| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 正次郎 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】発電機と電動機の発電、消費電力の電力差を無くし、バッテリの小型化を図る。
【解決手段】エンジン1と、エンジン1に連結される発電機2と、車両の動力源となる電動機4と、発電機2の発電出力と電動機4の電力消費とにより充放電するバッテリとを備える。さらに発電機2のトルクを推定する手段と、エンジン1の燃料供給が停止され、かつ発電機によりエンジンが駆動されている車両走行状態での発電機推定トルクに基づいてエンジンフリクションを算出する手段と、算出したエンジンフリクションをエンジン1あるいは発電機2の制御要素とする制御手段を備える。これによりエンジン1または発電機2の出力を目標値に精度よく一致させることが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと、エンジンに連結される発電機と、車両の動力源となる電動機と、発電機の発電出力と電動機の電力消費とにより充放電するバッテリとを備えたハイブリッド車両において、発電機のトルクを推定する手段と、エンジンの燃料供給が停止され、かつ発電機によりエンジンが駆動されている車両走行状態での前記発電機推定トルクに基づいてエンジンフリクションを算出する手段と、この算出したエンジンフリクションをエンジンあるいは発電機の制御要素とする制御手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】前記トルク推定手段は発電機のステータコイルに流れる電流の検出値に基づいて発電機トルクを推定する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】前記エンジンフリクション算出手段は、発電機推定トルクから、そのときのエンジンポンピングロストルクを減算してエンジンフリクショントルクを算出する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】前記算出されたエンジンフリクションは記憶され、かつ記憶値は順次更新される請求項1または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】前記制御手段は算出されたエンジンフリクションに基づいて発電機を駆動するのに必要なエンジン目標トルクを修正する請求項1〜4のいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項6】前記制御手段は算出されたエンジンフリクションに基づいて発電機によりエンジンを駆動するときの発電機目標回転数を演算する請求項1〜4のいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド車両の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】低公害性にすぐれた車両の駆動源としてエンジンと発電、電動機とを組み合わせたハイブリッド駆動システム(HEV)がある。このHEVではエンジンと発電、電動機との組み合わせの方式から、シリーズ式とパラレル式があるが、シリーズ式であっても、電動機で消費するエネルギを過不足なく発電機から供給することができれば、バッテリの充放電の損失を低減し、バッテリの小型化が可能となるため、コストや燃費、動力性能を含めて非常にメリットが高い。 【0003】このような観点から、従来、特開平11-146503号公報によって、車両の走行状態に応じて変化する電動機の駆動出力と、発電機の発電量を対応させる提案がなされている。 【0004】また、特開平8-79914号公報のように、回生制動時にバッテリ充電量が飽和状態に近づいたときに発電機によりエンジンを駆動し、車両に必要な制動特性を確保しつつバッテリの過充電を防止するものもある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジンにより駆動される発電機に目標とする電力を発電させるためには、発電機を駆動するエンジンのトルクを制御すると共に発電機の回転速度を制御している。 【0006】このために、発電機の目標発電出力を発電機効率で除して発電機駆動動力を求め、これを発電機の実回転速度(=エンジン回転速度)で除して目標エンジントルクを算出し、エンジンがこの目標エンジントルクを発揮するようにエンジンのスロットル弁開度、燃料噴射量、点火時期等を制御している。 