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【発明の名称】 格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造
【発明者】 【氏名】任田 功
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】大江 晴夫
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】岩坂 公志
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【要約】 【課題】ルーフ10格納時にルーフ構成部12を蓋として利用でき、格納状態のルーフ構成部12と車体1との隙間をなくして車室後部上方をフラットに覆うことで、ルーフ10格納状態における車両の空力特性と見栄えを向上する。

【解決手段】車室2の上部を覆うルーフ10が、車両前後方向に分割された複数のルーフ構成部(12、13)から構成されると共に、該複数のルーフ構成部(12、13)が車室2後部に折り畳まれて格納可能に車体1に支持され、車室2上方を開放可能とした格納式ルーフ10を備える車両において、車室2上方を開放した場合に、前側ルーフ構成部12が、略水平状態で車外に面するよう車室2後部に格納され、併せて該水平状態に格納された上記ルーフ構成部12と共に、車室2後部をフラットに覆い、かつ上記ルーフ10の開閉動作時には、ルーフ10に干渉しないよう変位動作可能なトノカバー11を具備して構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車室の上部を覆うルーフが、車両前後方向に分割された複数のルーフ構成部から構成されると共に、該複数のルーフ構成部が車室後部に折り畳まれて格納可能に車体に支持され、車室上方を開放可能とした格納式ルーフを備える車両において、車室上方を開放した場合に、上記複数のルーフ構成部の少なくとも一部が、略水平状態で車外に面するよう車室後部に格納され、併せて該水平状態に格納されたルーフ構成部と共に、車室後部をフラットに覆い、かつ上記ルーフの開閉動作時には、ルーフに干渉しないよう変位動作可能なトノカバーを具備して構成されていることを特徴とする格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項2】上記車室内には、車両前後方向に前部座席と後部座席が配置されており、上記水平状態に格納されたルーフ構成部は、後部座席上方のスペースに折り畳まれ、該後部座席の上方を上記トノカバーと共に略フラットに覆う構成であることを特徴とする請求項1に記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項3】上記トノカバーは、上方から見て車両前方へ開口した略U字状に形成され、併せて上記ルーフ閉鎖状態における複数のルーフ構成部のうち、最も車両前側に配される前側ルーフ構成部が、上記ルーフ開放時に車室後方に略水平に格納されるよう構成されており、格納された該前側ルーフ構成部と上記トノカバーとによって、上記車室後部上方を略フラットに覆う構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項4】上記トノカバーを略車両前後方向にスライド可能なトノカバー駆動機構を具備しており、該トノカバー駆動機構は、上記トノカバーを、上記ルーフの開閉動作時には車両後方へスライドするよう駆動し、上記ルーフ部の開閉動作完了後に車両前方へスライドするよう駆動する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項5】上記トノカバー駆動機構は、上記ルーフの開閉動作と連動して作動するよう構成されることを特徴とする請求項4に記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項6】上記トノカバーは、車両前後方向において前傾した略平面状の平面部を有する構成であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項7】上記ルーフ、及びトノカバーは、走行中に動作可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項8】上記トノカバーは、車両後方向へスライドする動作に連動して、その車両後端部が上方へ移動し、この状態で固定されることで、車両の空力特性を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【請求項9】上記トノカバーは、略平面状の平面部を有し、該平面部の車両前後方向の傾斜を可変に構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるオープンカーと呼ばれる、格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車室の上部を覆うルーフが、車両前後方向に分割された前側ルーフ構成部と後側ルーフ構成部とから構成されると共に、該複数のルーフ構成部が車室後部に折り畳まれて格納可能に車体に支持され、車室上方を開放可能とした格納式ルーフを備える車両において、上記後側ルーフ構成部が車室後部に埋没し、その上方に前側ルーフ構成部が、略水平状態で車外に面するよう車室の上方を覆って格納される構成の格納式ルーフを備える車両が知られている。(例えば特開平8−85344号公報参照)
