| 【発明の名称】 |
動力出力装置およびこれを備える自動車 |
| 【発明者】 |
【氏名】多賀 豊 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【氏名】近藤 宏一 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【氏名】梶 恭士 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
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| 【要約】 |
【課題】内燃機関からの動力を効率よく異なる二つの駆動軸に出力すると共に装置の小型化を図る。
【解決手段】エンジン22のクランクシャフト26とモータMG1の回転軸とに接続された3軸式の動力分配統合機構30の出力軸に、この出力軸に作用する動力を後輪58a,58bの車軸56に連結された第1駆動軸50と前輪68a,68bの車軸66に連結された第2駆動軸60とに分配する動力分配機構40を取り付け、第1駆動軸50と第2駆動軸60にモータMG2とモータMG3を取り付ける。そして、要求動力に見合う動力が効率よくエンジン22から出力されるようエンジン22を運転制御すると共にエンジン22の制御に伴ってモータMG1により発電される電力をモータMG2とモータMG3とにより消費するようモータMG1〜MG3を駆動制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の駆動軸と第2の駆動軸とに動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な第1の電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸と第3の軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸に動力を入出力したときに該2軸に従属した動力を残余の軸から入出力する3軸式動力分配統合手段と、前記第3の軸の動力を前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸の2軸に分配する動力分配手段と、を備える動力出力装置。 【請求項2】 前記第1の駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機を備える請求項1記載の動力出力装置。 【請求項3】 前記第3の軸に動力を出力可能な第2の電動機を備える請求項1記載の動力出力装置。 【請求項4】 前記第2の駆動軸に動力を出力可能な第3の電動機を備える請求項2または3記載の動力出力装置。 【請求項5】 前記内燃機関から出力される動力が前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸とに分配されて出力されるよう該内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機と前記第3の電動機とを駆動制御する駆動制御手段を備える請求項4記載の動力出力装置。 【請求項6】 前記駆動制御手段は、前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段である請求項5記載の動力出力装置。 【請求項7】 前記駆動制御手段は、要求駆動力が所定駆動力未満のときには前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機により消費されるよう制御し、前記要求駆動力が所定駆動力以上のときには前記第3の電動機から動力を出力すると共に前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段である請求項5または6記載の動力出力装置。 【請求項8】 第1の車軸と第2の車軸とを備える自動車であって、請求項1ないし7いずれか記載の動力出力装置を備え、前記第1の車軸と前記第1の駆動軸とが接続され、前記第2の車軸と前記第2の駆動軸とが接続されてなる自動車。 【請求項9】 請求項5ないし7いずれか記載の動力出力装置を備える請求項8記載の自動車であって、前記第1の車軸および前記第2の車軸に取り付けられた各車輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、該検出された各車輪の車輪速に基づいていずれかの車輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記スリップ検出手段がいずれかの車輪のスリップを検出したとき、該スリップしている車輪の車軸に動力を出力可能な電動機から該スリップが抑制される方向の動力が出力されるよう該電動機を駆動制御すると共に前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段である自動車。 【請求項10】 前記駆動制御手段は、前記スリップしている車輪の車軸に動力を出力可能な電動機から出力する動力を減少させ、該減少させた分だけ他の車軸に動力を出力可能な電動機から出力する動力を増加するよう制御する手段である請求項9記載の自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およびこれを備える自動車に関し、詳しくは、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに動力を出力する動力出力装置およびこれを備える自動車に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の動力出力装置を備える自動車としては、内燃機関からの動力を前後輪に分配する動力分配機構(トランスファ)を備える4輪駆動車が種々提案されている。