| 【発明の名称】 |
電動車両の電流計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】羽倉 信宏 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士重工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】充放電電流が広範囲に変化する電動車両のバッテリに対し、電流値の大きさに拘わらず計測精度を向上させる。
【解決手段】小電流用電流センサの指示値V(L)を読込み、この指示値V(L)と判定閾値V(1)とを比較する(S1)。その結果、V(L)≧V(1)の場合には、大電流用電流センサを選択して大電流用電流センサからのセンサ出力値に基づく電流計測を行い(S2)、V(L)<V(1)の場合、小電流用電流センサを選択して小電流用電流センサからのセンサ出力値に基づく電流計測を行う(S3)。これにより、広範囲に変化するバッテリの充放電電流に対し、電流計測のダイナミックレンジを確保して電流値の大きさに拘わらず精度の高い電流計測を行うことができ、正確なバッテリ残存容量の把握を可能とすることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動車両に搭載されるバッテリの充電・放電電流を計測する電動車両の電流計測装置であって、上記バッテリからの電源ラインに、電流検出の定格範囲が異なる複数の電流センサを配設し、上記電流センサの指示値に基づいて、上記複数の電流センサの中から上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサを選択する電流センサ選択手段を備えたことを特徴とする電動車両の電流計測装置。 【請求項2】 上記複数の電流センサを、上記バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の上限側を電流検出の定格範囲に含む第1の電流センサと、上記バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の下限側を電流検出の定格範囲に含む第2の電流センサとの2つの電流センサとし、上記電流センサ選択手段は、電流センサ選択の判断基準となる判定閾値を上記第2の電流センサの最大指示値より設定値だけ低い値に設定し、上記第2の電流センサの指示値と上記判定閾値とを比較し、上記第2の電流センサの指示値が上記判定閾値以下のとき、上記第2の電流センサを上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択し、上記第2の電流センサの指示値が上記判定閾値を越えているときには、上記第1の電流センサを上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択することを特徴とする請求項1記載の電動車両の電流計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電動車両に搭載されるバッテリの充電・放電電流を計測する電動車両の電流計測装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両に搭載されるバッテリは、性能を劣化させずに使用するためには全容量の所定範囲内で使用することが重要であり、そのため、バッテリの残存容量を常に把握し、充放電を管理する必要がある。 【0003】このバッテリ残存容量は、例えば、特開平6−167551号公報に開示されているように、バッテリの充放電電流とバッテリ端子電圧とから算出される電力量に基づいて算出されるため、バッテリの充放電電流の計測が正確に行えないと、システムが認識しているバッテリ残存容量が実際の残存容量からずれてくることになり、バッテリの過放電や過充電等を招くことになる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来では、バッテリの充放電電流を1つの電流センサで計測しているため、車両の運転状態に応じて広範囲に変化する充放電電流を必ずしも正確に計測できているとは言えない。 【0005】すなわち、車両のアイドルストップ時には、大電流を要する駆動用モータが停止して電装品等に小電力を要するのみであるため、バッテリの放電電流は僅かであるのに対し、加速時等の高負荷での運転時には、駆動用モータに大電流が流れ、バッテリの消費電力が増大する。従って、このように広範囲に渡る充放電電流を1つの電流センサで計測しようとすると、フルレンジで大電流を計測可能な電流センサを使わざるを得ず、このような電流センサでは、当然ながら、小電流の計測時に得られる測定値の有効桁数が少なくなり、誤差が大きくなる。 