【0003】このものにおいては、車室後部をルーフの格納スペースとしている為、ルーフの格納スペースを専用に設けている車両に比して、ルーフ閉鎖状態においては車室を広く取ることが出来、併せて前側ルーフ構成部が格納スペースの上方を覆うことから、別途格納スペースの上方を覆う蓋が必要ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先行技術においては、前側ルーフ構成部と車室後部上方の形状が異なることから、格納された前側ルーフ構成部と車室後方の車体上部との間に隙間ができ、走行時に空力抵抗の増加、及び風の巻き込みや風切り音等が発生する為、車両の空力特性上好ましくなく、また見栄えも良くないという問題があった。
【0005】本発明は、上記問題を解決する為になされたものであって、従来技術の、ルーフ格納時にルーフ構成部を蓋として利用できる利点を損ねることなく、格納状態のルーフ構成部と車体との隙間をなくして車室後部上方をフラットに覆うことで、ルーフ格納状態における車両の空力特性と見栄えを向上することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題に鑑み、本発明の第1の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、車室の上部を覆うルーフが、車両前後方向に分割された複数のルーフ構成部から構成されると共に、該複数のルーフ構成部が車室後部に折り畳まれて格納可能に車体に支持され、車室上方を開放可能とした格納式ルーフを備える車両において、車室上方を開放した場合に、上記複数のルーフ構成部の少なくとも一部が、略水平状態で車外に面するよう車室後部に格納され、併せて該水平状態に格納されたルーフ構成部と共に、車室後部をフラットに覆い、かつ上記ルーフの開閉動作時には、ルーフに干渉しないよう変位動作可能なトノカバーを具備して構成される。
【0007】本構成によれば、略水平に格納された状態のルーフ構成部とトノカバーとで車室後部上方をフラットに覆うことで、走行風の流れが滑らかになることから、空力抵抗、及び風の巻き込みや風切り音を低減して車両の空力特性を向上することができると共に、見栄えを向上することができる。
【0008】本発明の第2の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1の構成において、上記車室内には、車両前後方向に前部座席と後部座席が配置されており、上記水平状態に格納されたルーフ構成部は、後部座席上方のスペースに折り畳まれ、該後部座席の上方を上記トノカバーと共に略フラットに覆う構成とされる。
【0009】本構成によれば、ルーフ閉鎖状態においては後部座席が使用でき、ルーフ開放状態においては、ルーフ格納時の空力特性と見栄えを向上できる。
【0010】本発明の第3の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1又は第2の構成において、上記トノカバーは、上方から見て車両前方へ開口した略U字状に形成され、併せて上記ルーフ閉鎖状態における複数のルーフ構成部のうち、最も車両前側に配される前側ルーフ構成部が、上記ルーフ開放時に車室後方に略水平に格納されるよう構成されており、格納された該前側ルーフ構成部と上記トノカバーとによって、上記車室後部上方を略フラットに覆う構成とされる。
【0011】本構成によれば、前側ルーフ構成部とトノカバーとで車室後部上方をフラットに覆うことから、従来の格納式ルーフ構造にトノカバーを追加しただけの簡易な変更にて、車両の空力特性と見栄えを向上することができる。
【0012】本発明の第4の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1乃至第3の構成の何れか1つの構成において、上記トノカバーを略車両前後方向にスライド可能なトノカバー駆動機構を具備しており、該トノカバー駆動機構は、上記トノカバーを、上記ルーフの開閉動作時には車両後方へスライドするよう駆動し、上記ルーフ部の開閉動作完了後に車両前方へスライドするよう駆動する構成とされる。
