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【発明の名称】 車両用走行制御装置
【発明者】 【氏名】瀬戸 陽治
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【氏名】山村 吉典
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】先行車の追従制御において、車間距離制御を解除タイミングを運転者に煩わしい運転再開操作を行う頻度が少なくなるように設定する。

【解決手段】車間距離センサで検出した車間距離Lと車速センサで検出した自車速VS に基づいて車間距離制御部で車速指令値V* を算出し、この車速指令値に基づいて車速制御部で駆動軸トルク指令値TW * を算出し、この駆動軸トルク指令値に基づいて駆動軸トルク制御部でブレーキ液圧指令値PB * 及びスロットル開度指令値θ* を演算する。車間距離制御部では、車間距離制御解除条件として、自車速Vsが制御解除車速VR 以下であり、且つ先行車車速Vtが制御解除車速VR もしくはこれより低い値以下であるか又は相対車速ΔVが“0”以下であるときに設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車速を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離検出値を目標車間距離に一致させるために当該車間距離検出値及び前記自車速検出手段で検出した自車速に基づいて車速指令値を演算する車間距離制御手段と、該車間距離制御手段で演算した車速指令値に応じて駆動力及び制動力の何れか一方を制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記先行車の車速を検出する先行車車速検出手段と、前記自車速検出手段で検出した自車速と前記先行車車速検出手段で検出した先行車車速とに基づいて車間距離制御手段による車間距離制御を解除する制御解除手段とを備えていることを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項2】 前記制御解除手段は、自車速及び先行車車速が共に制御解除車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。
【請求項3】 前記制御解除手段は、自車速が第1の制御解除車速以下であり、且つ先行車車速が第1の制御解除車速より小さい第2の制御解除車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。
【請求項4】 前記第2の制御解除車速は零近傍値に設定されていることを特徴とする請求項3記載の車両用走行制御装置。
【請求項5】 先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車速を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離検出値を目標車間距離に一致させるために当該車間距離検出値及び前記自車速検出手段で検出した自車速に基づいて車速指令値を演算する車間距離制御手段と、該車間距離制御手段で演算した車速指令値に応じて駆動力及び制動力の何れか一方を制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段と、前記自車速検出手段で検出した自車速と前記相対車速検出手段で検出した相対車速とに基づいて車間距離制御手段による車間距離制御を解除する制御解除手段とを備えていることを特徴とする車両用走行制御装置。
【請求項6】 前記制御解除手段は、自車速が制御解除車速以下であり、且つ相対車速が零以下の設定車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の車両用走行制御装置。
【請求項7】 前記制御解除手段は、自車速が制御解除車速以下であり、且つ相対車速が負値の設定車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の車両用走行制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、先行車を認識して所定の車間距離を保ちつつ追従走行する車両用走行制御装置に係り、特に自車が停止する前に車間距離制御を解除するようにした車両用走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の先行車追従制御装置としては、例えば本出願人が先に提案した特開2000−313245号公報(以下、単に従来例と称す)に記載されているものが知られている。上記従来例には、先行車両に所定車間距離を維持しながら追従走行制御を行っている状態で、自車速が減速状態で、予め設定した第1の設定車速V0 以下となったときに、その時点の目標加減速度α* (負の値)が設定値α0 より小さいとき即ち車両減速度が大きいときには目標加減速度α* を大きくして、車両減速度を小さくし、自車速が第1の設定車速V0 より小さい第2の設定車速V1 以下となったときに、目標加減速度α* を徐々に大きくして車両減速度を減少させることにより、緩やかな減速度変化で追従走行制御を解除するようにした車両用走行制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例にあっては、自車速が第2の設定車速V1 以下となったときに、車両減速度を減少させて緩やかな減速度変化で追従走行制御を解除するようにしているので、図15(a)に示すように、先行車が特性線LP で示すように制御解除車速近傍まで減速した後に制御解除車速より高い一定車速を維持する状態となったときに、自車が特性線LS で示すように先行車の減速に追従して減速するが、先行車が一定車速に移行したときに、アンダーシュートを生じて自車速が制御解除車速以下となることにより車間距離制御が解除されてしまう場合があり、先行車が制御解除車速を超えて走行しており、自車は制御解除車速より高い車速で追従走行可能な状態であるにもかかわらず制御が解除されてしまい、運転者は再度制御開始操作を行わなければならず、その操作が煩わしいという未解決の課題がある。
