域の信号成分X(b70)を、切り出して判定器5−7に送り、(8)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω70〜ω80の周波数帯域の信号成分X(b80)を、切り出して判定器5−8に送り、(9)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω80〜ω90の周波数帯域の信号成分X(b90)を、切り出して判定器5−9に送り、(10)ウェーブレット信号X(ω,b)のうち、周波数がω90〜ω100 の周波数帯域の信号成分X(b100 )を、切り出して判定器5−10に送る。 【0018】なお、図2に示す離線時の加速度信号u(t)をデジタル化した加速度信号U(t)のうち、周波数がω10〜ω20の周波数帯域の信号成分X(b10)は、図4のようになっている。他の周波数帯域の信号成分X(b20)〜X(b100 )も、図3の各帯域から切り出した信号状態となっている。 【0019】各判定器5−1〜5−10は、周波数の大きさに応じて切り出した周波数帯域のウェーブレット信号X(ω,b)の強度を判定し、強度が正でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には1を、強度が負でその絶対値が予め決めた値よりも大きい時には−1を、その他の時には0となる判定信号Y1 〜Y10を出力する。 【0020】図5は、図4に示す周波数がω10〜ω20の周波数帯域の信号成分X(b10)を、判定器5−1により判定して得た判定信号Y1 である。即ち、黒塗りした強度が正でその絶対値が大きい領域は1となり、クロスハッチングを施した強度が正でその絶対値が中程度の領域と、ハッチングを施した強度が零ないし零近傍の領域と、ドットを施した強度が負でその絶対値が中程度の領域は0となり、白抜きした強度が負でその絶対値が大きい領域は−1となっている。 【0021】結局、各判定信号Y1 〜Y10は、各周波数領域において、強度が大きく変わっている場合には、1や−1を多く含み、強度がそれ程変化していない場合には、0を多く含むことになる。 【0022】離線判定器6には、各判定信号Y1 〜Y10が入力されている。そして離線判定器6は、周波数帯域の低いウェーブレット信号に対応した判定信号、例えば判定信号Y1 と判定信号Y2 の信号状態を検出する。そして、判定信号Y1 と判定信号Y2 に多数の1や−1が含まれている場合には、離線が発生したと判定する。これは、離線が発生した場合には、加速度信号u(t)の周波数が下がると共にその振幅が大きく変化するため、周波数帯域の低いウェーブレット信号に対応した判定信号、例えば判定信号Y1 と判定信号Y2 に多数の1や−1が含まれることを技術的な基礎としたものである。 【0023】 【発明の効果】以上、実施の形態と共に具体的に説明したように本発明によれば、加速度信号をウェーブレット変換したウェーブレット信号を基に、離線に起因する加速度を検出・判定しているため、数種類の周波数が混成された加速度信号の中から離線に起因する突発的な加速度を正確に抽出することができ、離線が発生したことを確実に検出することができる。またフィルタを使用していないため、波形変形や位相遅れが生じることはなく、正確に離線検出をすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006105 【氏名又は名称】株式会社明電舎 【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番17号
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| 【出願日】 |
平成13年8月29日(2001.8.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078499 【弁理士】 【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−70101(P2003−70101A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月7日(2003.3.7) |
| 【出願番号】 |
特願2001−258886(P2001−258886) |
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