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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】北島 真一
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】泉浦 篤
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】黒田 恵隆
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】鵜飼 朝雄
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】熊谷 克裕
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】運転者の停止意思を加味することで必要ない回生を停止し、低車速域でのエンジン回転数のハンチングをなくし商品性を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。

【解決手段】エンジンとモータとを車両の動力源とすると共に、エンジンの出力又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電するバッテリを備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記車両がマニュアルトランスミッションを備えると共に、車速センサと、スロットル開度センサと、車両減速時においてエンジンへの燃料供給を停止しているか否かを判定する減速燃料カット判別手段(S074)と、ブレーキスイッチを備え、車速が所定以下の低車速であって減速燃料カット中でない場合にブレーキが作動すると、スロットル開度の如何にかかわらず回生を停止する(S077)ことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンとモータとを車両の動力源とすると共に、前記エンジンの出力又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記車両が手動変速機を備えると共に、車速を検出する車速検出手段と、車両減速時においてエンジンへの燃料供給を停止しているか否かを判定する減速燃料カット判別手段と、ブレーキの作動を検出するブレーキ検出手段とを備え、前記車速検出手段により検出された車速が所定以下の低車速であって、減速燃料カット判別手段により減速燃料カット中でないと判定された場合は、ブレーキ検出手段によりブレーキの作動が検出された際に回生を停止することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】 スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段を設け、、前記車速検出手段により検出された車速が所定以下の低車速であって、減速燃料カット判別手段により減速燃料カット中でないと判定され、更にブレーキ検出手段によりブレーキの作動が検出されていない場合に、スロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度が所定値より小さいときは、エンジン回転数に応じて回生を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハイブリッド車両の制御装置に係るものであり、特に、低車速、低回転域における商品性を向上することができるハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両走行用の駆動源としてエンジンの他にモータを備えたハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両の一種に、モータをエンジンの出力を補助する補助駆動源として使用するパラレルハイブリッド車がある。このパラレルハイブリッド車は、例えば、加速時においてはモータによってエンジンの出力を駆動補助し、減速時においては燃料供給停止を行うと共に減速回生によってバッテリ等への充電を行う等、様々な制御を行い、バッテリの残容量を確保しつつ運転者の要求を満足できるようになっている(例えば、特開平7−123509号公報に示されている)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したハイブリッド車両、特に、手動変速機を備えた車両(いわゆるMT車)においては、例えば、カーブを低車速で走行している場合のように、低車速で減速燃料カットが行われておらずアクセルペダルが踏み込まれていない場合には、減速モードに入りエンジン回転数に応じて回生制動が行われるものがある。ところが、減速モードに入り更にエンジン回転数が低下しエンジンストールを防止するために回生を停止すると、回生制動がなくなる分だけエンジンに対する負荷が低減するため、エンジン回転数が上昇して再度回生制動が行われる。したがって、回生停止、回生再開を繰り返すことによりエンジン回転数のハンチングが起きてしまうという問題がある。とりわけブレーキを踏み込んでいる場合のように、ブレーキによる制動と回生制動とにより大きな制動力がかかる場合には、回生停止と回生再開のためのショックも大きくなり商品性の点でも好ましくないという問題がある。