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【発明の名称】 ハイブリッド車両のクラッチ制御装置
【発明者】 【氏名】田端 淳
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】小木曽 誠人
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】ハイブリッド車両においてエンジン走行のためのクラッチの係合ショックが好適に回避されるハイブリッド車両のクラッチ制御装置を提供する。

【解決手段】回転速度同期制御手段100により吸気弁20および排気弁22(電磁駆動弁)を用いてクラッチC1の入出力回転が同期させられたときに、クラッチ係合制御手段90によりそのクラッチC1が係合させられるので、たとえばエンジン走行モードへの切換に際してクラッチC1の係合ショックが好適に回避される。また、専らモータジェネレータMG2を用いて上記クラッチC1の入出力回転を同期させる場合に比較して、そのモータジェネレータMG2の使用不可状態や使用制限域内となったりしてそのクラッチC1の同期制御が困難となり係合ショックが発生するということが好適に解消される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸気および/または排気のための電磁駆動弁を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両において、該内燃機関の起動に応答して該内燃機関を駆動輪に連結するためのクラッチを係合させる形式の制御装置であって、前記電磁駆動弁を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させる回転速度同期制御手段と、該回転速度同期制御手段により前記クラッチの入出力回転が同期させられたときに該クラッチを係合させるクラッチ係合制御手段とを、含むことを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
【請求項2】 前記電磁駆動弁による回転速度制御機能が得られる状態であるか否かを判定する電磁駆動弁判定手段と、前記回転速度同期制御手段は、該電磁駆動弁判定手段により前記電磁駆動弁による回転速度制御機能が得られる状態ではないと判定された場合には、前記電動機を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させるものである請求項1のハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
【請求項3】 吸気および/または排気のための電磁駆動弁を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両において、該内燃機関の起動に応答して該内燃機関を駆動輪に連結するためのクラッチを係合させる形式の制御装置であって、前記電磁駆動弁および電動機を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させる回転速度同期制御手段と、該回転速度同期制御手段により前記クラッチの入出力回転が同期させられたときに該クラッチを係合させるクラッチ係合制御手段とを、含むことを特徴とするハイブリッド車両のクラッチ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両において、該内燃機関の起動に応答して該内燃機関を駆動輪に連結するためのクラッチを係合させる形式のハイブリッド車両のクラッチ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両では、たとえばモータ走行モードからエンジン走行モードへの切換時には、たとえばモータジェネレータを用いて、エンジンを駆動輪に連結するためのクラッチを回転同期させた後、そのクラッチを係合させることにより係合ショックを抑制する装置が提案されている。たとえば、Inderscience Enterprises Ltd. から発行された刊行物「Heavy Vehicle Systems 」(Vol.7,No.4,2000)の第281頁〜298頁に記載された装置がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来の車両においては、クラッチの回転同期のためにモータジェネレータを用いるので電力消費が大きくなることに加えて、モータジェネレータの過熱、蓄電装置の充電残量の過少、高域の出力回転速度が必要である場合などのように、そのモータジェネレータが駆動使用不可状態となったり、使用制限域内となったりする場合には、上記クラッチの同期制御が困難となって係合ショックが避けられない場合があるという不都合があった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ハイブリッド車両においてエンジン走行のためのクラッチの係合ショックが好適に回避されるハイブリッド車両のクラッチ制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、吸気および/または排気のための電磁駆動弁を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両において、上記内燃機関の起動に応答してその内燃機関を駆動輪に連結するためのクラッチを係合させる形式の制御装置であって、(a) 前記電磁駆動弁を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させる回転速度同期制御手段と、(b) その回転速度同期制御手段により前記クラッチの入出力回転が同期させられたときにそのクラッチを係合させるクラッチ係合制御手段とを、含むことにある。
