| 【発明の名称】 |
車両用走行制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】窪田 賢太 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】渡辺 憲一 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】車速を目標車速に一致させる走行制御を行う際に、加速時に自動変速機のシフトハンチングを防止する。
【解決手段】自車速Vsを目標車速V* に一致させる目標加速度α* 及びエンジントルク指令値Tegを算出する。自車速Vsに基づいて自動変速機の各ギヤ位置のエンジン回転速度を算出し、これらに基づいて最大エンジントルクTeG2〜TeG5を算出し、これらから各ギヤ位置での最大加速度αMAXG2 〜αMAXG5 を推定し、さらにエンジントルク指令値Tegに基づいて走行抵抗等の外乱による加速度外乱値αD を推定する。推定した各ギヤ位置の最大加速度から加速度外乱値αD 及び目標加速度α* を少なくとも減算して加速度余裕値αS2〜αS5を算出し、加速度余裕値が正値で且つ最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置として設定し、これに基づいて仮想スロットル開度θV を算出し、エンジン制御を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車速を検出する車速検出手段と、車両の目標車速を設定する目標車速設定手段と、前記車速と前記目標車速とに基づいて自動変速機を搭載した車両の駆動力を制御する駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記駆動力制御手段は、前記車速と目標車速との偏差に基づき目標加速度を設定する目標加速度設定部と、現在の車速における全てのギヤ位置での最大加速度を推定する最大加速度推定部と、前記目標加速度を達成可能な最も高速側のギヤ位置に要求ギヤ位置として設定するギヤ位置設定部とを有することを特徴とする車両用走行制御装置。 【請求項2】 前記最大加速度推定部は、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定することを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。 【請求項3】 前記最大加速度推定部は、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分及びエンジントルクバラツキ余裕分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定することを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。 【請求項4】 前記ギヤ位置設定部は、車速及び設定されたギヤ位置に対応した仮想スロットル開度を回転駆動源の回転速度を制御する駆動源制御手段に出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用走行制御装置。 【請求項5】 前記ギヤ位置設定部は、前記最大加速度推定部で推定した各全てのギヤ位置の最大加速度から前記目標加速度を減算して加速度余裕値を算出し、算出した加速度余裕値が正値で且つ最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置として設定し、要求ギヤ位置に応じた仮想スロットル開度を算出し、算出した仮想スロットル開度を回転駆動源の回転速度を制御する駆動源制御手段に出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用走行制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車速を設定した目標車速に一致させるように走行制御する車両用走行制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の先行車追従制御装置としては、例えば本出願人が先に提案した特開平10−59014号公報に記載されたものが知られている。この従来例は、登坂中および降坂中の自動変速機のシフトハンチングを抑制することを目的として、実車速と目標車速との車速偏差が所定値α1以上の条件で変速機のシフトダウンを行うとともに、車両の走行抵抗を推定し、車速偏差が所定値α3(0<α3<α1)以下で、且つシフトダウン後の走行抵抗推定値がシフトダウン前の走行抵抗推定値から所定値γを減じた値以下となる条件で、変速機のシフトアップを行うようにしている。 【0003】 【発明が解決使用とする課題】しかしながら、上記従来例にあっては、車両の速度制御を行う場合には、目標車速と実車速との偏差に基づいて定速走行するための駆動力を算出することになるが、この駆動力は変速比とエンジントルクとを用いて算出する。変速比としては自動変速機のシフト位置信号を使用することが可能であるが、変速中は、シフト位置信号を用いると駆動力が過大となったり逆に不足することが考えられるので、変速比の入出力回転速度比から求めた変速比を用いることが考えられる。 【0004】ここで、駆動力の変更が生じてエンジンのトルク指令値が上昇し、エンジンがスロットル開度を大きくした場合であって、走行状態が変速動作を決定する変速線の境界近傍である場合には、変速線を越えることでシフトダウンが設定されると、自動変速機がシフト中フラグを立てて変速比を実際の入出力回転速度比で求めることになる。これによって、変速が開始されると共に、変速比は大きい方向に変化して行き、これに応じてエンジントルクの目標値も下がるのでスロットル開度が減少し、変速線をアップシフト方向に越えることがあり得る。