| 【発明の名称】 |
制御装置および動力出力装置並びにこれを搭載するハイブリッド自動車、制御装置の制御方法、動力出力装置の制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】延原 以清 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】エンジンとエンジンからの動力の一部を受けて発電可能なモータMG1とエンジンと共に車軸に直接動力を出力可能なモータMG2を搭載したハイブリッド自動車において、モータMG2を制御する第2CPUに異常が生じたときには、モータMG1を制御する第1CPUによりモータMG2を制御する。
【解決手段】第1CPU102は、第2CPU104に異常が生じたと判断したときに、マルチプレクサ106に切り替え指令を出力して、モータMG1のインバータ回路110とモータMG2のインバータ回路120の両方をスイッチング制御する。このとき、キャリア周波数を通常よりも低く設定したり、フィードバック制御をオープンループ制御に移行したりして、処理負担の増加を低減する。これにより、処理負担を増加させることなく、モータMG1,MG2を駆動して待避走行を行なうことができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1制御対象を制御する第1制御手段と第2制御対象を制御する第2制御手段とを含む複数の制御手段を備える制御装置であって、前記第1制御手段は、前記第2制御手段に異常が生じたときには、前記第2制御対象の制御を兼ねる手段である制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の制御装置であって、前記第1制御手段は、所定の機能に制限を加えて、前記第1制御対象と共に前記第2制御対象を制御する手段である制御装置。 【請求項3】 請求項1または2記載の制御装置であって、前記第1制御手段と第2制御手段は、互いに相手の異常を監視すると共に、相手の異常を検出したときには、相手の制御対象の制御を兼ねる手段である制御装置。 【請求項4】 動力を出力可能な第1電動機と、動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機の各々と電力をやり取り可能な二次電池と、該二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第1電動機に供給可能な第1電力変換手段と、該第1電力変換手段のスイッチング素子をスイッチング制御する第1制御手段と、前記二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第2電動機に供給可能な第2電力変換手段と、該第2電力変換手段のスイッチング素子をスイッチング制御する第2制御手段と、を備える動力出力装置であって、前記第1制御手段は、前記第2制御手段に異常が生じたときには、前記第2電力変換手段の制御を兼ねる手段である動力出力装置。 【請求項5】 請求項4記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段は、前記第2制御手段の動作を監視して異常を判断する手段を含む動力出力装置。 【請求項6】 請求項4または5記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段は、所定の機能に制限を加えて、前記第1電力変換手段と共に前記第2電力変換手段の制御を行なう手段である動力出力装置。 【請求項7】 請求項6記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段は、前記所定の機能の制限として、前記第1電動機および/または前記第2電動機の回転数に制限を加えて制御を行なう手段である動力出力装置。 【請求項8】 請求項6記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段は、前記所定の機能の制限として、前記第1電力変換手段および/または前記第2電力変換手段のスイッチング素子のスイッチング周期に制限を加えて制御を行なう手段である動力出力装置。 【請求項9】 請求項6記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段は、所定の機能の制限として、フィードバック制御からオープンループ制御に切り替えて制御を行なう手段である動力出力装置。 【請求項10】 請求項4ないし9いずれか記載の動力出力装置であって、前記第1制御手段と前記第2制御手段は、互いに相手の異常を監視すると共に、相手の異常を検出したときに、相手の電力変換手段の制御を兼ねる手段である動力出力装置。 【請求項11】 請求項4ないし10いずれか記載の動力出力装置を搭載し、駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、動力を出力可能な内燃機関を備え、前記第1電動機は、前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を受けて発電可能な電動機であり、前記第2電動機は、前記第1電動機の発電電力および/または前記二次電池からの放電電力を用いて前記駆動軸に動力を出力可能な電動機であるハイブリッド自動車。 