こうした4輪駆動車では、通常、内燃機関からの動力を変速機で変速し、この変速した後の動力を動力分配機構によって前後輪に分配している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】内燃機関からの動力を変速機により変速して車軸に出力する自動車では、車速と変速機の変速比と内燃機関の回転数との関係から内燃機関を常に高効率で運転することが困難な場合が多いため、エネルギの有効利用や環境保護の観点から、自動車全体のエネルギ効率の向上を図ることが大きな課題とされている。また、こうした自動車に搭載する動力出力装置は、限られたスペースに取り付けられることから、その小型化も課題の一つとされている。 【0004】こうした課題を解決する手法として、変速機として無段変速機を用いて内燃機関をできる限り効率よく運転できる領域で運転しようとするものや、内燃機関からの動力をプラネタリギヤと二つの電動機を用いてトルク変換して駆動軸に出力するものなどが提案されている。 【0005】出願人も、内燃機関からの動力をプラネタリギヤと二つの電動機を用いてトルク変換して駆動軸に出力する動力出力装置を4輪駆動車に適用したものを提案している(特願平8−148678号)。 【0006】本発明の動力出力装置は、内燃機関からの動力を効率よく異なる二つの駆動軸に出力することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置は、装置の小型化を目的の一つとする。本発明の自動車は、全体としてのエネルギ効率の向上と環境保護に資することを目的の一つとする。また、本発明の自動車は、いずれかの駆動輪がスリップしたときでも要求駆動力を出力することを目的の一つとする。 【0007】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の動力出力装置およびこれを備える自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。 【0008】本発明の動力出力装置は、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な第1の電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸と第3の軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸に動力を入出力したときに該2軸に従属した動力を残余の軸から入出力する3軸式動力分配統合手段と、前記第3の軸の動力を前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸の2軸に分配する動力分配手段と、を備えることを要旨とする。 【0009】この本発明の動力出力装置では、内燃機関からの動力を3軸式動力分配統合手段と第1の電動機とにより所望の動力として第3の軸に出力し、この第3の軸の動力を動力分配手段により第1の駆動軸と第2の駆動軸とに分配する。したがって、内燃機関の運転ポイントを効率の高い運転ポイントで運転することができ、装置のエネルギ効率を向上させることができる。また、トルクコンバータやトランスミッションを備えるものに比して小型化を図ることができる。 【0010】こうした本発明の動力出力装置において、前記第1の駆動軸に動力を出力可能な第2の電動機を備えるものとすることもできる。こうすれば、第1の駆動軸に所望の動力を出力することができる。 【0011】また、本発明の動力出力装置において、前記第3の軸に動力を出力可能な第2の電動機を備えるものとすることもできる。こうすれば、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに動力を分配する前の第3の軸に所望の動力を出力することができる。 【0012】こうした第2の電動機を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記第2の駆動軸に動力を出力可能な第3の電動機を備えるものとすることもできる。こうすれば、第2の駆動軸に所望の動力を出力することができる。 【0013】この第3の電動機を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記内燃機関から出力される動力が前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸とに分配されて出力されるよう該内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機と前記第3の電動機とを駆動制御する駆動制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関から出力される動力を第1の駆動軸と第2の駆動軸とに出力することができる。 【0014】この駆動制御手段を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記駆動制御手段は、前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、二次電池などの充放電を行なうことなく内燃機関から出力された動力をトルク変換して第1の駆動軸と第2の駆動軸とに分配して出力することができる。 【0015】また、駆動制御手段を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記駆動制御手段は、要求駆動力が所定駆動力未満のときには前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機により消費されるよう制御し、前記要求駆動力が所定駆動力以上のときには前記第3の電動機から動力を出力すると共に前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段であるものとすることもできる。 【0016】本発明の自動車は、第1の車軸と第2の車軸とを備える自動車であって、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を備え、前記第1の車軸と前記第1の駆動軸とが接続され、前記第2の車軸と前記第2の駆動軸とが接続されてなることを要旨とする。 