そこで、この発明は、運転者の停止意思を加味することで必要ない回生を停止し、低車速域でのエンジン回転数のハンチングをなくし商品性を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、エンジン(例えば、実施形態におけるエンジンE)とモータ(例えば、実施形態におけるモータM)とを車両の動力源とすると共に、前記エンジンの出力又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置(例えば、実施形態におけるバッテリ3)を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記車両が手動変速機(例えば、実施形態におけるマニュアルトランスミッション(MT)T)を備えると共に、車速を検出する車速検出手段(例えば、実施形態における車速センサS1)と、車両減速時においてエンジンへの燃料供給を停止しているか否かを判定する減速燃料カット判別手段(例えば、実施形態における図3のステップS074)と、ブレーキの作動を検出するブレーキ検出手段(例えば、実施形態におけるブレーキスイッチS4)とを備え、前記車速検出手段により検出された車速が所定以下の低車速であって、減速燃料カット判別手段により減速燃料カット中でないと判定された場合(例えば、実施形態におけるステップS074にて「NO」)は、ブレーキ検出手段によりブレーキの作動が検出された際(例えば、実施形態のステップS074Cにて「YES」)に回生を停止する(例えば、実施形態におけるステップS077のクルーズモード)ことを特徴とする。このように構成することで、車速が所定以下の低車速時で減速燃料カット中でない場合にブレーキが踏み込まれた場合は、運転者の停止意思を加味して回生を停止することができる。請求項2に記載した発明は、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段(例えば、実施形態におけるスロットル開度センサS6)を設け、前記車速検出手段により検出された車速が所定以下の低車速であって、減速燃料カット判別手段により減速燃料カット中でないと判定され(例えば、実施形態におけるステップS074にて「NO」)、更にブレーキ検出手段によりブレーキの作動が検出されていない場合(例えば、実施形態におけるステップS074Cにて「NO」)に、スロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度が所定値より小さいときは(例えば、実施形態におけるステップS074Dにおいて「NO」)、エンジン回転数に応じて回生を行う(例えば、実施形態におけるステップS078の減速モードにおける回生量の設定を示す図5、ステップS104)ことを特徴とする。このように構成することで、スロットル開度により減速状態であることが判定された場合にエンジン回転数に応じて適正な回生量を設定することが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はこの発明の実施形態のパラレルハイブリッド車両を示し、エンジンE、モータM、手動変速機であるトランスミッションTとしてのマニュアルトランスミッションMTを直列に直結した構造のものである。エンジンE及びモータMの両方の駆動力は、マニュアルトランスミッションTを介して駆動輪たる前輪Wf,Wfに伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時に前輪Wf,Wf側からモータM側に駆動力が伝達されると、モータMは発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。尚、Wrは後輪を示す。
【0006】モータMの駆動及び回生作動は、モータECU1からの制御指令を受けてパワードライブユニット2により行われる。パワードライブユニット2にはモータMと電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ(蓄電装置)3が接続されており、バッテリ3は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを1単位として更に複数個のモジュールを直列に接続したものである。ハイブリッド車両には各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ4が搭載されており、この補助バッテリ4はバッテリ3にダウンバータ5を介して接続される。FIECU11により制御されるダウンバータ5は、バッテリ3の電圧を降圧して補助バッテリ4を充電する。
【0007】FIECU11は、前記モータECU1及び前記ダウンバータ5に加えて、エンジンEへの燃料供給量を制御する燃料供給量制御手段6の作動と、スタータモータ7の作動の他、点火時期等の制御を行う。そのために、FIECU11には、トランスミッションTの駆動軸の回転数に基づいて車速Vを検出する車速センサ(車速検出手段)S1からの信号と、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサS2からの信号と、トランスミッションTのシフトポジションを検出するシフトポジションセンサS3からの信号と、ブレーキペダル8の操作を検出するブレーキスイッチ(ブレーキ検出手段)S4からの信号と、クラッチペダル9の操作を検出するクラッチスイッチS5からの信号と、スロットル開度THを検出するスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)S6からの信号と、吸気管負圧PBGAを検出する吸気管負圧センサS7からの信号とが入力される。31は、バッテリ3を保護しバッテリ3の残容量SOCを算出するバッテリECUを示す。
