トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ワンウェイクラッチ付き電動式走行車
【発明者】 【氏名】岩本 守
【住所又は居所】静岡県三島市梅名767番地 ニューデルタ工業株式会社内

【氏名】佐藤 修
【住所又は居所】静岡県三島市梅名767番地 ニューデルタ工業株式会社内

【氏名】野村 徹
【住所又は居所】静岡県三島市梅名767番地 ニューデルタ工業株式会社内

【氏名】松澤 岳治
【住所又は居所】静岡県三島市梅名767番地 ニューデルタ工業株式会社内

【要約】 【課題】狭い走行路を走行中に突き当たり等で方向転換が必要になり、そのスペースが無く、自走式動力散布機を後進させなければならない時、従来の自走式動力散布機は、モータ等の抵抗があるため強い力で後方に引かなければならないという不具合があった。

【解決手段】コントロールスイッチ6を後進に設定した場合、モータは逆回転し、チェン39を介して、ワンウェイギアの内輪36aに駆動力が伝達される。この時、ワンウェイクラッチの外輪36bは、回転しないので、前輪9も回転しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータの回転制御を行う操作手段を有し、ワンウェイクラッチを介してモータにより走行駆動輪を駆動する電動式走行車両において、後進時には、操作手段の操作でモータを逆回転してワンウェイクラッチを空転させることを特徴とするワンウェイクラッチ付き電動式走行車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業装置を移動台車に搭載したワンウェイクラッチ付き電動式走行車の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、作業装置を移動台車に搭載した電動式走行車は公知となっている。例えば、電動式走行車の一つである自走式動力散布機(特開平8−224513号)において、モータの駆動力がワンウェイクラッチを介して駆動輪に伝達されているため、自走させずに手押し等で前方向に進むときには、モータの抵抗が無く軽い力で押すことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、狭い走行路を走行中に行き止まりとなって方向転換が必要になった場合や、格納庫内等狭いスペース内で方向転換や位置変更が必要な場合等では、自走式動力散布機を後進させなければならない。このとき従来の自走式動力散布機では、走行輪がチェン等を介してモータの出力軸と連動連結されていたために、後進(逆転)時にはモータの抵抗がそのまま伝わるために強い力で後方に引かなければならず、大きな労力を必要とする不具合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】即ち、請求項1においては、モータの回転制御を行う操作手段を有し、ワンウェイクラッチを介してモータにより走行駆動輪を駆動する電動式走行車両において、後進時には、操作手段の操作でモータを逆回転してワンウェイクラッチを空転させるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の電動式走行車の一実施例である自走式動力散布機の概略側面図、図2は同じく平面図、図3はチェンケースの拡大図、図4は駆動構成を示す図である。
【0007】まず、本発明を適用したワンウェイクラッチ付き電動式走行車の一実施例である自走式動力散布機の概略構成について、図1および図2より説明する。なお、本実施例では、電動式走行車として自走式動力散布機を適用しているが、これに限定されるものではない。
【0008】自走式動力散布機1は、移動台車16および動力散布装置17により構成され、該動力散布装置17は移動台車16の後部フレーム10上に載置されている。従って、畦畔動力散布機1は走行可能な移動台車16上に動力散布装置17を配設するので、該動力散布装置17を作動させ、薬剤もしくは肥料を散布しながら、移動することができる。
【0009】前記移動台車16では、前部フレーム8と後部フレーム10とを前後中途部で連結してメインフレームを構成し、前部フレーム8及び後部フレーム10の連結部に上後方へ伸びるハンドル5・5の基部を配設している。そして、前記移動台車16の下部には駆動輪である前輪9及び従動輪である後輪11が配設されて、オペレータはハンドル5・5を持って、移動台車16の押し引きおよび方向転換を行うよう構成されている。また、移動台車16の前部には駆動部21が構成されており、該駆動部21により前輪9を駆動できる構成になっている。そして、移動台車16の両側前下部には、ガイド装置22・22が配設されている。ガイド装置22・22は移動台車16の後部に配設されたローラ昇降操作レバー23及びローラ開閉操作レバー25により上下及び左右に回動操作できる構成になっている。
【0010】ここで、自走式動力散布機1について前記移動台車16の構成から詳細に説明する。前述の如く移動台車16は、前部フレーム8、後部フレーム10、前輪9及び後輪11から構成されている。前輪9及び後輪11は移動台車16に夫々一輪ずつ備えられており、前輪9と後輪11が移動台車16の左右略中央で前後方向略同一直線上(図2の直線X−X)に位置している。
