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【発明の名称】 燃料電池自動車の制御装置
【発明者】 【氏名】蓮香 芳信
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】青柳 暁
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】佐伯 響
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】上野臺 浅雄
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】燃料電池の発電状態が悪化したときに、モータの出力トルクが急激に低下することを抑制した燃料電池自動車の制御装置を提供する。

【解決手段】上限放電電力算出部53は、キャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)と燃料電池2の上限発電量(Ifc_LMT)とに基づいて、燃料電池2の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)であるときのキャパシタ3の放電電力である上限放電電力(Pcap_LMT)を算出する。出力制限電力算出部54は、上限発電量(Ifc_LMT)と上限放電電力(Pcap_o)と電装補機の消費電力(Pload)とに基づいて、モータ10に対して供給可能な電力の上限である出力制限電力(PLD)を算出する。トルク指令決定部60は、モータ10及びモータ駆動装置5の消費電力が出力制限電力(PLD)を超えないように、トルク指令(TRQ_CMD)を制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】走行用モータに所定のトルク指令に応じた駆動電力を出力するモータ駆動手段と、該モータ駆動手段の電源として使用される燃料電池と、該燃料電池により充電され、該燃料電池の発電量が不足する状態となるときに、放電が生じて不足する発電量を補充するように前記燃料電池と並列に接続された電気二重層キャパシタとを備えた燃料電池自動車の制御装置において、前記燃料電池の作動状態を検知して該作動状態に応じた前記燃料電池の上限発電量を把握する上限発電量把握手段と、前記燃料電池の発電量が前記上限発電量となったときに前記電気二重層キャパシタから放電される電力である上限放電電力を把握する上限放電電力把握手段と、該上限放電電力と前記上限発電量とに応じて、前記燃料電池と前記電気二重層キャパシタとにより出力可能な総電力の上限である上限総電力を把握する上限総電力把握手段と、前記トルク指令を該上限総電力に応じた上限トルク以下に制限するトルク指令制限手段とを備えたことを特徴とする燃料電池自動車の制御装置。
【請求項2】前記電気二重層キャパシタの開放電圧を把握する開放電圧把握手段と、前記燃料電池の発電量と出力電圧との相関関係を示す特性マップのデータ及び前記電気二重層キャパシタの内部抵抗のデータを記憶した記憶手段とを備え、前記上限放電電力把握手段は、前記上限発電量を前記特性マップに適用して得られた前記燃料電池の出力電圧と、前記開放電圧把握手段により把握された前記電気二重層キャパシタの開放電圧と、前記電気二重層キャパシタの内部抵抗とに基づいて、前記上限放電電力を算出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池と電気二重層キャパシタを並列に接続して走行用モータの電源とした燃料電池自動車の制御装置に関し、特に、該モータに出力する駆動用電力の制限に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池自動車に搭載されて、該燃料電池自動車で消費される電力の供給を制御する制御装置として、例えば図4に示したように構成された制御装置が知られている。
【0003】図4に示した制御装置には、走行用モータ100に駆動電力を供給するモータ駆動ユニット101及びエアコン等の電装補機(図示しない)の電源として燃料電池102が備えられている。そして、燃料電池102と並列に電気二重層キャパシタ103が接続され、反応ガス供給部104の応答遅れにより燃料電池102に対する反応ガスの供給が不足して燃料電池102の発電量の不足が生じたときに、電気二重層キャパシタ103からの放電電力により補充されるようにしている。
【0004】また、燃料電池制御部105は、燃料電池102に供給される反応ガス(水素及び空気)の圧力(Pgas)、量(Qgas)、温度(Tgas)等の検出値から燃料電池102の作動状態を検知して、燃料電池102から出力可能な発電量の上限である上限発電量(Ifc_LMT)を把握する。また、電気自動車制御部106は、アクセルペダルの踏込み量(Ap)と、モータ100の回転数(Nm)とに基づいて、モータ100の駆動に必要な電力であるモータ要求電力(PD_REQ)を算出する。