【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、充放電電流が広範囲に変化する電動車両のバッテリに対し、電流値の大きさに拘わらず計測精度を向上させることのできる電動車両の電流計測装置を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、電動車両に搭載されるバッテリの充電・放電電流を計測する電動車両の電流計測装置であって、上記バッテリからの電源ラインに、電流検出の定格範囲が異なる複数の電流センサを配設し、上記電流センサの指示値に基づいて、上記複数の電流センサの中から上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサを選択する電流センサ選択手段を備えたことを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記複数の電流センサを、上記バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の上限側を電流検出の定格範囲に含む第1の電流センサと、上記バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の下限側を電流検出の定格範囲に含む第2の電流センサとの2つの電流センサとし、上記電流センサ選択手段は、電流センサ選択の判断基準となる判定閾値を上記第2の電流センサの最大指示値より設定値だけ低い値に設定し、上記第2の電流センサの指示値と上記判定閾値とを比較し、上記第2の電流センサの指示値が上記判定閾値以下のとき、上記第2の電流センサを上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択し、上記第2の電流センサの指示値が上記判定閾値を越えているときには、上記第1の電流センサを上記バッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択することを特徴とする。 【0009】すなわち、請求項1記載の発明は、電動車両に搭載されるバッテリからの電源ラインに、電流検出の定格範囲が異なる複数の電流センサを配設し、電流センサの指示値に基づいて複数の電流センサの中からバッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサを選択することで、広範囲に変化するバッテリの充電・放電電流に対して適切な電流センサを用い、電流計測精度を向上する。 【0010】その際、請求項2記載の発明のように、バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の上限側を電流検出の定格範囲に含む第1の電流センサと、バッテリの充電・放電電流の計測対象範囲の下限側を電流検出の定格範囲に含む第2の電流センサとの2つの電流センサを用いるときには、電流センサ選択の判断基準となる判定閾値を第2の電流センサの最大指示値より設定値だけ低い値に設定し、第2の電流センサの指示値と判定閾値とを比較する。そして、第2の電流センサの指示値が判定閾値以下のときには、第2の電流センサをバッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択し、第2の電流センサの指示値が判定閾値を越えているときには、第1の電流センサをバッテリの充電・放電電流の計測に用いるセンサとして選択する。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図3は本発明の実施の一形態に係わり、図1は電動車両の電源系を示す構成図、図2は電流計測ルーチンのフローチャート、図3は高電圧ラインの実際の電流波形と電流センサの出力波形とを示す説明図である。 【0012】図1において、符号1は、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両に搭載される走行駆動用のモータであり、本形態においては、三相交流誘導電動機である。また、符号2は、モータ1へ電力を供給する主バッテリとなる高電圧バッテリであり、この高電圧バッテリ2に、高電圧バッテリ2からの直流電圧を所定の高周波電圧に変換してモータ1を駆動するためのインバータ3と、高電圧バッテリ2の高電圧を低電圧に変換するためのDC−DCコンバータ4とが並列に接続されている。 【0013】DC−DCコンバータ4には、各種補機類や車両制御用の各種機器等の低電圧負荷6に電源を供給するための低電圧バッテリ(例えば、12Vのバッテリ)5が接続され、高電圧バッテリ2からの高電圧がDC−DCコンバータ4で低電圧に降圧されて低電圧バッテリ5が充電される。尚、高電圧バッテリ2は、例えば、車両の走行中にモータ1からの回生電力によって充電され、バッテリ容量が規定値より低下した場合、図示しない充電器を介して充電される。 【0014】インバータ3及びDC−DCコンバータ4は、電子制御装置(ECU)10によって制御される。