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【発明の名称】 車両用ウインドモール
【発明者】 【氏名】藤原 弘俊
【住所又は居所】愛知県豊田市元町1番地 株式会社ビーピーエイ内

【氏名】川口 悟志
【住所又は居所】愛知県豊田市元町1番地 株式会社ビーピーエイ内

【氏名】田中 優
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2 アプコ株式会社技術本部内

【要約】 【課題】組み付け時の取り扱い性に優れ、かつリサイクル性にも配慮した車両用ウインドモールを提供すること。

【解決手段】ウインドガラスに接する部分2、3を他の部位よりも軟質な材料で構成する。特にウインドガラス端面に接する部分3はより軟質で且つオルガノポリシロキサンを含有させる。本車両用ウインドモールを構成する樹脂部材は、平均重合度が700〜3800である塩化ビニル系樹脂100質量部と可塑剤60〜140質量部とを主成分とし、以下の材料特性、(A)動的粘弾性の貯蔵弾性率E’が20℃で5.0〜30.0(MPa)、−20℃で20〜200(MPa)であり、かつE’(−20℃)/E’(20℃)が2〜15の範囲である、(B)JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量が1.0%以下である、を満足する塩ビ系樹脂組成物からなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウインドガラスの端部の表裏面に接し該端部を狭持するくわえ込み部と、該ウインドガラスの端面に接し該端面を保持するコバ部と、該ウインドガラスの端部を挿入可能で該くわえ込み部及び該コバ部を内面にもつ溝が形成された基部と、を有し、該ウインドガラスの周縁部と車体のウインドガラス取り付け部との間に装着される車両用ウインドモールであって、該くわえ込み部は、平均重合度が700〜3800である塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と可塑剤を60〜140質量部とを主成分とし、以下の材料特性(A)及び(B)を満足する塩化ビニル系樹脂組成物であり、該基部は該くわえ込み部より硬質な塩化ビニル系樹脂材料であり、該コバ部は該くわえ込み部よりも軟質で且つオルガノポリシロキサンを含有する塩化ビニル系樹脂材料であることを特徴とする車両用ウインドモール。
(A)動的粘弾性貯蔵率E’が20℃で5.0〜30.0(MPa)、−20℃で20〜200(MPa)であり、かつE’(−20℃)/E’(20℃)が2〜15の範囲である。
(B)JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量が1.0%以下である。
【請求項2】 前記くわえ込み部は、オルガノポリシロキサンを含有する請求項1に記載の車両用ウインドモール。
【請求項3】 JISK6253に基づき測定される硬度は、前記くわえ込み部が60〜80°であり、前記コバ部が30〜50°である請求項1又は2に記載の車両用ウインドモール。
【請求項4】 ウインドガラスの端部の表裏面に接し該端部を狭持するくわえ込み部と、該ウインドガラスの端面に接し該端面を保持するコバ部と、該ウインドガラスの端部を挿入可能で該くわえ込み部及び該コバ部を内面にもつ溝が形成された基部と、を有し、該ウインドガラスの周縁部と車体のウインドガラス取り付け部との間に装着される車両用ウインドモールの該くわえ込み部を構成する塩化ビニル系樹脂組成物であって、平均重合度が700〜3800である塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と可塑剤を60〜140質量部とを主成分とし、以下の材料特性(A)及び(B)を満足する車両用ウインドモール用塩化ビニル系樹脂組成物。
(A)動的粘弾性貯蔵率E’が20℃で5.0〜30.0(MPa)、−20℃で20〜200(MPa)であり、かつE’(−20℃)/E’(20℃)が2〜15の範囲である。
(B)JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量が1.0%以下である。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ウインドモール及びそのくわえ込み部用の塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のウインドガラスは、自動車に取り付ける際に、その周縁部と車体のウインドガラス取り付け部との間に車両用ウインドモールを介して装着される。車両用ウインドモールは、接合箇所のシール性の確保等を行っている。そのために一般的な車両用ウインドモールは、ゴム等の弾力性のある樹脂からなる樹脂部材から構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、車両用ウインドモールを構成する樹脂が低温時に硬化することから、冬季等の気温が低いときに、ウインドガラスとウインドガラス取り付け部との間で異音が発生することがあった。特に合わせガラスが用いられるフロントガラスにおいては、中間フィルムと車両用ウインドモールとの間での擦れ音の発生があった。また、低温時の樹脂部材の硬化により車両用ウインドモールを装着するときに取り扱い性が良好でなかった。