【0006】
【第1発明の効果】このようにすれば、回転速度同期制御手段により電磁駆動弁を用いて前記クラッチの入出力回転が同期させられたときに、クラッチ係合制御手段によりそのクラッチが係合させられるので、エンジン走行モードへの切換に際してクラッチの係合ショックが好適に回避される。また、専らモータジェネレータを用いて上記クラッチの入出力回転を同期させる場合に比較して、そのモータジェネレータの使用不可状態や使用制限域内となったりしてそのクラッチの同期制御が困難となり係合ショックが発生するということが好適に解消される。
【0007】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記電磁駆動弁による回転速度制御機能が得られる状態であるか否かを判定する電磁駆動弁判定手段を含み、前記回転速度同期制御手段は、その電磁駆動弁判定手段により前記電磁駆動弁による回転速度制御機能が得られる状態ではないと判定された場合には、上記電動機を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させるものである。このようにすれば、電磁駆動弁判定手段により前記電磁駆動弁による回転速度制御機能が得られる状態ではないと判定された場合には、電動機を用いて内燃機関の回転速度が制御されることにより前記クラッチの入出力回転が同期させられるので、電磁駆動弁による回転速度制御が不可である場合でも、係合ショックの発生が防止される。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、吸気および/または排気のための電磁駆動弁を有する内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両において、上記内燃機関の起動に応答してその内燃機関を駆動輪に連結するためのクラッチを係合させる形式の制御装置であって、(a) 前記電磁駆動弁および電動機を用いて前記内燃機関の回転速度を制御することにより、前記クラッチの入出力回転を同期させる回転速度同期制御手段と、(b) その回転速度同期制御手段により前記クラッチの入出力回転が同期させられたときに該クラッチを係合させるクラッチ係合制御手段とを、含むことにある。
【0009】
【第2発明の効果】このようにすれば、回転速度同期制御手段により電磁駆動弁と電動機との両方を用いて前記クラッチの入出力回転が同期させられたときに、クラッチ係合制御手段によりそのクラッチが係合させられるので、エンジン走行モードへの切換に際してクラッチの係合ショックが好適に回避される。また、専らモータジェネレータを用いて上記クラッチの入出力回転を同期させる場合に比較して、そのモータジェネレータの使用不可状態や使用制限域内となったりしても、電磁駆動弁によってそのクラッチの同期制御が行われるので、係合ショックが発生することが好適に防止される。
【0010】ここで、好適には、前記ハイブリッド車両がモータ走行中であるか否かを判定するモータ走行判定手段と、そのモータ走行判定手段によりハイブリッド車両がモータ走行中であると判定されているときに、エンジンを作動させる走行モードへの切換指令を判定するエンジン切換判定手段とを含み、前記回転速度同期制御手段は、そのモータ走行判定手段によりハイブリッド車両がモータ走行中であると判定され、且つエンジン切換判定手段によりエンジンを作動させる走行モードへの切換指令が判定された場合に、前記電磁駆動弁または電磁駆動弁および電動機を用いて前記クラッチの入出力回転を同期させるものである。このようにすれば、ハイブリッド車両がモータ走行からエンジンを作動させる走行モードへ切換られるときに、電磁駆動弁または電磁駆動弁および電動機を用いてクラッチの入出力回転が同期させられるので、そのクラッチの係合ショックが好適に防止される。
【0011】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の一実施例のエンジン制御装置が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。図において、動力源としてのエンジン10の出力は、振動減衰装置(ダンパ)12を順次介して、副変速部14および無段変速部16を含む無段変速機17に入力され、差動歯車装置18および車軸19を介して一対の駆動輪(たとえば前輪)21へ伝達されるようになっている。また、第2の動力源および発電機として機能するモータジェネレータMG2が上記副変速機14の入力軸に連結されている。
