| 【発明の名称】 |
車両の減速度制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田端 淳 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】走行中の車両挙動を安定化するための車両挙動安定化制御装置の作動と干渉するおそれがない車両の減速度制御装置を提供する。
【解決手段】車両の減速度を設定操作するための走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86と、車両の旋回挙動を安定させるための制御を行うVSC制御装置106とを備え、その走行ポジション選択操作装置86により設定された設定減速度となるように車両の減速度を制御する車両の減速度制御装置において、上記走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更と前記VSC制御装置106の作動との干渉を回避する干渉回避手段116が設けられることから、上記走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、走行中の車両の挙動を安定させるための制御を行う車両挙動安定化制御装置とを備え、該減速度設定操作装置により設定された設定減速度となるように車両の減速度を制御する車両の減速度制御装置であって、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更と前記車両挙動安定化制御装置の作動との干渉を回避する干渉回避手段を、含むことを特徴とする車両の減速度制御装置。 【請求項2】 前記干渉回避手段は、前記車両挙動安定化制御装置の作動を優先させるものである請求項1の車両の減速度制御装置。 【請求項3】 前記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅を制限するものである請求項1の車両の減速度制御装置。 【請求項4】 前記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅を前記車両挙動安定化制御装置の作動と干渉しない値とするものである請求項3の車両の減速度制御装置。 【請求項5】 前記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変化を遅延させるものである請求項1の車両の減速度制御装置。 【請求項6】 前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更は、非減速走行から減速走行への切換に際して行われるものである請求項1乃至5のいずれかの車両の減速度制御装置。 【請求項7】 前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更は、減速走行から非減速走行への切換に際して行われるものである請求項1乃至5のいずれかの車両の減速度制御装置。 【請求項8】 車両挙動安定化制御装置は、旋回走行中の車両挙動を安定化させるために車輪の駆動力或いは制動力を制御する旋回挙動安定化制御装置である請求項1乃至7のいずれかの車両の減速度制御装置。 【請求項9】 前記車両の減速度は、該車両に設けられた回転電機による回生制動により発生させられるものである請求項1乃至8のいずれかの車両の減速度制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、駆動力源の回転抵抗を用いた減速走行可能な車両の減速度制御装置に関し、特に、設定減速度を設定するための減速度設定操作装置の操作量に対する設定減速度の変化量を変更して操作性を高める技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】駆動力源の回転抵抗を用いた減速走行可能な車両において、運転者による操作によって車両の減速度を設定することができる設定手段を設けたものが提案されている。たとえば、特開平8−79907号公報に記載されたハイブリッド車両がそれである。このような車両によれば、アクセルペダルが操作されない車両の減速走行において、運転者による減速度設定操作装置の操作により設定された所望の減速度で減速走行が行われる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来の車両において、車両挙動安定化制御装置たとえば車輪の駆動力或いは制動力を調節することにより走行中の車両の挙動を安定化させるためのVSC制御装置を備える場合には、減速度設定操作装置の操作により車両減速度が設定されることにより減速度が変化させられるときに、そのVSC制御装置の作動と干渉する可能性があった。たとえば、減速度が変化することによって駆動輪の駆動力が変化させられると、同様にその駆動輪の駆動力或いは制動力を変化させるVSC制御装置の作動が十分に機能しないことにより、車両の旋回挙動安定性が低下する可能性があった。