このため、ダウンシフトの完了前にダウンシフトがキャンセルされたり、ダウンシフトの完了後即座にアップシフトが行われることとなり、シフトハンチングが生じるという未解決の課題がある。 【0005】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自動変速機で生じる変速線境界近傍でのシフトハンチングを確実に抑制することができる車両用走行制御装置を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、車両の目標車速を設定する目標車速設定手段と、前記車速と前記目標車速とに基づいて自動変速機を搭載した車両の駆動力を制御する駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記駆動力制御手段は、前記車速と目標車速との偏差に基づき目標加速度を設定する目標加速度設定部と、現在の車速における全てのギヤ位置での最大加速度を推定する最大加速度推定部と、前記目標加速度を達成可能な最も高速側のギヤ位置に要求ギヤ位置として設定するギヤ位置設定部とを有することを特徴としている。 【0007】また、請求項2に係る車両用走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記最大加速度推定部が、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定することを特徴としている。さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記最大加速度推定部は、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分及びエンジントルクバラツキ余裕分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定することを特徴としている。 【0008】さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置は、請求項1乃至3の何れかの発明において、前記ギヤ位置設定部は、車速及び設定されたギヤ位置に対応した仮想スロットル開度を回転駆動源の回転速度を制御する駆動源制御手段に出力するように構成されていることを特徴としている。なおさらに、請求項5に係る車両用走行制御装置は、請求項1乃至3の何れかの発明において、前記ギヤ位置設定部は、前記最大加速度推定部で推定した各全てのギヤ位置の最大加速度から前記目標加速度を減算して加速度余裕値を算出し、算出した加速度余裕値が正値で且つ最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置として設定し、要求ギヤ位置に応じた仮想スロットル開度を算出し、算出した仮想スロットル開度を回転駆動源の回転速度を制御する駆動源制御手段に出力するように構成されていることを特徴としている。 【0009】 【発明の効果】請求項1に係る車両用走行制御装置によれば、車速及び目標車速の偏差に基づいて目標加速度を設定すると共に、現在の車速における自動変速機の全てのギヤ位置での最大加速度を推定し、推定した最大加速度のうち目標加速度を達成可能な最も高速側のギヤ位置を設定するようにしたので、変速時における最適なギヤ位置を設定することができ、シフトハンチングを確実に防止することができるという効果が得られる。 【0010】また、請求項2に係る車両用走行制御装置によれば、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定するようにしたので、各ギヤ位置における最大加速度を正確に推定することができるという効果が得られる。さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置によれば、現在の車速における全てのギヤ位置での最大エンジントルクを推定すると共に、推定した最大エンジントルクと走行抵抗成分及びエンジントルクバラツキ余裕分とから各ギヤ位置における最大加速度を推定するようにしたので、各ギヤ位置における最大加速度をより正確に推定することができるという効果が得られる。 【0011】さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置によれば、車速及び設定された要求ギヤ位置に対応した仮想アクセル開度を駆動源制御手段に出力するようにしたので、エンジン回転速度と車速とで決まるギヤ位置を直接変更することなく、スロットル開度を変更することでエンジン回転速度を変更してギヤ位置を間接的に制御することができるという効果が得られる。なおさらに、請求項5に係る車両用走行制御装置によれば、各ギヤ位置の最大加速度から目標加速度を減算して加速度余裕値を算出し、算出した加速度余裕値が正値で且つ最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置として設定することにより、目標加速度を達成可能な最適なギヤ位置を設定することができるという効果が得られる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。 【0013】前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダル8aの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、追従制御用コントローラ20から供給される制動圧指令値PBDの大きさに応じた制動油圧を発生してディスクブレーキ7に供給するように構成されている。 【0014】また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。