【0013】本構成によれば、ルーフ開閉動作時にはルーフの開閉動作スペースを確保し、ルーフの開閉動作完了後には、ルーフと車体との隙間をカバーする事が容易に達成でき、車両の設計やデザインが容易となる。また、トノカバーが車両前後にスライドする為、上下に開閉したり、リフトする場合に比して外部に必要な可動部の動作スペースが少なく、可動部の強度の確保も容易である。
【0014】本発明の第5の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第4の構成において、上記トノカバー駆動機構は、上記ルーフの開閉動作と連動して作動するよう構成される。
【0015】本構成によれは、ルーフの開閉を、トノカバーを気にすることなく行うことができる。
【0016】本発明の第6の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1乃至第5の構成の何れか1つの構成において、上記トノカバーは、車両前後方向において前傾した略平面状の平面部を有する構成とされる。
【0017】本構成によれば、トノカバーの前傾した平面部に走行風が作用することで、ダウンフォースを発生することができる。
【0018】本発明の第7の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1乃至第6の何れか1つの構成において、上記ルーフ、及びトノカバーは、走行中に動作可能に構成される。
【0019】本構成によれば、走行時であってもルーフを開閉できる。また、トノカバーは車両前後方向へスライドするので、トノカバーの支持部や駆動機構が走行風の影響を受けにくい。
【0020】本発明の第8の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第7の構成において、上記トノカバーは、車両後方向へスライドする動作に連動して、その車両後端部が上方へ移動し、この状態で固定されることで、車両の空力特性を変更可能に構成される。
【0021】本構成によれば、トノカバーがスライドするだけで、その後端部が上下方向へ移動することから、ルーフ開閉時にトノカバーを駆動する機構を利用して車両の空力特性を変更可能とすることができる。
【0022】本発明の第9の構成による格納式ルーフを備える車両のトノカバー構造では、上記第1乃至第8の構成の何れか1つの構成において、上記トノカバーは、略平面状の平面部を有し、該平面部の車両前後方向の傾斜を可変に構成される。
【0023】本構成によれば、トノカバーの平面部の傾斜を変えるだけで車両の空力特性を容易に変更できる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、ルーフ格納時にルーフ構成部とトノカバーとで車室後部上方を略フラットに覆うことができ、ルーフ格納状態における車両の空力特性と見栄えを向上できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した格納式ルーフを備える車両のルーフ開放状態における上面図であり、図2は、同車両の後部斜視図であり、図3は、同車両のルーフ閉鎖状態における後部斜視図であり、また図4は、同車両の格納式ルーフの開閉動作を説明する為の概略図である。図1乃至図4に示すように、車体1の略中央には、上方が開放された車室2が設けられている。
【0026】上記車室2の前方には、フロントウインドウガラス3と、その枠体であるフロントヘッダー4が具備されると共に、車室2の左右両側にはサイドドア5が具備され、車室2の後方には、左右両側のサイドドア5の後方に位置する車体1のリヤベルトライン部6と、該車室2の後方に車幅方向に延びる車体1のリヤエンド部7が形成されている。また、車室2内部には、車両前後に前部座席8と後部座席9とが配設されている。
【0027】そして、前部座席8の後方で後部座席9上方のスペースには、格納式ルーフ10が格納されるようになっており、図4(a)に示すように、該格納式ルーフ10は、その閉鎖状態において、フロントヘッダー4の上端部からリヤエンド部7の間の車室上部に、該車室を覆って配置される。
【0028】図1及び図2に示すように、リヤベルトライン部6とリヤエンド部7の上部にかけて、車両前方に開口した略U字状の合成樹脂製のトノカバー11が、車体1に車両前後方向へスライド可能に取り付けられており、該トノカバー11は、格納された格納式ルーフ10と、リヤエンド部7との間の隙間を塞ぐよう配置される。
【0029】このため、走行時において格納された格納式ルーフ10とリヤエンド部7との間に走行風を巻き込むことによる、車両の空力抵抗の増加や風切り音を低減できる。
