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【発明の名称】 補強金属曲板および金属曲板補強方法
【発明者】 【氏名】石崎 久好
【住所又は居所】愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原1141番地1 アイシン化工株式会社内

【氏名】樋江井 守
【住所又は居所】愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原1141番地1 アイシン化工株式会社内

【氏名】加藤 晴也
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】大橋 豊
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】長岡 秀憲
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】山本 良一
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】宮田 雅彦
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】補強金属曲板の機械的強度を、歪みの発生を抑えつつ確実に向上させる。

【解決手段】金属曲板1の一方の面に、長手方向を金属曲板1の曲がる方向又はほぼ曲がる方向とし幅方向に間隔をもって並設された複数本の帯状樹脂補強材2を接合する。帯状樹脂補強材2により十分な面積で金属曲板1の面に接合され、かつ各帯状樹脂補強材2の長手方向が金属曲板の曲がる方向又はほぼ曲がる方向に一致しているため、十分に高い機械的強度が得られる。一方、隣り合う帯状樹脂補強材2の間隔が歪みを吸収するため、金属曲板1に発生する歪みを抑えることができる。従って、本手段によれば補強金属曲板の機械的強度を歪みの発生を抑えつつ確実に向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ドア外板等の自動車外板となる金属曲板と、該金属曲板の一方の面に接合され、かつ長手方向を該金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方とし幅方向に間隔をもって並設された複数本の帯状樹脂補強材と、から構成されていることを特徴とする補強金属曲板。
【請求項2】 前記帯状樹脂補強材は、少なくとも一カ所の屈折部を有する請求項1に記載の補強金属曲板。
【請求項3】 前記帯状樹脂補強材は、50mm以下の幅を有する請求項1又は2に記載の補強金属曲板。
【請求項4】 隣り合う前記帯状樹脂補強材の間隔は50mm以下である請求項1又は2に記載の補強金属曲板。
【請求項5】 前記ほぼ曲がる方向は、前記曲がる方向を中心にして45°以下の角度をなす請求項1又は2に記載の補強金属曲板。
【請求項6】 前記帯状樹脂補強材は、前記曲がる方向をおよびほぼ曲がる方向を横切るように併設された請求項2に記載の補強金属曲板。
【請求項7】 前記屈折部の開き角度は、30°以上180°未満である請求項2に記載の補強金属曲板。
【請求項8】金属曲板の一方の面に、長手方向を該金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方とし幅方向に間隔をもって並設された複数本の帯状樹脂補強材を接合することを特徴とする金属曲板補強方法。
【請求項9】 前記帯状樹脂補強材は、少なくとも一カ所の屈折部を有する請求項8に記載の金属曲板補強方法。
【請求項10】 前記帯状樹脂補強材は、50mm以下の幅を有する請求項8又は9に記載の金属曲板補強方法。
【請求項11】 隣り合う前記帯状樹脂補強材の間隔は50mm以下である請求項8又は9に記載の金属曲板補強方法。
【請求項12】 前記ほぼ曲がる方向は、前記曲がる方向を中心にして45°以下の角度をなす請求項8又は9に記載の金属曲板補強方法。
【請求項13】 前記帯状樹脂補強材は、前記曲がる方向およびほぼ曲がる方向を横切るように併設された請求項9に記載の金属曲板補強方法。
【請求項14】 前記屈折部の開き角度は、30°以上180°未満である請求項9に記載の金属曲板補強方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属曲板の補強方法に関し、特に自動車の外板などに使用される鋼製補強金属曲板と、金属曲板補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などの外板には鋼製板材などの金属製の板材が使用されている。車体の軽量化に伴い、外板の薄板化が進められている一方で、外板に樹脂製の樹脂補強材を裏打ちすることで外板を補強することがなされている。
【0003】従来より金属製の板材を補強する方法として、樹脂補強材を裏打ちする板材の面上に樹脂よりなるペースト状の補強材をスプレー、ロール、刷毛、へら等を用いて面状に板材上に塗布する方法(特開昭55−16073号公報および特開平6−172617号公報など)や、あらかじめ平板状に成形された樹脂補強材(プリプレグシート)を張り付ける方法などがある(実開昭55−101659公報など)。これらの方法により金属製の板材の曲げ強さなどの機械的強度を向上させることができる。
【0004】しかるに、樹脂補強材により金属製の板材を補強することで、金属製の板材に歪みが生じて変形や機械的強度が低下してしまう問題がある。特に金属曲板においては、その傾向が強い。そこで、樹脂補強材の材質を選択することにより歪みの発生を防止しようとすると、十分な補強効果を得ることができないことがある。このように、樹脂補強材による曲板の補強効果と歪みの発生は背反現象であり、補強効果の高い樹脂補強材を使用すると金属製曲板に歪みが発生し、歪みの発生が起こりにくい樹脂補強材を使用すると補強効果が低くなってしまう。
