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【発明の名称】 自動車の燃料タンク配置構造
【発明者】 【氏名】外薗 正一
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】市川 大二郎
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】望ましい形状の燃料タンクを車体と干渉しないようにレイアウトする。

【解決手段】燃料タンクTの前側平坦部11、突出部13および後側平坦部12を、フロアパネルPの後席シート支持部16、荷室床部18およびスペアタイヤ収納部20の下面にそれぞれ対向するように配置する。突出部13が燃料タンクTの前後方向中間に位置するため、傾斜地に駐車した場合に突出部13に設けたフロートバルブ14が液没するのを防止することができ、しかも燃料タンクTの上面の形状がフロアパネルPの下面の形状に沿うため、燃料タンクTとフロアパネルPとの干渉を回避しながらデッドスペースの発生を防止し、燃料タンクTを大型化することなく最大限の有効容量を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車のフロアパネル(P)の下方に燃料タンク(T)を配置する自動車の燃料タンク配置構造において、燃料タンク(T)の上面は、前側棚部(11)および後側棚部(12)と、両棚部(11,12)間で上方に突出し、キャニスタ(23)に連なる蒸発燃料通路を開閉するフロートバルブ(14)が取り付けられる突出部(13)とを備え、フロアパネル(P)は、後席シート(S)を支持する後席シート支持部(16)と、後席シート支持部(16)の後方で一段高く隆起した荷室床部(18)と、荷室床部(18)の一部が一段低く陥没したスペアタイヤ収納部(20)とを備え、燃料タンク(T)の前側棚部(11)、突出部(13)および後側棚部(12)が、フロアパネル(P)の後席シート支持部(16)、荷室床部(18)およびスペアタイヤ収納部(20)の下面にそれぞれ対向するように配置されたことを特徴とする自動車の燃料タンク配置構造。
【請求項2】 フロアパネル(P)は、後席シート支持部(16)の前方で一段低く陥没した足置き部(21)を備えており、後席シート支持部(16)の下方において足置き部(21)と燃料タンク(T)とに挟まれた空間にキャニスタ(23)が配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車の燃料タンク配置構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のフロアパネルの下方に燃料タンクを配置する自動車の燃料タンク配置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の燃料タンクの上部空間は蒸発燃料通路を介してキャニスタに接続されており、燃料タンクにおいて発生した蒸発燃料をキャニスタに吸着させて大気への放散を防止している。燃料タンクと蒸発燃料通路との接続部にはフロートバルブが配置されており、急加減速や急旋回等の異常時にフロートバルブが閉弁して蒸発燃料通路を閉塞することで、燃料タンク内の燃料のキャニスタへの流出を防止するようになっている。
【0003】かかるフロートバルブは通常時には開弁しており、急加減速や急旋回等の異常時にだけ閉弁する必要があるため、燃料タンクの最も高い位置に設けることが望ましい。なぜならば、フロートバルブが低い位置に設けられていると燃料タンクの液面が低い状態で閉弁するため、燃料タンクの上部に燃料を貯留できない無駄空間が発生してしまい、燃料タンクの有効容量が減少するからである。しかも燃料タンクの上部の無駄空間が大きくなると、駐車時に気温が上昇した場合に燃料タンクからキャニスタに排出される空気の量が増加するため、その空気に含まれる蒸発燃料の量が増加してキャニスタの能力をオーバーする可能性がある。
【0004】燃料タンクの上部の無駄空間をできるだけ小さくするには、フロートバルブを高い位置に配置するだけでなく、特許第3123738号公報に記載されているように、燃料タンクの上面に上方に突出する突出部を設け、そこにフロートバルブを配置することが有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料タンクの上部に突出部を設ける場合、その前後左右方向の位置も問題となる。即ち、図3(A)に示すように、突出部Taが燃料タンクTの前後方向中央に設けられていれば、満タン状態の車両が前下がりに傾斜した状態で駐車した場合の液面はL1となり、車両が前上がりに傾斜した状態で駐車した場合の液面はL2となるため、何れの場合にも突出部Taに設けたフロートバルブVが液没することが避けられ、燃料タンクTの内圧の異常上昇を防止することができる。
