| 【発明の名称】 |
電気車の駆動制御方式 |
| 【発明者】 |
【氏名】児島 徹郎 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所水戸交通システム本部内
【氏名】仲田 清 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所水戸交通システム本部内
【氏名】小澤 勉 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所水戸交通システム本部内
【氏名】豊田 瑛一 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所水戸交通システム本部内
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| 【要約】 |
【課題】速度センサレスによる電気車の速度制御において、エネルギー効率の高い電気車の駆動制御方式を提供することにある。
【解決手段】速度演算手段6により求めた電気車の速度演算値に基づいて電気車を駆動制御するに際し、定速運転の目標速度を入力する入力手段7と、惰行状態に入る直前の速度演算値を初期値として惰行中速度推定値を求める惰行中走行速度推定手段11と、目標速度と惰行中速度推定値との偏差に応じて電流指令を生成する電流指令生成手段1を設け、前記偏差が所定範囲から逸脱すると、前記電流指令を短時間与え、電気車の惰行状態の間、間欠的に電力変換器3を再起動させる。ここで、惰行中走行速度推定手段は、スイッチ8と走行抵抗演算器9と積分器10からなり、再起動指令オフすると、再起動指令オフ直前の速度演算値を初期値として惰行中速度推定値に応じた減速度を積分して惰行中速度推定値を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気車を駆動する誘導電動機と、前記電動機に交流電力を供給する電力変換器と、前記電動機に供給する交流電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流より前記電気車の速度を演算する速度演算手段を備え、前記速度演算手段により求めた速度演算値に基づいて前記電気車を駆動制御する電気車の駆動制御装置において、定速運転の目標速度を入力する入力手段と、惰行状態に入る直前の前記速度演算値を初期値として惰行中速度推定値を求める惰行中走行速度推定手段と、前記目標速度と前記惰行中速度推定値との偏差に応じて電流指令を生成する電流指令生成手段を設け、前記偏差が所定範囲から逸脱すると、前記電流指令を短時間与え、前記電気車の惰行状態の間、間欠的に前記電力変換器を再起動させることを特徴とする電気車の駆動制御方式。 【請求項2】 請求項1において、前記電流指令は、前記電動機が実質的にトルクを発生しないように抑制された電流値であることを特徴とする電気車の駆動制御方式。 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記惰行中走行速度推定手段は、スイッチと走行抵抗演算器と積分器からなり、前記電流指令生成手段から出力される再起動指令オン中は、前記速度演算手段の速度演算値が前記積分器の初期値としてセットされ続け、再起動指令オフすると、再起動指令オフ直前の前記速度演算値を初期値として前記惰行中速度推定値に応じた減速度を積分して惰行中速度推定値を求めることを特徴とする電気車の駆動制御方式。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気車の駆動制御装置に係り、特に、電動機取り付けの速度センサが不要な速度センサレスベクトル制御による駆動制御技術に関する。 【0002】 【従来の技術】電気車の制御においては、電力変換器を動作して主電動機を駆動することにより、電気車をある速度まで加速した後、電力変換器の動作を停止させ、電気車の惰性にまかせて走行する惰行状態が存在するが、他の交通手段例えば自動車と比較して走行抵抗が少なく、惰行状態での減速が小さいという特性から、電気車の運転においては、この惰行状態を積極的に利用することによりエネルギー効率を高めている。また、電気車の駆動制御に用いられる電力変換器は、常時動作しない上に、惰行中は走行風による自然冷却が期待できることから、冷却システムを比較的シンプルおよびコンパクトにできるという利点がある。