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【発明の名称】 車輌用2輪4輪駆動切換装置
【発明者】 【氏名】半田 秋男
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】本発明は、2輪4輪駆動切換装置を構成する切換機構の固定を確実に行い、音の発生を防止しつつ、切換機構の機能を確保することのできる車輌用2輪4輪駆動切換装置を提供する。

【解決手段】2輪駆動と4輪駆動とを切り換える切換機構25を構成する電磁コイル27に外方フランジ28を設け、この切換機構が装着されるケーシング18に、外方フランジが当接させられる係止段部18aを形成するとともに、この係止段部から前記外方フランジの厚み以上の間隔をおいた内周面に係止溝18bを形成し、この環状溝に、外方フランジに対向させられるサークリップ29を装着し、このサークリップと外方フランジとの間に環状の弾性部材41を介装することにより、外方フランジを、係止段部へ圧接させてなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと前輪および後輪との間にそれぞれ設けられた動力伝達機構の何れか一方に設けられ、この動力伝達機構における動力伝達の断続を行う切換ユニットが、駆動側に連結された駆動軸と、この駆動軸に環状の隙間をおいて嵌合された従動軸と、これらの駆動軸と従動軸との隙間に介装され、これらの対向面に係脱させられることにより、これらの駆動軸と従動軸との接続および切り離しを行う複数の係脱部材と、これらの係脱部材を、前記駆動軸と従動軸とを接続する位置と切り離す位置とに選択的に位置させる切換機構と、前記切換ユニットを収納するケーシングとを備え、前記切換機構を構成する電磁コイルに外方フランジを設け、前記ケーシングに、前記外方フランジが当接させられる係止段部を形成するとともに、この係止段部から前記外方フランジの厚み以上の間隔をおいた内周面に係止溝を形成し、この係止溝に、前記外方フランジに対向させられるサークリップを装着し、このサークリップと前記外方フランジとの間に環状の弾性部材を介装することにより、前記外方フランジを、前記係止段部へ圧接させてなることを特徴とする車輌用2輪4輪駆動切換装置。
【請求項2】 前記弾性部材が、ウェーブワッシャによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用2輪4輪駆動切換装置。
【請求項3】 前記弾性部材が、さらばねによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車輌用2輪4輪駆動切換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輌用2輪4輪駆動切換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、2輪駆動と4輪駆動を切り換えて走行できる車輌が知られている。図7ないし図9は、前述した車輌の一例を示すもので、これらの図において符号1で示す車輌は、エンジン2が中央部に搭載される車体フレーム3と、前輪4および後輪5と、前記車体フレーム3の前方上部に配設されて、前記前輪4の操舵を行うステアリングハンドル6と、前記車体フレーム3に取り付けられた燃料タンク7と、この燃料タンク7の後方に取り付けられたシート8とによって概略構成されている。
【0003】前記各前輪4および前記後輪5は、図8に示すように、前記車体フレーム3に設けられた懸架装置9・10によって、それぞれ上下動可能に支持されている。
【0004】また、前記車体フレーム3には、前記エンジン2にプロペラシャフト11・12によって連結された前輪用最終減速機13と後輪用最終減速機14が設けられ、これらの前輪用最終減速機13と後輪用最終減速機14のそれぞれに、左右の前輪4および左右の後輪5が接続されている。
【0005】そして、たとえば、前記前輪用最終減速機13とプロペラシャフト11との間に、前記前輪4へ伝達される動力の断続を行い、後輪駆動の状態と4輪駆動の状態とに切り換える2輪4輪駆動切換装置15が設けられている。あるいは、後方のプロペラシャフト12と後輪用最終減速機14との間に設ける場合もある。
【0006】そして、前記2輪4輪駆動切換装置として、本願出願人は、図9に示す構造のものを提案した。この図において符号15で示す2輪4輪駆動切換装置は、前輪用最終減速機13のピニオンシャフト16と前記プロペラシャフト11との接続と切り離しを行う切り換えユニット17とによって構成されている。
