| 【発明の名称】 |
クルーズ制御装置、プログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】磯貝 晃 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】玉津 幸政 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】公文 宏明 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】寺村 英司 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
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| 【要約】 |
【課題】クルーズ制御における物体認識や先行車選択をより適切なものにする。
【解決手段】先行車を認識しておらず定速走行している場合に(S721:NO)、コーストレバー操作が1秒継続したり(S725:YES)やキャンセル操作がなされると(S728:YES)、検知要求レベル値が10加算される(S727,S729)。このような所定の減速操作がされた場合は、クルーズ制御システムとしては先行車なしとして定速制御をしているのであるが、運転者の認識・判断に基づけば前方に車両が居る状態である可能性が高い。そこで、例えば物体からの反射光を検知するためのしきい値を下げて物体を認識し易くしたり、自車線確率や車両確度を相対的に大きくすることで先行車として選択され易くする。これによって、運転者の感覚により合致した物体認識、先行車選択が実現される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、車両周囲の所定角度に渡り電磁波を掃引照射し、反射波を検出するレーダ手段による検出結果に基づき、認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、前記加速手段及び減速手段を駆動制御することにより、前記先行車選択手段によって先行車が選択されている場合にはその選択された先行車に自車両を追従させて走行させる車間制御を実行し、一方、先行車が選択されていない場合には自車両を設定車速にて定速走行させる定速制御を実行するクルーズ制御手段と、を備えるクルーズ制御装置において、前記先行車が選択されていないとして前記クルーズ制御手段が前記定速制御を実行している最中に、車両運転者からの所定の減速指示操作を受け付けた場合には、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整すること又は前記先行車選択手段が先行車を選択し易く調整することの少なくともいずれか一方を実行する調整手段を備えることを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項2】自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、車両周囲の所定角度に渡り電磁波を掃引照射し、反射波を検出するレーダ手段による検出結果に基づき、認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、前記加速手段及び減速手段を駆動制御することにより、前記先行車選択手段によって先行車が選択されている場合にはその選択された先行車に自車両を追従させて走行させる車間制御を実行するクルーズ制御手段と、を備えるクルーズ制御装置において、前記クルーズ制御手段が前記車間制御を実行している最中に、車両運転者からの所定の加速指示操作を受け付けた場合には、前記物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整すること又は前記先行車選択手段が先行車を選択し難く調整することの少なくともいずれか一方を実行する調整手段を備えることを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項3】自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、車両周囲の所定角度に渡り電磁波を掃引照射し、反射波を検出するレーダ手段による検出結果に基づき、認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、前記加速手段及び減速手段を駆動制御することにより、前記先行車選択手段によって先行車が選択されている場合にはその選択された先行車に自車両を追従させて走行させる車間制御を実行するクルーズ制御手段と、を備えるクルーズ制御装置において、前記クルーズ制御手段が前記車間制御を実行している最中に、前記先行車選択手段により選択された先行車が、所定時間に渡り継続して同一の物体であると判断された場合には、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整すること又は前記先行車選択手段が先行車を選択し易く調整することの少なくともいずれか一方を実行する調整手段を備えることを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項4】自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、車両周囲の所定角度に渡り電磁波を掃引照射し、反射波を検出するレーダ手段による検出結果に基づき、認識対象の物体について、少なくとも自車に対する相対位置及び相対速度を算出する物体認識手段と、前記物体認識手段の認識結果に基づいて自車に対する先行車を選択する先行車選択手段と、前記加速手段及び減速手段を駆動制御することにより、前記先行車選択手段によって先行車が選択されている場合にはその選択された先行車に自車両を追従させて走行させる車間制御を実行し、一方、先行車が選択されていない場合には自車両を設定車速にて定速走行させる定速制御を実行するクルーズ制御手段と、を備えるクルーズ制御装置において、前記クルーズ制御手段が前記車間制御を実行していない状態で、車両運転者からの前記クルーズ制御手段の制御開始指示操作を受け付けた場合であって、前記先行車選択手段により選択された先行車の位置又は速度が所定の条件を満たさない場合には、前記物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整すること又は前記先行車選択手段が先行車を選択し難く調整することの少なくともいずれか一方を実行する調整手段を備えることを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項5】請求項1記載のクルーズ制御装置において、前記所定の減速操作とは、少なくとも、前記定速走行のための設定車速を減少させる操作、前記減速手段を駆動させるためのブレーキペダルの踏み込み操作、前記クルーズ制御手段による制御自体を終了させるキャンセル操作、のいずれかを含むことを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項6】請求項2記載のクルーズ制御装置において、前記所定の加速操作とは、少なくとも、前記加速手段を駆動させるためのアクセルペダルの踏み込み操作を含むことを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項7】請求項6記載のクルーズ制御装置において、前記クルーズ制御手段は、前記先行車が選択されていない場合には自車両を設定車速にて定速走行させる定速制御を実行するよう構成されており、前記所定の加速操作に、前記定速走行のための設定車速を増加させる操作を含むことを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項8】請求項1〜7のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記先行車選択手段は、前記物体認識手段にて認識された物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率を加味して先行車選択を行うよう構成されており、前記調整手段は、前記自車線確率を増減させることによって、前記先行車選択手段が先行車を選択し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項9】請求項1〜7のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記先行車選択手段は、前記物体認識手段にて認識された物体について、前記物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率が、所定の自車線確率しきい値以上の場合に先行車として選択し得るよう構成されており、前記調整手段は、前記自車線確率しきい値を増減させることによって、前記先行車選択手段が先行車を選択し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項10】請求項1〜9のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記先行車選択手段は、前記物体認識手段にて認識された前記物体の認識時間や形状等から得られる車両である確からしさを示す車両確度を加味して先行車選択を行うよう構成されており、前記調整手段は、前記車両確度を増減させることによって、前記先行車選択手段が先行車を選択し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項11】請求項1〜9のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記先行車選択手段は、前記物体認識手段にて認識された前記物体について、前記物体の認識時間や形状等から得られる車両である確からしさを示す車両確度が、所定の車両確度しきい値以上の場合に先行車として選択し得るよう構成されており、前記調整手段は、前記車両確度しきい値を増減させることによって、前記先行車選択手段が先行車を選択し