また、電気車の運転においては、定速運転と呼ばれる走行速度を一定に保つ運転モードが存在する。走行抵抗による減速分と平衡するだけのトルクを常時発生することにより、電気車の走行速度を一定に保持することができるが、一般的には、エネルギー効率の面から定速運転の設定速度に許容可能な範囲を設け、その範囲内で加速と惰行を繰り返す運転が行われることが多い。ところで、速度センサを用いない速度センサレス制御を電気車の駆動制御に用いる場合、惰行中は電力変換器の動作を停止させるため、速度情報を得ることができず、加速と惰行を繰り返す定速運転を実現できない、という課題がある。速度センサレス制御で電気車の定速運転を実現する方法として、例えば、特開平11−41986号公報に記載されているように、電気車の編成を構成する複数の電力変換器のうち1台のみを常時動作させることにより、常に速度情報を得る手法が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載されている従来技術は、電気車の編成を構成する複数の電力変換器のうち1台のみを常時動作させること、惰行中は実質的にトルクを発生しなくてよいので、主電動機に供給する電流を抑制することができ、省エネルギー化を図っている。しかし、電気車を編成する電力変換器のユニット数が少ない場合、省エネルギーの効果が小さいこと、また、少なくとも1ユニットは常時動作させる必要があるが、この常時動作させるユニットに合わせて冷却システムを設計しなくてはならない、という課題があった。 【0004】本発明の課題は、速度センサレスによる電気車の速度制御において、エネルギー効率の高い電気車の駆動制御方式を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、定速運転の目標速度を入力する入力手段と、惰行状態に入る直前の電気車の速度を演算する速度演算手段により求めた速度演算値を初期値として惰行中速度推定値を求める惰行中走行速度推定手段と、目標速度と惰行中速度推定値との偏差に応じて電流指令を生成する電流指令生成手段を設け、前記偏差が所定範囲から逸脱すると、前記電流指令を短時間与え、電気車の惰行状態の間、間欠的に電力変換器を再起動させる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の電気車の駆動制御方式の一実施形態を示す。本実施形態は、速度センサレスベクトル制御方式による電気車の定速運転を実現する制御方式の例である。図1において、電力変換器3は、ベクトル制御器2の出力する三相交流電圧指令に基づき、誘導電動機5に三相交流交流電力を供給する。ベクトル制御器2は、d軸電流パターンId*とq軸電流パターンIq*と誘導電動機の回転周波数の推定速度(力行中速度演算値)F^rを入力し、電動機定数に基づいて誘導電動機5を駆動する三相交流電圧指令を生成する。電流センサ4は、誘導電動機5に供給される電流を検出し、三相交流電流Iu、Iv、Iwを出力する。速度演算器6は、電流センサ4により検出した三相交流電流Iu、Iv、Iwを入力し、電動機定数に基づいて誘導電動機5の回転周波数の推定速度(力行中速度演算値)F^rを出力する。目標速度保持手段7は、定速運転指令が与えられた時点における誘導電動機5の推定速度(力行中速度演算値)F^rを保持し、これを定速運転の目標速度(定速運転速度)Frhとして出力する。スイッチ8は、再起動指令がオンの期間はA接点がオン、B接点がオフとなり、再起動指令がオフの期間はA接点がオフ、B接点がオンとなる。スイッチ8のA接点は、速度演算器6の速度演算値F^rが入力され、その出力は積分器10の初期値入力に接続する。一方、スイッチ8のB接点は、走行抵抗演算器9の出力が入力され、その出力は積分器10の入力に接続する。走行抵抗演算器9は、積分器10の出力(惰行中速度推定値)F^r’を入力とし、このF^r’に応じた走行抵抗を演算し、F^r’に応じた減速度を出力する。なお、この走行抵抗は、電気車の質量および走行抵抗あるいは路線区間中の勾配などを含んでもよい。電流指令生成器1は、定速運転指令に基づき、目標速度保持手段7の定速運転速度Frhと積分器10の出力F^r’の偏差を入力し、この速度偏差に応じてd軸電流指令およびq軸電流指令を出力する。ここで、スイッチ8と走行抵抗演算器9と積分器10は、惰行中走行速度推定器11を構成し、再起動指令オン中は、速度演算器6の速度演算値F^rが積分器10の初期値としてセットされ続ける。