| 【発明の名称】 |
駆動力制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】須合 謙 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】トラクションコントロール終了時に、運転者の加速要求に対して加速不良となることを抑制防止すること。
【解決手段】トラクションコントロール実行中で(ステップS101)、且つ、駆動輪スリップ率が所定値以下であるときに(ステップS102)、駆動輪の駆動力を一時的に大きくするエンジントルクアップ制御を実行し(ステップS103)、そのエンジントルクアップ制御実行中の駆動輪スリップ率に基づいて駆動輪と路面との間の摩擦係数を推定し(ステップS105及びS107)、その摩擦係数に基づいて前記トラクションコントロール終了直後の自動変速機の変速量を制限する(ステップS106、S108及びS109)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、そのスリップ検出手段で検出されたスリップ量に基づいて駆動力低減制御を実行する駆動力低減手段と、前記駆動力低減制御実行中であり且つ前記スリップ検出手段で検出されるスリップ量が所定値以下であるときに、駆動輪の駆動力を一時的に大きくする駆動力増大制御を実行する駆動力増大手段と、前記駆動力増大制御実行中に、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ量に基づいて駆動輪と路面との間の摩擦状態を推定する摩擦状態推定手段と、その摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態に基づいて前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定する変速比設定手段と、を備えたことを特徴とする駆動力制御装置。 【請求項2】 前記駆動力増大手段は、前記駆動力増大制御を所定周期毎に実行し、前記変速比設定手段は、前記摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態のうち、前記駆動力低減制御終了直前の推定結果に基づいて前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定することを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。 【請求項3】 アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、前記変速比設定手段は、前記アクセル開度検出手段で検出されたアクセル開度に基づいて、前記摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態に基づいて設定される前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駆動力制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、駆動輪がスリップしたときに、駆動輪の駆動力低減制御と共に自動変速機を制御してトラクションコントロールを行う駆動力制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、トラクションコントロールを行う装置としては、駆動輪のスリップが検出されたときに、自動変速機を制御して、通常時よりも小さい車速でシフトアップを行うシフトスケジュールに切り換え、駆動輪に伝達される駆動トルクを小さくして、駆動輪のスリップ量を小さくするものが知られている。 【0003】このような駆動力制御装置では、車両が低μ路を走行している場合、トラクションコントロールが終了した直後に、シフトスケジュールが通常時のものに戻ると、自動変速機がシフトダウンして、駆動トルクが大きくなり、駆動輪が再びスリップする恐れがあるので、トラクションコントロール終了直後はシフトダウンを制限していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術にあっては、トラクションコントロール終了直後のシフトダウンを制限するようになっているため、高μ路を走行しているときにも、駆動輪の駆動トルクが抑制され、車両の加速が制限されるので、運転者の加速要求に対して加速不足となる恐れがあった。 【0005】そこで本発明は上記従来の技術の未解決の問題点に着目してなされたものであって、トラクションコントロール終了直後の加速不足を抑制防止できる駆動力制御装置を提供することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に係る発明である駆動力制御装置は、駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、そのスリップ検出手段で検出されたスリップ量に基づいて駆動力低減制御を実行する駆動力低減手段と、前記駆動力低減制御実行中であり且つ前記スリップ検出手段で検出されるスリップ量が所定値以下であるときに、駆動輪の駆動力を一時的に大きくする駆動力増大制御を実行する駆動力増大手段と、前記駆動力増大制御実行中に、前記スリップ検出手段で検出されるスリップ量に基づいて駆動輪と路面との間の摩擦状態を推定する摩擦状態推定手段と、その摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態に基づいて前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定する変速比設定手段と、を備えたことを特徴とする。 