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【発明の名称】 2次電池の昇温制御装置
【発明者】 【氏名】安部 孝昭
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】ハイブリット型車両に搭載される2次電池を効率よく昇温させる。

【解決手段】ハイブリット型車両を制御するコントローラ14は、車両を駆動するときに、2次電池の放電可能出力をチェックし、所定値Aより小さい場合は、2次電池を最大放電可能出力で放電させる。放電によって、電池温度が上昇し、それに伴って上昇する放電可能出力の増加率をチェックする。増加する場合は、放電が可能として続けて放電させる。増加率がゼロとなった場合には、エンジンによる充電を行う。このように電池を昇温させるための放電は、放電可能出力が増加する範囲内で行われるから、過放電によって、放電可能出力が低下することを防止し、ハイブリット型車両の燃費性能の向上に寄与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2次電池と当該2次電池に対して充電可能な動力源が搭載されるハイブリット型車両において、前記2次電池の温度が低いときに、該2次電池を放電させ、温度を上昇させる2次電池の昇温制御装置であって、放電の時間経過に対する2次電池の放電可能出力の増加率を演算する増加率演算手段と、モード切り替え手段とを有し、前記モード切り替え手段は、前記演算された放電可能出力の増加率に応じて、前記2次電池を放電から充電に切り替えることを特徴とする2次電池の昇温制御装置。
【請求項2】 昇温終了手段を設け、該昇温終了手段は、前記2次電池の充電完了時の放電可能出力を所定値と比較し、該放電可能出力が前記所定値より小さい場合には、前記2次電池を昇温させるための放電、充電を繰り返すように制御することを特徴とする請求項1記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項3】 前記増加率演算手段は、前記2次電池の充電量を演算し、演算された充電量と2次電池の温度とに基づいて、放電可能出力を演算し、時間に対する放電可能出力の増加率を演算することを特徴とする請求項1または2記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項4】 前記モード切り替え手段は、前記演算された放電可能出力の増加率を所定値と比較し、前記放電可能出力の増加率が所定値以下となった時に、前記2次電池を放電から充電に切り替えることを特徴とする請求項1、2または3記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項5】 前記所定値は、前記2次電池が充電完了時の充電量に応じて変化するものとすることを特徴とする請求項4記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項6】 前記所定値は、2次電池の温度に応じて変化するものとすることを特徴とする請求項4記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項7】 前記所定値は、2次電池の充電完了時の放電可能出力に応じて変化するものとすることを特徴とする請求項4記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項8】 前記動力源は、エンジンによって駆動される発電手段であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の2次電池の昇温制御装置。
【請求項9】 前記動力源は、燃料電池であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の2次電池の昇温制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイブリット型車両に搭載された駆動用の2次電池の昇温制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学反応を伴う2次電池は、電池温度が低下すると内部抵抗が大きくなり、放電可能出力(放電パワー)が低下してしまう。このため、温度の低い環境でハイブリット型車両を使用すると、車両性能の低下を発生することがある。
【0003】図6は、2次電池とエンジンの両方が搭載されるパラレルハイブリット型車両における2次電池の放電可能出力に対する車両の燃料消費率を示す図である。横軸に2次電池の放電可能出力、縦軸に車両の燃料消費率を示す。図において、曲線1は2次電池を放電しながら走行する場合の燃料消費率を示し、曲線2は2次電池を充電しながら走行する場合の燃料消費率を示している。2次電池を充電しながら走行する場合は、エンジン駆動により発電機を作動させ2次電池を充電するので、2次電池を放電しながら走行する場合に比べ、2次電池を充電するエネルギー分燃料消費率が低下する。