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、走行中の車両挙動を安定化するための車両挙動安定化制御装置の作動と干渉するおそれがない車両の減速度制御装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、車両の減速度を設定操作するための減速度設定操作装置と、走行中の車両の旋回挙動を安定させるための制御を行う車両挙動安定化制御装置とを備え、その減速度設定操作装置により設定された設定減速度となるように車両の減速度を制御する車両の減速度制御装置であって、上記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更と前記車両挙動安定化制御装置の作動との干渉を回避する干渉回避手段を、含むことにある。 【0006】 【発明の効果】このようにすれば、干渉回避手段により、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更と前記車両挙動安定化制御装置の作動との干渉が回避されるので、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0007】 【発明の他の態様】ここで、好適には、前記干渉回避手段は、前記車両挙動安定化制御装置の作動を優先させるものである。このようにすれば、減速度設定操作装置により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、車両挙動安定化制御装置の作動が優先させられることにより、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0008】また、好適には、前記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅を制限するものである。このようにすれば、減速度設定操作装置により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅が制限されることにより、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0009】また、好適には、上記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅を前記車両挙動安定化制御装置の作動と干渉しない値とするものである。このようにすれば、減速度設定操作装置により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変更幅が車両挙動安定化制御装置の作動と干渉しない値に制限されることにより、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0010】また、好適には、前記干渉回避手段は、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変化を遅延させるものである。このようにすれば、減速度設定操作装置により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の変化が遅延させられることにより、減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0011】また、好適には、前記減速度設定操作装置の操作による車両減速度の設定変更は、非減速走行から減速走行への切換に際して或いは減速走行から非減速走行への切換に際して行われるものである。このようにすれば、非減速走行から減速走行への切換に際して或いは減速走行から非減速走行への切換に際して行われる車両減速度の設定変更に起因して車両の挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0012】 【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 【0013】図1は、本発明の一実施例の減速制御装置が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、駆動力源としてのエンジン10の出力は、回転変動やトルク変動を抑制するためのダンパ(振動減衰装置)12、シングルピニオン型の遊星歯車装置14、第1カウンタ軸16、第2カウンタ軸18、差動歯車装置(終減速機)20、および一対の車軸22を順次介して一対の駆動輪(前輪)24へ伝達されるようになっている。 【0014】上記遊星歯車装置14は、機械的に動力を合成或いは分配する合成分配機構であり、中心軸26を介して上記ダンパ12およびエンジン10に連結されたキャリヤ14cと、上記中心軸26の外周に同心に設けられた管状の第1スリーブ軸28を介して発電機および電動機(駆動力源)として機能するエンジン側のモータジェネレータMG1と連結されたサンギヤ14sと、その第1スリーブ軸28の外周に同心に設けられた管状の第2スリーブ軸30を介して電動機および発電機として機能する車輪側のモータジェネレータMG2および動力伝達用の第1スプロケット32に連結され、上記キャリヤ14cに回転可能に支持された遊星ギヤ14pを介してサンギヤ14sとかみ合わせられたリングギヤ14rとを備えている。 