【請求項12】 請求項11記載のハイブリッド自動車であって、前記内燃機関の出力軸は、3軸のうち2軸が独立して動作可能で他の1軸が該2軸の動作に従属する3軸式の動力入出力機構を介して前記第1電動機の回転軸と前記駆動軸とに連結されてなり、前記第2電動機は、前記駆動軸に連結されてなるハイブリッド自動車。 【請求項13】 第1制御対象を制御する第1制御手段と第2制御対象を制御する第2制御手段とを含む複数の制御手段を備える制御装置の制御方法であって、前記第2制御手段の異常を判定し、該異常が判定されたときに該第2制御手段に代わって前記第1制御手段により前記第1制御対象と共に前記第2制御対象を制御する制御装置の制御方法。 【請求項14】 動力を出力可能な第1電動機と、動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機の各々と電力のやり取りが可能な二次電池と、該二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第1電動機に供給可能な第1電力変換手段と、該第1電力変換手段を制御する第1制御手段と、前記二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第2電動機に供給可能な第2電力変換手段と、該第2電力変換手段を制御する第2制御手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、前記第2制御手段の異常を判定し、該異常が判定されたときに該第2制御手段に代わって前記第1制御手段により前記第1電力変換手段と共に前記第2電力変換手段を制御する動力出力装置の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、制御装置および動力出力装置並びにこれを搭載するハイブリッド自動車、制御装置の制御方法、動力出力装置の制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の制御装置としては、第1の電動機と第2の電動機とが搭載されたハイブリッド自動車における第1の電動機を制御する第1の制御手段と、第2の電動機を制御する第2の制御手段とを備えるものが提案されている(特開2000−156903号公報など)。この制御装置では、第1の制御手段か第2の制御手段かのいずれかに異常が生じたときに、異常が生じた制御手段への電力供給を遮断してその異常な制御手段の制御対象である第1の電動機の駆動を停止すると共に、正常な制御手段の制御によりその正常な制御手段の制御対象である第2の電動機を駆動することにより、異常な状態での待避走行ができるとされている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした従来の制御装置では、第1の電動機と第2の電動機とがそれぞれ果たす役割によっては待避走行を行なうことが困難な場合がある。例えば、第1の電動機がエンジンからの動力の一部を受けて発電し、第2の電動機がその発電電力を用いてエンジンと共に車軸に動力を出力する構成のハイブリッド自動車においては、第2の電動機を制御する第2の制御手段に異常が生じたときには、第1制御手段の制御による第1の電動機の駆動のみでは、車軸に動力を全く出力できず、あるいは、十分な動力を出力できず、待避走行を行なうことができない場合がある。 【0004】本発明の制御装置は、複数の制御対象を各々制御する複数の制御手段の一部に異常が生じたときであっても、より確実に異常対処が可能な装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の制御装置は、異常対処に必要な範囲内で機能制限して複数の制御対象を制御することを目的の一つとする。 【0005】また、本発明の動力出力装置は、2つの電動機を各々制御する2つの制御手段の一つに異常が生じたときであっても、2つの電動機を駆動可能な装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置は、異常対処に必要な範囲内で機能制限して2つの電動機を駆動することを目的の一つとする。 【0006】更に、本発明の動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車は、車軸に動力を出力可能な電動機を制御する制御手段に異常が生じたときであっても、正常な制御手段によりその電動機を制御してより確実に待避走行が行なえるハイブリッド自動車を提供することを目的の一つとする。 【0007】また、本発明の制御装置の制御方法は、複数の制御対象を各々制御する複数の制御手段の一部に異常が生じたときであっても、より確実に異常対処が可能な方法を提供することを目的の一つとする。また、動力出力装置の制御方法は、2つの電動機を各々制御する2つの制御手段の一つに異常が生じたときであっても、その2つの電動機を駆動可能な方法を提供することを目的の一つとする。 【0008】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の制御装置および動力出力装置並びにこれを搭載するハイブリッド自動車、制御装置の制御方法、動力出力装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。 【0009】本発明の制御装置は、第1制御対象を制御する第1制御手段と第2制御対象を制御する第2制御手段とを含む複数の制御手段を備える制御装置であって、前記第1制御手段は、前記第2制御手段に異常が生じたときには、前記第2制御対象の制御を兼ねる手段であることを要旨とする。 