| 【発明の名称】 |
熱源の放熱構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】坪田 晴弘 【住所又は居所】神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製作所中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】エンジン等の熱源の冷却装置への負担を軽減することのできる熱源の放熱構造を提供する。
【解決手段】騒音を発する熱源4と、該熱源4と空間を隔てて熱源4の少なくとも一部を覆う熱源カバー8と、該熱源カバー8の熱源4側に装着されたアルミ吸音材10と、該アルミ吸音材10の熱源カバー8側の面に形成されたセラミック層Ceとを備えた構成とする。また、前記セラミック層Ceは、液体セラミックの塗布により形成した構成とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 騒音を発する熱源(4)と、該熱源(4)と空間を隔てて熱源(4)の少なくとも一部を覆う熱源カバー(8)と、該熱源カバー(8)の熱源(4)側に装着されたアルミ吸音材(10)と、該アルミ吸音材(10)の熱源カバー(8)側の面に形成されたセラミック層(Ce)とを備えたことを特徴とする熱源の放熱構造。 【請求項2】 前記セラミック層(Ce)は、液体セラミックの塗布により形成したことを特徴とする請求項1記載の熱源の放熱構造。 【請求項3】 前記アルミ吸音材は、発泡アルミ(10)及びアルミ不織布(11)の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱源の放熱構造。 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の熱源の放熱構造において、前記熱源(4)の表面の少なくとも一部にセラミック層(CeE)を形成したことを特徴とする熱源の放熱構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱源の放熱構造に関する。 【0002】 【従来の技術】油圧ショベル等の作業車両においては、エンジンを駆動源とする油圧駆動回路により作業機等を駆動して作業を行う。エンジンは、熱及び騒音を発するので、作業現場周囲への騒音を低減するため、エンジンをカバーで覆いエンジンルームを形成し、エンジンルーム内に吸音材を設けて騒音を低減すると共に、ラジエータ、ファン、オイルクーラ、吸排気口といった冷却系を設けて、エンジンのヒートバランスを確保している。 【0003】図7は、従来の油圧ショベルのエンジンルームの内部を後方から見た概略図である。図7に示すように、油圧ショベルのエンジンルーム1は、ラジエータ2、ファン3、エンジン4及び油圧ポンプ5をこの順に収容している。そして、エンジンルーム1を覆うエンジンカバー8の上面には、ラジエータ2前方(図7の左側)空間と外気とを連通する吸気口8aと、ラジエータ2後方(図7の右側)空間と外気とを連通する排気口8bとを備えている。また、エンジンカバー8の内側面には、吸音性能に優れたウレタン系の吸音材30が貼着されている。なお、図7において、6はラジエータ2に並設する作動油冷却用のオイルクーラで、7はエンジン4に並設され排気ガスを尾管7aを介してエンジンルーム1の外部に排出するマフラーである。 【0004】ファン3の回転により吸気口8aからエンジンルーム1内に流入した冷却空気は、ラジエータ2にて熱交換した後、ファン3を通過し、ラジエータ2後方空間のエンジン4や油圧ポンプ5等の機器から熱を吸収して、排気口8bからエンジンルーム1外に排出される。ラジエータ2にて冷却されたエンジン冷却水は、エンジン4に導かれエンジン4を冷却しラジエータ2に戻る。この冷却系により、エンジン4はオーバーヒートすること無く、適正なヒートバランスが保たれる。また、エンジン4、ファン3及び油圧ポンプ5等から発生する騒音は、前記吸音材30により低減される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来技術においては、以下に述べるような問題点がある。