【0011】前部フレーム8は、前後中途部で下斜め後方且つ側方に曲折して前高後低の二段の水平部を有する左右二本の中空状パイプの前部に載置板8aを架設して平面視門状に形成されていて、後端部は上方に曲折して垂直部8b・8bを形成している。前部フレーム8には、駆動部21、チェンケース31、前輪9、薬剤タンク2及び供給部26が配設されている。
【0012】前記駆動部21は前部フレーム8の前部に固定された載置板8a上であって前輪9上方に配設されており、該駆動部21により該前輪9を駆動する構成としている。該駆動部21はケーシングに内装されたモータおよびバッテリ等により構成され、バッテリ12の電力によりモータ15を駆動し、該駆動力をチェンケース31に内装されるチェンにより前輪9に伝達し、前輪9を回転駆動している。前記チェンケース31は側面視において前部フレーム8を貫通しており、簡易な構造をもって該前部フレーム8上に配設された駆動部21から、前部フレーム8下方に配設された前輪9に動力を伝達することができるようにしている。前輪9は前部フレーム8の下方であって、移動台車16の左右方向中心に設けられており、該前輪9の右側に位置する前記チェンケース31および前部フレーム8の前左部に固設されたステー32により支持されて、駆動部21からチェンケース31内部のチェンを介して前輪の車軸に伝達された動力によって前輪9が回転駆動する。
【0013】前部フレーム8の後部に位置する水平部上には、供給部26が配設されている。移動台車16に装備された動力散布装置17は、ファンケース4、エンジン3、薬剤タンク2及び散布管14等により構成され、前方より、薬剤タンク2、散布管14、ファンケース4、エンジン3、燃料タンク24の順に配置されるが、そのうち、前部フレーム8には薬剤タンク2及びその下部に位置する供給部26が配設されている。供給部26では、供給部26の右側に連結された導入パイプ7よりファンケース4からの送風を該供給部26へ導入し、該供給部26の上方に配設された薬剤タンク2から落下する薬剤の量を調節し、そして、供給部26の左側に連結された散布管14へ薬剤を送り出している。
【0014】後部フレーム10は平面視U 字状に成形した中空状のパイプで構成されており、その前端部には上方へ曲折して垂直部10b・10bが形成されており、前部フレーム8と後部フレーム10の夫々の垂直部8b・8b・10b・10bを接合させて前部フレーム8の後端に後部フレーム10を連結している。後部フレーム10には動力散布装置17の構成部材であるファンケース4、エンジン3及び燃料タンク24が配設されている。
【0015】前記ファンケース4内には図示せぬファンが内装されており、ファンケース4の後部に接続されたエンジン3により前記ファンが駆動される。そして、薬剤タンク2とファンケース4は、導入パイプ7で接続されて、ファンにより発生した風は、導入パイプ7により薬剤タンク2の下部に設けられた供給部26に導入され、薬剤タンク2より落下した薬剤とともに散布管14に送られる。これにより、薬剤タンク2内の薬剤がファンケース4内のファンよりの送気で、散布管14より圃場に散布される。散布管14の向きは左右および上下方向に回動可能であり、任意の回動位置において固定することができる。そして、左側のハンドル5にはアクセルレバー5aが配設されており、該アクセルレバー5aにより動力散布装置17のエンジン3の出力を調節する。
【0016】なお、薬剤タンク2に装填された薬剤は、該薬剤タンク2の下部に設けられた供給部26と薬剤タンク2との間に設けられた図示せぬシャッターの開閉具合を調節して供給部26内に落下する量が調節されて、ファンによって散布管14に送られる薬剤の量を制御する仕組みとしている。前部フレーム8と後部フレーム10との間に設けられたシャッター主操作レバー35及びハンドルに設けられたシャッター操作レバー34L・34Rでシャッターの開度を調節することによって、散布管14から供給される薬剤の量を調節するようにしている。そして、シャッター主操作レバー35及びシャッター操作レバー34L・34Rは連動していて、その何れからもシャッターの開度を調節可能に構成されて、作業者がハンドル5・5を握りながらでも散布量の調節ができるようにしている。
【0017】上述の如く構成した前部フレーム8と後部フレーム10を夫々の垂直部8b・8b・10b・10bを当接した状態で連結している。前部フレーム8と後部フレーム10の連結部において、前部フレーム8の垂直部8b・8bの上部には支持板5c・5cが固設されており、該支持板5c・5cにハンドル5・5が回動可能に支持されている。従って、ハンドル5・5は作業時のハンドル位置調節可能であり、また、収納時には折り畳んで移動台車16全体の前後長を短くしてコンパクトに収納できるようにしている。
【0018】次に駆動部21の構成について、図1および図3を用いて説明する。駆動部21は前部フレーム8の上方に配設されている。駆動部21の配設位置は前輪9上方でもあり、駆動部21により該前輪9を駆動するものである。駆動部21はモータ15およびバッテリ12により構成されている。バッテリ12の電力によりモータ15を駆動し、該駆動力をチェンケース31に内装されるチェン39により前輪9に伝達するものである。