【0017】この本発明の自動車では、基本的に、第1の駆動軸と第2の駆動軸とに動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な第1の電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1の電動機の回転軸と第3の軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸に動力を入出力したときに該2軸に従属した動力を残余の軸から入出力する3軸式動力分配統合手段と、前記第3の軸の動力を前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸の2軸に分配する動力分配手段とを備える動力出力装置を備えるから、内燃機関の運転ポイントを効率の高い運転ポイントで運転することができ、動力出力装置、即ち自動車のエネルギ効率を向上させることができる。 【0018】こうした本発明の自動車のうち動力出力装置が駆動制御手段を備える態様の自動車において、前記第1の車軸および前記第2の車軸に取り付けられた各車輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、該検出された各車輪の車輪速に基づいていずれかの車輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記スリップ検出手段がいずれかの車輪のスリップを検出したとき、該スリップしている車輪の車軸に動力を出力可能な電動機から該スリップが抑制される方向の動力が出力されるよう該電動機を駆動制御すると共に前記第1の電動機により発電される電力が前記第2の電動機と前記第3の電動機とにより消費されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、スリップを抑制することができると共に電気的なエネルギバランスをとることができる。この態様の本発明の自動車において、前記駆動制御手段は、前記スリップしている車輪の車軸に動力を出力可能な電動機から出力する動力を減少させ、該減少させた分だけ他の車軸に動力を出力可能な電動機から出力する動力を増加するよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、要求駆動力を満たしながらスリップを抑制することができる。 【0019】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続されエンジン側の動力を後輪58a,58b用の車軸56にデファレンシャルギヤ54を介して接続された第1駆動軸50と前輪68a,68b用の車軸66にデファレンシャルギヤ64を介して接続された第2駆動軸60とに分配する動力分配機構40と、第1駆動軸50に接続された発電可能なモータMG2と、第2駆動軸60に接続された発電可能なモータMG3と、装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット80とを備える。 【0020】エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット80と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット80からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット80に出力する。 【0021】動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合する第1ピニオンギヤ33と、この第1ピニオンギヤ33とリングギヤ32と噛合する第2ピニオンギヤ34と、第1ピニオンギヤ33と第2ピニオンギヤ34とを自転かつ公転自在に保持するキャリア35とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア35とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア35にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはトランスファ40がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア35から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア35から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32に出力する。なお、実施例では、エネルギ効率の向上の観点から、モータMG1を発電機として機能させているから、動力分配統合機構30は、通常、動力分配機構として機能する。 【0022】動力分配機構40も、動力分配統合機構30と同様に、サンギヤ41とリングギヤ42と第1ピニオンギヤ43と第2ピニオンギヤ44とキャリア45とを備える遊星歯車機構として構成されている。動力分配機構40のリングギヤ42には動力分配統合機構30のリングギヤ32が、サンギヤ41にはモータMG2が取り付けられた第1駆動軸50が接続されており、キャリア35にはモータMG3の取り付けられた第2駆動軸60がギヤ49,チェーンベルト48,ギヤ47を介して接続されている。 【0023】モータMG1,MG2,MG3は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ71,72,73を介してバッテリ75と電力のやりとりを行なう。インバータ71,72,73とバッテリ75とを接続する電力ライン74は、各インバータ71,72,73が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2,MG3のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ75は、モータMG1,MG2,MG3の全体から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2,MG3の全体の電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ75は充放電されない。