このエンジン出力制御装置9は、スロットル開度信号に応じてスロットルバルブ10aを開閉し、エンジンへの吸入空気量を変更してエンジン出力を調整するスロットルアクチュエータ10を制御するように構成されている。さらに、自動変速機3には、その変速位置を制御する変速機制御装置11が設けられている。この変速機制御装置11は、後述する車速センサ13で検出した自車速Vsとスロットル開度センサ15で検出したスロットル開度θR とに基づいて変速マップを参照してギヤ位置を算出し、算出したギヤ位置となるように自動変速機3のシフト位置を制御する。 【0015】一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離Lを検出する車間距離検出手段としてのレーダ装置で構成される車間距離センサ12が設けられている。この車間距離センサ12としては、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車両からの反射光を受光することにより、先行車両と自車両との車間距離Lを計測するレーダ装置や電波や超音波を利用して車間距離Lを計測する距離センサを適用することができる。 【0016】また、車両には、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転速度を検出することにより、自車速Vsを検出する車速センサ13と自動変速機3の入力側に配設された入力軸の回転速度を検出する入力回転速度センサ14とが配設されている。さらに、スロットルバルブ10aに実際のスロットル開度θR を検出するスロットル開度センサ15が配設されている。そして、車間距離センサ12、車速センサ13、入力回転速度センサ14及びスロットル開度センサ15の各出力信号が走行制御用コントローラ20に入力され、この走行制御用コントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車速センサ13で検出した自車速Vs等に基づいて、制動制御装置8及びエンジン出力制御装置9を制御して、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行する追従走行制御を行う。 【0017】この追従制御用コントローラ20は、マイクロコンピュータとその周辺機器を備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。この制御ブロックは、車間距離センサ12でレーザー光を掃射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車との車間距離Lを演算する測距信号処理部21と、車速センサ13からの車速パルスの周期を計測し、自車速Vsを演算する車速信号処理部30と、測距信号処理部21で演算された車間距離L及び車速信号処理部30で演算した自車速Vsに基づいて車間距離Lを目標車間距離L* に維持する目標車速V* を演算する車間距離制御手段としての車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した目標車速V* 及び相対速度ΔVに基づいて制動制御装置8、エンジン出力制御装置9及び変速機制御装置11を制御して、自車速を目標車速V* に一致するように制御する車速制御手段としての車速制御部50とを備えている。 【0018】車間距離制御部40は、測距信号処理部21から入力される車間距離Lに基づいて先行車との相対速度ΔVを演算する相対速度演算部41と、車速信号処理部30から入力される自車速Vsに基づいて先行車と自車との間の目標車間距離L* を算出する目標車間距離設定部42と、相対速度演算部41で演算された相対速度ΔV及び目標車間距離設定部42で算出された目標車間距離L* に基づいて減衰係数ζ及び固有振動数ωn を使用する規範モデルによって車間距離Lを目標車間距離L* に一致させるための車間距離指令値LT を演算する車間距離指令値演算部43と、この車間距離指令値演算部43で演算された車間距離指令値LTに基づいて車間距離Lを車間距離指令値LT に一致させるための目標車速V* を演算する目標車速演算部44とを備えている。 【0019】ここで、相対速度演算部41は、測距信号処理部21から入力される車間距離Lを例えばバンドパスフィルタ処理するバンドパスフィルタで構成されている。このバンドパスフィルタは、その伝達関数が下記(1)式で表すことができ、分子にラプラス演算子sの微分項を有するので、実質的に車間距離Lを微分して相対速度ΔVを近似的に演算することになる。 F(s) =ωC 2 s/(s2 +2ζC ωC s+ωC 2 ) …………(1) 但し、ωC =2πfC 、sはラプラス演算子、ζC は減衰係数である。 【0020】このように、バンドパスフィルタを使用することにより、車間距離Lの単位時間当たりの変化量から簡易的な微分演算を行って相対速度ΔVを算出する場合のように、ノイズに弱く、追従制御中にふらつきが生じるなど、車両挙動に影響を与えやすいことを回避することができる。なお、(1)式におけるカットオフ周波数fC は、車間距離Lに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後の加速度変動の許容値とにより決定する。また、相対速度ΔVの算出には、バンドパフィルタを使用する場合に代えて、車間距離Lにハイパスフィルタ処理を行うハイパスフィルタで微分処理を行うようにしてもよい。 【0021】また、目標車間距離設定部42は、自車速Vsに相対速度ΔVを加算して算出した先行車車速Vt(=Vs+ΔV)と自車が現在の先行車の後方L0 [m]の位置に到達するまでの時間T0 (車間時間)とから下記(2)式に従って先行車と自車との間の目標車間距離L* を算出する。 L* =Vt×T0 +LS …………(2) この車間時間という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。なお、LS は停止時車間距離である。 【0022】さらに、車間距離指令値演算部43は、車間距離L、目標車間距離L* に基づいて、車間距離Lをその目標値L* に保ちながら追従走行するための車間距離指令値LT を演算する。具体的には、入力される目標車間距離L* に対して、車間距離制御系における応答特性を目標の応答特性とするために決定される減衰係数ζ及び固有振動数ωn を用いた下記(3)式で表される規範モデルGT (s) に従った二次遅れ形式のフィルタ処理を行うことにより、車間距離指令値LT を演算する。 【0023】 【数1】