【0030】次に、本実施形態の格納式ルーフ10の機構を説明する。図3、及び図4(a)に示すように、格納式ルーフ10は、その閉鎖状態において、車両前後方向に分割された3つの構成部から構成されており、これらの構成部は、格納式ルーフ10の車両最も前方に位置し、車両前方フロントヘッダー4の上端部から後方へ略水平に配された、鋼鈑や強化プラスチック等の剛性部材製のパネルから成る前側ルーフ構成部12と、その後方に、該前側ルーフ構成部12の後端部と、その前端部がヒンジ結合され、後端部の左右両側が下方に延びるリヤピラー部13aを有した、鞍状に形成されると共に、左右両側のリヤピラー部13aの下部が、リヤベルトライン部6に回動可能に枢着された、剛性部材製のパネルから成る後側ルーフ構成部13と、該後側ルーフ構成部13に前後方向へスライド可能に把持され、その後方トンネル部分から後方へ突き出して配されるリヤウインドウガラス14a、及び枠体14bから成るリヤウインドウ構成部14とから構成される。
【0031】前側ルーフ構成部12はまた、その後端部をリヤベルトライン部6と、複数のロッドが回動可能に連結されたコントロールリンク15によってクランク結合されており、格納式ルーフ10の閉鎖時と格納時、及び開閉時も含めて常に略水平な姿勢を保つようになっている。
【0032】図5は、本実施形態のルーフ開閉駆動部の機構を説明する為の概略図である。図4、及び図5に示すように、後側ルーフ構成部13のリヤベルトライン部6との枢着軸13b部分には、格納式ルーフ10を開閉駆動するルーフ開閉駆動部16が設けられている。
【0033】このルーフ開閉駆動部16は、回転駆動力を発生するモーター16aと、後側ルーフ構成部13のリヤベルトライン部6との枢着軸13bと回転不能に固定されたギヤ16bと、モーター16aの回転駆動力をギヤ16bに伝えるウォームギヤ16cとから構成され、後述する車両制御装置50によって制御される。
【0034】次に、本実施形態におけるトノカバー11の機構を説明する。図6は、本実施形態のトノカバー11の動作を説明する為の概略図であり、図7は、トノカバー11の機構を説明する為の概略図である。図8は、トノカバー11の断面図であり、(a)は図3に示す線A−A矢視断面図、(b)は同図線B−B矢視断面図である。図6乃至図8に示すように、リヤベルトライン部6に車両前後方向へガイドレール17が延設されており、該ガイドレール17には滑動自在に支持されたスライドリンク18が取り付けられている。そして、トノカバー11は、その前端部を、ガイドレール17にスライドリンク18を介して連結されている。
【0035】またトノカバー11は、その後部を、リヤベルトライン部6のガイドレール17より後方に、その一端が枢着されたトノカバーリンク19の他端に回動可能に枢着されている。
【0036】該トノカバーリンク19は、上記ルーフ開閉駆動部16と略同様な機構のトノカバー駆動部20に、その中間部をクランク結合されており、後述する車両制御装置50によって車両前後方向へ回動駆動される。
【0037】このように、トノカバー11は、トノカバー駆動部20によってトノカバーリンク19が車両前後方向に回動することによって、車両前後方向へ移動すると共に、その後部がトノカバーリンク19の回転角に対応して上下に遥動する。
【0038】また、トノカバー11の後部には、車幅方向に延びる平面部21が取り付けられており、この平面部21は、その後端部をトノカバー11の後端部に枢着され、その前端部をトノカバー11に略上下方向に形成されたガイドスリット22に、図示しない固定用ボルトにて、ガイドスリット22の所定の位置に圧着固定可能に支持される。
【0039】次に、本実施形態における格納式ルーフ10の開放動作を説明する。図4(a)、及び図8に示すように、格納式ルーフ10が車室2の上方を覆って閉鎖された状態において、トノカバー11は、そのスライド可能範囲における前方に位置して後側ルーフ構成部13とリヤウインドウ構成部14、及び車体1のリヤベルトライン部6と、リヤエンド部7各々に当接している。
【0040】図4(b)に示すように、まずトノカバー11が後方へスライドした後、後側ルーフ構成部13が、リヤウインドウ構成部14を前方へスライドさせつつ、共に後方へ回動して後部座席9の上方スペースへ没入する。この際、前側ルーフ構成部12はコントロールリンク15によって略水平に保たれつつ、後側ルーフ構成部13に追従して後方へ移動する。
【0041】そして、図4(c)に示すように、格納式ルーフ10が完全に後部座席9上方のスペースに格納された後、トノカバー11が車両前方へスライドする。
【0042】以上のように、本実施形態によれば、図1に示すように、トノカバー11が、リヤエンド部7と前方ルーフ構成部12後端部との間に生じた隙間を塞いで、前側ルーフ構成部12と共に後部座席9の上方を略フラットに覆うことができ、走行風が隙間に巻き込まれることを抑えることで車両の空力抵抗の増加や風切り音を低減できると共に、見栄えも向上することができる。