【0019】モータ15の回動軸15aにはモータ側スプロケット38が挿嵌され、相対回動不能に固定されている。該モータ側スプロケット38はチェンケース31の上部に配設され、下部には、ワンウェイクラッチ機構を有するハブ36が配設され 該ハブ36に前輪側スプロケット37が相対回動不能に固設されている。モータ側スプロケット38および前輪側スプロケット37には、チェン39が巻装されている。また、前輪9はチェンケース31およびステー32により支持されている。チェンケース31は断面積が大きく取れるため、高い支持剛性を得ることができる。チェンケースと前輪支持部材を1つのチェンケース31により構成するため、部品点数を減少できる。
【0020】これにより、モータ15の駆動力でモータ側スプロケットを回動させ、チェン39を介して駆動力を前輪側スプロケットに伝達させ、前輪9を前進方向に駆動するものである。前輪側スプロケット37は、前述のごとく、ワンウェイクラッチ機構を介して前輪9に接続されているため、前輪9はモータ15により前進する方向にのみ駆動される。これにより、モータ15の駆動力を押動式動力散布機1を押動する際のアシスト的な駆動力として使用することができる。モータ15の駆動力がアシスト的に使用されるため、消費電力を減少できる。モータ15の駆動力による、押動式動力散布機1の走行のアシストは、モータ15の回転制御を行う操作手段となるコントロールスイッチ6により調節できる。
【0021】上記の構成においてバッテリ12は前輪9の中心より前方に配設されており、モータ15は前輪9の中心直上に配設されている。これにより、バッテリ12の荷重を前輪9に十分にかけ、前輪9の接地性を確保することができる。
【0022】駆動部21は前記ハンドル5に設けたコントロールスイッチ6により制御される。右側ハンドル5には、図2に示すごとく、モータ15の駆動力を調節するコントロールスイッチ6が配設されており、該コントロールスイッチ6によりモータ15の駆動力(回転数)が調節される。コントロールスイッチ6は作業者が、ハンドル5を持った際に手元に位置するように配設されている。さらに、コントロールスイッチ6においては、モータ15の駆動の前進・切・後進の切換または連続的な駆動力の調節を行える構成になっており、作業者は手元でモータ15の駆動制御を行える構成になっている。つまり、モータ15に供給する電圧を調節することにより、モータ15のトルクを調節し、駆動力を調節でき、極性(正負)を変更することによって正逆転を変更できる。また、前進用のコントロールスイッチと後進用コントロールスイッチを別々に設けることもできる。これにより、押動式動力散布機1の操作性が向上できるとともに、作業に応じた駆動力に調整することができ、電力の消費を低減できる。コントロールスイッチ6によるモータ15の駆動力調節方法は特に限定されるものではなく、モータ15の駆動力を調節可能であればよい。可変抵抗によりモータ15にかかる電圧を調節する方法、トランジスタのベース電圧を調節しモータ15に流れる電流を調節する方法、コントロールスイッチ6によりモータ15接続したリレーを断続し、モータ15の駆動を制御する方法など、一般的にモータの駆動力を調節するものであればよい。
【0023】次に、図4を用いて、自動式動力散布機1の駆動構成について説明する。コントロールスイッチ6を前進に設定した場合、図4(a)に示すように、モータは、左側面視において、反時計回りに回転し、チェン39、ワンウェイクラッチに駆動力が伝達される。前進の場合、ワンウェイクラッチの内輪36aと外輪36bは一体となって回転するので、前輪は反時計回りに回転し、自動式動力散布機1は前進する。また、コントロールスイッチ6で駆動力を調節することで、モータ15の回転速度を変え、前進の速度を変えることもできる。
【0024】コントロールスイッチ6を後進に設定した場合、図4(b)に示すように、モータは、左側面視において、時計回りに回転し、チェン39を介して、ワンウェイギアの内輪36aに駆動力が伝達される。この時、ワンウェイクラッチの外輪36bは、回転しないので、前輪9は回転しない。このような構成で、コントロールスイッチ6を後進に設定し、自動式動力散布機1を後方へ引くと、モータは逆回転しているのでワンウェイクラッチを空転させモータ等の抵抗がなく、軽い力で自動式動力散布機1を引くことができる。
【0025】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0026】即ち、請求項1に示す如く、モータの回転制御を行う操作手段を有し、ワンウェイクラッチを介してモータにより走行駆動輪を駆動する電動式走行車両において、後進時には、操作手段の操作でモータを逆回転してワンウェイクラッチを空転させるので、モータ等の抵抗がなく、軽い力で電動式走行車両を後方に引くことができる。また、操作手段の変更だけで容易にモータを逆転させることができる。
【出願人】 【識別番号】390029621
【氏名又は名称】ニューデルタ工業株式会社
【住所又は居所】静岡県三島市梅名767番地
【出願日】 平成13年7月11日(2001.7.11)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2003−32813(P2003−32813A)
【公開日】 平成15年1月31日(2003.1.31)
【出願番号】 特願2001−210643(P2001−210643)