【0007】この制御は基本的にオープン制御で行われる。すなわち、標準的なエンジンを用いた実験を行なってエンジントルクと制御値(スロットル弁開度、燃料噴射量、点火時期等)との関係を予めマップ化しておき、実際にエンジンを制御する場合は目標エンジントルクに従ってこのマップから読み出した制御値を使用し、エンジンの制御を行う。 【0008】しかしながら、マップの作成に使用したエンジンと実際のエンジンとの間にフリクションの個体差が存在すると、マップに従って制御を行なっても目標通りのエンジントルクが得られず、実際のフリクションが大きければ発電機の発電出力が目標よりも低くなってしまう。この場合、同じエンジン個体であってもフリクションは、例えば潤滑オイルの劣化やピストンリングの摩耗などにより、経時的に変化するという問題もある。 【0009】これらにより、実際のエンジントルクが目標と一致しない場合、発電機の発電出力も目標と一致しなくなり、電動機の消費電力との間にもずれが生じてバッテリの充放電や、場合によっては過充電を発生させることになる。 【0010】本発明の目的は、ハイブリッド駆動システムにおいて、エンジンのフリクションを正確に求め、発電機と電動機の発電、消費電力の差を無くし、バッテリ容量の小型化を図ることである。 【0011】 【課題を解決のするための手段】第1の発明は、エンジンと、エンジンに連結される発電機と、車両の動力源となる電動機と、発電機の発電出力と電動機の電力消費とにより充放電するバッテリとを備えたハイブリッド車両において、発電機のトルクを推定する手段と、エンジンの燃料供給が停止され、かつ発電機によりエンジンが駆動されている車両走行状態での前記発電機推定トルクに基づいてエンジンフリクションを算出する手段と、この算出したエンジンフリクションをエンジンあるいは発電機の制御要素とする制御手段を備える。 【0012】第2の発明は、第1の発明における前記トルク推定手段は発電機のステータコイルに流れる電流の検出値に基づいて発電機トルクを推定する。 【0013】第3の発明は、第1の発明における前記エンジンフリクション算出手段は、発電機推定トルクから、そのときのエンジンポンピングロストルクを減算してエンジンフリクショントルクを算出する。 【0014】第4の発明は、第1または第3の発明において、前記算出されたエンジンフリクションは記憶され、かつ記憶値は順次更新される。 【0015】第5の発明は、第1から第4の発明において、前記制御手段は算出されたエンジンフリクションに基づいて発電機を駆動するのに必要なエンジン目標トルクを修正する。 【0016】第6の発明は、第1から第4の発明において、前記制御手段は算出されたエンジンフリクションに基づいて発電機によりエンジンを駆動するときの発電機目標回転数を演算する。 【0017】 【作用効果】本発明によれば、発電機によりエンジンが駆動されているときのエンジン推定トルクからエンジンフリクションを算出するので、エンジンフリクションが正確に算出でき、これに基づいてエンジンないしは発電機の制御を行うので、エンジンに個体差や経時変化があっても、精度よく目標エンジントルクや発電機発電出力を制御することができ、発電機と電動機の発電電力と消費電力を一致させ、バッテリに要求される充放電を小さくし、バッテリの充放電損失の低減と、バッテリ容量のなお一層の小型化を図ることができる。 【0018】また、第4の発明では、エンジンフリクションは最新値に更新されていくので、いつでも常に正確なエンジン、発電機の制御が可能となる。 【0019】第5の発明では発電機の発電出を電動機の要求駆動力に合わせて正確に制御することが可能で、発電機と電動機の発電、消費電力差を無くし、バッテリの充放電を小さくし、バッテリ容量のさらなる小型化が可能となる。 【0020】第6の発明では、発電機によりエンジンを駆動する減速エネルギ回生時などに、発電機の消費電力と電動機の回生電力とを正確に一致させることができ、バッテリの充放電を抑制し、上記と同じくバッテリの小型化が図れる。 【0021】 【実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。 【0022】まず、図1は本発明が適用される車両のシステム構成図である。エンジン1により駆動される発電機2と、この発電機2の出力により駆動される電動機4が備えられ、これら発電機2と電動機4から構成される電気パワートレイン5は、車両の無段変速機としても機能する。 