【0007】また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明である駆動力制御装置において、前記駆動力増大手段は、前記駆動力増大制御を所定周期毎に実行し、前記変速比設定手段は、前記摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態のうち、前記駆動力低減制御終了直前の推定結果に基づいて前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定することを特徴とする。 【0008】さらに、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明である駆動力制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、前記変速比設定手段は、前記アクセル開度検出手段で検出されたアクセル開度に基づいて、前記摩擦状態推定手段で推定された摩擦状態に基づいて設定される前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を補正することを特徴とする。 【0009】したがって、請求項1に係る発明である駆動力制御装置にあっては、駆動力低減制御実行中で、且つ、スリップ量が所定値以下であるときに、駆動輪の駆動力を一時的に大きくする駆動力増大制御を実行し、その駆動力増大制御実行中のスリップ量に基づいて駆動輪と路面との間の摩擦状態を推定し、その摩擦状態に基づいて前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定するため、例えば駆動輪と路面との間の摩擦係数が小さく推定されたときには、前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比として、当該駆動力低減制御終了直前の変速比を設定し、駆動力が大きくなることを抑制して駆動輪のスリップを防止することができ、また摩擦係数が大きく推定されたときには、前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比として、当該駆動力低減制御終了直前よりも大きい変速比を設定し、駆動力を大きくして、運転者の加速要求に対して加速不足となることを抑制防止できる。 【0010】また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明である駆動力制御装置において、駆動力増大制御を所定周期毎に実行して、そのつど駆動輪と路面との間の摩擦状態を推定し、それらの摩擦状態のうち駆動力低減制御終了直前の推定結果に基づいて、前記駆動力低減制御終了直後の変速機の変速比を設定するため、適切な変速比を設定することができる。 【0011】また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明である駆動力制御装置において、アクセル開度に基づいて駆動力低減制御終了直後の変速機の変速を補正するため、例えば駆動輪と路面との間の摩擦係数の推定結果が大きく、且つ、アクセル開度が大きいときには、前記駆動力低減制御終了直後の変速比を運転者の加速要求に応じて設定することで、より運転者の要求に応じた加速を可能とすることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の駆動力制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る駆動力制御装置の一実施形態を示す車両の概略構成図であって、前輪駆動車両である場合を示している。図中、1はエンジン、2は自動変速機、3、4はドライブシャフト、5、6は前輪(駆動輪)、7、8は後輪(従動輪)、9はスロットルバルブ、10はスロットル制御モータ、11はアンチスキッド制御(図ではABS)/駆動力制御(図ではTCS)コントロールユニット、12、13、14、15は車輪速度センサ、16はABS警報ランプ、17はスリップインジケータ、18はTCS/OFFインジケータ、19はTCS/OFFスイッチ、20はエンジンコントロールユニット、21は自動変速機(図ではAT)コントロールユニット、22は多重通信線、23はエンジン回転数センサ、24はアクセル操作量センサ、25はスロットル開度センサである。 【0013】前記エンジン1の吸気管路には、スロットルバルブ9の開度を制御するスロットル開度制御アクチュエータとしてのスロットル制御モータ10が設けられている。また、自動変速機2としては、多段階に変速段、即ちギア位置が変更される有段変速機が用いられており、ATコントロールユニット21からの変速指令に応じて変速比、即ちギア比やギア位置が制御される。 【0014】前記エンジンコントロールユニット20は、図示されないマイクロコンピュータ等を内蔵して構成されており、例えば前記エンジン回転数センサ23で検出されたエンジン回転速度NE 、アクセル操作量センサ24で検出されたアクセル操作量ACC、スロットル開度センサ25で検出されたスロットル開度等に基づいて、独自の演算処理に応じ、或いは前記ATコントロールユニット21やABS/TCSコントロールユニット11からの要求信号や情報信号に応じて、燃料噴射装置、所謂インジェクタのON/OFF及びそのタイミングと燃料噴射量や、スロットル制御モータ10によるスロットルバルブ9のスロットル開度等を調整して空燃比や吸気量を調整することで、エンジン1の回転状態を制御して、これによりスムーズな加速感や必要にして十分な減速感を得たり、点火時期やアイドル回転数等を車両の状態に応じて最適制御したりする。 【0015】また、前記自動変速機2では、前記ATコントロールユニット21からの制御信号によってギア比の制御が行われる。