【0008】「MA(モータ)基本モード」次に、前記モータMをどのようなモードで運転するのかを決定するMA(モータ)基本モードを、図2、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この処理は所定周期で繰り返される。
【0009】MA(モータ)基本モードには、「アイドルモード」、「アイドル停止モード」、「減速モード」、「クルーズモード」及び「加速モード」の各モードがある。アイドルモードでは、燃料カットに続く燃料供給が再開されてエンジンEがアイドル状態に維持され、アイドル停止モードでは、例えば車両の停止時等に一定の条件でエンジンが停止される。また、減速モードでは、モータMによる回生制動が実行され、加速モードでは、エンジンEがモータMにより駆動補助され、クルーズモードでは、モータMが駆動せず車両がエンジンEの駆動力で走行する。したがって、クルーズモードでは回生は行われない。尚、この実施形態におけるハイブリッド車両はMT(マニュアルトランスミッション)車であるが、仕様上の理由から以下に示す各フローチャートは、CVT車の場合についても併記したものとなっている。
【0010】図2のステップS051においてMT/CVT判定フラグF_ATが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(CVT車)である場合はステップS060に進み、判定結果が「NO」(MT車)である場合はステップS052に進む。ステップS060において、CVT用インギア判定フラグF_ATNPが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(N,Pレンジ)である場合はステップS083に進み、判定結果が「NO」(インギア)である場合はステップS060Aに進む。
【0011】ステップS060Aでは、スイッチバック中(シフトレバー操作中でシフト位置が特定できない)か否かをスイッチバックフラグF_VSWBが「1」か否かで判定する。判定結果が「YES」(スイッチバック中)である場合はステップS085に進み、「アイドルモード」に移行して制御を終了する。アイドルモードでは、エンジンEがアイドル状態に維持される。ステップS060Aにおける判定結果が「NO」(スイッチバック中でない)である場合はステップS054に進む。
【0012】ステップS083において、エンジン停止制御実施フラグF_FCMGが「1」か否かを判定する。ステップS083における判定結果が「NO」である場合はステップS085の「アイドルモード」に移行して制御を終了する。ステップS083における判定結果が「YES」である場合はステップS084に進み、「アイドル停止モード」に移行して制御を終了する。アイドル停止モードでは、例えば車両の停止時等に一定の条件でエンジンが停止される。
【0013】ステップS052において、ニュートラルポジション判定フラグF_NSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(ニュートラルポジション)である場合はステップS083に進み、判定結果が「NO」(インギア)である場合はステップS053に進む。ステップS053では、クラッチ接続判定フラグF_CLSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(クラッチ断)である場合はステップS083に進み、判定結果が「NO」(クラッチ接)である場合はステップS054に進む。
【0014】ステップS054において、IDLE判定フラグF_THIDLMGが「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」である場合(全閉)はステップS061に進み、判定結果が「YES」である場合(全閉でない)はステップS054Aに進む。ステップS054Aでは、半クラッチ判断時のエンジン回転数引き上げフラグF_NERGNUPに「0」をセットし、ステップS055に進む。
【0015】ステップS055において、モータアシスト判定フラグF_MASTが「1」か否かを判定する。このフラグはモータMによりエンジンをアシストするか否かを判定するフラグであり、「1」である場合はアシスト要求があり、「0」である場合はアシスト要求がないことを意味する。尚、このモータアシスト判定フラグは図示しないアシストトリガ判定処理により設定される。ステップS055における判定結果が「NO」である場合はステップS061に進む。ステップS055における判定結果が「YES」である場合はステップS056に進む。
【0016】ステップS056において、MT/CVT判定フラグF_ATが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(CVT車)である場合はステップS057に進み、判定結果が「NO」(MT車)である場合はステップS058に進む。ステップS057において、ブレーキON判定フラグF_BKSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(ブレーキON)である場合はステップS063に進み、判定結果が「NO」(ブレーキOFF)である場合はステップS058に進む。