【0043】次に、トノカバー11のスポイラーモードについて説明する。図6、及び図7に示すように、本実施形態においては、トノカバー11を、格納式ルーフ10の開閉と無関係に車両後方へスライドさせた状態で固定するスポイラーモードにすることができる。
【0044】そして、平面部21の傾斜角を前傾に調節することで、ダウンフォースを得たり、後傾に調節して車室後方の走行風を整流し、車室2への走行風の巻き込みを防止するなど、車両の空力特性を乗員の好みに応じて変更できるようになっている。なお、上記スポイラーモードの場合は、格納式ルーフ10の開閉を、トノカバー11を駆動することなく行うことができる。
【0045】以下に、ルーフ開閉駆動部16や、トノカバー駆動部20の制御を含む、車両全体の制御を行う車両制御装置50を説明する。図9は、本実施形態における車両制御装置50の、格納式ルーフ10やトノカバー11の駆動制御に関わる素子の構成を示すブロック図である。図9に示すように、車両制御装置50は、格納式ルーフ10、及びトノカバー11を制御する為の構成素子として、車両制御装置50全体を制御する中央演算処理装置51(以降、CPUとする)と、車両制御用プログラムや情報を記憶する記憶装置52とを具備している。
【0046】そして、乗員が要求を入力する為の入力手段53、及びCPU51から出力される命令に応じてルーフ開閉駆動部16を駆動するルーフ開閉駆動部コントローラー54、同じくCPU51から出力される命令に応じてトノカバー駆動部20を駆動するトノカバー駆動部コントローラー55、及び図5に示すように、ルーフ開閉駆動部16内に取り付けられて、ギヤ16bの回転角からルーフ開閉位置を検出するルーフ開放位置センサー56と、図7に示すように、トノカバー駆動部20内に取り付けられ、ルーフ開放位置センサーと同様の仕組みによってトノカバーの位置を検出するトノカバー位置センサー57とを具備し、それぞれ通信用バス58と、制御用バス59によって、CPU51と記憶装置52とに電気的に接続されている。
【0047】CPU51は、必要に応じて制御用バス59を通じて各素子に設定された呼び出し信号を出力し、適切な素子を呼び出すことができ、通信用バス58を通じて、呼び出した素子とCPU51からの命令や各種データの通信を行うようになっている。
【0048】図10は、車両制御装置50の格納式ルーフ10を開閉する制御の処理を示すフローチャートであり、図11は、車両制御装置50のトノカバー11を車両前後方向へスライドする制御の処理を示すフローチャートである。図10、及び図11に示すように、車両制御装置50は、以下に示すように、大別して2段階の処理を実行する。
【0049】各処理段階は、格納式ルーフ10の開閉要求に応じて、該格納式ルーフ10の開閉駆動を制御するルーフ開閉駆動処理段階(処理S01から中継点Aまで)と、トノカバー11のスポイラーモード要求に応じて、トノカバー11の駆動を制御するトノカバー駆動処理段階(中継点Aから処理S33まで)で構成される。
【0050】以下に車両制御装置50の実行する処理の詳細を図10、及び図11に示すフローチャートに沿って説明する。図10に示すように、CPU51は、処理S01において、入力手段53を呼び出し、入力手段53に現在の入力状態を記憶装置52に出力させて、記憶装置52に入力状態を記憶した後、処理S02に進む。
【0051】次に、処理S02において、CPU51は、記憶装置52を呼び出して記憶した入力状態を読み込む。そして、記憶した入力状態がルーフ開放要求であるか判断し、もし、ルーフ開放要求であれば、処理S03に進む。
【0052】処理S03において、CPU51は、ルーフ開放位置センサー56を呼び出して、格納式ルーフ10の開閉状態を出力させる。そして、格納式ルーフ10が開放しているかどうかを判断し、もし、格納式ルーフ10が開放状態であれば、開放する必要はないので、次の処理段階への中継点Aに進む。
【0053】一方、CPU51は、上記処理S02において、もし、記憶した入力状態がルーフ開放要求でなければ、処理S11に進む。そして、処理S11において、ルーフ開放位置センサー56を呼び出し、格納式ルーフ10の開放状態を出力させて、該格納式ルーフ10が開放しているかどうかを判断し、もし、格納式ルーフ10が開放状態でなければ、閉鎖する必要はないので中継点Aへ行き、開放状態であれば、処理S12に進む。
【0054】処理S12において、CPU51は、トノカバー位置センサー57を呼び出し、トノカバー11の位置データを出力させて、該トノカバー11の位置が後方であるかどうか判断し、後方であれば、格納式ルーフ10が開閉動作する際に、トノカバー11が干渉する恐れはないので、処理S13に進む。そして、処理S13において、ルーフ開閉駆動部コントローラー54へ、格納式ルーフ10を閉鎖駆動する命令を出力して、ルーフ開閉駆動部16に格納式ルーフ10を閉鎖するよう駆動させた後、中継点Aへ進む。