【0010】この本発明の制御装置では、第1制御手段は、第2制御手段に異常が生じたときには、第2制御対象の制御を兼ねるから、第2制御手段に異常が生じたときでも、第1制御対象および第2制御対象の両方を制御することができる。この結果、より確実な異常対処が可能となる。 【0011】こうした本発明の制御装置において、前記第1制御手段は、所定の機能に制限を加えて、前記第1制御対象と共に前記第2制御対象を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、第1制御手段の処理性能を異常対処に備えて必要以上に高性能化することが避けられ、低コストで異常対処が可能となる。 【0012】また、本発明の制御装置において、前記第1制御手段と前記第2制御手段は、互いに相手の異常を監視すると共に、相手の異常を検出したときには、相手の制御対象の制御を兼ねる手段であるとすることもできる。こうすれば、第1制御手段と第2制御手段のいずれに異常が生じても、その異常に対処することができる。 【0013】本発明の動力出力装置は、動力を出力可能な第1電動機と、動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機の各々と電力をやり取り可能な二次電池と、該二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第1電動機に供給可能な第1電力変換手段と、該第1電力変換手段のスイッチング素子をスイッチング制御する第1制御手段と、前記二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第2電動機に供給可能な第2電力変換手段と、該第2電力変換手段のスイッチング素子をスイッチング制御する第2制御手段と、を備える動力出力装置であって、前記第1制御手段は、前記第2制御手段に異常が生じたときには、前記第2電力変換手段の制御を兼ねる手段であることを要旨とする。 【0014】この本発明の動力出力装置では、第2制御手段に異常が生じたときには、第1制御手段が、第2電力変換手段の制御を兼ねるから、第2制御手段に異常が生じても、第1電動機と第2電動機の両方を駆動することができる。この結果、より確実な異常対処が可能となる。 【0015】こうした本発明の動力出力装置において、前記第1制御手段は、前記第2制御手段の動作を監視して異常を判断する手段を含むものとすることもできる。 【0016】また、本発明の動力出力装置において、前記第1制御手段は、所定の機能に制限を加えて、前記第1電力変換手段と共に前記第2電力変換手段の制御を行なう手段であるものとすることもできる。こうすれば、第1制御手段の処理性能を必要以上に高性能化することが避けられる。この結果、低コストで異常対処が可能となる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記第1制御手段は、前記所定の機能の制限として、前記第1電動機および/または前記第2電動機の回転数に制限を加えて制御を行なう手段であるものとすることもできるし、第1制御手段は、前記所定の機能の制限として、前記第1電力変換手段および/または前記第2電力変換手段のスイッチング素子のスイッチング周期に制限を加えて制御を行なう手段であるものとすることもできる。更に、前記第1制御手段は、所定の機能の制限として、フィードバック制御からオープンループ制御に切り替えて制御を行なう手段であるものとすることもできる。 【0017】更に、本発明の動力出力装置において、前記第1制御手段と前記第2制御手段は、互いに相手の異常を監視すると共に、相手の異常を検出したときには、相手の電力変換手段の制御を兼ねる手段であるものとすることもできる。こうすれば、第1制御手段と第2制御手段のいずれに異常が生じても、その異常に対処することができる。 【0018】本発明のハイブリッド自動車は、上記各態様の本発明の動力出力装置を搭載し、駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、動力を出力可能な内燃機関を備え、前記第1電動機は、前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を受けて発電可能な電動機であり、前記第2電動機は、前記第1電動機の発電電力および/または前記二次電池からの放電電力を用いて前記駆動軸に動力を出力可能な電動機であることを要旨とする。 【0019】この本発明のハイブリッド自動車では、第2制御手段に異常が生じたときに、第1制御手段が、車輌を走行させる駆動軸に動力を出力可能な第2電動機を駆動するよう第2電力変換手段を制御するから、より確実な待避走行が可能となる。 【0020】こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記内燃機関の出力軸は、3軸のうち2軸が独立して動作可能で他の1軸が該2軸の動作に従属する3軸式の動力入出力機構を介して前記第1電動機の回転軸と前記駆動軸とに連結されてなり、前記第2電動機は、前記駆動軸に連結されてなるものとすることもできる。 【0021】本発明の制御装置の制御方法は、第1制御対象を制御する第1制御手段と、第2制御対象を制御する第2制御手段とを備える制御装置の制御方法であって、前記第2制御手段の異常を判定し、該異常が判定されたときに該第2制御手段に代わって前記第1制御手段により前記第1制御対象と共に前記第2制御対象を制御することを要旨とする。 