【0007】前記切換ユニット17は、前記前輪用最終減速機13に取り付けられるケーシング18内に装着されているもので、前記ピニオンシャフト16にスプライン嵌合させられているインナーリング19と、このインナーリング19を取り囲んで、前記ケーシング18に回転自在に支持されたアウターリング21と、このアウターリング21と前記インナーリング19との間に介装されて、これらのアウターリング21とインナーリング19との係脱をなす複数の係脱部材22と、これらの係脱部材22を傾動自在に保持するリテーナ23と、このリテーナ23と連動したアーマチュア24と、このアーマチュア24を磁力によって、前記アウターリング21に連結されたロータ26に吸引することにより、前記リーテーナ23の動きを抑制して、前記係脱部材22を傾動させることにより、これらの係脱部材22によって、前記アウターリング21とインナーリング19とを接続状態とする切換機構25とを備えている。
【0008】前記切換機構25は、電磁石によって構成され、前記ロータ26の内側に設けられる電磁コイル27を備え、この電磁コイル27の一端部に形成された外方フランジ28を介して前記ケーシング18に取り付けられるようになっている。
【0009】そして、前記切換機構25は、その外方フランジ28が、前記ケーシング18内に形成された係止段部18aに当接させられることによって位置決めされ、また、前記ケーシング18の内周面で、前記係止段部18aから所定距離離間させられた位置に形成された係止溝18bに装着されるサークリップ29が係合させられることによって、前記ケーシング18に固定されている。
【0010】このように構成された2輪4輪駆動切換装置15は、前記切換機構25の磁力によって前記アーマチュア24を吸引することにより、このアーマチュア24およびリテーナ23の回転を抑制して、前記各係脱部材22の動きを制約するとともに、これら複数の係脱部材22を介して前記インナーリング19とアウターリング21との接続を行い、これによって、4輪駆動の駆動状態とするようになっている。また、前記切換機構25への通電を遮断して、前記アーマチュア24の回転を自由にするとともに、前記複数の係脱部材22を、図示しないリターンスプリングによって中立位置に戻すことにより、前記前輪用最終減速機13への動力伝達を遮断して、後輪のみによる2輪駆動の駆動状態とするようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来の2輪4輪駆動切換装置15にあっては、つぎのような改善すべき課題が残されている。
【0012】すなわち、前記切換機構25を前記ケーシング18に固定する際に、前記外方フランジ28を、前記ケーシング18に形成された係止段部18aと、前記ケーシング18に形成された係止溝18bに装着されたサークリップ29との間に挟持することによって行っているが、前記外方フランジ28の厚みの加工精度、前記係止溝18bの加工精度、さらには、前記サークリップ29の加工精度によって、前記外方フランジ28と、前記サークリップ29や前記係止段部18aとの間に隙間が生じる可能性がある。この結果、前記切換機構25が、ケーシング18の軸線方向に移動してしまうことが想定され、前記ロータ26とアーマチュア24との間隔が変化する可能性がある。
【0013】本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、2輪4輪駆動切換装置を構成する切換機構25の固定を確実に行い、音の発生を防止しつつ、切換機構の機能を確保することのできる車輌用2輪4輪駆動切換装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載の車輌用2輪4輪駆動切換装置は、前述した目的を達成するために、エンジンと前輪および後輪との間にそれぞれ設けられた動力伝達機構の何れか一方に設けられ、この動力伝達機構における動力伝達の断続を行う切換ユニットが、駆動側に連結された駆動軸と、この駆動軸に環状の隙間をおいて嵌合された従動軸と、これらの駆動軸と従動軸との隙間に介装され、これらの対向面に係脱させられることにより、これらの駆動軸と従動軸との接続および切り離しを行う複数の係脱部材と、これらの係脱部材を、前記駆動軸と従動軸とを接続する位置と切り離す位置とに選択的に位置させる切換機構と、前記切換ユニットを収納するケーシングとを備え、前記切換機構を構成する電磁コイルに外方フランジを設け、前記ケーシングに、前記外方フランジが当接させられる係止段部を形成するとともに、この係止段部から前記外方フランジの厚み以上の間隔をおいた内周面に係止溝を形成し、この係止溝に、前記外方フランジに対向させられるサークリップを装着し、このサークリップと前記外方フランジとの間に環状の弾性部材を介装することにより、前記外方フランジを、前記係止段部へ圧接させてなることを特徴とする。本発明の請求項2に記載の車輌用2輪4輪駆動切換装置は、請求項1に記載の前記弾性部材が、ウェーブワッシャによって構成されていることを特徴とする。本発明の請求項3に記載の車輌用2輪4輪駆動切換装置は、請求項1に記載の前記弾性部材が、さらばねによって構成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図6を参照して説明する。なお、以下の説明中、車輌の主要構成部分は、図7ないし図9と共通することから、同一符号を用いて説明を簡略化する。
