トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッド車両用発電電動機
【発明者】 【氏名】藤原 正
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】森 俊郎
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】小松 康幸
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】久保 和之
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】メインバッテリからの電力供給を必要とせずに発電することができ、ハイブリッド車両のシステム構成に要する費用を削減する。

【解決手段】ハイブリッド車両用発電電動機(モータジェネレータ)30を、かご型のロータ31と、ロータ31の外周部を覆うようにして配置されるステータとを備えて構成した。ロータ31を、ロータ鉄心31aと、複数のスロット31b,…,31bと、各スロット31b,…,31b内に設けられたロータ導体31c,…,31cと、各ロータ導体31c,…,31cを短絡するエンドリング31d,31dと、複数の磁石装着凹部33,…,33と、各磁石装着凹部33,…,33内に装着されたロータ側永久磁石34,…,34とを備えて構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の駆動軸を駆動して推進力を出力する内燃機関と共に併用されてハイブリッド車両を走行駆動するハイブリッド車両用発電電動機であって、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、車両の運転状態に応じて、前記ハイブリッド車両に搭載された蓄電装置から供給される電気エネルギーによって前記駆動軸を回転駆動させると共に、車両の減速時の回生作動による回生エネルギー及び前記内燃機関の出力による発電エネルギーを発生して前記蓄電装置に蓄電しており、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、永久磁石を内蔵したかご型回転子と固定子とを有する誘導電動機からなり、前記かご型回転子の回転により発電した発電電圧を前記蓄電装置に蓄電することを特徴とするハイブリッド車両用発電電動機。
【請求項2】 車両の駆動軸を駆動して推進力を出力する内燃機関と共に併用されてハイブリッド車両を走行駆動可能なハイブリッド車両用発電電動機であって、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、車両の運転状態に応じて、前記ハイブリッド車両に搭載された蓄電装置から供給される電気エネルギーによって前記駆動軸を回転駆動させると共に、車両の減速時の回生作動による回生エネルギー及び前記内燃機関の出力による発電エネルギーを発生して前記蓄電装置に蓄電しており、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、永久磁石を内蔵した固定子とかご型回転子とを有する誘導電動機からなり、前記かご型回転子の回転により発電した発電電圧を前記蓄電装置に蓄電することを特徴とするハイブリッド車両用発電電動機。
【請求項3】 前記永久磁石は、前記内燃機関あるいは前記ハイブリッド車両用発電電動機の最大回転数領域において、前記固定子の固定子鉄心が非励磁状態での発電電圧を所定の定格電圧以下とする大きさの磁場を発生することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載のハイブリッド車両用発電電動機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン及びモータを併用して走行駆動するハイブリッド車両のモータ(ハイブリッド車両用発電電動機)に係り、特に、モータによる発電エネルギーを制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来技術の一例に係るハイブリッド車両10の構成図である。このハイブリッド車両10は、車両の推進力を出力するエンジン11と、モータ12と、変速機13と、車輪14と、平滑コンデンサCを備えたインバータ15を介してモータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のメインバッテリ16と、DC−DCコンバータ17を介してメインバッテリ16に接続され、各種補機類等を含む負荷18を駆動する補助バッテリ19と、補助バッテリ19に接続され、エンジン11を始動するスタータモータ20と、ECU(電子制御装置)21と、記憶装置22と、蓄電電圧検出器23と、インバータ電圧検出器24と、回転角センサ25とを備えて構成されている。