【0013】上記エンジン10は、好適には、燃料消費を減少させるために、燃料が筒内噴射されることにより軽負荷時においては空燃比A/Fが理論空燃比よりも高い燃焼である希薄燃焼が行われるリーンバーンエンジンから構成される。このエンジン10は、たとえば3気筒ずつから構成される左右1対のバンクを備え、その1対のバンクは単独で或いは同時に作動させられるようになっており、作動気筒数の変更が可能とされている。このエンジン10の吸気配管には、必要に応じて過給機を備えているとともに、スロットルアクチュエータによって操作されるスロットル弁とが設けられている。このスロットル弁は、基本的には図示しないアクセルペダルの操作量すなわちアクセル開度θACC に対応する大きさのスロットル開度θTHとなるように制御されるが、エンジン10の出力を調節するために変速過渡時などの種々の車両状態に応じた開度となるように制御されるようになっている。
【0014】上記エンジン10には、エンジン10の起動、補機の駆動、回転エネルギの回収などのために、駆動用電動モータおよび発電機などとして機能するモータジェネレータMG1が直接的に連結されている。
【0015】また、上記エンジン10は、その運転サイクル数が変更可能となるように構成されている。たとえば図2に示すように、各気筒の電磁駆動弁すなわち吸気弁20および排気弁22と、それらをそれぞれ開閉駆動する電磁アクチュエータ24および26とを含む可変動弁機構28と、クランク軸30の回転角を検出する回転センサ32からの信号に従って上記吸気弁20および排気弁22の作動時期(タイミング)を制御する弁駆動制御装置34とを備えている。この弁駆動制御装置34は、エンジン負荷に応じて作動タイミングを最適時期に変更するだけでなく、加速操作時などの運転サイクル切り換え指令に従って、4サイクル運転を実現する開閉時期および2サイクル運転を実現する開閉時期となるように制御したり、たとえばモータ走行からエンジン走行への切換過渡期間において、エンジン10から出力される動力を駆動輪21へ伝達するためのクラッチC1の入出力回転を同期させるためにエンジン回転速度NE を制御する。上記電磁アクチュエータ24および26は、たとえば図3に示すように、吸気弁20または排気弁22に連結されてその吸気弁20または排気弁22の軸心方向に移動可能に支持された磁性体製の円盤状の可動部材36と、その可動部材36を択一的に吸着するためにそれを挟む位置に設けられた一対の電磁石38、40と、可動部材36をその中立位置に向かって付勢する一対のスプリング42、44とを備えている。
【0016】前記無段変速機17の副変速部14は、ギヤ比(変速比)γA [=エンジン回転速度(入力軸回転速度)/入力軸56の回転速度(出力軸回転速度)]が1である高速側ギヤ段とギヤ比が1/ρ1 である低速側ギヤ段との前進2段、およびギヤ比が−1/ρ2 である高速側ギヤ段とギヤ比が−1/ρ1 である低速側ギヤ段との後進2段を有するラビニヨ型遊星歯車装置を有する有段変速機である。この副変速部14は、第1クラッチC1を介してエンジン10と連結される第1入力軸50と、第1クラッチC1および第2クラッチC2を介してエンジン10と連結される第2入力軸52と、それら第1入力軸50および第2入力軸52に設けられた第1サンギヤS1および第2サンギヤS2と、ブレーキB1を介して非回転のハウジング54と選択的に連結されるキャリヤKと、副変速部14の出力軸すなわち無段変速部16の入力軸56に連結されたリングギヤRと、キャリヤKによって回転可能に支持されるとともに第1サンギヤS1およびリングギヤRと噛み合う軸長の大きい第1遊星歯車P1と、同様にキャリヤKによって回転可能に支持されるとともに第2サンギヤS2および第1遊星歯車P1と噛み合う軸長の短い第2遊星歯車P2とを備えている。前記モータジェネレータMG2は、上記第2入力軸52に連結されている。
【0017】図4は、上記副変速部14における各摩擦係合装置の係合作動の組み合わせによって得られる変速ギヤ段を,よく知られたP、R、N、D、2、Lなどのシフトレバーの操作位置(シフトポジション)毎に示す係合表である。図4において、○は係合、×は解放、△はスリップ係合を示している。前記副変速部14では、シフトレバーのDレンジ位置において、たとえば第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられるとともにブレーキBが解放されることにより変速比γA が「1」である高速側ギヤ段(前進2nd)が成立させられ、たとえば第1クラッチC1およびおよび第2クラッチC2が解放されるとともにブレーキBが係合されることにより変速比γA が「1/ρ1 」である低速側ギヤ段(前進1st)が成立させられる。また、シフトレバーのRレンジ位置において、たとえば第1クラッチC1およびブレーキBが係合させられるとともに第2クラッチC2が解放されることにより変速比γA が「−1/ρ2 」である後進高速側ギヤ段が成立させられ、たとえば第1クラッチC1およびブレーキBが解放されるとともに第2クラッチC2が係合されることにより変速比γA が「−1/ρ1 」である後進低速側ギヤ段が成立させられる。