| 【発明の名称】 |
浮上式鉄道用地上コイル |
| 【発明者】 |
【氏名】梅木 健 【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内
【氏名】覚地 武夫 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】小林 芳隆 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
|
| 【要約】 |
【課題】両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易な安価でかつ信頼性の高いこと。
【解決手段】超電導磁気浮上車が走行する軌道5a,5bの両側壁内側に走行方向に沿って連続的に設けられ、超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石2a,2bに電磁的に作用して推進力および浮上案内力を与える浮上式鉄道用地上コイルにおいて、超電導磁石2a,2bに推進力を与える推進用導体21と、超電導磁石2a,2bに浮上案内力を与える浮上案内用導体22と、推進用導体21と浮上案内用導体22との間に配置されると共に、地上コイル20本体表面に設けられた接地層32と電気的に接続され、推進用導体21の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層23と、推進用導体21および浮上案内用導体22を、導電性薄膜層23と共に一体化成型する絶縁材24とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超電導磁気浮上車が走行する軌道の両側壁内側に走行方向に沿って連続的に設けられ、前記超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石に電磁的に作用して推進力および浮上案内力を与える浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、前記超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、前記推進用導体と前記浮上案内用導体との間に配置されると共に、前記地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、前記推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、前記推進用導体および前記浮上案内用導体を、前記導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材と、を備えて成ることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項2】 超電導磁気浮上車が走行する軌道の両側壁内側に走行方向に沿って連続的に設けられ、前記超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石に電磁的に作用して推進力および浮上案内力を与える浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、前記超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、前記推進用導体と前記浮上案内用導体との間、および前記地上コイル本体表面もしくは表面近傍全体にわたって配置されると共に、前記地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、前記推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、前記推進用導体および前記浮上案内用導体を、前記導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材と、を備えて成ることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記絶縁材としては、熱硬化性樹脂から構成していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項4】 前記請求項1または請求項2に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記導電性薄膜層としては、面状もしくはメッシュ状の金属で構成していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項5】 前記請求項1または請求項2に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記導電性薄膜層としては、導電性樹脂の硬化物から構成していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項6】 前記請求項5に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記導電性樹脂の硬化物としては、織布もしくは不織布からなる基材に導電性樹脂を付着させ、かつ硬化させたものから構成していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項7】 前記請求項1または請求項2に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記超電導磁気浮上車が走行する側の前記絶縁材の表面もしくは表面近傍に、織布、不織布、長繊維、もしくは繊維強化樹脂板のうちのいずれかを配置して一体化成型していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。 