| 【発明の名称】 |
パラレルハイブリッド電気自動車 |
| 【発明者】 |
【氏名】浅野雅樹 【住所又は居所】藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車株式会社藤沢工場内
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| 【要約】 |
【課題】従来のパラレルハイブリッド電気自動車では、エンジン駆動系統とモータ駆動系統とが、直列接続関係に配設されるようになっていたり、駆動力を伝達するために湿式多板クラッチが用いられていた。直列接続関係に配設されていると、回生制動をする際、エンジンをフリクションに抗して回転させるために運動エネルギーを消費してしまうので、回生効率が悪くなっていた。また、湿式多板クラッチを操作するためには油圧を必要とするので、油圧ポンプに付随した装置および油圧ポンプ稼動のための電力を必要としていた。
【解決手段】エンジン5を駆動源とし、クラッチ,トランスミッションを経て後輪を駆動するエンジン駆動系統と、モータ12を駆動源とし、クラッチ手段を内蔵した減速機部13,ファイナルドライブ装置14を経て前輪を駆動するモータ駆動系統とを、互いに独立して設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両駆動源としてエンジンとモータとを搭載するパラレルハイブリッド電気自動車において、エンジンを駆動源とし、少なくともクラッチ,トランスミッションを経て後輪を駆動するエンジン駆動系統と、モータを駆動源とし、途中に少なくともクラッチ手段を介在させて前輪を駆動するモータ駆動系統とを具えたことを特徴とするパラレルハイブリッド電気自動車。 【請求項2】 モータ駆動系統を、インバータを介してバッテリと接続されたモータと、該モータの回転出力を減速する減速機構とドグクラッチ付きのシンクロメッシュ機構とを具えた減速機部と、差動装置を含み、前記減速機部からの回転出力を左右の車輪に伝えるファイナルドライブ装置とを具えるよう構成したことを特徴とする請求項1記載のパラレルハイブリッド電気自動車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両駆動源としてエンジンとモータとを使用するパラレルハイブリッド電気自動車に関するものである。 【0002】 【従来の技術】(第1の従来例)図3は、パラレルハイブリッド電気自動車の第1の従来例を示す図である。図3において、1A,1Bは前輪、2A,2Bは後輪、3A,3Bはフロントアクスル、4はリアアクスル、5はエンジン、8はプロペラシャフト、9は差動装置、10はバッテリ、11はインバータ、12Aは第1モータ、12Bは第2モータ、15A,15Bはステータ、16A,16Bはロータ、17はクラッチ、18は動力結合部、19はエンジン出力軸である。 【0003】動力結合部18は、第1モータ12Aとクラッチ17と第2モータ12Bとで構成されている。第1モータ12Aはステータ15Aとロータ16Aとから成り、第2モータ12Bはステータ15Bとロータ16Bとから成っている。そして、ロータ16Aとロータ16Bとは、クラッチ17を介して連結されている。クラッチ17としては、湿式多板のクラッチ(ロックアップクラッチ)が用いられる。ステータ15Aはエンジン出力軸19に連結され、ロータ16Bはプロペラシャフト8に連結されている。 【0004】ステータ15A,ステータ15Bは、それぞれインバータ11に接続されており、インバータ11はバッテリ10と接続されている。インバータ11は、バッテリ10からステータ15A,15Bへ給電する際の直流交流変換をすると共に、第1,第2モータを発電運転する場合の交流直流変換をする。なお、クラッチ17の断接の制御,インバータ11を経ての給電制御は、図示しないコントローラにより行われる。 【0005】車両の駆動は、次のようにして行われる。 (1)発進時や低速走行クラッチ17を断しておき、バッテリ10から第2モータ12Bに給電してモータ運転し、その回転力をプロペラシャフト8,差動装置9,リアアクスル4を経て後輪2A,2Bに伝え、車両を駆動する。バッテリ10の電力が不足するようであれば、エンジン5により第1モータ12Aを発電運転し、電力を補う(シリーズハイブリッド)。 【0006】(2)中,高速走行クラッチ17を接とし、エンジン5の回転力を動力結合部18を介してプロペラシャフト8に伝え、車両を駆動する。駆動力が不足する場合には、バッテリ10から第2モータ12Bに給電してモータ運転し、その回転力で駆動力を補う。エンジン出力軸19が機械的に接続されているのはステータ15Aであり、ロータ16Aはそれと磁気的に結合されている。即ち、ステータ15Aがエンジン5により回転させられると、ロータ16Aは磁気的な力で引きづられる形で回転する。変速は、この磁気的結合部分での両者の回転数の差を制御することにより、行われる。 (3)減速走行クラッチ17を接とした状態でモータを発電運転すれば、エンジンブレーキを効かせつつ回生制動が出来る。クラッチ17を断として第2モータ12Bを発電運転すれば、エンジンのフリクション克服のために運動エネルギーを消耗することなく、回生制動をすることが出来る。 【0007】(第2の従来例)図4は、パラレルハイブリッド電気自動車の第2の従来例を示す図である。符号は図3のものに対応し、12はモータ、20は動力伝達部である。動力伝達部20には、トランスミッションも含まれている。この従来例では、エンジン5とモータ12(例、DCブラシレスモータ)とが直結され、そこからの出力が、動力伝達部20を経てフロントアクスル3A,3B、前輪1A,1Bへと伝えられる。