再起動指令オフすると、再起動指令オフ直前の速度演算値F^rを初期値として、惰行中速度推定値F^r’に応じた減速度を積分することにより、惰行中速度推定値F^r’を求めている。 【0007】図2は、図1で示した電流指令生成器1の詳細を示す。ヒステリシス付き比較器20は、定速運転速度Frhと惰行中速度推定値F^r’の偏差を入力とする。ヒステリシス付き比較器20は、出力をオンからオフに切り替える条件と、オフからオンに切り替える条件が異なる比較器(コンパレータ)であり、具体的には、入力である速度偏差が定速運転の速度偏差範囲の下限値Fraより大きくなると、すなわち、惰行中の速度推定値F^r’が定速運転の速度偏差範囲の下限に達したとき(F^r’<Frh−Fra)、出力をオンとする。また、速度偏差が定速運転の速度偏差範囲の上限値−Frbより小さくなると、すなわち、惰行中速度推定値F^r’が定速運転の速度偏差範囲の上限に達したとき(F^r’>Frh+Frb)、出力をオフにする。AND(論理積)素子21aは、定速運転指令およびヒステリシス付き比較器20の出力を入力とし、いずれの入力もオンのときのみ出力をオンとする。ワンショットトリガ22は、AND素子21aの出力を入力とし、入力がオンになった瞬間(立ち上がりエッジ)から所定の期間Tresだけ出力をオンとする。OR(論理和)素子24は、AND素子21aの出力およびワンショットトリガ22の出力を入力とし、いずれかの入力がオンのとき出力をオンとする。再起動指令は、OR素子24の出力とする。NOT素子25は、ワンショットトリガ22の出力を反転する。AND素子21bは、AND素子21aの出力およびNOT素子25の出力を入力とし、いずれの入力もオンのときのみ出力をオンとする。スイッチ23aは、ワンショットトリガ22の出力がオンのとき、誘導電動機5が実質的にトルクを発生しないように抑制されたd軸電流抑制値Id*resを出力し、オフのときはゼロを出力する。スイッチ23bは、AND素子21bの出力がオンのとき、d軸電流定格値Id*0を出力し、オフのとき、スイッチ23aの出力を選択する。d軸電流パターンId*は、スイッチ23bの出力とする。スイッチ23cは、AND素子21bの出力がオンのとき、q軸電流定格値Iq*0を出力し、オフのときゼロを出力する。q軸電流パターンIq*は、スイッチ23cの出力とする。 【0008】図3は、本実施形態の定速運転時の波形を示す。図3の初期状態は、力行加速中(非定速運転)とし、再起動指令オン、d軸電流パターンId*およびq軸電流パターンIq*は所定値が与えられ、実速度Frは単調増加しているものとする。図3の力行中速度演算値F^rは、図1の速度演算器6の出力とし、再起動指令オン中であるため、高精度に速度推定演算を行っている。惰行中速度推定値F^r’は、図1の積分器10の出力とし、再起動中は、力行中速度演算値F^rと同一である。ここで、時刻T1において、定速運転指令が入力され、時刻T1における定速運転速度Frhを目標速度として定速運転を行うものとする。定速運転指令が入力されても、しばらくは再起動指令オン、d軸電流パターンId*およびq軸電流パターンIq*は所定値のままで力行加速を続けているが、時刻T2において、惰行中速度推定値F^r’が定速運転速度偏差の上限(Frh+Frb)に達すると、再起動指令オフとなり、d軸電流パターンId*およびq軸電流パターンIq*はゼロとなる。電力変換器3の動作は停止するので、電流検出値から速度推定を行うのは不可能となり、力行中速度演算値F^rはゼロとなる。惰行中速度推定値F^r’は、再起動指令がオフになる直前の値を初期値として、電気車の編成質量および走行抵抗などから減速度を求めて速度推定を行うが、路線区間中の勾配条件、空気抵抗その他の要因によって速度推定誤差が生じるため、惰行中速度推定値Fr^’は、実速度Frよりも先に定速運転速度偏差の下限(Frh−Fra)に達する。時刻T3において、惰行中速度推定値F^r’が定速運転速度偏差の下限に達すると、再起動指令オンとし、抑制されたd軸電流パターンId*resを与え、q軸電流パターンIq*はゼロのままとする。電力変換器3を動作させ、主電動機5に電流を流すことによって正確な速度演算を行えるようになり、力行中速度演算値Fr^は、実速度Frを高精度にトレースする。また、同様に惰行中速度推定値F^r’の速度推定誤差も解消される。