上記クラッチC1、C2およびブレーキB1は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0018】上記車両のモータ走行による後進時には、モータジェネレータMG2の回転が反転させられて第2サンギヤS2へ入力される。車両停止中は、基本的には、前進および後進のいずれにおいても上記モータジェネレータMG2によりクリープ力が確保される。このため、二次電池68の充電残量が不足しても、エンジン10を始動することによりモータジェネレータMG2から発電された電力が充電のために二次電池68に供給されるので、故障時以外は、モータジェネレータMG2によるモータ発進走行が常時可能とされている。また、前進走行においては、モータジェネレータMG2でクリープトルクを確保しつつ、モータ発進走行が行われる。また、モータジェネレータMG1でエンジン10を始動させ、同期回転に到達したらクラッチC1が係合させられて、エンジン10によりセカンド(2nd)走行が行われる。エンジン10でも発進可能とされており、低速ではクラッチC1をスリップさせつつ徐々に車速Vを上昇させる。比較的高速となると、クラッチC1を完全に係合させる。後進走行においては、モータジェネレータMG2が反転駆動されてクリープ力が確保され、トルクが必要なときはさらにエンジン10が始動される。低速では上記と同様にクラッチC1がスリップ係合させられる。このように、上記副変速部14は、少ない回転要素の数ですべての機能が達成される特徴がある。後進走行時のモータジェネレータMG2からエンジン10への駆動源切換時においてブレーキB1がそのままであり、摩擦係合装置の作動を切り換える必要がない。
【0019】図1に戻って、前記無段変速機17の無段変速部16は、入力軸56に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ60と、出力軸62に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ64と、それら入力側可変プーリ60および出力側可変プーリ64に巻き掛けられた伝動ベルト66とを備えたベルト式無段変速機である。この伝動ベルト66は、一対の入力側可変プーリ60および出力側可変プーリ64にそれぞれ挟圧された状態で摩擦により動力を伝達する動力伝達部材として機能している。上記入力側可変プーリ60は、入力軸56に固定された固定回転体60aとその入力軸56に軸方向に移動可能且つ軸周りに回転不能に設けられた可動回転体60bとを備え、図示しない入力側油圧シリンダにより挟圧力が付与されるようになっている。また、出力側可変プーリ64も、出力軸62に固定された固定回転体64aとその出力軸62に軸方向に移動可能且つ軸周りに回転不能に設けられた可動回転体64bとを備え、図示しない出力側油圧シリンダにより挟圧力が付与されるようになっている。一般に、上記入力側油圧シリンダは、無段変速機16の変速比γCVT (=入力軸56の回転速度NIN/出力軸62の回転速度NOUT )を変化させるために用いられ、上記出力側油圧シリンダは伝動ベルト66の張力を最適に制御するために用いられる。
【0020】車両には、充電可能な鉛蓄電池などの二次電池68と、水素などの燃料に基づいて発電を行う燃料電池70とが設けられている。これら二次電池68および又は燃料電池70は、切換装置72によってモータジェネレータMG1および/またはモータジェネレータMG2の電源として選択的に利用され得るようになっている。
【0021】図5は、電子制御装置80に入力される信号およびその電子制御装置80から出力される信号を例示している。たとえば、電子制御装置80には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θACC を表すアクセル開度信号、無段変速機16の出力軸62の回転速度NOUT に対応する車速信号、エンジン回転速度NE を表す信号、吸気配管50内の過給圧Pa を表す信号、空燃比A/Fを表す信号、シフトレバーSHの操作位置SH を表す信号などが図示しないセンサから供給されている。また、電子制御装置80からは、燃料噴射弁からエンジン10の気筒内へ噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、自動変速機16の変速比γCVT を変更するために油圧制御回路78内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する変速指令信号、無段変速機16の伝動ベルト66の張力を制御するために張力指令信号、エンジン10のサイクル数を指令する信号などが出力される。
