| 【発明の名称】 |
電気車の駆動システム |
| 【発明者】 |
【氏名】杉田 貴紀 【住所又は居所】東京都品川区大崎二丁目1番17号 株式会社明電舎内
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| 【要約】 |
【課題】き電線・架線の電圧の安定化及び損失の低減を実現するとともに、設備費の低減も図り得る電気車の駆動システムを提供する。
【解決手段】架線1から供給される直流電力をモータ駆動変換器3で変換してモータ4を駆動し、この駆動力で電気車を走行させる一方、上記架線1に対してモータ駆動変換器3に並列に大容量蓄電装置5を接続し、電気車Iの力行時の電力は、主に大容量蓄電装置5から供給する一方、回生制動時の回生電力は前記大電流蓄電装置5に蓄えることによって、電気車Iに架線1から供給する電力量及び電気車Iが架線1に回生する電力量を低減するものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架線から供給される直流電力をモータ駆動変換器で変換して駆動源であるモータを駆動することにより走行する電気車の駆動システムにおいて、上記架線に対してモータ駆動変換器に並列に大容量蓄電装置を接続し、当該電気車の力行時には大容量蓄電装置からモータ駆動変換器に電力を供給するとともに、回生時にはモータ駆動変換器から大容量蓄電装置に電力を供給してこの大容量蓄電装置に蓄電するように構成したことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項2】 〔請求項1〕に記載する電気車の駆動システムにおいて、大容量蓄電装置は、DC/DC変換器と、このDC/DC変換器の制御装置と、大容量二次電池又は大容量コンデンサとで構成したことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項3】 〔請求項2〕に記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器は、双方向チョッパ、フィルタ及び逆転防止スイッチで構成するとともに、前記双方向チョッパは、2個の自己消弧形スイッチンング素子を交互にON,OFFさせることで、フィルタ側と、大容量二次電池又は大容量コンデンサ側との双方向に電流を流すことが可能であり、その電流は自己消弧形素子のON時間とOFF時間の比率を調整することで制御可能なものとし、フィルタは、双方向チョッパへ流れ込む補償電流を平滑化するものであり、逆転防止スイッチは、架線の電圧が大容量二次電池又は大容量コンデンサの電圧よりも小さくなった場合にOFF状態となり、双方向チョッパと架線との接続状態を遮断するものとしたことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項4】 〔請求項3〕に記載する電気車の駆動システムにおいて、フィルタは、モータ駆動変換器の架線側に設けるフィルタと共用したことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項5】 〔請求項2〕乃至〔請求項4〕の何れか一つに記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器の制御装置は、モータ駆動変換器への入力電流と当該DC/DC変換器への補償電流とを検出し、前記入力電流を電流指令値として補償電流との偏差が小さくなるようにDC/DC変換器を制御するものであることを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項6】 〔請求項5〕に記載する電気車の駆動システムにおいて、制御装置は、補償電流IC を制御するための制御ループ及び大容量二次電池又は大容量コンデンサへの充放電電流IB を制御するための制御ループを有し、入力電流IL を電流指令値I*C とし、これと補償電流IC との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で、次段の充放電電流IB の制御ループの電流指令値I*B とし、さらに前記電流指令値I*B と充放電電流IB の検出値との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で変調率指令値m* とし、次に、変調率指令値m* を基に、変調率指令値m* とキャリア信号とを比較器に入力し、その出力信号をスイッチング信号とし、このスインチング信号に基づきゲート信号を形成してDC/DC変換器のスイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するようにしたことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項7】 