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項12】請求項2,4,6,7のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記調整手段は、先行車として選択中の前記物体についてのみ作用するよう構成されていることを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項13】請求項1〜12のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、少なくとも車幅方向の所定角度範囲内に渡って電磁波を送信し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識すると共に、前記反射波の受信信号強度に基づいて認識対象物体であるか否かを判定するよう構成されており、前記調整手段は、その判定に用いる受信信号強度のしきい値を増減させることによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項14】請求項13記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、認識対象とすべき物体が存在する可能性の高低を前記反射波が返ってきた所定領域毎に設定しておくと共に、各領域において認識対象とすべき物体からの反射波であれば取り得る受信信号強度を設定しておき、前記反射波が返ってきた領域及び前記反射波の受信信号強度に基づいて、前記認識対象物体であるか否かを判定するよう構成されており、前記調整手段は、前記所定領域毎に設定される前記受信信号強度のしきい値を増減させることによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項15】請求項1〜14のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、少なくとも車幅方向の所定角度範囲内に渡って電磁波を送信し、その反射波の検出結果に基づいて物体を点として認識し、その認識した点の内、近接するもの同士を結合して認識対象物体を認識するよう構成されており、前記調整手段は、前記認識点を結合する際の距離条件を変更させることによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項16】請求項1〜12のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、前記レーダ手段としてのFMCWレーダより得られるビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を検出し、その検出された上り変調部のピーク周波数及び下り変調部のピーク周波数の中からピーク周波数の組合せを抽出し、該ピーク周波数の組合せであるピークペアに基づいて物体との距離及び相対速度を認識するよう構成されており、前記調整手段は、前記ピーク周波数を検出する際のしきい値を増減することによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項17】請求項1〜12のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、前記レーダ手段としてのFMCWレーダより得られるビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を検出し、その検出された前記上り変調部のピーク周波数及び前記下り変調部のピーク周波数の中からピーク周波数の組合せを抽出し、該ピーク周波数の組合せであるピークペアに基づいて物体との距離及び相対速度を認識するよう構成されており、且つ、前記ピーク周波数検出は、相対的に小さなしきい値を用いて検出する第一のピーク周波数検出手法と、相対的に大きなしきい値を用いて検出する第二のピーク周波数検出手法の少なくともいずれか一方を用いて実行可能であり、前記調整手段は、車両進行方向のピーク周波数検出を前記第一のピーク周波数検出手法を用いて実行し、その他の方向のピーク周波数検出を前記第二のピーク周波数検出手法を用いて実行することで前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整し、一方、全ての方向について前記第二のピーク周波数検出手法を用いて実行することで前記物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項18】請求項1〜17のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、少なくとも前回処理時における物体と自車との相対位置及び相対速度から今回処理時の物体の推定移動範囲を求め、今回処理時において前記推定移動範囲内に存在する物体を前回処理時における物体と同一であるとして捕捉するよう構成されており、前記調整手段は、前記推定移動範囲を求める際の設定範囲を変更することによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項19】請求項1〜18のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、前回処理時に検出されていた物体に対応する物体が今回処理時に検出されないとき、一時的な未検出のおそれがあるとして所定の補完時間は補完処理を実行するよう構成されており、前記調整手段は、前記補完時間を変更することによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項20】請求項1〜19のいずれか記載のクルーズ制御装置において、前記物体認識手段は、電磁波出力を調整可能に構成されており、前記調整手段は、前記電磁波出力を調整することによって、前記物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することを特徴とするクルーズ制御装置。 【請求項21】コンピュータを、請求項1〜20のいずれか記載のクルーズ制御装置における物体認識手段、先行車選択手段、クルーズ制御手段及び調整手段として機能させるためのプログラム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自車を先行車に追従させて走行させる車間制御機能、あるいは当該車間制御機能に加え設定車速にて定速走行させる定速制御機能を備えるクルーズ制御装置等に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、自動車の走行安全性を向上させると共に、運転者の操作負担を軽減するための技術として、所定の車速範囲内の車速で自車を先行車に自動的に追従させる車間制御装置が知られている。また、所定の車速範囲内で車両運転者の設定した速度を保って定速走行させる定速制御装置も知られている。なお、これらは単独で実現することもできるが、制御対象となる先行車が存在する場合には先行車に追従する車間制御(車間クルーズ)を行い、先行車が存在しない場合も含め、追従できない場合には定速制御(定速クルーズ)を行うクルーズ制御装置として実現されることが一般的である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このようなクルーズ制御装置では、レーダによって物体を検知し、その検知した物体から先行車を選択し、先行車との距離(車間距離)や相対速度に応じて自車両を加減速制御し、車間(距離・時間等)を適切に保つ。このとき、自車両周辺の環境、自車両の走行状態によっては、先行車を正確に検知できないことがある。この原因としては、物体を認識する段階で例えば路側のガードレール、看板等からの反射波も検知してしまうため、車両以外のものを誤って検知してしまうことが挙げられる。また、先行車として選択する際に、認識された物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率や、物体の認識時間や形状等から得た車両である確からしさを示す車両確度などを加味しているが、やはり誤って選択してしまうことも考えられる。 【0004】そうかといって、物体の誤認識や先行車の誤選択を無くすように認識・選択時の条件を厳しくし過ぎると、今度は本来認識すべき物体を認識できなかったり、本来選択すべき先行車を選択できないという不都合が生じる。このように、検出データを単に分析するのみでは物体認識や先行車選択を最適にすることは難しいのが現実である。 【0005】そこで本発明は、クルーズ制御における物体認識や先行車選択をより適切なものにすることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するためになされた請求項1に記載のクルーズ制御装置によれば、クルーズ制御手段が定速制御を実行している最中に車両運転者からの所定の減速指示操作を受け付けると、調整手段が、物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整すること又は先行車選択手段が先行車を選択し易く調整することの少なくともいずれか一方を実行する。ここで「所定の減速操作」とは、例えば請求項5に示すように、少なくとも、定速走行のための設定車速を減少させる操作、減速手段を駆動させるためのブレーキペダルの踏み込み操作、クルーズ制御手段による制御自体を終了させるキャンセル操作、のいずれかを含むことが考えられる。 【0007】このような所定の減速操作がされた場合、その時点でのクルーズ制御装置は先行車なしとして定速制御をしているのであるが、運転者の認識・判断に基づけば前方に車両が居る状態である可能性が高い。そこで、調整手段が、物体を認識し易くしたり、先行車として選択し易くする。つまり、クルーズ制御自体が問題なく実行されていれば、基本的に運転者はブレーキペダルの踏み込みなどの所定の減速操作をしないものと考えられる。それであるのにこのような減速操作が運転者によってなされたということは、物体認識や先行車選択において本来認識すべき物体を認識していなかったり、本来選択すべき先行車を選択していなかったりして、運転者に何らかの不満をもたらしているものと思われる。