【0022】この本発明の制御装置の制御方法では、第2制御手段の異常を判定し、異常が判定されたときに第2制御手段に代わって第1制御手段により第1制御対象と共に第2制御対象を制御するから、第2制御手段に異常が生じたときでも、第1制御対象と第2制御対象の両方を制御することができる。この結果、より確実な異常対処が可能となる。 【0023】本発明の動力出力装置の制御方法は、動力を出力可能な第1電動機と、動力を出力可能な第2電動機と、前記第1電動機および前記第2電動機の各々と電力のやり取りが可能な二次電池と、該二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第1電動機に供給可能な第1電力変換手段と、該第1電力変換手段を制御する第1制御手段と、前記二次電池からの電力をスイッチング素子のスイッチングにより所望の交流電力に変換して前記第2電動機に供給可能な第2電力変換手段と、該第2電力変換手段を制御する第2制御手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、前記第2制御手段の異常を判定し、該異常が判定されたときに該第2制御手段に代わって前記第1制御手段により前記第1電力変換手段と共に前記第2電力変換手段を制御することを要旨とする。 【0024】この本発明の動力出力装置の制御方法では、第2制御手段の異常を判定し、異常が判定されたときに第2制御手段に代わって第1制御手段により第1電力変換手段と共に第2電力変換手段を制御するから、第2制御手段に異常が生じたときでも、第1電動機と第2電動機の両方を駆動することができる。この結果、より確実な異常対処が可能となる。 【0025】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22とプラネタリギア30を介して接続されたモータMG1,MG2と、モータMG1,MG2の各々と電力のやり取りが可能なバッテリ60と、ハイブリッド自動車20全体をコントロールするハイブリッド電子制御ユニット(以下、ハイブリッドECUという)70とを備える。 【0026】エンジン22は、ガソリンで駆動する内燃機関として構成されており、エンジン電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)28により運転制御される。エンジンECU28は、ハイブリッドECU70から入力されるエンジン要求出力に基づいてエンジン22から要求動力を出力可能な運転ポイントのうち最も効率の良い運転ポイントでエンジン22が運転されるよう燃料噴射量や吸入空気量の制御を行なう。 【0027】プラネタリギア30は、サンギア32とリングギア36とその間に複数設けられたプラネタリピニオンギア34とから構成されている。プラネタリギア30のプラネタリピニオンギア34を連結するキャリア35にはダンパ26を介してエンジン22のクランクシャフト24が接続されており、サンギア32にはサンギア軸33を介してモータMG1の回転軸40が接続されている。リングギア36のリングギア軸37に設けられたギア38は、モータMG2の回転軸44に設けられたギア46とベルト42を介して接続されている。また、モータMG2の回転軸44に設けられたギア48は、ディファレンシャルギア50を介して車輪54の車軸52に接続されている。したがって、リングギア36は、モータMG2に接続されると共に車軸52に接続されていることになる。 【0028】モータMG1,MG2は、例えば、外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとからなる発電可能なPM型の同期発電電動機として構成されており、モータ電子制御ユニット(以下、モータECUという)100により駆動制御される。図2は、モータECU100を中心としたモータ駆動制御システムの詳細な構成を示す構成図である。 【0029】モータMG1,MG2は、バッテリ60の端子に接続された電力ラインを正極母線および負極母線とするインバータ回路110,120が各々備える6つのスイッチング素子のスイッチングにより生成される擬似的な三相交流電圧が三相コイルに印加されることにより駆動する。インバータ回路110,120の各スイッチング素子のスイッチング制御、即ちモータMG1,MG2の駆動制御を行なうモータECU100の第1CPU102と第2CPU104は、それぞれハイブリッドECU70から入力されるモータMG1,MG2のトルク指令値に基づいてモータMG1,MG2からトルク指令値に相当するトルクが出力されるようインバータ回路110,120のスイッチング素子をスイッチング制御する。また、モータECU100には、モータMG2の駆動制御が第1CPU102と第2CPU104のいずれによっても行なえるようインバータ回路120へ制御信号を出力するCPUを切り替え可能なマルチプレクサ106が設けられており、第1CPU102の指令に応じてインバータ回路120へ制御信号を出力するCPUを切り替えることができるようになっている。第1CPU102と第2CPU104は、それぞれ図示しないROMとRAMと入出力ポートと通信ポートとを備えており、1つのマイクロプロセッサを構成している。第1CPU102と第2CPU104とは、通信線を介してCPUの動作状態の監視に関するデータ含む種々のデータのやり取りを行なうことができるようになっている。