【0016】本実施形態における2輪4輪駆動切換装置15は、図1および図2に示すように、エンジン2の前後に配設される前輪用最終減速器13と後輪用最終減速器14の内、前記前輪用最終減速器13側に設けたものであり、前記エンジン2の前方に延設されたプロペラシャフト11と前輪用最終減速器13との間に設けられ、かつ、前記前輪用最終減速器13に一体に取り付けられた構成となっている。
【0017】そして、図1において符号43は、前記前輪用最終減速器13に連結された左右一対のドライブシャフトを示し、符号44は、前記後輪用最終減速器14に連結され、後輪用のドライブシャフトが挿通された左右一対のアクスルハウジングであり、これらの各ドライブシャフト43およびアクスルハウジング44の先端部に、前輪4や後輪5のホイールが装着されるホイールハブ45・46が設けられている。
【0018】前記2輪4輪駆動切換装置(以下、駆動切換装置と略称する)15は、前輪4側の動力伝達機構に設けられたもので、図3に示すように、この動力伝達機構における動力伝達の断続を行う切換ユニット17とからなり、この切換ユニット17が、駆動側に連結されたプロペラシャフト11と、このプロペラシャフト11に環状の隙間をおいて嵌合されたピニオンシャフト16と、これらのプロペラシャフト11とピニオンシャフト16との隙間に介装され、これらの対向面に係脱させられることにより、これらのプロペラシャフト11とピニオンシャフト16との接続および切り離しを行う複数の係脱部材(ローラ)22と、これらの係脱部材22を、前記プロペラシャフト11とピニオンシャフト16とを接続する位置と切り離す位置とに選択的に位置させる切換機構25と、これらを取り囲むケーシング18とによって概略構成されている。
【0019】次いで、これらの詳細について説明すれば、本実施形態においては、前記ケーシング18内に、エンジン側へ突出する円筒状のアウターリング21が軸受け20を介して回転自在に設けられている。このアウターリング21の、前記エンジン側の端部内周面には、スプライン30が形成されており、このアウターリング21に、前記スプライン30と噛合するようにして、前記プロペラシャフト11が挿入されることにより、前記プロペラシャフト11と前記アウターリング21とが連結されている。
【0020】また、前記アウターリング21の内部には、正多角形断面形状を有するインナーリング19が、前記アウターリング21の内周面との間に所定幅の環状の間隔をおいて配設されている。このインナーリング19の内面にはスプライン31が形成されており、前記ケーシング18内に挿入される前記ピニオンシャフト16が、前記スプライン31を介して前記インナーリング19に連結されている。そして、このピニオンシャフト16の長さ方向の中間部は、前記ケーシング18に取り付けられた軸受け32によって回転自在に支持されている。
【0021】また、前記ピニオンシャフト16の先端部にはピニオンギア33が一体に設けられており、前輪用最終減速機13のリングギア34に噛合させられている。
【0022】前記切換ユニット17を構成する係脱部材22は、図3および図6(a)(b)に示すように、前記アウターリング21の軸線と平行に配設された複数のローラによって構成され、前記切換機構25が、前記係脱部材22を回転自在に保持するとともに、前記アウターリング21に相対回転可能(軸線まわりの相対移動可能)に装着されたリテーナ23と、前記インナーリング19の表面に形成されて、前記リテーナー45との相対移動に伴って、前記係脱部材22を径方向に移動させるカム面19aとによって構成されている。また、前記係脱部材22は、奇数個、本実施形態においては9個設けられているとともに、前記インナーリング19に形成されるカム面19aも同様に9箇所に設けられている。また、前記リテーナ23とインナーリング19との間には、前記リテーナ23を、前記プロペラシャフト11の、車輌1の前進時の回転方向と逆方向に付勢することにより、前記係脱部材22を前記アウターリング21とインナーリング19とを接続する方向へ向けて付勢する弾性部材42が設けられている。この弾性部材42は、略C型に形成されており、それぞれの端部がリテーナ23とインナーリング19とに、それぞれ回転方向から係合させられているとともに、その径を縮められた状態で装着されている。