【0055】一方、CPU51は、上記処理S12において、もし、トノカバー11の位置が後方でない場合は、格納式ルーフ10が開閉動作する際にトノカバー11が干渉するので、処理S14に進む。そして、処理S14において、トノカバー駆動部コントローラー55へ、トノカバー11を後方へ駆動する命令を出力して、トノカバー駆動部16にトノカバー11を後方へスライド駆動させた後、処理S15へ進む。
【0056】次に、処理S15において、ルーフ開閉駆動部コントローラー54へ、格納式ルーフ10を閉鎖駆動する命令を出力して、ルーフ開閉駆動部16に格納式ルーフ10を閉鎖するよう駆動させた後、処理S16へ進む。
【0057】次に、処理S16において、トノカバー駆動部コントローラー55へ、トノカバー11を前方に駆動する命令を出力して、トノカバー駆動部20にトノカバー11を前方へスライド駆動させた後、中継点Aに進む。
【0058】一方、CPU51は、上記処理S03において、もし、格納式ルーフ10が開放状態であれば、処理S21に進む。そして、処理S21において、トノカバー位置センサー57を呼び出し、トノカバー11の位置を出力させて、該トノカバー11の位置が後方であるかどうか判断し、後方であれば、格納式ルーフ10が開閉動作する際にトノカバー11が干渉する恐れはないので、処理S22に進む。
【0059】処理S22において、CPU51は、ルーフ開閉駆動部コントローラー54へ、格納式ルーフ10を開放駆動する命令を出力して、ルーフ開閉駆動部16に格納式ルーフ10を開放するよう駆動させて中継点Aに進む。
【0060】一方、CPU51は、上記処理S21において、もし、トノカバー11の位置が後方でない場合は、格納式ルーフ10が開閉動作する際にトノカバー11が干渉するので、処理S23に進む。そして、処理S23において、トノカバー駆動部コントローラー55へ、トノカバー11を後方に駆動する命令を出力して、トノカバー駆動部16にトノカバー11を後方へスライド駆動させた後、処理S24へ進む。
【0061】処理S24において、CPU51は、ルーフ開閉駆動部コントローラー54へ、格納式ルーフ10を開放駆動する命令を出力して、ルーフ開閉駆動部16に格納式ルーフ10を開放駆動させた後、処理S25へ進む。
【0062】処理S25において、CPU51は、トノカバー駆動部コントローラー55に、トノカバー11を前方へスライド駆動する命令を出力して、トノカバー駆動部16をトノカバー11を前方へスライド駆動させた後、中継点Aに進む。
【0063】次に、中継点A以降の処理について説明する。図11に示すように、CPU51は、中継点Aから処理S31へ進み、処理S31において、記憶装置52を呼び出して記憶した入力状態を読み込み、該記憶した入力状態が、トノカバーのスポイラーモード要求であるか判断し、もし、スポイラーモード要求であれば、処理S32に進む。
【0064】処理S32において、CPU51は、トノカバー位置センサー57を呼び出し、トノカバー11の位置を出力させて、該トノカバー11の位置が後方であるかどうか判断し、後方であれば、既にスポイラーモードであるので処理S33に進み処理を終了する。
【0065】一方、CPU51は、上記処理S31において、もし、スポイラーモード要求でなければ、処理S34に進む。そして、処理S34において、トノカバー位置センサー57を呼び出し、トノカバー11の位置を出力させて、該トノカバー11の位置が後方であるかどうか判断し、後方であれば、処理S35に進み、そうでなければトノカバー11はスポイラーモードではないので処理S33に進み処理を終了する。そして、処理S35に進んだ場合は、トノカバー駆動部コントローラー55に、トノカバー11を前方へ駆動する命令を出力して、トノカバー駆動部16にトノカバー11を前方へスライド駆動させた後、処理S33に進み処理を終了する。
【0066】一方、CPU51は、上記処理S32において、トノカバー11の位置が後方でなかった場合、処理S36に進む。そして、処理S36において、トノカバー駆動部コントローラー55へトノカバー11を後方へ駆動する命令を出力し、トノカバー駆動部16にトノカバー11を後方へスライド駆動させた後、処理S33へ進み処理を終了する。
【0067】以上のように、本実施形態においては、ルーフ格納時に前側ルーフ構成部12とトノカバー11とで車室後部上方を略フラットに覆うことができ、ルーフ格納状態における車両の空力特性と見栄えを向上できる。また、トノカバー11を、覆いとしてだけでなくスポイラーとして利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
【出願日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−267056(P2003−267056A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−67529(P2002−67529)