また、第1CPU102には、入力ポートを介して、モータMG1の三相コイルの各相に取り付けられた電流センサ111〜113からの各相電流やモータMG1の回転軸40に取り付けられた回転角センサ(例えば、レゾルバなど)122からの回転角が入力されると共に、モータMG2の三相コイルの各相に取り付けられた電流センサ114〜116からの各相電流やモータMG2の回転軸44に取り付けられた回転角センサ124からの回転角なども入力されている。そして、第1CPU102からは、マルチプレクサ106への切り替え信号が出力ポートを介して出力されている。また、第2CPU104には、電流センサ114〜116からの各相電流や回転角センサ124からの回転角などが入力ポートを介して入力されている。なお、電流センサ111〜116は、モータMG1とモータMG2の三相コイルの各相全てに取り付けるものとしたが、各相のうちのいずれか2相に取り付けるものとしても構わない。また、図示しないが、電流センサ111〜116は2重化されており、それぞれ2つの信号が第1CPU102,第2CPU104に入力されている。 【0030】バッテリ60は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などのように充放電可能な単電池を複数直列に接続した組電池として構成されており、バッテリ電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)62により管理される。このバッテリECU62によるバッテリ60の管理としては、バッテリ60の出力端子に接続された図示しない電流センサや電圧センサにより検出される充放電電流や端子間電圧に基づいて行なわれる充電状態SOCの演算や、同じく電流センサや電圧センサにより検出される充放電電流や端子間電圧に基づいて行なわれる単電池の均等化、バッテリ60に取り付けられた図示しない温度センサにより検出される電池温度に基づいて行なわれる冷却管理などがある。 【0031】ハイブリッドECU70は、図示しないがCPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROMと,一時的にデータを記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。ハイブリッドECU70の通信ポートは、エンジンECU28やバッテリECU62、モータECU100の通信ポートと接続されており、エンジンECU28やバッテリECU62、モータECU100と種々のデータのやり取りが可能となっている。また、ハイブリッドECU70は、車輪54に取り付けられた車輪速センサ56からの車輪速や、アクセルペダル72のポジション(踏み込み量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ73からのアクセルペダルポジションAP、ブレーキペダル74のポジション(踏み込み量)を検出するブレーキペダルポジションセンサ75からのブレーキペダルポジションBP、シフトレバー76のポジションを検出するシフトポジションセンサ77からのシフトポジションSPなどが入力ポートを介して入力されている。 【0032】こうして構成されたハイブリッド自動車20の動作について説明する。ハイブリッド自動車20の定常運転時では、アクセルペダルポジションセンサ73からのアクセルペダルポジションAPや車輪速センサ56からの車輪速に基づいて、車軸52に要求される動力を算出し、この動力とほぼ等しい値にエンジン22の出力(トルクと回転数はエンジン22が効率よく運転できる値に設定)が設定される。このときエンジン22の出力の一部はプラネタリギア30を介して直接車軸52に伝達され、残余の出力はモータMG1により電力として回生される。回生された電力は、モータMG2が車軸52を回転させるトルクを発生するために用いられる。車軸52に伝達されるトルクが不足する場合には、モータMG1により回生した電力やバッテリ60に蓄えられた電力を用いてモータMG2によりトルクアシストが行なわれる。また、ハイブリッド自動車20が走行を開始する低速時では、モータMG2の回転軸44が車軸52と連結されているから、エンジン22を停止した状態でバッテリ60に蓄えられた電力を用いてモータMG2単独の駆動により車軸52に動力を伝達して走行することもできる。このようにして、車軸52に要求される動力に基づいてモータMG1,MG2が駆動制御される。 【0033】次に、モータMG2を駆動制御する第2CPUの異常を監視する動作について説明する。図3は、モータECU100の第1CPUにより実行される異常監視処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行される。 【0034】異常監視ルーチンが実行されると、モータECU100の第1CPUは、まず、第2CPU104の状態を入力し(ステップS100)、第2CPU104が正常か否かを判定する処理を行なう(ステップS102)。この第2CPU104の状態により異常を判定する処理としては、以下のものがある。例えば、回転角センサ124としてレゾルバを用いる場合には、このレゾルバによりモータMG2の回転軸の回転角に応じて生成される電気信号(電圧波形)をデジタル信号に変換する、第2CPU104に含まれるR/Dコンバータ(図示せず)の変換異常を監視することにより第2CPU104の異常を判定する。