【0023】そして、前記アウターリング21のケーシング18の内側に位置させられている端部には、前記リテーナ23とアウターリング21との固定および切り離しを行う、前記切換機構25を構成する電磁クラッチ35が設けられている。
【0024】この電磁クラッチ35は、前記リテーナー45とアウターリング21との間に介装されたクラッチ板36と、このクラッチ板36の圧接および切り離しを行う電磁コイル27とによって構成されている。
【0025】この電磁コイル27は、前記クラッチ板36を励磁することによって接続状態とし、これによって、前記リテーナ23とアウターリング21とを相対回動不可能に固定するようになっている。
【0026】また、前記電磁コイル27は、環状に形成されており、同じく環状に形成されたコア内に収納されているとともに、この電磁コイル27が、前記ピニオンシャフト16を取り囲むようにして、前記ケーシング18に装着されることにより、このケーシング18に取り付けられている。
【0027】そして、前記アウターリング21、インナーリング19、および、切換機構25は、前記ケーシング18内に組み込まれてユニット化され、図3に示すように、ピニオンシャフト16が装着された状態において、ケーシング18が前記前輪用最終減速機13のケースにボルト締めされることによって、この前輪用最終減速機13に取り付けられる。また、前記電磁コイル27には、そのON・OFFを制御するコントロールユニット39と、前記電磁コイル27の駆動電力を供給する電源40が接続されている。
【0028】ついで、前記切換機構25の前記ケーシング18への取付構造について説明する。図4に示すように、前記電磁コイル27のコアの端部には、全周にわたって外方フランジ28が一体に設けられており、前記ケーシング18の内部で、前記前輪用最終減速機13側の端部近傍には、前記外方フランジ28の外径とほぼ同等の内径を有する係止段部18aが形成されているとともに、この係止段部18aから所定距離離間した部位の内周面には、全周にわたって係止溝18bが形成されている。
【0029】そして、前記係止溝18bには、サークリップ29が装着されて前記外方フランジ28に、前記係止段部18aと反対側から対向させられており、このサークリップ29と前記外方フランジ28との間に、弾性部材41が圧縮状態で介装され、この弾性部材41の弾性により、前記外方フランジ28が前記係止段部18aに圧接させられることによって、この外方フランジ28、すなわち、前記切換機構25が、前記ケーシング18に固定されている。
【0030】さらに詳述すれば、前記弾性部材41は、図4(a)(b)に示すように、ウェーブワッシャが用いられており、前記サークリップ29と外方フランジ28との間に、その波のピッチが大きくなるように圧縮された状態で装着されている。そして、前記弾性部材41は、前述したウェーブワッシャに代えて、図4(c)に示すように、さらばねによって構成することも可能である。
【0031】このように構成された本実施形態に係わる駆動切換装置15にあっては、前記切換機構25をケーシング18に固定する場合、前記切換機構25を、その外方フランジ28側から前記ケーシング18内に挿入するとともに、前記外方フランジ28を前記ケーシング18の係止段部18aに当接させ、ついで、前記ケーシング18内に弾性部材41を挿入するとともに前記外方フランジ28に当接させておき、さらに、前記ケーシング18内に、サークリップ29を縮径させた状態で挿入するとともに、前記弾性部材41を圧縮しつつさらに挿入し、このサークリップ29を前記係止溝18bにおいて拡径させて、この係止溝18bに係合させることによって行うことができる。
【0032】このような操作によって、前記係止溝18bに係合させられているサークリップ29を支持体として圧縮された弾性部材41の弾性によって、前記外方フランジ28が、前記ケーシング18の係止段部18aに圧接させられる。これによって、前記外方フランジ28が隙間なく前記係止段部18aに圧接させられることとなり、前記切換機構25が隙間なく前記ケーシング18に固定される。
【0033】この結果、走行時の振動等による前記切換機構25の位置ずれを防止することができ、がたに起因した音の発生を防止することができる。また、前記ロータ26とアーマチュア24との間隔を一定に保持することができ、これによって、前記電磁クラッチ35の特性変化を防止することができる。