【請求項8】 超電導磁気浮上車が走行する軌道の側壁に埋設された複数のインサートにおねじ部を螺合するボルトで前記側壁の対向面に固定される、前記請求項1または請求項2に記載の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、前記地上コイル本体のボルト挿入部に貫設された非磁性金属からなるブシュを前記ボルトで固定すると共に、前記軌道の側壁の下部に設置された支持台にて、前記地上コイル本体の下部を支持していることを特徴とする浮上式鉄道用地上コイル。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、超電導磁石を用いた浮上式鉄道用地上コイルの構造に係り、特にコイル構成が容易な安価でかつ信頼性の高い一体化構造の浮上式鉄道用地上コイルに関するものである。 【0002】 【従来の技術】現在、超電導磁石を用いた浮上式鉄道、すなわち超電導磁気浮上車の開発が進められている。 【0003】図7は、この種の従来の超電導磁気浮上車の軌道と試験車の構成例を示す断面図である。 【0004】図7において、1は車体、2a,2bは車体1を空気バネ3a,3bを介して支持する台車台枠4の両側面部に取り付けられた左右の超電導磁石をそれぞれ示している。 【0005】これに対向する地上側コイルは、推進コイルと浮上案内コイルとに大別され、これらを総称して地上コイルと称している。 【0006】これらの地上コイルは、コンクリート製のコイル取付け軌道5a,5bの対向面に設置された単層推進コイル6a,6bと、それらの車両側に取り付けられている浮上案内コイル7a,7bとから成り、それぞれ車両の進行方向に沿って列設されている。 【0007】上記車両は、単層推進コイル6a,6bにより推進力が、浮上案内コイル7a,7bにより浮上案内力がそれぞれ与えられ、車両が台車台枠4と一緒に浮上推進走行するようになっている。 【0008】また、低速走行時は、案内力および浮上力とも十分に発生しないことから、台車台枠4より架設した案内車輪8a,8bと走向車輪9a,9bを、それぞれコイル取付け軌道5a,5bおよび走向車輪軌道10a,10bに接触させ転動させて走行する。 【0009】図8は、片側のコイル取付け軌道に地上コイルを取付けた状態を示す一部切断斜視図である。 【0010】図8において、片側のコイル取付け軌道5aに、単層推進コイル6aおよび浮上案内コイル7aが取付けられている。 【0011】なお、内部に取付けられる単層推進コイル6aが見えるように、一部の浮上案内コイル7aはその図示を省略している。 【0012】図9は、コイル取付け軌道5aに単層推進コイル6a、浮上案内コイル7aを取付けた状態を示す断面図である。 【0013】図9において、単層推進コイル6aは、コイル取付け軌道5aの所定の位置に突出して設置された図示しない固定用スタットボルトを介してA1,A2,A3,A4の位置で固定される。 【0014】浮上案内コイル7aは、コイル取付け軌道5aの所定の位置に押通された図示しない六角ボルトを介してB1,B2,B3,B4,B5,B6,B7,B8の位置で固定される。 【0015】なお、浮上案内コイル7aに作用する浮上力は、浮上案内コイル7aに設けられた背面突起11で、コイル取付け軌道5aにより支持される構成となっている。 【0016】以上が、超電導磁気浮上車の走行実験にて実績のある地上コイル側の構成であるが、最近では、上記地上コイルの建設コストを低減する目的から、推進コイルと浮上案内コイルを一体構造とした地上コイルや、一つのコイルだけで推進、浮上、案内機能を兼用する地上コイルも提案されてきている。 【0017】図10は、地上コイルを複数層のコイルで構成し、これらを硬化性絶縁材により一体構造とした一体化地上コイルの一例(超電導磁気浮上車の地上コイル)を示す断面図である。 【0018】本例では、第1推進コイル12aと第2推進コイル12bとの2層で推進コイルが構成され、浮上案内コイル7aとともにエポキシ樹脂等の硬化性絶縁材13により一体成型されている。 【0019】また、各層の少なくとも一つのコイル表面にシールド層14が設けられていることを特徴としている。 【0020】図11は、一つのコイルだけで推進、浮上、案内機能を兼用する推進・浮上・案内兼用地上コイルの一例を示す斜視図である。 【0021】図11において、コイル取付け軌道の側壁に対向して設けられた8字コイル15をヌルフラックス線16で接続すると共に、上記8字コイル15を3相接続し、誘導電流によって浮上、案内力を与えて、駆動用電源から供給される3相電流によって推進力を与える構成となっている。 【0022】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8、および図9に示す地上コイル構成では、超電導磁気浮上車に推進力を与える推進コイル6aと、浮上案内力を与える浮上案内コイル7aとを、別々に構成しなければならない。 【0023】このために、地上コイル本体、およびそれらを敷設する際のコストがかかるという問題点を有している。 