【0004】2次電池の放電可能出力が大きいほどモーターを駆動源とした走行距離が長くできるため、車両発進時であるエンジン低回転時の低効率運転状態を十分に回避できるので、燃料消費率が良くなる。2次電池の放電可能出力がゼロとなると、通常のエンジンのみ搭載車両の燃料消費率になり、2次電池の放電可能出力が設計値通りに出せるようになると、本来のパラレルハイブリット型車両の高燃費性能を発揮できるようになる。
【0005】常温時での2次電池の性能で車両の燃費性能の設計を行うと、低温での燃費性能が低下し、また、低温時での2次電池の性能での燃費性能の設計を行うと、2次電池を多く搭載することになり、2次電池のコストアップや2次電池の重量増加による車両の燃費性能が低下してしまうから、通常、低温時の2次電池性能を多少犠牲にして、車両の燃費性能の設計を行うことになる。このため、2次電池が低温での車両走行は、常温での走行と比べて燃費性能が大きく低下することになるが、2次電池を早く昇温させることができれば、燃費性能を向上させることができる。
【0006】2次電池を最も早く昇温させる方法としては、2次電池が流せる最大電流値を車両駆動用モーター及び補機に流すことが考えられる。例えば特開平11−26032号公報では、2次電池が流せる最大電流値を車両駆動用モーター及び補機に流し、2次電池を昇温するにより低温時の車両性能を向上させる技術が記載されている。
【0007】上記技術は、放電による昇温のため、2次電池のみ搭載の電気自動車の場合は、充電量SOCの低下にならない程度でしか昇温できないが、例えば走行しながら充電可能なパラレルハイブリット型車両に適用した場合は、放電時間を長く設定することができるので、より効果的に2次電池を昇温させることができる。この場合は、例えば2次電池が流せる最大電流値を車両駆動モーターおよび補機に流して、2次電池の充電量SOCが低下したら、2次電池を発電機で充電し、2次電池の充電量SOCがある所定値以上となると充電をやめ、再度、2次電池が流せる最大電流値を車両駆動用モーター及び補機に流し、これを繰り返すことによって2次電池を昇温させることができる。
【0008】図7は、充電と放電を繰り返し行って2次電池を昇温させる場合の2次電池の放電可能出力と燃料消費率を示す図である。横軸に時間、縦軸に2次電池の放電可能出力及び車両の燃料消費率を示している。ここで、2次電池を放電しながらの走行から、2次電池を充電しながらの走行の切り替えは、2次電池の放電可能出力が所定値を下回った場合に行うものとした。この所定値を切り替え下限値(閾値)とする。また、2次電池を充電しながらの走行から、2次電池を放電しながらの走行の切り替えは、2次電池の充電量が所定値を上回った場合に行うものとした。この充電量所定値を切り替え上限値とする。
【0009】時間領域■は、低温による放電可能出力が切り替え下限値より小さい領域である。時間領域■では、2次電池の放電可能出力が切り替え下限値以下であるため2次電池を充電しながら走行し、2次電池の充電量SOCが切り替え上限値を超えると2次電池を放電しながらの走行を行い、これらの走行を短い時間周期で繰返している。時間領域■での燃料消費率は、2次電池を充電する時間が長いことと2次電池の放電可能出力が低いため、燃料消費率は悪い。
【0010】時間領域■では、2次電池の放電可能出力が切り替え下限値以上なので、2次電池を放電しながらの走行を行っている。時間領域■での燃料消費率は、2次電池の放電による昇温が2次電池放電可能出力を増加させるため、時間領域■より燃料消費率は良くなっている。放電による2次電池の放電可能出力が切り替え下限値以下となると、時間領域■に移行する。
【0011】時間領域■では、2次電池を充電しながらの走行を行っている。時間領域■での燃料消費率は、2次電池の充電量SOC増加による2次電池の放電可能出力の増加により、燃料消費率は時間の経過とともに良くなっている。2次電池の充電量SOCが切り替え上限値以上となると、時間領域■に移行する。以下、2次電池を放電しながらの走行と2次電池を充電しながらの走行を繰り返して行い、2次電池を昇温させる。2次電池の温度上昇によって、放電可能出力が上昇する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記時間領域■で示したように、放電によって2次電池の温度が上昇し、それにしたがって、放電可能出力も向上する一方で、長時間放電を行うと、今度は、充電量SOCの低下が発生し、図において、10分をピークに放電可能出力が逆に低下することになる。このようになると、図6に示す2次電池の放電可能出力と燃料消費率の関係から車両の燃料消費率が逆に低下するといった問題点があった。