これは、レゾルバ(回転角センサ124)からの生成された電気信号(電圧波形)を第1CPU102に入力して、この電気信号をA/Dコンバータ(図示せず)によりサンプリングして得られた値から回転角を求めて、第2CPU104のR/Dコンバータにより変換された回転角とを比較して正常範囲内にあるか否かを判定することにより行なわれる。また、モータMG2の三相コイルの各相に流れる各相電流を監視することにより、第2CPU104の異常を判定する。これは、電流フィードバック制御を行なう際、ハイブリッドECU70から入力されたトルク指令値とモータMG2の回転角とに基づき設定されるモータMG2の三相コイルの指令電流と、電流センサ114〜116により検出された各相電流とを比較して正常範囲内にあるか否かを判定することにより行なわれる。更に、モータMG2への指令電流と電流センサ114〜116からの各相電流とに基づいて算出されるモータMG2の指令電圧に対するインバータ回路120のスイッチング素子のスイッチングパターンが正常範囲内にあるか否かを判定することにより異常を判定する。これは、例えば、インバータ回路120のスイッチング素子へのスイッチング信号をフィルタを介して正弦波状の電圧波形とし、これとモータMG2の指令電圧とで振幅や位相を比較することにより行なわれる。この他、第2CPU104から一定周期のクロック信号を第1CPU102へ出力してこの信号が所定周期以上発生しないときに第2CPU104の異常を判断したり、メモリの内容をパリティやチェックサムなどの誤り検出符号により検出することにより第2CPU104の異常を判定したり、予め定めたデータを通信線を介して第1CPU102に出力して正しく通信されているかを判断することにより第2CPU104の異常を判定したりすることもできる。 【0035】こうした判定の結果、第2CPU104は正常であると判定されたときには、モータMG1側のキャリア周波数を通常の周波数(例えば、10kHz)に設定すると共に(ステップS104)、モータMG1の電気角に同期した周波数の矩形波による制御やPWMの変調率が値1を超える過変調PWM領域における制御を許可して(ステップS106,108)、本ルーチンを終了する。ここで、矩形波による制御は、正弦波によるPWM制御に基づく最大出力以上の出力がモータに要求されたときに採用される制御であり、過変調PWM領域における制御は、矩形波による制御と正弦波によるPWM制御との切り替え時にそのショックを低減するために採用される制御である。即ち、こうした制御は、要求出力に応じてモータから高トルクを発生させて回転数を上げるために行なわれる。 【0036】一方、第2CPU104が異常であると判定されたときには、第2CPU104によるモータMG2の駆動制御は行なえないと判断して、第1CPU102によりモータMG1と共にモータMG2の駆動制御を行なう待避制御に向けた処理を行なう。まず、第1CPU102は、マルチプレクサ106を第1CPU102側に切り替える処理を行なう(ステップS110)。即ち、第2CPU104からのインバータ回路120への制御信号の出力経路を遮断すると共に第1CPU102からインバータ120へ制御信号を出力可能な状態とする。続いて、モータMG2側に取り付けられた電流センサ114〜116が正常であるか否かを判定し(ステップS112)、電流センサ114〜116が正常であれば、モータMG2側のキャリア周波数を通常(10kHz)よりも低い値(例えば、5kHz)に設定し(ステップS114)、電流センサ114〜116が異常であれば、モータMG2の駆動をオープンループ制御により実現されるよう設定する(ステップS116)。そして、モータMG1側のキャリア周波数を通常よりも低い値(例えば、5kHz)に設定して(ステップS118)、本ルーチンを終了する。こうして各種設定が行なわれると、この各種設定に基づいてモータ制御が行なわれる。図4は第1CPU102により実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図3のルーチンにより設定されたキャリア周波数に応じたキャリアの周期毎のタイミングで繰り返し実行される。例えば、モータMG1,MG2のキャリア周波数が共に5kHzに設定されている場合には、0.2msec毎に、モータMG1あるいはモータMG2が10kHzに設定されている場合には、0.1msec毎に実行される。 【0037】モータ制御ルーチンが実行されると、第1CPU102は、まず、第2CPU104に異常が生じておりモータMG2が制御対象となっているか否かを判定する(ステップS200)。第2CPU104に異常が生じておらずモータMG2が制御対象となっていない場合には、通常通り、モータMG1のみをフィードバック制御により駆動制御して(ステップS208)、本ルーチンを終了する。このときのフィードバック制御としては、例えば、ハイブリッドECU70から入力されたモータMG2のトルク指令値とモータMG2の回転角とから算出されるモータMG2への指令電流と電流センサ114〜116からの各相電流との偏差に基づきこの偏差が零となるようにモータMG2の電圧指令値を設定して出力することにより行なわれる。このとき、キャリア周波数は通常の周波数(10kHz)であり、モータMG1の要求動力に応じて適宜、矩形波による制御や過変調PWM領域での制御が行なわれる。 【0038】一方、モータMG2が制御対象となっている場合には、モータMG2側の駆動にオープンループ制御が設定されているか否かを判定する(ステップS202)。