【0024】また、図10に示す地上コイル構成では、シールド層14により、各コイル間の層間電圧を絶縁するための構造をコンパクト化する効果はある程度期待できるものの、このままの構成では、高電圧がかかる推進コイルの電圧によって、浮上案内コイル側の電圧が誘起され、浮上案内コイル側が高電圧となるという問題点を有している。 【0025】さらに、図11に示す地上コイル構成では、本来、低電圧しかかからない浮上案内機能を、高電圧がかかる推進機能と兼用している。 【0026】このために、高電圧コイルとなり、両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線等、全ての地上コイル構成機器を高電圧対応とせざるを得ない等、コイル構成上の難しさや、施工時にコスト増加を招くという問題点を有している。 【0027】一方、図8、および図9に示す浮上案内コイルは、かかる電圧が低いことから、ガラス強化されたシート状成型材料を金型の間に挿入し、加熱・加圧成型することにより製作される。 【0028】このために、万が一、磁気浮上式列車走行時に何らかの異物がコイルに衝突した場合でも、浮上案内コイルの破壊は局部的で済み、重大事故に至る可能性は低い。 【0029】また、図11に示す地上コイルでは、高電圧がかかるため、一般に脆性的な特性を有する熱硬化性の絶縁材料が用いられている。 【0030】このために、万が一、磁気浮上式列車走行時に何らかの異物が地上コイルに衝突した場合には、地上コイルの破壊程度は大きくなり、重大事故に繋がる可能性があるという問題点を有している。 【0031】本発明の目的は、両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易な安価でかつ信頼性の高い一体化構造の浮上式鉄道用地上コイルを提供することにある。 【0032】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、超電導磁気浮上車が走行する軌道の両側壁内側に走行方向に沿って連続的に設けられ、超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石に電磁的に作用して推進力および浮上案内力を与える浮上式鉄道用地上コイルにおいて、超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、推進用導体と浮上案内用導体との間に配置されると共に、地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、推進用導体および浮上案内用導体を、導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材とを備えている。 【0033】従って、請求項1に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、推進用導体と浮上案内用導体との間に配置されると共に、地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、推進用導体および浮上案内用導体を、導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材とを備えることにより、低電圧しかかからない従来の浮上案内コイルと、高電圧がかかる従来の推進コイルとを一体化させることができ、両側壁地上コイル間で連結されるヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易となる。 【0034】また、請求項2に対応する発明では、超電導磁気浮上車が走行する軌道の両側壁内側に走行方向に沿って連続的に設けられ、超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石に電磁的に作用して推進力および浮上案内力を与える浮上式鉄道用地上コイルにおいて、超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、推進用導体と浮上案内用導体との間、および地上コイル本体表面もしくは表面近傍全体にわたって配置されると共に、地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、推進用導体および浮上案内用導体を、導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材とを備えている。 【0035】従って、請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体と、推進用導体と浮上案内用導体との間、および地上コイル本体表面もしくは表面近傍全体にわたって配置されると共に、地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続され、推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層と、推進用導体および浮上案内用導体を、導電性薄膜層と共に一体化成型する絶縁材とを備えることにより、低電圧しかかからない従来の浮上案内コイルと、高電圧がかかる従来の推進コイルとを一体化させることができ、両側壁地上コイル間で連結されるヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易となる。また、上記導電性薄膜層は、従来地上コイル表面に設けていた接地層の代りとなり、従来、地上コイル表面に接地層を設けるために実施してきたアルミニウム溶射等のメタリコン処理が必要なくなる。 