【0023】発電機2のロータ軸がエンジン1のクランク軸に連結され、電動機4のロータ軸(以下、出力軸)6はデフを介して駆動輪7aが取付けられる駆動軸7に連結される。 【0024】発電機2、電動機4は永久磁石式交流同期モータ等の交流機であり、それぞれインバータ8に接続されている。発電機2、電動機4の回転速度はインバータ8の駆動周波数に応じて制御され、インバータ8の駆動周波数の比が電気パワートレイン5の入出力軸の回転速度比(変速比)となる。インバータ8にはバッテリ9(リチウムバッテリあるいはニッケル水素バッテリ等)が接続されている。 【0025】発電機2と電動機4の間にはクラッチ3が介装されており、このクラッチ3が締結されるとエンジン1と出力軸6が直結状態となってエンジン1で直接出力軸6を駆動することができる。クラッチ3は例えば電気パワートレイン5の発電機回転速度と電動機回転速度が一致したときに締結され、発電機2と電動機4における損失を抑制して車両の燃費性能を向上させることができる。 【0026】また、後述する制御のために、電気パワートレイン5には、発電機2のロータ回転速度(以下、発電機回転速度)Niを検出する発電機回転速度センサ24と、電動機4のロータ回転速度(以下、電動機回転速度)Noを検出する電動機回転速度センサ21とが取付けられている。さらに、発電機2のステータコイルに流れる電流を検出するための電流センサ25が設けられる。 【0027】一方、エンジン1の吸気通路には電子制御式スロットル装置14が設けられており、スロットル開度は必要とされる発電電力に応じて設定される目標エンジントルクが実現されるよう運転者のアクセル操作とは独立して制御される。エンジン1にはこの他、吸入空気量を検出するエアフローメータ13、クランク角を検出するクランク角センサ23が設けられている。 【0028】エンジン1と電気パワートレイン5を制御するために、統合コントロールユニット(GCU)10が備えられ、基本的には、アクセル操作量センサ22によって検出されたアクセル操作量等に基づき運転者が要求する駆動力を求め、要求駆動力が実現されるようにトランスミッションコントロールユニット(TCU)12を介して電動機4のトルク制御を行う。また、電動機4の駆動出力(消費電力)に見合った発電電力が得られるようにトランスミッションコントロールユニット12を介しての発電機2の回転速度制御及びエンジンコントロールユニット(ECU)11を介してのエンジン1のトルク制御も併せて行う。 【0029】さらに、統合コントロールユニット10は、車両減速時(燃料カット時)は、電動機4を発電機として機能させることにより電力を回生し、さらにこの回生電力を発電機2を電動機として力行させることによって消費し、減速時においても電力収支をバランスさせる。 【0030】図2は、統合コントロールユニット10が行う車両制御の内容を示したブロック図である。 【0031】これについて説明すると、ブロックB1ではアクセルペダル操作量APO[deg]と車速VSP[km/h]とに基づき、目標駆動力tFd0[N]が算出される。目標駆動力tFd0は、具体的には、アクセルペダル操作量APOと車速VSPに従って所定の目標駆動力マップを参照して算出される。駆動力マップはエンジンに燃料を供給している状態に合わせて設定してある。アクセルペダル操作量APOはアクセル操作量センサ22で検出され、車速VSPは電動機回転速度21センサで検出した電動機4の回転速度No[rpm]に定数G1を乗じて算出される。車両の駆動輪の半径をr[m]、電動機4の出力軸から駆動輪軸までの減速比をRとしたとき、定数G1はG1=2×π×r×60/(R×1000)により計算される値である。 【0032】ブロックB2では目標駆動力tFd0[N]に車速VSP[m/s]を乗じて目標電動機出力tPo00[W]が算出される。車速VSPは電動機回転速度センサ22で検出した電動機回転速度No[rpm]に定数G2を乗じて算出される。定数G2はG1=2×π×r/(R×60)により計算される値である。 【0033】ブロックB3では目標電動機出力tPo00[W]にフィルタ処理が施される。このフィルタ処理は電動機4の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行われる。 【0034】ブロックB4では車速VSP[km/h]に基づき燃料カット時の目標駆動力tFd_d[N]が算出される。具体的には、車速VSPに従って燃料カット時目標駆動力テーブルを参照して燃料カット時目標駆動力tFd_dが算出される。燃料カット時目標駆動力tFd_dは極低車速の範囲を除き負の値(車両が電動機4を駆動することを示す)に設定される。 