【0005】そして、電源管理制御部107は、モータ要求電力(PD_REQ)と電装補機の消費電力(Pload)とに応じて、燃料電池102の目標発電量(Ifc_CMD)を燃料電池制御部105に指示すると共に、上限発電量(Ifc_LMT)に応じて、燃料電池102の発電量の不足が生じないように、モータ駆動ユニット101からモータ100に出力可能な駆動電力の上限である出力制限電力(PLD)を電気自動車制御部106に指示する。
【0006】これにより、燃料電池制御部105は、目標発電量(Ifc_CMD)が得られるように反応ガス供給部104に対する反応ガスの供給量の指示値(CMP_CMD)を決定し、また、電気自動車制御部106は、モータ100に出力される駆動電力が出力制限電力(PLD)を超えないように、モータ駆動ユニット101に対するトルク指令(TRQ_CMD)を決定する。
【0007】その結果、燃料電池102は、モータ要求電力(PD_REQ)に応じた発電量を発生するように作動し、モータ駆動ユニット101からモータ100に出力される駆動電力は出力制限電力(PLD)以下に制限されるため、燃料電池102の発電量が不足することを防止することができる。
【0008】しかし、図4に示した制御装置においては、例えば反応ガスの電気化学反応により生成される水が燃料電池102を構成するセル内に滞留して、燃料電池の出力が低下した場合のように、燃料電池102の異常が生じて燃料電池102の発電能力が低下し、それに応じて上限発電量(Ifc_LMT)が減少すると、出力制限電力(PLD)も減少するため、モータ駆動ユニット101に対するトルク指令(TRQ_CMD)の上限が低下する。
【0009】そのため、燃料電池自動車の走行中に燃料電池102の異常が生じて上限発電量(Ifc_LMT)が急激に減少したときに、トルク指令(TRQ_CMD)の上限の低下に伴ってモータ100の出力トルクが急激に低下して燃料電池自動車の挙動が変化し、燃料電池自動車の運転者や同乗者に不安感や不快感を与えるおそれがあるという不都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記不都合を解消し、燃料電池の異常が生じたときに、走行用モータの出力トルクが急激に低下することを抑制した燃料電池自動車の制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、走行用モータに所定のトルク指令に応じた駆動電力を出力するモータ駆動手段と、該モータ駆動手段の電源として使用される燃料電池と、該燃料電池により充電され、該燃料電池の発電量が不足する状態となるときに、放電が生じて不足する発電量を補充するように前記燃料電池と並列に接続された電気二重層キャパシタとを備えた燃料電池自動車の制御装置の改良に関する。
【0012】そして、前記燃料電池の作動状態を検知して該作動状態に応じた前記燃料電池の上限発電量を把握する上限発電量把握手段と、前記燃料電池の発電量が前記上限発電量となったときに前記電気二重層キャパシタから放電される電力である上限放電電力を把握する上限放電電力把握手段と、該上限放電電力と前記上限発電量とに応じて、前記燃料電池と前記電気二重層キャパシタとにより出力可能な総電力の上限である上限総電力を把握する上限総電力把握手段と、前記トルク指令を該上限総電力に応じた上限トルク以下に制限するトルク指令制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】かかる本発明によれば、前記上限総電力把握手段は、前記燃料電池の前記上限発電量と前記電気二重層キャパシタの前記上限放電電力とに応じて、前記上限総電力を把握する。そのため、前記燃料電池の作動状態が悪化して前記上限発電量把握手段により把握される前記上限発電量が急激に減少した場合であっても、前記電気二重層キャパシタの放電電力分により前記上限総電力の減少が抑制される。そして、前記トルク指令制限手段は、前記トルク指令を前記上限総電力に応じた前記上限トルク以下に制限する。そのため、前記燃料電池自動車の走行中に前記燃料電池の作動状態が急激に悪化したときに、前記モータに対するトルク指令が急激に減少して前記モータの出力トルクが低下することが抑制され、これにより前記モータの出力トルクの急激な低下に伴う前記燃料電池自動車の挙動の変化によって前記燃料電池自動車の運転者や同乗者に不安感や不快感を与えることを防止することができる。