即ち、近年の環境問題への取り組みとして、建設機械の低騒音化の要求が高まるとともに、特に大都市圏の深刻な大気汚染改善のため、排気ガス規制の規制値が益々厳しくなっている。この排気ガス規制に対する有効な手段としてEGR(排気再循環)装置が広く知られ、用いられはじめている。 【0006】EGR装置は、燃焼室から排出される排気ガスの一部を、排気通路から吸気通路へ還流し吸気に混合させて再度燃焼室に送り込むことで、吸気中の酸素濃度を低下させ、燃焼温度を下げる作用があり、排気ガスに含まれる有害物質、特に窒素酸化物(NOx)の発生を抑える効果が大きい。この場合、高温の排気還流ガスをそのまま吸気通路に送ると、吸気温度が高くなり出力が低下したり、排気還流ガスの流量を制御するEGRバルブの性能や耐久性を損なうといった不都合が生じるので、これを回避するために、エンジン冷却水が循環するEGRクーラをEGRバルブの上流側に設けて、エンジン冷却水を用いて排気還流ガスから熱を奪うことで排気還流ガスの冷却を行っている。 【0007】今後厳しくなる排気ガス規制の規制値をEGR装置の採用によりクリアしようとする場合には、本来排気ガスと共にマフラー7から外部に放出していた熱の一部をEGRクーラが処理することになるので、EGRクーラでの熱交換によりエンジン冷却水の温度が上昇し、エンジン4のヒートバランスを確保するのが厳しくなる。即ち、現在の冷却系の冷却能力を、例えば2割程度向上させる必要が生じる。 【0008】エンジンカバー8の内側面に貼着したウレタン系の吸音材30は、断熱効果を発揮する部材であるので、この部分から外部に熱を逃がす効果は無い。このため、冷却能力を向上させるために、ファン3の外径サイズを大きくしたりファン3の回転速度を速くすることが考えられるが、装置が大型化し、ファン3からの騒音が大きくなる。また、冷却能力を向上させるために、ラジエータ2としてサイズの大きいもの又はフィンピッチのより細かいものを採用することが考えられるが、装置の大型化やコスト高を招来してしまう。特に、装置の大型化はエンジンルーム1の大型化を招来するので、エンジンルームの大きさが制限される後方小旋回の油圧ショベルにとっては不都合である。 【0009】即ち、騒音低減や排気ガス規制に対応するために上記方策を採用すると、エンジン4のヒートバランスを維持するのは困難である。 【0010】本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、エンジン等の熱源の冷却装置への負担を軽減することのできる熱源の放熱構造を提供することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目的を達成するために、騒音を発する熱源と、該熱源と空間を隔てて熱源の少なくとも一部を覆う熱源カバーと、該熱源カバーの熱源側に装着されたアルミ吸音材と、該アルミ吸音材の熱源カバー側の面に形成されたセラミック層とを備えた構成としている。また、前記セラミック層は、液体セラミックの塗布により形成した構成としている。また、前記アルミ吸音材は、発泡アルミ及びアルミ不織布の少なくともいずれか一方である構成としている。 【0012】上記構成によると、熱伝導率の優れたアルミ吸音材を熱源カバーの内側に装着し、このアルミ吸音材の熱源カバー側の面にセラミック層を形成しているので、熱源カバー内の熱をアルミ吸音材がセラミック層に伝導し、セラミック層が効率よく熱放射して熱源カバーを介して外部に放熱する。このため、騒音を低減すると共に、熱源からの発熱を放熱して熱源の冷却装置の負担を軽減する。これにより、冷却装置の小型化や低コスト化を図れる。また、セラミック層は、液体セラミックの塗布により形成されるので、容易でしかも複雑な形状に対しても対応可能である。 【0013】また、熱源の放熱構造において、前記熱源の表面の少なくとも一部にセラミック層を形成した構成としている。上記構成によると、熱源からの熱放射を促進して、アルミ吸音材を介しての外部への放熱量を増加させるので、熱源の冷却装置の負担をさらに軽減することができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明を適用した実施形態の油圧ショベルのエンジンルーム1の内部を後方から見た概略図である。