【0015】上記第1カウンタ軸16および第2カウンタ軸18は、上記中心軸26と平行となるようにハウジング34により回転可能に支持されており、第1カウンタ軸16の一端部には、上記第1スプロケット32にそれに巻き掛けられた無端環状のサイレントチェイン38を介して作動的に連結される第2スプロケット40が設けられ、第1カウンタ軸16の他端部と第2カウンタ軸18の一端部には、互いに噛み合うカウンタギヤ対42および44が設けられ、その第2カウンタ軸18の他端部には、差動歯車装置20のファイナルギヤ46と噛み合うギヤ48が設けられている。その差動歯車装置20は、一対の差動傘歯車50と、その一対の差動傘歯車50を収容し且つその一対の差動傘歯車50と噛み合うピニオン52を回転可能に支持するとともに上記ファイナルギヤ46に固定された差動ギヤ箱54とを備え、そのファイナルギヤ46に伝達された動力を左右の車軸22およびこれと共に回転する駆動輪24へ、それらの差動を許容しつつ均等に分配する。 【0016】油圧ポンプ56は、上記中心軸26を介してエンジン10に連結されており、エンジン10によって回転駆動されるようになっている。また、上記モータジェネレータMG1およびモータジェネレータMG2は、駆動力源として機能するために、或いは回生制動による減速走行のために駆動輪24に作動的に連結されており、たとえば固定子および回転子から成る交流用回転電機から構成される。モータジェネレータMG1は発電機として機能させられる場合が多く、モータジェネレータMG2は電動機として機能させられる場合が多い。これらモータジェネレータMG1およびMG2とエンジン10とは、車両の駆動力源として機能している。 【0017】図2および図3は、上記第2カウンタ軸18の回転をロックするためのハイブリッド車両のパーキングロック装置60を説明するものであり、図2は第2カウンタ軸18の軸心方向から見た図であり、図3はその軸心に直交する方向から見た図である。パーキングロック装置60は、第2カウンタ軸18に固設されたロックギヤ62と、ロックギヤ62と噛み合ってその回転を阻止するための噛合歯64を有し、そのロックギヤ62に対して噛み合う噛合位置と非噛合位置との間で回動可能にそのハウジング34に設けられたロックポール66と、そのロックポール66の先端部に設けられたカム面68と、上記第2カウンタ軸18の軸心方向に平行となるように長手方向に移動可能にハウジング34に支持されたパーキングロッド70と、そのパーキングロッド70の先端部に設けられて上記カム面68に係合してパーキングロッド70をロックギヤ62側へ移動させるためのテーパ面72と、そのパーキングロッド70の基端部に形成されたラック74に噛み合うピニオン76を有する電動モータ78と、上記のパーキングロッド70の先端部を嵌め入れてそれを案内する案内穴80を有し、ハウジング34に固定された案内部材82とを備え、その電動モータ78によりパーキングロッド70が先端側に移動させることによりロックポール66をロックギヤ62側へ駆動させてそれを噛合位置とするとともに、電動モータ78によりパーキングロッド70を基端部側へ移動させることによりロックポール66を非噛合位置へ移動させる。上記パーキングロッド70は、好適には、油圧回路に設けられたマニアル弁の弁子を兼ねており、走行ポジション毎に対応した位置に移動させられる。このようなシフト機構は、ワイヤ(電線)を介して油圧回路が走行ポジションに応じた切換作動させられるので、シフトバイワイヤと称されている。これにより、後述の電子制御装置98からの指令に従って自動的にパーキングロックが行われたり、そのパーキングロックが解放されたりするようになっている。 【0018】図4および図5は、走行ポジション選択操作装置86を説明するものであり、図4はその走行ポジション選択操作装置86の配置を概略示す車両の運転席88付近を示し、図5はその走行ポジション選択操作装置86の斜視図である。本実施例の走行ポジション選択操作装置86は、運転者の利き腕などにより左右のいずれであっても所望の手で操作可能となるように、ステアリングホイール84を操作するための運転席88の左右両側にそれぞれ設けられている。右側の走行ポジション選択操作装置86はドア90の内側に設けられ、左側の走行ポジション選択操作装置86は図示しない助手席と運転席88との間に設けられている。走行ポジション選択操作装置86は、前後および左右のいずれの方向にも傾動操作可能に設けられることにより、減速度を小さくするための「+」ポジション、減速度を大きくするための「−」ポジション、後進走行を選択するためのR(リバース)ポジション、前進走行を選択するためのD(ドライブ)ポジションの4位置へ択一的に選択操作される自動復帰型のシフト操作レバー92と、そのシフト操作レバー92の前方側位置に設けられ、P(パーキング)ポジションを選択するために操作される自動復帰型ボタンから成るPスイッチ94と、同様に上記シフト操作レバー92の前方側位置に設けられ、N(ニュートラル)ポジションを選択するために操作される自動復帰型ボタンから成るNスイッチ96とを備えている。上記シフト操作レバー92、Pスイッチ94、Nスイッチ96は、車両の走行ポジションを選択するために操作されるシフト操作部材、車両の設定減速度を設定変更するための減速度設定操作体として機能している。