| 【発明の名称】 |
車両用サンバイザの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】荒木 竹二
|
| 【要約】 |
【課題】溶剤を使用せずに表皮材に表示部を形成することが可能な車両用サンバイザの製造方法を提供する。
【解決手段】バイザ本体が、芯材とその芯材を被覆する表皮材とを備えて構成される、車両用サンバイザの製造方法である。そしてこの製造方法は、芯材に被覆される前の表皮材を準備し、その表皮材の表面に表示部を形成するために、表皮材の表示部に対応した位置に静電印刷方法によりトナーを付着させる工程(ステップS2)と、トナーに近赤外線を非接触にて照射し、これによってトナーを表皮材に溶着させ、表皮材に表示部を形成する工程(ステップS3)と、芯材に表皮材を被覆する工程(ステップS4)とを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バイザ本体が、芯材とその芯材を被覆する表皮材とを備えて構成される、車両用サンバイザの製造方法であって、前記芯材に被覆される前の前記表皮材を準備し、その表皮材の表面に表示部を形成するために、前記表皮材の前記表示部に対応した位置に静電印刷方法によりトナーを付着させる工程と、前記トナーに近赤外線を非接触にて照射し、これによって前記トナーを前記表皮材に溶着させ、前記表皮材に前記表示部を形成する工程と、前記芯材に前記表皮材を被覆する工程とを有することを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。 【請求項2】 バイザ本体が、芯材とその芯材を被覆する表皮材とを備えて構成される、車両用サンバイザの製造方法であって、前記芯材に前記表皮材を被覆する工程と、前記表皮材の表面に表示部を形成するために、前記表皮材の前記表示部に対応した位置に静電印刷方法によりトナーを付着させる工程と前記トナーに近赤外線を非接触にて照射し、これによって前記トナーを前記表皮材に溶着させ、前記表皮材に前記表示部を形成する工程とを有することを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。 【請求項3】 請求項1または2に記載の車両用サンバイザの製造方法であって、トナーは、粒度が平均50μm以下であることを特徴とする車両用サンバイザの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車室に取付けられる車両用サンバイザの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】車両用サンバイザは、一般に板状のバイザ本体を有しており、そのバイザ本体は、芯材とその芯材を被覆する表皮材とを備えて構成されている。そしてその表皮材には、コーションマークなどの表示部が形成されているものも少なくない。そして従来、その表示部がトナーを成分として構成されるものも知られていた。この場合の表示部の形成は、先ず表皮材の所望位置にトナーを付着させる。そしてそのトナーに定着液を噴霧してトナーを表皮材に定着させる。これにより表示部が表皮材に形成されていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしトナーを定着させるための定着液は、一般に塩化メチレンなどの溶剤であった。そのため環境への配慮から定着液の飛散を防止したり、揮発性が高いことから定着液の保管方法を工夫する必要があって、作業性が悪いなどの問題があった。そこで本発明は、上記の問題点に鑑みて、溶剤を使用せずに表皮材に表示部を形成することが可能な車両用サンバイザの製造方法を提供することを課題とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明は、上記各請求項に記載の通りの構成を備える車両用サンバイザの製造方法であることを特徴とする。すなわち請求項1に記載の発明によれば、トナーに近赤外線を非接触にて照射する。そしてこれによりトナーを表皮材に溶着させ、トナーを表皮材に定着させる。すなわち溶剤を使用せずにトナーを表皮材に定着させることができ、溶剤を使用することによる作業性の問題などが解消される。また近赤外線を利用することで、次のような利点もある。すなわち近赤外線は、透過性が強く、トナーや表皮材に深く侵入して深部からこれらを溶融する特性を持っている。したがってトナーは、表皮材に接する側を中心に溶融する。かくしてトナーは、表皮材に溶着しやすい。