【0024】さらにまた、目標車速演算部44は、入力される車間距離指令値LT に基づいてフィードバック補償器を使用して目標車速V* を演算する。具体的には、下記(4)式に示すように、先行車車速Vtから車間距離指令値LT と実車間距離Lとの偏差(LT −L)に距離制御ゲインfdを乗じた値と、相対速度ΔVに速度制御ゲインfvを乗じた値との線形結合を減じることにより、目標車速V* を算出する。 【0025】 V* =Vt−{fd(LT −L)+fv・ΔV} …………(4) そして、車速制御部50は、自車速Vsが目標車速V* となるようにエンジン出力制御装置9に対するスロットルバルブ開度θと、制動制御装置8に対する制動圧指令値PBDとを制御する。すなわち、車速制御部50は、図2に示すように、入力される目標車速V* に自車速Vsを一致させるための加速度指令値α1及び外乱推定値α2を算出し、これらの偏差でなる目標加速度α* を算出する車速サーボ部51と、この車速サーボ部51で算出した目標加速度α* に基づいてエンジントルク指令値Tegを算出するトルク制御部52と、この車速サーボ部51で算出された目標加速度α* 、トルク制御部52で算出されたエンジントルク指令値Teg及び自車速Vsに基づいて自動変速機3の全てのギヤ位置での最大加速度を推定し、推定した最大加速度で加減速度指令値α* に対して余裕がある最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置GPC として設定し、設定した要求ギヤ位置GPC 及び自車速Vsに基づいて仮想スロットル開度θV を算出し、これをエンジン出力制御装置9に出力するギヤ位置設定部53と、トルク制御部52で算出したエンジントルク指令値Tegに基づいて制動圧指令値PDBを算出する制動力制御演算部54とを備えている。 【0026】ここで、車速サーボ部51は、道路勾配変動などの外乱に強いサーボ系とするために、ロバストマッチング制御手法で設計されている。このサーボ系は、制御対象の伝達特性をパルス伝達関数P(z-1)と置くと、各補償器は図3に示すように表され、zは遅延演算子であり、z-1を乗じた形式で1サンプリング周期前の値を表す。図3のサーボ系は、モデルマッチング補償器51aと、外乱補償器としてのロバスト補償器51bと、モデルマッチング補償器51aから出力される加減速度指令値α1よりロバスト補償器51bから出力される外乱推定値α2を減算して目標加減速度α* を算出する減算器51cと、この目標加減速度α* に車体質量Mを乗算して目標制・駆動力FORを算出する乗算器51dと、目標・制駆動力FORをエンジントルク指令値Tegに変換するトルク変換部51eとを備えている。 【0027】ここで、モデルマッチング補償器51aは、目標車速V* を入力とし、実際の自車速Vsを出力としたときの制御対象の応答特性が予め定めた一次遅れとむだ時間を持つ規範モデルH(z-1)の特性と一致するように設定されている。目標加速度を入力とし、実際の自車速Vsを出力とする部分を制御対象と置くと、パルス伝達関数P(z-1)は下記(5)に示す積分要素P1(z-1)とむだ時間要素P2(z-1)=z-2との積と置くことができる。ただし、Tはサンプリング周期である。 【0028】 P1(z-1)=T・z-1/(1−z-1) …………(5) このとき、ロバスト補償器51bを構成する補償器C1(z-1)及びC2(z-1)は下記(6)及び(7)式で表される。但し、γ=exp(−T/Tb)である。 C1(z-1)=(1−γ)・z-1/(1−γ・z-1) …………(6) C2(z-1)=(1−γ)・(1−z-1)/T・(1−γ・z-1)……(7) 制御対象のむだ時間を無視して、規範モデルを時定数Taの1次ローパスフィルタとすると、モデルマッチング補償器51aのフィードバック補償器C3は、下記(8)式のように定数となる。 【0029】 C3=K={1−exp(−T/Ta)}/T …………(8) また、トルク制御部52は、図3に示すように、車速サーボ部51で算出した目標加速度α* に車体質量Mを乗算して目標制・駆動力FORを算出する乗算部52aと、この乗算部52aで算出した目標制・駆動力FORに基づいて下記(9)式の演算を行ってエンジントルク指令値Tegを算出するトルク変換部52bとを備えている。 【0030】 Teg=(FOR・RT )/(GM ・GF ) …………(9) ここで、RT はタイヤ動半径(m)、GM は変速機ギヤ比、GF はファイナルギヤ比である。さらに、ギヤ位置設定部53は、図4に示すように、エンジントルク指令値Teg及び実加速度αR に基づいて走行抵抗等の外乱による加速度外乱値αD を算出する外乱成分推定部55と、自車速Vs及び加速度外乱値αD に基づいて自動変速機の2速、3速、4速及び5速ギヤ位置での最大加速度αG2MAX 、αG3MAX、αG4MAX 及びαG5MAX を推定する最大加速度推定部56と、最大加速度推定部56で推定した各ギヤ位置での最大加速度αG2MAX 、αG3MAX 、αG4MAX 及びαG5MAX 、加速度指令値α* 及び加速度外乱値αD に基づいて加速度余裕値αSG2、αSG3 、αSG4 及びαSG5 を算出して要求ギヤ位置を設定し、設定した要求ギヤ位置に応じた仮想スロットル開度θV を算出し、これをエンジン出力制御装置9に出力するギヤ位置選択部57とを備えている。 