モータMG1,MG2,MG3は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)70により駆動制御されている。モータECU70には、モータ40を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサからの信号や電流センサにより検出されるモータMG1,MG2,MG3に印加される相電流などが入力されており、モータECU70からは、インバータ71,72,73へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU70は、ハイブリッド用電子制御ユニット80と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット80からの制御信号によってモータMG1,MG2,MG3を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2,MG3の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット80に出力する。バッテリ75は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)76によって管理されている。バッテリECU76には、バッテリ75を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ75の端子間に設置された電圧センサ77からの端子間電圧,バッテリ75の出力端子に接続された電力ライン74に取り付けられた電流センサ78からの充放電電流,バッテリ75に取り付けられた温度センサ79からの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ75の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット80に出力する。なお、バッテリECU76では、バッテリ75を管理するために電流センサ78により検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。 【0024】ハイブリッド用電子制御ユニット80は、CPU82を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU82の他に処理プログラムを記憶するROM84と、データを一時的に記憶するRAM86と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット80には、シフトレバー90の操作位置を検出するシフトポジションセンサ91からのシフトポジションSP,アクセルペダル92の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ93からのアクセル開度AP,ブレーキペダル94の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ95からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ96からの車速V,後輪58a,58bおよび前輪68a,68bに取り付けられた車輪速センサ97a,97b,98a,98bからの車輪速Vw1〜Vw4などが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット80は、前述したように、エンジンECU24やモータECU70,バッテリECU76と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU70,バッテリECU76と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。 【0025】次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作、特にトルク制御の際の動作について説明する。実施例のハイブリッド車20の可能な走行パターンとしては、エンジン22の運転を停止してモータMG2かモータMG3の一方または双方を電動機として駆動して第1駆動軸50や第2駆動軸60に動力を出力して走行する走行パターン1や、モータMG2とモータMG3とを駆動せずにモータMG1を発電機として駆動してバッテリ75の充電を伴いながらエンジン22からの動力を第1駆動軸50および第2駆動軸60に出力して走行する走行パターン2、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ75の充放電を伴いながらエンジン22からの動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行する走行パターン3、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ75の充放電なしにエンジン22からの動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行する走行パターン4がある。運転者が要求する要求駆動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力する制御は、走行パターン1では、その要求駆動力に基づいてバッテリ75からの電力を用いてモータMG2とモータMG3とを駆動制御すればよく、走行パターン2では、要求駆動力に基づいてエンジン22とモータMG1とを駆動制御すればよい。走行パターン3では、バッテリ75を充放電する電力に相当する動力分だけ走行パターン4におけるエンジン22からの動力を増減すればよい。従って、実施例のハイブリッド車20において基本となる走行パターンは、パターン4であり、運転者が要求する要求駆動力を走行パターン4により第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力する制御が基本となる。 