【0022】上記電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、無段変速部16のギヤ比γCVT を最適値に自動的に切り換える変速制御、無段変速部16の伝動ベルト66の張力を最適値に制御するため張力制御、駆動源切換(ハイブリッド駆動)制御などを実行する。たとえば、上記変速制御では、予め記憶されたよく知られた関係(変速線図)からアクセル開度θACC (%)および車速Vに基づいて目標変速比γCVT * を決定し、実際の変速比γCVT がその目標変速比γCVT * と一致するように前記入力側油圧シリンダを作動させる。上記張力制御では、予め記憶された関係から実際のスロットル弁開度θTH、エンジン回転速度NE 、および副変速機14のギヤ比γA に基づいて基本挟圧力を算出し、実際の作動油温度TOIL 、トルク振動幅或いはエンジン10サイクル数に基づいてその基本挟圧力を補正し、その補正後の挟圧力で伝動ベルト66を挟圧してその張力を制御するために出力側油圧シリンダを作動させる。また、駆動源切換制御では、たとえば図7および図8に示す予め記憶された関係から車速Vおよび出力軸トルクTOUT に基づいて、駆動源および副変速機14のギヤ段の判定を行い、判定された駆動源および副変速機14のギヤ段に切り換えて走行させる。
【0023】上記の駆動源切換制御により、図4に示されるように、図示しないシフトレバーが前進(ドライブ:D)ポジションへ操作された前進走行では、モータ走行領域であるので、ブレーキB1が係合されて副変速機14が第1速状態(ギヤ比が1/ρ2 の減速状態)とされた状態で、モータジェネレータMG2でクリープトルクを確保しながら、モータ発進が行われる。車速Vが増加してエンジン走行領域となると、エンジン10が起動され且つクラッチC1の入出力回転速度が同期するようにエンジン回転速度NE が制御され、同期が完了するとそのクラッチC1が係合されてエンジン走行が行われる。二次電池68の充電残量が不足でもエンジン10を起動してモータジェネレータMG1で発電させてその二次電池68に充電することが可能であるので、故障時以外は上記のモータ発進が可能とされている。大きな駆動力を必要とするような場合にはエンジンで発進することも可能であり、この場合には、低車速ではクラッチC1をスリップ係合させながら車速を増加させ、比較的高車速となるとクラッチC1を完全係合させる。シフトレバーが後進(リバース:R)ポジションへ操作された後進走行では、モータジェネレータMG2の回転が反転させられてクリープ力が確保されつつ、上記と同様に、ブレーキB1が係合されて副変速機14が第1速状態(ギヤ比が1/ρ2 の減速状態)とされた状態で、モータ発進が行われる。この後進走行においてモータ走行からエンジン走行への切換時には、ブレーキB1は係合状態のままであり、切換が不要とされている。そして、車速増加などにより更に駆動トルクが必要となると、上記エンジン発進と同様に、エンジン10が起動され且つクラッチC1がスリップ係合される。
【0024】図6は、上記電子制御装置80の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6において、クラッチ係合制御装置90は、電子制御装置80からの指令信号に従って駆動力伝達用のクラッチC1およびC2の係合状態をそれぞれ制御する。たとえば、C1係合指令またはC1解放指令信号に従ってクラッチC1を係合または解放させ、C1スリップ係合指令信号に従ってクラッチC1をスリップ係合(半係合)させる。
【0025】駆動源切換制御手段92は、たとえば図示しないシフトレバーが前進ポジションに操作されたときに用いられる図7に示す予め記憶された関係、或いは後進ポジションに操作されたときに用いられる図8に示す予め記憶された関係から実際の車速V(km/h)および出力軸62のトルクTOUT に基づいて駆動源およびギヤ段を判定し、判定結果にしたがって駆動源およびギヤ段を切り換える指令を出力する。モータ走行判定手段94は、ハイブリッド車両がたとえばモータジェネレータMG2を駆動源として走行させられるモータ走行中であるか否かを判定する。エンジン切換判定手段96は、モータ走行中において駆動源をモータジェネレータMG2からエンジン10へ切り換える判定が行われたか否かを、たとえば上記駆動源切換制御手段92からの出力信号に基づいて判定する。電磁駆動弁判定手段98は、弁駆動制御装置34の故障、電磁アクチュエータ24および26の機械的或いは電気的故障による回転速度制御性低下、回転速度制御量や応答性、排気ガス浄化条件を維持不能となることなどの他の装置からの条件により、その電磁アクチュエータ24および26によりそれぞれ開閉駆動される吸気弁20(電磁駆動弁)または排気弁22(電磁駆動弁)による回転速度制御機能が得られる状態であるか否かを判定する。
【0026】回転速度同期制御手段100は、上記モータ走行判定手段94によりハイブリッド車両がクラッチC1の後段に配置されたモータジェネレータMG2を駆動源として走行させられるモータ走行中であると判定され、エンジン切換判定手段96によりそのモータ走行中において駆動源をモータジェネレータMG2からエンジン10へ切り換える判定が行われたと判定され、しかも、上記電磁駆動弁判定手段98により吸気弁20および排気弁22によるエンジン回転速度制御機能が得られる状態であると判定された場合には、それら吸気弁20および排気弁22によるエンジン回転速度制御機能、またはそれに加えてクラッチC1の前段側(エンジン側)に設けられたモータジェネレータMG1によるエンジン回転速度制御機能を用いて、エンジン10を駆動輪21に連結してエンジン走行を行うために、モータ走行中のハイブリッド車両のクラッチC1の入出力回転速度を同期させる。このようにクラッチC1の入出力回転速度を同期させられた時点で、その同期を示し信号に従って前記クラッチ係合制御装置90によりクラッチC1が係合させられる。