【0031】外乱成分推定部55は、車速サーボ部51から出力されるエンジントルク指令値Tegに基づいて下記(10)式の演算を行う車両モデルに従ってバラツキを含まない実ギヤ比による理想加速度αI を算出する理想加速度算出部55aと、自車速Vsに実ギヤ比GMiを乗算して実加速度αR を算出する実加速度算出部55bと、実加速度αR から理想加速度αI を減算して走行抵抗等の外乱による加速度外乱値αD を算出する減算器55cとで構成されている。 【0032】 αI =Teg×ηE ×ηG ×GPR ×GF ×RT /3.6W ……(10) ここで、ηE はエンジン効率、ηG はギヤ効率、Wは車両重量である。最大加速度推定部56は、自車速Vsに基づいて下記(11)〜(14)式の演算を行ってエンジン回転速度VeG2、VeG3、VeG4及びVeG5を個別に算出するエンジン回転速度算出部56a、56b、56c及び56dと、算出したエンジン回転速度VeG2、VeG3、VeG4及びVeG5をもとに図4中に記載したエンジン回転速度Veと最大エンジントルクTeとの関係を表す最大エンジントルクマップを参照して各ギヤ位置での最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5を算出する最大エンジントルク算出部56eと、算出した最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5に各ギヤ位置のギヤ比GM2、GM3、GM4及びGM5を乗算して各ギヤ位置の最大加速度αG2MAX 、αG3MAX 、αG4MAX及びαG5MAX を算出する最大加速度演算部56f、56g、56h及び56iと、これら最大加速度演算部56f〜56iで算出した最大加速度αG2MAX 〜αG5MAX から加速度外乱値αD を減算する外乱減算部56jと、この外乱減算部55aの出力からエンジントルクのバラツキ余裕分に相当する加速度オフセット値αO を減算して最大加速度補正値αMCG2、αMCG3、αMCG4及びαMCG5を算出するオフセット減算部56kとを備えている。 【0033】 VeG2=(GM2×GF ×Vs×60)/(2π×RT ) …………(11) VeG3=(GM3×GF ×Vs×60)/(2π×RT ) …………(12) VeG4=(GM4×GF ×Vs×60)/(2π×RT ) …………(13) VeG5=(GM5×GF ×Vs×60)/(2π×RT ) …………(14) ここで、GM2は2速ギヤ比、GM3は3速ギヤ比、GM4は4速ギヤ比、GM5は5速ギヤ比、GF はファイナルギヤ比、RT はタイヤ動半径(m)である。 【0034】要求ギヤ位置選択部57は、最大加速度推定部56から出力される最大加速度補正値αMCG2、αMCG3、αMCG4及びαMCG5から車速サーボ部51で算出した目標加速度α* を減算して加速度余裕値αSG2 、αSG3 、αSG4 及びαSG5 を算出する加速度余裕値演算部57aと、この加速度余裕値演算部57aで算出された加速度余裕値αSG2 、αSG3 、αSG4 及びαSG5 のうち正の値をとり得る最も高速側のギヤ位置を選択して、これを要求ギヤ位置GPC として設定する要求ギヤ位置設定部57bと、自車速Vsと要求ギヤ位置GPC とに基づいて図4中に示す自車速Vsとスロットル開度θとの関係を各ギヤ位置の境界を示す変速線で表したスロットル開度算出マップを参照して仮想スロットル開度θV を算出し、算出した仮想スロットル開度θV をエンジン出力制御装置9に出力する仮想スロットル開度演算部57cとを備えている。 【0035】そして、車速制御部50では、図5に示す車速制御処理を所定サンプリング周期(例えば10msec)毎に所定メインプログラムに対するタイマ割込処理として実行する。この車速制御処理は、図5に示すように、先ず、ステップS1で、車間距離制御部40で算出された目標車速V* を読込むと共に、運転者が設定した設定車速VSET を読込み、これらの内の小さい方を選択し、これを選択目標車速V* sとして設定する。 【0036】次いで、ステップS2に移行して、自車速Vs(n) 及び実車間距離L(n) を読込み、次いでステップS3に移行し、ロバスト補償器52における補償器C1(z-1)及びC2(z-1)に相当する下記(15)式及び(16)式の演算を行って補償器出力y1(n) 及びy2(n) を算出し、これらに基づいて下記(17)式の演算を行って外乱推定値α2(n) を算出すると共に、選択目標車速V* s及び自車速Vsをもとにモデルマッチング補償器51に相当する下記(18)式の演算を行って補償器出力α1を算出し、算出した補償器出力y1(n) ,y2(n) 及びα1に基づいて下記(19)式の演算を行って加減速度指令値α* を算出し、これを今回の加減速度指令値α* (n) として加減速度今回指令値記憶領域に更新記憶すると共に、前回の加減速度指令値α* (n-1) を加減速度前回指令値記憶領域に更新記憶する。 【0037】 y1(n) =γ・y1(n-1) +(1−γ)・α* (n-1) …………(15) y2(n) =γ・y2(n-1) +(1−γ)/T・Vs(n) −(1−γ)/T・Vs(n-1) ………(16) α2(n) =y2(n) −y1(n) …………(17) α1(n) =K・(V* s(n) −Vs(n) ) …………(18) α* =α1(n) −α2(n) …………(19) 次いで、ステップS4に移行して、加減速度指令値α* (n) に車両質量Mを乗算して目標制・駆動力FOR(=M・α* (n) )を算出する。 【0038】次いで、ステップS5に移行して、算出された目標制・駆動力FORより前記(9)式に従ってエンジントルク指令値Tegを算出する。