【0026】走行パターン4を更に細分化して考えると、モータMG1により発電した電力をモータMG2とモータMG3とによって消費するパターンAと、モータMG1により発電した電力をモータMG2により消費するパターンBと、モータMG1により発電した電力をモータMG3により消費するパターンCとがある。この3つのパターンのうちのいずれのパターンにより走行してもよいが、モータMG2とモータMG3のサイズを小さくすることを考えればパターンAが好ましい。なお、運転者による要求駆動力の大きさによりパターンを変更するものも好ましい。例えば、運転者による要求駆動力が比較的小さいときにはパターンBかパターンCにより走行し、要求駆動力が比較的大きくなったら、駆動していないモータを駆動してパターンAで走行する場合である。このように基本となる走行パターン4のうち、まずパターンAの制御について説明し、次にパターンB,Cの制御について説明する。 【0027】図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット80により実行されるトルク制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、走行パターン4のパターンAの制御とされたときに、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット80のCPU82は、まず、アクセルペダルポジションセンサ93により検出されるアクセル開度APや車速センサ96により検出される車速Vを読み込む処理を実行する(ステップS100)。そして、読み込んだアクセル開度APと車速Vとに基づいて車軸56および車軸66に要求される要求駆動力としての要求トルクT*と要求動力P*とを計算する(ステップS110)。要求トルクT*の計算は、実施例では、アクセル開度APと車速Vと要求トルクT*との関係を実験などにより設定して予めマップとしてROM84に記憶しておき、アクセル開度APと車速Vとが与えられると、記憶したマップから対応する要求トルクT*が導出されるものとした。アクセル開度APと車速Vと要求トルクT*との関係の一例を示すマップを図3に示す。また、要求動力P*の計算は、次式(1)により求めるものとした。式(1)中、Gvは車速Vを車軸56や車軸66の回転数に変換する変換係数である。 【0028】 【数1】P*=T*×V・Gv (1) 【0029】こうして要求トルクT*と要求動力P*とを求めると、要求動力P*を動力出力装置全体の効率ηaで除してエンジン22から出力すべき目標動力Pe*を計算すると共にこの目標動力Pe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを決定する(ステップS120)。目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、エンジン22から目標動力Pe*を出力可能な運転ポイントのうちエンジン22が最も効率よく運転できる運転ポイントとして設定される。なお、こうした目標回転数Ne*と目標トルクTe*との決定は、実施例では、エンジン22が最も効率よく運転できる運転ポイントとしての出力動力と回転数とトルクとを実験などにより求めて予めマップとしてROM84に記憶しておき、目標動力Pe*が与えられると、記憶したマップから対応する回転数とトルクとを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として導出するものとした。 【0030】目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを決定すると、目標回転数Ne*と車速Vとに基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に目標トルクTe*に基づいてトルク指令Tm1*を計算する(ステップS130)。後輪58a,58bや前輪68a,68bのいずれもがスリップしていないとすれば、車軸56と車軸66は略同一の回転数、即ち車速Vに換算係数Gvを乗じた回転数で回転する。車軸56と車軸66は、動力分配機構40を介して機械的に動力分配統合機構30のリングギヤ32に接続されているから、リングギヤ32の回転数は、車速Vに換算係数を乗じることにより計算することができる。いま、ハイブリッド車20が車速Vで走行し、エンジン22が目標回転数Ne*で回転している状態を考える。この状態では、動力分配統合機構30のキャリア35は目標回転数Ne*で回転し、リングギヤ32は車速Vに換算係数を乗じた回転数で回転する。遊星歯車機構は、3軸のうちの2軸の回転状態が決まれば残余の1軸の回転状態は、2軸の回転状態にギヤ比を考慮すれば一義的に決まるから、モータMG1が取り付けられたサンギヤ31の回転数は、キャリア35の回転数とリングギヤ32の回転数、即ち目標回転数Ne*と車速Vとにより計算できる。また、上述の仮定の状態で、更に、キャリア35に目標トルクTe*のトルクが入力され、このトルクをサンギヤ31とリングギヤ32とに分配して出力する状態を考えれば、キャリア35に入力されたトルクはその大きさとギヤ比により一義的にサンギヤ31とリングギヤ32とに分配できるから、目標トルクTe*とギヤ比によりサンギヤ31に分配されるトルクを計算することができる。従って、このサンギヤ31に分配されるトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*とすれば、トルク指令Tm1*を目標トルクTe*に基づいて計算することができる。 【0031】次に、算出した目標回転数Nm1*と目標トルクTe*との積によりモータMG1により発電される発電電力P1を計算し(ステップS140)、発電電力P1がモータMG2とモータMG3とにより消費されるよう次式(2)および式(3)によりトルク指令Tm2*,Tm3*を計算する(ステップS150)。ここで、式(2)および式(3)中、kはモータMG2とモータMG3の電力の分配比であり、k=1とすればモータMG2のみで電力P1を消費し、k=0とすればモータMG3のみで電力P1を消費することになる。また、Gd1およびGd2は車速Vを第1駆動軸50および第2駆動軸60の回転数に変換する変換係数である。 