図1に示すように、油圧ショベルのエンジンルーム1は、ラジエータ2、ファン3、エンジン4及び油圧ポンプ5をこの順に収容している。ラジエータ2に隣設して作動油冷却用のオイルクーラ6が設けられている。エンジン4には消音装置としてマフラー7が装着されており、排気ガスを尾管7aを介してエンジンルーム1の外部に排出している。エンジンルーム1はエンジンカバー8に覆われており、エンジンカバー8の上面には、ラジエータ2前方(図1の左側)空間と外気とを連通する吸気口8aと、ラジエータ2後方(図1の右側)空間と外気とを連通する排気口8bとを備えている。 【0015】エンジン4には、排気ガスの一部を排気通路から吸気通路へ還流し吸気に混合させることにより、排気ガスに含まれるNOxを低減するEGR装置9が装着されている。EGR装置9は、燃焼室に還流する高温の排気ガスを冷却するEGRクーラ(図示せず)を備えている。EGRクーラにはエンジン冷却水が循環しており、排気還流ガスとの間で熱交換を行う。 【0016】エンジンカバー8の内側面には、発泡アルミ吸音材10が装着されている。図2に示すように、板状の発泡アルミ吸音材10の一側面にはセラミック層Ceが形成されており、発泡アルミ吸音材10はこのセラミック層Ceがエンジン4とは反対に向くように、即ち、セラミック層Ceがエンジンカバー8に対向するようにブラケット21,22,23により保持されている。なお、発泡アルミ吸音材10は、セラミック層Ceとエンジンカバー8とが所定距離離間して空気層Tを形成するように保持されている。セラミック層Ceは、液体セラミックを発泡アルミ吸音材10に塗布し乾燥させることにより形成される。熱源であるエンジン4の表面にも、液体セラミックの噴霧によりセラミック層CeEが形成されている。 【0017】セラミックは、遠赤外線の波長領域で高い放射率を有する物質、即ち、熱放射率の良好な物質であり、何らかの形でエネルギーを受けた場合、そのエネルギーを遠赤外線放射(熱放射)として熱力学の法則に従い二次的に放射する。なお、遠赤外線放射は、物質の分子振動(伸縮、変角、回転)が、下のエネルギー準位へ「遷移」する際に、元のエネルギー準位との差分エネルギーとして分子から放出されるもので、途中の空気を暖めること無く一直線に被照射物体に到達し、被照射物体を発熱させる。 【0018】エンジン4、ファン3及び油圧ポンプ5等から発生する騒音は、発泡アルミ吸音材10に吸収され低減する。エンジンルーム1内の温度上昇及びエンジン4や油圧ポンプ5からの熱放射により発泡アルミ吸音材10の内側面は暖まる。発泡アルミ吸音材10は熱の良導体であり、内側面側の熱は外側面側、即ちセラミック層Ceに伝えられ遠赤外線として熱放射され、エンジンカバー8に吸収され外気中に放熱される。エンジン4及びEGRクーラを冷却することにより温度が上昇してラジエータ2に送還されるエンジン冷却水は、ラジエータ2にてファン3の回転により吸入口8aから流入した冷却空気と熱交換を行い冷却される。ラジエータ2にて熱交換を行った冷却空気は、ファン3を通過し、エンジン4や油圧ポンプ5等の機器の熱を吸収して、排気口8bからエンジンルーム1の外方に排出される。 【0019】EGR装置9の装着により、本来マフラー7から外部に放出される熱の一部をエンジンルーム1内で処理するため、冷却効率の向上が必要となるが、上記実施形態においては、(1)吸音材として熱伝導率の大きい発泡アルミ吸音材10を用い、エンジンルーム1内部の熱及びエンジン4等の放射熱を吸音材の外側面に伝える(2)吸音材の外側面に形成したセラミック層Ceから効率よく熱放射する(3)エンジン4にもセラミック層CeEを形成し熱放射を促進することにより、エンジンルーム1内の熱の一部をエンジンカバー8からの熱放射として効率よく外部に逃がすことにより、ラジエータ2及びファン3による冷却系への負担を軽減している。このため、ファン3の外径サイズを大きくすることも無く、ファン3の回転速度を速くする必要も無く、また、ラジエータ2としてサイズの大きいもの又はフィンピッチの細かいものを採用する必要も無く、エンジン4のヒートバランスを維持することが可能となる。