〔請求項2〕乃至〔請求項4〕の何れか一つに記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器の制御装置は、架線への架線電流を検出し、零とする電流指令値と前記架線電流との偏差が小さくなるようにDC/DC変換器を制御するものであることを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項8】 〔請求項7〕に記載する電気車の駆動システムにおいて、制御装置は、架線電流IB を制御するための制御ループ及び大容量二次電池又は大容量コンデンサへの充放電電流IB を制御するための制御ループを有し、電流値零を電流指令値I*B とし、これと架線電流IB との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で、次段の充放電電流IB の制御ループの電流指令値I*B とし、さらに前記電流指令値I*B と充放電電流IB の検出値との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で変調率指令値m* とし、次に、変調率指令値m* を基に、変調率指令値m* とキャリア信号とを比較器に入力し、その出力信号をスイッチング信号とし、このスインチング信号に基づきゲート信号を形成してDC/DC変換器のスイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するようにしたことを特徴とする電気車の駆動システム。 【請求項9】 〔請求項1〕乃至〔請求項8〕に記載する何れか一つの電気車の駆動システムにおいて、電気車の運転ダイヤや速度・位置に基づき大容量蓄電装置の充放電のパターン及びリミッタの制御を行うことを特徴とする電気車の駆動システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電気車の駆動システムに関する。さらに詳言すると、電気車に電力貯蔵システムを搭載してモータの駆動電力の供給及び回生電力の吸収を行い得るようにしたものである。 【0002】 【従来の技術】直流電気鉄道において、電気車への電力の供給は、一般に次のような経路で行われている。すなわち、電気車の加速時・登坂時などの力行時には、き電変電所からき電線・架線を経由して電気車に電力が供給され、回生制動時には電気車から架線・き電線を介して別の力行中の電気車に電力が供給される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述の如き従来技術においては、電気車が回生制動をかける際に他に力行中の車両が存在しないと回生電力の行き場がなくなるため、回生を行うことができなくなる。すなわち、回生失効という問題を生起する。また、直流電気鉄道ではき電線・架線の電流が大きいため、き電線・架線での電圧降下が大きくき電変電所から遠い地点では電圧を定格値に保つことが難しい。このため、き電変電所の間隔をあまり大きくすることができず、設備投資額が高騰する。さらに、き電線・架線の抵抗成分による損失が大きく、エネルギー的に無駄が多い。 【0004】本発明は、上記従来技術に鑑み、き電線・架線の電圧の安定化及び損失の低減を実現するとともに、設備費の低減も図り得る電気車の駆動システムを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の構成は、次の点を特徴とする。 【0006】1) 架線から供給される直流電力をモータ駆動変換器で変換して駆動源であるモータを駆動することにより走行する電気車の駆動システムにおいて、上記架線に対してモータ駆動変換器に並列に大容量蓄電装置を接続し、当該電気車の力行時には大容量蓄電装置からモータ駆動変換器に電力を供給するとともに、回生時にはモータ駆動変換器から大容量蓄電装置に電力を供給してこの大容量蓄電装置に蓄電するように構成したこと。 【0007】2) 上記1)に記載する電気車の駆動システムにおいて、大容量蓄電装置は、DC/DC変換器と、このDC/DC変換器の制御装置と、大容量二次電池又は大容量コンデンサとで構成したこと。 【0008】3) 上記2)に記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器は、双方向チョッパ、フィルタ及び逆転防止スイッチで構成するとともに、前記双方向チョッパは、2個の自己消弧形スイッチンング素子を交互にON,OFFさせることで、フィルタ側と、大容量二次電池又は大容量コンデンサ側との双方向に電流を流すことが可能であり、その電流は自己消弧形素子のON時間とOFF時間の比率を調整することで制御可能なものとし、フィルタは、双方向チョッパへ流れ込む補償電流を平滑化するものであり、逆転防止スイッチは、架線の電圧が大容量二次電池又は大容量コンデンサの電圧よりも小さくなった場合にOFF状態となり、双方向チョッパと架線との接続状態を遮断するものとしたこと。 