【0006】一方、図3(B)に示すように、突出部Taが燃料タンクTの前部に設けられている場合には、車両が前下がりに傾斜した状態で駐車した場合の液面はL3となり、フロートバルブVが液没し易いという問題があり、逆に図3(C)に示すように、突出部Taが燃料タンクTの後部に設けられている場合には、車両が後下がりに傾斜した状態で駐車した場合の液面はL4となり、フロートバルブVが液没し易いという問題がある。車両が左右方向に傾斜した場合も同様である。
【0007】以上のように、燃料タンクの上部の無駄空間をできるだけ小さくするには、燃料タンクの上面に設けた突出部にフロートバルブを配置することが有効であり、しかも傾斜地に駐車した場合にフロートバルブが液没しないためには、突出部の位置を燃料タンクの前後左右方向中央に配置することが有効である。
【0008】しかしながら、燃料タンクの形状は、それが取り付けられる車体形状によって制約を受けるため、車体の各部との干渉を考慮せずに燃料タンクの形状を自由に選択することは困難である。
【0009】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、望ましい形状の燃料タンクを車体と干渉しないようにレイアウトすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、自動車のフロアパネルの下方に燃料タンクを配置する自動車の燃料タンク配置構造において、燃料タンクの上面は、前側棚部および後側棚部と、両棚部間で上方に突出し、キャニスタに連なる蒸発燃料通路を開閉するフロートバルブが取り付けられる突出部とを備え、フロアパネルは、後席シートを支持する後席シート支持部と、後席シート支持部の後方で一段高く隆起した荷室床部と、荷室床部の一部が一段低く陥没したスペアタイヤ収納部とを備え、燃料タンクの前側棚部、突出部および後側棚部が、フロアパネルの後席シート支持部、荷室床部およびスペアタイヤ収納部の下面にそれぞれ対向するように配置されたことを特徴とする自動車の燃料タンク配置構造が提案される。
【0011】上記構成によれば、燃料タンクの上面に上方に突出し、キャニスタに連なる蒸発燃料通路を開閉するフロートバルブが取り付けられる突出部を設けたので、燃料タンクの無駄空間を最小限に抑えて有効容量を増加させるとともに、温度上昇時に排出される蒸発燃料の量を減少させてキャニスタの負荷を軽減することができる。また前記突出部が前側棚部および後側棚部に挟まれて燃料タンクの前後方向中間に位置するため、傾斜地に駐車した場合にフロートバルブが液没するのを効果的に防止することができる。しかも燃料タンクの前側棚部、突出部および後側棚部を、フロアパネルの後席シート支持部、荷室床部およびスペアタイヤ収納部の下面にそれぞれ対向するように配置したので、燃料タンクとフロアパネルとの干渉を回避しながらデッドスペースの発生を防止し、燃料タンクを大型化することなく最大限の有効容量を確保することができる。
【0012】また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、フロアパネルは、後席シート支持部の前方で一段低く陥没した足置き部を備えており、後席シート支持部の下方において足置き部と燃料タンクとに挟まれた空間にキャニスタが配置されたことを特徴とする自動車の燃料タンク配置構造が提案される。
【0013】上記構成によれば、荷室床部の下面に対向する突出部を燃料タンクの前後方向中間に設けたので、燃料タンクの容積が一定であるとすると、突出部を燃料タンクの後端に設けた場合に比べて燃料タンクの前端の位置が後方に移動する。その結果、フロアパネルの足置き部と燃料タンクの前端との間に空間が形成されることになり、この空間を有効利用してキャニスタを配置することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】図1に示すように、自動車のフロアパネルPの下方に配置される燃料タンクTの上面は、前端から後方に延びる前側棚部11と、後端から前方に延びる後側棚部12と、前側棚部11および後側棚部12間に位置して上方に突出する突出部13とを備えており、その突出部13に周知のフロートバルブ14が配置される。前側棚部11の面積は後側棚部12の面積よりも大きくなっており、従って突出部13の位置は、燃料タンクTの前後方向の中央よりも後寄りの位置になる。
【0016】フロアパネルPは、後席シートSのシートクッション15を支持する後席シート支持部16と、後席シート支持部16の後方で一段高く隆起して荷室17(トランクルーム)の床面を構成する荷室床部18と、スペアタイヤ19を収納すべく荷室床部18の一部を一段低く陥没させたスペアタイヤ収納部20と、後席シート支持部16の前方で一段低く陥没して後席シートSに着座した乗員の足を支持する足置き部21とを備える。