【0017】ステップS058において、最終充電指令値REGENFが「0」以下か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS059の「加速モード」に進む。加速モードでは、エンジンEがモータMにより駆動補助され、ステップS059Aに進む。ステップS058における判定結果が「NO」である場合は制御を終了する。ステップS059Aにおいて、アシスト許可フラグF_ACCASTが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合は制御を終了し、判定結果が「NO」である場合はステップS059Bに進む。ステップS059Bにおいて、発進アシスト許可フラグF_STRASTが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合、判定結果が「NO」である場合は制御を終了する。
【0018】ステップS061において、MT/CVT判定フラグF_ATが「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」(MT車)である場合はステップS063に進み、判定結果が「YES」(CVT車)である場合はステップS062に進む。ステップS062において、リバースポジション判定フラグF_ATPRが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」(リバースポジション)である場合はステップS085に進み、判定結果が「NO」(リバースポジション以外)である場合はステップS063に進む。
【0019】ステップS063において、車速VPが「0」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS083に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS064に進む。ステップS064において、エンジン停止制御実施フラグF_FCMGが「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」である場合はステップS065に進み、判定結果が「YES」である場合はステップS084に進む。
【0020】ステップS065において、シフトチェンジ強制REGEN解除判定処理ディレータイマTNERGNが「0」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS066に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS068に進む。ステップS066において、エンジン回転数の変化率DNEが、DNEによるREGEN抜き判定エンジン回転数#DNRGNCUTのマイナス値より小さいか否かを判定する。ここでDNEによるREGEN抜き判定エンジン回転数#DNRGNCUTは、エンジン回転数の変化率DNEに応じて発電量の減算を行うか否かの判定の基準となるエンジン回転数NEの変化率DNEである。
【0021】ステップS066における判定の結果、エンジン回転数NEのダウン(低下率)が大きいと判定された場合(YES)はステップS082に進む。ステップS082においては、半クラッチ判断時のエンジン回転数引き上げフラグF_NERGNUPに「1」をセットしてステップS085に進む。
【0022】ステップS066における判定の結果、エンジン回転数NEがアップ(上昇)したり、エンジン回転数NEのダウン(低下率)が小さい場合(NO)はステップS067に進む。ステップS067において、MT/CVT判定フラグF_ATが「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」(MT車)である場合はステップS079に進み、判定結果が「YES」(CVT車)である場合はステップS068に進む。ステップS079において、半クラッチ判断フラグF_NGRHCLが「1」か否かを判定する。判定の結果、半クラッチ判断がされた場合(YES)はステップS082に進む。また、半クラッチ判断がされない場合(NO)はステップS080に進む。
【0023】ステップS080において、前回ギア位置NGRと今回ギア位置NGR1とを比較し、今回と前回とのギアポジションを比較してシフトアップがあったか否かを判定する。ステップS080における判定の結果、ギアポジションがシフトアップした場合は(NO)ステップS082に進む。ステップS080における判定の結果、今回と前回でギアポジションがシフトアップしていない場合(YES)はステップS068に進む。
【0024】ステップS068において、半クラッチ判断時のエンジン回転数引き上げフラグF_NERGNUPが「1」か否かを判定する。判定の結果、半クラッチ判断時のエンジン回転数引き上げの必要がありフラグがセット(=1)されている場合(YES)はステップS081に進み、ギア毎に設定された充電用エンジン回転数下限値#NERGNLxにハンチング防止のための引き上げ回転数#DNERGNUPを加算し、この加算値を充電用エンジン回転数下限値NERGNLにセットしステップS070に進む。ステップS068における判定の結果、半クラッチ判断時のエンジン回転数引き上げの必要がなくフラグがリセット(=0)されている場合(NO)は、ステップS069に進み、ギア毎に設定された充電用エンジン回転数下限値#NERGNLxを充電用エンジン回転数下限値NERGNLにセットしステップS070に進む。