このATコントロールユニット21で制御される自動変速機2内のギア比は、周知のように、出力軸回転速度として代用される車速と前記スロットル開度センサ25で検出されたスロットル開度とを変数として、或いは前記エンジン回転数センサ23で検出されたエンジン回転数を参照しながら制御される。ちなみに、本実施形態のATコントロールユニット21は、前記エンジンコントロールユニット20と相互に情報の授受を行って前記エンジン1及び自動変速機2の通常走行時における最適化制御を実施しており、例えば選択されている現在のギア位置CURGPや変速シフト操作によって変更された次の目標ギア位置NEXTGPをエンジンコントロールユニット20に向けて出力し、駆動力制御用(以下、TCS制御用とも記す)ギア位置GRPOSをABS/TCSコントロールユニット11から取得する。 【0016】そして、前記ABS/TCSコントロールユニット11は、トラクションコントロール制御としてエンジントルクを制御するために、前記アクセル操作量センサ24からのアクセル操作量ACC、各車輪速度センサ12〜15からの車輪速度VwFL〜VwRR、エンジン回転速度センサ26で検出されたエンジン回転速度NE、前記ATコントロールユニット21からの現在ギア位置CURGP及び次の目標ギア位置NEXTGPを読み込み、TCS制御用ギア位置GRPOSを算出すると共に、エンジントルク指令値TE-COMを算出してそれらを前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力する。従って、前記エンジンコントロールユニット20では、このエンジントルク指令値TE-COM等を入力すると、そのエンジントルクが達成されるように前記スロットル制御モータ10を制御する。 【0017】このABS/TCSコントロールユニット11は、図示しないマイクロコンピュータ等の演算処理装置を内蔵して構成される。この演算処理装置内で行われる前記エンジントルク指令値TE-COM算出のための演算処理について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理装置で算出された演算結果は随時記憶装置に記憶され、記憶装置に記憶されている情報は随時演算処理装置のバッファ等に伝達記憶されるようになっている。 【0018】そして、この演算処理は、例えば10msec. 程度の所定制御時間ΔT毎にタイマ割り込み処理によって実行され、先ず、ステップS1で、前記アクセル操作量センサ24で検出されたアクセル操作量ACCを読み込む。次にステップS2に移行して、前記各車輪速度センサ12〜15で検出された車輪速度Vwi (i:FL〜RR)を読み込む。 【0019】次にステップS3に移行して、前記ステップS2で読み込んだ車輪速度Vwiのうち、駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値を平均駆動輪速度VwFとして算出する。次にステップS4に移行して、前記ステップS2で読み込んだ車輪速度Vwiのうち、従動輪である後左右輪速度VwRL、VwRRの平均値からなる平均従動輪速度VwFを車速VSPとして算出する。 【0020】次にステップS5に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS4で算出した車速VSP及び前記ステップS1で読み込んだアクセル操作量ACCに応じた通常走行用駆動輪トルクTD-ACCを算出する。この通常走行用駆動輪トルクTD-ACCは、例えば車速VSPとアクセル操作量ACCとをパラメータとする三次元マップ等を参照して設定され、通常のエンジントルク、つまり燃料噴射マップに類似している。 【0021】次にステップS6に移行して、前記平均駆動輪速度VwFから平均従動輪速度VwRを減じた値を、平均従動輪速度VwRで除し、それを駆動輪スリップ率SDとして算出する。次にステップS7に移行して、前記駆動輪スリップ率SDから目標スリップ率So を減じた値に定数K2を乗じ、それを駆動輪トルク低減量TD-TCS として算出する。なお、目標スリップ率So及び定数K2は、予め設定された設定値である。 【0022】次にステップS8に移行して、前記通常走行用駆動輪トルクTD-ACCから前記駆動輪トルク低減量TD-TCSを減じた値を駆動輪トルク指令値TD-COMとして算出する。次にステップS9に移行して、前記ステップS1で読み込んだアクセル操作量ACCと、前記ステップS4で算出した車速VSPとに応じて、図3のシフトスケジュールマップを参照してTCS制御用ギア位置GRPOSを算出する。 【0023】その際、前記駆動輪スリップ率SDが予め定められた所定値よりも大きいか否か判定し、大きいときにはTCS制御用シフトスケジュール線を利用することを示すシフト切換フラグ及びTCS作動フラグを“1”のセット状態とし、そうでないときにはTCS作動フラグ及びシフト切換フラグを“0”のリセット状態として、通常時用シフトスケジュール線を利用する。TCS制御用シフトスケジュール線は、通常時用シフトスケジュール線よりも小さい車速でシフトアップを行うようになっており、駆動輪に伝達される駆動トルクを小さくして、駆動輪のスリップ量を小さくするようになっている。 【0024】次にステップS10に移行して、前記駆動輪トルク指令値TD-COMを、前記TCS制御用ギア位置GRPOSにおけるギア比GRPOSFUNKで除し、更にその値をファイナルギア比Gfで除してエンジントルク指令値TE-COMを算出する。次にステップS11に移行して、前記エンジントルク指令値TE-COM及び制御用ギア位置GRPOSを前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。 