また、上記「+」ポジションおよび「−」ポジションは、車両の減速走行時においてその減速度を選択するために減速操作される減速走行ポジションであり、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が順次大きくされ、「+」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が順次小さくされる。すなわち、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて目標減速度が大きくされる毎に、減速度が大きい走行ポジションが選択され、「+」ポジションへ操作される回数或いは保持時間に応じて減速度が小さい走行ポジションが選択されるのである。したがって、上記走行ポジション選択操作装置86は、車両の設定減速度を選択する減速度減速度設定操作装置としても機能している。ここで、減速度とは負の加速度の意味であり、その加速度の絶対値でその大小が表される。 【0019】図6は、電子制御装置98に入力される信号およびその電子制御装置98から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置98には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、第2スリーブ軸30、第1カウンタ軸16、第2カウンタ軸18のいずれかの回転速度に対応する車速信号、加速度センサにより検出される車両の加速度Gを表す信号、シフト操作レバー92の操作位置であるシフトポジションを表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置98からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、エンジン10の起動のための点火信号およびモータジェネレータMG1の作動指令、モータ走行のためのモータジェネレータMG2の作動指令、回生のためのモータジェネレータMG1の作動指令、ダッシュボードに設けられた表示装置99にシフト操作レバー92の操作ポジションを表示させるための表示指令などが出力される。 【0020】上記電子制御装置98は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、予め記憶された関係から実際の車速および要求駆動力(=アクセル開度θACC )に基づいてモータ走行かエンジン走行かを判定し、判定された駆動力源(原動機)で車両を駆動させる駆動力源切換制御、アクセルペダルが操作されないすなわちアクセル開度θACC およびスロットル開度θTHが零である減速走行時における目標減速度が決定され、その目標減速度が得られるようにする回生制御、シフト操作レバー92が減速ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作されることに応答して目標減速度を複数段階に切り換える減速度選択操作制御、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションから非減速ポジションであるDポジション或いはNポジションへ操作されたときの操作量に対する設定減速度の変化量を制御する設定減速度変更制御、シフト操作レバー92による設定減速度の変更操作に関連する車両の減速度の変化と、車両挙動安定化制御装置であるVSC制御装置106のVSC制御作動との干渉を回避するための干渉回避制御などを実行する。 【0021】図7は、上記電子制御装置98の制御機能の要部、すなわち走行ポジション選択操作装置86のシフト操作レバー92の操作により設定される設定減速度の変化とVSC制御装置106のVSC制御作動との干渉を回避するための干渉回避制御機能を説明する機能ブロック線図である。図7において、駆動源切換制御手段100は、燃費をよくするために最適な駆動力源すなわちエンジン10、モータジェネレータMG2のいずれかを、予め記憶された関係から実際の車速および要求負荷に基づいて選択し、選択された駆動力源に切り換える。これにより、たとえば低車速低負荷領域ではモータジェネレータMG2を用いたモータ走行が選択され、それ以外の領域では、エンジン10を用いたエンジン走行が選択される。さらに詳しくは、たとえばエンジン10の暖機後であり、エアコン用コンプレッサの駆動が不要であり、且つ図示しない二次電池の充電量が十分な状態における停車時には、エンジン10、モータジェネレータMG1、およびモータジェネレータMG2が停止させられる。しかし、エンジン10の暖機が必要な場合、或いは二次電池の充電が必要な場合は、モータジェネレータMG1を回転駆動するために停車時においてもエンジン10が回転駆動される。この状態では、駆動輪24が停止しているためにリングギヤ14rも回転停止しているので、モータとしても機能するモータジェネレータMG1がサンギヤ14sを回転駆動することによりエンジン10を始動させた後、始動させられたエンジン10がそのモータジェネレータMG1を回転駆動して、そのエンジン10の暖機や二次電池の充電を行い得るようになっている。 