【0003】モータ12は、例えばかご型ロータを備えた誘導モータをなし、メインバッテリ16からインバータ15を介してモータ12のステータ巻線に励磁電流が通電された状態において、エンジン11の出力を補助すると共に、車両の減速時の回生作動による回生エネルギーおよびエンジン11の出力による発電エネルギーを発生する。モータ12の駆動及び回生作動は、ECU21からの制御指令を受けてインバータ15により行われる。インバータ15は、例えばパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータをなすものであって、スイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路15aと、平滑コンデンサCとを備えて構成されている。
【0004】ブリッジ回路15aは、複数のスイッチング素子であるトランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2を備えて構成され、これらのトランジスタTU1,…,TW2は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar mode Transistor)とされている。トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のコレクタ−エミッタ間には、それぞれダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2が配置され、各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のエミッタに、各ダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2のアノードが接続され、各コレクタには、各ダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2のカソードが接続されている。
【0005】各トランジスタTU1,TV1,TW1のコレクタは全て直流入出力端子15Dに接続されている。トランジスタTU1のエミッタはトランジスタTU2のコレクタに接続され、トランジスタTV1のエミッタはトランジスタTV2のコレクタに接続され、トランジスタTW1のエミッタはトランジスタTW2のコレクタに接続されている。各トランジスタTU2,TV2,TW2のエミッタは全て接地端子15Gに接続されている。また、モータ12に備えられた3相(U相、V相、W相)の各交流入出力端子12U,12V,12Wには、インバータ15の各交流入出力端子15U,15V,15Wが接続されている。ここで、交流入出力端子15UはトランジスタTU1のエミッタおよびトランジスタTU2のコレクタに接続され、交流入出力端子15VはトランジスタTV1のエミッタおよびトランジスタTV2のコレクタに接続され、交流入出力端子15WはトランジスタTW1のエミッタおよびトランジスタTW2のコレクタに接続されている。そして、平滑コンデンサCは直流入出力端子15Dと接地端子15Gとの間に接続されている。
【0006】DC−DCコンバータ17は、双方向のDC−DCコンバータであって、メインバッテリ16の蓄電電圧VBあるいはモータ12を回生作動または昇圧駆動した際のインバータ15の端子間電圧VPを降圧して補助バッテリ19を充電すると共に、メインバッテリ16の蓄電容量が低下している場合には、補助バッテリ19の端子間電圧を昇圧してメインバッテリ16を充電する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技術に係るハイブリッド車両10において、モータ12はかご型ロータを備えた誘導モータであることから、メインバッテリ16からモータ12のステータ巻線に励磁電流が通電された状態においてのみ、車両の駆動軸を回転駆動することができる。このため、例えば車両の始動時等において、メインバッテリ18の蓄電容量が低下していると、モータ12へ電気エネルギーを供給することができず、モータ12を始動することができないという問題が生じる。このため、メインバッテリ18の蓄電容量が低下している場合には、補助バッテリ19によってメインバッテリ18を充電することができるように、例えば専用のチャージャーや、双方向のDC−DCコンバータ17等を備える必要があり、ハイブリッド車両のシステム構成に要する費用が嵩むという問題が生じる。
【0008】また、例えばブラシレスモータのようにロータとしてロータ外周全体に永久磁石を配置した永久磁石回転子を用いた場合には、永久磁石による磁界が非常に強いため、車両の駆動輪側からモータ12に駆動力が伝達される回生作動時や、エンジン11の出力がモータ12の回転軸に伝達される発電時において、ロータの回転数が高くなると、発電電圧が過剰に増大する場合がある。このため、インバータ15を構成するスイッチング素子として、高耐圧のIGBT等を用いる必要があり、装置の構成に要する費用が嵩むという問題が生じる。