【0017】燃料タンクTの前側棚部11および後側棚部12は、それぞれフロアパネルPの後席シート支持部16およびスペアタイヤ収納部20の下面に対向しており、燃料タンクTの突出部13は荷室床部18の前端の下面に対向している。つまり、燃料タンクTの突出部13は、後席シート支持部16の後端と、荷室床部18の前端と、スペアタイヤ収納部20の前端とによって区画された窪みに下側から嵌合している。
【0018】フロアパネルPの足置き部21および後席シート支持部16間に形成された縦壁部22と燃料タンクTの前端との間に形成された空間に、燃料タンクTのフロートバルブ14に図示せぬ蒸発燃料通路を介して接続されたキャニスタ23が配置される。
【0019】一方、図2には比較例が示される。比較例の燃料タンクTは実施例の燃料タンクTの後側棚部12を備えておらず、前側棚部11の後方に連なる突出部13が燃料タンクTの後端に位置している。燃料タンクTの前側棚部11および突出部13はフロアパネルPの後席シート支持部16および荷室床部18の前端の下面にそれぞれ対向している。燃料タンクTの前端は後席シート支持部16および足置き部21間の縦壁部22に近接しており、キャニスタ23は燃料タンクTの後側におけるスペアタイヤ収納部20の下方に配置される。
【0020】図1の実施例および図2の比較例を比較すると明らかなように、実施例の燃料タンクTは前側棚部11を小さくし、その代わりに突出部13の後方に後側棚部12を設けたものに相当し、両者の全容量は実質的に同じである。但し、実施例および比較例の突出部13の位置が同じであるとすると、実施例の燃料タンクTは比較例の燃料タンクTよりも後側棚部12の分だけ後方に移動しており、その結果として実施例は燃料タンクTの前側にキャニスタ23を配置する空間を確保することが可能となっている。
【0021】また実施例の燃料タンクTおよび比較例の燃料タンクTは、共に突出部13にフロートバルブ14を備えているため、燃料タンクTの上面全体を平坦にした場合に比べて、燃料タンクTの無駄空間を最小限に抑えて有効容量を増加させるとともに、温度上昇時に排出される蒸発燃料の量を減少させてキャニスタ23の負荷を軽減することができる。
【0022】また実施例の燃料タンクTは突出部13が前後方向中間に位置するため、図3(A)で説明したように、傾斜地に駐車した場合にフロートバルブ14が液没し難くなり、温度上昇時に燃料タンクTの内圧が過剰に上昇するのを防止することができる。それに対し、比較例の燃料タンクTは突出部13が後端に位置するため、図3(B)で説明したように、前上がりの傾斜地に駐車した場合にフロートバルブ14が液没し易くなって、温度上昇時に燃料タンクTの内圧が過剰に上昇する可能性がある。
【0023】以上のように、燃料タンクTの形状を、上面の前後方向中間に突出部13を有する適切な形状としながら、その燃料タンクTを後席シートSの近傍のフロアパネルPの形状に沿うように配置することで、燃料タンクTとフロアパネルPとの干渉を回避しながら両者間にデッドスペースが発生しないようにし、燃料タンクTを大型化することなく最大限の有効容量を確保することができる。
【0024】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明によれば、燃料タンクの上面に上方に突出し、キャニスタに連なる蒸発燃料通路を開閉するフロートバルブが取り付けられる突出部を設けたので、燃料タンクの無駄空間を最小限に抑えて有効容量を増加させるとともに、温度上昇時に排出される蒸発燃料の量を減少させてキャニスタの負荷を軽減することができる。また前記突出部が前側棚部および後側棚部に挟まれて燃料タンクの前後方向中間に位置するため、傾斜地に駐車した場合にフロートバルブが液没するのを効果的に防止することができる。しかも燃料タンクの前側棚部、突出部および後側棚部を、フロアパネルの後席シート支持部、荷室床部およびスペアタイヤ収納部の下面にそれぞれ対向するように配置したので、燃料タンクとフロアパネルとの干渉を回避しながらデッドスペースの発生を防止し、燃料タンクを大型化することなく最大限の有効容量を確保することができる。
【0026】また請求項2に記載された発明によれば、荷室床部の下面に対向する突出部を燃料タンクの前後方向中間に設けたので、燃料タンクの容積が一定であるとすると、突出部を燃料タンクの後部に設けた場合に比べて燃料タンクの前端の位置が後方に移動する。その結果、フロアパネルの足置き部と燃料タンクの前端との間に空間が形成されることになり、この空間を有効利用してキャニスタを配置することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年3月13日(2002.3.13)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2003−267075(P2003−267075A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−68224(P2002−68224)