【0009】4) 上記3)に記載する電気車の駆動システムにおいて、フィルタは、モータ駆動変換器の架線側に設けるフィルタと共用したこと。 【0010】5) 上記2)乃至4)の何れか一つに記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器の制御装置は、モータ駆動変換器への入力電流と当該DC/DC変換器への補償電流とを検出し、前記入力電流を電流指令値として補償電流との偏差が小さくなるようにDC/DC変換器を制御するものであること。 【0011】6) 上記5)に記載する電気車の駆動システムにおいて、制御装置は、補償電流IC を制御するための制御ループ及び大容量二次電池又は大容量コンデンサへの充放電電流IB を制御するための制御ループを有し、入力電流IL を電流指令値I*C とし、これと補償電流IC との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で、次段の充放電電流IB の制御ループの電流指令値I*B とし、さらに前記電流指令値I*B と充放電電流IB の検出値との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で変調率指令値m* とし、次に、変調率指令値m* を基に、変調率指令値m* とキャリア信号とを比較器に入力し、その出力信号をスイッチング信号とし、このスインチング信号に基づきゲート信号を形成してDC/DC変換器のスイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するようにしたこと。 【0012】7) 上記2)乃至4)の何れか一つに記載する電気車の駆動システムにおいて、DC/DC変換器の制御装置は、架線への架線電流を検出し、零とする電流指令値と前記架線電流との偏差が小さくなるようにDC/DC変換器を制御するものであること。 【0013】8) 上記7)に記載する電気車の駆動システムにおいて、制御装置は、架線電流IB を制御するための制御ループ及び大容量二次電池又は大容量コンデンサへの充放電電流IB を制御するための制御ループを有し、電流値零を電流指令値I*B とし、これと架線電流IB との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で、次段の充放電電流IB の制御ループの電流指令値I*B とし、さらに前記電流指令値I*B と充放電電流IB の検出値との偏差をPI制御器に入力するとともに所定のリミッタを通した上で変調率指令値m* とし、次に、変調率指令値m* を基に、変調率指令値m* とキャリア信号とを比較器に入力し、その出力信号をスイッチング信号とし、このスインチング信号に基づきゲート信号を形成してDC/DC変換器のスイッチング素子のスイッチングタイミングを制御するようにしたこと。 【0014】9) 上記1)乃至8)に記載する何れか一つの電気車の駆動システムにおいて、電気車の運転ダイヤや速度・位置に基づき大容量蓄電装置の充放電のパターン及びリミッタの制御を行うこと。 【0015】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。 【0016】本発明は電気鉄道の電気車に大容量蓄電装置を設け、力行時の電力は、主にこの大容量蓄電装置から供給する一方、回生制動時の回生電力は前記大電流蓄電装置に蓄えることによって、電気車に架線から供給する電力量及び電気車が架線に回生する電力量を低減するものである。 【0017】図1は本発明の実施の形態に係る電気車の駆動システムを電気車に搭載した状態で示す全体のブロック線図である。同図に示すように、当該電気車Iは、架線1からパンタグラフ2を介して供給される直流電力をモータ駆動変換器3で交流又は他の電圧の直流に変換し、変換後の交流又は直流電力により駆動源であるモータ4を駆動するようになっている。かかる構成は従来技術と同様である。 【0018】本形態では、上記架線1に対してモータ駆動変換器3に並列に大容量蓄電装置5を接続している。かくして、電気車Iが力行する際には大容量蓄電装置5からモータ駆動変換器3にエネルギーを供給し、回生時には逆にモータ駆動変換器3から大容量蓄電装置5へエネルギーを供給する。また、大容量蓄電装置5の容量や電流定格の制限から、力行時にモータ駆動変換器3が必要とする電流に対して大容量蓄電装置5だけでは不足する場合は、不足分を架線1から供給する一方、回生時にモータ駆動変換器3が発生した回生電流を大容量蓄電装置5だけでは回収できない場合には、その余剰分を架線1に回生するものとする。 【0019】以上の構成により、十分な容量の大容量蓄電装置5を用いれば、架線1を流れる電流を従来と比較して大幅に小さくすることができる。