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、メインバッテリからの電力供給を必要とせずに発電することができ、ハイブリッド車両のシステム構成に要する費用を削減することが可能なハイブリッド車両用発電電動機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機(例えば、後述する実施の形態でのハイブリッド車両用発電電動機(モータジェネレータ)30)は、車両の駆動軸を駆動して推進力を出力する内燃機関(例えば、後述する実施の形態でのエンジン42)と共に併用されてハイブリッド車両(例えば、後述する実施の形態でのハイブリッド車両41)を走行駆動するハイブリッド車両用発電電動機であって、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、車両の運転状態に応じて、前記ハイブリッド車両に搭載された蓄電装置(例えば、後述する実施の形態でのメインバッテリ47)から供給される電気エネルギーによって前記駆動軸を回転駆動させると共に、車両の減速時の回生作動による回生エネルギー及び前記内燃機関の出力による発電エネルギーを発生して前記蓄電装置に蓄電しており、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、永久磁石(例えば、後述する実施の形態でのロータ側永久磁石34,…,34)を内蔵したかご型回転子(例えば、後述する実施の形態でのロータ31)と固定子(例えば、後述する実施の形態でのステータ32)とを有する誘導電動機からなり、前記かご型回転子の回転により発電した発電電圧を前記蓄電装置に蓄電することを特徴としている。
【0010】上記構成のハイブリッド車両用発電電動機によれば、例えば、車両の始動時等において、補助バッテリ等から電力供給を受けるスタータモータにより始動された内燃機関の出力によってかご型回転子を回転させると、かご型回転子に内蔵された永久磁石が発生する磁束と固定子巻線との相対運動によって、固定子巻線に誘導起電力が発生する。これにより、例えば、蓄電装置の蓄電容量が低下しているために、蓄電装置からハイブリッド車両用発電電動機に電気エネルギーを供給することができない状態、つまり固定子鉄心が非励磁状態であっても、かご型回転子を回転させるだけで発電させることができ、発生した発電エネルギーを蓄電装置に充電することができる。また、かご型回転子に対して、例えば内燃機関による駆動軸の回転と同期する制御を行う際に、かご型回転子の回転速度が同期速度を外れるような脱調が生じた場合でも、かご型回転子に内蔵された永久磁石の誘導作用により元の回転に戻ろうとするため、脱調の発生を抑制することができる。なお、かご型回転子に内蔵される永久磁石の量を増大させることによって、ハイブリッド車両用発電電動機の回転駆動時に、かご型回転子の回転速度が同期速度に近くなり、効率の良い運転を行うことができる。
【0011】さらに、請求項2に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機(例えば、後述する実施の形態でのハイブリッド車両用発電電動機(モータジェネレータ)30)は、車両の駆動軸を駆動して推進力を出力する内燃機関(例えば、後述する実施の形態でのエンジン42)と共に併用されてハイブリッド車両(例えば、後述する実施の形態でのハイブリッド車両41)を走行駆動可能なハイブリッド車両用発電電動機であって、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、車両の運転状態に応じて、前記ハイブリッド車両に搭載された蓄電装置(例えば、後述する実施の形態でのメインバッテリ47)から供給される電気エネルギーによって前記駆動軸を回転駆動させると共に、車両の減速時の回生作動による回生エネルギー及び前記内燃機関の出力による発電エネルギーを発生して前記蓄電装置に蓄電しており、前記ハイブリッド車両用発電電動機は、永久磁石(例えば、後述する実施の形態でのステータ側永久磁石36,…,36)を内蔵した固定子(例えば、後述する実施の形態でのステータ62)とかご型回転子(例えば、後述する実施の形態でのロータ31)とを有する誘導電動機からなり、前記かご型回転子の回転により発電した発電電圧を前記蓄電装置に蓄電することを特徴としている。
【0012】上記構成のハイブリッド車両用発電電動機によれば、例えば、車両の始動時等において、補助バッテリ等から電力供給を受けるスタータモータにより始動された内燃機関の出力によってかご型回転子を回転させると、固定子鉄心に内蔵された永久磁石が発生する磁束とかご型回転子のかご導体との相対運動によって、かご導体、さらに、固定子巻線に誘導起電力が発生する。これにより、例えば、蓄電装置の蓄電容量が低下しているために、蓄電装置からハイブリッド車両用発電電動機に電気エネルギーを供給することができない状態、つまり固定子鉄心が非励磁状態であっても、かご型回転子を回転させるだけで発電させることができ、発生した発電エネルギーを蓄電装置に充電することができる。しかも、固定子鉄心に永久磁石を内蔵したことにより、例えばかご型回転子に永久磁石を内蔵する場合に比べて、永久磁石に作用する回転力を考慮する必要が無く、例えば回転力に抗する磁石止め等の付加的な構成を必要とせず、永久磁石の固定方法を簡略化することで、ハイブリッド車両用発電電動機を製造する際に要する費用の削減に資することが可能となる。
