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【発明の名称】 燃料電池車両の水素配管配設構造
【発明者】 【氏名】重松 聡
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】水素配管から水素が漏れた場合に対する車室内への水素侵入防止対策を施す部位を可及的に少ない範囲に抑制する。

【解決手段】車室Rよりも後方のフロア下側に配設した水素供給源5と、モータールームM・Rに配設した燃料電池スタック6とに亘って接続した水素配管7を、閉断面のサイドメンバ8内に挿通して配設してあるため、水素配管7から水素が漏れた場合に対する車室内への水素侵入防止対策はサイドメンバ8に施しておけばよいので、対策を講じるべき面積を可及的に小さくできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水素供給源を車室よりも後方のフロア下側に配設すると共に燃料電池スタックを車室前端のダッシュパネルよりも前方のモータールームに配設する一方、モータールームの左右両側部から、ダッシュパネル下面を廻り込んだキックアップ部を介してフロア下面に亘って前後方向に延在配置した閉断面のサイドメンバ内に、前記水素供給源と燃料電池スタックとに接続した水素配管を配設したことを特徴とする燃料電池車両の水素配管配設構造。
【請求項2】 サイドメンバの水素配管を配設した部分のうち、少なくとも車室に対応した部分はその上方を遮蔽構造としたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造。
【請求項3】 サイドメンバのキックアップ部よりも前方の地上高の高い部分に、車外へ連通する排気通路を接続したことを特徴とする請求項1,2に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造。
【請求項4】 排気通路をフロントホイールハウス内に連通させたことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造。
【請求項5】 サイドメンバ内の排気通路との接続部分よりも前方を遮断したことを特徴とする請求項3,4に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造。
【請求項6】 サイドメンバ内の水素配管を配設した部分よりも後方を遮断したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の燃料電池車両の水素配管配設構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池車両の水素配管配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にガソリン自動車では、燃料タンクを車室よりも後方のフロア下側に配設して、車室前端のダッシュパネルよりも前方のエンジンルームに搭載したエンジンに前記燃料タンクの燃料を供給する燃料配管をフロア下面に沿って配設するようにしているが、燃料電池車両にあっても前記ガソリン自動車と同様に、水素供給源を車室よりも後方のフロア下側に配設する一方、燃料電池スタックを車室前端のダッシュパネルよりも前方のモータールームに配設して、これら水素供給源と燃料電池スタックとに接続した水素配管をフロア下面に沿って配設したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、フロア下面に沿って水素配管を配設した場合、この水素配管から万一、水素が漏れてもこれが車室内に侵入することがないようにフロア全面に亘って漏洩水素の侵入防止対策を施す必要があって、コスト的に不利となってしまうことは否めない。
【0004】そこで、本発明は水素配管から水素が漏れた場合に対する車室内への水素侵入防止対策を施す部位を可及的に少ない範囲に抑制することができる燃料電池車両の水素配管配設構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にあっては、水素供給源を車室よりも後方のフロア下側に配設すると共に燃料電池スタックを車室前端のダッシュパネルよりも前方のモータールームに配設する一方、モータールームの左右両側部から、ダッシュパネル下面を廻り込んだキックアップ部を介してフロア下面に亘って前後方向に延在配置した閉断面のサイドメンバ内に、前記水素供給源と燃料電池スタックとに接続した水素配管を配設したことを特徴としている。
【0006】請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造において、前記サイドメンバの水素配管を配設した部分のうち、少なくとも車室に対応した部分は、その上方を遮蔽構造としたことを特徴としている。
【0007】請求項3の発明にあっては、請求項1,2に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造において、前記サイドメンバのキックアップ部よりも前方の地上高の高い部分に、車外へ連通する排気通路を接続したことを特徴としている。
【0008】請求項4の発明にあっては、請求項3に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造において、前記排気通路をフロントホイールハウス内に連通させたことを特徴としている。
【0009】請求項5の発明にあっては、請求項3,4に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造において、前記サイドメンバ内の排気通路との接続部分よりも前方を遮断したことを特徴としている。
【0010】請求項6の発明にあっては、請求項1〜5に記載の燃料電池車両の水素配管配設構造において、前記サイドメンバ内の水素配管を配設した部分よりも後方を遮断したことを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、万一、水素配管から水素が漏れた場合に対する車室内への水素侵入防止対策はサイドメンバに施しておけばよいので、対策を講じるべき面積を可及的に小さくできてコスト的に有利となる。