【0036】一方、請求項3に対応する発明では、上記請求項1または請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、絶縁材としては、熱硬化性樹脂から構成している。 【0037】従って、請求項3に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、絶縁材を熱硬化性樹脂で構成することにより、浮上案内用導体や推進用導体を一体化成型する際の作業工数が少なくて済み、コスト低減に繋げることができる。 【0038】また、請求項4に対応する発明では、上記請求項1または請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、導電性薄膜層としては、面状もしくはメッシュ状の金属で構成している。 【0039】従って、請求項4に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、導電性薄膜層を面状もしくはメッシュ状の金属で構成することにより、推進用導体と浮上案内用導体間、もしくはコイル表面に、良好な接地層を設けることができる。 【0040】さらに、請求項5に対応する発明では、上記請求項1または請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、導電性薄膜層としては、導電性樹脂の硬化物から構成している。 【0041】従って、請求項5に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、導電性薄膜層を導電性樹脂の硬化物から構成することにより、一体化成型に用いられる絶縁材との接着性が良い接地層を、推進コイル導体と浮上案内用導体間、もしくはコイル表面に設けることができる。 【0042】さらにまた、請求項6に対応する発明では、上記請求項5に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、導電性樹脂の硬化物としては、織布もしくは不織布からなる基材に導電性樹脂を付着させ、かつ硬化させたものから構成している。 【0043】従って、請求項6に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、導電性樹脂の硬化物を織布もしくは不織布からなる基材に導電性樹脂を付着させ、かつ硬化させたものから構成することにより、一体化成型に用いられる絶縁材との接着性が良く、かつ強度的にも強化された接地層を、推進コイル導体と浮上案内用導体間、もしくはコイル表面に設けることができる。 【0044】一方、請求項7に対応する発明では、上記請求項1または請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、超電導磁気浮上車が走行する側の絶縁材の表面もしくは表面近傍に、織布、不織布、長繊維、もしくは繊維強化樹脂板のうちのいずれかを配置して一体化成型している。 【0045】従って、請求項7に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、超電導磁気浮上車が走行する側の絶縁材の表面もしくは表面近傍に、織布、不織布、長繊維、もしくは繊維強化樹脂板のうちのいずれかを配置して一体化成型することにより、超電導磁気浮上車と対向する地上コイル表面の強度が強化され、万が一超電導磁気浮上車走行時に何らかの異物が衝突した場合でも、地上コイルの破壊程度を小さくすることができ、重大事故に繋がる可能性を低くすることができる。 【0046】また、請求項8に対応する発明では、超電導磁気浮上車が走行する軌道の側壁に埋設された複数のインサートにおねじ部を螺合するボルトで側壁の対向面に固定される、請求項1または請求項2に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいて、地上コイル本体のボルト挿入部に貫設された非磁性金属からなるブシュをボルトで固定するとともに、軌道の側壁の下部に設置された支持台にて、地上コイル本体の下部を支持している。 【0047】従って、請求項8に対応する発明の浮上式鉄道用地上コイルにおいては、地上コイル本体のボルト挿入部に貫設された非磁性金属からなるブシュをボルトで固定するとともに、軌道の側壁の下部に設置された支持台にて、地上コイル本体の下部を支持することにより、推進力・浮上カ・案内力が作用する地上コイル本体を十分な強度で固定することができ、かつ長期間にわたってボルトの軸力を保持することができる。 【0048】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0049】図1および図2は、本実施の形態による推進・浮上・案内機能を有する一体化構造の浮上式鉄道用地上コイル(以下、一体化地上コイルと称する)の構成例を示す断面図である。 【0050】なお、図1はコイル取付け軌道5a,5b側から見た場合(および指定断面で地上コイルを切った場合)の構成例、図2は超電導磁石2a,2b側から見た場合の構成例について、それぞれ示している。 【0051】図1において、本実施の形態の一体化地上コイル20は、前記超電導磁石2a,2bに推進力を与える推進用導体21と、超電導磁石2a,2bに浮上案内力を与える浮上案内用導体22と、推進用導体21の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層23と、推進用導体21および浮上案内用導体22を、導電性薄膜層23と共に一体化成型する絶縁材24とから構成している。 