一方、表皮材も深部から溶融する。したがって表皮材の表面側の溶融を少なくすることが可能である。これによって表皮材は、表面に施された意匠処理(例えば光沢処理やシボ加工処理)の溶融を少なくすることも可能である。また非接触にてトナーを溶融するため、表皮材やトナーの厚みが異なる場合であっても柔軟にそれらに対応させることができる。またトナーを多層状に付着させた場合においてもその層の数に容易に対応させることができる。 【0005】請求項2に記載の発明によれば、表示部を形成する前に表皮材を芯材に被覆する。そのため表皮材は、表示部の位置を考慮することなく芯材に被覆できる。そして表示部は、芯材の位置を考慮しながら所望位置へ設けることができる。そのため芯材に対する所望位置に表示部を設けることができる。かくして表皮材を容易に芯材に被覆できるとともに、表示部を適所に容易に設けることができる。また本発明は、請求項1に記載の発明と同様に、トナーの定着に近赤外線を利用している。そのためトナーの定着の際に溶剤を使用せず、溶剤を使用することによる作業性の問題などが解消される。また近赤外線を利用するためにトナーを表皮材に溶着させやすい。また表皮材の表面に施された意匠処理の溶融を少なくすることも可能である。また非接触にてトナーを溶融するため、表皮材やトナーの厚みが異なる場合であっても柔軟にそれらに対応することが可能である。またトナーを多層状に付着させた際においても容易に対応することが可能である。 【0006】請求項3に記載の発明によれば、トナーは、粒度が平均50μm以下である。したがってトナーは、粒度が小さく、その表面積が広くなる。かくしてトナーは、近赤外線によって溶融されやすく、容易に表皮材に定着される。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明は、車両用サンバイザ1にかかるものであって、図4に示すように板状のバイザ本体を備える。そしてこのバイザ本体は、製品形状に形成された芯材5と、その芯材5の表面を被覆する表皮材4とを備えて構成されている。そして表皮材4の表面側には、図4に示すように表示部6が形成されている。この表示部6は、例えば製品の取扱方法、注意書き(コーション)などの文字・記号であったり、あるいはデザインを構成する模様などである。 【0008】以下に、車両用サンバイザの製造方法を図1(a)にしたがって説明する。先ず表皮材4を所望形状にカットする。そのカット形状は、製品形状に対応した形状ないし、表示部6を構成するための装置(図2参照)に対応した形状である。そしてカットした表皮材4を印刷装置にセットする(準備する)(ステップS1)。次に、表皮材4の表面のうちの表示部6を構成したい位置に静電印刷装置を利用してトナーを付着させる(ステップS2)。そしてトナーに近赤外線を照射してトナーを溶融し、表皮材4にトナーを溶着させる(ステップS3)。これによって表皮材4の表面にトナーを定着させ、表皮材4に表示部6を形成する(図2参照)。 【0009】次に、図3に示すように製品形状にトリムされた芯材5を準備する。そしてその芯材5に表皮材4を被覆する(ステップS4)。この被覆方法は、例えば図3に示すように二枚の表皮材4の間に芯材5を配設し、表皮材4と芯材5とを層状に重ねる。そして表皮材4に芯材5の外周形状に沿って高周波ないし超音波を照射し、二枚の表皮材4同士を溶着させる。したがって表皮材4が袋状となり、その袋内に芯材5が配設される。かくして芯材5は、表皮材4によって被覆される。そして最後に余分となった表皮材4の端部を切り落とす。また被覆方法は、上記の方法に代えて次の方法による場合であってもよい。すなわち先ず、表皮材4を二つ折りにし、表皮材4の一辺を除いた周縁を縫製して表皮材4を一端側開口となった袋状にする。そして縫製されていない一辺側から芯材5を挿入し、その一辺を閉じる。これによって芯材5は、表皮材4によって被覆される。以上のようにして、車両用サンバイザ1が製造される。 【0010】なお表皮材4にトナーを付着させる工程(ステップS2)は、静電気を利用する静電印刷方法により行う。この方法は、ステンレス製のスクリーンと電極を適当な距離に向かい合わせ、その間に表皮材4を設置し、スクリーンと電極間に電圧をかける。そしてスクリーン上に付着させられたトナーをブラシローラーなどでこすり、スクリーンの目を通過させ、通過することで帯電したトナーが電極側に引き寄せられ、その電極側にある表皮材4の上に載る(付着する)。この方法は、非接触によって表皮材4にトナーを付着させることができる方法であるため、表皮材4の材質や形状によって影響を受けることが少ない方法である。 