次いで、ステップS6に移行して、自車速Vsをもとに前記(11)〜(14)式の演算を行って各ギヤ位置毎のエンジン回転速度VG2、VeG3、VeG4及びVeG5を算出し、算出した各エンジン回転速度VG2、VeG3、VeG4及びVeG5をもとに最大エンジンマップを参照して最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5を算出し、これら最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5にギヤ比GM2、GM3、GM4及GM5を乗算して最大加速度αG2MAX 、αG3MAX 、αG4MAX 及びαG5MAX を算出する。 【0039】次いで、ステップS7に移行して、エンジントルク指令値Tegに基づいて前記(10)式の演算を行って理想加速度αI を算出すると共に、自車速Vsに実際のギヤ比GM を乗算して実加速度αR を算出し、実加速度αR から理想加速度αI を減算して加速度外乱値αD を算出する。次いで、ステップS8に移行して、最大加速度αG2MAX ,αG3MAX ,αG4MAX,αG5MAX 、加速度外乱値αD 、加速度オフセット値αO 及び加速度指令値α*をもとに下記(20)〜(23)式の演算を行って加速度余裕値αS2、αS3、αS4及びαS5を算出する。 【0040】 αS2=αG2MAX −αD −αO −α* …………(20) αS3=αG3MAX −αD −αO −α* …………(21) αS4=αG4MAX −αD −αO −α* …………(22) αS5=αG5MAX −αD −αO −α* …………(23) 次いで、ステップS9に移行して、加速度余裕値αS2、αS3、αS4及びαS5が正値で且つ最も高速側のギヤ位置を選択し、選択したギヤ位置を要求ギヤ位置GPC として設定する。 【0041】次いで、ステップS10に移行して、要求ギヤ位置GPC をもとに図4に示すスロットル開度算出マップを参照して、仮想スロットル開度θV を算出し、算出した仮想スロットル開度θV をエンジン出力制御装置9に出力する。次いで、ステップS11に移行して、前記ステップS5で算出したエンジントルク指令値Tegとエンジン回転速度Veとをもとにエンジン回転速度Veをパラメータとしてスロットル開度θと目標エンジントルクTegとの関係を示す図6に示すスロットル開度算出マップを参照して実スロットル開度θを算出する。 【0042】次いで、ステップS12に移行して、前記ステップS11で算出した実スロットル開度θが正値であるか否かを判定し、これが正値であるときにはスロットル開度だけで制動力をまかなえるものと判断してステップS13に移行して、制動圧指令値PDBを“0”に設定し、次いでステップS14に移行して、制動圧指令値PDBを制動制御装置8に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。 【0043】一方、前記ステップS12の判定結果がθ=0であるときには、ディスクブレーキ7による制動力を必要とする可能性があるものと判断してステップS15に移行して、エンジン回転速度Veをもとに図7に示すスロットル全閉時のエンジントルクマップを参照して、スロットル全閉時のエンジントルクTe0を算出する。ここで、スロットル全閉時のエンジントルクマップは、図7に示すように、エンジン回転速度Veが“0”であるときにエンジントルクTe0も“0”となり、この状態からエンジン回転速度Veが増加するに応じて最初はエンジン回転速度Veの増加率に対してエンジントルクTe0の増加率が大きくなり、その後徐々にエンジン回転速度Veの増加率に対してエンジントルクTe0の増加率が小さくなるように非線形特性線Le0が設定されている。 【0044】次いで、ステップS16に移行して、エンジントルク指令値Tegからスロットル全閉時のエンジントルクTe0を減算してブレーキトルクTb(=Teg−Te0)を算出し、次いでステップS17に移行して、算出したブレーキトルクTbが負値であるか否かを判定し、Tb≧0であるときにはディスクブレーキ7による制動を必要としていないものと判断して前記ステップS12に移行し、Tb<0であるときにはディスクブレーキ7による制動を必要としているものと判断してステップS18に移行する。 【0045】このステップS18では、ブレーキトルクTbに基づいて下記(24)式の演算を行って制動圧指令値PDBを算出してから前記ステップS14に移行する。 PDB=−Tb・GM ・GF /(8AB ・RB ・μB ) ………(24) ここで、AB はブレーキシリンダ面積、RB はロータ有効半径、μB はパッド摩擦係数である。次に、上記実施形態の動作を説明する。 【0046】今、運転者が設定車速VSET として所望車速を設定した状態で、例えば市街地を設定車速VSET よりは低いが比較的高速で定速走行している先行車を捕捉した状態で目標車間距離L* を維持しながら走行しているものとすると、この状態では、車間距離センサ12で検出される実車間距離Lが目標車間距離L* に一致しており、先行車が定速走行しているので、車間距離指令値LT も実車間距離Lと略一致することにより、車間距離制御部40の相対速度演算部41で算出される相対速度ΔVが略“0”となり、車間距離制御部40の目標車速演算部44で算出される目標車速V* も先行車の車速Vtと等しい値となっている。そして、目標車速V* が運転者が設定した設定車速VSET より小さいことにより、この目標車速V* が選択目標車速V* sとして設定される。 【0047】そして、設定された選択目標車速V* sに基づいてステップS3で目標加減速度α* (n) を算出するが定速走行状態であるので、算出される目標加減速度α*(n) は目標車速V* を維持する比較的小さい正値となり、この目標加減速度α(n) に基づいて目標制・ 駆動力FORが算出され(ステップS4)、この目標制・駆動力FORに基づいて正値のエンジントルク指令値Tegが算出される(ステップS5)。 