【0004】ところで、近年の環境問題への関心の高まりから、自動車等についてもリサイクル性を考慮することが求められている。リサイクル性を向上させるには、リサイクルされる部材を材料の種類毎に分別しやすくする必要がある。
【0005】そこで、本発明の車両用ウインドモールは、組み付け時の取り扱い性に優れ、かつリサイクル性にも配慮した車両用ウインドモール及びその車両用ウインドモールに好適な塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の車両用ウインドモールは、ウインドガラスの端部の表裏面に接し該端部を狭持するくわえ込み部と、該ウインドガラスの端面に接し該端面を保持するコバ部と、該ウインドガラスの端部を挿入可能で該くわえ込み部及び該コバ部を内面にもつ溝が形成された基部と、を有し、該ウインドガラスの周縁部と車体のウインドガラス取り付け部との間に装着される車両用ウインドモールであって、該くわえ込み部は、平均重合度が700〜3800である塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と可塑剤を60〜140質量部とを主成分とし、以下の材料特性(A)及び(B)を満足する塩化ビニル系樹脂組成物であり、該基部は該くわえ込み部より硬質な塩化ビニル系樹脂材料であり、該コバ部は該くわえ込み部よりも軟質で且つオルガノポリシロキサンを含有する塩化ビニル系樹脂材料であることを特徴とする車両用ウインドモール。
(A)動的粘弾性貯蔵率E’が20℃で5.0〜30.0(MPa)、−20℃で20〜200(MPa)であり、かつE’(−20℃)/E’(20℃)が2〜15の範囲である。
(B)JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量が1.0%以下である。
【0007】つまり、車両用ウインドモールのウインドガラスの端部の表裏面に接する部分には軟質な材料を用いることでウインドガラスの振動に対する車両用ウインドモールの追随性を向上させ、ウインドガラスと車両用ウインドモールとの擦れを抑制すると同時に、ウインドガラスの端面に接するコバ面部にはオルガノポリシロキサンを含有させて滑りを良くすることで異音の発生を抑制している。特にフロントウインドガラスのように、中間膜を強化ガラスで狭持した合わせガラスを用いている場合に発生する合わせガラスの中間フィルムと車両用ウインドモールとの擦れに伴う異音発生を効果的に抑制できる。そして、(A)の特性を満たすことで低温時の取り扱い性が向上し、(B)の特性を満たすことで耐候性が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の車両用ウインドモールについて詳細に説明する。本車両用ウインドモールは、概略、基部とくわえ込み部とコバ部とを有する。
【0009】基部は、ウインドガラスの端部を挿入可能な溝をもち、本車両用ウインドモールの主要部をなす。溝の部分のウインドガラスの端部の表裏面と接する部分にくわえ込み部が、ウインドガラスの端面と接する部分にコバ部が一体的に形成される。
【0010】くわえ込み部は、ウインドガラスの端部の表裏面と接しその端部を狭持する部材である。そして、くわえ込み部は、基部よりも軟質な材料で構成される。軟質な素材から構成されることで、車両に本車両用ウインドモールが装着されたときに生じるくわえ込み部の変形により本ウインドモールを車両に装着するときに離れ難くなって取り扱い性が向上する。
【0011】くわえ込み部は具体的にJISK6253に基づき測定される硬度が60〜80°程度であることが好ましく、65〜75°程度とすることがより好ましい。そして、くわえ込み部は、ウインドガラスの端部との間の摩擦係数が高いことが好ましい。摩擦係数が高いことで、ウインドガラスの端部とくわえ込み部との密着性が増し、異音発生が抑制できる。本発明の車両用ウインドモールでは、単にくわえ込み部の材料を軟質な材料とすることで摩擦係数が上昇できる。なお、以下本明細書において「硬度」とはJISK6253に基づき測定される硬度を意味する。
【0012】また反対に、くわえ込み部にもオルガノポリシロキサンを含有させることで、ウインドガラスの端部とくわえ込み部との摩擦係数を低下させることも好ましい。オルガノポリシロキサンを含有させることでくわえ込み部とウインドガラスの端部との滑りが良くなり、ウインドガラスの動きに車両用ウインドモールが追従できなくなったときの相対的な運動によるビビリ音の発生を抑制できる。オルガノポリシロキサンを含有させる量としては、くわえ込み部を構成する材料全体に対して0.5〜5.0質量%とすることが好ましい。そして、含有させるオルガノポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン等、及びこれらのエポキシ変性、アルキル変性、アルコール変性、フッ素変性などの変性ポリシロキサンである。これらは単独で使用できるほか、2種以上を混合して使用することができる。