これにより、架線電圧が定格電圧から大きく変動する現象を抑制することが可能となる。同時に、架線1での損失が小さくなるため、従来に比べて省エネルギーとなる鉄道システムを構築可能となる。また、架線1へ回生される電力が大幅に小さくなるので、回生失効が起こりにくくなる。さらに、路線を走る全ての電気車Iに本形態の電気車の駆動システムを搭載することで、き電線に従来のような大電流が流れることがなくなるので、き電線を細くしたりき電線長を長くする(変電所間隔を広げる)ことが可能となる。これにより、電気鉄道の地上設備の大幅なコストダウンが可能となる。 【0020】図2は図1の大容量蓄電装置の構成をさらに詳細に示すブロック線図である。同図に示すにように、当該大容量蓄電装置5は、DC/DC変換器6、大容量二次電池(または大容量コンデンサ)7及び制御装置8で構成する。ここで、図2に示すように架線1を流れる架線電流をIS 、モータ駆4変換器3の入力電流をIL 、大容量蓄電装置5からの補償電流をIC 、大容量二次電池7の充放電電流をIB とする。DC/DC変換器6は大容量二次電池7からの充放電電流IB の制御のために必要であり、双方向に電流を流すことができる変換器である必要がある。制御装置8は電流検出器9、10で検出した入力電流IL 及び補償電流IC を表す信号を入力とし、DC/DC変換器6の各素子のゲート信号を出力とする。制御装置8では架線電流IS の絶対値を小さくするように補償電流IC の制御を行うものとする。 【0021】かかる大容量蓄電装置5の具体的な主回路構成の一例を図3に示す。同図では制御装置8を省略して示してある。この制御装置8については後述する。また、同図においては、スイッチング素子としてIGBTのシンボルを用いているが、IGBTに限らず自己消弧形素子であれば置換可能である。 【0022】図3に示すように、大容量蓄電装置5は、逆流防止スイッチ11、LCフィルタ12及び双方向チョッパ13からなるDC/DC変換器6と、大容量二次電池7とを有している。双方向チョッパ13は自己消弧形素子と逆並列ダイオードを組み合わせたもの2組と平滑リアクトルで構成される。この双方向チョッパ13は2個の自己消弧形素子を交互にON,OFFさせることで、LCフィルタ12側の電圧が大容量二次電池7側の電圧よりも高い場合に、双方向に電流を流すことが可能であり、その電流は自己消弧形素子のON時間とOFF時間の比率を調整することで制御可能である。双方向チョッパ13のLCフィルタ12側の電流は双方向チョッパ13のスイッチングによってパルス状の波形となっており、これをそのまま架線・き電線に流した場合には様々な悪影響を及ぼす虞がある。このため、LCフィルタ12で前記電流の高周波成分を取り除いている。 【0023】双方向チョッパ13の動作を図4を用いて説明する。リアクトルLC の両端にかかる電圧VLcはスイッチの状態に応じて図4のようになる。すなわち、スイッチS2 又はダイオードD2 が導通状態にあるとき、電圧VLcは大容量二次電池7の電圧VB に等しくなり、スイッチS1 又はダイオードD1 が導通状態にあるときは電圧VB は電圧VCFに等しくなる。スイッチS2 又はダイオードD2 が導通状態にあるときは電圧VLcは正となるためリアクトルLC の電流ILcは増加し、逆にスイッチS1 又はダイオードD1 が導通状態にあるときは電圧VLcは負となるためリアクトルLC の電流ILcは減少する。ここで、後述する理由により大容量二次電池7の電圧VB はフィルタコンデンサの電圧VCFよりも小さくなるように動作点を設定してあるので、スイッチS1 又はダイオードD1 が導通状態にあるときはVLc=VB −VCFは負となる。このため、電流ILcはスイッチS1 (又はスイッチS2 )のON時間とOFF時間の比率を調整しながらスイッチS1 、S2 を交互にON,OFFさせることで制御可能である。電流IF は、図4に示すようにスイッチS1 又はダイオードD1 が導通状態の時は電流IB に等しく、それ以外の時には0となる。これをLCフィルタ12で平滑化した電流が補償電流IC となる。 【0024】図4は大容量二次電池7から放電する場合(IB が正の場合)について示したものであるが、電流IB が逆方向に流れる場合も電流の符号が変わるだけで同様の動作となる。 【0025】図4に示す回路の双方向チョッパ13が正常に動作するためには、双方向チョッパ13のLCフィルタ12側の電圧VCFが大容量二次電池7側の電圧VB よりも大きい必要がある。さもないとスイッチS1 ,S2 の状態に関係なくリアクトルLC の電圧VLcが常に正となってしまい、充放電電流IB が増加し続けてしまうために充放電電流IB を制御することができなくなってしまう。かかる現象を回避するために逆流防止スイッチ11を設けている。