【0022】通常の車両の発進時では、モータ走行のために、専らモータジェネレータMG2によりリングギヤ14rおよびそれに直結したスプロケット32が回転駆動されることにより駆動輪24が回転させられる。このとき、エンジン10を回転停止させるためにモータジェネレータMG1が逆回転させられるとともに、そのモータジェネレータMG1でクリープトルクを確保しつつ、モータ発進走行が行われる。所定車速以上となると、モータとしても機能するモータジェネレータMG1がサンギヤ14sを回転駆動することによりエンジン10が始動させられ、エンジン10の回転速度が燃費が好適な所定回転速度で維持されていても、モータジェネレータMG1の回転速度が低下させられるに伴ってリングギヤ14rおよびそれに直結したスプロケット32の回転が増加させられ、車速Vが増加させられる。定常走行時は、専らそのエンジン10でエンジン走行が行われる。この場合は、発電制動によってモータジェネレータMG1が低速回転状態とされ、リングギヤ14rはエンジン10により増速駆動される。その定常走行状態などからの加速操作などの加速要求時には、エンジン10の回転速度が上昇させられるとともに、モータジェネレータMG1を回転駆動してその回転速度が上昇させられると同時に、その発電電力を用いてモータジェネレータMG2が回転駆動されることにより、エンジン10の出力トルクにモータMの出力トルクを合わせて加速走行が行われる。上記の発進時などにおいては、エンジン10の出力の一部がモータジェネレータMG1を介してモータジェネレータMG2に伝達されて車両の駆動力に変換されることにより、モータジェネレータMG1の回転速度を制御することによってエンジン回転速度の変化にそれほど依存することなくリングギヤ14rの回転速度を変化させるという、無段変速機の機能が設けられている。 【0023】回生制御手段すなわち減速制御手段102は、アクセルペダルが操作されない車両の非加速走行時すなわち減速走行時(所謂エンジンブレーキ走行時)であって、シフト操作レバー92により減速走行ポジションが選択されているときには、エンジン10の回転状態に拘わらずリングギヤ14rおよびそれに直結させられたモータジェネレータMG2が車両の運動エネルギにより回転駆動されることを利用して、そのモータジェネレータMG2により発電された電機エネルギーを二次電池に充電させてエネルギ回収(回生)を行なう。この場合、モータジェネレータMG2による発電電力はそのモータジェネレータMG2の回転抵抗に対応することから、たとえば図8に示す予め記憶された関係から実際の車速V(km/h)およびシフト操作レバー92により選択された減速ポジションに基づいて目標減速度すなわち設定減速度が決定され、その設定減速度が得られるように、モータジェネレータMG2による発電量が制御される。上記設定減速度は、シフト操作レバー92が非減速走行ポジションへ操作されることによりキャンセルされる。また、ブレーキペダル操作時は、そのブレーキペダル操作量に基づく要求制動力が得られるようにたとえば油圧式の車輪ブレーキ装置104と上記モータジェネレータMG2による回生ブレーキとが協調制御され、その回生ブレーキが優先的に作動させられることで、エネルギ効率が一層高められている。上記図8において、(0)が付されている線は目標減速度の基本値(デフォルト値)を示し、(I−)が付されている線、(II−)が付されている線、( III−)が付されている線は、複数段階の減速度レベルを示すものであり、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される毎に順次選択される。また、シフト操作レバー92が「+」ポジションへ操作される毎に選択される線が順次戻される。 【0024】VSC制御装置(旋回挙動安定化制御装置)106は、車両の旋回方向の挙動を安定化するために換言すればアンダーステアおよびオーバステアを防止するために、上記車輪ブレーキ装置104による各車輪の制動力や車両や駆動力を選択的に制御する。VSC作動中判定手段108は、上記VSC制御装置106によるVSC制御作動中であるか否かを判定する。減速度変更操作判定手段110は、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジションまたは「+」ポジションへ操作されたか否か、すなわち減速度変更操作が行われたか否かを、走行ポジション選択操作装置86からの信号に基づいて判定する。減速度干渉判定手段112は、上記VSC制御装置106からのVSC制御作動要求に対して、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジションまたは「+」ポジションへ操作されたことによる設定減速度の変化による実減速度変化により、VSC制御装置106からのVSC制御作動が影響を受けるか否かすなわち車両の旋回挙動安定化が損なわれるような影響を受けるか否かを、たとえば車速V、舵角、ヨーレート、設定減速度の変化量などに基づいて判定する。 