【0004】これを解決するために、制御解除車速を低く設定することが考えられるが、この場合には、図15(b)に示すように、先行車が継続して減速するようシーンにおいては車間距離制御が解除されるタイミングが遅れてしまうという新たな未解決の課題が発生する。また、制御解除車速がそもそも数km/h程度の極低車速域に設定されている場合には、それ以上低い値に設定すると、車両が一旦止まってから再度動き出すという運転者に大きな違和感を与えるという未解決の課題が新たに発生する。
【0005】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、制御車速域内で先行車に追従できない場合に遅れなく車間距離制御を解除して運転者に運転操作を受け渡し、追従可能な場合には制御解除を抑制して車間距離制御を継続するようにして、運転者の煩わしい操作を防止することができる車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車速を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離検出値を目標車間距離に一致させるために当該車間距離検出値及び前記自車速検出手段で検出した自車速に基づいて車速指令値を演算する車間距離制御手段と、該車間距離制御手段で演算した車速指令値に応じて駆動力及び制動力の何れか一方を制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記先行車の車速を検出する先行車車速検出手段と、前記自車速検出手段で検出した自車速と前記先行車車速検出手段で検出した先行車車速とに基づいて車間距離制御手段による車間距離制御を解除する制御解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】また、請求項2に係る車両用走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記制御解除手段は、自車速及び先行車車速が共に制御解除車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴としている。さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記制御解除手段は、自車速が第1の制御解除車速以下であり、且つ先行車車速が第1の制御解除車速より小さい第2の制御解除車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴としている。
【0008】さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置は、請求項3に係る発明において、前記第2の制御解除車速は零近傍値に設定されていることを特徴としている。なおさらに、請求項5に係る車両用走行制御装置は、先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車速を検出する自車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離検出値を目標車間距離に一致させるために当該車間距離検出値及び前記自車速検出手段で検出した自車速に基づいて車速指令値を演算する車間距離制御手段と、該車間距離制御手段で演算した車速指令値に応じて駆動力及び制動力の何れか一方を制御する制駆動力制御手段とを備えた車両用走行制御装置において、前記先行車との相対車速を検出する相対車速検出手段と、前記自車速検出手段で検出した自車速と前記相対車速検出手段で検出した相対車速とに基づいて車間距離制御手段による車間距離制御を解除する制御解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】また、請求項6に係る車両用走行制御装置は、請求項5に係る発明において、前記制御解除手段は、自車速が制御解除車速以下であり、且つ相対車速が零以下の設定車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴としている。さらに、請求項7に係る車両用走行制御装置は、請求項5に係る発明において、前記制御解除手段は、自車速が制御解除車速以下であり、且つ相対車速が負値の設定車速以下であるときに車間距離制御を解除するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】請求項1に係る車両用走行制御装置によれば、自車速と先行車車速とに基づいて車間距離制御手段の車間距離制御を解除するようにしているので、例えば自車速に対する制御解除車速に対して先行車車速の制御解除車速を低い値に設定することにより、先行車の走行状態を考慮して自車の車間距離制御の解除を判断することができ、不必要な制御解除による制御開始操作を行う煩わしさを解消することができると共に、運転者への制御移譲のタイミング遅れも解消することができるという効果が得られる。
【0011】また、請求項2に係る車両用走行制御装置によれば、自車速及び先行車車速が共に制御解除車速以下となったときに、車間距離制御を解除するので、車速解除車速を極低速に設定した場合でも、先行車の走行状態に合わせて車間距離制御の解除を正確に行うことができるという効果が得られる。さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置によれば、自車速が第1の制御解除車速以下となり、且つ先行車車速が第1の制御解除車速より低い第2の制御解除車速以下となったときに車間距離制御を解除するようにしたので、自車速が第1の制御解除車速以下となった場合でも先行車車速が自車速より低い状態即ち車間距離が縮まる状態とならない限り、車間距離制御を継続することができるという効果が得られる。
【0012】さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置によれば、先行車に対する制御解除車速が零に設定されているので、先行車が停車状態となるまで、車間距離制御を継続することができるという効果が得られる。なおさらに、請求項5に係る車両用走行制御装置によれば、自車速と先行車に対する相対車速に基づいて車間距離制御手段の車間距離制御を解除するようにしているので、自車速が制御解除車速以下となり、且つ相対車速が車間距離を維持するか車間距離が低下する方向に変化したときに車間距離制御を解除することができ、不必要な制御解除による制御開始操作を行う煩わしさを解消することができると共に、運転者への制御移譲のタイミング遅れも解消することができるという効果が得られる。