また、セラミック層Ceは、液体セラミックの塗布して乾燥させることにより形成されるので、容易でしかも複雑な形状に対しても対応可能である。 【0020】なお、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、本発明の範囲内において変更や修正を加えることができるのは言うまでもない。例えば、図3に示すように、エンジンカバー8の内側に立設するスタッド14及びナット15により発泡アルミ吸音材10を取着してもよい。同図において、16は発泡アルミ吸音材10の厚みと同等の長さを有するカラーで、17は座金である。また、図4に示すように、発泡アルミ吸音材10の縁部でエンジンカバー8に貼着しても構わない。このとき、発泡アルミ吸音材10の貼着面側の貼着部以外に凹部10aを設け、ここにセラミック層Ceを形成すればよい。 【0021】また、アルミ吸音材として発泡アルミ吸音材10の例にて説明したが、アルミ不織布吸音材11を用いても構わない。即ち、図5に示すように、アルミ不織布吸音材11の片面に液体セラミックを含浸して乾燥させることによりセラミック層Ceを形成し、エンジンカバー8の内側に立設するスタッド14及びナット15によりアルミ不織布吸音材11を取着してもよい。空気層Tはスペーサ18により形成されている。また、図6に示すように、アルミ不織布11の縁部が差込可能なブラケット25をエンジンカバー8の内側に設けて、アルミ不織布11を装着するように構成しても構わない。アルミ不織布11に段差部11aを設けることにより、空気層Tが形成される。 【0022】アルミ吸音材の種類は、装着部位に応じて適宜選択すればよいので、同一エンジンルームにおいて、ある部位には発泡アルミ吸音材10を用い、別の部位にはアルミ不織布吸音材11を用いても構わない。また、装着方法も上述の方法以外でも良く、適宜選択すればよい。 【0023】また、セラミック層Ceを形成する液体セラミックの塗布方法は、スプレー噴霧、刷毛塗り、ローラ、含浸等の方法から適宜選択すればよい。 【0024】実施形態においては、EGR装置を搭載したエンジンの冷却系に適用した例にて説明したが、EGR装置の不要なエンジンの冷却系に適用することも可能である。この場合、小径のファンを採用できる、或いは、ファンの回転速度を低下できるので、騒音の低減を向上できる。また、ラジエータとして小型のもの又はフィンピッチの粗いものを採用できるので、省スペースや低コストの効果が得られる。 【0025】熱源としてエンジン4を例に挙げたが、油圧ポンプ5も熱源である。即ち、油圧ポンプ5の表面にも液体セラミックを噴霧してセラミック層を形成し、放熱を促進しても構わない。また、その他の油圧バルブ類も熱及び騒音を発するが、例えば、この油圧バルブをエンジンルームとは別の場所に収納しエンジンカバーとは別のカバーで覆うと共に、このカバーの内側に上述したようなセラミック層を備えたアルミ吸音材を装着して、騒音低減効果を有する放熱構造を構成してもよい。 【0026】作業車両以外への適用も可能である。例えば、工事現場で用いるエンジン式発電機やエンジン式コンプレッサ等の設備にも適応できるのは言うまでも無い。 【0027】以上説明したように、本発明によれば、熱伝導率の優れた吸音材の放熱側の面にセラミック層を形成することにより、吸音材を装着した部位からの外部への熱放射を増大させる構造としているので、エンジン等の熱源の冷却装置への負担を軽減することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所 【住所又は居所】東京都港区赤坂二丁目3番6号
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| 【出願日】 |
平成14年3月15日(2002.3.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−267064(P2003−267064A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−72433(P2002−72433) |
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