【0052】図3は、上記一体化地上コイル20をコイル取付け軌道5a,5bに取付けた場合の構成例を示す概要図である。 【0053】図3において、コイル取付け軌道5a,5bに埋設された複数のインサートにおねじ部を螺合する図示しないボルトで、コイル取付け軌道5a,5bの対向面に上記一体化地上コイル20を固定するように、一体化地上コイル20には、上記ボルトを挿入する複数のボルト挿通穴25を設けている。 【0054】また、このボルト挿通穴25部には、ボルト軸力を長期間にわたり保持できるように、SUS304等の非磁性金属からなるブシュ26を埋設している。 【0055】そして、このブシュ26を介して、一体化地上コイル20をボルト締結している。 【0056】さらに、コイル取付け軌道5a,5bの側壁下部に、コンクリートブロックからなる支持合27を、一体化地上コイル20の下部と接触するように設置して、一体化地上コイル20本体に作用する浮上力を支持する構成としている。 【0057】なお、この場合、コンクリートブロック面と絶縁材24とが直接接しないように、非磁性材料からなる板状の部材を、コンクリートブロック面と絶縁材24との間に挟み込むようにしてもよい。 【0058】図4は上記一体化地上コイル20に埋設される推進用導体21および浮上案内用導体22の構成例を示す概要図、図5は上記一体化地上コイル20の一部詳細な構成例を示す断面図である。 【0059】図4および図5において、一体化地上コイル20を構成する推進用導体21は、矩形状に巻廻された推進用アルミ導体28からなり、コイル取付け軌道5a,5b側に配置している。 【0060】また、その中央下部には、3相交流電圧を供給するための推進用端子29を設けている。 【0061】この推進用導体21は、超電導磁石2a,2bに推進力を与えるものである。 【0062】一方、一体化地上コイル20を構成する浮上案内用導体22は、8字状に巻廻された2組の浮上案内用アルミ導体30からなり、超電導磁石2a,2b側に配置している。 【0063】また、その下部には、コイル取付け軌道5a,5bの対向する位置にある一体化地上コイル20間を図示しないヌルフラックス線で接続するための浮上案内用端子31を設けている。 【0064】この浮上案内用導体22は、超電導磁石2a,2bが高速で通過する際に、誘導電流が作用して、超電導磁石2a,2bに浮上力および案内力を与えるものである。 【0065】さらに、一体化地上コイル20を構成する導電性薄膜層23は、一体化地上コイル20本体表面に設けられた接地層32と電気的に接続されると共に、推進用導体21と浮上案内用導体22との間に配置している。 【0066】一方、推進用導体21、浮上案内用導体22、導電性薄膜層23を一体化成型する絶縁材24としては、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。 【0067】また、導電性薄膜層23としては、面状もしくはメッシュ状の金属で構成することが好ましい。 【0068】さらに、導電性薄膜層23としては、導電性樹脂の硬化物から構成することが好ましい。 【0069】なお、この導電性樹脂の硬化物としては、ガラスやカーボン、アラミド等の織布もしくは不織布からなる基材に導電性樹脂を付着させ、かつ硬化させたものから構成することが好ましい。 【0070】次に、以上のように構成した本実施の形態による一体化地上コイル20においては、超電導磁石2a,2bに推進力を与える推進用導体21と、超電導磁石2a,2bに浮上案内力を与える浮上案内用導体22と、推進用導体21と浮上案内用導体22との間に配置されると共に、地上コイル20本体表面に設けられた接地層32と電気的に接続され、推進用導体21の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層23と、推進用導体21および浮上案内用導体22を、導電性薄膜層23と共に一体化成型する絶縁材24とから構成していることにより、低電圧しかかからない従来の浮上案内コイルと、高電圧がかかる従来の推進コイルとを一体化させることができ、両側壁地上コイル間で連結されるヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易となる。 【0071】すなわち、高電圧がかかる推進用導体21の電界の影響を遮蔽することができ、低電圧しかかからない浮上案内用導体22との一体化が可能となる。 【0072】また、両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線も、従来と同様に低電圧仕様で構成でき、地上コイル側の機器構成が容易となる。 【0073】一方、地上コイルが一体構造化できることにより、浮上案内コイルと推進コイルとから構成される従来の地上コイルに比べて、コンパクトな構造となり、使用する絶縁材料や製作工数を低減することができる。 【0074】また、地上コイル自体の剛性も容易に強化でき、作用する電磁力に対して強度上安全性を増すことができる。 【0075】さらに、地上コイルを固定するボルト、平座金、皿ばね等の締結部材を大幅に削減でき、その結果、敷設コストを大幅に低減することができる。 【0076】さらにまた、地上コイルが一体構造化できることにより、浮上案内コイルと推進コイルとから構成される従来の地上コイルに比べて、推進コイル導体21を超電導磁気浮上車に搭載される超電導磁石2a,2bに近づけられるため、効率アップに繋げることができる。 