【0025】次に、このABS/TCSコントロールユニット11の演算処理装置内で実行されて、トラクションコントロール終了直後の自動変速機2の変速段を設定する演算処理について図4のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、例えば10sec. 程度の所定制御時間ΔT’毎にタイマ割り込み処理によって実行され、先ず、ステップS101に移行して、トラクションコントロール実行中であるか否か、つまりTCS作動フラグが“1”のセット状態であるか否か判定し、セット状態であるときにはステップS102に移行し、そうでないときには(No)この演算処理を終了する。 【0026】前記ステップS102では、前記図2の演算処理のステップS6で算出される駆動輪スリップ率SDが定常状態であり且つ所定値以下であるか否か判定し、定常状態であり且つ所定値以下であるときには(Yes)ステップS103に移行し、そうでないときには(No)この演算処理を終了する。前記ステップS103では、前記図2の演算処理のステップS11で前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力される前記エンジントルク指令値TE-COMを一時的に大きくするエンジントルクアップ制御を実行する。 【0027】次にステップS104に移行して、前記エンジントルクアップ制御中に、前記図2の演算処理のステップS6で算出される駆動輪スリップ率SDを読み込む。その際、前記アクセル操作量センサ24で検出されるアクセル操作量ACCが60%以上であるときには、前記駆動輪スリップ率SDを小さく補正するようになっている。 【0028】次にステップS105では、前記ステップS104で読み込んだ駆動輪スリップ率SDと通常時の駆動輪スリップ率SDとの差、つまり前記エンジントルクアップ制御による駆動輪スリップ率SDの増加量が、低μ路を走行しているときの増加量である第1閾値より大きいか否か判定し、第1閾値より大きいときには(Yes)ステップS106に移行し、そうでないときには(No)ステップS107に移行する。 【0029】前記ステップS106では、トラクションコントロール終了直後の自動変速機2の変速動作を禁止する信号を、前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。一方、前記ステップS107では、前記スリップ率の増加量が中μ路を走行しているときの増加量である第2閾値より大きいか否か判定し、第2閾値より大きいときには(Yes)ステップS108に移行し、そうでないときには(No)ステップS109に移行する。 【0030】前記ステップS108では、トラクションコントロール終了直後に自動変速機2の変速段を一段まで小さくすることを許可する信号を、前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。また一方、前記ステップS109では、トラクションコントロール終了直後に自動変速機2の変速段を二段まで小さくすることを許可する信号を、前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力してから、メインプログラムに復帰する。 【0031】次に、この実施形態の駆動力制御装置の動作を具体的状況に基づいて詳細に説明する。まず、車両が凍結路面上に停止している状態から、運転者が車両を発進させようとしてアクセルペダルを大きく踏み込んだとする。すると、ABS/TCSコントロールユニット11では、図2のフローチャートに示すように、エンジントルク指令値TE-COM算出のための演算処理が実行され、先ず、ステップS1で、図5の領域(i)に示すように、アクセル操作量センサ24で検出された乗員のアクセル操作量ACCが“100%”であると読み込まれ、ステップS2で、各車輪速度センサ12〜15で検出された車輪速度Vwiが読み込まれ、ステップS3で、駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値が平均駆動輪速度VwFとして算出され、ステップS4で、従動輪である後左右輪速度VwRL、VwRRの平均値が車速VSPとして算出され、ステップS5では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記アクセル操作量ACCと車速VSPとに応じた通常走行用駆動輪トルクTD-ACCが算出される。また、ステップS6では、前記平均駆動輪速度VwFに基づいて駆動輪スリップ率SDが算出され、ステップS7で、前記駆動輪スリップ率SDから目標スリップ率Soを減じた値に基づいて駆動輪トルク低減量TD-TCSが算出され、ステップS8で、前記通常走行用駆動輪トルクTD-ACCから前記駆動輪トルク低減量TD-TCSが減じられて駆動輪トルク指令値TD-COMが算出される。 【0032】また、アクセルペダルが踏み込まれた直後であるので、前記駆動輪スリップ率SDは予め定められた所定値より小さく、図3に実線で示すように、ステップS9では通常時用のシフトスケジュールマップが参照されて、前記ステップS1で読み込まれたアクセル操作量ACC等に応じてTCS制御用ギア位置GRPOSが“1st”とされ、ステップS10で、前記駆動輪トルク指令値TD-COMやTCS制御用ギア位置GRPOS等に基づいてエンジントルク指令値TE-COMが算出され、ステップS11で、前記エンジントルク指令値TE-COM及び制御用ギア位置GRPOSが前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力されてメインプログラムに復帰する。 