【0032】 【数2】 Tm2*=k・P1/V・Gd1 (2) Tm3*=(1−k)・P1/V・Gd2 (3) 【0033】こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1の目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*,モータMG3のトルク指令Tm3*を決定すると、この目標値や指令値をエンジンECU24やモータECU70に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を入力したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントで運転されるよう燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を行なう。また、モータMG1の目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*,モータMG3のトルク指令Tm3*を入力したモータECU70は、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようモータMG1を駆動制御すると共にモータMG2およびモータMG3からトルク指令Tm2*,Tm3*のトルクが出力されるようモータMG2およびモータMG3を駆動制御する。 【0034】以上説明したトルク制御ルーチンを実行することにより、走行パターン4のパターンA、即ち、エンジン22から要求駆動力に基づく動力を出力し、この動力を、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2およびモータMG3を電動機として駆動してバッテリ75の充放電なしに第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行するパターンによって走行することができる。 【0035】また、このトルク制御ルーチンにおけるステップS150で電力の分配比kを値1とすることにより、走行パターン4のパターンB、即ち、エンジン22から要求駆動力に基づく動力を出力し、この動力を、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2だけを電動機として駆動してバッテリ75の充放電なしに第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行するパターンによって走行することができる。さらに、このトルク制御ルーチンにおけるステップS150で電力の分配比kを値0とすることにより、走行パターン4のパターンC、即ち、エンジン22から要求駆動力に基づく動力を出力し、この動力を、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG3だけを電動機として駆動してバッテリ75の充放電なしに第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行するパターンによって走行することができる。 【0036】運転者による要求駆動力が比較的小さいときにはパターンBかパターンCにより走行し、要求駆動力が比較的大きくなったら、駆動していないモータを駆動してパターンAで走行する場合には、図2におけるトルク制御ルーチンに代えて図4に例示するトルク制御ルーチンを実行すればよい。この図4のトルク制御ルーチンでは、ステップS140のモータMG1の発電電力P1の計算処理の後に、要求トルクT*に応じて分配比kを決定する処理(ステップS142〜146)を追加し、この決定した分配比kを用いてモータMG2とモータMG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を計算している点を除いて図2のトルク制御ルーチンと同一である。図4のトルク制御ルーチンにおける分配比kの決定処理では、要求トルクT*を閾値Trefと比較し(ステップS142)、要求トルクT*が閾値Tref以上のときには分配比kにTref/T*で計算される値を設定し、要求トルクT*が閾値Tref未満のときには分配比kに値1を設定する。ここで、閾値Trefは、一定値としてもよいし、車速Vに応じて変化するものとしてもよい。このように分配比kを決定すると、要求トルクT*が閾値TrefになるまではモータMG1で発電した電力P1のすべてをモータMG2で消費するよう制御し、要求トルクT*が閾値Tref以上になるとモータMG1で発電した電力P1をモータMG2とモータMG3とにより消費するよう制御することになり、しかも、モータMG3のトルクは要求トルクT*が閾値Trefを超えた分に相当するから、モータMG2では不足するトルクをモータMG3により補うよう制御するものと考えることができる。 【0037】上述した走行パターン3、即ちモータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ75の充放電を伴いながらエンジン22からの動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行する走行パターンを実行する場合では、バッテリ75を充放電する充放電電力Pbを要求動力P*に加えて目標動力Pe*を決定すると共にモータMG1で発電された電力P1から充放電電力Pbを減じたものを用いてモータMG2とモータMG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を計算すればよい。即ち、図2および図4のトルク制御ルーチンにおけるステップS120の目標動力Pe*の計算処理でPe*=P*/ηaに代えてPe*=P*/ηa+Pbにより目標動力Pe*を計算し、ステップS150のモータMG2およびモータMG3のトルク指令Tm2*,Tm3*の計算処理で上述の式(2)および式(3)に代えて次式(4)および式(5)によりトルク指令Tm2*,Tm3*を計算するのである。