【0048】このとき、自車速Vsをもとに前記(9)〜(12)式の演算を行って各ギヤ位置毎のエンジン回転速度VG2、VeG3、VeG4及びVeG5を算出し、算出した各エンジン回転速度VG2、VeG3、VeG4及びVeG5をもとに最大エンジンマップを参照して最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5を算出し、これら最大エンジントルクTeG2、TeG3、TeG4及びTeG5にギヤ比GM2、GM3、GM4及GM5を乗算して最大加速度αG2MAX 、αG3MAX 、αG4MAX 及びαG5MAX を算出する(ステップS6)。 【0049】一方、エンジントルク指令値Tegに基づいて理想加速度αI を算出すると共に、自車速Vsに自動変速機3の実際のギヤ比GMRを乗算して実加速度αR を算出し、実加速度αR から理想加速度αI を減算して走行抵抗等の外乱による加速度成分である加速度外乱値αD を算出する(ステップS7)。そして、ステップS6で算出した各ギヤ位置毎の最大加速度αG2MAX 〜αG5MAX から夫々加速度外乱値αD 、エンジントルクのバラツキ余裕分に相当する加速度オフセット値αO 及びステップS3で算出した目標加減速度α* を減算して加速度余裕値αS2〜αS5を算出する(ステップS8)。 【0050】算出した各ギヤ位置GP2 〜GP5 毎の加速度余裕度αS2〜αS5のうち正値即ち目標加減速度α* に加速度外乱値αD 及び加速度オフセット値αO を加算した値より大きな最大加速度を有するギヤ位置で且つ最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置GPC として設定する。この場合、上述したように、自車両が定速走行する先行車に適正な車間距離Lを保って追従走行しているので、目標加速度α* が小さい値となっているので、自動変速機3の各ギヤ位置GP2 〜GP5 で算出される最大加速度αMAXG2 〜αMAXG5 の何れもが加速度指令値α* に加速度外乱値αD 及び加速度オフセット値αO を加算した値より大きな値となって加速度余裕値αS2〜αS5が共に正値となる。 【0051】このため、最も高速側のギヤ位置即ち5速ギヤ位置GP5 が要求ギヤ位置GPC として設定され、設定された要求ギヤ位置GPC と自車速Vsとに基づいて自動変速機3のギヤ位置の境界を表す変速線を設定したシフトマップを参照して、仮想スロットル開度θV を算出し、算出した仮想スロットル開度θV をエンジン出力制御装置9に出力する。この結果、エンジン出力制御装置9で仮想スロットル開度θV に応じてスロットルバルブアクチュエータ10が駆動制御されて、スロットルバルブ10aの開度が仮想スロットル開度θV に一致される。 【0052】このとき、自動変速機3では、スロットル開度センサ15で検出したスロットル開度θD と自車速Vsとに基づいて前述したシフトマップを算出してギヤ位置を設定することから、自動変速機3のギヤ位置が走行制御用コントローラ20で算出した要求ギヤ位置GPC と一致することになり、シフトハンチングを生じることはない。なお、この定速走行状態で、ステップS11で算出される実スロットル開度θが正値であるときには制動力を必要としないものと判断して、制動圧指令値PDBが“0”に設定され、これが制動力制御装置8に出力されることにより、ディスクブレーキ7に供給される制動圧が“0”となってディスクブレーキ7で制動力を発生しない非制動状態を維持するが、実スロットル開度θが“0”となったときには、制動力を必要としている場合に、エンジントルク指令値Tegに基づいて制動圧指令値PDBを算出し、算出した制動圧指令値PDBを制動制御装置8に出力することにより、ディスクブレーキ7に制動圧を供給して必要な制動力を発生させる。 【0053】この定速走行している先行車に追従走行している状態で、先行車が加速するか、先行車が隣接車線に車線変更するか又は自車両が車線変更して、制御対象となる先行車との車間距離Lが目標車間距離L* より長くなった場合には、車速サーボ部51で比較的大きな目標加速度α* が算出され、これに応じてエンジントルク指令値Tegも大きな値となる。この状態で、自車速Vsに基づいて各ギヤ位置でのエンジン回転速度VeG2〜VeG5を算出し、これらから最大エンジントルクTeG2〜TeG5を算出し、これら各ギヤ位置のギヤ比GM2〜GM5を乗算して最大加速度αMAXG2 〜αMAXG5 を算出して加速度余裕値αS2〜αS5を算出した結果、例えば2速〜4速ギヤ位置GP2 〜GP4 の加速度余裕値αS2〜αS4が正値であり、5速ギヤ位置GP5 の加速度余裕値αS5が負値であったものとすると、2速〜4速ギヤ位置GP2 〜GP4のうちの最も高速側のギヤ位置となる4速ギヤ位置GP4 が要求ギヤ位置GPCとして設定される。 【0054】このため、要求ギヤ位置GPC に対応する仮想スロットル開度θV が算出されて、これがエンジン出力制御装置9に出力されることにより、スロットルアクチュエータ10によってスロットルバルブ10aの開度が仮想スロットル開度θVに制御される。このため、変速機制御装置11では、スロットル開度センサ15で検出されたスロットル開度θD と自車速Vsとに基づいて変速段を制御するので、要求ギヤ位置GPC に一致する4速ギヤ位置GP4 が選択されて、自動変速機3が直前の5速ギヤ位置GP5 から4速ギヤ位置GP4 にダウンシフトされる。 