【0013】また、請求項6に係る車両用走行制御装置によれば、自車速が制御解除車速以下となり、且つ相対速度が零以下となったときに、車間距離制御を解除するようにしたので、先行車車速が自車速以下となるまで、車間距離制御を継続することができるという効果が得られる。さらに、請求項7に係る車両用走行制御装置によれば、自車速が制御解除車速以下となり、且つ相対速度が負値となったときに、車間距離制御を解除するようにしたので、先行車車速が自車速を下回って車間距離が縮まる状態となるまで車間距離制御を継続することができるという効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す概略構成図であって、図中、1は車両であって、その前方端にレーザ光を照射して先行車からの反射光を受光するレーダ方式の構成を有する車間距離センサ2が配設されている。なお、車間距離センサ2としては、レーザ光に限らずミリ波等の電波や超音波を利用して車間距離を計測するようにしてもよい。
【0015】また、エンジン3で発生される回転駆動力が車速とエンジントルクに応じて変速ギヤ比が制御される自動変速機4に伝達され、この自動変速機4から後輪又は前輪の駆動輪に伝達され、各車輪にディスクブレーキ等のブレーキアクチュエータ5が設けられている。そして、自動変速機4の出力軸に車速センサ6が取付けられ、この車速センサ6から出力軸の回転速度に応じた周期のパルス列を出力する。また、エンジン3にはスロットルバルブ開度信号に応じてスロットルバルブを開閉し、エンジンへの吸入空気量を変更してエンジン出力を調整するスロットルアクチュエータ7が配設されている。
【0016】また、ブレーキアクチュエータ5、スロットルアクチュエータ7、が追従制御用コントローラ8によって制御される。この追従制御用コントローラ8には、車間距離センサ2及び車速センサ6の各出力信号が入力され、この追従制御用コントローラ8によって、車間距離センサ2で検出した車間距離L、車輪速度センサ6で検出した自車速VS に基づいて、ブレーキアクチュエータ5及びスロットルアクチュエータ7を制御することにより、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行する追従走行制御を行う。
【0017】この追従制御用コントローラ8は、マイクロコンピュータとその周辺機器を備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。この制御ブロックは、車間距離センサ2でレーザー光を照射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車との車間距離Lを演算する測距信号処理部21と、車速センサ6からの車速パルスの周期を計測し、自車速VS を演算する車速信号処理部30と、測距信号処理部21で演算された車間距離L及び車速信号処理部30で演算した自車速VS に基づいて車間距離Lを目標車間距離L* に維持する車速指令値V* を演算する車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した車速指令値V* に基づいて目標駆動軸トルクTW * を演算する車速制御部50と、この車速制御部50で演算した目標駆動軸トルクTW* に基づいてブレーキアクチュエータ5及びスロットルアクチュエータ7に対するスロットル開度指令値θ* 及びブレーキ液圧指令値PB * を演算し、これらをブレーキアクチュエータ5を含むブレーキ液圧サーボ系100及びスロットルアクチュエータ7を含むスロットル開度サーボ系110に出力する駆動輪軸トルク制御部60とを備えている。
【0018】車間距離制御部40は、図3に示す車間距離制御処理を実行する。この車間距離制御処理は、所定のメインプログラムに対する所定時間(例えば50msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、車間距離制御状態を表す制御状態フラグFCが車間距離制御中を表す“1”にセットされているか否かを判定し、FC=“1”で車間距離制御中であるときにはステップS2に移行して、車間距離Lを目標車間距離L* に一致させる車速指令値演算処理を実行してからステップS3に移行する。
【0019】このステップS3では、自車速VS が予め設定された比較的低速の制御解除車速VR 以下であり、且つ先行車車速Vtが制御解除車速VR 以下であるか否かを判定し、Vs≦VR 且つVt≦VR であるときにはステップS4に移行して、制御状態フラグFCを“0”にリセットすると共に、制御解除状態フラグFRを制御解除動作状態を表す“1”にセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0020】また、ステップS3の判定結果が、VS >VR 又はVt>VR であるときには、そのまま処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。一方、ステップS1の判定結果が、制御状態フラグFCが“0”にリセットされているものであるときにはステップS5に移行して、制御解除状態フラグFRが“1”にセットされているか否かを判定し、FR=“0”であるときには、制御解除状態ではないものと判断してステップS6に移行し、自車速Vsが制御解除車速VR にヒステリシス値V1 を加算した値(VR +V1 )以上であるか否かを判定し、Vs<VR +V1 であるときにはそのままタイマ割込処理を終了し、Vs≧VR +V1 であるときにはステップS7に移行する。