【0013】また、このようなことを招かないために、例えば2次電池を放電させながら走行する時間を短くし、充電量SOCを維持しながら放電すると、2次電池の昇温による放電可能出力向上効果が十分に得られず、燃料消費率が向上しないといった問題が生じる。本発明は、上記従来の問題点に着目してなされたもので、放電可能出力を低下させずに、2次電池を昇温させることのできる2次電池の昇温制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、2次電池と当該2次電池に対して充電可能な動力源が搭載されるハイブリット型車両において、前記2次電池の温度が低いときに、該2次電池を放電させ、温度を上昇させる2次電池の昇温制御装置であって、放電の時間経過に対する2次電池の放電可能出力の増加率を演算する増加率演算手段と、モード切り替え手段とを有し、前記モード切り替え手段は、前記演算された放電可能出力の増加率に応じて、前記2次電池を放電から充電に切り替えるものとした。
【0015】請求項2記載の発明は、昇温終了手段を設け、該昇温終了手段は、前記2次電池の充電完了時の放電可能出力を所定値と比較し、該放電可能出力が前記所定値より小さい場合には、前記2次電池を昇温させるための放電、充電を繰り返すように制御するものとした。
【0016】請求項3記載の発明は、前記増加率演算手段が、前記2次電池の充電量を演算し、演算された充電量と2次電池の温度とに基づいて、放電可能出力を演算し、時間に対する放電可能出力の増加率を演算するものとした。
【0017】請求項4記載の発明は、前記モード切り替え手段が、前記演算された放電可能出力の増加率を所定値と比較し、前記放電可能出力の増加率が所定値以下となった時に、前記2次電池を放電から充電に切り替えるものとした。
【0018】請求項5記載の発明は、前記所定値が、前記2次電池が充電完了時の充電量に応じて変化するものとした。
【0019】請求項6記載の発明は、前記所定値が、2次電池の温度に応じて変化するものとした。請求項7記載の発明は、前記所定値が、2次電池の充電完了時の放電可能出力に応じて変化するものとした。
【0020】請求項8記載の発明は、前記動力源が、エンジンによって駆動される発電手段であるものとした。請求項9記載の発明は、前記動力源が、燃料電池であるものとした。
【0021】
【発明の効果】請求項1記載の発明では、2次電池を放電するときに、放電の時間経過に対する2次電池の放電可能出力の増加率を演算し、その値に応じて2次電池を放電から充電に切り替えるから、例えば増加率がゼロの時点で放電を充電に切り替えることができる。この場合、温度の上昇で放電可能出力を向上させることができるとともに、さらなる放電で放電可能出力が低下することを防止することができる。
【0022】請求項2記載の発明では、昇温終了手段は、満充電時の放電可能出力が所定値より小さい場合には、2次電池を昇温させるための放電、充電を繰り返すように制御するから、設定された放電可能出力になるまで、2次電池を昇温させることができる。
【0023】2次電池の放電可能出力は、2次電池内部抵抗と開放電圧から求めることができる。2次電池内部抵抗は、2次電池の温度と2次電池の充電量から決まり、2次電池の開放電圧は、2次電池の充電量から決まっている。このため、請求項3記載の発明では、2次電池の充電量を演算し、演算された充電量と2次電池の温度とに基づいて、放電可能出力を演算し、時間に対する放電可能出力の増加率を演算するから、電圧センサーと電流センサーおよび2次電池の温度を計測する温度センサーを設け、各計測値を用いて放電可能出力を演算することができる。この演算は、特に、開放電圧が充電量に大きく依存するリチウムイオン電池に対して高い精度で求めることができる。
【0024】請求項4記載の発明では、放電可能出力の増加率を所定値と比較して、放電可能出力が所定値以下になったときに、2次電池を放電から充電に切り替えるから、所定値を設定するだけで、目的に応じて切り替えるタイミングを設定することができる。
【0025】請求項5記載の発明では、放電から充電に切り替えるタイミングを判断するための所定値を充電量に応じて変化するようにしたから、充電量と対応関係をもち、さらに燃料消費率を向上させることが可能である。
【0026】請求項6記載の発明では、放電から充電に切り替えるタイミングを判断するための所定値を2次電池の温度に応じて変化するようにしたから、2次電池の温度と対応関係をもち、さらに燃料消費率を向上させることが可能である。
【0027】請求項7記載の発明では、放電から充電に切り替えるタイミングを判断するための所定値を放電可能出力に応じて変化するようにしたから、放電可能出力と対応関係をもち、さらに燃料消費率を向上させることが可能である。