そこで、物体を認識し易くしたり、先行車として選択し易くすることで、運転者の感覚により合致した適切な物体認識や先行車選択が実現可能となる。 【0008】一方、請求項2に記載のクルーズ制御装置によれば、クルーズ制御手段が車間制御を実行している最中に車両運転者からの所定の加速指示操作を受け付けると、調整手段が、物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整すること又は先行車選択手段が先行車を選択し難く調整することの少なくともいずれか一方を実行する。ここで「所定の加速操作」とは、例えば請求項6に示すように、少なくとも、加速手段を駆動させるためのアクセルペダルの踏み込み操作を含むことが考えられる。なお、請求項7に示すように、クルーズ制御手段が定速制御も実行するよう構成されている場合には、「所定の加速操作」として、定速走行のための設定車速を増加させる操作も含めることが考えられる。 【0009】このような所定の加速操作がされた場合、その時点でのクルーズ制御装置は先行車ありとして車間制御をしているのであるが、運転者の認識・判断に基づけば前方に車両が居ない状態である可能性が高い。そこで、調整手段が、物体を認識し難くしたり、先行車として選択し難くする。つまり、クルーズ制御自体が問題なく実行されていれば、この状況で基本的に運転者はアクセルペダルの踏み込みなどの所定の加速操作をしないものと考えられる。それであるのにこのような加速操作が運転者によってなされたということは、物体認識や先行車選択において本来認識すべきでない物体を認識していたり、本来選択すべきでない先行車を選択していたりして、運転者に何らかの不満をもたらしているものと思われる。そこで、物体を認識し難くしたり、先行車として選択し難くすることで、運転者の感覚により合致した適切な物体認識や先行車選択が実現可能となる。 【0010】一方、請求項3に示すように、車間制御を実行している最中に、先行車選択手段により選択された先行車が所定時間に渡り継続して同一の物体であると判断された場合には、物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整すること又は先行車選択手段が先行車を選択し易く調整することの少なくともいずれか一方を実行するようにしてもよい。ある物体の認識及び先行車としての選択が所定時間継続しており、車間制御動作が行われていることに対して車両運転者が何ら介入しないということは、車両運転者はその状態が適切であると判断しているためであると考えられる。したがって、先行車として選択している物体をより継続して認識し、先行車として選択し易いようにすることは妥当であると考えられる。 【0011】また、請求項4に示すように、車間制御を実行していない状態で車両運転者からのクルーズ制御手段の制御開始指示操作を受け付けた場合であって、先行車選択手段により選択された先行車の位置又は速度が所定の条件を満たさない場合には、物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整すること又は先行車選択手段が先行車を選択し難く調整することの少なくともいずれか一方を実行するようにしてもよい。先行車が存在する状態でクルーズ制御を開始する際、車両運転者は、車間制御をするのに妥当でない状況、例えば著しく近距離に車両がいる状況等においては、制御開始指示操作(例えばセット操作)をしないと考えられる。従って、そのような制御開始指示操作(例えばセット操作)をしたときに所定の条件を満たさない場合には、車両らしくないとして物体を検知し難くするのである。 【0012】次に、調整手段による調整手法のバリエーションを説明する。 (1)先行車選択の難易を変更する手法例■自車線確率の増減例えば、請求項8に示すように、先行車選択に際して、物体認識手段にて認識された物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率を加味する場合には、その自車線確率を増減させることが考えられる。 【0013】自車線確率は、自車が進行すると予想される方向を基準としてそこから左右に離れるにしたがって確率が低くなるように設定される。そのため、例えば自車線確率を全体的に高くしたり、左右に離れるほど自車線確率が低下しているが、その低下率を小さくすることで、先行車を選択し易くできる。逆に、自車線確率を全体的に低くしたり、左右方向への自車線確率の低下率を大きくすることで、先行車を選択し難くできる。 【0014】■自車線確率しきい値の増減請求項8のように自車線確率の算出方法を変更する代わりに、請求項9に示すように、先行車選択に際してその選択条件である自車線確率しきい値を増減させても類似の効果が得られる。 【0015】■車両確度の変更例えば、請求項10に示すように、先行車選択に際して、物体認識手段にて認識された物体の認識時間や形状等から得られる車両である確からしさを示す車両確度を加味する場合には、車両確度を増減させることが考えられる。 【0016】車両確度は、例えば物体を継続して認識している時間や、物体の相対速度、物体の幅や奥行きなどを、それぞれのしきい値以上であるか否かを判定し、例えば全ての条件を満足すると車両、一部満たさない場合には未定、基本条件を満たさない場合は車両以外、というように分類判定することが考えられる。この場合の条件判定のためのしきい値を下げれば先行車として選択され易くなるし、逆にしきい値を上げれば先行車として選択されにくくなる。 【0017】■車両確度しきい値の変更車両確度が連続的な数値で表される場合は、例えば請求項11に示すように、先行車選択手段において車両確度を変更しても良い。もちろん、これら自車線確率や車両確度以外にも、先行車選択に際して加味する判定要素であれば、それを調整すればよい。 【0018】■また、請求項12に示すように、請求項2,4,6,7における調整処理について、先行車として選択中の物体についてのみ実行するようにしてもよい。特定の物体のみについて認識し易さ又は選択し易さを調整することで、その物体のみが特別に反射量が大きい等のために誤って検知し易い、あるいは特別な部分からの反射波を検知する等のために位置を誤ってしまい誤選択し易いという状況での誤制御を防止することができる。 (2)物体認識の難易を変更する手法例■受信信号強度の判定しきい値変更例えば請求項13に示すように、物体認識手段が、少なくとも車幅方向の所定角度範囲内に渡って電磁波を送信し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識すると共に、その反射波の受信信号強度に基づいて認識対象物体であるか否かを判定するよう構成されている場合、その判定に用いる受信信号強度のしきい値を増減させることが考えられる。つまり、しきい値を下げれば認識対象物体として判定され易くなり、逆にしきい値を上げれば認識対象物体として判定され難くなる。 【0019】また、このような受信信号強度の判定のためのしきい値については、請求項14に示すように、認識対象とすべき物体が存在する可能性の高低を反射波が返ってきた所定領域毎に設定しておくことが考えられる。例えば、反射波が返ってきた領域が車両の存在する可能性が大きな領域であれば、信号強度が相対的に小さくても認識対象物体として扱う方が好ましく、逆に、反射波が返ってきた領域が車両の存在する可能性が小さな領域であれば、信号強度が相対的に大きくない限り認識対象物体と扱わない方が好ましい。このように所定領域毎にしきい値を設定する場合であっても、それぞれのしきい値を増減させることで、物体を認識し易くなるよう調整したりし難くなるよう調整したりできる。 【0020】■セグメント結合条件変更例えば請求項15に示すように、物体認識手段が、少なくとも車幅方向の所定角度範囲内に渡って電磁波を送信し、その反射波の検出結果に基づいて物体を点として認識し、その認識した点の内、近接するもの同士を結合して認識対象物体を認識するよう構成されている場合には、その認識点を結合する際の距離条件を変更させることが考えられる。例えば車両後部の左右両端付近に設けられている反射板(リフレクタ)あるいは車体など、1台の車両を複数のスキャン角度において検出したような場合に、それらを所定条件で結合させて同一物体と扱う。そのため、その際の結合条件を緩くすれば物体を認識し易くなり、逆に厳しくすれば物体を認識し難くなる。 【0021】■FMCWレーダの場合レーダ手段としては、レーザレーダやFMCWレーダなどを用いることが考えられるが、FMCWレーダを用いる場合には、請求項16,17に示すようにして物体認識の難易を調整することが考えられる。FMCWレーダを用いているため、周波数が漸次上昇する上り変調部及び周波数が漸次下降する下り変調部を有するレーダ波の送信信号と、対象物により反射された前記レーダ波の受信信号とを混合することにより得られるビート信号が生成される。そして、そのビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を検出し、その検出された上り変調部のピーク周波数及び下り変調部のピーク周波数の中からピーク周波数の組合せを抽出し、該ピーク周波数の組合せであるピークペアに基づいて物体との距離及び相対速度を認識する。 【0022】ここで請求項16に示す調整手段は、ピーク周波数を検出する際のしきい値を増減することによって、物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整する。また、請求項17に示すように、ピーク周波数検出に際して、相対的に小さなしきい値を用いて検出する第一のピーク周波数検出手法と、相対的に大きなしきい値を用いて検出する第二のピーク周波数検出手法の少なくともいずれか一方を用いて実行可能である場合には、車両進行方向のピーク周波数検出を第一のピーク周波数検出手法を用いて実行し、その他の方向のピーク周波数検出を第二のピーク周波数検出手法を用いて実行することで物体認識手段が物体を認識し易くなるよう調整できる。一方、全ての方向について第二のピーク周波数検出手法を用いて実行することで物体認識手段が物体を認識し難くなるよう調整できる。 