【0013】くわえ込み部を構成する材料は平均重合度が700〜3800である塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と可塑剤を60〜140質量部とを主成分とする塩化ビニル系樹脂組成物である。この塩化ビニル系樹脂組成物は動的粘弾性貯蔵率E’が20℃で5.0〜30.0(MPa)、−20℃で20〜200(MPa)であり、かつE’(−20℃)/E’(20℃)が2〜15の範囲である。なお、動的粘弾性の値は周波数11Hz、振幅0.025mmでの測定値である。動的粘弾性の値がこの条件を満たす塩化ビニル系樹脂組成物は冬場などの低温時に可とう性が充分であり取り扱い性に優れる。
【0014】さらにこの塩化ビニル系樹脂組成物はJISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量が1.0%以下である。1.0%以下とすることで、実際にウインドガラスの周縁部に装着して使用するときにおける材料中の低沸点成分の揮発が抑制され材料の劣化が抑制できるからである。そして減量は0.6%以下が好ましく、0.4%以下がより好ましい。
【0015】コバ部は、ウインドガラスの端面に接しその端面を保持する部材であり、前述したくわえ込み部よりも、さらに軟質な材料から構成され且つオルガノポリシロキサンを含有している。ウインドガラスの端面は車両の運用によるウインドガラスの振動に伴い大きく動くので軟質な材料により、その端面への追従性を向上させている。さらにオルガノポリシロキサンを含有させることで端面との間の摩擦係数を低下させている。その結果、異音の発生を抑制できると共に、車両用ウインドモールを車両に装着するときに外れ難くなって取り扱い性が向上する。特にウインドガラスに合わせガラスを用いた場合には、ウインドガラスの端面に中間フィルムが突出していることが多いので、その中間フィルムとコバ部とが擦れ合って発生する異音が効果的に抑制できる。含有させるオルガノポリシロキサンの含有量及び種類は前述したものと同様のものが使用できる。コバ部の硬度としては、30〜50°程度が好ましく、35〜45°程度とすることがより好ましい。
【0016】本車両用ウインドモールは、その他の構成要素として必要に応じて、リップ、心材等を有しても良い。リップは、車体のウインドガラス取り付け部との間で弾性変形することで、主に雨水路を形成したり、シールをしたりする部材である。リップについてもある程度軟質である方が取り付け性が向上する。リップの具体的な硬度としては、60〜80°程度が好ましく、65〜75°程度とすることがより好ましい。心材は、車両用ウインドモールの強度を担保する部材であり、金属等の硬質材料から構成される。
【0017】本車両用ウインドモールは、リサイクル性に考慮して、基部、くわえ込み部及びコバ部を含む樹脂部材を同一又は類似の材料で統一している。
【0018】本発明の車両用ウインドモールは、このような塩化ビニル系樹脂組成物からなるので熱可塑性を有する。したがって、リサイクルを行う場合には、高温雰囲気下で保持することで樹脂部材は溶融し簡単に樹脂からなる部材を分離することができる。さらに、分離した樹脂は組成が制御された組成物となり、その他の樹脂組成物が混入する虞が少なくなるので再利用が容易である。具体的なリサイクル方法としては、車両用ウインドモールから回収した塩化ビニル系樹脂組成物を新たな車両用ウインドモールの樹脂部材の一部に再利用することができるほか、その他にも車両に用いられる樹脂として本組成の塩化ビニル系樹脂組成物を採用することで他の部材にも再利用可能である。また、塩化ビニル系樹脂は安価であるので、多の樹脂と比較して、車両用ウインドモールを安価に作成することができる。
【0019】塩化ビニル系樹脂組成物の物理的特性は種々の添加剤を加えることで調節することができる。このような条件を満たす塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂の種類と、可塑剤の種類とその配合量比を適宜選択して得られる。例えば、上述の動的粘弾性貯蔵率の値を達成するために、通常は生産性やコストを考慮して使用されにくい、高分子量の可塑剤(例えば分子量が430以上の可塑剤)を用い、かつ配合量を通常の配合量より多量(例えば塩化ビニル系樹脂100質量部に対して90質量部以上)にする方法などにより、上記条件を満たす塩化ビニル系樹脂組成物が得られる。また、剛性等の物理的特性は、充填材等の添加剤の添加により調整できる。
【0020】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物に含有される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル又は塩化ビニルとこれに共重合可能なコモノマーとの混合物を懸濁重合法、塊状重合法、微細懸濁重合法又は乳化重合法等の通常の方法によって製造された共重合体から、任意に選択して使用しうる。コモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ジブチルマレエート、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレート、ジエチルフマレート等のフマール酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、エチレン、プロピレン、スチレン等のα−オレフィン類、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニリデン又はハロゲン化ビニル類、そして、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。勿論、コモノマーは、上述のものに限定されるものではない。コモノマーは、塩化ビニル系樹脂の構成成分中30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で含有される。