【0021】このステップS7では、運転者が制御開始スイッチSWがオン状態であるか否かを判定し、これがオフ状態であるときにはそのままタイマ割込処理を終了し、オン状態であるときには車間距離制御を再開するものと判断してステップS8に移行し、制御状態フラグFCを“1”にセットしてからタイマ割込処理を終了する。また、ステップS5の判定結果が、制御解除状態フラグFRが“1”にセットされているときには、ステップS9に移行し、後述する駆動トルク制御部60で算出されるブレーキ液圧指令値PB * が“0”であるか否かを判定し、これが“0”であるときにはステップS10に移行して、スロットル開度指令値θ* を全に設定してからステップS11に移行して、制御解除状態フラグFRを“0”にセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0022】さらに、ステップS9の判定結果が、PB * >0であるときには、ステップS12に移行して、現在のブレーキ液圧指令値PB * から所定減圧量ΔPを減算した値を新たなブレーキ液圧指令値PB * として設定してからステップS13に移行し、算出したブレーキ液圧指令値PB * が負値であるか否かを判定し、PB *≧0であるときにはそのままタイマ割込処理を終了してから所定のプログラムに復帰し、PB * <0であるときにはステップS14に移行して、ブレーキ液圧指令値PB * を“0”に設定すると共に、スロットル開度指令値θ* を“0”に設定し、次いで、ステップS15に移行して、制御解除状態フラグFRを“0”にリセットしてから処理を終了する。
【0023】そして、ステップS2の車速指令値演算処理は、図4に示すように、先ず、ステップS11で、測距信号処理部21で算出された車間距離L及び車速信号処理部30で算出された自車速VS を読込み、次いでステップS12に移行して、車間距離Lを微分して相対車速ΔVを算出すると共に、算出した相対車速ΔVを自車速Vsに加算して先行車車速Vt(=Vs+ΔV)を算出してからステップS13に移行する。
【0024】このステップS13では、自車速VS 及び予め設定された車間時間TH * に基づいて下記(1)式の演算を行って目標車間距離L* を算出する。
* =VS ×TH * +L0 …………(1)
この車間時間という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。なお、L0 は停止時車間距離である。次いでステップS14に移行して、先行車が存在するか否かを判定する。この判定は、車間距離Lが予め設定された先行車の有無を判断する閾値LTH以下であるか否かを判定することにより行い、L≦LTHであるときには先行車が存在するものと判断してステップS15に移行し、下記(2)式の演算を行って、車間距離Lを目標車間距離L* に一致させるための車速指令値V* を算出してからステップS17に移行する。
【0025】
* =KL (L−L* )+KV ・ΔV+VS …………(2)
ここで、KL ,KV は定数、ΔVは先行車との相対車速である。また、ステップS14の判定結果がL>LTHであって先行車が存在しないものであるときにはステップS15に移行して、運転者が速度設定スイッチ(図示せず)を操作して設定した設定車速VSSを車速指令値V* として設定してからステップS17に移行する。
【0026】ステップS17では、減速制御中であるか否かを判定し、減速制御中であるときにはステップS18に移行し、ステップS15又はS16で算出した車速指令値V* から1サンプリング周期前の前回の車速指令値V* (n-1) を減算した値が予め設定した車速指令値変化率制限値ΔvDW未満であるか否かを判定し、V* −V* (n-1) <ΔvDWであるときにはステップS19に移行して、前回の車速指令値V* (n-1) に車速指令値変化率制限値ΔvDWを加算した値を今回の車速指令値V* (n) として設定してからステップS21に移行する。
【0027】また、前記ステップS18の判定結果が、V* −V* (n-1) ≧ΔvDWであるときにはステップS20に移行して、ステップS15で算出した車速指令値V* をそのまま今回の車速指令値V* (n) として設定してからステップS21に移行する。さらに、前記ステップS17の判定結果が減速制御中ではなく、加速制御中であるときには、ステップS22に移行して、ステップS15で算出した車速指令値V* 又はステップS16で設定した車速指令値V* から1サンプリング周期前の前回の車速指令値V* (n-1) を減算した値が予め設定した加速用の車速指令値変化率制限値ΔvUPを超えているか否かを判定する。
【0028】この判定結果が、V* −V* (n-1) >ΔvUPであるときにはステップS23に移行して、前回の車速指令値V* (n-1) に車速指令値変化率制限値ΔvUPを加算した値を今回の車速指令値V* (n) として設定してからステップS21に移行し、V* −V* (n-1) ≦ΔvUPであるときにはステップS24に移行して、ステップS15で算出した車速指令値V* 又はステップS16で設定した車速指令値V* をそのまま今回の車速指令値V* (n) として設定してからステップS21に移行する。
【0029】ステップS21では、ステップS19、ステップS20、ステップS23又はステップS24で設定された今回の車速指令値V* (n) を車速制御部50に出力してから図3のステップS3に移行する。この図3及び4の処理において、S1及びS2の処理及び図4の処理が車間距離制御手段に対応し、ステップS3〜S5、S9〜S15の処理が制御解除手段に対応している。
【0030】車速制御部50は、入力される車速指令値V* (n) に自車速VS を一致させるための目標駆動軸トルクT* を演算する。具体的には、図5のブロック線図に示すように、車速指令値V* と自車速VS の偏差(V* −VS )に速度制御ゲインKSPを乗算して駆動軸トルクTW を演算し、これから走行抵抗の駆動軸トルク換算値TDHを減算して駆動軸トルク指令値TW * を算出する。ここで、走行抵抗の駆動トルク換算値TDHは走行抵抗推定部51で駆動軸トルク指令値T* と自車速VS に基づいて下記(3)式に従って演算される。
【0031】
DH=H(s) RW V sVS −H(s) TW * …………(3)
但し、MV は車重、RW はタイヤ半径である。この走行抵抗の駆動トルク換算値TDHを駆動軸トルクTW にフィードバックすることにより、路面勾配や空気抵抗及び転がり抵抗等の影響を排除することができる。この走行抵抗推定によって、制御系への外乱が排除されたとすると、車速指令値V* から自車速VS までの伝達特性は下記(4)式で表される。