【0023】また、請求項18に示すように、物体認識に際して、少なくとも前回処理時における物体と自車との相対位置及び相対速度から今回処理時の物体の推定移動範囲を求め、今回処理時において推定移動範囲内に存在する物体を前回処理時における物体と同一であるとして捕捉するよう構成されている場合には、その推定移動範囲を求める際の設定範囲を変更することによって物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することが考えられる。 【0024】このように設定範囲を狭くすることにより、誤って検知している場合は認識し難くなる効果が期待できる。また、請求項13〜15に記載の技術では個別の物体について認識し易さを設定することはできないのに対して、この手法では個別の物体についてその認識し易さを設定することができるという利点がある。もちろん、全ての物体に対してその認識し易さを同時に調整することも可能である。 【0025】また、請求項19に示すように、物体認識に際して、前回処理時に検出されていた物体に対応する物体が今回処理時に検出されないとき、一時的な未検出のおそれがあるとして所定の補完時間は補完処理を実行するよう構成されている場合には、その補完時間を変更することによって物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することが考えられる。 【0026】例えばノイズや路面からの反射等、車両でない物体を誤って検知してしまっているときは、毎測距周期において安定して検知できないことが多い。通常、前回処理時に検知していた物体が今回処理時に検知できない場合、前回処理時の相対位置や相対速度等に基づいて一時的に補完処理をし、なるべく一時的な未検知を無くすようにするのが一般的である。この一時的な補完処理をする時間を調整手段によって変更し、例えば車両運転者の減速指示操作があった場合には補完時間を長くし、加速指示操作があった場合には補完時間を短くする。これによって、検知し難い物体に対して十分な補完をすると同時に、誤検知した物体に対する無用な補完を防止するなど、車両運転者の意図に沿った認識ができる。 【0027】また、請求項20に示すように、物体認識に際して、電磁波出力を調整可能に構成されている場合には、その電磁波出力を調整することによって物体を認識し易くなるよう調整又はし難くなるよう調整することが考えられる。通常レーザビーム等の電磁波の出力は固定されている。しかし、例えば車両運転者の減速指示操作があった場合には電磁波の出力を大きくし、加速指示操作があった場合には小さくすることによって、検知し難い物体を認識し易くしたり、誤検知し易い物体を認識し難くするなど、車両運転者の意図に沿った認識ができるようになる。 【0028】ところで、請求項1〜20のいずれか記載のクルーズ制御装置における物体認識手段、先行車選択手段、クルーズ制御手段及び調整手段は、請求項21記載のように、コンピュータを機能させるためのプログラムとして構成してもよい。この場合、そのプログラムを、例えば、FD,MO,DVD,CD−ROM,ハードディスク,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶し、その記憶したプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体としてプログラムを記録しておき、このROM或いはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いてもよい。また、プログラムは、記録媒体に記憶されたものに限らず、ネットワークを介してロードして起動することにより用いてもよい。 【0029】 【発明の実施の形態】図1は、上述した発明が適用されたクルーズ制御システムの概略構成を示し、車間制御用電子制御装置2(以下、「車間制御ECU」と称す。)を中心に示す自動車に搭載されている各種制御回路の概略構成を表すブロック図である。 【0030】車間制御ECU2は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、ブレーキ電子制御装置(以下、「ブレーキECU」と称す。)4、ワイパ電子制御装置(以下、「ワイパECU」と称す。)5、エンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」と称す。)6、メータ電子制御装置(以下、「メータECU」と称す。)7等とLAN通信バスを介して接続されていると共に、レーダセンサ3、警報ブザー14、クルーズコントロールスイッチ20、目標車間設定スイッチ22とも接続されている。尚、本実施形態では、LAN通信バスを介して行うECU間のデータ通信は、車載ネットワークで一般的に利用されているプロトコルであるCAN(ドイツ、Robert Bosch 社が提案した「Controller Area Network」)を利用して行う。 【0031】本実施のレーダセンサ3は、いわゆる「レーザレーダセンサ」として構成されている。具体的には、レーザによるスキャニング測距器とマイクロコンピュータとを中心として構成されている電子回路であり、スキャニング測距器にて検出した先行車の角度や距離等、および車間制御ECU2から受信する現車速(Vn)信号、カーブ曲率半径R等に基づいて、車間制御装置の一部の機能として先行車の自車線確率を演算し、距離、相対速度、車両確度等の情報も含めた先行車情報として車間制御ECU2に送信する。また、レーダセンサ3自身のダイアグノーシス信号も車間制御ECU2に送信する。なお、前記スキャニング測距器は、車幅方向の所定角度範囲に送信波あるいはレーザ光をスキャン照射し、物体からの反射波あるいは反射光に基づいて、自車と前方物体との距離をスキャン角度に対応して検出可能な測距手段として機能している。 【0032】また、ブレーキECU4は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、車両の操舵角を検出するステアリングセンサ8、車両旋回状態を示すヨーレートを検出するヨーレートセンサ10からの操舵角やヨーレートに加え、M/C圧を検出するM/C圧センサ12からの信号に基づいて判断したブレーキペダル状態を、LAN通信バスを介して車間制御ECU2に送信したり、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁の開閉をデューティ制御するブレーキアクチュエータ(図示せず)を制御している。 【0033】また、エンジンECU6は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、車両速度を検出する車速検出手段としての車速センサ16や、図示しないスロットル開度センサ、アクセルペダル開度を検出するアクセルペダル開度センサ15からのセンサ信号に基づいて、現車速(V)や制御状態(アイドル)、アクセルペダル状態を車間制御ECU2へ送信する。一方、車間制御ECU2からは目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ダイアグノーシス信号等を受信し、この受信した信号から判断する運転状態に応じて、駆動手段としての内燃機関(ここでは、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ(図示せず)等に対して駆動命令を出力している。 【0034】また、ワイパECU5は、ワイパの駆動制御を行うものであり、ワイパスイッチ情報を車間制御ECU2へ送信する。また、メータECU7は、車速、エンジン回転数、ドアの開閉状態、変速機のシフトレンジ等、車両の各種状態をメータ表示器17に表示するためのものである。 【0035】車間制御ECU2は、エンジンECU6からは現車速(Vn)信号や制御状態を受信し、ブレーキECU4からは操舵角(str-eng ,S0)信号、ヨーレート信号、ブレーキ制御などの制御状態信号等を受信し、ワイパECU5からはワイパ信号を受信する。そして、レーダセンサ3から受信した先行車情報に含まれる自車線確率等に基づいて車間距離制御すべき先行車を決定し、クルーズコントロールスイッチ20や目標車間設定スイッチ22からの検出信号に基づき、先行車との車間距離を適切に調節するための制御指令値として、エンジンECU6には目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ダイアグノーシス信号等を送信し、ブレーキECU4には、目標加速度信号、ブレーキ要求信号等を送信し、メータECU7には表示データ信号等を送信する。また、車間制御ECU2は、警報発生の判定を行い、警報が必要な場合には警報ブザー14を鳴動させる。 【0036】ここで、クルーズコントロールスイッチ20は、クルーズセットスイッチ、キャンセルスイッチ、セット車速微増スイッチ、セット車速微減スイッチなどを備えている。クルーズセットスイッチは、オートクルーズ制御を開始させるためのスイッチであり、メインスイッチがONの状態でクルーズセットスイッチをONすることにより、クルーズ制御が開始される。また、キャンセルスイッチは、クルーズ制御を終了させるためのスイッチである。なお、後述するようにクルーズ制御は定速で走行する車速制御と先行車に追従して走行する車間制御の両方を含む概念である。 【0037】また、セット車速微増スイッチは、アクセルレバーとも呼ばれるものであり、アクセルレバーを操作することによってスイッチオンとなり、記憶されているセット車速を徐々に増加させる。一方、セット車速微減スイッチは、コーストレバーとも呼ばれるものであり、コーストレバーを操作することによってスイッチオンとなり、記憶されているセット車速を徐々に減少させる。 【0038】また、目標車間設定スイッチ22は、オートクルーズ制御において、先行車と自車との目標車間距離に相当する距離を自車が走行するのに要する時間(以下、「目標車間時間」という。)を運転者が設定するためのスイッチである。なお、この目標車間時間は所定の範囲内で設定可能である。 【0039】図2は、車間制御ECU2が実行するメイン処理を示すフローチャートであり、最初のステップS100においてはレーダセンサ3から先行車に関するデータなどのレーダデータを受信する。なお、このレーダセンサ3にて行われる処理については後述する。 