【0035】ブロックB5では、燃料カット時目標駆動力tFd_d[N]に車速VSP[m/s]を乗じて燃料カット時の目標電動機回生電力tPo_d[W]が算出される。燃料カット時目標電動機回生電力tPo_dは、電動機4の回生出力(=電動機4の回生駆動により単位時間当たりに消費される車両の運動エネルギー)の目標値を表す。 【0036】ブロックB6では、燃料カット判定フラグfFCUTに基づいて目標電動機出力の選択が行われ、フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときはフィルタ処理後の目標電動機出力tPo0[W]が選択され、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときは燃料カット時の目標電動機回生出力tPo_d[W]が選択される。 【0037】なお、フラグfFCUTは、図3に示すように、アクセルペダルが全閉(アクセル操作量APOが略ゼロ)であるか否かをヒステリシス付きで判定するとともに(ブロックB41)、車速が所定車速以上であるか否かをヒステリシス付きで判定し(ブロックB42)、両判定結果をAND処理(ブロックB43)することによって設定される。 【0038】図2に戻り、ブロックB7ではブロックB6で選択された目標電動機出力を電動機回転速度No[rad/s]で除し、目標電動機トルクtTo[Nm]が算出される。電動機回転速度No[rad/s]は電動機回転速度センサ21で検出した電動機回転速度No[rpm]に定数G3(=2×π/60)を乗じて算出される。 【0039】算出された目標電動機トルクtToはトランスミッションコントロールユニット12に送られ、目標電動機トルクtToに基づき電動機4のトルクが制御される。特に、目標電動機トルクtToが負の値である場合、トランスミッションコントロールユニット12は電動機4の回生トルクを制御することになる。 【0040】ブロックB8では電動機回転速度No[rpm]と目標電動機トルクtTo[Nm]とに基づき電動機効率EFFmが算出される。ブロックB9では目標電動機出力tPo00[W]を電動機効率EFFmで除し、電動機4の消費電力tPg[W]が算出される。燃料カットが行われない場合は、電動機4が消費する電力を過不足なく発電機2で発電するダイレクト配電を行うので、電動機消費電力tPgは発電機2の目標発電電力を表している。 【0041】ブロックB10では、発電機回転速度Ni[rpm]とエンジントルクとに基づき、発電機効率EFFgが算出される。発電機回転速度Niは発電機回転速度センサ24で検出される。また、エンジントルクの値としては、後述するブロックB22の出力(目標エンジントルクtTe[Nm])にブロックB11で所定の遅れ処理を施した値、あるいは後述するブロックB19の出力(エンジンブレーキトルクTe_d[Nm])の何れかをブロックB12で選択した値が使用される。 【0042】ブロックB12では燃料カット判定フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときブロックB11の出力が、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときブロックB19の出力が選択される。 【0043】ブロックB13では目標発電機発電電力tPg[W]を発電機効率EFFgで除し、発電機回生出力tPe[W]が算出される。発電機2はエンジン1によって駆動されるので、tPeは目標エンジン出力を表している。ブロックB14では目標エンジン出力tPe[W]を車速VSP[m/s]で除し、第2目標駆動力tFd[N]が算出される。 【0044】ブロックB15では、この第2目標駆動力tFd[N]と車速VSP[km/h]とに基づき、目標発電機回転速度tNi0[rpm]が算出される。具体的には、第2目標駆動力tFdと車速VSPに従って所定の出力配分マップを参照することにより目標発電機回転速度tNi0が算出される。 【0045】ブロックB16では目標発電機回転速度tNi0[rpm]にフィルタ処理が施される。このフィルタ処理は、発電機2の見かけ上の制御応答速度を遅くするために行われる。このフィルタ処理はブロックB3のフィルタ処理と同じものである。 【0046】ブロックB17では燃料カット時の目標駆動力tFd_d[N]に電動機効率EFFmを乗じて、燃料カット時の電動機4の発電電力(回生電力)tPg_d[W]が算出される。燃料カット時は、電動機4が回生した電力が過不足なく発電機2で消費されるので、tPg_dは燃料カット時の目標発電機消費電力でもある。 