【0014】また、前記電気二重層キャパシタの開放電圧を把握する開放電圧把握手段と、前記燃料電池の発電量と出力電圧との相関関係を示す特性マップのデータ及び前記電気二重層キャパシタの内部抵抗のデータを記憶した記憶手段とを備え、前記上限放電電力把握手段は、前記上限発電量を前記特性マップに適用して得られた前記燃料電池の出力電圧と、前記開放電圧把握手段により把握された前記電気二重層キャパシタの開放電圧と、前記電気二重層キャパシタの内部抵抗とに基づいて、前記上限放電電力を把握することを特徴とする。
【0015】かかる本発明によれば、前記上限放電電力把握手段は、前記上限発電量を前記特性マップに適用することによって、前記燃料電池の発電量が前記上限発電量となったときの前記燃料電池の出力電圧を認識することができる。そして、詳細は後述するが、前記上限放電電力把握手段は、このようにして認識した前記上限発電量における前記燃料電池の出力電圧と、前記電気二重層キャパシタの開放電圧と、前記電気二重層キャパシタの内部抵抗とを用いて、前記上限放電電力を精度良く算出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例について、図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の燃料電池自動車の制御装置の構成図、図2は図1に示した制御装置の制御ブロック図、図3は燃料電池とキャパシタの出力特性を示したグラフである。
【0017】図1を参照して、本発明の燃料電池自動車の制御装置1(以下、単に制御装置1という)は、燃料電池自動車に搭載されて該車両に供給する電力を制御するものであり、制御装置1の作動はマイクロコンピュータやメモリ(本発明の記憶手段に相当する)等により構成されたコントローラ4により制御される。
【0018】そして、水素と空気を反応ガスとした電気化学反応を生じさせて電流を出力する燃料電池2の発電量が、コントローラ4に備えられた電源管理制御部14と燃料電池制御部16により制御される。また、走行用モータ10(以下、単にモータ10という)に対するトルク指令がコントローラ4に備えられた駆動制御部9により決定される。
【0019】燃料電池2及びキャパシタ3の出力電力は、モータ駆動装置5(本発明のモータ駆動手段に相当する)、空調機器6、及びDC/DCコンバータ7を介して12V負荷8に供給される。モータ駆動装置5は、コントローラ4に備えられた駆動制御部9から出力されるトルク指令(TRQ_CMD)に応じて、モータ10の電機子に流れる電流を制御する。そして、モータ10の駆動力はトランスミッション11を介して駆動輪12に伝達される。
【0020】駆動制御部9は、アクセルペダル13の踏込み量(Ap)とモータ10の回転数(Nm)とに基づいて、モータ駆動装置5で必要となる電力であるモータ要求電力(PD_REQ)を通知する信号を電源管理制御部14に出力する。
【0021】電源管理制御部14には、モータ10以外の電装補機で消費される電力を把握するために、負荷電流センサ15により検出される負荷電流(I_load)と負荷電圧(V_load)の検出信号が入力され、これらの検出信号により、電源管理制御部14は、モータ10以外の電装補機で消費される電力を把握する。
【0022】そして、電源管理制御部14は、燃料電池制御部16(本発明の上限発電量把握手段の機能を含む)から出力される燃料電池2の上限発電量(Ifc_LMT)と、キャパシタセンサ31により検出されるキャパシタ3の充放電電流(Icap)及び端子電圧(Vcap)等を考慮した上で、モータ要求電力(PD_REQ)とモータ10以外の電装補機で消費される電力との合計電力に応じて、燃料電池2から出力される電流の目標値である目標発電量(Ifc_CMD)を決定し、該目標発電量(Ifc _CMD)を指示する信号を燃料電池制御部16に出力する。
【0023】また、電源管理制御部14は、駆動制御部9に対して、燃料電池2及びキャパシタ3から駆動制御部9に対して供給可能な電力の上限である出力制限電力(PLD)を通知する信号を出力する。
【0024】なお、燃料電池制御部16には、反応ガスセンサ20から出力される燃料電池2に供給される反応ガス(水素及び空気)の圧力(Pgas)、流量(Qgas)、及び温度(Tgas)の検出信号と、燃料電池2のスタック(図示しない)を構成する燃料電池セル(図示しない)の個々の状態(Vce ll_indiv)の検出信号とが入力され、燃料電池制御部16は、これらの検出信号から把握される燃料電池2の状態を考慮して上限発電量(Ifc_LMT)を決定する。
【0025】また、駆動制御部9は、モータ10及びモータ駆動装置5における消費電力が電源管理制御部14から通知された出力制限電力(PLD)を超えないように、モータ駆動装置5に対してトルク指令(TRQ_CMD)を出力し、モータ駆動装置5は、モータ10が該トルク指令(TRQ_CMD)に応じたトルクを発生するように、モータ10の電機子電流を制御する。