【0013】さらに、請求項3に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機では、前記永久磁石は、前記内燃機関あるいは前記ハイブリッド車両用発電電動機の最大回転数領域において、前記固定子の固定子鉄心(例えば、後述する実施の形態でのステータ鉄心32a)が非励磁状態での発電電圧を所定の定格電圧以下とする大きさの磁場を発生することを特徴としている。
【0014】上記構成のハイブリッド車両用発電電動機によれば、永久磁石に起因する発電電圧が所定の定格電圧を超えることがないため、回転数が高い領域であっても磁石界磁量を等価的に弱める弱め界磁制御等によって発電制御を行う必要が無く、固定子巻線に弱め界磁電流を通電させる必要が無いことから、効率良くハイブリッド車両用発電電動機を駆動させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のハイブリッド車両用発電電動機の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両用発電電動機30のロータ31の破断斜視図であり、図2はハイブリッド車両用発電電動機30のステータ32の要部断面図であり、図3はステータ鉄心32aの非励磁時におけるロータ31の回転数と誘導起電圧との関係を示すグラフ図であり、図4は本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両用発電電動機30を備えたハイブリッド車両41の構成図である。本実施の形態によるハイブリッド車両用発電電動機30(以下、単にモータジェネレータ30と呼ぶ)は、例えば、かご型のロータ31と、このロータ31の外周部を覆うようにして配置される略円筒形のステータ32とを備えて構成され、ステータ32はハウジング(図示略)に組み込まれている。
【0016】モータジェネレータ30のロータ31は、例えば図1に示すように、かご型ロータをなすものであって、ロータ鉄心31aと、複数のスロット31b,…,31bと、各スロット31b,…,31b内に設けられたロータ導体31c,…,31cと、各ロータ導体31c,…,31cを短絡するエンドリング31d,31dと、複数の磁石装着凹部33,…,33と、各磁石装着凹部33,…,33内に装着されたロータ側永久磁石34,…,34とを備えて構成されている。ロータ鉄心31aは、例えば珪素鋼鈑等の電磁鋼鈑が積層されてなる略円筒状に形成され、ロータ鉄心31aの外周面上には、径方向内方に向かう複数のスロット31b,…,31bが周方向に所定の間隔をおいて配置されている。そして、各スロット31b,…,31b内に設けられたロータ導体31c,…,31cは、ロータ鉄心31aの両側面を挟み込むようにして覆う略円環状のエンドリング31d,31dと一体に形成されている。
【0017】さらに、ロータ鉄心31aの外周面上には、複数のスロット31b,…,31bと干渉しない位置に、複数の磁石装着凹部33,…,33が周方向に所定間隔をおいて設けられている。そして、各磁石装着凹部33,…,33内には、ロータ側永久磁石34,…,34が装着されている。
【0018】モータジェネレータ30のステータ32は、例えば図2に示すように、略円筒形に形成され、ステータ鉄心32aと、複数のティース32b,…,32bと、各ティース32bの外周に集中巻きされたステータコイル32cとを備えて構成されている。ステータ鉄心32aは、例えば珪素鋼鈑等の電磁鋼鈑が積層されてなる略円筒状に形成され、ステータ鉄心32aの内周面上には、径方向内方に向かって突出して伸びる複数のティース32b,…,32bが周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0019】ここで、ロータ31に設けられたロータ側永久磁石34,…,34の量は、ステータ鉄心32aの非励磁時つまりステータコイル32cにメインバッテリ47から励磁電流が通電されていない状態において、ロータ31の最大回転数領域での誘導起電力が所定の値を超えることが無い程度の大きさの磁場を発生する値に設定されている。例えば図3に示すように、ステータ鉄心32aの非励磁時において、ロータ31の回転数に比例して誘導起電圧が増大する場合に、最大回転数領域での所定の回転数R1(例えば、R1=8000×1/60s-1)での誘導起電圧が、所定の定格電圧V1(例えば、V1=42V)を超えることが無いように設定されている。
【0020】さらに図4に示すように、本実施の形態に係るモータジェネレータ30を備えたハイブリッド車両41は、エンジン42と、変速機43と、車輪44と、スタータモータ45と、インバータ46と、メインバッテリ47と、DC−DCコンバータ48と、補助バッテリ49と、ECU(電子制御装置)50と、記憶装置51と、蓄電電圧検出器52と、インバータ電圧検出器53と、回転角センサ54とを備えて構成されている。
【0021】このハイブリッド車両41では、車両の推進力を出力するエンジン42の出力軸(図示略)はモータジェネレータ30の回転軸(図示略)と接続されており、モータジェネレータ30の回転軸は変速機43を介して駆動輪たる車輪44に接続されている。これにより、エンジン42及びモータジェネレータ30の両方の駆動力は、変速機43を介して駆動輪に伝達される。また、車両の減速時に駆動輪側からモータジェネレータ30に駆動力が伝達されると、モータジェネレータ30は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。さらに、エンジン42の出力がモータジェネレータ30の回転軸(図示略)に伝達された場合にもモータジェネレータ30は発電機として機能して発電エネルギーを発生する。