【0027】上記吸気弁20および排気弁22によるエンジン回転速度制御機能は、エンジン回転速度NE をクラッチC1の同期回転まですみやかに変化させてその同期回転に維持するために用いられるものであり、吸気弁20および排気弁22の開閉タイミング(作動位相)、作動角範囲、リフト量を調節することにより得られる。たとえば、吸気弁20はその弁解放期間を調節することにより吸入空気量の調節を行うスロットル弁としての機能を持つことができるので、気筒の吸入行程における吸気弁20の開期間やリフト量を変化させることによりエンジン出力トルクを増加させる一方、エンジン10において吸気弁20が閉じられる気筒の圧縮工程において排気弁22を閉じて回転抵抗を大きくすることにより、エンジン出力トルクを低下させることができ、それら異なる方向の制御を適宜実行することにより、エンジン回転速度NE を応答性よく且つ安定的に制御できるのである。
【0028】図9は、電子制御装置90による制御作動の要部すなわちモータ走行からエンジン走行へ切り換えるためのクラッチC1の同期制御ルーチンを説明するフローチャートであり、数msec 乃至数十msec 程度の極めて短い周期で繰り返し実行される。
【0029】図9において、前記モータ走行判定手段94に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1では、ハイブリッド車両がクラッチC1の後段に配置されたモータジェネレータMG2を駆動源として走行させられるモータ走行中であるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記エンジン切換判定手段96に対応するS2において、ハイブリッド車両のモータ走行中において駆動源をモータジェネレータMG2からエンジン10へ切り換える判定即ちモータ走行からエンジン走行への切換判定が行われたか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、前記電磁駆動弁判定手段98に対応するS3において、電磁アクチュエータ24および26によりそれぞれ開閉駆動される吸気弁20および排気弁22による回転速度制御機能が得られる状態であるか否かが判断される。
【0030】上記S3の判断が肯定される場合すなわち吸気弁20および排気弁22による回転速度制御機能が得られる状態である場合は、前記回転速度同期制御手段100に対応するS4において、エンジン10を駆動輪21に連結してエンジン走行を行うために、エンジン10が起動されるとともに、上記吸気弁20および排気弁22によるエンジン回転速度制御機能、またはそれに加えてクラッチC1の前段側(エンジン側)に設けられたモータジェネレータMG1によるエンジン回転速度制御機能を用いて、モータ走行中のハイブリッド車両のクラッチC1の入出力回転速度が同期させられた後、そのクラッチC1が係合させられる。しかし、上記S3の判断が否定される場合は、前記回転速度同期制御手段100に対応するS5において、モータジェネレータMG1による回転速度制御機能を用いて、モータ走行中のハイブリッド車両のクラッチC1の入出力回転速度が同期させられた後、そのクラッチC1が係合させられる。
【0031】図10は、上記の作動を説明するタイムチャートである。図10のt1 は上記エンジン10の起動時点を示しており、t1 時点乃至t2 時点は上記回転速度同期制御手段100によるエンジン回転速度制御によるクラッチC1の入出力回転速度の同期制御区間を示し、t3 時点は同期後のクラッチC1の係合開始点を示している。
【0032】上述のように、本実施例によれば、回転速度同期制御手段100(S4)により吸気弁20および排気弁22(電磁駆動弁)を用いてクラッチC1の入出力回転が同期させられたときに、クラッチ係合制御手段90によりそのクラッチC1が係合させられるので、たとえばエンジン走行モードへの切換に際してクラッチC1の係合ショックが好適に回避される。また、専らモータジェネレータMG2を用いて上記クラッチC1の入出力回転を同期させる場合に比較して、そのモータジェネレータMG2の使用不可状態や使用制限域内となったりしてそのクラッチC1の同期制御が困難となり係合ショックが発生するということが好適に解消される。
【0033】また、本実施例によれば、電磁アクチュエータ24および26によりそれぞれ開閉駆動される吸気弁20および排気弁22による回転速度制御機能が得られる状態であるか否かを判定する電磁駆動弁判定手段98(S3)が設けられ、回転速度同期制御手段100(S5)は、その電磁駆動弁判定手段98により上記吸気弁20および排気弁22による回転速度制御機能が得られる状態ではないと判定された場合には、クラッチC1の前段においてエンジン10と連結されたモータジェネレータMG1を用いてエンジン回転速度NE を制御することによりクラッチC1の入出力回転を同期させるものであることから、電磁駆動弁である吸気弁20および排気弁22による回転速度制御が不可である場合でも、係合ショックの発生が防止される。