【0040】続くS200ではブレーキECU4、エンジンECU6、ワイパECU5からCANデータを受信する。具体的には、上述したように現車速(Vn)、エンジン制御状態(アイドル)、操舵角(str-eng ,S0)、ヨーレート、ブレーキ制御状態、ワイパ制御状態等を受信する。 【0041】これらの受信データに基づき、先行車選択(S300)、目標加速度演算(S400)、減速要求判定(S500)及び検知要求判定(S600)の各処理を実行する。これらの各処理の詳細は後述する。その後、推定Rの演算を行い(S1100)、レーダセンサ3側へは、現車速(Vn)、推定R、センサ検知要求レベルや各物標検知要求レベルなどのデータを送信し(S1200)、ブレーキECU4、エンジンECU6、メータECU7へは、目標加速度、ブレーキ要求、フューエルカット要求、ダイアグ、表示データなどのCANデータを送信する(S1300)。 【0042】以上はメイン処理全体についての説明であったので、続いて、S300,S400,S500及びS600に示した各処理の詳細について順番に説明する。まず、S300での先行車選択サブルーチンについて図3のフローチャートを参照して説明する。 【0043】最初のステップS310においては、先行車候補群を抽出する。この処理は、レーダセンサ3より受信した全ての物標データについて、自車線確率が所定値よりも大きいものを抽出する処理である。ここで、自車線確率とは、各物標が自車両の推定進行路上に存在する確率であり、レーダセンサ3内にて演算処理され、車間制御ECU2に物標データの一部として送信される。 【0044】ここで、所定のしきい値はセンサ検知要求レベルに基づいて決めても良い。すなわち、前回処理時に求めたセンサ検知要求レベルが高い場合には通常よりも自車線確率のしきい値を小さくして先行車を選択し易くし、センサ検知要求レベルが低い場合には通常よりも自車線確率のしきい値を高くして先行車を選択し難くするのである。なお、S310においては自車線確率に加えて車両確度をも用いて先行車候補群を抽出してもよい。すなわち、自車線確率が所定値よりも大きく、かつ車両確度の高い物標を先行車候補群として抽出する。車両確度が連続的な値であれば、所定のしきい値以上の場合に車両が高いとする。もちろん、この車両確度のしきい値は、自車線確率のしきい値同様、センサ検知要求レベルに応じて変更してもよい。これにより、自車線確率のみを用いる場合に比べて、誤って車両以外を先行車として選択してしまう可能性を低くすることができる。 【0045】続くS320では先行車候補があるか否かを判断する。先行車候補がなければ(S320:NO)、先行車未認識時のデータを先行車データとして設定し(S350)、本処理ルーチンを終了する。一方、先行車候補があれば(S320:YES)、S330へ移行し、車間距離が最小の物標を先行車として選択する。その後S340へ移行し、先行車データとしてS330で選択された物標のデータを設定し、本処理ルーチンを終了する。 【0046】次に、S400での目標加速度演算サブルーチンについて図4(a)のフローチャートを参照して説明する。最初のステップS410においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。そして、先行車を認識中であれば(S410:YES)、S420へ移行して車間偏差比を演算する。この車間偏差比(%)は、現在車間から目標車間を減算した値(車間偏差)を目標車間で除算し100を掛けた値である。ここで、目標車間は車速に応じて可変とするここで、より運転者の感覚に合致させることができる。続くS430にて相対速度に対してローパスフィルタ処理を施してから、S440へ移行する。 【0047】S440では、S420,S430にて得られた車間偏差比と相対速度という2つのパラメータに基づき、図4(b)に示す制御マップの値AT0 を得る。なお、図4(b)の制御マップは、車間偏差比(%)として−96,−64,−32,0,32,64,96の7つの値、相対速度(Km/h)として16,8,0,−8,−16,−24の6つの値に対する目標加速度AT0 を示すものであるが、マップ値として示されていない値については、マップ内では直線補間により演算した値を採用し、マップ外ではマップ端の値を採用する。また、マップ内の値を用いる場合においても、さらに所定の上下限ガードを施すことも考えられる。 【0048】一方、先行車を認識中でなければ(S410:NO)、先行車を未認識の場合の値を目標加速度ATとして設定する(S450)。次に、S500での減速要求判定サブルーチンについて図5のフローチャートを参照して説明する。 【0049】この減速要求判定は、フューエルカット要求判定(S910)、ブレーキ要求判定(S920)を順番に行って終了する。S910でのフューエルカット要求判定を簡単に説明する。現在、フューエルカット要求中であるか否か判断し、フューエルカット要求中でなければ、加速度偏差が参照値Aref11よりも小さいかどうか判断する。そして、加速度偏差<Aref11であれば、フューエルカット要求成立とするが、加速度偏差≧Aref11であれば何もしない。一方、フューエルカット要求中であれば、加速度偏差が参照値Aref12よりも大きいかどうか判断し、加速度偏差>Aref12であればフューエルカット要求を解除するが、加速度偏差≦Aref12であれば何もしない。 【0050】次に、S920のブレーキ要求判定について簡単に説明する。現在、フューエルカット要求中であるかどうか判断し、フューエルカット要求中でなければブレーキ要求を解除する。一方、フューエルカット要求中であればブレーキ要求中であるかどうか判断し、ブレーキ要求中でなければ加速度偏差が参照値Aref21よりも小さいかどうか判断する。そして、加速度偏差<Aref21であればブレーキ要求成立とするが、加速度偏差≧Aref21であれば何もしない。一方、ブレーキ要求中であれば、加速度偏差が参照値Aref22よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref22であればブレーキ要求を解除するが、加速度偏差≦Aref22であれば何もしない。 【0051】なお、上述のフューエルカット要求判定及びブレーキ要求判定の説明中に用いた参照値Aref11,Aref12,Aref21,Aref22について、補足説明しておく。これらの参照値は、以下に示すようなしきい値となっている。 [減速手段] [作動指示しきい値][作動解除しきい値] フューエルカット Aref11 Aref12 ブレーキ Aref21 Aref22これらのしきい値の大小関係は、以下のようになる。 (a)作動指示しきい値/作動解除しきい値の関係フューエルカット:Aref11<Aref12ブレーキ:Aref21<Aref22このような関係は、作動指示と作動解除指示のチャタリングが発生しないために必要である。 (b)各減速手段間の作動指示しきい値の関係0>Aref11≧Aref21これは、より発生減速度の小さな手段が先に作動されることが望ましいからである。 (c)各減速手段間の作動解除しきい値の関係Aref12≧Aref22>0これは、発生減速度のより大きな手段が先に解除されることが望ましいからである。 【0052】次に、検知要求判定(S600)の詳細について図6〜図9を参照して説明する。検知要求判定は、図6(a)のフローチャートに示すように、センサ検知要求レベル判定(S700)、各物標検知要求レベル判定(S800)を順次行うので、これらを順番に説明する。 【0053】S700でのセンサ検知要求レベル判定は、図6(b)に示すように、まず、センサ検知要求レベルを初期値の50に設定し(S710)、その後、レバー操作対応処理(S720)、ペダル操作対応処理(S730)、ワイパ動作対応処理(S740)を順次行うことで実現される。S720〜S740の処理内容を順番に説明する。 【0054】[S720でのレバー操作対応処理]図7の最初のステップS721では、現在、先行車を認識中であるかどうかを判断し、認識中であれば(S721:YES)、アクセルレバー操作が1秒継続したか否か判断する(S722)。上述したように、アクセルレバーを操作することによってセット車速微増スイッチがオンとなり、記憶されているセット車速が徐々に増加する。アクセルレバー操作が1秒継続した場合には(S722:YES)、継続時間カウントタイマをリセットしてから(S723)、センサ検知要求レベルを10減算する(S724)。また、アクセルレバー操作が1秒継続していない場合には(S722:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。なお、S723にて継続時間カウントタイマをリセットする意図は、1秒継続の度にセンサ検知要求レベルの10減算をすることである。つまり、例えば3秒継続して操作した場合には、計30が減算されることとなる。後述するS726及び図8(a)におけるS733,S736でも同様である。 【0055】一方、先行車を認識中でない場合は(S721:NO)、今度はコーストレバー操作が1秒継続したか否か判断する(S725)。コーストレバーを操作することによってセット車速微減スイッチがオンとなり、記憶されているセット車速が徐々に減少する。コーストレバー操作が1秒継続した場合には(S725:YES)、継続時間カウントタイマをリセットしてから(S726)、センサ検知要求レベルを10加算する(S727)。また、コーストレバー操作が1秒継続していない場合には(S725:NO)、キャンセル操作がなされたか否かを判断し(S728)、キャンセル操作がなされた場合には(S728:YES)、センサ検知要求レベルを10加算する(S729)。キャンセル操作もなされていない場合には(S728:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。 【0056】[S730でのペダル操作対応処理]図8(a)の最初のステップS731では、現在、先行車を認識中であるかどうかを判断し、認識中であれば(S731:YES)、アクセルペダル操作が1秒継続したか否か判断する(S732)。アクセルペダル操作が1秒継続した場合には(S732:YES)、継続時間カウントタイマをリセットしてから(S733)、センサ検知要求レベルを10減算する(S734)。