なお、モータ12は、インバータ11を介してバッテリ10と電気的に接続されている。この従来例は、駆動部分を小型,軽量化したことを特徴とするものである。 【0008】車両の駆動は、次のようにして行われる。 (1)発進時,低速走行エンジン5を動作させると共に、バッテリ10からモータ12に給電してモータ運転する。これにより、エンジン5による回転力とモータ12による回転力とにより、車両は駆動される。モータ12は、補助動力源として作用する。なお、モータ12により発生される回転力の制御は、運転状況(例、アクセル開度),車両状況(例、エンジンの負荷状態)等に応じて、インバータ11を制御することにより行われる。 (2)中,高速走行中速走行は、エンジン5のみで行う。高速走行は、再びモータ12も動員し、エンジン5とモータ12とにより行う。 (3)減速走行車両の運動エネルギーによりモータ12を発電運転することにより、減速走行する。発電された電力は、インバータ11により直流に変換され、バッテリ10に充電される(回生制動)。 【0009】なお、パラレルハイブリッド電気自動車に関する従来の文献としては、例えば、特開平8−33117号公報,特開平10−327504号公報,特開2000−295708号公報等がある。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】(問題点)前記した従来の技術には、次のような問題点があった。第1の従来例(図3)は、エンジン5と第1,第2モータ12A,12Bとが直列接続関係に配列され、湿式多板のクラッチ17で連結されているものである。しかし、湿式多板クラッチでは半クラッチ動作させることが出来ないので、モータが失陥してエンジンのみで駆動するという場合、所要の走行が出来なくなるという問題点があった。また、湿式多板クラッチを操作するためには油圧を必要とするので、油圧ポンプに付随した装置および油圧ポンプ稼動のための電力を必要とするという問題点があった。 【0011】第2の従来例(図4)は、モータ失陥時にエンジン5のみで走行することは出来るが、小型軽量化を図るためにエンジン5は小さいものとされている。しかるに、そのフライホイールにモータ12のロータが直結されて負荷が大となっているので、充分な走行が出来ないという問題点があった。また、制動時には、モータ12のロータのみならず、それと直列接続関係に配設されているエンジンも、必ず回転させなければならないので、回生制動の他にエンジンブレーキによる制動が同時に行われることとなる。そのため、エンジンを回転させるのに使われるエネルギー分だけ、回生効率が悪くなるという問題点があった。本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明では、車両駆動源としてエンジンとモータとを搭載するパラレルハイブリッド電気自動車において、エンジンを駆動源とし、少なくともクラッチ,トランスミッションを経て後輪を駆動するエンジン駆動系統と、モータを駆動源とし、途中に少なくともクラッチ手段を介在させて前輪を駆動するモータ駆動系統とを具えることとした。なお、前記のモータ駆動系統は、インバータを介してバッテリと接続されたモータと、該モータの回転出力を減速する減速機構とドグクラッチ付きのシンクロメッシュ機構とを具えた減速機部と、差動装置を含み、前記減速機部からの回転出力を左右の車輪に伝えるファイナルドライブ装置とを具えるよう構成することが出来る。 【0013】(解決する動作の概要)前輪はモータで駆動され、後輪はエンジンで駆動される。モータ駆動系統の途中にはクラッチ手段が介在されているので、モータが失陥した場合、該クラッチ手段を断としてモータを切り離してしまうことが出来る。そして、エンジン出力のみで従来のエンジン車両と同様に走行することが出来る。制動時にはモータを発電運転して回生制動することが出来るが、その回生制動を効率良く行うことが出来る。その理由は、モータ駆動系統とエンジン駆動系統とが、直列接続関係とならないよう配設されているので、制動時の運動エネルギーがエンジンを回すために消費されることがなく、その分も回生に回されるからである。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のパラレルハイブリッド電気自動車を示す図である。符号は図3,図4のものに対応し、6はクラッチ、7はトランスミッション、13は減速機部、14はファイナルドライブ装置である。エンジン5の出力は、クラッチ6→トランスミッション7→プロペラシャフト8等の経路を経て、後輪2A,2Bに伝達される。一方、モータ12の出力は、減速機部13→ファイナルドライブ装置14の経路を経て、前輪1A,1Bに伝達される。つまり、本発明では、車両駆動源としてエンジンとモータとを搭載するが、エンジン出力は後輪のみに伝達され、モータ出力は前輪のみに伝達されるようにし、エンジン出力とモータ出力とが、直列接続関係になって伝達されないようにしてある。 【0015】図2は、本発明の前輪への駆動力伝達部分を示す図である(図1の減速機部13,ファイナルドライブ装置14の部分の詳細図)。符号は図1のものに対応し、21はモータ出力軸、22,23は歯車、24は減速軸、25はシフトフォーク、26はアクチュエータ、27はシンクロメッシュ機構、28はファイナルドライブピニオン、29はクラウンギア、30は差動装置である。減速機部13は、モータ出力軸21の先端に取り付けられた歯車22、それと噛み合わされた歯車23、該歯車23が取り付けられた減速軸24、該減速軸24に取り付けられたシンクロメッシュ機構27(ドグクラッチ付き)およびそれに付随する装置であるシフトフォーク25等から構成されている。