【0025】そして、ステップS070において、エンジン回転数NEが充電用エンジン回転数下限値NERGNL以下か否かを判定する。判定の結果、低回転である場合(NE≦NERGNL、YES)はステップS082に進む。判定の結果、高回転である場合(NE>NERGNL、NO)はステップS071に進む。
【0026】ステップS071において、車速VPが減速モードブレーキ判断下限車速#VRGNBK(低車速)以下か否かを判定する。尚、この減速モードブレーキ判断下限車速#VRGNBKはヒステリシスを持つ値である。判定の結果、車速VP≦減速モードブレーキ判断下限車速#VRGNBK、である場合(YES)はステップS074に進む。ステップS071における判定の結果、車速VP>減速モードブレーキ判断下限車速#VRGNBK、である場合(NO)はステップS072に進む。上記減速モードブレーキ判断下限車速#VRGNBKは、例えば、24〜26km/hである。ステップS072において、ブレーキON判定フラグF_BKSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS073に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS074に進む。
【0027】ステップS073において、IDLE判定フラグF_THIDLMGが「1」か否かを判定する。判定の結果が「NO」(スロットルが全閉)である場合は、ステップS074Aにおいてフューエルカットディレイ回生フラグF_RGNFCDに「0」をセットし、ステップS078の「減速モード」に進み制御を終了する。ここで、フューエルカットディレイ回生は、フューエルカットに入るまでの間に、適度な減速感を与えるためになされる回生処理を意味し、この処理を行っている場合はフューエルカットディレイ回生フラグF_RGNFCDが「1」となり、処理を行っていない場合は「0」となる。尚、「減速モード」ではモータMによる回生制動が実行される。
【0028】ステップS074において、燃料カットフラグF_FCが「1」か否かを判定する。このフラグはステップS078の「減速モード」でモータMによる回生が行われている時に「1」となり燃料カットを行う燃料カット判断フラグである。ステップS074における判定の結果、減速燃料カット中である場合(YES)はステップS074Aに進む。ステップS074における判定の結果燃料カット中でない場合(NO)はステップS074Bに進む。上記ステップS074が燃料カット判別手段を構成する。
【0029】ステップS074Bにおいて、MT/CVT判定フラグF_ATが「1」か否かを判定する。判定結果が「NO」(MT車)である場合はステップS074Cに進み、判定結果が「YES」(CVT車)である場合はステップS074Dに進む。ステップS074Cにおいて、ブレーキON判定フラグF_BKSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS075に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS074Dに進む。
【0030】ステップS074Dにおいては、スロットル開度の現在値THEMがフューエルカット外時減速モードスロットル判断値#THRGNFC(所定値)以上か否かを判定する。この判定により減速モードに入るか否か、つまり減速モードとクルーズモードの振り分けが行われる。判定結果が「YES」である場合はステップS075に進み、判定結果が「NO」である場合(小さい場合)はステップS074Eに進む。尚、フューエルカット外時減速モードスロットル判断値#THRGNFCはヒステリシスを持った値である。ステップS074Eにおいては、フューエルカットディレイ回生フラグF_RGNFCDに「1」をセットしステップS078に進む。ステップS075では最終アシスト指令値ASTPWRFの減算処理を行い、ステップS076に進む。
【0031】ステップS076において、最終アシスト指令値ASTPWRFが「0」以下か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合は、ステップS077の「クルーズモード」に移行して制御を終了する。クルーズモードではモータMは駆動せずに車両はエンジンEの駆動力で走行し、モータMによる回生は行われない。ステップS076における判定結果が「NO」である場合は制御を終了する。
【0032】「減速モード」次に、減速モードを図4に示すフローチャートに基づいて説明する。この減速モードはMT車の減速時における回生量(最終充電指令値)を設定するための処理である。尚、この処理は所定周期で繰り返される。ステップS101において、ブレーキON判定フラグF_BKSWが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS105に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS102に進む。ステップS105では減速回生演算値DECRGNに#REGENBRテーブル検索値をセットしてステップS106に進む。ここで、#REGENBRテーブルはエンジン回転数の増加に応じて回生量を増加するように設定したテーブルであり、このテーブルを各ギア毎に持ち替えるようにしている。尚、テーブル検索値#REGENBRは後述するブレーキOFF時のテーブル検索値#REGENより大きく設定されている。ステップS106においては減速回生演算値DECRGNを最終充電指令値REGENFに代入して処理を終了する。