【0025】設定減速度変更制御手段114は、上記走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86のシフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数或いは操作時間の長さに応じて図8の線(0)から線( III−)へ向かって択一的に選択することにより、減速制御手段102において用いられる設定減速度を順次大きくなるように変更する一方、シフト操作レバー92が「+」ポジションへ操作される回数或いは操作時間の長さに応じて図8の線(0)へ向かって択一的に選択することにより、設定減速度が順次小さくなるように変更する。また、上記設定減速度変更制御手段114は、減速走行時において、減速度変更操作判定手段110により走行ポジション選択操作装置( 減速度設定操作装置)86のシフト操作レバー92が「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作されたことにより減速走行時の目標値である設定減速度の変更操作が行われことが判定されると、そのシフト操作レバー92の設定減速度変更操作に対する設定減速度の変化量を、車速、減速の有無、或いは実減速度の大きさなどに基づいて車両状態に応じて変更する。たとえば、上記シフト操作レバー92がDポジション或いはNポジションから「−」ポジション或いは「+」ポジションへ操作された場合は、車両減速度の設定変更が非減速走行から減速走行への切換に際して行われ、上記シフト操作レバー92が「−」ポジション或いは「+」ポジションからDポジション或いはNポジションへ操作された場合は、車両減速度の設定変更が減速走行から非減速走行への切換に際して行われることになる。 【0026】干渉回避手段116は、たとえば、シフト操作レバー92の操作による設定減速度の変更とVSC制御装置106の作動要求とが重複的に発生した場合、VSC制御装置106の作動中に設定減速度の変更が発生した場合、設定減速度の変更中にVSC制御装置106の作動要求が発生した場合などにおいて、VSC制御装置106によるVSC制御作動に影響して車両の旋回挙動の影響が出ないように、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86のシフト操作レバー92による設定減速度の変更とVSC制御装置106の作動との干渉を回避する。この干渉回避は、VSC制御装置106の作動を優先させたり、シフト操作レバー92の操作による車両減速度の変更幅を制限したり、車両の実際の減速度の変化を遅延させたりすることにより行われる。この車両減速度の変更幅の制限は、そのシフト操作レバー92の操作による車両減速度の変更幅をVSC制御装置106のVSC作動と干渉しない値すなわちVSC作動に影響しない値とすることにより行われる。そして、表示手段118は、シフト操作レバー92の操作に応答して設定減速度変更制御手段114により変更された設定減速度を、表示装置99に表示させる。 【0027】図9乃至図13は、上記干渉回避手段116の干渉回避作動を説明するタイムチャートである。図9は、たとえばVSC作動中にシフト操作レバー92が−→D操作或いはD→−操作されたときに、t1 時点からt2 時点の区間或いはt3時点からt4 時点の区間において干渉回避手段116により減速度変化の傾斜がゆるやかとされることにより、破線に示す従来の場合に比較して回生制動の変化すなわちその減速度変化が遅延させられる場合を示している。この場合、t1 時点からt2 時点の区間或いはt3 時点からt4 時点の区間において、D表示或いは−表示が点滅させられる。図10は、たとえばVSC作動走行中にシフト操作レバー92が−→D操作されたときに、t1 時点以後において干渉回避手段116により減速度の変化すなわち回生制動の変化(減少)が禁止されることにより、破線に示す従来の場合に比較して、VSC制御装置106の作動が優先させられている。この場合、t1 時点からt2 時点の区間において−表示が点滅させられるが、t2 時点を経過すると上記−→D操作による設定減速度の変更がキャンセルされる。図11は、たとえばVSC作動走行中にシフト操作レバー92がD→−操作されたときに、t3 時点以後において干渉回避手段116により減速度の変化すなわち回生制動の変化(増加)が禁止されることにより、破線に示す従来の場合に比較して、VSC制御装置106の作動が優先させられている。この場合、t3 時点からt4 時点の区間においてD−表示が点滅させられるが、t4時点を経過すると上記D→−操作による設定減速度の変更がキャンセルされる。図12は、たとえばVSC作動走行中にシフト操作レバー92が−→D操作されたときに、t1 時点以後において干渉回避手段116により減速度の変化すなわち回生制動の変化(減少)が遅延され、且つt2 時点以後においてVSC作動に干渉しないように定められた中間値に維持されることにより、破線に示す従来の場合に比較して、VSC作動への干渉が防止されている。図13は、たとえばVSC作動走行中にシフト操作レバー92がD→−操作されたときに、t3 時点以後において干渉回避手段116により減速度の変化すなわち回生制動の変化(増加)が遅延され、且つt4 時点以後においてVSC作動に干渉しないように定められた中間値に維持されることにより、破線に示す従来の場合に比較して、VSC作動への干渉が防止されている。 