【0028】請求項8記載の発明では、動力源としてエンジンに駆動される発電手段を用いるので、ハイブリット型車両として、エンジン搭載のハイブリット型車両を用いることができる。これによって、エンジンを駆動するためのガソリンなどの燃費性能が向上する。請求項9記載の発明では、動力源として燃料電池を用いるので、ハイブリット型車両として燃料電池発電システム搭載のハイブリット型車両を用いることができる。これによって、燃料電池を駆動する水素、酸素などの燃費性能が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を実施例により説明する。図1は、第1の実施例として、本発明を適用したハイブリット型車両の構成を示す図である。図において、実線は機械力の伝達経路を示し、点線は電力線を示す。また、破線は制御線を示す。車両のパワートレインは、発電モーター1、エンジン2、クラッチ3、駆動モーター4、無段変速機5、差動装置6および2つの駆動輪7から構成される。発電モーター1の出力軸、エンジン2の出力軸およびクラッチ3の入力軸は互いに連結されており、また、クラッチ3の出力軸、駆動モーター4の出力軸および無段変速機5の入力軸は互いに連結されている。
【0030】クラッチ3が締結時はエンジン2と駆動モーター4が車両の推進源となり、クラッチ3が解放時は駆動モーター4のみが車両の推進源となる。駆動モーター4およびクラッチ3を介して伝達されるエンジン2の駆動力は、無段変速機5、差動装置6を介して2つの駆動輪7へ伝達される。
【0031】発電モーター1、駆動モーター4は三相同期電動機または三相誘導電動機などの交流電動機であり、発電モーター1は主としてエンジン始動と発電に用いられ、駆動モーター4は主として車両の推進と制動に用いられる。
【0032】クラッチ3はパウダークラッチであり、伝達トルクを調節することができる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。発電モーター1、駆動モーター4はそれぞれ、インバーター8、9により駆動される。インバーター8、9は共通のDCリンク10を介して2次電池11に接続されており、2次電池11の直流充電電力を交流電力に変換して発電モーター1、駆動モーター4へ供給するとともに、発電モーター1、駆動モーター4の交流発電電力を直流電力に変換して2次電池11を充電する。
【0033】なお、インバーター8、9は互いにDCリンク10を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力を、2次電池11を介さずに直接、力行運転中のモーターヘ供給する。2次電池11の電力はDCリンク10を介しDC/DCコンバーター12に接続され、車両の補機13に電力を供給する。
【0034】コントローラー14は、エンジン2の回転速度、出力パワーおよびトルク、クラッチ3の伝達トルク、発電モーター1、駆動モーター4の回転速度およびトルク、無段変速機5の変速比、2次電池11の充放電などを制御する。コントローラー14には、2次電池11の温度TBを検出する温度センサー15、2次電池11の端子電圧VBを検出する電圧センサー16及び2次電池11の電流値IBを検出する電流センサー17からの信号が入力され、2次電池11の充電量SOCを演算する機能をもっている。
【0035】また、2次電池11の温度TBと2次電池11の充電量SOCに対する2次電池11の放電可能出力と充電可能出力のマップデータをもっており、測定された2次電池温度TBと演算された充電量SOCに基づいて、マップデータから2次電池の放電可能出力PBと充電可能出力を演算するようになっている。
【0036】コントローラー14は、運転時に、車両の運転状態に応じて、エンジン2と駆動モーター4の駆動力配分を演算し、燃料消費率が最大となるように車両の制御を行う。運転の初期は、2次電池の放電可能出力で2次電池の温度を判断し温度が低い場合は、2次電池を放電させて昇温させる。本実施例では、2次電池11はリチウムイオン2次電池を用いる。
【0037】次に、図2のフローチャートにしたがって、コントローラーにおける2次電池を昇温させるための制御の流れを説明する。この制御は、イグニションスイッチがオンされて開始する。
【0038】ステップ100において、2次電池の放電可能出力PBを所定値Aと比較する。2次電池の放電可能出力PBは、電圧センサー16が検出した2次電池の開放電圧値から2次電池の充電量SOCを演算し、充電量SOCと温度センサー15が検出した2次電池の温度値とで、マップデータから求める。所定値Aは、設計値としての燃費性能を維持できる最低の放電可能出力であり、2次電池の温度と放電出力可能の特性で車両実験によって得るようになっている。