逆流防止スイッチ11の自己消弧形素子は通常ON状態で用いるが、架線1の電圧が大容量二次電池7の電圧よりも小さくなった場合にOFFにし、大容量二次電池7から架線1に大電流が流れるのを防止している。 【0026】ところで、モータ駆動用変換器3にはモータ4の種類によってDC/DC変換器やDC/AC変換器といった半導体電力変換器を用いるのが普通である。このため、前記大容量蓄電装置5と同様に、当該モータ駆動変換器3から架線1側に高い周波数成分を含む電流を流出させないために、モータ駆動変換器3にもLCフィルタを設けるのが普通である。このLCフィルタと大容量蓄電装置5のLCフィルタを共用とし、図5のような構成とすることも可能である。なお、図5中、図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。 【0027】図6は、図2の大容量蓄電装置5における制御装置8のさらに具体的な構成例を示すブロック線図である。同図に示すように、制御装置8では、電流検出器9で検出したモータ駆動変換器3への入力電流IL を、大容量蓄電装置5の電流指令値I*C とし、これに電流検出器10で検出する補償電流IC が一致するようにフィードバック制御を行う。 【0028】ここで、入力電流IL 及び補償電流IC がパルス状電流の場合など、高周波成分を多く含む場合には、図7に示すように、電流検出器9、10の出力信号である電流検出値を必要に応じてローパスフィルタ14、15に通した後、これを処理するようにしても良い。 【0029】大容量二次電池7の容量や定格電流の制限等によって大容量蓄電装置5の電流IC を指令値I*C と一致させることができないことがある。この場合には、リミッタ16(図6及び図7参照。)を作動させ、各部の定格電流・動作範囲を超えないように制御する。リミッタ16の作動によって指令値通りの電流が得られない場合、不足分は架線1に流れることになる。 【0030】制御装置8のより具体的な構成例を図8に示す。同図に示す制御装置8は、図3又は図5に示す主回路に適用するためのものである。まず、同図の電流制御部分について説明する。電流制御部分は、IC ,IL ,IB の各検出値を入力とし、ゲート信号G1 ,G2 を出力とする。図では省略してあるが、電流検出値に高周波成分が多く含まれるときは必要に応じて電流検出値をローパスフィルタを通すフィルタ処理を行う。電流制御部分は、大容量二次電池7の充放電電流IB を制御するためのフィードバックループと大容量蓄電装置5の入力電流IC を制御するためのフィードバックループ及びゲート信号生成部から構成される。 【0031】補償電流IC を制御するためのフィードバックループでは、入力電流IL を指令値I*C (補償電流IC の指令値)とし、これと補償電流IC との偏差をPI制御器17に入力する。PI制御器17の出力はリミッタ18を通した上で次段の電流IB の制御ループの電流指令値I*B とする。リミッタ18では大容量二次電池7の電流定格を超えないように電流指令値I*B を一定範囲内に制限するようリミッタをかける。また、電圧VB に基づき大容量二次電池7の充電状態を判断し、それ以上の放電が不可能な場合には電流指令値I*B ≦0となるように、またそれ以上充電できないときには電流指令値I*B ≧0となるようにリミッタを制御する。 【0032】次段の電流IB を制御するループでは、前段で求めた電流指令値I*B と電流検出値IB との偏差をPI制御器19に入力し、その出力をリミッタ20に通した上で変調率指令値m* とする。変調率mはスイッチS1 のON時間t1 とスイッチS2 のON時間t2 を用いて次式のように定義する。 【数1】
【0033】リミッタ20では変調率指令値m* の上限値・下限値を制御する。上式より0≦m≦1であるが、通常は細すぎるONパルスやOFFパルスを発生しないようにリミッタ範囲をこれより狭くするのが一般的である。 【0034】次に、変調率指令値m* を基にスイッチング信号を生成する。具体的には変調率指令値m* とキャリア信号発生部22が発生するキャリア信号とを比較器22に入力し、その出力信号をスイッチング信号とする。キャリア信号としては、図9に示すような三角波を用いる。この場合、キャリア三角波の周波数がスイッチング周波数となる。 【0035】上述の処理により発生したスイッチング信号G′1 ,G′2 に対して、デッドタイム処理部23でターンオンのタイミングを微小時間だけ遅らせる処理を施したものをスイッチング素子のゲート信号G1 ,G2 とする。ここで、デッドタイム処理はスイッチS1 ,S2 が同時にONになるのを防止するために必要な処理である。 【0036】次に、逆流防止スイッチ11の制御部について説明する。ゲート信号G3 はスイッチS3 のゲート信号であり、通常の動作においては常時ON(G3 =1)となっている。