【0047】ブロックB18ではこの目標発電機消費電力tPg_d[W]に発電機効率EFFgを乗じ、燃料カット時の発電機出力tPe_d[W]が算出される。燃料カット時は、発電機2がエンジン1を回転駆動するので、tPe_dは燃料カット時の目標エンジンブレーキ出力を表す。 【0048】ブロックB19では発電機回転速度Ni[rpm](=エンジン回転速度)に基づき、燃料カット時のエンジンブレーキトルクTe_d[Nm]が算出される。具体的には、Niに従ってエンジンプレーキトルクテーブルを参照してTe_dが設定され、Te_dは負の値に設定される。Te_dが負の値ということは発電機2がエンジン1を駆動することを示す。 【0049】ブロックB20では燃料カット時の目標エンジンブレーキ出力tPe_d[W]を燃料カット時のエンジンブレーキトルクTe_d[Nm]で除し、燃料カット時の目標発電機回転速度tNi_d[rad/s]が算出される。 【0050】ブロックB21では燃料カット判定フラグfFCUTに基づいて最終的な目標発電機回転速度tNifが選択される。フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときはフィルタ処理後の目標発電機回転速度tNi[rpm]が、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときは定数G4(=1/G3)を用いて単位換算した燃料カット時の目標発電機回転速度tNi_d[rpm]が最終的な目標電動機回転速度tNifとして選択される。 【0051】そして、この最終的な目標発電機回転速度tNifはトランスミッションコントロールユニット12に送られ、このtNifに基づき発電機2の回転速度が制御される。 【0052】一方、ブロックB22では、目標エンジン出力tPe[W]を発電機回転速度Ni[rad/s]で除し、目標エンジントルクtTe[Nm]が算出される。発電機回転速度Ni[rad/s]は発電機回転速度センサ24で検出した発電機回転速度Ni[rpm]に定数G3を乗じて算出される。 【0053】算出された目標エンジントルクtTeはエンジンコントロールユニット11に送られ、目標エンジントルクtTeに基づきエンジン1のトルクが制御される。 【0054】具体的には、電子制御式スロットル装置14のスロットル開度、燃料噴射量、点火時期などが制御される。 【0055】ただし、燃料カット判定フラグfFCUTが1の場合はエンジン1への燃料供給がカットされるので、この場合エンジン1のトルク制御は中断される。 【0056】なお、非燃料カット時のエンジントルクはスロットル開度制御に対して所定の遅れを持って追随するのが一般的であることから、ブロックB3やブロックB12のフィルタ処理はこのようなエンジンの応答遅れに電動機や発電機の制御を同期させるために施されている。これに対し、燃料カット時のエンジンブレーキトルクには上記のような遅れがないので、燃料カット時の目標電動機出力や目標発電機回転速度にはフィルタ処理を施していない。 【0057】上記制御を行うことにより、燃料カット時の電動機4によって回生された電力と発電機2を力行させることによる消費電力とを一致させることができ、減速時においても電力収支をバランスさせてバッテリ充電状態(SOC)の変動を抑制することができる次に、この統合コントロールユニット10から送られてくる目標エンジントルクtTeに基づいて、エンジンコントロールユニット11が行うエンジンの目標燃焼圧トルクの算出について、図4のルーチンにより説明する。 【0058】ステップS1では、燃料カットフラグfFCUTが0(=燃料カット無し)であるか否かを判断する。 【0059】fFCUTが0であるとき、すなわち燃料カットで無いときは、ステップS2へ進み、実エンジン回転速度Niに基づいてエンジン1のフリクショントルクTefを算出する。具体的には、エンジン回転速度に対応づけてTefを記憶させてあるフリクショントルクテーブル(Tefテーブル)から現在のNiに従ってTefをルックアップする。 【0060】ただし、このフリクショントルクは予め実験等により求められるものであって、エンジン個体差や、経時的に変化を生じることがあるが、これは後述(図5)するように順次修正される。 【0061】次のステップS3では、実エンジン回転速度Niとスロットル弁開度TVOとに基づいてエンジン1のポンピングロストルクTeplを算出する。具体的には、エンジン回転速度とスロットル弁開度とに対応づけてTeplを記憶させてあるポンピングロストルクマップ(Tep1マップ)から現在のNi、TVOに従ってTeplをルックアップする。 