【0026】また、燃料電池制御部16は、電源管理制御部14から出力された目標発電量(Ifc_CMD)の電流が燃料電池2から出力されるように、反応ガス供給装置21に対して、燃料電池2に供給する反応ガスの目標供給量(CMP_CMD)を指示する信号を出力する。これにより、目標発電量(Ifc_CMD)に応じた流量の空気と水素が燃料電池2に供給される。
【0027】そして、反応ガス供給装置21から供給される水素は、イジェクタ(図示しない)及び加湿器(図示しない)を経由して燃料電池2の水素極に供給され、空気極に供給される空気中の酸素と電気化学反応を生じて水となり、排出弁22を介して排出される。ここで、排出弁22の開度は、空気及び水素の供給圧に応じて燃料電池2内部の圧力勾配が一定に保たれるように、燃料電池制御部16からの制御信号(VLV_CMD)により制御される。
【0028】また、燃料電池2には、水冷式の冷却器(図示しない)が備えられ、燃料電池制御部16は、該冷却器に給水される冷却水の温度と該冷却器から排水される冷却水の温度とに応じて、該冷却器に供給される冷却水の流量と温度を制御する。
【0029】また、制御装置1には、燃料電池2の出力電流を制限するためのトランジスタやFET等のスイッチング素子を備えると共に、燃料電池2の出力電流(Ifc)と出力電圧(Vfc)を検出する出力電流制限手段30(本発明の電流制限手段の機能を含む)が設けられ、電源管理制御部14から出力される電流制限信号(VCU_CMD)のレベル(High/Low)に応じて、出力電流制限手段30は燃料電池2の電流出力をON/OFFする。
【0030】なお、電源管理制御部14は、基本的には、燃料電池2の起動時及び停止時以外は、電流制限信号(VCU_CMD)のレベルを常時Highレベルとして出力電流制限手段をON(通電)状態とし、燃料電池2とキャパシタ3を直結状態に維持する。
【0031】この直結状態においては、モータ10とモータ10以外の電装負荷の総消費電力が増大して、燃料電池2の出力電圧が低下するときは、キャパシタ3の開放電圧と燃料電池2の出力電圧との差に応じた放電電流がモータ10及びモータ10以外の電装負荷に供給される。一方、前記総消費電力が減少して、燃料電池2の出力電圧が上昇するときには、キャパシタ3の開放電圧と燃料電池2の出力電圧との差に応じた充電電流が燃料電池2からキャパシタ3に供給される。
【0032】その結果、いずれの場合もキャパシタ3の開放電圧と燃料電池2の出力電圧が等しい状態に移行する。そのため、残充電量が変化しても開放電圧があまり変化しないバッテリーを燃料電池2と並列に接続する場合のように、大電流のスイッチングが可能な大型のDC/DCコンバータにより常時燃料電池2の出力電圧とバッテリーの開放電圧とを整合させる必要がなく、出力電流制限手段30は、燃料電池2の出力電流が少ない燃料電池2の起動時及び停止時にキャパシタ3と燃料電池2の間の通電を制限するための小型のスイッチング素子を備えればよい。
【0033】以上説明した構成により、モータ要求電力(PD_REQ)と負荷電流(Iload)及び負荷電圧(Vload)により算出される電装補機の消費電力とに応じて決定された目標発電量(Ifc_CMD)に応じた電流が燃料電池2から出力されるように、燃料電池2に対する反応ガスの目標反応量(CMP_CMD)が制御される。そのため、基本的には、運転者によるアクセルペダル13の踏込み量(Ap)に応じたトルクがモータ10から出力される。
【0034】しかし、燃料電池2における反応ガスの電気化学反応により生じた水が完全に燃料電池2から排出されずに燃料電池2内に滞留する場合があり、この場合には、燃料電池2内に滞留した水により燃料電池2に対する反応ガスの供給が妨げられて燃料電池2の発電効率が低下した異常状態となる。そして、このように燃料電池2の発電効率が低下した異常状態となると、燃料電池制御部16により把握される上限発電量(Ifc_LMT)が減少し、それに応じて電源管理制御部14により算出される出力制限電力(PLD)も減少するため、駆動制御部9により決定されるトルク指令(TRQ_CMD)の上限が低下する。
【0035】したがって、燃料電池2が異常状態となって上限発電量(Ifc_LMT)が急激に減少したときに、それに応じて出力制限電力(PLD)も急激に減少したときには、トルク指令(TRQ_CMD)の制限によりモータ10の出力トルクが急激に低下して燃料電池自動車の挙動が変化し運転者及び同乗者に不快感や不安感を与えてしまう。