【0021】本発明に用いる塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、その加工性、成形性、物理特性から、JIS K6721に基づいた平均重合度が700〜3800の範囲であることが必須である。好ましくは1300〜3000の範囲である。平均重合度が700以上となると最終的な塩化ビニル系樹脂組成物の物理特性が良好となり、また3800以下であると加工性、成形性が良好となるからである。
【0022】可塑剤は、組成物を柔らかくして混練、加工を容易にするため必須であり、更に、前述の材料特性を満たす上で、その種類及び配合量は重要である。
【0023】可塑剤としては、下記に例示する公知の可塑剤から、1種類以上の可塑剤を組み合わせて、任意に選択して使用しうる。例えば、使用しうる可塑剤としては、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、又は炭素原子数10〜13程度の高級アルコール又は混合アルコールのフタル酸エステル等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等のトリメリット酸エステル系可塑剤、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸テトラヘプチルエステル等のビフェニルテトラカルボン酸テトラアルキルエステル系可塑剤;ポリエステル系高分子可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;塩素化パラフィン;五塩化ステアリン酸アルキルエステル等の塩素化脂肪酸エステル等を挙げることが出来る。可塑剤として好ましいものは、低揮発性及び耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物が得られる、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジウンデシルフタレート(DUP)、C10〜C13混合高級アルコールのフタル酸エステルなどの平均分子量が430以上の化合物である。
【0024】可塑剤の含有量は、用いる塩化ビニル系樹脂の種類、用いる可塑剤の種類、他の添加剤の種類及び車両用ウインドモールを構成する部材の種類により異なるけれども、前記くわえ込み部としては塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、60〜140質量部の範囲である。
【0025】可塑剤の含有量が60質量部以上とすると充分な柔軟性が得られ、140質量部以下とすると充分な剛性が得られる。特に望ましくは、90〜130質量部の範囲で含有することが好ましい。
【0026】さらに本発明の車両用ウインドモールの樹脂部材に用いられる塩化ビニル系樹脂組成物には充填材が添加できる。充填材の添加は樹脂部材の剛性を確保するほか、材料から発生する揮発成分の補足にも貢献するものもある。充填材としては、特に限定しないが、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、クレー、シリカ、ホワイトカーボン等を例示できる。
【0027】本発明の車両用ウインドモールに用いられる塩化ビニル系樹脂組成物には、前述の成分の他、安定剤、潤滑材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、発泡剤、衝撃改良剤等の各種添加剤や塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂等を必要に応じて配合することができる。安定剤としては三塩基性硫酸鉛、ケイ酸鉛、塩基性炭酸鉛等の無機塩類、鉛、カドミウム、バリウム、カルシウム、亜鉛等金属の有機酸塩を主体とする金属石ケン、前述金属を少なくとも2種、例えばBa−Zn、Ca−Zn、Cd−Ba等の脂肪酸コンプレックスまたは脂肪酸(ホスファイト)系、カルボキシレート(ホスファイト)系の複合金属石ケンまたは複合液状金属石ケン、有機スズ系化合物等が挙げられ、これらに限定されるものではない。難燃剤としては、三酸化アンチモン、ホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、塩素化ポリエチレン、その他ハロゲン系難燃剤が使用される。潤滑材としてはシリコンオイルが例示でき、車両用ウインドモールに適用したときに滑り性を向上して取り扱い性を向上できる。