なお、この例では、要求トルクT*が閾値Tref未満のときにはモータMG2だけを駆動し要求トルクT*が閾値Tref以上のときにモータMG2とモータMG3とを駆動するものとしたが、逆に要求トルクT*が閾値Tref未満のときにはモータMG3だけを駆動し要求トルクT*が閾値Tref以上のときにモータMG2とモータMG3とを駆動するものとしてもよい。 【0038】 【数3】 Tm2*=k・(P1−Pb)/V・Gd1 (4) Tm3*=(1−k)・(P1−Pb)/V・Gd2 (5) 【0039】以上説明した実施例のハイブリッド車20によれば、エンジン22の運転を停止してモータMG2かモータMG3の一方または双方を電動機として駆動して第1駆動軸50や第2駆動軸60に動力を出力して走行する走行パターンや、モータMG2とモータMG3とを駆動せずにモータMG1を発電機として駆動してバッテリ75の充電を伴いながらエンジン22からの動力を第1駆動軸50および第2駆動軸60に出力して走行する走行パターン、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ75の充放電を伴いながらエンジン22からの動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行する走行パターン、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ75の充放電なしにエンジン22からの動力を第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力して走行する走行パターンなどの種々の走行パターンにより走行することができる。しかも、各走行パターンでは、エンジン22を効率のよい運転ポイントで運転することができるから、ハイブリッド車20全体のエネルギ効率を向上させることができる。 【0040】実施例のハイブリッド車20によれば、モータMG1で発電した電力をモータMG2とモータMG3の二つのモータにより消費するから、モータMG1で発電した電力を一つのモータにより消費するものに比して小型化を図ることができる。しかも、アクセル開度APと車速Vに応じて定まる要求トルクT*の大きさに基づいてモータMG1で発電した電力を一つのモータで消費したり二つのモータで消費したりすることができるから、エネルギ効率の高い走行パターンで運転することができる。 【0041】次に、実施例のハイブリッド車20におけるスリップ時のトルク制御について説明する。図5は、後輪58a,58bや前輪68a,68bのいずれかのスリップを考慮したトルク制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このトルク制御ルーチンでは、ステップS100で車輪速Vw1〜Vw4を読み込む点とステップS150の処理とステップS160の処理の間にスリップに伴うモータMG2およびモータMG3のトルク指令Tm2*,Tm3*の設定処理が増加されている点を除いて図2のトルク制御ルーチンと同一である。スリップに伴うモータMG2およびモータMG3のトルク指令Tm2*,Tm3*の設定処理では、まず、後輪58a,58bおよび前輪68a,68bのいずれかがスリップしているか否かの判定を行なう(ステップS151)。このスリップの判定は、車輪速Vw1〜Vw4のうちのいずれかが許容範囲を超えて他の車輪速より大きいか否かにより判定することができる。スリップしていないときには、スリップ判定フラグFsが値0であるかを調べ、スリップ判定フラグFsが値0のときには、ステップS150で設定したモータMG2およびモータMG3のトルク指令Tm1*,Tm3*をエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*と共にエンジン22およびモータECU70に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。 【0042】一方、ステップS151でスリップしていると判定されると、スリップしている車輪に連結されているモータのトルク指令Ts1*を次式(6)に示すように前回のトルク指令Ts1*から所定トルクΔTだけ減じたものとして設定すると共に(ステップS153)、いずれもスリップしていない車輪に連結されているモータのトルク指令Ts2*を式(7)に示すようにステップS150で計算したトルク指令Ts2*にステップS150で計算したトルク指令Ts1*と式(6)で計算したトルク指令Ts1*との偏差を加えたものとして設定し(ステップS154)、スリップ判定フラグFsに値1をセットして(ステップS155)、設定したトルク指令Ts1*,Ts2*をエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*と共にエンジン22およびモータECU70に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。ここで、所定トルクΔTは、トルク制御ルーチンを繰り返し実行する毎にスリップしている車輪の車軸に出力するトルクを減じるトルク量として設定されるものであり、トルク制御ルーチンを繰り返し実行する間隔やハイブリッド車20の走行に必要なトルクなどにより決定される。いま、左後輪58bがスリップしている場合を考えれば、スリップしている車輪に連結されているモータがモータMG2であるから、トルク指令Ts1*はモータMG2のトルク指令Tm2*、トルク指令Ts2*はモータMG3のトルク指令Tm3*となる。従って、ステップS153では、左後輪58bが連結されている第1駆動軸50に取り付けられたモータMG2のトルク指令Tm2*を、前回のトルク指令Tm2*から所定トルクΔTを減じたものとして設定し、ステップS154では、第2駆動軸60に取り付けられたモータMG3のトルク指令Tm3*を、ステップS150で計算されたトルク指令Tm3*にステップS150で計算したトルク指令Tm2*と式(6)で計算したトルク指令Tm2*との偏差を加えたものとして設定する。 【0043】 【数4】 Ts1*←前回Ts1*−ΔT (6) Ts2*←今回Ts2* +(S150のTs1*と式(6)のTs1*との偏差) (7) 【0044】ここで、ステップS153〜S155は、スリップしている間は繰り返し実行されるから、車輪のスリップは停止する。