ECU10は、マイクロコンピュータを中心として、入出力インタフェース回路、A/D変換回路、インバータ3を制御するためのPWM(パルス幅変調)信号発生回路等のその他の周辺回路を備えて構成されるものであり、インバータ3を介したモータ1の周波数、電圧、電流(すべり)制御、DC−DCコンバータ4を介した低電圧バッテリ5の充電制御、高電圧バッテリ2の電源管理を行う。 【0015】ECU10による高電圧バッテリ2の電源管理においては、高電圧バッテリ2の残存容量を把握することが重要であり、高電圧バッテリ2の充放電電流を計測する必要がある。このため、高電圧バッテリ2の正極側端子からインバータ3及びDC−DCコンバータ4へ至る電源ライン(高電圧ライン)7に、車両の運転状態に応じて広範囲に変化する高電圧バッテリ2の充放電電流に対処するため、電流検出の定格範囲が異なる複数の電流センサが配設されている。 【0016】すなわち、車両のアイドルストップ時には、モータ1及びインバータ3を含む高電圧系に流れる電流は殆ど0であり、低電圧系の電装品へ電力を供給するためのDC−DCコンバータ4への入力電流のみとなるので、高電圧バッテリ2の放電電流は数A程度となる。一方、加速時等の高負荷での運転時には、モータ1及びインバータ3に大電流(例えば、略100Aに近い大電流)が流れるときもある。従って、このような広範囲の電流を1つの電流センサで精度良く計測するためには、特殊なセンサが必要となり、そのような電流センサは現実的には入手困難で、また極めて高価なものとなる。 【0017】このため、一般に入手可能な通常の1つの電流センサで高電圧バッテリ2の広範囲に渡る充放電電流を計測しようとすると、フルレンジで略100A近い大電流を計測可能な電流センサを使わざるを得ず、このような電流センサでは、当然ながら、小電流の計測時に得られる測定値の有効桁数が少なくなり、誤差が大きくなる。例えば、長時間或いは頻繁にアイドルストップ状態を繰返すような状況で電流計測を行うと、計測誤差が重なることになり、バッテリ残存容量の計算値の誤差が大きくなる。 【0018】本形態においては、大電流計測用の第1の電流センサ(以下、大電流用電流センサと記載する)8と、小電流計測用の第2の電流センサ(以下、小電流用電流センサと記載する)9との2つの電流センサを用いており、これらの電流センサ8,9を高電圧ライン7に配設している。大電流用電流センサ8は、高電圧バッテリ2の電流計測対象範囲の上限側を電流検出の定格範囲に含むセンサであり、高負荷運転時等に高電圧バッテリ2から流れる大電流(例えば100A程度まで)を良好な精度で計測可能とする。また、小電流用電流センサ9は、高電圧バッテリ2の電流計測対象範囲の下限側を電流検出の定格範囲に含むセンサであり、アイドルストップ時等に高電圧バッテリ2から流れる小電流(例えば、数A程度)を良好な精度で計測可能とする。 【0019】この場合、高電圧ライン7に大電流が流れると、小電流用電流センサ9は、その計測可能レンジを越えるため、電流を直接的に検出する形式の電流センサ、例えばシャント抵抗等を用いた電流センサでは、過電流に対する保護回路が必要となる。しかしながら、このような電流センサで、長時間、過電流保護回路を働かせたまま使用することは、必ずしも好ましいことではない。従って、本形態では、電流センサとしてホール素子等を利用した非接触式の電流センサを採用しており、高電圧ライン7に大電流が流れる際にも、小電流用電流センサ9の出力値が飽和するのみで、損傷を受けることが無い。 【0020】これらの2つの電流センサ8,9は、ECU10において、計測電流の大きさに応じて選択される。本形態においては、ECU10は、電流センサ選択の判断基準となる判定閾値を小電流用センサ9の最大指示値より設定値だけ低い値に設定し、小電流用電流センサ9の指示値と判定閾値とを比較する。そして、小電流用電流センサ9の指示値が判定閾値以下のときには、小電流用センサ9を選択し、小電流用電流センサ9の指示値が判定閾値を越えているときには、大電流用電流センサ8を選択する。 【0021】すなわち、ECU10は、本発明に係わる電流センサ選択手段としての機能を備え、具体的には、図2のフローチャートに示す電流計測ルーチンにより、その機能を実現する。以下、ECU10による電流計測処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。 【0022】図2は、所定時間或いは所定周期毎に実行される電流計測ルーチンであり、先ず、ステップS1で、小電流用電流センサ9の指示値V(L)を読込み、この指示値V(L)と判定閾値V(1)とを比較し、電流センサの選択判定を行う。判定閾値V(1)は、高電圧ライン7の電流すなわち高電圧バッテリ2の充放電電流を計測する際に使用する電流センサを選択するための判断基準となる電圧値であり、システム構成や電流センサ8,9の特性を考慮して予めシミュレーション或いは実験等により適切な値を求め、ECU10内に固定データとしてストアしておく。 