【0033】ステップS102において、フューエルカットディレイ回生フラグF_RGNFCDが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS103に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS104に進む。ステップS103では、減速回生演算値DECRGNに#RGNNFCDテーブル検索値をセットしてステップS106に進む。ここで、#RGNNFCDテーブルは車速の増加に応じて回生量を増加するように設定したテーブルである。
【0034】ステップS104では減速回生演算値DECRGNに#REGENテーブル検索値をセットしてステップS106に進む。ここで、#REGENテーブルは図5に示すようにエンジン回転数(横軸)の増加に応じて回生量(縦軸)を増加するように設定したテーブルであり、このテーブルを各ギア毎に持ち替えるようにしている。このテーブルにおいて、低エンジン回転数側でエンジン回転数が増加しても回生量が変化しない範囲は回生量が0の部分であり、エンジン回転数に対して回生量が立ち上がるポイントのエンジン回転数は、図3のステップS074Dにおける、フューエルカット外時減速モードスロットル判断値#THRGNFCを示している。尚、テーブル検索値#REGENは前記ブレーキON時のテーブル検索値#REGENBRより小さく設定されている。ここで、回生が開始される場合にいきなり減速回生をかけたり、回生から抜ける場合にいきなり減速回生を停止するとショックが発生するため、回生量を徐々に増加させたり徐々に減少させるようにしている。尚、CVT車においては前記ステップS104、ステップS105において車速を基準にして減速回生演算値を設定している。
【0035】上記実施形態によれば、車速が所定以下の低車速時(ステップS071において[YES])で減速燃料カット中でない場合(ステップS074において「NO」)に図3のステップS074Dのスロットル開度の判定の前にブレーキの作動判別を設け、ブレーキ作動時(ステップS074Cにおいて「YES」)においては、運転者の停止意思を加味してステップS074Dにおけるスロットル開度の判別結果の如何にかかわらずクルーズモードに移行し必要のない回生を停止できるため安定して車両停止に移行できる。したがって、そのまま回生を継続した場合にエンジン回転数が増減を繰り返すハンチングを防止し商品性を向上することができる。また、低車速時であってブレーキも踏み込まれている状況であるため回生量も少なくエネルギーマネージメント上も悪影響を与えることはない。
【0036】とりわけ、低車速においては運転者により差が大きいブレーキによる制動力が予測できないため、回生制動が加わるとエンジン回転数を大きく変動させる要因となるが、回生を停止することでこのエンジン回転数の変動をできる限り抑えることができる。また、ブレーキが作動していない場合は、運転者に停止意思がないと判断できるため回生を行うことで運転者の意思に沿った制御を行うことができる。この場合にスロットル開度がフューエルカット外時減速モードスロットル判断値#THRGNFCより小さく減速モード(ステップS074Dにおいて「NO」)となった場合にエンジン回転数に応じて適正な回生量を設定する(ステップS104)ためスムーズに回生を行うことができる。そして、この場合はブレーキが作動していないため、ブレーキ作動時に比較して小さい回生制動による制動力のみが作用し、したがって、運転者が体感上で受けるショックも少なく商品性を損なうことはない。
【0037】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、車速が所定以下の低車速時で減速燃料カット中でない場合にブレーキが踏み込まれた場合は、運転者の停止意思を加味して回生を停止することができるため、回生を継続した場合のようにエンジン回転数が増減を繰り返すハンチングを防止して商品性を向上することができる効果がある。また、低車速であってブレーキも作動していることから、確保できる回生量も少なくエネルギーマネージメント上も悪影響を与えることはないという効果がある。
【0038】請求項2に記載した発明によれば、スロットル開度により減速状態であることが判定された場合にエンジン回転数に応じて適正な回生量を設定することが可能となるためスムーズに回生を行うことができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成13年8月20日(2001.8.20)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2003−61211(P2003−61211A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−249357(P2001−249357)