【0036】そこで、電源管理制御部14は、キャパシタ3からの放電電力を考慮して出力制限電力(PLD)を算出することによって、上限発電量(Ifc_LMT)の急激な減少に伴ってトルク指令(TRQ_CMD)が急激に低下することを抑制する処理を行なう。以下、図2及び図3を参照してこの処理について説明する。
【0037】図2を参照して、電源管理制御部14は、キャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)を算出する開放電圧算出部50(本発明の開放電圧把握手段に相当する)、電装補機の消費電力(Pload)とモータ要求電力(PD_REQ)とを加算した必要総電力(PT_REQ)を算出する必要総電力算出部51、必要総電力(PT_REQ)に基づいて目標発電量(Ifc_CMD)を算出する目標発電量算出部52、キャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)と上限発電量(Ifc_LMT)とに基づいて、燃料電池2の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)となったときのキャパシタ3の放電電力である上限放電電力(Pcap_LMT)を算出する上限放電電力算出部53(本発明の上限放電電力把握手段に相当する)、上限発電量(Ifc_LMT)と上限放電電力(Pcap_LMT)と電装補機の消費電力(Pload)とに基づいて、モータ駆動装置5に対して供給可能な電力の最大値である出力制限電力(PLD,本発明の上限総電力に相当する)を算出する出力制限電力算出部54(本発明の上限総電力把握手段に相当する)、目標発電量(Ifc_ CMD)が上限発電量(Ifc_LMT)を超えるときに、燃料電池3の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)以下となるように出力電流制限手段30をスイッチングする電流制限信号(VCU_CMD)を出力する出力制限値算出部55を備える。
【0038】開放電圧算出部50は、キャパシタ3の充放電電流(Icap)及びキャパシタ3の出力電圧(Vcap)と、メモリに記憶されたキャパシタ3の内部抵抗Rcapのデータとから、以下の式(1)によりキャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)を算出する。
【0039】
Vcap_o = Vcap + Icap・Rcap ・・・・・(1)
必要総電力算出部51は、電装補機の消費電力(Pload)と、モータ要求電力(PD_REQ)とから、以下の式(2)により必要総電力(PT_REQ)を算出する。
【0040】
PT_REQ = Pload + PD_REQ ・・・・・(2)
そして、目標発電量算出部52は、必要総電力(PT_REQ)に若干の余裕を持たせて燃料電池2の目標発電量(Ifc_CMD)を決定する。
【0041】また、上限放電電力算出部53は、キャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)と上限発電量(Ifc_LMT)とに基づいて、上限放電電力(Pcap_LMT)を算出する。以下、図3を参照して、上限放電電力算出部53による上限放電電力(Pcap_LMT)の算出手順について説明する。
【0042】図3は、燃料電池2とキャパシタ3の出力特性を示したグラフであり、縦軸が電圧、横軸が電流に設定されている。そして、図中、I=F(V)の曲線は燃料電池2の出力特性を示し、I=G(V)の直線は開放電圧(Vcap_o)がVであるときのキャパシタ3の出力特性を示している。
【0043】ここで、図中P(I,V)を動作点として燃料電池2が作動しており、上限発電量(Ifc_LMT)がIであったとすると、燃料電池2の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)に変化したときの燃料電池2の動作点はP(I,V)となる。そして、燃料電池2とキャパシタ3が直結状態(出力電流制限手段30による電流制限が行なわれていない状態)にあるときは、燃料電池2の出力電圧(Vfc)とキャパシタ3の出力電圧(Vcap)は等しくなる(Vfc=Vcap=V)。
【0044】そのため、燃料電池2の出力電圧がVとなったときのキャパシタ3の放電電流はI(=G(V))となり、上限放電電力(Pcap_LMT)はIとVを乗じて算出することができる。
【0045】そして、キャパシタ3の出力特性I=G(V)の傾きはキャパシタ3の内部抵抗(Rcap)であり、G(0)=Vcap_o であるから、G(V)は以下の式(3)で表される。
【0046】
G(V) = −Rcap・I + Vcap_o ・・・・・(3)
そのため、キャパシタ3の出力電圧がVfc_LMTであるときのキャパシタ3の放電電流(Icap_LMT)は、以下の式(4)で算出することができる。