オープンループ制御が設定されていないときには、フィードバック制御によりモータMG2を駆動制御し(ステップS204)、オープンループ制御が設定されているときには、オープンループ制御によりモータMG2の駆動制御を行なう(ステップS206)。ここで、オープンループ制御は、例えば、ハイブリッドECU70から入力されたモータMG2のトルク指令値とモータMG2の回転軸の回転角とからマップによりモータMG2の三相コイルに印加すべき目標電圧を導出して出力することにより行なわれる。そして、モータMG1をフィードバック制御により駆動制御して(ステップS208)、本ルーチンを終了する。これにより、車軸52に直接動力を出力できるモータMG2の駆動が確保されるから、モータMG2を制御する第2CPU104に異常が生じても、ハイブリッド自動車20を待避走行させることができる。ここで、モータMG1,MG2の駆動に際し、フィードバック制御におけるキャリア周波数は通常の制御における周波数よりも低い周波数(5kHz)であり、矩形波による制御や過変調PWM領域での制御は禁止されてモータMG1,MG2の回転数の上限が制限される。このように、第1CPU102によりモータMG1およびモータMG2が駆動制御する際、キャリア周波数を通常よりも低く設定したり、モータMG2をオープンループにより制御したりすることで、第1CPU102によりモータMG1およびモータMG2を駆動制御することに伴う全体の処理負担の増加を防ぐことができる。また、通常の制御で許可されている矩形波による制御や過変調PWM領域での制御を禁止することで、かかる制御モードの切り替えに伴う処理負担を低減することができる。ただし、こうした制御機能制限は、車輌の待避走行に支障がない範囲内で行なわれるものである。 【0039】以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、車軸52に直接動力を出力できるモータMG2を制御対象とする第2CPU104に異常が生じたときであっても、第1CPU102によりバックアップするから、モータMG2の駆動を確保でき、十分な待避走行を行なうことができる。しかも、第1CPU102は、制御機能を制限してモータMG1およびモータMG2を駆動制御するから、全体の処理負担を増大させることがない。この結果、第1CPU102の処理能力を必要以上に高性能化する必要がなく低コストで異常対処が可能となる。 【0040】実施例のハイブリッド自動車20では、第2CPU104に異常が生じたときに、第1CPU102によりバックアップするものとしたが、第1CPU102に異常が生じたときには、第2CPU104によりバックアップする、即ち、第1CPU102と第2CPU104との間で動作状態を相互監視して、どちらか一方に異常が生じたときには、正常な他方によりバックアップするものとしても構わない。こうすれば、より確実な異常対処が可能となる。この場合、実施例のハイブリッド自動車20の第1CPU102と同様のバックアップのための系を第2CPU104にも設ければよい。 【0041】実施例のハイブリッド自動車20では、第2CPU104に異常が生じたときに第1CPU102によりモータMG1,MG2を駆動制御する際に、機能の制限として、キャリア周波数を通常よりも低く設定したり、オープンループ制御に移行したり、矩形波による制御や過変調PWM領域での制御を禁止するように設定したりしたが、第1CPU102の処理性能やモータMG1,MG2の仕様に応じて、車輌の待避走行に支障をきたさない範囲内で適宜制御機能の制限を設定するものとしてもよい。例えば、モータMG1,MG2を制御する際のキャリア周波数を通常の周波数とすると共にモータMG1,MG2をオープンループにより制御するものとしてもよく、モータMG1,MG2をフィードバックにより制御すると共にキャリア周波数を通常の周波数よりも低い周波数に設定するものとしても構わない。また、第1CPU102の処理性能が、モータMG1,MG2を通常の制御により十分処理可能な程度に高性能であれば、制御機能の制限を行なわないものとしても構わない。 【0042】実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2を制御する第2CPU104に異常が生じたとき、モータMG1を制御する第1CPU102によりバックアップするものとしたが、ハイブリッドECU100やエンジンECU28、バッテリECU62などによりバックアップするものとしても構わない。 【0043】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、ハイブリッド自動車以外の装置における複数の制御手段のうちの一部の異常に伴うバックアップなどに適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
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| 【出願日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−32805(P2003−32805A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月31日(2003.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−207032(P2001−207032) |
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