【0077】一方、複数のボルト挿通穴25部に埋設されているブシュ26を介して一体化地上コイル20本体をボルト締結しているため、長期間にわたってボルトの軸力を保持することができる。 【0078】また、コイル取付け軌道5a,5bの側壁下部に、コンクリートブロックからなる支持台27を一体化地上コイル20の下部と接続するように設置していることにより、ボルトだけでは支持しきれない一体化地上コイル20本体に作用する浮上力を支持することができる。 【0079】一方、推進用導体21、浮上案内用導体22、導電性薄膜23を一体化成型する絶縁材24として熱硬化性樹脂を用いていることにより、高電圧がかかる推進用導体21の絶縁をコンパクトに実現でき、一体化成型する際の作業工数も少なくでき、コスト低減に繋げることができる。 【0080】また、導電性薄膜層23としては、面状もしくはメッシュ状の金属で構成していることにより、推進用導体21と浮上案内用導体22間、もしくはコイル表面に良好な接地層32を設けることができる。 【0081】さらに、導電性薄膜層23を導電性樹脂の硬化物で構成していることにより、一体化成型に用いられる絶縁材24との接着性が良い接地層32を、推進コイル導体21と浮上案内用導体22との間、もしくはコイル表面に設けることができる。 【0082】さらにまた、導電性樹脂の硬化物として、織布もしくは不織布からなる基材に導電性樹脂を付着させ、かつ硬化させたものを用いていることにより、一体化成型に用いられる絶縁材24との接着性に加え、強度的にも強化された接地層32を、推進用導体21と浮上案内用導体22との間、もしくはコイル表面に設けることができる。 【0083】上述したように、本実施の形態では、両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易な安価でかつ信頼性の高い一体化地上コイルを得ることが可能となる。 【0084】(その他の実施の形態) (a)図6は、本発明の他の実施の形態による一体化地上コイルの一部詳細な構成例を示す断面図であり、図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0085】すなわち、本実施の形態の一体化地上コイルは、図6に示すように、前記図5における、超電導磁気浮上車が走行する側の絶縁材24の表面もしくは表面近傍に、ガラスやカーボン、アラミド等からなる織布、不織布、長繊維、もしくは繊維強化樹脂板(繊維強化プラスチックス板)33のうちのいずれかを配置して一体化成型した構成としている。 【0086】以上のように構成した本実施の形態による一体化地上コイル20においては、超電導磁気浮上車が走行する側の絶縁材24の表面もしくは表面近傍に、織布、不織布、長繊維、もしくは繊維強化樹脂板(繊維強化プラスチックス板)33のうちのいずれかを配置して一体化成型していることにより、超電導磁気浮上車と対向する地上コイル表面の強度が強化される。 【0087】これにより、万が一、超電導磁気浮上車走行時に何らかの異物が衝突した場合でも、地上コイルの破壊程度を小さくでき、重大事故に繋がる可能性を低くすることができる。 【0088】(b)前記実施の形態では、導電性薄膜層23を、推進用導体21と浮上案内用導体22との間に配置する場合について説明したが、これに限らず、導電性薄膜層23としては、推進用導体21と浮上案内用導体22との間だけでなく、一体化地上コイル20本体の表面もしくは表面近傍全体にわたって配置する構成としてもよい。 【0089】これにより、導電性薄膜2層23が地上コイル20表面に設けている接地層32の代りとなり、地上コイル20表面に接地層32を形成させるためにこれまで実施してきたアルミニウム溶射等のメタリコン処理が必要なくなるという利点を得ることができる。 【0090】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、超電導磁石に推進力を与える推進用導体と、超電導磁石に浮上案内力を与える浮上案内用導体との間、および必要に応じて、地上コイル本体表面もしくは表面近傍全体にわたって、地上コイル本体表面に設けられた接地層と電気的に接続された、推進用導体の電界の影響を遮蔽する導電性薄膜層を配置し、推進用導体および浮上案内用導体を、導電性薄膜層と共に絶縁材にて一体化成型するようにしているので、両側壁地上コイル間を連結するヌルフラックス線を含めたコイル構成が容易な安価でかつ信頼性の高い一体化構造の浮上式鉄道用地上コイルが提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390021577 【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社 【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1番4号 【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
|
| 【出願日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−32811(P2003−32811A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月31日(2003.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−217042(P2001−217042) |
|