| 【発明の名称】 |
作業車輛の走行変速装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 康秀 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1 三菱農機株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】後進変速レバーの操作で後進のみ所望の速度に変更できる作業車輛の走行変速装置を提供する。
【解決手段】レバー4L,3Lの操作により機体の走行速度を複数段に変速する変速機構4K,3Kと、前後進切換レバー7Lのレバー操作により前後進の切り換えを行なう前後進変速機構7とを備え、前記変速レバー4L,3Lのレバー操作により選択された走行速度にて、前記前後進切換レバー7Lをレバー操作して機体を前進又は後進させる作業車輛である。前記前後進変速機構7に後進速度を選択できる後進変速機構5Kを併設し、該後進変速機構5Kを後進変速レバー5Lで操作して、予め、所望の後進速度を設定する |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レバー4L,3Lの操作により機体の走行速度を複数段に変速する変速機構4K,3Kと、前後進切換レバー7Lのレバー操作により前後進の切り換えを行なう前後進変速機構7とを備え、前記変速レバー4L,3Lのレバー操作により選択された走行速度にて、前記前後進切換レバー7Lをレバー操作して機体を前進又は後進させる作業車輛において、前記前後進変速機構7に後進速度を選択できる後進変速機構5Kを併設し、該後進変速機構5Kを後進変速レバー5Lで操作して、予め、所望の後進速度を設定することを特徴とする作業車輛の走行変速装置。 【請求項2】 前記前後進切換レバー7Lにレバー規制部63を設け、前記変速レバー4L,3Lを高速側に傾倒させたとき、前記レバー規制部63が前後進切換レバー7Lを後進側にレバー操作できないようにする請求項1記載の作業車輛の走行変速装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、トラクタなどの作業車輛における走行変速装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、作業車輛としてのトラクタは、主変速レバーのレバー操作によって機体の走行速度を複数段に選択する主変速機構と、副変速レバーのレバー操作によって主変速機構で設定された走行速度を更に変速する副変速機構と、シャトルレバー(前後進切換レバー)のレバー操作によって前進又は後進の切り換えを行なう前後進変速機構とをトランスミッションに備え、主変速レバー及び副変速レバーのレバー操作によって選択された走行速度にて、シャトルレバーを前後方向に操作して機体を前進又は後進させている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような走行変速装置を備えたトラクタは、前進又は後進時における走行速度が主変速レバー及び副変速レバーを操作して選択した速度比率によって決定されるので、作業の種類によっては、シャトルレバーと、副変速レバー又は主変速レバーを同時に変速作動させなければ作業を効率的に行なうことができず、レバー操作が煩わしかった。 【0004】また、初心者は、後進速度が速過ぎると、操縦が困難になるので、後進時には、スロットルレバーや副変速レバーなどを同時に操作して速度調整する必要がある。また、前進時には、トラクタやトラクタに装着している作業機の能力をフルに発揮させて作業を行なうために、シャトルレバーを前進側に切り返すとともに、その他のレバーを元の高速側に戻すレバー操作が必要であった。 【0005】一方、熟練者がローダー作業などを行なう場合には、作業の能率を上げるために、後進速度を運転に支障がない範囲でできるだけ速くして後進時間を短縮し、前進走行によるローダ作業などを促進しようとする。 