【0047】
Icap_LMT = (Vcap_o−Vfc_LMT)/Rcap ・・・・・(4)
したがって、キャパシタ3の上限放電電力(Pcap_LMT)は、以下の式(5)で算出することができる。
【0048】
Pcap_LMT = Icap_LMT × Vfc_LMT = (Vcap_o−Vfc_LMT)/Rcap × Vfc_LMT ・・・・・(4)
そのため、メモリには、I=F(V)の関係をマップ化したデータ(本発明の燃料電池の発電量と出力電圧との相関関係を示す特性マップのデータに相当する)が予め記憶されており、上限放電電力算出部53は、該マップに上限発電量(Ifc_LMT)を適用して、発電量が上限発電量(Ifc_LMT)となったときの燃料電池の出力電圧(Vfc_LMT)を認識する。そして、上限放電電力算出部53は、上記式(4)により上限放電電力(Pcap_o)を算出する。
【0049】このように、燃料電池2の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)となったときには、キャパシタ3からは上限放電電力(Pcap_LMT)分の電力が出力される。そのため、出力制限電力算出部54は、上限放電電力(Pcap_LMT)を考慮して、以下の式(5)により出力制限電力(PLD)を算出する。
【0050】
PLD = Ifc_LMT・Vfc_LMT + Pcap_LMT − Pload ・・・・・(5)
そして、駆動制御部9に備えられたトルク指令決定部60(本発明のトルク指令制限手段の機能を含む)は、要求電力算出部61により算出されたモータ要求電力(PD_REQ)と、出力制限電力(PLD)とを比較して、モータ10に供給される駆動電圧が出力制限電力(PLD)を超えないように、トルク指令(TRQ_CMD)を決定する。
【0051】このように、出力制限電力算出部54によりキャパシタ3の上限放電電力(Pcap_LMT)により補充される電力を考慮して出力制限電力(PLD)を決定することによって、上限発電量(Ifc_LMT)が急激に減少した場合に、それに応じて出力制限電力(PLD)が急激に低下することを抑制することができる。
【0052】そのため、燃料電池自動車の走行中に燃料電池2の発電量が急激に減少した場合に、トルク指令(TRQ_CMD)の上限が急激に低下してモータ10の出力トルクが減少し、燃料電池自動車の挙動が不安定となることを防止することができる。
【0053】なお、本実施の形態においては、上限放電電力算出部53は、メモリに記憶された燃料電池2の出力特性マップとキャパシタ3の内部抵抗(Rcap)とを使用して、上限放電電力(Pcap_LMT)を算出したが、その他の方法により上限放電電流(Pcap_LMT)を算出してもよい。
【0054】例えば、キャパシタ3の開放電圧(Vcap_o)と、燃料電池2の上限放電電圧(Vfc_LMT)とを入力パラメータとして、上限放電電力(Pcap_LMT)を出力するマップを予めメモリに記憶し、該マップにより上限放電電力(Pcap_LMT)を算出するようにしてもよい。
【0055】また、出力電流制限手段30が、自己の発熱温度によっても燃料電池2から出力される電流を制限する場合には、出力電流制限手段30により燃料電池2の発電量が上限発電量(Ifc_LMT)よりも低い制限発電量(Ifc_VCU)に抑制される場合がある。そのため、この場合には、電源管理制御部14は、出力電流制限手段30により検出される燃料電池2の出力電流(Ifc)が上限発電量(Ifc_LMT)よりも小さくなったか否かを監視する必要がある。
【0056】そして、電源管理制御部14により出力電流(Ifc)が上限発電量(Ifc_ LMT)よりも小さくなったことが検知されたときは、上限放電電力算出部53は、前記式(4)における上限発電量に応じた電圧(Vfc_LMT)を、制限発電量(Ifc_VCU)に応じた電圧(=F(Ifc_VCU))に置き換えて上限放電電力(Pcap_LMT)を算出すればよい。また、出力制限電力算出部54は、前記式(5)における上限発電量(Ifc_LMT)と上限発電量(Ifc_LMT)に応じた電圧(Vfc_LMT)を、それぞれ制限発電量(Ifc_VCU)と制限発電量(Ifc_VCU)に応じた電圧(=F(Ifc_VCU))に置き換えてモータ駆動上限電力(PLD)を算出すればよい。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦 (外1名)
【公開番号】 特開2003−61212(P2003−61212A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2002−139711(P2002−139711)