しかも、式(7)では、ステップS150で計算されたトルク指令Ts1*と式(6)で計算されたトルク指令Ts1*との偏差がステップS150で計算されたトルク指令Ts2*に加えられるから、ハイブリッド車20全体のトルクとしては、スリップの有無に拘わらず、要求トルクT*が出力されるようになる。 【0045】ステップS151でスリップしていないと判定されると共にステップS152でスリップ判定フラグFsが値0でないと判定されたときには、スリップに基づくトルク制御の実施中と判定し、前回スリップしていると判定された側のモータの前回のトルク指令Ts1*に所定トルクΔTを加えたものを比較トルクTssとして計算し(ステップS156)、計算した比較トルクTssをステップS150で計算したトルク指令Ts1*と比較する(ステップS157)。ステップS150で計算したトルク指令Ts1*が比較トルクTssより大きいときには、比較トルクTssをスリップ側のモータのトルク指令Ts1*として設定すると共に非スリップ側のモータのトルク指令Ts2*をステップS150で計算したトルク指令Ts2*にステップS150で計算したトルク指令Ts1*と比較トルクTssとの偏差を加えたものとして設定し(ステップS158)、設定したトルク指令Ts1*,Ts2*をエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*と共にエンジン22およびモータECU70に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。前述の左後輪58bがスリップしている場合を考えれば、ステップS158では、比較トルクTssをスリップ側のモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に非スリップ側のモータMG3のトルク指令Tm3*を、ステップS150で計算されたトルク指令Tm3*にステップS150で計算したトルク指令Tm2*と比較トルクTssとの偏差を加えたものとして設定することになる。 【0046】ステップS157でトルク指令Ts1*が比較トルクTss以下のときには、スリップに基づくトルク制御は終了したと判定し、スリップ判定フラグFsに値0をセットして、ステップS150で計算したモータMG2およびモータMG3のトルク指令Tm2*、Tm3*をエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*と共にエンジン22およびモータECU70に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。 【0047】以上説明したスリップ時のトルク制御によれば、後輪58a,58bおよび前輪68a,68bのいずれかがスリップしたときには、スリップした車輪に連結されたモータのトルクを減少させてスリップを抑制すると共にトルクを減らした分だけ他のモータのトルクを増加させてハイブリッド車20に要求された要求トルクT*を作用させることができる。即ち、スリップ時でも要求トルクT*を出力することができる。 【0048】以上説明したスリップ時のトルク制御では、スリップ時でも要求トルクT*を出力するものとしたが、スリップ時には要求トルクT*を出力しないものとしてもよい。 【0049】実施例のハイブリッド車20では、第1駆動軸50にモータMG2を取り付けると共に第2駆動軸60にモータMG3を取り付けるものとしたが、モータMG2を備えないものとしたり、モータMG3を備えないものとしたり、モータMG2もモータMG3も備えないものとしても差し支えない。モータMG2もモータMG3も備えない場合、モータMG1により発電された電力をバッテリ75で蓄え、必要に応じてバッテリ75に蓄えた電力を用いてモータMG1を電動機として駆動するものとすればよい。 【0050】実施例のハイブリッド車20では、第1駆動軸50にモータMG2を取り付け、第2駆動軸60にモータMG3を取り付けるものとしたが、モータMG2かモータMG3の一方を動力分配統合機構30と動力分配機構40とを結合する結合軸39に取り付けるものとしてもよい。例えば、第1駆動軸50からモータMG2を取り外して結合軸39に取り付けた変形例のハイブリッド車20Bを図6に示す。この場合でも上述した図2のトルク制御ルーチンや図4のトルク制御ルーチン、図5のトルク制御ルーチンを実行することができる。 【0051】実施例では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30,動力分配機構40,モータMG1,モータMG2,モータMG3を用いて第1駆動軸50と第2駆動軸60とに出力する動力出力装置を車両に搭載した4輪駆動のハイブリッド車20の形態として説明したが、車両以外の移動体、例えば、船舶や航空機,建設機械などに搭載するものとしても差し支えない。 【0052】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
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| 【出願日】 |
平成13年7月11日(2001.7.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000017 【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
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| 【公開番号】 |
特開2003−32802(P2003−32802A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月31日(2003.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−210589(P2001−210589) |
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