【0023】例えば、電流センサ8,9のフルレンジの電圧出力が共に5Vである場合、図3に示すように、高負荷運転時等の高電圧ライン7に流れる電流値が数十A以上では、大電流用電流センサ8の指示値は、良好な精度を期待できる電圧値を示す一方、小電流用電流センサ9の指示値は、最大出力値で飽和して5Vの状態に張り付いてしまい、計測不能となる。逆に、高電圧ライン7に流れる電流値が数A程度であるときには、大電流用電流センサ8の指示値は微小電圧となって精度を期待できず、小電流用電流センサ9の指示値は、良好な精度を期待できる電圧値を示す。 【0024】このため、小電流用電流センサ9の最大指示値(最大出力電圧)よりも設定値だけ低い電圧値(例えば、4〜4.5V程度)を、電流センサ選択の判定閾値V(1)として設定し、小電流用電流センサ9の指示値が判定閾値V(1)を越える場合には大電流用電流センサ8を選択し、判定閾値V(1)以下であれば小電流用電流センサ9を選択することとする。 【0025】その結果、ステップS1において、V(L)≧V(1)の場合には、ステップS2へ進んで、大電流用電流センサ8からのセンサ出力値に基づく電流計測を行い、ルーチンを抜ける。また、ステップS1において、V(L)<V(1)の場合、ステップS3へ進んで、小電流用電流センサ9からのセンサ出力値に基づく電流計測を行い、ルーチンを抜ける。 【0026】以上の処理が繰返され、高電圧バッテリ2の充放電電流が、その電流値の大きさに応じた適切な電流センサを用いて計測され、計測した電流値から高電圧バッテリ2の残存容量が算出される。 【0027】これにより、車両のアイドルストップ等の小電流での放電状態が長時間継続する場合や加速時等の大電流の放電時等のように、広範囲に変化する高電圧バッテリ2の充放電電流に対し、電流計測のダイナミックレンジを確保して電流値の大きさに拘わらず精度の高い電流計測を行うことができる。その結果、正確なバッテリ残存容量の把握が可能となり、バッテリの過放電や過充電等を未然に回避し、システムの信頼性を向上することができる。 【0028】尚、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施の形態においては、電流センサを選択するための判定閾値V(1)を、小電流用電流センサ9の最大指示値よりも設定値だけ低い電圧値としているが、判定閾値を大電流用電流センサ8の有効最小指示値よりも設定値だけ高い電圧値に設定し、この判定閾値と大電流用電流センサ8の指示値とを比較して、大電流用電流センサ8の指示値が判定閾値以下のときには、小電流用電流センサ9を選択し、大電流用電流センサ8の指示値が判定閾値を越えるとき、大電流用電流センサ8を選択することも可能である。 【0029】また、実施の形態においては、2つの電流センサ8,9を使用する例について説明したが、電源システムで必要とされるダイナミックレンジに応じ、3つ以上の電流センサを選択的に切換えて使用しても良く、この場合には、順次、電流センサの指示値を判定閾値と比較し、適切な電流センサを選択するようにすれば良い。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、充放電電流が広範囲に変化する電動車両のバッテリに対し、そのときの電流に大きさに応じて適切な電流検出の定格範囲を有する電流センサを選択するので、電流値の大きさに拘わらずバッテリの充電・放電電流の計測精度を向上させることができ、バッテリ残存容量等を正確に把握することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005348 【氏名又は名称】富士重工業株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号
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| 【出願日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076233 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 進
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| 【公開番号】 |
特開2003−32801(P2003−32801A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月31日(2003.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2001−216958(P2001−216958) |
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