また、アクセルペダル操作が1秒継続していない場合には(S732:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。 【0057】一方、先行車を認識中でない場合は(S731:NO)、今度はブレーキペダル操作が1秒継続したか否か判断する(S735)。ブレーキペダル操作が1秒継続した場合には(S735:YES)、継続時間カウントタイマをリセットしてから(S736)、センサ検知要求レベルを10加算する(S737)。また、ブレーキペダル操作が1秒継続していない場合には(S735:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。 【0058】[S740でのワイパ動作対応処理]図8(b)の最初のステップS741では、現在、ワイパ動作中か否かを判断し、ワイパ動作中であれば(S741:YES)、センサ検知要求レベルを10加算する(S743)。一方、ワイパ動作中でない場合には(S741:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。 【0059】次に、S800での各物標検知要求レベル判定について、図9を参照して説明する。図9の最初のステップS810では、現在、先行車を認識中であるかどうかを判断する。認識中でなければ(S810:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了するが、先行車を認識中であれば(S810:YES)、同一先行車を5秒継続して認識中か否か判断する(S820)。 【0060】そして、同一先行車を5秒継続して認識中である場合には(S820:YES)、物標検知要求レベルを10加算する(S860)。一方、同一先行車を5秒継続して認識中でない場合には(S820:NO)、セット操作がなされたか否か判断する(S830)。セット操作がなされ(S830:YES)、且つ車間距離が5m未満である場合には(S840:YES)、物標検知要求レベルを10減算する(S850)。これに対して、セット操作がなされていない場合(S830:NO)、あるいはセット操作がなされているが車間距離が5m以上である場合には(S840:NO)、何もせずに本サブルーチンを終了する。 【0061】このように、S700のセンサ検知要求レベル判定で実施するような全物標に関わる認識し易さ、又は選択し易さの調整とは別に、S800の各物標検知要求レベル判定で実施するような各物標別個の物標検知要求レベルに基づいて、特定の物標の認識し易さ、又は選択し易さを調整してもよい。これにより、特定の物標のみに関わる認識し易さ又はし難さや、選択し易さ又はし難さに対して的確に対応することができる。 【0062】次に、レーダセンサ3にて行われる処理について説明する。図10は、メイン処理を示すフローチャートであり、レーダセンサ3は所定間隔でこの処理を実行する。処理が開始されると、まず、車間制御ECUからのデータ(現車速(Vn)、カーブ曲率半径R、センサ検知要求レベル、各物標検知要求レベル等)を受信する(S10)。その後、スキャニング測距器による1スキャン分の測距データ(距離・角度の計測データ)の読み込みを行う。例えばスキャン周期を100msecとし、100msec毎にデータを取り込むこととする。 【0063】続くS30では、非車両判定しきい値の演算を行う。この処理は、次のS40において行う非車両判定処理中で用いるしきい値をS10にて受信した車間制御ECUデータ中のセンサ検知要求レベルに基づいて演算するものである。したがって、まず、S40の処理内容を説明してから、S30での具体的内容を説明する。 【0064】S40では、S20にて読み込んだ測距データに対して非車両判定を行う。この非車両判定処理は、図11(b)のフローチャートに示すように、非車両判定マップを用いて測距データの対応領域を判定し(S41)、測距データが非車両の範囲であれば(S42:YES)、データ削除を行い(S43)、非車両でない(つまり車両である)範囲であれば(S42:NO)、そのまま本処理を終了するという内容である。 【0065】S41にて用いる非車両判定マップは、図12に示すように、車幅方向、車高方向及び車両前方方向をそれぞれX軸、Y軸及びZ軸とした場合の反射物体の存在領域に対応して、車両と非車両を区別するための受光強度の範囲が設定された3次元マップである。具体的には、XY方向については、中心付近の領域、その周囲の領域、最下端領域の3つにわけられており、それら各領域に対応してZ方向位置と受光強度との対応関係が(a)〜(c)のように設定されている。XY方向についての中心付近の領域は(b)の対応関係が対応し、その周囲の領域は(a)の対応関係が対応し、最下端領域は(c)の対応関係が対応している。 【0066】続いて、Z方向位置と受光強度との対応関係について説明する。まず、(b)の対応関係は、所定のZ方向しきい値Z1までの範囲であって且つ受光強度が所定範囲内のものが非車両、それ以外が車両と設定されている。XY方向については中心付近の領域であるため、Z方向に極近距離でない限り、受光強度に関係なく車両が存在する可能性が高いと考えられる。一方、Z方向に極近距離においても車両が存在する可能性はなくはないが、その場合には、受光強度がある程度以上に大きくなるため、全体として(b)に示すような対応関係に設定することで、車両・非車両の区別が付くと考えられる。 【0067】次に、(a)の対応関係について説明する。この場合、XY方向については上端あるいは左右端であり、トンネルの天井や看板あるいはガードレールや植え込みなどを検知する可能性がある。そのため、(b)の場合はZ方向しきい値Z1より遠くにおいては実質的に受光強度による判定をしなくても問題ないが、(a)の場合には、そのような範囲においても非車両である可能性が相対的に高いので、受光強度による実質的な判定をする。したがって、(b)の場合のZ方向しきい値Z1に比べてより遠くのZ方向しきい値Z2までは、受光強度によるしきい値が設定されている。なお、近距離の場合に同じ物体であっても相対的に受光強度が大きくなるため、受光強度のしきい値も相対的に大きくなっている。 【0068】次に、(c)の対応関係について説明する。この場合、XY方向については最下端であり、路面上の白線などを検知する可能性がある。逆に車両を検知する可能性は、他の領域に比べて最も少ないと考えられる。そこで、(a)の場合と比較していうならば、受光強度によるしきい値が大きい範囲が、より遠くまで適用されている。これは、白線などはそれなりの反射強度を持つため、それらを適切に非車両であると判定するに受光強度によるしきい値を上げたことと、元々車両が存在する可能性が非常に低いため、このようにしきい値を上げても問題が少ないからである。もちろん、上述したように、この最下端の領域であっても例えば自車のピッチングによって前方車両からの反射光を得る可能性がある。但し、その場合も、受光強度は相対的に高くなるため、ここでは、白線などを排除することを主眼にして受光強度のしきい値を上げることを優先した。 【0069】ここで、図10のS30での非車両判定しきい値演算の説明に戻り、その具体的内容を、図11(a)を参照して説明する。まずセンサ検知要求レベルを入力し(S31)、そのセンサ検知要求レベルが60以上であれば(S32:YES)、センサ検知要求レベルに応じて非車両判定マップにおける各しきい値を下降させる演算を行う(S33)。これは、図12を参照して説明した上述の各しきい値を全体的に下降(0に近づける)させるものである。このようにすれば、非車両であると判定される範囲が狭くなり、逆に言えば車両と判定される範囲が広がるので、車両が検知され易くなるのである。 【0070】一方、センサ検知要求レベルが40以下であれば(S34:YES)、センサ検知要求レベルに応じて各しきい値を上昇させる演算を行う(S35)。これは、図12を参照して説明した上述の各しきい値を全体的に上昇(0から遠ざける)させるものである。このようにすれば、非車両であると判定される範囲が広くなり、逆に言えば車両と判定される範囲が狭くなるので、車両が検知され難くなるのである。 【0071】これらの間、つまりセンサ検知要求レベルが40よりも大きく60未満の場合は、しきい値の上昇も下降もさせない。図10の処理説明に戻り、S50では、データのセグメント化を行う。上述したように、測距データとして得た3次元位置データをグルーピングしてセグメントを形成する。この処理は、例えば車両の左右のテールランプに具備されている反射板あるいは車体など、1台の車両を複数のスキャン角度において検出したような場合に、各点が同一の車両であると認識するために必要な処理である。 【0072】このセグメント化においては、所定の接続条件(一体化条件)に合致するデータ同士を集めて1つのプリセグメントデータを生成し、さらにそのプリセグメントデータ同士の内で所定の接続条件(一体化条件)に合致するものを集めて1つの本セグメントデータとするというものである。プリセグメントデータは、例えば図15(a)に示すように、点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化して求める。本実施形態では。Y軸方向に6つの走査ラインがあるが、プリセグメント化によって各ライン毎にプリセグメントデータが生成されている。そのため、本セグメント化では、3次元(X,Y,Z)空間で近接するプリセグメントデータ同士を一体化(本セグメント化)する。本セグメントデータは、X軸,Y軸及びZ軸にそれぞれ平行な3辺を持つ直方体の領域であり、その中心座標(X,Y,Z)と大きさを示すための3辺の長さ(W,H,D)をデータ内容とする。なお、特に断らない限り、本セグメント(データ)のことを単にセグメント(データ)と称することとする。ここで、プリセグメントデータ生成時の接続条件を、センサ検知要求レベルに応じて変更しても良い。 【0073】続くS60では物標移動推定範囲の演算を行う。この処理は、次のS70において認識対象の個々の車両などを物標化する物標化処理中で用いる物標移動推定範囲をS10にて受信した車間制御ECUデータ中の物標検知要求レベルに基づいて演算するものである。