【0022】また、エンジン42には、始動用のスタータモータ45が備えられており、エンジン始動の際には、補助バッテリ49から電力供給されたスタータモータ45によってエンジン42の出力軸が回転させられる。このとき、燃料供給とプラグ点火の動作が行われることでエンジン42が始動される。
【0023】モータジェネレータ30の駆動及び回生作動は、ECU50からの制御指令を受けてインバータ46により行われる。インバータ46にはモータジェネレータ30と電気エネルギーの授受を行う高圧系のメインバッテリ47が接続されている。さらに、各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ49は、メインバッテリ47およびインバータ46にDC−DCコンバータ48を介して接続されており、DC−DCコンバータ48は、後述するように、メインバッテリ47の蓄電電圧VBあるいはモータジェネレータ30を回生作動または昇圧駆動した際のインバータ46の端子間電圧VPを降圧して補助バッテリ49を充電する。
【0024】モータジェネレータ30は、例えば3相(U相、V相、W相)の各入出力端子30U,30V,30Wを有する。インバータ46は、例えばパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータをなすものであって、スイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路46aと、平滑コンデンサCとを備えて構成されている。
【0025】インバータ46は、モータジェネレータ30が電動機として動作する場合に、メインバッテリ47から直流入出力端子46Dおよび接地端子46Gを介して入力される直流電流を交流電流に変換し、この交流電流を交流入出力端子46U,46V,46Wから出力して、モータジェネレータ30の各入出力端子30U,30V,30Wに送出する。一方、モータジェネレータ30が発電機として動作する場合には、モータジェネレータ30の各入出力端子30U,30V,30Wから出力される交流電流を交流入出力端子46U,46V,46Wから入力し、入力した交流電流を直流電流に変換して、この直流電流を直流入出力端子46Dおよび接地端子46Gから出力する。
【0026】ブリッジ回路46aは、複数のスイッチング素子であるMOS型トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2を備えて構成され、これらのトランジスタSU1,…,SW2は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)とされている。トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2のソース−ドレイン間には、それぞれダイオードKU1,KU2,KV1,KV2,KW1,KW2が配置され、各トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2のドレインに、各ダイオードKU1,KU2,KV1,KV2,KW1,KW2のアノードが接続され、各ソースには、各ダイオードKU1,KU2,KV1,KV2,KW1,KW2のカソードが接続されている。
【0027】各トランジスタSU1,SV1,SW1のソースは全て直流入出力端子46Dに接続されている。トランジスタSU1のドレインはトランジスタSU2のソースに接続され、トランジスタSV1のドレインはトランジスタSV2のソースに接続され、トランジスタSW1のドレインはトランジスタSW2のソースに接続されている。各トランジスタSU2,SV2,SW2のドレインは全て接地端子46Gに接続されている。また、交流入出力端子46UはトランジスタSU1のドレインおよびトランジスタSU2のソースに接続され、交流入出力端子46VはトランジスタSV1のドレインおよびトランジスタSV2のソースに接続され、交流入出力端子46WはトランジスタSW1のドレインおよびトランジスタSW2のソースに接続されている。そして、平滑コンデンサCは直流入出力端子46Dと接地端子46Gとの間に接続されている。
【0028】インバータ46の直流入出力端子46Dと接地端子46Gとの間には、インバータ46を介してモータジェネレータ30と電気エネルギーの授受を行う充電可能な高圧系のメインバッテリ47およびDC−DCコンバータ48が接続されている。DC−DCコンバータ48は、例えばスイッチング回路48aと、絶縁変圧器48bと、整流回路48cとを備えて構成されている。例えば複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるスイッチング回路48aの直流入出力端子48Dおよび接地端子48Gは、それぞれインバータ46の直流入出力端子46Dおよび接地端子46Gに接続されており、インバータ46と平滑コンデンサCを介してモータジェネレータ30から供給される直流電流、あるいは、メインバッテリ47から供給される直流電流を、交流電流に変換する。