【0033】そして、エンジントルク指令値TE-COM等が入力されたエンジンコントロールユニット20は、そのエンジントルクが達成されるように前記スロットル制御モータ10を制御し、車両を加速発進させる。また、上記フローが繰り返されて、図5の領域(ii)に示すように、駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRが大きくなるにつれて、駆動輪スリップ率SDも大きくなったとする。すると、前記ステップS1〜S8を経て、前記ステップS9で、TCS作動フラグ及びシフト切換フラグが“1”のセット状態となり、図3に一点鎖線で示すように、TCS制御時用のシフトスケジュールマップが参照されて、前記ステップS1で読み込まれたアクセル操作量ACC等に応じてTCS制御用ギア位置GRPOSが“3rd”とされ、ステップS10及びS11を経て、前記ATコントロールユニット21に自動変速機2のギア比を“3rd”とさせ、前左右輪5,6の駆動トルクを小さくし、駆動輪スリップ率SDを抑制する方向へ制御する。 【0034】さらに、上記フローが繰り返されて、駆動輪スリップ率SDが小さくなり、定常状態に収束したとする。すると、ABS/TCSコントロールユニット11で実行される図4の演算処理では、先ず、ステップS101及びS102の判定が「Yes」となり、ステップS103で、エンジントルクアップ制御が実行され、図5の領域(iii)のポイントaに示すように、前記エンジントルク指令値TE-COMが一時的に大きくされ、ステップS104で、前記エンジントルクアップ制御中の駆動輪スリップ率SDが読み込まれて、その駆動輪スリップ率SDの増加量が第1閾値より大きく、低μ路走行中であると推定されたとすると、ステップS105の判定が「Yes」となり、ステップS106で、トラクションコントロール終了直後の自動変速機2の変速動作を禁止する信号が、前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力されて、メインプログラムに復帰する。 【0035】このように本実施形態では、駆動輪と路面との間の摩擦係数が小さく推定されたときには、トラクションコントロール終了直後の自動変速機2のシフトダウンを禁止して、駆動力が大きくなることを抑制し、駆動輪の再スリップを抑制することができる。ここで、上記フローが繰り返されるうちに、車両が高μ路に進入したとする。すると、図4の演算処理で、ステップS101〜S103を経て、ステップS104で、前記エンジントルクアップ制御中の駆動輪スリップ率SDが読み込まれると共に、運転者のアクセル操作量ACCが“100%”であるため、当該駆動輪スリップ率SDは小さく補正され、図5の領域(iii)のポイントa’に示すように、エンジントルクアップ制御中の駆動輪スリップ率SDの増加量が小さくなり、ステップS105及びS107の判定が「No」となり、高μ路走行中であると推定されたとすると、ステップS109で、トラクションコントロール終了直後に自動変速機2の変速段を二段まで小さくすることを許可する信号が、前記エンジンコントロールユニット20に向けて出力されて、メインプログラムに復帰する。 【0036】このように本実施形態では、駆動輪と路面との間の摩擦係数が大きく推定されたときには、トラクションコントロール終了直後にシフトダウンし、駆動力を大きくして車両を加速させるので、運転者の加速要求に応じた加速が可能となる。また、エンジントルクアップ制御を10sec.毎に実行して、そのつど駆動輪と路面との間の摩擦係数を推定し、それらの摩擦係数のうちトルクコントロール終了直前の推定結果に基づいて、当該トルクコントロール終了直後の自動変速機2のシフトダウン数を制限するため、適切な変速段に設定することができる。 【0037】さらに、アクセル操作量ACCが大きいときには、摩擦係数を大きく推定するようにして、トラクションコントロール終了直後にシフトダウンが行われやすくしたので、車両を大きく加速させることができ、運転者の要求に応じた加速を行うことができる。なお、本実施形態では、ステップS6がスリップ検出手段に対応し、ステップS9が駆動力低減手段に対応し、ステップS103が駆動力増大手段に対応し、ステップS105及びS107が摩擦状態推定手段に対応し、ステップS106、S108及びS109が変速比設定手段に対応し、アクセル操作量センサ24がアクセル開度検出手段に対応する。 【0038】また、上記実施の形態は本発明の駆動力制御装置の一例を示したものであり、装置の構成等を限定するものではない。例えば、上記実施例においては、本発明の駆動力制御装置をエンジン制御装置と自動変速機制御装置とを組み合わせて構成した例を示したが、上記実施の形態に限定されるものではなく、エンジン制御装置とブレーキ制御装置とを組み合わせて構成するようにしてもよいし、ブレーキ制御装置だけで構成するようにしてもよい。 【0039】また、駆動輪スリップ率SDに応じて、有段の自動変速機2の変速比を設定する例を示したが、自動変速機2に限定されるものではなく、無段変速機の変速比を設定するようにしてもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成14年1月17日(2002.1.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066980 【弁理士】 【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−212006(P2003−212006A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−9091(P2002−9091) |
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