ここで演算された物標移動推定範囲を用いてS70での物標化が実行されるため、まず、S70の処理内容を説明してから、S60での具体的内容を説明する。 【0074】S70では物標化処理を行う。物標とは、一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルである。この物標化処理を図14のフローチャートなどを参照して説明する。物標化処理を開始すると、S51にて変数iに1を代入してS52へ移行する。S52では、物標Biが存在するか否かを判断する。物標Bi(i=1,2,3…)とは、後述の処理により一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルである。 【0075】そして、物標Biが存在する場合(S52:YES)は、S56へ移行してその物標Biに対応するセグメントを検出する。ここで、物標Biに対応するセグメントとは次のように定義される。図15(b)に例示するように、まず物標Biが前回処理時の位置Bi(n-1) から前回処理時における相対速度(Vx,Vy)で移動したと仮定した場合、現在物標Biが存在するであろう推定位置Bi(n) を算出する。続いて、その推定位置Bi(n) の周囲に、X軸,Y軸方向に所定量△X,△Yの幅を有する推定移動範囲BBを設定する。そして、その推定移動範囲BBに少なくとも一部が含まれるセグメントを対応するセグメントとする。 【0076】ここで、対応するセグメントが存在しない場合は、補完処理を実施する。すなわち、現在位置を推定位置Bi(n)、相対速度を前回処理時の値(Vx,Vy)そのままとして、次回処理時にこれらの補完値に基づき対応するセグメントの検出をするのである。なお、この補完処理は所定時間のみ許可するが、その時間をセンサ検知要求レベル又は各物標検知要求レベルに応じて調整してもよい。例えばノイズや路面からの反射等、車両でない物体を誤って検知してしまっているときは、毎測距周期において安定して検知できないことが多い。そのため、例えば車両運転者の減速指示操作があった場合には補完時間を長くし、加速指示操作があった場合には補完時間を短くする。これによって、検知し難い物体に対して十分な補完をすると同時に、誤検知した物体に対する無用な補完を防止するなど、車両運転者の意図に沿った認識ができる。 【0077】続くS57では、対応するセグメントの有無などに応じて、物標Biのデータ更新処理を実行する。これは、上述したような物標Biのデータ(中心座標、相対速度等)を今回の測距結果によって更新する処理である。そして、S58にて変数iをインクリメントした後、S52へ移行する。 【0078】一方、物標Biが存在しない場合(S52:NO)は、S53へ移行して、対応する物標Biのないセグメントがあるか否かを判断する。例えばエンジン始動時には物標Biが作成されていないので、図10のS50にてセグメント化されていれば、その全てのセグメントは対応する物標Biのないセグメントである。この場合、肯定判断してS54へ移行する。 【0079】S54では、物標Biの個数が所定値(レーザ光Hが掃引照射される所定角度内に出現する障害物の個数の上限値にマージンを加えた値)未満であるか否かを判断する。始動時には物標Biの個数が前記所定値未満であるので、肯定判断してS55へ移行する。 【0080】S55では、各セグメントに対して車両に近接したものから順に物標Biを作成し、本物標化処理ルーチンを終了する。なお、物標Biを順次作成する途中で、物標の総数が前記所定値に達したときは、それ以上物標Biを作成しない。上述した処理により、セグメントとして認識された障害物が過去に認識された物標Biと同一であるか否かを良好に判断することができる。このため、物標Biに対応する障害物の自車両に対する相対速度(VX,VY)を、正確に算出することができる。 【0081】ここで、図10のS60での物標推定移動範囲演算の説明に戻り、その具体的内容を、図13を参照して説明する。まず物標検知要求レベルを入力し(S61)、その物標検知要求レベルが60よりも大きければ(S62:YES)、物標検知要求レベルに応じて推定移動範囲を拡大させる演算を行う(S63)。これは、図15(b)における推定移動範囲BBを拡大させるものであり、このようにすれば、対応するセグメントが存在し易くなり、その結果、物標が存在すると判定され易くなる。 【0082】一方、物標検知要求レベルが40よりも小さければ(S64:YES)、物標検知要求レベルに応じて推定移動範囲を縮小させる演算を行う(S65)。このようにすれば、対応するセグメントが存在し難くなり、その結果、物標が存在すると判定され難くなる。 【0083】これらの間、つまり物標検知要求レベルが40よりも大きく60未満の場合は、推定緯度範囲の拡大も縮小もしない。図10の処理説明に戻り、S80では、車間制御ECU2に対して先行車情報等を送信する。 【0084】なお、本実施形態においては、エンジンECU6及びブレーキECU4が加速手段及び減速手段に相当し、レーダセンサ3がレーダ手段及び物体認識手段に相当する。また、車間制御ECU2が先行車選択手段及びクルーズ制御手段に相当し、レーダセンサ3及び車間制御ECU2が調整手段に相当する。 【0085】以上説明した本実施形態のシステムが発揮する効果を説明する。本実施形態のクルーズ制御システムでは、先行車を認識しておらず定速走行している場合に(図7:S721:NO)、コーストレバー操作が1秒継続した場合には(S725:YES)、初期値が50に設定された検知要求レベル値が10加算され(S727)、キャンセル操作がなされた場合には(S728:YES)、検知要求レベル値が10加算される(S729)。また、先行車を認識しておらず定速走行している場合に(図8:S731:NO)、ブレーキペダル操作が1秒継続すると(S735:YES)、センサ検知要求レベル値が10加算される(S737)。このような所定の減速操作がされた場合は、クルーズ制御システムとしては先行車なしとして定速制御をしているのであるが、運転者の認識・判断に基づけば前方に車両が居る状態である可能性が高い。 【0086】そこで、図11(a)に示すように、センサ検知要求レベルが60以上であれば(S32:YES)、図11(b)に示す非車両判定に用いるマップにおける各しきい値を下降させる(S33)。これにより非車両であると判定される範囲が狭くなり、車両と判定される範囲が広がるので、車両が検知され易くなる。つまり、定速制御自体が問題なく実行されていれば、基本的に運転者はコーストレバー操作やブレーキペダルの踏み込みなどの所定の減速操作をしないものを考えられる。それであるのにこのような減速操作が運転者によってなされたということは、本来認識すべき物体を認識していないため、運転者に何らかの不満をもたらしているものと思われる。そこで、運転者の感覚により合致した物体認識とするのである。 【0087】逆に、先行車を認識しており先行車に追従走行している場合に(図7:S721:YES)、アクセルレバー操作が1秒継続した場合(S722:YES)、検知要求レベル値が10減算される(S724)。また、先行車を認識しており先行車への追従走行している場合に(図8:S731:YES)、アクセルペダル操作が1秒継続すると(S732:YES)、センサ検知要求レベル値が10減算される(S734)。このような所定の加速操作がされた場合は、クルーズ制御システムとしては先行車ありとして車間制御をしているのであるが、運転者の認識・判断に基づけば前方に車両が居ない状態である可能性が高い。 【0088】そこで、図11(a)に示すように、センサ検知要求レベルが40以下であれば(S34:YES)、図11(b)に示す非車両判定に用いるマップにおける各しきい値を上昇させる(S35)。これにより非車両であると判定される範囲が広くなり、車両と判定される範囲が狭くなるので、車両が検知され難くなる。つまり、車間制御自体が問題なく実行されていれば、基本的に運転者はアクセルレバー操作やアクセルペダルの踏み込みなどの所定の加速操作をしないものと考えられる。それであるのにこのような加速操作が運転者によってなされたということは、本来認識すべきでない物体を認識しているため、運転者に何らかの不満をもたらしているものと思われる。そこで、運転者の感覚により合致した物体認識とするのである。 【0089】なお、本実施形態では、図8(b)に示すように、ワイパ動作中(S741:YES)はセンサ検知要求レベルを10加算する(S742)。これは、雨滴によって受信信号レベルが低下している可能性があることを考慮し、物体を検知し易くするためである。 【0090】また、図9に示すように、同一先行車を5秒継続して認識中である場合には(S820:YES)、物標検知要求レベルを10加算する(S860)。これは、そのように継続して認識している場合には、その物体は「より車両らしい」として、物体を検知し易くするためである。つまり、ある物体の認識及び先行車としての選択が所定時間継続しており、車間制御動作が行われていることに対して車両運転者が何ら介入しないということは、車両運転者はその状態が適切であると判断しているためであると考えられる。したがって、先行車として選択している物体をより継続して認識し、先行車として選択し易いようにすることは妥当であると考えられる。 【0091】一方、先行車認識中ではあるが、同一先行車を5秒継続して認識中でなく(S820:NO)、セット操作がなされた場合(S830:YES)、車間距離が5m未満であれば(S840:YES)、物標検知要求レベルを10減算する(S850)。これは、運転者がセット操作をした場合に、先行車への追従状態として適切でないと考えられる近距離に存在する物体は車両らしくないとして、物体を検知し難くするためである。つまり、先行車が存在する状態でクルーズ制御を開始する際、車両運転者は、車間制御をするのに妥当でない状況、例えば著しく近距離に車両がいる状況等においてはセット操作はしないと考えられる。従って、セット操作がされたときに所定の条件を満たさない場合には、車両らしくないとして物体を検知し難くする。なお、本例における「5m」という判定距離は一例である。 【0092】[その他] (1)上記実施形態においては、センサ検知要求レベルや物標検知要求レベルを調整することによって、レーダセンサ3において物体を認識し易くしたり、し難くしたりした。