【0028】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂、可塑剤、充填剤、及び安定剤、潤滑材等の各成分を所定の混合機又は混練機に投入し、塩化ビニル系樹脂の劣化しない温度範囲、例えば、100〜230℃、好ましくは130〜200℃の温度に加熱しながら、均一に混合又は混練することにより、容易に調製される。上述の配合成分を混合するのに用いる混合又は混練に用いる混合機又は混練機は、実質的に配合物を均一に混合、混練出来る装置なら特に限定されるものではなく、混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー等が挙げられ、混練機としては、例えば、単軸押出機、2軸押出機、ロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー、インテンシブミキサー等加熱しながら剪断力下で混練出来るものが挙げられる。その後、塩化ビニル系樹脂組成物は、押出成形、射出成形、回転成形、プレス成形等の各種成形法を用いることによって、車両用ウインドモールを構成する樹脂部材となる。
【0029】
【実施例】さらに本発明の車両用ウインドモールを以下に詳述する。
【0030】(塩化ビニル系樹脂組成物(以下「TPF」と称する)の調製)TPF90°、TPF70°−1、TPF70°−2及びTPF40°の4種類の材料を調製した。ここで、90°等の値は樹脂の硬度を表す値であり、JISK6253に基づいて測定されるものである。
【0031】TPF90°は、平均重合度1300の塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と、可塑剤としてのDUPを45質量部と、充填材としての炭酸カルシウム粉末を50質量部と、Ba/Zn系複合安定剤を5質量部とを混合した予備組成物を高速ミキサーで混合撹拌した。その混合物をバンバリーミキサーで混練し、ミルロールでシート化した後にペレタイザーでペレット化した。
【0032】TPF70°−1は、予備組成物として、平均重合度2500の塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と、可塑剤としてのDUPを95質量部と、充填材としての炭酸カルシウム粉末を50質量部と、Ba/Zn系複合安定剤を5質量部とを混合した以外はTPF90°と同様にして調製した。
【0033】TPF70°−2は原料にオルガノポリシロキサンとしてのジメチルポリシロキサンを5質量部加えた以外はTPF70°−1と同様に調製した。
【0034】TPF40°は、予備組成物として、平均重合度2500の塩化ビニル系樹脂材料を100質量部と、可塑剤としてのC9、C11の混合フタレートを150質量部と、充填材としての炭酸カルシウム粉末を50質量部と、オルガノポリシロキサンとしてのジメチルポリシロキサンを6質量部と、Ba/Zn系複合安定剤を5質量部とを混合した以外はTPF90°と同様にして調製した。
【0035】(材料特性の測定)TPF70°−1及びTPF70°−2について、動的粘弾性貯蔵弾性率E’をオリエンテック社製 RHEOVIBRON 自動動的粘弾性測定器で測定した(周波数11Hz,振幅0.025mm)。
【0036】TPF70°−1及びTPF70°−2の動的粘弾性貯蔵弾性率E’はいずれも20°で10MPa、−20°で105MPaであった。
【0037】TPF70°−1及びTPF70°−2について、JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量を測定したところ、いずれも0.1%であった。
【0038】(車両用ウインドモールの作成)この3種類の材料を用いて実施例の車両用ウインドモールを作成した。車両用ウインドモールは、図1に示すように、基部1とくわえ込み部2とコバ部3とリップ4と心材5からなる。基部1にはボデーと当接する先端にボデー当接部11をもつ。基部1はボデー当接部11がTPF70°−1とし、その他がTPF90°とした。そして、くわえ込み部2はTPF70°−2を、リップ4はTPF70°を、コバ部3はTPF40°をそれぞれ用い一体成型した。心材5はアルミ製である。
【0039】(比較例)比較例の車両用ウインドモールを作成した。比較例の車両用ウインドモールの形状は実施例の車両用ウインドモールと同じとした。使用した材料としては、基部1はボデー当接部11を含めてTPF90°を、くわえ込み部2は可塑剤DUP95質量部に代えてDOP85質量部を添加した以外はTPF70°−2と同じ材料(貯蔵弾性率E’は20℃で10MPa、−20℃で240MPaであった。JISK6723における100℃120時間加熱老化試験後の減量は5.0%であった。)を用いた。リップ4は硬度70°の塩素化エチレン系エラストマー(三井デュポン社製アルクリン)を、コバ部3はジメチルポリシロキサンを添加しない以外はTPF40°と同じ材料をそれぞれ用い一体成型した。
【0040】(実車試験)実施例の車両用ウインドモールと比較例の車両用ウインドモールとを実際に使用して、ウインドガラスを車両のウインドガラス取り付け部に取り付けた。そのときの車両用ウインドモールの取り扱い性を評価した。評価方法は、室温0℃において、モールを加温しない状態でのガラスへの組み付け性を確認して行った。