【0028】図14は、電子制御装置98による制御作動の要部、すなわち走行中における走行ポジション選択操作装置86のシフト操作レバー92の操作により設定される設定減速度の変化とVSC制御装置106のVSC制御作動との干渉を回避するための干渉回避制御作動を説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。 【0029】図14において、前記減速度変更操作判定手段110に対応するS1では、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジション或いは「+」ポジションと非減速走行ポジションであるDポジション或いはNポジションとの間で操作されるか、又は「−」ポジション或いは「+」ポジションの間で操作されることにより、減速走行時の目標値である設定減速度の変更操作が行われたか否かが走行ポジション選択操作装置86からの信号に基づいて判断される。このS1の判断が否定される場合は、S2において、シフト操作レバー92の実際の操作ポジションである他のポジションすなわち非減速走行ポジションが表示装置99において表示され、且つ他の制御が実行された後、本ルーチンが終了させられる。 【0030】上記S1の判断が肯定される場合は、前記VSC作動中判定手段108に対応するS3において、車両の旋回挙動を安定化するためのVSC制御装置106によるVSC制御作動中であるか否かが判断される。このS3の判断が否定される場合は、前記設定減速度変更制御手段112に対応するS4において、設定減速度変更制御が実行される。これにより、車両状態に応じて、シフト操作レバー92の操作(回数或いは時間)に対する設定減速度変化が変更され、急な減速度変化を発生させない範囲で操作の利便性が高められる。そして、表示手段118に対応するS5において、シフト操作レバー92の操作に対応する対応ポジション、およびシフト操作レバー92により設定された設定減速度が表示装置99に表示される。 【0031】しかし、上記S3の判断が肯定される場合は、前記減速度干渉判定手段112に対応するS6において、VSC制御装置106からのVSC制御作動時において、シフト操作レバー92が減速走行ポジションである「−」ポジションまたは「+」ポジションへ操作されたことによる設定減速度の変化による実減速度変化により、VSC制御装置106からのVSC制御作動が影響を受けるか否かすなわち車両の旋回挙動安定化が損なわれるような影響を受けるか否かが、たとえば車速V、舵角、ヨーレート、設定減速度の変化量などに基づいて判定される。このS6の判断が否定される場合は、前記S4以下が実行される。 【0032】しかし、上記S6の判断が肯定される場合は、前記干渉回避手段116に対応するS7において、設定減速度の変化が禁止されるか、その設定減速度の変化が遅延などを用いて抑制されることにより、VSC制御作動への干渉が回避される。そして、表示手段118に対応するS8において、シフト操作レバー92の操作に対応する対応ポジション、およびシフト操作レバー92により設定された設定減速度が表示装置99に表示される。 【0033】上述のように、本実施例によれば、車両の減速度を設定操作するための走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86と、車両の旋回挙動を安定させるための制御を行うVSC制御装置106とを備え、その走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86により設定された設定減速度となるように車両の減速度を制御する車両の減速度制御装置において、上記走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更と前記VSC制御装置106の作動との干渉を回避する干渉回避手段116が設けられることから、上記走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0034】また、本実施例によれば、干渉回避手段116は、VSC制御装置106の作動を優先させるものであるので、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0035】また、本実施例によれば、干渉回避手段116は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の操作による車両減速度の変更幅を制限するものであることから、その走行ポジション選択操作装置86により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0036】また、本実施例によれば、干渉回避手段116は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の操作による車両減速度の変更幅を前記VSC制御装置106の作動と干渉しない値とするものであることから、その走行ポジション選択操作装置86により