これに代えて、あるいはこれと共に先行車を選択し易くしたり、し難くしたりしてもよい。つまり、先行車を認識しておらず定速走行している場合に所定の減速操作がなされると先行車を選択し易くし、先行車を認識しており先行車に追従走行している場合に所定の加速操作がなされると先行車を選択し難くするのである。ここで、先行車選択の難易を変更する手法としては、例えば自車線確率を増減させたり、車両確度の変更を行うことが考えられる。 【0093】自車線確率は、認識物体が自車と同一車線上に存在する確率であり、この自車線確率を加味して先行車を選択する手法は公知である。自車線確率は、自車が進行すると予想される方向を基準としてそこから左右に離れるにしたがって確率が低くなるように設定されるため、例えば自車線確率を全体的に高くしたり、左右に離れるほど自車線確率が低下しているが、その低下率を小さくすることで、先行車を選択し易くできる。逆に、自車線確率を全体的に低くしたり、左右方向への自車線確率の低下率を大きくすることで、先行車を選択し難くできる。 【0094】一方、車両確度は、車両である確からしさを示す度合いであり、この車両確度を加味して先行車を選択する手法も公知である。車両確度は、例えば物体を継続して認識している時間や、物体の相対速度、物体の幅や奥行きなどを、それぞれのしきい値以上であるか否かを判定し、例えば全ての条件を満足すると車両、一部満たさない場合には未定、基本条件を満たさない場合は車両以外、というように分類判定する。この場合の条件判定のためのしきい値を下げれば先行車として選択され易くなり、逆にしきい値を上げれば先行車として選択されにくくなる。 【0095】なお、「物標として検知し易くする・し難くする」対策はレーダセンサ3にて実行され、「先行車として選択し易くする・し難くする」対策はレーダセンサ3又は車間制御ECU2にて実行される。これらについては、いずれか一方のみを実行しても良いし、両者を共に実行しても良い。但し、どちらで対処するかによって生じる効果は変わってくる。つまり、レーダセンサ3のように、センサ出力自体(物標検知部)で対処する場合は、根本的にセンサあるいは各物標の検知し易さを調整することになるので、天候などのために検知性能が低下している、レーザ光の反射強度が弱い車両で検知しにくい、あるいは何も対象物が無いのにノイズのために誤って物標を検知してしまう場合等に有効である。一方、センサ出力を利用する段(先行車選択部)で対処する際に、例えば自車線確率のしきい値を調整することは、誤って他車線の車両等を選択してしまう、あるいは自車線の車両を検知しているのに選択しにくい場合に有効である。また、車両確度のしきい値を調整することは、車両でない物標を選択してしまう、あるいは車両であるのに車両でないとして選択しない場合等に有効である。 【0096】このように、「物標(物体)としての検知し易さ(し難さ)」と「先行車としての選択され易さ(され難さ)」にはそれぞれ別個の効果があるので、例えば両方同時に実行すれば、それぞれの効果を同時に得ることができる。 (2)上記実施形態では「レーダ手段」としてレーザ光を用いたレーザレーダを採用したが、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよい。また、スキャン方式にこだわる必要はなく、距離以外に方位を測定できる方式であればよい。そして、例えばミリ波でFMCWレーダ又はドップラーレーダなどを用いた場合には、反射波(受信波)から先行車までの距離情報と先行車の相対速度情報が一度に得られるため、レーザ光を用いた場合のように、距離情報に基づいて相対速度を算出するという過程は不要となる。 【0097】そして、FMCWレーダを用いた場合には、物体認識の難易を調整する手法として、例えば次のようなものが考えられる。つまり、FMCWレーダの場合は、周波数が漸次上昇する上り変調部及び周波数が漸次下降する下り変調部を有するレーダ波の送信信号と、対象物により反射されたレーダ波の受信信号とを混合することにより得られるビート信号が生成される。そして、そのビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を検出し、その検出された上り変調部のピーク周波数及び下り変調部のピーク周波数の中からピーク周波数の組合せを抽出し、そのピーク周波数の組合せであるピークペアに基づいて物体との距離及び相対速度を認識する。 【0098】そのため、ビート信号を周波数解析した結果のピーク検出スレッショルド(しきい値)を下げてターゲットを検出し易くしたり、逆に、ピーク検出しきい値を上げてターゲットを検出し難くすることができる。また、ピーク周波数検出に際して、相対的に小さなしきい値を用いて検出する第一のピーク周波数検出手法と、相対的に大きなしきい値を用いて検出する第二のピーク周波数検出手法の少なくともいずれか一方を用いて実行できるようにしておいた場合、車両進行方向のピーク周波数検出を第一のピーク周波数検出手法を用いて実行し、その他の方向のピーク周波数検出を第二のピーク周波数検出手法を用いて実行すれば、物体を認識し易くなるよう調整できる。一方、全ての方向について第二のピーク周波数検出手法を用いて実行すれば、物体を認識し難くなるよう調整できる。 【0099】また、ノイズ等から構成されるピークペアをターゲットとして認識しないため、ピークペアの時間的なつながりをある評価関数で判断しターゲットを認識している。その評価関数の値を変化させることによって、ターゲットとして検出し易くしたり、逆に、確実なものしかターゲットとして検出しないようにすることも考えられる。 【0100】また、ノイズ等に埋もれピークが時間的に連続していない場合であっても、前方にピークが存在するという仮定の元につながりを求めることによって、ターゲットを検出し易くしたり、逆に、そのターゲットが車両以外のものであるという前提でピークの履歴追跡を再び行い、正確な対象物の情報を出力することも考えられる。 【0101】なお、FMCWレーダのようなミリ波レーダを用いた場合においても、上記実施形態の場合と同様、先行車としての選択され易さ(され難さ)を調整してもよい。ミリ波レーダを用いた場合において、先行車「検知」状態であるのに実際には本来制御すべき先行車は存在しない局面としては、例えば次のようなものが該当する。 【0102】・何も対象物が無いのに、ノイズ(路面からの反射、サイドローブによる反射、グレーティングローブによる反射、等)のために物標を検知し、誤って先行車選択している状況・隣車線を走行する車両の車体側部を検知し、誤って先行車選択している状況・自車線以外の車両を検知し、誤って先行車選択している状況(3)上記実施形態では、レーダセンサ3における認識処理を調整することにより、検知し易さ、し難さを調整したが、根本的にレーダセンサ3における電磁波(この場合はレーザレーダ)の出力レベルを調整してもよい。つまり、電磁波の出力レベルを上げた場合は物体を検知し易くなり、下げた場合は物体を検知し難くなる。これによって、認識処理を変更することなく検知し易さ、し難さを調整することができる。 【0103】(4)上記実施形態では、車間制御量の一例として目標加速度を用いたが、それ以外にも、加速度偏差(目標加速度−実加速度)や目標速度、目標トルク、あるいは目標相対速度としてもよい。 (5)減速手段としては、上述した実施形態で説明したものも含め、採用可能なものを挙げておく。ブレーキ装置のブレーキ圧を調整して行うもの、内燃機関に燃料が供給されるのを阻止するフューエルカット制御、前記内燃機関に接続された自動変速機がオーバードライブのシフト位置となるのを禁止するオーバードライブカット制御、前記自動変速機を高位のシフト位置からシフトダウンさせるシフトダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる点火遅角制御、前記自動変速機が備えたトルクコンバータをロックアップ状態にするロックアップ制御、前記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排気ブレーキ制御およびリターダ制御を実行して行うものなどである。 【0104】(6)また、上記実施形態においては、車間距離をそのまま用いていたが、車間距離を車速で除算した車間時間を用いても同様に実現できる。つまり、相対速度と車間時間偏差比をパラメータとする目標加速度の制御マップを準備しておき、制御時には、その時点での相対速度と車間時間偏差比に基づいて目標加速度を算出して、車間制御を実行するのである。 【0105】(7)また、上記実施形態においては、選択された先行車に対するクルーズ制御を実行することを前提とし、物体認識あるいは先行車選択のし易さ(し難さ)を変更するようにしたが、例えば選択された先行車と自車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量と、自車と先行車との相対速度に基づいて警報判定値を算出し、その警報判定値が所定の警報条件を満たしている場合に、車両運転者に対する警報処理を実行可能な車間警報装置として実現することもできる。 【0106】なお、クルーズ制御機能に加えてこのような車間警報機能を有してもよいし、車間警報機能のみを有する場合も考えられる。但し、車間警報機能のみを有する場合には、運転者の操作の検出方法としてペダル操作は採用しにくいため、特別に運転者意志を検出するスイッチ等を設ける必要はある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
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| 【出願日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉
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| 【公開番号】 |
特開2003−267084(P2003−267084A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−67159(P2002−67159) |
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