【0055】この自動変速機3のダウンシフトによってエンジントルク指令値Tegが増加することになるが、このエンジントルク指令値Tegは仮想スロットル開度θVの算出に関しては外乱の推定に使用されるだけであり、エンジントルク指令値Tegの増加によって理想加速度αI が大きくなると共に、実ギヤ比が増加することにより実加速度αR も大きくなるので、加速度外乱値αD の変化は殆どなく、エンジン出力制御装置9に出力する仮想スロットル開度θV も目標加速度α* が変化しない限り変化することはないので、自動変速機3でシフトハンチングを生じることを確実に防止することができる。 【0056】因みに、自動変速機3が例えば5速ギヤ位置GP5 で自車速Vsが図8(e)に示すように増加する加速状態であり、時点t1で自動変速機3をダウンシフトさせるためにその準備としてシフト中フラグFsが図8(d)に示すようにオン状態となっている状態で、前述したステップS11でエンジントルク指令値Teg及びエンジン回転速度Veに基づいて算出する実スロットル開度θをエンジン出力制御装置9に出力する場合を考える。時点t2で、走行制御用コントローラ20で加速するためにエンジントルク指令値Tegを図8(c)に示すように上昇させると、これに応じてエンジン出力制御装置9でスロットル開度θを図8(f)に示すように増加させる。 【0057】このとき、自動変速機3の変速段が5速ギヤ位置GP5 から4速ギヤ位置GP4 にシフトダウンすると、シフト中フラグFsがオン状態であるときには、自動変速機3のギヤ比を自動変速機3の入力側及び出力側の回転速度を入力回転速度センサ14及び車速センサ13で検出し、これらの回転速度差に基づく実ギヤ比に基づいてエンジントルク指令値Tegを演算するので、シフトダウンによるギヤ比の増加によって、エンジントルク指令値Tegは減少する。 【0058】このため、エンジン出力制御装置9でスロットル開度θを閉じる方向に制御することにより、自動変速機3がアップシフトを行うことになり、シフト中フラグFsが図8(d)に示すように瞬間的にオフ状態となる。このようにシフト中フラグFsがオフ状態となると、図8(a)に示す自動変速機3が変速を終了した時点でのシフト位置を表すシフト位置信号を使用してエンジントルク指令値Tegを算出する状態となるので、ギヤ比は5速ギヤ比GM5にアップシフトすることになり、エンジントルク指令値Tegを時点t2と同様に上昇させる。この動作を繰り返すことにより、シフトハンチングを生じることになる。 【0059】しかしながら、本実施形態によれば、前述したように、自動変速機3の各ギヤ位置での最大加速度を夫々算出し、算出した最大加速度から走行抵抗等の外乱に応じた加速度外乱値αD 、加速度オフセット値αO 及び先行車との車間距離によって決まる加速度指令値α* を減算して加速度余裕値αS2〜αS5を算出し、算出した加速度余裕値αS2〜αS5が正値即ち加速度指令値α* を確実に確保することができるギヤ位置のうちで最も高速側のギヤ位置を要求ギヤ位置GPC として設定し、これに応じてシフトマップを参照して仮想スロットル開度θV を算出し、これをエンジン出力制御装置9に出力することにより、自動変速機3を要求ギヤ位置GPC に確実に維持することができ、シフトハンチングを確実に防止することができる。 【0060】しかも、本実施形態によれば、シフトハンチングを防止するために、エンジントルク指令値Tegを低く抑えたり、スロットル開度に制限を加える必要がないので、実加速度αR が加速度指令値α* を下回って加速不良が生じることを確実に防止することができる。なお、上記実施形態においては、目標車間距離L* を先行車車速Vt及び車間時間T0 に基づいて算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、先行車車速Vtに代えて自車速Vsを適用して目標車間距離L* を算出するようにしてもよく、さらには目標車間距離L* を運転席近傍に設けた選択スイッチで運転者の好みに応じた値に設定するようにしてもよい。 【0061】また、上記実施形態においては、車間距離Lを目標車間距離L* に一致させて走行する追従走行制御を行う場合について説明したがこれに限定されるものではなく、車間距離制御を省略して、運転者が設定した設定車速VSET を維持するように走行する車速制御装置にも本発明を適用することができる。さらに、上記実施形態においては、常時各ギヤ位置における最大加速度を推定して要求ギヤ位置を設定し、これに応じた仮想スロットル開度θV を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標加速度α* が負値即ち減速状態となる場合には、図6のステップS11で算出される実スロットル開度θをエンジン出力制御装置9に出力するようにしてもよい。 【0062】さらにまた、上記実施形態においては、走行制御用コントローラ20でソフトウェアによる車速演算処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、関数発生器、比較器、演算器等を組み合わせて構成した電子回路でなるハードウェアを適用して構成するようにしてもよい。なおさらに、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車に本発明を適用することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成14年3月19日(2002.3.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066980 【弁理士】 【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−267086(P2003−267086A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−77127(P2002−77127) |
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