電力変換器3を動作させて正確な速度演算を行った結果、実速度Frが定速運転速度偏差範囲内に入ると、速やかに再起動指令オフする。時刻T4=T3+Tresにおいて、再起動指令オフ、d軸電流パターンId*をゼロとすると、力行中速度演算値F^rはゼロとなり、惰行中速度推定値F^r’は、再度、再起動指令がオフになる直前の値を初期値として、電気車の編成質量および走行抵抗などから減速度を求めて速度推定を行う。時刻T5において、再起動指令オン、時刻T6において再起動指令オフとなるのも同様である。時刻T7において、惰行中速度推定値F^r’が定速運転速度偏差範囲の下限に達し、再起動指令オンとしたとき、実速度Frも定速運転速度偏差範囲の下限に達しているので、このまま力行加速に推移する。時刻T8=T7+Tresにおいて、d軸電流パターンId*は抑制値Id*resから定格値Id*0に復帰し、q軸電流パターンIq*もゼロから定格値Iq*0に戻し、惰行状態から力行加速となる。 【0009】本実施形態は、惰行状態に入る直前の速度演算値F^rを初期値として惰行中速度推定値F^r’を求め、目標速度(定速運転速度)Frhと惰行中速度推定値F^r’の偏差が所定範囲から逸脱すると、主電動機が実質的にトルクを発生しないように抑制された電流指令Id*resを短時間Tresだけ与え、電動機電流から正確な速度推定値を求めると、すぐに電力変換器の動作を停止させる。このような間欠的な電流指令Id*resを与えることにより、惰行中であっても電気車の走行速度を所定の範囲内で管理することができ、速度センサレス制御による定速運転を実現できる。すなわち、速度センサレス制御により電気車の定速運転を実現する際に、厳密に一定速度で走行するのであれば、常時電力変換器を動作させて、常時トルク制御および速度制御を行う必要があるが、本実施形態では、実際に電気車の定速運転は、定速運転速度に許容範囲を設けて運転されていること、そして、電気車の走行抵抗は少なく、速度変化が少ないことに注目し、間欠的に電力変換器を動作させて速度推定演算を行うことにより、電気車の走行速度を所定の範囲内に管理することが可能となり、惰行中であっても速度センサレス制御による定速運転を実現することができる。なお、電気車の走行抵抗による減速度を一定値とすれば、定速運転速度偏差の範囲から間欠的に電力変換器を動作させるインターバルは求められるが、実際には電気車の走行抵抗は走行速度に比例する項、走行速度の二乗に比例する項が含まれるため、本実施形態では、より厳密に走行抵抗による減速度を求め、間欠的に電力変換器を動作させる頻度および動作時間をさらに少なくしている。 【0010】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、定速運転の目標速度と惰行中速度推定値の偏差が所定範囲から逸脱すると、主電動機が実質的にトルクを発生しないように抑制された電流指令を短時間だけ与え、電動機電流から正確な速度推定値を求めると、すぐに電力変換器の動作を停止させ、間欠的に電流指令を与えることにより、惰行中であっても電気車の走行速度を所定の範囲内で管理することができ、速度センサレス制御による定速運転を実現でき、同時に、エネルギー効率の高い電気車の駆動制御を行うことができる。また、電気車の走行抵抗による減速度をより厳密に求めることにより、間欠的に電力変換器を動作させる頻度および動作時間を少なくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
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| 【出願日】 |
平成13年6月28日(2001.6.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099302 【弁理士】 【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−18703(P2003−18703A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月17日(2003.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−196163(P2001−196163) |
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