【0006】このような作業において、前進時と後進時との速度比率は、主変速レバーと副変速レバーとの操作によって固定したものとなっているので、作業者の熟練度や作業の種類などによっては前後進変速機構の機能が充分に発揮されないという問題があった。 【0007】本発明は、係る従来の問題を解消するものであり、後進変速レバーの操作で後進速度のみ所望の速度に変更することができる作業車輛の走行変速装置を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の本発明は、レバー4L,3Lの操作により機体の走行速度を複数段に変速する変速機構4K,3Kと、前後進切換レバー7Lのレバー操作により前後進の切り換えを行なう前後進変速機構7とを備え、前記変速レバー4L,3Lのレバー操作により選択された走行速度にて、前記前後進切換レバー7Lをレバー操作して機体を前進又は後進させる作業車輛において、前記前後進変速機構7に後進速度を選択できる後進変速機構5Kを併設し、該後進変速機構5Kを後進変速レバー5Lで操作して、予め、所望の後進速度を設定することを特徴している。 【0009】また、請求項2に記載の本発明は、前記前後進切換レバー7Lにレバー規制部63を設け、前記変速レバー4L,3Lを高速側に傾倒させたとき、前記レバー規制部63が前後進切換レバー7Lを後進側にレバー操作できないようにしている。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。 【0011】図1において、1は、図示しないトラクタ(作業車輛)のトランスミッションケースであり、このトランスミッションケース1内に、エンジン1aの出力軸から主クラッチ1b及び減速ギヤ部1cを介して回転される入力軸2を機体の前後方向に横設している。また、入力軸2の後端には、入力軸2と一直線状になるように、PTO変速軸2aを軸架している。このPTO変速軸2aの回転速度は、図示しないPTO変速レバーによって変速される。 【0012】上記の入力軸2によって駆動される各種の伝動軸、すなわち、副変速軸3、主変速軸4、変速アイドラ軸4a、バック変速軸5、バックアイドラ軸5a及びファイナル軸2eは、入力軸2に対して平行に軸支されている。ファイナル軸2eは、左右の後輪2bに対応するブレーキ装置2cを備えた差動ギヤ装置2dを駆動するようにしている。また、ファイナル軸2eからクラッチギヤ機構2fを介して前輪伝動軸2gに動力を伝達するようにしている。また、副変速軸3と主変速軸4は、ジョイント部8を介して互いに連結している。 【0013】これらの各軸は、後で説明する各種のギヤ及びクラッチ機構を備え、図示しない操縦部に設置した主変速レバー4Lと、副変速レバー3Lと、後進変速レバー5Lとをそれぞれ操作することによって前進及び後進時における変速域を複数段にわたって選択できるようにしている。また、前後進切換レバー7Lを前後方向へ傾倒することによって前進速度と後進速度とを択一的に選択できるようにしている。更に、図3に示すように、前後進切換レバー7Lの後進変速側へのレバー操作を後進高速規制機構6によって規制するようにしている。 【0014】図2に示すように、入力軸2の後端側の入力ギヤ24によって変速アイドラ軸4aを常時回転させ、この変速アイドラ軸4aに設けた4枚のギヤ4c,4d,4e,4fと常時噛合する4枚の変速ギヤ4h,4i,4j,4kを主変速軸4に遊転自在に軸支するとともに、主変速軸4に設けたシンクロメッシュ方式の2個のクラッチ部40,41を主変速レバー4Lの傾倒によって前後方向に個別に移動させることにより、上記4枚の変速ギヤ4h,4i,4j,4kを変速アイドラ軸4aの4枚のギヤ4c,4d,4e,4fと択一的に係合せしめて4段の変速が可能な主変速機構4Kを構成するようにしている。 【0015】また、副変速軸3には、前後進切換レバー7L(図3参照)によって操作可能なシンクロメッシュ方式のクラッチ部30を設けるとともに、このクラッチ部30の前側に高速ギヤ31と、中速ギヤ32と、中間ギヤ33とを一体化したギヤ群35を遊転軸支し、更に、その後側に後進伝動ギヤ50を遊転軸支し、前記クラッチ部30を前後進切換レバー7L(図3参照)の傾倒操作によって副変速軸3の前後に移動させるようにし、これにより前進及び後進時の変速を任意に選択できる前後進変速機構7を構成している。 