【0011】またトナーを表皮材4に溶着(定着)させる工程は(ステップS3)、図2に示すように近赤外線を照射する加熱装置3を利用して行う。したがって先ず、表皮材4が載置された作業台2を加熱装置3の下方へ移動させる(図2参照)。あるいは加熱装置3を表皮材4の上方へ移動させ、表皮材4の上方に加熱装置3を配置する。そして加熱装置3から近赤外線を非接触で照射させ、トナーに熱を与える。これによってトナーは、熱を受けて溶融し、表皮材4に溶着する。例えばトナーが粒子状のものから液状に相変化し、表皮材4の表面上の凹凸部に入り込む。そしてその状態においてトナーが固まり、トナーが表皮材4に物理的に溶着する。あるいはトナーと表皮材4とが化学的に反応して、化学的に溶着し、トナーと表皮材4とが溶着する。 【0012】また近赤外線は、照射されることで極性の有する分子に運動エネルギーを与え、その分子を振動させる。そしてその振動により熱を生じさせる。したがって近赤外線によってトナーを加熱する場合は、伝導や対流の熱伝達による加熱方法に比べて効率よく加熱できる。これは、近赤外線による加熱方法が媒体物(空気など)を必要としない方法であって、エネルギー損失が少ないからである。また近赤外線は、遠赤外線などに比べて透過性が高い。したがって近赤外線は、トナー(表示部6)や表皮材4に深く侵入して深部からこれらを溶融する特性を持っている。そのためトナーは、図5(b)に示すように表皮材4に接する側を中心に溶融する。かくしてトナーは、表皮材4に対して溶着しすい。 【0013】またトナーは、図5(b)に示すように溶着側が十分に溶融された場合であっても、その反対側である表面側の溶融量を少なくすることができる。したがってトナーが溶融しすぎてダレることによる印刷にじみを少なくすることができる。また表皮材4も、図5(b)に示すように深部から溶融する。したがって表皮材4の表面側の溶融量は少ない。そのため表皮材4の表面に施された意匠処理、例えば光沢処理やシボ加工処理などの溶融を少なくすることも可能である。また表皮材4を溶融しすぎることで表皮材4の変形を防止することも可能である。また近赤外線は、非接触にてトナーないし表皮材4側へ照射される。そのため表皮材4やトナーの厚みが異なる場合であっても柔軟にそれらに対応させることができる。またトナーを多層状に付着させた場合にも、その層の数に容易に対応させることができる。 【0014】ところで近赤外線を利用しない加熱方法、例えば遠赤外線による加熱方法、あるいはヒータによる加熱方法も考えられるが、この場合は、図6に示すようにトナーや表皮材4が表面側から溶融してしまう。したがってこれらの加熱方法では、上記の効果を得ることが困難である。したがって近赤外線による加熱方法は、遠赤外線などによる加熱方法に比べてトナーを表皮材4に容易に溶着させることができる。あるいは表皮材4の表面処理を保持しやすいなどの効果を奏する。 【0015】また近赤外線による加熱方法を利用することで製造効率を上げることも可能である。これは、遠赤外線のON・OFFの応答速度が一般に10分〜20分と時間がかかるのに対して、近赤外線の応答速度が約1秒以内であって時間を必要としないからである。また熱伝達を利用する加熱方法の場合は、風などを必要とする場合が多く、その風を発生させる装置が必要であった。これに対して近赤外線による加熱方法の場合は、そのような設備が不要であって、省力化が可能である。 【0016】またトナーは、熱によって溶融しやすいものが好ましく。例えば170度以下に融点を有する熱可塑性樹脂の微粉末を素材として成形されるものが好ましい。またトナーは、粒径を小さくし、表面積を多くすることで熱を受けやすいものが好ましく、例えば平均粒度が75μm以下、さらに好ましくは50μm以下のものが好ましい。またトナーは、摩擦により帯電しやすいキャリヤーを含んだ粒子であることが好ましい。このキャリヤーは、例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル酸メチル、ポリエステル等を素材として成形されるものである。したがってトナーは、一例として以下の配合のものがある。 アクリル樹脂 80±10w% PVC(ポリ塩化ビニル)10±5w% 添加剤 5±3w% 顔料 5±3w% (w%…重量パーセント) 【0017】一方表皮材4は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、オレフィン樹脂(TPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂を素材として成形される。