【0032】
S =(KSP/MV )V* /(s+KSP/MV ) …………(4)
この(4)式から、車速制御ゲインKSPを適当な値に設定することで、車速制御系の応答特性を所望の特性に一致させることができる。また、駆動軸トルク制御部60は、車速制御部50で演算された駆動軸トルク指令値TW * を実現するためのスロットル開度指令値θ* 及びブレーキ液圧指令値PB * を演算する。具体的には、トルクコンバータのトルク増幅率をRT 、自動変速機ギヤ比をRAT、ディファレンシャルギヤ比をRDEF 、エンジンイナーシャをJE 、エンジン回転数をNE 、ブレーキトルクをTBRとすると、駆動軸トルクTW とエンジントルクTE との関係は、下記(5)式で表すことができる。
【0033】
W =RT ATDEF {TE −JE (dNE /dt)}−TBR ……(5)
したがって、目標駆動トルクTW * に対して、下記(6)式でエンジントルク指令値TE * を算出し、このエンジントルク指令値TE * を発生させるスロットル開度指令値θ* を図7に示すエンジンマップを参照して算出する。
E * =JE (dNE /dt)+TW * /RT ATDEF …………(6)
ここで、スロットル開度指令値θ* が零以上の正の値であれば、ブレーキアクチュエータ5を使用することなくエンジントルクのみで駆動軸トルク指令値TW *通りのトルクを実現できる。一方、スロットル開度指令値θ* が零以下の負の値でとなれば、スロットル開度を零とし、このときエンジンによって出力される駆動軸トルクを考慮し駆動軸トルクを目標値に一致させるためのブレーキ操作量を演算する。
【0034】以上により、エンジントルク指令値TE * と、ブレーキトルク指令値TB * の分配制御則は以下のようになる。
(A)スロットル開度指令値θ* >0のとき TB * =0 …………(7)
W =RT ATDEF {TE −JE (dNE /dt)} …………(8)
したがって、駆動軸トルク指令値TW * に対して次式のエンジントルクを発生させればよく、前記(5)式からブレーキ操作量は零となる。
【0035】
E =JE (dNE /dt)+TW * /RT ATDEF …………(9)
(B)スロットル開度指令値θ* =0のときスロットル開度が零のときのエンジントルクをTELIMとすると、前記(5)式は、下記(10)式となる。
W =RT ATDEF ELIM−TB * …(10)
したがって、駆動軸トルク指令値TW * に対して次式のブレーキトルクを発生させればよい。
【0036】
B * =−TW * +RT ATDEF ELIM …………(11)
ここで、ブレーキシリンダ面積をAB 、ロータ有効半径をRB 、パッド摩擦係数をμB とすると、目標ブレーキトルクTB * に対して、ブレーキ操作量であるブレーキ液圧指令値PB * は、下記(12)式で表すことができる。
B * =TB * /8AB B μB …………(12)
したがって、図6に示すように、駆動軸トルク指令値TW * をエンジントルク指令値演算部61に供給して前記(6)式に従って演算を行ってエンジントルク指令値TE * を演算し、このエンジントルク指令値TE * をスロットル開度演算部62に供給して、図7に示すエンジン回転数をパラメータとしてエンジントルク指令値TE * とスロットル開度指令値θ* との関係を表すエンジンマップを参照してスロットル開度指令値θ* を算出し、このスロットル開度指令値θ* をスロットル開度サーボ系110に出力する。
【0037】一方、エンジントルク演算部63で、スロットル開度指令値θ* 及びエンジン回転数NE をもとに図8に示すエンジンマップを参照してスロットル開度が零のときのエンジントルクTELIMを算出し、算出したエンジントルクTELIMを制駆動力補正値演算部64に供給することにより、この制駆動力補正値演算部64で、前記(11)式の右辺第2項の演算を行って、制駆動力補正値TWLIM(=RT ATDEF ELIM)を算出し、この制駆動力補正値TWLIM を制動力演算部65に供給することにより、この制動力演算部65で、制駆動駆動力補正値TWLIMから駆動軸トルク指令値TW * を減算してブレーキトルク指令値TB * を算出し、次いで前記(12)式の演算を行うことによりブレーキ液圧指令値PB * を算出し、これをブレーキ液圧サーボ系100に出力する。なお、先行車を検出していない状態では、ブレーキ液圧指令値PB * を“0”に設定して、エンジントルク制御のみの制動制御を行う。
【0038】このブレーキ液圧サーボ系100では、図6に示すように、ブレーキ液圧指令値PB * とブレーキ液圧センサ101で検出したブレーキ液圧検出値PBDとの偏差に基づいてブレーキアクチュエータ5をフィードバック制御する。一方、駆動軸トルク制御部60から出力されるスロットル開度指令値θ* はスロットル開度サーボ系110に供給され、このスロットル開度サーボ系110で、図6に示すように、スロットル開度指令値θ* とスロットル開度センサ111で検出したスロットル開度検出値θD との偏差に基づいてスロットルアクチュエータ7をフィードバック制御する。
【0039】なお、上述した車速制御部50、駆動軸トルク制御部60で制駆動力制御手段を構成している。次に、上記実施形態の動作を説明する。今、車両が市街地の平坦な路面を先行車を捕捉した状態で適正な目標車間距離を維持して追従走行しているものとする。この状態では、先行車が図9で点線図示のように定速走行しているものとすると、車間距離センサ2で検出される車間距離Lが目標車間距離L* を維持しており、車間距離演算部40で(2)式に従って算出される車速指令値V* (n) が自車速VS と略等しくなる。
【0040】このため、車速制御部50で車速指令値V* (n) と自車速VS との偏差に応じた自車速VS を維持する駆動軸トルク指令値TW * が算出され、これが駆動軸トルク制御部60に出力されることにより、エンジン演算部61で目標エンジントルクTE * が算出され、これに応じてスロットル開度演算部62で正(θ* >0)のスロットル開度指令値θ* が算出され、これがスロットル開度サーボ系110に供給されることにより、スロットルアクチュエータ7でスロットル開度が適正値に制御されて、自車も図9で実線図示のように目標車間距離L* を維持した定速走行状態を継続する。