【0029】絶縁変圧器48bは、スイッチング回路48aの交流電流によって整流回路48cに交流電流を誘導する。整流回路48cは、絶縁変圧器48bを介して誘導された交流電流を直流電流に整流して、この直流電流を補助バッテリ49へ出力して、補助バッテリ49を充電する。そして、補助バッテリ49には、各種補機類からなる負荷55と、スタータモータ45とが接続されている。なお、DC−DCコンバータ48は、例えば車両の停止後において、平滑コンデンサCを放電させるディスチャージ動作を行う場合に、平滑コンデンサCから補助バッテリ49へと放電させる。
【0030】ECU(電子制御装置)50は、エンジン42の始動時におけるスタータモータ45の駆動や、インバータ46のブリッジ回路46aおよびDC−DCコンバータ48のスイッチング回路48aにおける各電力変換動作等を制御する。このため、ECU50には、例えば、高圧系のメインバッテリ47の両端間の電圧(蓄電電圧)VBを検出するバッテリ電圧検出器52から出力される信号と、インバータ46の直流入出力端子46Dと接地端子46Gとの間の電圧(端子間電圧)VPを検出する端子間電圧検出器53から出力される信号と、モータジェネレータ30のロータ31の磁極位置(位相角)を検出する回転角センサ54から出力される信号SEU,SEV,SEWとが入力されている。
【0031】そして、ECU50は、ブリッジ回路46aの各トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2のゲートと接続されており、例えばパルス幅変調(PWM)により各トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2をオン/オフ駆動させるためのパルスを出力する。このパルスのデューティ、つまりオン/オフの比率のマップ(データ)は記憶装置51に記憶されており、ECU50はマップ検索して得た値に基づいたパルスを出力する。
【0032】例えば、ECU50がインバータ46を制御して高圧系のメインバッテリ47を充電する際には、ECU50は回転角センサ54の出力波形に基づいてブリッジ回路46aへ送出するパルスの同期をとりつつ、ブリッジ回路46aによって所定の電圧値(例えば、42ボルト等)まで昇圧を行う。すなわち、記憶装置51には、所定の電圧値(例えば、42ボルト等)を得るための、モータジェネレータ30の回転数に応じたデューティのマップが予め記憶されており、ECU50は、このマップを参照して、ブリッジ回路46a内の各トランジスタSU1,SU2,SV1,SV2,SW1,SW2をオン/オフ駆動させるためのパルスのデューティを制御する。一方、ECU50がDC−DCコンバータ48を制御して補助バッテリ49を充電する際には、所定の電圧値(例えば、12ボルト等)まで降圧を行う。
【0033】本実施の形態によるハイブリッド車両用発電電動機30は上記構成を備えており、次に、このハイブリッド車両用発電電動機30の動作、特にハイブリッド車両41の始動時における動作について説明する。
【0034】先ず、車両の始動時にイグニッションをオンとし、補助バッテリ49からの電力供給によってスタータモータ45を駆動する。すると、エンジン42が始動され、このエンジン42の出力がモータジェネレータ30の回転軸に伝達されることで、モータジェネレータ30のロータ31が回転させられる。ここで、ロータ31が回転することによって、ステータコイル32cを貫くロータ側永久磁石34の界磁磁束に磁束密度の変化が生じ、ステータコイル32cに誘導起電力が発生する。この誘導起電力により、インバータ46の平滑コンデンサCを徐々に充電する初期充電(プリチャージ)動作を行う。また、平滑コンデンサCの充電が完了した状態で、例えばメインバッテリ47の蓄電容量が低下している場合には、このステータコイル32cに発生した誘導起電力によってメインバッテリ47を充電する。
【0035】上述したように、本実施の形態によるハイブリッド車両用発電電動機30によれば、かご型のロータ31にロータ側永久磁石34,…,34を内蔵したことにより、例えば車両の始動時等において、メインバッテリ47の蓄電容量が低下しているために、メインバッテリ47からハイブリッド車両用発電電動機30に電気エネルギーを供給することができない状態であっても、ロータ31を回転させるだけで発電させることができ、発生した発電エネルギーをメインバッテリ47に充電することができる。しかも、ロータ側永久磁石34,…,34は、ステータ鉄心32aの非励磁時にロータ31の最大回転数領域での誘導起電力が所定の値を超えることが無い程度の大きさの磁場を発生するように設定されていることから、ロータ31の回転数が高い領域であっても、例えば磁石界磁量を等価的に弱める弱め界磁制御等によって発電制御を行う必要が無く、ステータコイル32cに弱め界磁電流を通電させる必要が無いことから、効率良くハイブリッド車両用発電電動機10を運転することができる。また、インバータ46のスイッチング素子を高耐圧にする必要がなく、低耐圧のMOS型トランジスタによりハイブリッド車両用発電電動機10を駆動させることができる。