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0037】また、本実施例によれば、干渉回避手段116は、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の操作による車両減速度の変化を遅延させるものであることから、その走行ポジション選択操作装置86により車両減速度の設定変更操作が行われたときには、その走行ポジション選択操作装置86の操作による車両減速度の設定変更に起因する車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0038】また、本実施例によれば、走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86の操作による車両減速度の設定変更は、非減速走行から減速走行への切換に際して或いは減速走行から非減速走行への切換に際して行われることから、その非減速走行から減速走行への切換に際して或いは減速走行から非減速走行への切換に際して行われる車両減速度の設定変更に起因して車両の旋回挙動安定性が低下することが好適に防止される。 【0039】また、本実施例によれば、車両の減速度を設定操作するための走行ポジション選択操作装置(減速度設定操作装置)86を備え、その走行ポジション選択操作装置86により設定された設定減速度となるように車両の減速度を制御する車両の減速度制御装置において、設定減速度変更制御手段114により、走行ポジション選択操作装置86のシフト操作レバー92の操作に対する設定減速度の変化量が車両状態に応じて変更されるので、そのシフト操作レバー92による設定減速度の設定操作に関する操作性が高められる。 【0040】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。 【0041】たとえば、前述の実施例において、車両の旋回挙動安定化制御への干渉が抑制されるように、設定減速度の変化が抑制されるか禁止されていたが、たとえばABS制御装置のように、制動中の車両挙動を安定化する装置への干渉が抑制されるようにしてもよい。この場合には、VSC制御装置106およびVSC作動中判定手段108に代えてABS制御装置およびABS作動中判定手段が設けられる。 【0042】また、前述の実施例では、減速制御手段102により用いられる設定減速度は、図8の関係から車速Vとシフト操作レバー92の操作設定値とにより決定されていたが、車速Vに拘わらず一定の値であってもよい。 【0043】また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン10およびモータジェネレータMG2を備え、それらを選択的に用いるハイブリッド自動車について説明されていたが、駆動力源として電動機(回転電機)を備えた電機自動車などであってもよい。 【0044】また、前述の実施例では、シフト操作レバー92が「−」ポジションへ操作される回数や時間に応じて複数種類の目標減速度の減速走行ポジションが選択される形式の走行ポジション選択操作装置86が用いられていたが、たとえばシフト操作レバー92がDポジションに続いて設けられた複数種類のエンジンブレーキ走行ポジションである3ポジション、2ポジション、Lポジションへ操作される形式の走行ポジション選択操作装置が用いられてもよい。 【0045】また、前述の実施例の自動パーキングロック装置60は、第2カウンタ軸18の回転を直接的に阻止するように設けられていたが、たとえば第1カウンタ軸16や第2スリーブ軸30などに設けられていてもよい。 【0046】また、前述の車両は、エンジン10の排気エネルギを電気エネルギに変換する機構、たとえば過給機にモータジェネレータが連結されて、そのモータジェネレータの回生作動によってエンジンブレーキが発生させられる機構が備えられ、その機構が車両の減速度制御に用いられるものであってもよい。 【0047】また、前述の実施例において用いられる減速度や設定減速度は、車両の目標とする減速度を示す負の加速度であるが、その減速度の大きさを示す指標で表される減速度レベルや、それに対応する変数、たとえば回生量、回生制動量などであってもよい。 【0048】その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
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| 【出願日】 |
平成14年2月20日(2002.2.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸
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| 【公開番号】 |
特開2003−237420(P2003−237420A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−43241(P2002−43241) |
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