【0016】また、バック変速軸5には、前後進変速機構7の高速ギヤ31に噛合する伝動ギヤ51を設けるとともに、高速ギヤ56と低速ギヤ54からなる後進変速ギヤ52をスライド可能に設け、更に、後進変速レバー5Lのレバー操作によって後進変速ギヤ52を前後に移動させたとき、後進変速ギヤ52の高速ギヤ56と低速ギヤ54の何れか一方と択一的に噛合する後進アイドルギヤ53をバックアイドラ軸5aに遊転軸支させることにより、後進変速機構5Kを構成している。 【0017】そして、係る構成により主変速機構4Kによって変速された各回転速度を、更に、高低の2段階変速した状態で高速ギヤ31に伝達し、後進時の変速を2段に変速することを可能にしている。 【0018】また、ファイナル軸2eは、副変速レバー3Lのレバー操作によって移動される高速ギヤ31と噛合い可能な副変速ギヤ20と、中速ギヤ32と噛合い可能な副変速ギヤ21とをスライド可能に設け、この前側に前述の中間ギヤ33と、後述する入力軸2のカウンタギヤ23とに噛合するカウンタギヤ22を遊転軸支し、その後側に前輪伝動軸2gのクラッチギヤ機構2fに伝動する伝動ギヤ25を設けている。 【0019】また、上記入力軸2には、前記カウンタギヤ23と、副変速ギヤ21に噛合可能な超低速ギヤ26と、高速側の副変速ギヤ20に噛合可能な低速ギヤ27とを遊転軸支するとともに、前記クラッチギヤ機構2fの伝動ギヤ25’を遊転軸支している。 【0020】更に、副変速レバー3Lによって副変速ギヤ20を高速ギヤ31に噛み合わせると、高速に副変速し、副変速レバー3Lによってファイナル軸2eの低速側の副変速ギヤ21を副変速軸3の中速ギヤ32に噛合させると、主変速機構4K及び後進変速機構5Kによって選択された回転をファイナル軸2eを介して差動ギヤ装置2d及び伝動ギヤ25に伝え、後輪2bと前輪とを中速に副変速し、更に、高速側の副変速ギヤ20を低速ギヤ27に噛合させると、主変速機構4K及び後進変速機構5Kによる回転をカウンタギヤ22及びカウンタギヤ23を介してファイナル軸2eに伝え、後輪2bと前輪とを低速側に副変速させることができる副変速機構3Kを構成している。 【0021】尚、低速側の副変速ギヤ21は、副変速レバー3Lなどの任意操作手段によって超低速ギヤ26に噛合させると、ファイナル軸2eを更に超低速に減速して機体を超低速走行させるように構成している。 【0022】一方、主変速レバー4Lと、副変速レバー3Lと、後進変速レバー5Lの基部側には、それぞれ、高速側への傾倒操作を検知する検知センサ4S,3S,5Sを設けている。これらのセンサ4S,3S,5Sは、図4に示すように、後進高速規制機構6(図3参照)の牽制回路65を構成し、ソレノイド60を作動せしめる検知判断部61に接続されている。 【0023】また、前後進変速機構7は、図4に示すように、前後進変速機構7のクラッチ部30を操作する前後進切換レバー7Lをクランク状のレバーガイド溝62に前後動可能に挿通させるとともに、レバーガイド溝62の中央部に中立位置64を設置し、前後進切換レバー7Lの前方操作でクラッチ部30を介してギヤ群35に伝えて前進時の変速を行ない、また、後方操作でクラッチ部30を後進伝動ギヤ50に噛合せしめて後進時の変速を行なうようにしている。 【0024】また、レバーガイド溝62の中立位置64よりやや後部側にソレノイド60のON・OFFによって進退可能なピン状のレバー規制部63を設けることによって後進高速規制機構6を構成し、主変速レバー4Lと副変速レバー3Lとが高速側に変速され、且つ、後進変速レバー5Lが高速側に変速されているときは、各レバーの基部に設けた検知センサ3S,4S,5Sが全てONになり、検知判断部61をしてソレノイド61をONせしめ、ピン状のレバー規制部63をレバーガイド溝62内に突出させて、前後進切換レバー7Lの後進側への移動を規制し、高速での後進を牽制している。 【0025】また、上記牽制回路65には、メインスイッチ6Sを設けており、該メインスイッチ6SをOFFにすると、ピン状のレバー規制部63をレバーガイド溝62から退動させて後進変速レバー5Lが高速側にあっても前後進切換レバー7Lによる後進を自由に行なうことができるので、高速後進が可能になる。 