【0034】また、本実施例によれば、回転速度同期制御手段100(S4)により、電磁アクチュエータ24および26によりそれぞれ開閉駆動される吸気弁20および排気弁22とモータジェネレータMG1との両方を用いてクラッチC1の入出力回転が同期させられたときに、クラッチ係合制御手段90によりそのクラッチC1が係合させられるので、たとえばエンジン走行モードへの切換に際してクラッチの係合ショックが好適に回避される。また、専らモータジェネレータMG1を用いて上記クラッチC1の入出力回転を同期させる場合に比較して、そのモータジェネレータMG1の使用不可状態や使用制限域内となったりしても、電磁駆動弁によってそのクラッチC1の同期制御が行われるので、係合ショックが発生することが好適に防止される。
【0035】また、本実施例によれば、ハイブリッド車両がモータ走行中であるか否かを判定するモータ走行判定手段94(S1)と、そのモータ走行判定手段94によりハイブリッド車両がモータ走行中であると判定されているときに、エンジン10を作動させるエンジン走行モードへの切換指令を判定するエンジン切換判定手段96(S4)とを含み、前記回転速度同期制御手段100(S4)は、そのモータ走行判定手段94によりハイブリッド車両がモータ走行中であると判定され、且つエンジン切換判定手段96によりエンジンを作動させる走行モードへの切換指令が判定された場合に、電磁アクチュエータ24および26によりそれぞれ開閉駆動される吸気弁20および排気弁22、または吸気弁20および排気弁22とモータジェネレータMG1とを用いてクラッチC1の入出力回転を同期させるものであることから、ハイブリッド車両がモータ走行からエンジンを作動させる走行モードへ切り換えられるときに、クラッチC1の入出力回転が同期させられるので、クラッチC1の係合ショックが好適に防止される。
【0036】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0037】たとえば、前述の実施例では、駆動源として専らモータジェネレータMG2を用いるモータ走行から駆動源として専らエンジン10を用いるエンジン走行への切換に際してのクラッチC1の同期制御について説明されていたが、そのモータ走行からモータジェネレータMG2とエンジン10との両方を駆動源として用いるエンジンモータ走行への切換に際してのクラッチC1の同期制御に対しても適用される。
【0038】また、前述の実施例では、クラッチC1の後段には、モータジェネレータMG2と副変速部14および無段変速部16から成る無段変速機17とが設けられていたが、そのモータジェネレータMG2は電動機であってもよいし、その無段変速機17は、たとえば複数組の遊星歯車装置から成る自動変速機などの有段変速機であってもよい。
【0039】また、前記無段変速部16は、動力伝達部材として機能する伝動ベルト66が有効径が可変である一対の可変プーリ60および64に巻き掛けられた所謂ベルト式無段変速機であったが、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンと、その軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧され、そのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機などであってもよい。このトラクション型無段変速機では、一対のコーンの間で挟圧されるローラが動力伝達部材として機能している。
【0040】また、前述の実施例において、モータジェネレータMG2によりトルク振動を低減させるトルク振動低減手段92が設けられていたが、モータジェネレータMG2やトルク振動低減手段92は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0041】また、前述の実施例において、前後進の切換および前進2段の変速機能を備えた副変速部14がエンジン10と無段変速部16との間に設けられていたが、無段変速部16の出力側に設けられていてもよいし、副変速部14は必ずしも前進2段の変速機能を備えたものでなくてもよい。
【0042】また、前述の実施例では、モータジェネレータMG1およびMG2が備えられていたが、本発明の実施には必ずしも2つのモータが設けられる必要はなく、たとえば請求項1および2にかかる発明の実施には、クラッチC1の後段に設けられたモータジェネレータMG2だけでもよい。
【0043】その他、一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【代理人】 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
【公開番号】 特開2003−212004(P2003−212004A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−9609(P2002−9609)