【0041】このとき、スロットル開度指令値θ* が正の値であるので、ブレーキトルク指令値TB * が“0”となって、ブレーキ液圧指令値PB * も“0”となり、これがブレーキサーボ系100に出力され、ブレーキアクチュエータ5のブレーキ液圧が“0”即ち非制動状態に制御される。この定速走行状態から、時点t1で先行車が制動操作によって減速すると、車間距離センサ2で検出する車間距離Lが短くなることにより、車間距離演算部40で算出される車速指令値V* (n) が自車速VS より小さい値となり、車速制御部50で算出される駆動軸トルク指令値TW * が負の値となる。
【0042】このため、駆動軸トルク演算部60におけるエンジントルク演算部61で演算されるエンジントルク指令値TE * も負の値となることにより、図7のエンジンマップを参照して算出される目標スロットル開度指令値θ* が“0”となり、スロットルアクチュエータ7によってスロットル開度が“0”に制御される。一方、目標駆動軸トルクTW * が負となることにより、これとエンジントルク演算部63で算出されたエンジンブレーキトルクTELIMに基づいて制駆動力補正値演算部64で算出されるエンジンブレーキトルクTWLIMとが制動力演算部65で加算されて算出されるブレーキトルク指令値TB * が正の値となり、これに応じて算出されるブレーキ液圧指令値PB * が先行車両の減速度に応じた値となり、このブレーキ液圧指令値PB * がブレーキ液圧サーボ系100に出力されて、時点t1より遅れた時点t2で先行車両の減速に応じた減速状態となる。
【0043】このため、ステップS17で算出される今回の車速指令値V* から1サンプリング周期前の前回の車速指令値V* (n-1) を減算した車速指令値変化率ΔV* が車速指令値変化率制限値ΔvDW以上である場合には、ステップS18からステップS20に移行して、ステップS15で算出された車速指令値V* がそのまま今回の車速指令値V* (n) として設定され、この車速指令値V* (n) が車速制御部50に出力される。このため、それまでの減速度が維持される。
【0044】その後、時点t3で先行車が減速状態から定速走行状態に移行すると、自車はオーバーシュートによって減速状態を継続し、自車速Vsが時点t4で先行車車速Vtより低下する。この減速状態を継続して、ステップS14で算出される車速指令値V* から前回の車速指令値V* (n-1) を減算した車速変化率ΔV* が車速指令値変化率制限値ΔvDWを下回る状態となると、ステップS18からステップS19に移行して、前回の車速指令値V* (n-1) に車速指令値変化率制限値ΔvDWを加算した値が今回の車速指令値V* (n) として設定されることにより、車速指令値V* (n) の減少量が制限される。
【0045】このため、車速制御部50で算出される駆動軸トルク指令値TW * が減少し、これに応じて駆動軸トルク制御部60で算出されるブレーキ液圧指令値PB * も減少することにより、ブレーキアクチュエータ5で発生される制動力も減少することから減速度が緩和される。その後、時点t5で自車速VS が制御解除車速VR に達するが、この時点t5では先行車車速Vtが制御解除車速VR より高い値を維持しているので、図3の処理において、ステップS3からステップS4に移行することなくタイマ割込処理を終了するので、制御状態フラグFCが“1”を継続するので、次回の処理時にステップS1からステップS2に移行して車間距離制御状態を継続する。
【0046】しかしながら、先行車が時点t3で定速走行状態に移行せず、減速状態を継続して、先行車車速Vtが制御解除車速VR 以下となり、その後又はその前に自車速Vsが制御解除車速VR 以下となったときには、ステップS3の制御解除条件を満足するになるので、ステップS3からステップS4に移行して、制御状態フラグFCを“0”にリセットすると共に、制御解除フラグFRを“1”にセットする。
【0047】このため、次に図3の処理を開始したときに、ステップS1からステップS5に移行し、制御解除フラグFRが“1”にセットされているので、ステップS9に移行して、ブレーキ液圧指令値PB * が“0”でないとき即ち減速状態であるときにはステップS12に移行して、ブレーキ液圧指令値PB * を徐々に減少させて自車両の減速状態を徐々に緩和させる。その後、ステップS12で算出されるブレーキ液圧指令値PB * が負値となると、ブレーキ液圧指令値PB * を“0”とすると共に、スロットル開度指令値θ* も“0”に設定し、ステップS15で制御解除フラグFRを“0”にリセットしてからタイマ割込処理を終了することにより、車間距離制御が完全に解除されて制御が運転者による運転操作に移譲される。
【0048】その後、図3の処理が実行されると、ステップS1からステップS5に移行して、自車速VS が制御解除速度VR にヒステリシス値V1 を加算した値(VR +V1 )より低い状態を継続している場合にはステップS6からそのままタイマ割込処理を終了することにより、運転者による運転操作状態を継続する。この状態では、制御解除車速VR を停車状態に近い低速度に設定しておくことにより、運転者が余裕を持って運転操作を行うことができ、しかも、そのときの先行車との車間距離Lが通常走行時の車間距離に比較して長めに設定されているので、運転者がより十分な余裕を持って運転操作を行うことができる。
【0049】その後、運転者が運転操作によって加速状態として、自車速Vsが制御解除速度VR にヒステリシス値V1 を加算した値(VR +V1 )以上となった後に制御開始スイッチをオン状態とすると、ステップS7からステップS8に移行して、制御状態フラグFCが“1”にセットされる。このため、次に図3の処理が実行されたときにステップS1からステップS2に移行して、車間距離制御が再開される。