【0026】上記構成の走行変速装置を備えたトラクタは、牽制回路65のメインスイッチ6SをONにした状態で耕耘や代掻などの作業を行なうとき、作業者は、圃場の状態や習熟度などの作業条件により後進変速レバー5Lを操作し、後進変速機構5Kを高速又は低速側に選択変速する。 【0027】また、主変速レバー4L及び副変速レバー3Lは、上記後進変速操作に先立って、或いは、その以降において、上記作業条件に適応した作業速度を選択変速し、エンジン1aのスロットルレバーをフルスロットル状態に保持し、作業が行なわれる。 【0028】このような作業において、機体は、主変速機構4Kと副変速機構3Kとの組合せによって選択された速度で前進するが、後進する場合には、後進変速レバー5Lによって後進速度を、予め、選択し、選択された速度で高速又は低速後進させるので、作業者及び作業条件に適応した後進を行なうことができる。 【0029】特に、このトラクタによりロータリ耕耘作業をするときは、後進変速レバー5Lを、予め、低速側に操作した後、前後進切換レバー7Lを後進側に操作すると、後進速度の遅い作業ができるから、安全に作業を行なうことができる。 【0030】逆に、ローダー作業を行なう場合は、後進変速レバー5Lを、予め、高速側に操作した後、前後進切換レバー7Lを後進側に操作すると、後進高速を行ない、作業能率を上げることができる。 【0031】また、荷台車などを牽引するトレラー作業を行なう場合には、メインスイッチ6SをONにした後に、主変速レバー4L、副変速レバー3L及び後進変速レバー5Lを高速側に操作すると、既述のレバー規制部63のピン状のレバー規制部63が前後進切換レバー7Lの後進を規制するので、前後進切換レバー7Lの前進操作で機体を高速状態で能率よく走行させる一方、高速度で不慮に後進させることによる不具合が自動的に防止される。 【0032】その後、主変速レバー4L、副変速レバー3L及び後進変速レバー5Lのいずれかを低速側に操作すると、レバー規制部63が退動するので、前後進切換レバー7Lの後進操作が可能になり、トラクタは、所望の後進速度で後進することができる。 【0033】 【発明の効果】上記のように、本発明は、レバー4L,3Lの操作により機体の走行速度を複数段に変速する変速機構4K,3Kと、前後進切換レバー7Lのレバー操作により前後進の切り換えを行なう前後進変速機構7とを備え、前記変速レバー4L,3Lのレバー操作により選択された走行速度にて、前記前後進切換レバー7Lをレバー操作して機体を前進又は後進させる作業車輛において、前記前後進変速機構7に後進速度を選択できる後進変速機構5Kを併設し、該後進変速機構5Kを後進変速レバー5Lで操作して、予め、所望の後進速度を設定するようにしたので、前後進切換レバー7Lを操作するのみで、前後進でき、また、後進時の速度を適正に切り換えて、安全に、且つ、能率的に作業を推進することができる。 【0034】また、本発明は、前記前後進切換レバー7Lにレバー規制部63を設け、前記変速レバー4L,3Lを高速側に傾倒させたとき、前記レバー規制部63が前後進切換レバー7Lを後進側にレバー操作できないようにしているので、高速での後進が規制され、初心者でも安心してトレーラ作業等を行なうことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社 【住所又は居所】島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
|
| 【出願日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066865 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−211986(P2003−211986A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−9503(P2002−9503) |
|