【0041】取り付け後の車両の異音発生を評価した。評価方法は、実車に組み付け後、モール及び車両そのものを−20℃〜+20℃の範囲で温度変化させ、悪路走行等の車両走行状態を再現させて、そのときの異音発生の有無を確認して行った。
【0042】(結果)取り扱い性についての結果は、問題なしであった。これより明らかなように、実施例の車両用ウインドモールが、比較例の車両用ウインドモールよりも取り扱い性、特に低温での取り扱い性、に優れていることが判明した。
【0043】異音発生試験の結果は、問題なしであった。これより明らかなように、実施例の車両用ウインドモールでは−15℃でも異音が発生しなかったのに対して、比較例の車両用ウインドモールでは異音が発生しており、異音発生の観点からも実施例の車両用ウインドモールが比較例の車両用ウインドモールよりも優れていることが判明した。
【0044】(リサイクル性)実施例の車両用ウインドモールは200℃程度に加熱することで、樹脂部材が容易に溶融し、圧縮空気を吹き付けることで容易に金属部分と樹脂部分とを分離することができると共に、回収した樹脂材料についての動的粘弾性貯蔵弾性率の値も前述した範囲内のものであり再利用が可能であるのに対し、比較例の車両用ウインドモールは、回収された樹脂の組成が制御されておらず、複数種類の樹脂材料の混合物であるので、樹脂として再利用することは困難であった。
【0045】(付記)本実施例の車両用ウインドモールはウインドガラスとの密着性(ウインドガラスの動きへの追従性を含む)が高いので、付随的な効果として、先付け型の車両用ウインドモールに適用できるという効果が生じる。
【0046】先付け型の車両用ウインドモールとは、車体のウインドガラス取り付け部にウインドガラスを取り付ける場合に、予めウインドガラスの周辺部に車両用ウインドモールを装着しておくものである。
【0047】自動車のリアウインドガラスは、単なる強化ガラスであるので、その厚みも薄く、且つ端部のエッジも滑らかとすることができる。したがって、車両用ウインドモールを予めウインドガラスの周辺部に装着しておいても、取り付け作業中の外部からの応力等により車両用ウインドモールがウインドガラスから脱落することは殆どなかった。
【0048】それに対して、自動車のフロントガラスは合わせガラスを用いるので、その厚みも厚く、且つ2枚のガラスを張り合わせているので、端部のエッジも滑らかにすることが困難である。そのために、予めウインドガラスに車両用ウインドモールを装着しておくと、取り付け作業時の外部からの力による僅かなずれであっても、装着された車両用ウインドモールの安定性が悪くなって外れてしまうことがあり、生産性が良好ではなかった。
【0049】したがって、従来のフロントガラス用の車両用ウインドモールは後付け型(ウインドガラスを車体のウインドガラス取り付け部に取り付けた後に車両用ウインドモールを間隙にはめ込む方式)を採用していた。
【0050】しかしながら、後付け型の車両用ウインドモールを採用すると、ウインドガラスをウインドガラス取り付け部に取り付ける際の位置決めを行う位置決め部材(ダム)が必須となっており、このダムを取り付けるだけの時間とコスト及びダムを製造するコストが必要であった。それに対して先付け型の車両用ウインドモールを採用すると、車両用ウインドモール自身にウインドガラスの位置決め作用をもたせることができるので、ダムを使用しなくてもよく、コスト低減も可能である。
【0051】本発明の車両用ウインドモールは、ウインドガラスと接触するくわえ込み部及びコバ部(特にくわえ込み部)において軟質な部材を用いているので、ウインドガラスからのずれに対して追従性が良いためずれに寛容であり、僅かなずれではウインドガラスの周辺部から脱落しないという利点をもつ。この利点は、くわえ込み部及びコバ部のウインドガラスとの摩擦係数を調節したことも大きく作用していると考えられる。
【0052】したがって、本発明の車両用ウインドモールは、先付け型の車両用ウインドモールに適用することが可能であり、コスト低減に寄与できる。
【0053】
【発明の効果】本発明の車両用ウインドモールは、くわえ込み部及びコバ部に柔軟な素材を用いているので、ウインドガラスの間での異音発生が抑制できる。そして、制御された組成の樹脂材料で樹脂部材が統一されているので、リサイクル性に優れている。また、常温時と低温時との剛性の差が小さいので低温時の取り扱い性にも優れている。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【識別番号】300087396
【氏名又は名称】株式会社ビーピーエイ
【住所又は居所】福岡県福岡市中央区大名二丁目6番36号
【識別番号】500587920
【氏名又は名称】アプコ株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝四丁目1番23号
【出願日】 平成14年3月19日(2002.3.19)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2003−267059(P2003−267059A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−76752(P2002−76752)