【0050】このとき、車間距離センサ2で先行車を捕捉しているものとし、この先行車が加速状態を継続するか車線変更によってさらに前方の先行車を捕捉した場合には、車間距離LがステップS12で算出される目標車間距離L* に比較して小さい値となるので、ステップS15で前回の車速指令値V* (n-1) より大きな値の車速指令値V* が算出される。このため、ステップS17で加速制御中であると判断されてステップS24に移行し、ステップS15で算出された車速指令値V* から前回の車速指令値V*(n-1) を減算した値が加速側の車速指令値制限値ΔvUPを超えたときにはステップS23に移行して、前回の車速指令値V* (n-1) に車速指令値制限値ΔvUPを換算して今回の車速指令値V* (n) を算出し、この車速指令値V* (n) を車速制御部50に出力することにより、正の駆動トルク指令値TW * が算出される。
【0051】この駆動トルク指令値TW * が駆動軸トルク制御部60に供給されることにより、エンジントルク指令値演算部61でエンジントルク指令値TE * が算出され、これがスロットル開度演算部62に供給されることにより、スロットル開度指令値θ* が算出され、これがスロットル開度制御系100を介してスロットルアクチュエータ7に供給されることにより、加速度を制限した加速制御が行われる。
【0052】また、加速制御中におけるステップS15で算出された車速指令値V* から前回の車速指令値V* (n-1) を減算した値が加速側の車速指令値制限値ΔvUP以下であるときには、ステップS24に移行して算出された車速指令値V* がそのまま今回の車速指令値V* (n) として設定され、これが車速制御部50に出力されるので、加速制御が行われる。さらに、車間距離センサ2で先行車を捕捉している状態から、先行車が加速するか又は車線変更するか、さらには自車両が車線変更することにより、車間距離センサ2で先行車を捕捉しない状態となると、図4の処理において、ステップS14からステップS16に移行して、運転者が予め設定した設定車速VSSが車速指令値V* として設定される。
【0053】この状態では、先行車を捕捉している状態から先行車を捕捉しない状態となることにより、ステップS15で設定される車速指令値V* が前回の車速指令値V* (n-1) よりかなり大きな値となるから、ステップS17を経てステップS22に移行したときに、V* −V* (n-1) >ΔvUPとなることから、ステップS23に移行して、前回の車速指令値V* (n-1) に加速側の車速指令値変化率抑制値ΔvUPを加算した値が今回の車速指令値V* (n) として算出され、これが車速制御部50に出力されることにより、加速度を制限した加速制御が行われる。
【0054】その後、先行車を捕捉しない状態を継続して、自車速VS が設定車速VSSを超える状態となると、図4の処理においては、車速指令値V* として設定車速VSSが引き続き設定されるが、車速制御部50で車速指令値V* から自車速VS を減算した値が負となるので、この偏差に応じた負の駆動軸トルク指令値TW * が算出され、これが駆動軸トルク制御部60に供給されて、エンジントルク演算部63でエンジントルクTELIMが算出され、制駆動力補正値演算部64でトルク補正値TWLIMが算出され、これが制動力演算部65に供給される。
【0055】このため、制動力演算部65でブレーキ液圧指令値PB * が算出されるが、この状態では、先行車を捕捉していないので、ブレーキ液圧指令値PB * が“0”に設定されて、ブレーキアクチュエータ5は非作動状態を継続する。しかしながら、スロットル開度演算部62で算出されたスロットル開度指令値θ* が小さい値となることにより、エンジンブレーキによる制動力が作用して、緩やかな減速状態で自車速VS が設定車速VSSまで減速され、乗心地を向上させることができる。
【0056】このように、上記第1の実施形態では、車間距離制御を行っている状態で、先行車の先行車車速Vtが低下するが、制御解除車速VR よりは高い状態を維持し、一方自車速Vsが制御解除車速VR を下回ったときには、車間距離制御を継続することができ、運転者が車間距離制御が解除された後に行う制御開始スイッチの操作等の煩わしい操作を抑制することができる。また、車間距離制御を解除する際に、ブレーキ液圧指令値PB * が正値であって、減速状態であるときには、このブレーキ液圧指令値PB * が徐々に減少されて、これが“0”となったときに車間距離制御が解除されるので、車間距離制御解除時 に運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
【0057】次に、本発明の第2の実施形態を図10及び図11について説明する。この第2の実施形態は、車間距離制御を解除する制御解除条件が自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下であり、且つ先行車車速Vtが第1の制御解除車速VR1より小さい第2の制御解除車速VR2以下であることに変更したものである。すなわち、第2の実施形態では、図10に示すように、前述した第1の実施形態における図3の処理におけるステップS3の処理が省略され、これに代えて自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下であり、且つ先行車車速Vtが第2の制御解除車速VR2以下であるか否かを判定するステップS31に変更されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0058】この第2の実施形態によると、制御解除条件がVs≦VR1であり、且つVt≦VR2であるように設定されているので、図11(a)に示すように、自車両が車間距離制御状態にある場合に、先行車が減速して先行車車速Vtが点線図示のように比較的急激に減少し、これに応じて自車両も目標車間距離L* を保つように減速したときに、先行車車速Vtが第2の制御解除車速VR2より高い状態で一定車速を維持する走行状態となったときには、自車速Vsがオーバーシュートによって第1の制御解除車速VR1以下になったとしても、車間距離制御が解除されることはない。