【0062】そしてステップS4では、統合コントロールユニット10から送られてくる目標エンジントルクtTeとフリクショントルクTefとポンピングロストルクTeplとを加算して、目標燃焼圧トルクtTcを算出する。ここで、燃焼圧トルクは燃料が燃焼することによって発生する純粋トルクであり、この燃焼圧トルクからフリクションとポンピングロスによるトルクを差し引いたトルクがエンジンから取り出せる出力軸トルクとなる。 【0063】これに対してステップS1でfFCUTが0でない(=燃料カットする)ときはステップS5へ進み、目標燃焼圧トルクtTcを0にする。 【0064】以上のようにして算出した目標燃焼圧トルクtTcに基づいて制御値(スロットル弁開度、燃料噴射量、点火時期等)が決定され、その制御値を用いてエンジン制御が行われる。 【0065】ところで、上記したように、エンジン1の実際のフリクショントルクは、エンジン個体差や経時変化などにより、予め記憶されている特性とは異なることがある。そこで、本発明では、常に実際のフリクショントルクを算出し、記憶値を最新の算出値に基づいて順次更新していくことで、例えばエンジン1の目標燃焼圧トルクtTcを常に正確に演算できるようにしている。 【0066】この処理を図5のルーチンにしたがって説明する。 【0067】まず、ステップS11では、燃料カットフラグfFCUTが1(=燃料カットする)であるか否か判断する。 【0068】fFCUTが1であるときはステップS12へ進み、実エンジン回転速度Niの変化量△Niが所定値εより小さいか否かを判断する。 【0069】実エンジン回転速度Niの変化量△Niが所定値εより小さいときはステップS13へ進み、実エンジン回転速度Ni(=実発電機回転速度)と発電機2のステータコイルに流れている電流Igとから発電機2の実トルクTgを算出する。 【0070】次のステップS14では、実エンジン回転速度Niとスロットル弁開度TVOとに基づいてエンジン1のポンピングロストルクTeplを算出する(図4のステップS3と同じ)。なお、fFCUTが1であるから、このときのスロットル弁開度TVOは0(全閉)となっている。 【0071】そしてステップS15において、発電機2の実トルクTgからエンジン1のポンピングロストルクTeplを減算して、フリクショントルクの現在値TefOを算出する。 【0072】エンジン1の燃料カット走行状態では、統合コントロールユニット10は電動機4によって回生された電力と発電機2を力行させることによる消費電力とを一致させることで、減速時においても電力収支をバランスさせてバッテリ充電状態の変動を抑制している。つまり、電動機4により回生された電力エネルギに相当する分だけ、発電機2で出力停止中のエンジン1を駆動することで消費し、バッテリ充電量の変動を防ぎ、一方で車両の減速性能を確保している。 【0073】したがってこの状態にあっては発電機2の実トルクからエンジンポンピングロスを除いたものは、エンジンフリクショントルクに相当するのである。 【0074】ステップS16では、実エンジン回転速度Niとフリクショントルクの現在値TefOとに基づいて、Tefテーブルの記憶値を更新する。例えば、Niに従ってTefテーブルからルックアップしたTefとTefOとの加重平均値(次式参照)を新たなTefとして記憶値の更新を行なう。 【0075】 Tef(新)=k×Tef+(1−k)×TefOこのようにして、エンジン1の燃料カット中にエンジン1の実際のフリクショントルクに相当するTefテーブル記憶値の更新が行われる。 【0076】なお、Tefテーブル記憶値は、エンジン1や車両の運転が停止された後もその値が保持されるものとする。また、記憶値の初期値としては標準的なエンジンを用いた実験値を使用する。 【0077】これに対してステップS12において、実エンジン回転速度Niの変化量△Niが所定値ε以上であると判断された場合は、燃料カット中であっても、Tefテーブル記憶値の更新を行なわない。これは、実エンジン回転速度Niの変化が大きいときに発電機2の実トルクTgを算出しても正確な値が求められない恐れがあるためである。 【0078】また、ステップS11でfFCUTが0であるとき、つまり燃料カット中でないときはステップS17へ進み、Tefテーブル記憶値の更新が行われたか否かを判断する。 【0079】燃料カット中にステップS15が実行され、そのあと通常運転へ復帰した直後にだけ本ステップの判断がYESとなり、ステップS18へ進んでエンジンブレーキトルクテーブル(Te−dテーブル)の更新が行われる。 