【0012】また、サイドメンバの閉断面内を有効利用して水素配管を配設しているので、フロア下側のスペース効率を向上できると共に、水素配管のプロテクタ効果が得られて安全性を高めることができる。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、サイドメンバの車室に対応した部分の上方を遮蔽構造として車室内への水素侵入防止対策を施しただけであっても、水素配管から水素が漏れた場合、水素はサイドメンバにおけるダッシュパネル前方の地上高の高い部分へ移動して、漏れた水素が車室内へ侵入するのを回避することができ、従って、車室内への水素侵入防止対策を施す部分をより少なくすることができる。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、水素配管から漏れた水素が集まるサイドメンバのキックアップ部よりも前方の地上高の高い部分に排気通路を接続しているので、該排気通路により漏れた水素を効率よく車外へ排出することができる。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、サイドメンバの前側部に近接したフロントホイールハウス内に排気通路を連通させたため、排気通路長を可及的に短くすることができてより一層排気効率を高めることができる。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、請求項3,4の発明の効果に加えて、サイドメンバ内に漏れた水素が排気通路との接続部よりも前方へ拡散することがなく、排気通路から効率的に排出することができる。
【0017】請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の発明の効果に加えて、サイドメンバ内に漏れた水素が水素配管を配設した部分よりも後方へ拡散することがなく、効率的にサイドメンバの前方へ移動させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0019】図1〜3において、1は車室RとモータールームM・Rとを隔成するダッシュパネルを示し、その下側部は後方へ向けて傾斜したトーボード部2として形成してあり、該トーボード部2の後端にフロアパネル3を接合してある。
【0020】フロアパネル3の車室Rよりも後方の部位には、該フロアパネル3を上向きに膨出させて格納部4を凹設してあって、該格納部4に水素供給源としての水素タンク5を配設してある。
【0021】一方、モータールームM・Rには燃料電池スタック6を図外のマウント部材を介して配設してあり、前記水素タンク5と燃料電池スタック6とに亘って水素配管7を接続してある。
【0022】前記モータールームM・Rの左右両側部からフロアパネル3の下面両側部に亘って、一対のサイドメンバ8を配設してある。
【0023】このサイドメンバ8は前記ダッシュパネル1のトーボード部2の傾斜に沿って曲折されて、該トーボード部2の下面に接合したキックアップ部8Bを境として、前述のようにモータールームM・R側に配置されたフロント部8Aと、フロアパネル3の下面に接合配置されたエクステンション部8Cとから構成されている。
【0024】フロント部8Aは略コ字形断面に形成されていて、フードリッジパネル9に接合して閉断面としてある一方、キックアップ部8Bおよびエクステンション部8Cは逆ハット形断面に形成されていて、トーボード部2およびフロアパネル3の各下面に接合して閉断面としてあるが、本実施形態ではこれらキックアップ部8Bおよびエクステンション部8Cはトーボード部2、フロアパネル3に対して例えばレーザー溶接等によって全面溶接して、車室Rに対応した部分の閉断面上方部分が完全に密閉された遮蔽構造としてある。
【0025】そして、前記水素配管7を前記サイドメンバ8の閉断面内に通して、水素タンク5と燃料電池スタック6とに接続してある。
【0026】サイドメンバ8における水素配管7の貫通部は、何れも水素タンク5、燃料電池スタック6に近接するサイドメンバ8の車幅方向内側の側壁に設定して、配管長さが極力短くなるようにしている。
【0027】また、サイドメンバ8のキックアップ部8Bよりも前方の地上高の高い前記フロント部8Aには、車外へ連通する排気通路10を接続してあり、本実施形態ではこの排気通路10を一端がフロント部8Aの上壁を貫通し、他端が該フロント部8Aに近接したフードリッジパネル9のフロントホイールハウス9aを貫通して該フロントホイールハウス9a内に連通している。
【0028】更に、前記フロント部8Aの排気通路10を接続した部分の前側近傍位置には、隔壁11を設けて閉断面を遮断してある一方、エクステンション部8Cの水素配管7の貫通部の後側近傍位置にも隔壁11を設けて閉断面を遮断している。
【0029】なお、図1中、12はリヤサイドメンバ、13はクロスメンバを示す。
【0030】以上の実施形態構造によれば、万一、水素配管7から水素が漏れた場合に対する車室R内への水素侵入防止対策はサイドメンバ8に施しておけばよいので、対策を講じるべき面積を可及的に小さくできてコスト的に有利となる。
【0031】また、サイドメンバ8の閉断面内を有効利用して水素配管7を配設しているので、フロア下側のスペース効率を向上できると共に、水素配管7のプロテクタ効果が得られて安全性を高めることができる。
【0032】特に、本実施形態のようにサイドメンバ8の車室Rに対応した部分の上方を遮蔽構造として車室R内への水素侵入防止対策を施しただけであっても、水素配管7から水素が漏れた場合、水素はサイドメンバ8におけるダッシュパネル1よりも前方の地上高の高いフロント部8Aへ移動して、漏れた水素が車室R内へ侵入するのを回避することができ、従って、車室R内への水素侵入防止対策を施す部分をより少なくすることができる。
【0033】また、前述のように水素配管7から漏れた水素が集まるサイドメンバ8のキックアップ部8Bよりも前方の地上高の高いフロント部8Aに排気通路10を接続しているので、該排気通路10により漏れた水素を効率よく車外へ排出することができ、しかも、この排気通路10は前記フロント部8Aに近接したフロントホイールハウス9a内に連通させているため、排気通路10を可及的に短くすることができてより一層排気効率を高めることができる。
【0034】更に、このサイドメンバ8のフロント部8Aでは、排気通路10の前側近傍に設けた隔壁11により、漏れた水素が該排気通路10との接続部よりも前方へ拡散することがなく、また、エクステンション部8Cでは水素配管7の貫通部の後側近傍に設けた隔壁11により、漏れた水素が水素配管7を配設した部分よりも後方へ拡散することがなく、従って、漏れた水素を効率よくフロント部8Aへ移動させて排気通路10より排出させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成14年3月14日(2002.3.14)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−267068(P2003−267068A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−69954(P2002−69954)