【0039】放電可能出力PBが所定値A以上の場合は、2次電池11から設定値通りの放電可能出力が得られるので、ステップ108へ進む。その後は、車両の運転状況に応じて低速高負荷の運転領域では、2次電池の駆動力で車両を駆動する。エンジン2の効率が高い領域では、エンジンを起動させて車両を駆動する。ステップ100の比較で、2次電池の放電可能出力PBが所定値Aより小さい場合には、2次電池の温度が低いため、ハイブリット車として設計値通りの燃費性能が得られないと判断し、ステップ101へ進む。
【0040】ステップ101において、車両駆動に必要な動力PVと2次電池の放電可能出力PBとが比較され、車両駆動に必要な動力PVが2次電池の放電可能出力PBより大きい場合には、ステップ102へ進む。車両駆動に必要な動力PVが2次電池の放電可能出力PB以下の場合には、ステップ103へ進む。
【0041】ステップ102では、車両駆動に必要な動力PVを2次電池の放電可能出力PBでの駆動モーターによる駆動と、残り(PV−PB)のエンジンによる駆動とに駆動力配分を行って、車両制御を行う。ステップ103では、車両駆動に必要な動力PVを2次電池で駆動し、残り(PB−PV)の電力を補機へ供給し、2次電池からの放電電力がPBとなるように制御する。ステップ101、102、103は、2次電池を放電しながら走行するモードを形成する。この走行モードを放電モードとする。放電モードでは、2次電池は最大放電可能出力で放電を行う。
【0042】ステップ102または103が終了するとステップ104へ進み、ここで、放電時間の経過に対する2次電池の放電可能出力の増加率(dPB)/dtを演算する。ステップ105においては、放電可能出力の増加率(dPB)/dtを所定値Bと比較する。ここで、所定値Bは、ゼロと設定される。(dPB)/dtが所定値B以上の場合は、放電が放電可能出力の増加をもたらしているので、ステップ101に戻り、放電を続ける。
【0043】時間に対する放電可能出力の増加率が所定値Bより小さい場合には、ステップ106へ進み、2次電池を充電しながら走行する充電走行モードヘ移行する。充電走行モードでは、車両はエンジンのみを動力源として走行を続け、エンジンの駆動力の一部で発電モーター1を駆動し発電電力を2次電池11に充電する。ステップ107においては、2次電池の充電量SOCを所定値と比較して、満充電になったか否かを判断する。満充電になっていない場合は、ステップ106に戻り、充電を続ける。
【0044】充電量が所定値より大きく、2次電池が満充電になった場合には、充電走行モードを終了し、ステップ100に戻る。ステップ100で、再度2次電池の放電可能出力が所定値Aより小さいと判断されれば、上記制御を繰り返し、2次電池の放電可能出力がハイブリット型車両の燃費性能が設計値になるまで、放電走行モードと充電走行モードを繰り返すことになる。
【0045】図3は、2次電池昇温時の燃料消費率を示す図である。横軸に時間、縦軸に2次電池の放電可能出力及び走行開始からの車両の燃料消費率を示している。時間領域■は、時間に対する2次電池の放電可能出力の増加率がゼロ以上の領域である。この領域では、放電可能出力の増加率がゼロ以上であるため、2次電池を放電しながらの走行を行っている。時間領域■での燃料消費率は、2次電池の放電による昇温が2次電池の放電可能出力を増加させるため、時間の経過とともに燃料消費率が良くなっている。2次電池の放電可能出力の増加率がゼロより小さいものとなると、時間領域■に移行する。
【0046】時間領域■では、2次電池を充電しながらの走行である。時間領域■での燃料消費率は、2次電池を充電しながらの走行なので、2次電池の充電量SOCの増加による2次電池の放電可能出力の増加により、燃料消費率は時間の経過とともに良くなっている。2次電池の充電量が所定値より大きく満充電となると、時間領■に移行する。以下、2次電池を放電しながらの走行と2次電池を充電しながらの走行を繰り返えして、走行が行われる。そして、放電可能出力が所定値Aに達すると、2次電池が所定温度に達したとして昇温を終了する。
【0047】本実施例は、以上のように構成され、2次電池を早く昇温できるとともに、過放電による放電可能出力が低下することを防止することができる。図4は、従来技術を適用したときの燃料消費率と本発明を適用したときの燃料消費率を並べた図である。横紬に時間、縦軸に走行開始からの車両の平均燃料消費量を示している。曲線1は本発明を適用した場合の燃料消費率を示し、曲線2は従来の技術を利用した場合の燃料消費率を示している。図によれば、走行時間を問わず、本発明を適用した方が燃料消費率が低下していることがわかる。
【0048】なお、本実施例では、放電走行モードを充電走行モードに切り替えるための所定値Bは、ゼロとしたが、これに限らず、必要に応じて変えることができる。また、その値を一定値とせず、例えば温度の上昇によって、変化する満充電時の充電量SOC、放電可能出力および2次電池の温度と対応させて、変化させることができる。この場合、より細かな放電を制御することができ、燃料消費率を一層向上させることが可能である。