【0080】このエンジンブレーキトルクは、フリクショントルクとスロットル弁全閉時のポンピングロストルクとを加算すれば得られるので、Tefテーブル記憶値とTeplマップ記憶値とから新たなエンジンブレーキトルクTe−dを算出し、この算出値でTe−dテーブルの記憶値を更新する。なお、Te−dテーブル記憶値についても、エンジンや車両の運転が停止された後もその値が保持されるものとする。 【0081】このルーチンでは、Te−dテーブル記憶値の更新を燃料カット運転終了後に行なうようになっているが、これを燃料カット中(例えばステップS15の直後)に行なうことも不可能ではない。ただし、燃料カット中はTe−dテーブルの記憶値を発電機2の回転速度制御に使用しており、記憶値の更新と使用とを同時に行なうと制御が不安定になる恐れがあるので避けたほうが良い。 【0082】なお、エンジンフリクションは、エンジン温度(=潤滑オイルの粘度)によっても変化するので、エンジン温度が平衡温度に達するまで、すなわちエンジンの暖機過程では、図4のステップS2でフリクショントルクTefを算出した後、エンジン温度に応じて補正した値をステップS4で使用すると、さらに正確なものとなる。また、エンジンフリクションの非常に大きな、エンジン暖機過程(暖機完了前)では制御が不安定化するので、図5のルーチンを実行しないようにする。 【0083】このように本発明では、エンジンコントロールユニット11において、統合コントロールユニット10からの目標エンジントルクが与えられると、エンジン1の目標燃焼圧トルクを算出するにあたり、エンジン1のそのときのフリクションを算出し、このフリクションに基づいて燃焼圧トルクを修正することにより、エンジン1が実際に外部に出力することのできる純粋トルクを正確に要求される発電機2の駆動トルクに一致させている。 【0084】もし、エンジンフリクションとして実験値などにより予め決まった値をとっているときは、実際のフリクションが経時変化などにより変動した場合には、発生するエンジントルクが目標値からずれてしまう。 【0085】この結果、本発明では、発電機2の発電電力を電動機4で消費される電力とのずれを常に小さくすることが可能となり、バッテリの充放電を可及的に小さくすることができ、バッテリ容量のより一層の小型化などが図れる。 【0086】ところで、上記では、実際のエンジンフリクショントルクを更新しながら最新のエンジンフリクショントルクに基づいて、エンジン1の目標燃焼圧トルクを算出する例を説明したが、車両の回生制動時など、エンジン1が燃料供給を停止し、発電機2によりエンジン1を駆動するときに、エンジンフリクショントルクに基づいて発電機2の目標回転数を修正することにより、発電機2での消費電力を正確に制御することができる。 【0087】上記したように、統合コントロールユニット10は、車両減速時(燃料カット時)に、電動機4を発電機として機能させることにより電力を回生し、さらにこの回生電力を発電機2を電動機として機能させ、エンジン1を駆動することによって消費し、車両に要求される制動性能(エンジンブレーキ)を確保しつつ、発電機2と電動機4との電力収支をバランスさせている。 【0088】そこで、発電機2の目標回転数を実際のエンジンフリクショントルクに基づいて演算するようにすると、発電機2がエンジン1を駆動するのに必要な消費電力を正確に制御でき、電動機4と発電機2との発電、消費電力差を極力小さくすることが可能となる。これによりバッテリの充放電を抑制し、その容量のさらなる小型化が可能となる。 【0089】本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の技術的思想の範囲内でのさまざまな変更がなしうることは明白である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成13年6月21日(2001.6.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−9306(P2003−9306A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月10日(2003.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−187587(P2001−187587) |
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