【0059】ところが、図11(b)に示すように、先行車車速Vtが点線図示のように時点t11で比較的急な減速をした後に緩やかに減速する状態となって時点t13で第1の制御解除車速VR1以下となり、次いで時点t14で第2の制御解除車速VR2以下となる。この時点t14では自車速Vsがまだ第1の制御解除車速VR1より高いので、制御解除条件を満足せず、車間距離制御を継続するが、その後、時点t15で自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下となるので、制御解除条件を満足すると、先行車が停車状態に移行する可能性が高いものと判断して、ステップS31からステップS4に移行し、制御状態フラグFCが“0”にリセットされると共に、制御解除状態フラグFRが“1”にセットされる。
【0060】これにより、前述した第1の実施形態と同様に、ステップS9〜S15の処理を行うことにより、減速度を徐々に緩和して車間距離制御を解除し、運転者に制御を移譲する。このように、第2の実施形態によると、自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下となり、且つ先行車車速Vtが自車両の制御解除条件となる第1の制御解除車速VR1より低い第2の制御解除車速VR2以下となったときに、車間距離制御を解除するので、先行車車速Vtが第1の実施形態より低い状態となるまで、車間距離制御を継続することができ、より車間距離制御が解除される頻度を低下させて、制御解除後の制御再開操作を行う煩わしさをより低減することができる。
【0061】次に、本発明の第3の実施形態を図12及び図13について説明する。この第3の実施形態は、車間距離制御を解除する制御解除条件が自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下であり、且つ先行車との相対速度が“0”を含む負値となることに変更したものである。すなわち、第2の実施形態では、図12に示すように、前述した第1の実施形態における図3の処理におけるステップS3の処理が省略され、これに代えて自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下であり、且つ先行車に対する相対車速ΔV(=Vt−Vs)が“0”以下の負値であるか否かを判定するステップS32に変更されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0062】この第3の実施形態によると、制御解除条件がVs≦VR1であり、且つΔV≦≦0であるように設定されているので、図13(a)に示すように、自車両が車間距離制御状態にある場合に、先行車が減速して先行車車速Vtが点線図示のように比較的急激に減少し、これに応じて自車両も目標車間距離L* を保つように減速したときに、先行車車速Vtが第2の制御解除車速VR2より高い状態で一定車速を維持する走行状態となったときには、自車速Vsが先行車車速Vtを上回っている状態では、相対速度ΔVが負値となっているが、時点t21で自車速Vsがオーバーシュートによって先行車車速Vtより低下したときに、相対車速ΔVは正値となることにより、時点t21で自車速Vsが制御解除車速VR 以下となったとしても、前述した第1の実施形態と同様に、車間距離制御が解除されずに車間距離制御が継続される。
【0063】ところが、図13(b)に示すように、先行車車速Vtが点線図示のように比較的急な減速をした後に緩やかに減速する状態となって時点t21で制御解除車速VR 以下となり、これに応じて自車速Vsも比較的急な減速をした後に緩やかに減速する状態となり、時点t21より後の時点t22で制御解除車速VR 以下となると、自車速Vsが先行車車速Vtを上回った状態を継続することにより、相対速度ΔVが負値を継続することから、自車速Vsが制御解除車速VR 以下となった時点t22でステップS32からステップS4に移行し、制御状態フラグFCが“0”にリセットされると共に、制御解除状態フラグFRが“1”にセットされる。
【0064】これにより、前述した第1の実施形態と同様に、ステップS9〜S15の処理を行うことにより、減速度を徐々に緩和して車間距離制御を解除し、運転者に制御を移譲する。このように、第3の実施形態によると、自車速Vsが第1の制御解除車速VR1以下となり、且つ相対車速ΔVが“0”以下となったときに、車間距離制御を解除するので、先行車車速Vtが第1の実施形態より低い状態となるまで、車間距離制御を継続することができ、より車間距離制御が解除される頻度を低下させて、制御解除後の制御再開操作を行う煩わしさを低減することができる。
【0065】なお、上記第3の実施形態においては、車間距離制御解除条件とした、自車速Vsが制御解除車速VR 以下であり、且つ相対速度ΔVが“0”以下であるときに設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図14に示すように、図12におけるステップS32に代えて、自車速Vsが制御解除車速VR 以下であり、且つ相対車速ΔVが負値の設定値−ΔVR 以下となったときにステップS4に移行するステップS33を適用して、先行車の減速度が自車の減速度より所定値分大きいときに、先行車が停車する可能性が高いものと判断して車間距離制御を解除して、制御を運転者に移譲するようにしてもよい。
【0066】なお、上記第1乃至第3の実施形態においては、相対車速ΔVを車間距離Lを微分することにより算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ドップラー速度センサを使用して直接計測するようにしてもよい。また、上記第1乃至第3の実施形態では、回転駆動源としてエンジン2を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータを適用することもでき、さらには、エンジンと電動モータとを使用するハイブリッド車にも本発明を適用することができ、この場合に電動モータの回生制動力を制動力として利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成13年12月27日(2001.12.27)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2003−191770(P2003−191770A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−398508(P2001−398508)