また織布ないし不織布などを素材として成形されるものでもよい。また表皮材4は、トナーが熱によって定着されており、溶剤によって定着されていない。したがって表皮材4を耐溶剤性の弱い材質によって成形することも可能である。 【0018】またトナーは、表皮材4との相性がよいものを選択することが好ましい。例えば表皮材4の材料成分に含有される成分を有する材料から成形されるもの、特に表皮材4の主となる成分を含有する材料から成形されるものが好ましい。もし表皮材4が熱可塑性樹脂(例えばPVC)を主成分とする材料から成形されている場合は、トナーがその熱可塑性樹脂(例えばPVC)をキャリヤーとして含有する材料から成形されるものが好ましい。これによってトナーは、表皮材4に対して物理的に溶着しやすい。これは、トナーの熱膨張率と表皮材の熱膨張率とが近いために剥離が生じにくいなどを原因とするからである。またトナーと表皮材4とが化学的に結合しやすい。そのためトナーは、表皮材4に定着しやすく、定着後は、安定よく表皮材4に定着する。 【0019】以上のようにして車両用サンバイザが製造されるため、表皮材4に表示部6を形成する際には、溶剤を必要としない。したがって溶剤の飛散を防止したり、揮発性の高い溶剤を保管するなどの作業が不要であって、容易に車両用サンバイザを製造できる。また消耗材となる溶剤を不要とするため、製造コストを安くすることも可能である。またトナーは、熱によって溶融される。そのためトナーの溶融が場所によって変わってしまうことが少ない。例えば溶剤によりトナーを溶かす方法では、溶剤を均一に噴霧することが容易でないため、場所によってトナーの溶融状態が異なり、これによって定着にムラがでてしまう可能性が高い。そして溶剤の量が多い部分では、トナーが広がりやすく、これによって印刷にじみを発生させる原因にもなっていた。特に表皮材4にシボ加工がある場合には、表皮材4の表面に凹凸が多いことから、その現象が多く見られた。これに対して本発明によると、そのようなトナーのにじみを押えることができるため、シボを有する表皮材4であってもにじみが発生しにくく、表示部6をきれいに仕上げることができる。 【0020】次に、上記の実施の形態と異なる車両用サンバイザの製造方法を図1(b)にしたがって説明する。すなわち先ず、芯材5に表皮材4を被覆する(ステップS5、図4参照)。次に、その表皮材4の表面にトナーを付着させる(ステップS6)。そしてそのトナーに熱を加えて表皮材4にトナーを溶着(定着)させ(ステップS7)、これによって表皮材4に表示部6を形成する。なおステップS5,S6,S7は、それぞれ上記の実施の形態のステップS4,S2,S3と同じ工程であり、ここではその説明を割愛する。 【0021】すなわち表示部6を形成する前に表皮材4を芯材5に被覆するため、表示部6が芯材5のどの位置に配されるかを配慮することなく、表皮材4を芯材5に被覆することができる。そして表示部6は、芯材5に被覆された状態の表皮材4に設けられる。したがって表示部6は、芯材5の位置を考慮しつつ所望位置に設けられる。したがって本実施の形態によると、表皮材4を芯材5に容易に被覆することができる。そして表示部6を適所に容易に設けることができる。またトナーの定着の際に溶剤を使用しないため、芯材5の材質を耐溶剤性の弱いものにすることも可能である。 【0022】 【発明の効果】本発明に係る車両用サンバイザの製造方法によれば、溶剤を使用せずに表皮材に表示部を形成することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】599041329 【氏名又は名称】共和産業株式会社 【識別番号】390017248 【氏名又は名称】株式会社ティムエンタープライズ
|
| 【出願日】 |
平成14年3月18日(2002.3.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064344 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 英彦 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−267050(P2003−267050A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−74791(P2002−74791) |
|