これに対し、電圧VS が電圧VB より小さくなった場合にはG3 =0として逆流防止スイッチ11をOFFにし、大容量蓄電装置5から架線1に電流が流れるのを防止する。また、電圧VS と電圧VB とを比較器24で比較した後、必要に応じて状態保持器25を設け、ひとたび電圧VS が電圧VB より小さくなったらその後、逆流防止スイッチ11がOFFの状態を維持する。 【0037】図10は、図2の大容量蓄電装置5の制御装置8の他の構成例をさらに詳細に示すブロック線図である。同図に示すように、図6に示す構成例とは電流の検出部位が異なる。本例では電流検出器26で架線電流IS を検出し、これを0に制御する制御装置8である。したがって、電流指令部27には、電流指令値=0が設定してある。本例では、図6に示す例に対して、電流検出器が少なくて済むという特長がある。 【0038】ここで、電流検出器26で検出する電流検出値は、図11に示すように、必要に応じてローパスフィルタ30によりフィルタ処理を行うように構成しても良い。 【0039】図11に示す制御装置8を、図3又は図5に示す主回路に適用するための制御系の一例を図12に示す。当該制御系は、図8に示す制御系とは、補償電流ICの検出値の代わりに架線電流IS の検出値を用い、架線電流IS の電流指令値I*S として0を用いている点が異なる。他の構成は、図8に示す構成と同様である。そこで、図8と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。 【0040】電車は進行ダイヤが決まっているため、力行・回生のパターンはある程度決まっている。このため、運行ダイヤの情報や列車の速度・位置をもとに本発明に係る電気車の駆動システムの大容量蓄電装置5の運転パターン(充放電パターンやリミッタ値)を決めれば、当該電気車の駆動システムをより有効に活用することができる。例えば次のような方法が考えられる。 【0041】■ 次に力行すると分かっている場合には、力行する前に大容量二次電池7を充電し、逆に回生すると分かっている場合には大容量二次電池7を放電しておく。具体的には、大容量二次電池7を充放電していないとき(電気車Iの停止時又は定速走行時)に、次の動作を予測して電流指令値I*B を調整して大容量二次電池7を充電または放電しておく。このとき架線電流IS が大きくならないように電流指令値I*B は比較的小さい値とする。 【0042】■ 図13に示すように、長時間の力行(又は回生)を行い大容量二次電池7が力行(または回生)途中で全放電(または満充電)してしまうことが分かっている場合に、電流IB のリミッタ値を小さく設定しておき、力行中(又は回生中)ずっと、ある程度の補償が行えるようにする。このようにリミッタを設定することで、架線1に大電流が流れるのを防ぐことができる。 【0043】 【発明の効果】以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、本発明によれば、電気鉄道の電気車に大容量の蓄電装置をもうけ、力行時の電力は主にその蓄電装置から供給し、また回生制動時にはその回生電力を前記蓄電装置に蓄えることができるので、電気車が架線から供給される電力量及び電気車が架線に回生する電力量を低減することができる。 【0044】この結果、き電線・架線の電圧変動を低減するとともに、き電線・架線に流れる回生電流を大幅に低減して回生失効を回避することもできる。さらに、き電線・架線での損失を低減することが可能で、省エネルギー効果がある。 【0045】また、全電気車に本電力貯蔵システムを搭載することで、き電線に従来ほどの大電流が流れることがなくなるため、き電線の太さを細くすること、及びき電変電所の間隔を大きくすることが可能となり、地上設備のコストダウンが実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006105 【氏名又は名称】株式会社明電舎 【住所又は居所】東京都品川区大崎2丁目1番17号
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| 【出願日】 |
平成13年7月2日(2001.7.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078499 【弁理士】 【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−18702(P2003−18702A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月17日(2003.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−200348(P2001−200348) |
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