【0034】そして、前輪13への駆動力の伝達を解除するには、前記電磁コイル27への通電を遮断して、電磁クラッチ35によるリテーナ23とアウターリング21との固定を解除する。この状態において、図6(b)に示すように、各係脱部材22が、弾性部材42によって、前記インナーリング19のカム面19aの一方のトップ部へ付勢されて、アウターリング21とインナーリング19とに弾性的に当接させられているが、アウターリング21の回動力が、同図(a)(b)に矢印で示すように大きいことから、このアウターリング21によって、前記係脱部材22が、弾性部材42の付勢力に抗してインナーリング19との接続を解除する方向に移動する。この結果、前記アウターリング21とインナーリング19とが切り離されることとなり、前記プロペラシャフト11の回転がピニオンシャフト16へ伝達されることが阻止され、前輪13への駆動力の伝達が停止される。一方、このような2輪駆動時において、たとえば、後輪5へ制動操作を行うと、図6(d)(e)に矢印で示すように、アウターリング21の回動力が低下することによりに、前記弾性部材42によって付勢されている係脱部材22を、前記インナーリング19カム面19aの一方のトップ部へ向けて移動させられる。したがって、前後輪4・5が接続され、これらの前後輪4・5へブレーキが作用することとなる。これは、エンジンブレーキを作用させたときも同様である。
【0035】また、4輪駆動の駆動状態にするには、前記電磁コイル27へ通電して電磁クラッチ35をつなぐことにより、前記リテーナ23をアウターリング21に固定する。これによって、前記リテーナ23に保持されている係脱部材22がアウターリング21と共に移動させられて、図5(d)に示すように、前記インナーリング19に形成されている前記カム面19aの他方のトップ部に移動させられるとともに、アウターリング21の内面に当接させられる。この結果、前記アウターリング21とインナーリング19とが、前記係脱部材22を介して連結され、これに伴い、プロペラシャフト11とピニオンシャフト16とが連結され、プロペラシャフト11の回転がピニオンシャフト16へ伝達され、前輪13への駆動力の伝達が開始される。また、この4輪駆動時において後輪5の制動を行うと、インナーリング19が先行して回転することにより、図6(f)に示すように、インナーリング19に形成されているカム46の一方のトップ部が、前記係脱部材22に当接させられる。これによって、4輪駆動状態が保持され、前述と同様にして、前記前後輪4・5へブレーキを作用させる。
【0036】一方、前述したようにインナーリング19とアウターリング21との接続を、前記係脱部材22によって行う際に、この係脱部材22が奇数個、本実施形態においては9個設けられていることにより、接続初期の段階において、図5(b)に示すように3つの係脱部材22が当たり、その後、順次他の係脱部材22の当たりがなされる。したがって、インナーリング19とアウターリング21との接触部が3点での接触となって、これらのセンタリングが行われる。これによって、前述した接続時のバランスがよくなり、音の発生が抑制されるとともに、係脱部材22とインナーリング19やアウターリング21との接触圧が低減され、装置の小型化が可能となる。
【0037】このような本実施形態に対して、前記係脱部材22を図5(c)(d)に示すように、偶数個にした場合、図5(d)に示すように、インナーリング19とアウターリング21との接続初期において2箇所の接触が行われた後に、順次係脱部材22の接触がなされることとなり、インナーリング19とアウターリング21とのセンタリングが即座に行えず、音が発生することが想定される。
【0038】なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、係止溝に係合させられているサークリップを支持体として圧縮された弾性部材の弾性によって、電磁コイルに設けられた外方フランジを、この電磁コイルが組み込まれるケーシングの係止段部に圧接させ、これによって、前記外方フランジを隙間なく前記係止段部に圧接させることとなり、前記電磁コイル、すなわち、この電磁コイルを構成部材とする切換機構を隙間なく前記ケーシングに固定することができる。この結果、走行時の振動等による前記切換機構の位置ずれを防止することができ、がたに起因した音の発生を防止することができるとともに、切換機構の特性変化を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【代理人】 【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
【公開番号】 特開2003−191769(P2003−191769A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−394336(P2001−394336)