【0036】なお、上述した本実施の形態においては、ロータ31にロータ側永久磁石34,…,34を設けるとしたが、例えば図5に示す本実施形態の変形例に係るステータ62の要部断面図のように、ロータ31にはロータ側永久磁石34,…,34を備えずに、ステータ32に、複数の磁石装着孔35,…,35と、ステータ側永久磁石36,…,36とを備えて本実施形態の変形例に係るステータ62を構成しても良い。すなわち、このステータ62は略円筒形に形成され、ステータ鉄心32aと、複数のティース32b,…,32bと、各ティース32bの外周に集中巻きされたステータコイル32cと、複数の磁石装着孔35,…,35と、各磁石装着孔35,…,35内に装着されたステータ側永久磁石36,…,36とを備えて構成されている。
【0037】例えば、各ティース32b,…,32b、および、ステータ鉄心32aにて周方向に所定間隔をおいた位置には、ロータ31の回転軸(図示略)方向に伸びる複数の磁石装着孔35,…,35が形成され、各磁石装着孔35,…,35には、ステータ側永久磁石36,…,36が挿入されている。ここで、各ティース32bの磁石装着孔35に挿入されたステータ側永久磁石36は、例えばステータ32の径方向に磁化されており、ステータ鉄心32aの複数の磁石装着孔35,…,35に挿入されたステータ側永久磁石36,…,36は、例えばステータ32の周方向に磁化されている。そして、ステータ鉄心32aにて周方向に所定の間隔をおいて配置された複数のステータ側永久磁石36,…,36は、例えば隣り合うステータ側永久磁石36,36の磁化方向が互いに反対方向となるように、すなわち隣り合うステータ側永久磁石36,36は、互いに同じ極(N極又はS極)を対向するように配置されている。
【0038】ここで、ロータ31が回転すると、ロータ導体31c,…,31cを貫くステータ側永久磁石36の界磁磁束に磁束密度の変化が生じ、ロータ導体31c,…,31cに誘導起電力が発生する。そして、ロータ導体31c,…,31cに誘導電流が流れると、ステータ62のステータコイル32cに誘導起電力が発生する。これにより、例えばメインバッテリ47の蓄電容量が低下している場合であっても、このステータコイル32cに発生した誘導起電力によってメインバッテリ47を充電することができる。ここで、ステータ32に設けられたステータ側永久磁石36,…,36の量は、ステータ鉄心32aの非励磁時つまりステータコイル32cにメインバッテリ47から励磁電流が通電されていない状態において、ロータ31の最大回転数領域での誘導起電力が所定の値を超えることが無い程度の大きさの磁場を発生する値に設定されている。
【0039】なお、上述した本実施形態および本実施形態の変形例においては、ロータ31またはステータ32の何れかに一方に永久磁石を備えるとしたが、ロータ31にロータ側永久磁石34…,34を備えると共に、ステータ32にステータ側永久磁石36…,36を備えてもよい。この場合、ロータ側永久磁石34,…,34およびステータ側永久磁石36,…,36の量は、ステータ鉄心32aの非励磁時において、ロータ31の最大回転数領域での誘導起電力が所定の値を超えることが無い程度の大きさの磁場を発生する値に設定されていればよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機によれば、固定子鉄心が非励磁状態であっても、かご型回転子を回転させるだけで発電させることができ、発生した発電エネルギーを蓄電装置に充電することができる。
【0041】さらに、請求項2に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機によれば、固定子鉄心が非励磁状態であっても、かご型回転子を回転させるだけで発電させることができ、発生した発電エネルギーを蓄電装置に充電することができる。加えて、例えばかご型回転子に永久磁石を内蔵する場合に比べて、永久磁石に作用する回転力を考慮する必要が無く、例えば回転力に抗する磁石止め等の付加的な構成を必要とせず、ハイブリッド車両用発電電動機を製造する際に要する費用の削減に資することが可能となる。
【0042】さらに、請求項3に記載の発明のハイブリッド車両用発電電動機によれば、永久磁石に起因する発電電圧が所定の定格電圧を超えることがないため、回転数が高い領域であっても磁石界磁量を等価的に弱める弱め界磁制御等によって発電制御を行う必要が無く、固定子巻線に弱め界磁電流を通電させる必要が無いことから、効率良くハイブリッド車両用発電電動機を駆動させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成13年8月8日(2001.8.8)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2003−61208(P2003−61208A)
【公開日】 平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願番号】 特願2001−240880(P2001−240880)