ファイナルドライブ装置14は、シンクロメッシュ機構27の出力側に連結されたファイナルドライブピニオン28、それと噛み合わされたクラウンギア29、および差動装置30から構成されている。 【0016】これの動作は、次の通りである。モータ12が、図1のバッテリ10からインバータ11を介して給電され、モータ運転されると、モータ出力軸21が回転される。その回転は、モータ出力軸21の歯車22から減速軸24の歯車23へと伝えられ、減速軸24の回転速度は、歯車22,23の歯数の比に応じて減速された速度となる。減速軸24の回転は、ドグクラッチ付きのシンクロメッシュ機構27を介して、ファイナルドライブピニオン28に伝達される。アクチュエータ26,シフトフォーク25は、シンクロメッシュ機構27の断接を制御するためのものである。 【0017】ファイナルドライブピニオン28に伝達された回転は、クラウンギア29に伝達され、フロントアクスル3Bを経て前輪1Bに伝えられる一方、クラウンギア29の回転軸より、差動装置30→フロントアクスル3Aの経路を経て、前輪1Aに伝えられる。なお、モータ12による前輪の駆動を行わない時は、シンクロメッシュ機構27を断としておく。これらの制御は、図示しないコントローラによって行われる。なお、図1,図2では、前輪はモータにより駆動され、後輪はエンジンにより駆動されるものを示したが、これとは逆に、前輪はエンジンにより駆動され、後輪はモータにより駆動されるものとすることも出来る。 【0018】図5は、本発明におけるモータ作動状況と車両駆動状況を示す図である。図5の(イ)は車両速度の変化を示す図、(ロ)は駆動エネルギーの変化を示す図、(ハ)はモータの作動状況を示す図、(ニ)はシンクロメッシュ機構の断接状況を示す図であり、いずれの図でも横軸は時間を表している。 (1)時刻t0 からt1 までこの間は、モータ12はモータ運転され、シンクロメッシュ機構27は接とされ、モータ12の駆動力は前輪1A,1Bに伝達される。一方、エンジン5も駆動され、その駆動力は後輪2A,2Bに伝達される。従って、車両は、モータ12による駆動エネルギーと、エンジン5による駆動エネルギーとにより駆動される。図5(ロ)の時刻t0 〜t1 における、斜線部分EM と白地部分とは、そのことを表している。即ち、斜線部分EM はモータ12の駆動エネルギーを表し、白地部分はエンジン5の駆動エネルギーを表している。 【0019】(2)時刻t1 からt2 まで時刻t1 で、モータ12による駆動は停止される。それ以後時刻t2 までは加速が続けられるが、それはエンジン5のみによって行われる。 (3)時刻t2 からt3 まで時刻t2 で加速が終了され、それ以後時刻t3 までは定速走行が行われる。その定速走行は、やはりエンジン5のみによって行われる。 (4)時刻t3 からt4 まで時刻t3 で定速走行が終了され、制動が開始される。制動を行うわけであるから、当然、エンジン5から駆動エネルギーは供給されないようにされる(エンジンによる駆動エネルギー=0)。一方、回生制動を行うため、シンクロメッシュ機構27は接とされ、モータ12は発電運転される。図5(ロ)の斜線部分EGは、モータ12の発電運転によって回生されるエネルギーを表している。時刻t4 は、車両が停止した時刻を表している。 【0020】上述したことからも分かるように、本発明による回生制動は、エンジン5が関与して来ないよう配設されたモータ駆動系統内で行われる。そのため、制動時の運動エネルギーは、エンジンフリクションにより消耗されることなく、全てモータ12での発電に供されるので、回生効率が従来例に比して格段に良くなる。これは、モータとエンジンとが直列接続関係とならないように配設したお蔭である。 【0021】 【発明の効果】以上述べた如く、本発明のパラレルハイブリッド電気自動車によれば、次のような効果を奏する。 ■ モータ駆動系統とエンジン駆動系統とが、直列接続関係とならないよう配設されているので、制動時の運動エネルギーがエンジンを回すために消費されることがなく、回生制動の回生効率を上げることが出来る。 ■ 湿式多板クラッチを使用していないので、油圧ポンプを付設する必要がない。そのため、油圧ポンプに付随した装置も不用であり、油圧ポンプ稼動のための電力も不用である。 ■ モータ失陥時にも、エンジンによる駆動力で、従来のエンジン車両と同様に走行することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000170 【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社 【住所又は居所】東京都品川区南大井6丁目26番1号
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| 【出願日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093610 【弁理士】 【氏名又は名称】本庄 富雄
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| 【公開番号】 |
特開2003−18708(P2003−18708A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月17日(2003.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−198302(P2001−198302) |
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