【0049】本実施例では、発電モーター1、駆動モーター4は交流電動機を用いたが、これに限らず直流電動機を用いることができる。また、発電モーター1、駆動モーター4に直流電動機を用いる場合には、インバーター8、9は代わりにDC/DCコンバーターを用いる。発電モーター1と駆動モーター4の役割として、クラッチ3締結時に、発電モーター1を車両の推進と制動に用い、駆動モーター4をエンジン始動や発電に用いることもできる。
【0050】さらに、クラッチ3は、パウダークラッチの代わりに乾式単板クラッチや湿式多板クラッチを用いることもできる。本実施例においては、ステップ105は、モード切り替え手段を構成する。ステップ100は、昇温終了手段を構成する。ステップ104は、増加率演算手段を構成する。
【0051】次に、第2の実施例について説明する。本実施例は、本発明を燃料電池発電システム搭載のハイブリット型車両に適用した場合である。図5は、燃料電池発電システム搭載のハイブリット型車両の構成を示す図である。燃料電池発電システム26で発生する電力は、DC/DCコンバーター25で電圧変換されたのち、インバーター22にて交流に変換されてモータ21を駆動しモーターに連結されている車輪23を駆動する。DC/DCコンバーター25の出力端に、2次電池27とDC/DCコンバータ32が接続され、燃料電池発電システム26は、2次電池に対して充電を行うとともに、DC/DCコンバーター32を介して補機33を駆動することができるようになっている。燃料電池発電システムとDC/DCコンバーター25は、第1の実施例でのエンジンの役割を果たしている。
【0052】燃料電池発電システム26単独で発電する電力で、十分な駆動力を発生できないとき、あるいは燃料消費率が悪いとき、2次電池27が放電し、補機33およびモーター21を駆動するようになっている。燃料電池発電システム26、補機33の動作および2次電池の充放電は、コントローラー31で制御される。コントローラー31は、車両の運転状況に応じて2次電池27と燃料電池発電システム26の電力配分を決定し車両制御を行う。コントローラー31は、車両駆動の初期に、2次電池を放電させることによって所定の放電可能出力になるまで2次電池を昇温させる。制御の流れは、エンジン出力が燃料電池発電システムの発電出力に変わるほかは、第1の実施例の図2のフローチャートと同じである。
【0053】すなわち、電圧センサー16が検出した2次電池27の開放電圧値から2次電池の充電量SOCを演算し、充電量SOCと温度センサー15が検出した2次電池の温度値とで、マップデータから2次電池の放電可能出力PBを演算し、その演算値を所定値Aと比較する。2次電池の放電可能出力PBが所定値Aより小さい場合には、2次電池の温度が低いため、ハイブリット車として設計値通りの燃費性能が得られないと判断し、放電させて昇温させるように制御する。
【0054】放電させるには、まず、車両駆動に必要な動力PVと2次電池の放電可能出力PBとが比較され、車両駆動に必要な動力PVが2次電池の放電可能出力PBより大きい場合には、2次電池を放電可能出力PBで出力させ、残り(PV−PB)を燃料電池発電システムの発電で出力させてモーターを駆動するように制御する。車両駆動に必要な動力PVより2次電池の放電可能出力のほうが大きい場合には、2次電池に放電電力PVを車両駆動に出力させ、残り(PB−PV)の電力を補機へ供給し、2次電池からの放電電力がPBとなるように制御する。放電時間の経過に対する2次電池の放電可能出力の増加率(dPB)/dtを演算し、所定値Bと比較する。(dPB)/dtが所定値B以上の場合は、放電が放電可能出力の増加をもたらしているので、放電を続ける。
【0055】時間に対する放電可能出力の増加率が所定値Bより小さい場合には、2次電池を充電しながら走行するように制御する。このとき、車両は燃料電池発電システムのみを動力源として走行を続け、発電力の一部を2次電池に充電する。2次電池が満充電になった場合は、再度2次電池の放電可能出力が所定値Aと比較され、2次電池の放電可能出力がハイブリット型車両の燃費性能が設計値になるまで、放電と充電を繰り返して、2次電池を昇温させる。そのほかは、第1の実施例と同じように構成され、その詳しい説明は、ここでは、省略する。本実施例によっても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【代理人】 【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男 (外2名)
【公開番号】 特開2003−32804(P2003−32804A)
【公開日】 平成15年1月31日(2003.1.31)
【出願番号】 特願2001−219014(P2001−219014)