【0005】そこで、例えば前述の樹脂補強板を張り付ける方法では、特開昭63−28475号公報に開示されているように、樹脂補強板にスリットを設けて歪みの発生を抑えようとする試みがなされているが、十分な補強効果を得ることができないことがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、補強金属曲板の機械的強度を歪みの発生を抑えつつ確実に向上させることのできる補強金属曲板及び金属曲板補強方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の補強金属曲板は、ドア外板等の自動車外板となる金属曲板と、該金属曲板の一方の面に接合され、かつ長手方向を該金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方とし幅方向に間隔をもって並設された複数本の帯状樹脂補強材と、から構成されていることを特徴とする。
【0008】帯状樹脂補強材が接合される金属曲板の一方の面は、曲率中心に面する曲面であってもよいし、その曲面の反対側の曲面であってもよい。
【0009】ここで、前記金属曲板の曲がる方向とは、金属曲板の縦断面のうち曲率を有する縦断面を任意に選択し(これを第1縦断面という)、その第1縦断面が含まれる仮想的な縦平面の面上において定義される方向をいう。一方、前記金属曲板のほぼ曲がる方向とは、前記第1縦断面の任意の箇所にその曲がる方向と直交する軸をとり、その軸を中心にして任意の回転角で回転させた第1縦断面の曲率より小さな曲率をもつ縦断面(第2縦断面)を選択し、その第2縦断面が含まれる仮想的な縦平面の面上において定義される方向をいう。第1縦断面の曲率は、第2縦断面群の曲率に対して極大となる。
【0010】例えば図1に示す金属曲板(詳しくは図2に示す金属曲板)については、第1縦断面として曲率(R)をもつ縦断面αが挙げられる。この縦断面αを含む仮想的な縦平面上において、図示したように曲がる方向が定義される。一方、この縦断面α上にその曲がる方向と直交する軸Cをとり、その軸Cを中心にしてdθの回転角で回転させた曲率r(<R)をもつ縦断面βが第2縦断面となる。この縦断面βを含む仮想的な縦平面上において、図示したようにほぼ曲がる方向が定義される。
【0011】補強金属曲板においては、複数本の帯状樹脂補強材が面状の樹脂補強材とほぼ同等な面積で金属曲板の面に接合され、かつ各帯状樹脂補強材の長手方向が金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方に一致しているため、面状の樹脂補強材を設けた補強曲板とほぼ同等の機械的強度をもち、特に曲げ強さが高いものである。すなわち、複数本の帯状樹脂補強材が十分な面積で金属曲板の面に接合されており、かつ各帯状樹脂補強材の長手方向を金属曲板の曲がる方向又はほぼ曲がる方向に一致させるため、補強金属曲板において十分に高い機械的強度が得られる。
【0012】一方、それらの隣り合う帯状樹脂補強材の間隔が歪みを吸収するため、金属曲板に発生する歪みを抑えることができる。
【0013】また、帯状樹脂補強材が少なくとも一カ所の屈折部を有することにより、少量の樹脂補強材で高い機械的強度を保つことができ、高効率で高い剛性を確保することができる。さらに、屈折部の開き角度の違いで、金属曲板の形状や必要性能に応じた補強が可能となる。
【0014】従って、この補強金属曲板によれば、補強金属曲板の機械的強度を歪みの発生を抑えつつ確実に向上させることができる。
【0015】上記課題を解決する金属曲板補強方法は、金属曲板の一方の面に、長手方向を該金属曲板の曲がる方向又はほぼ曲がる方向とし幅方向に間隔をもって並設された複数本の帯状樹脂補強材を接合することを特徴とする。
【0016】この金属曲板補強方法においても、複数本の帯状樹脂補強材を面状の樹脂補強材とほぼ同等な面積で金属曲板の面に接合し、かつ各帯状樹脂補強材の長手方向が金属曲板の曲がる方向又はほぼ曲がる方向に一致させるため、本法で得られた補強金属曲板は面状の樹脂補強材を設けた補強曲板とほぼ同等の機械的強度が得られ、特に曲げ強さを向上させることができる。すなわち、複数本の帯状樹脂補強材を十分な面積で金属曲板の面に接合でき、かつ各帯状樹脂補強材の長手方向が金属曲板の曲がる方向又はほぼ曲がる方向に一致しているため、本手段により金属曲板に十分に高い機械的強度を付与することができる。
【0017】一方、それらの隣り合う前記帯状樹脂補強材の間隔が歪みを吸収するため、金属曲板に発生する歪みを抑えることができる。それゆえ、歪みによる金属曲板の変形を防ぐことができる。
【0018】また、帯状樹脂補強材に少なくとも一カ所の屈折部を持たせているために、少量の樹脂補強材で高い機械的強度を保つことができ、高効率で高い剛性を確保することができる。さらに、屈折部の開き角度を変化させれば、金属曲板の形状や必要性能に応じた補強が可能となる。
【0019】従って、この金属曲板補強方法によれば、補強金属曲板の機械的強度を歪みの発生を抑えつつ確実に向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】[補強金属曲板]金属曲板は、いかなる金属より形成されたものでもよい。その曲面の形状については、図1に示した形状の他に、椀状などの形状が挙げられる。金属曲板の曲率についても特に限定されない。その曲面の面積および曲板の厚さについても特に限定されるものではない。一方、その形成方法についても特に限定されるものではない。
[帯状樹脂補強材]帯状樹脂補強材についても、いかなる樹脂より形成されたものであってもよく、公知の樹脂製補強材の材料からなるものとすることができる。その硬度についても特に限定されるものではないが、JIS-A硬度計で測定して80以上であることが好ましい。
【0021】また、帯状樹脂補強材の形状については、帯状に延長しているものであれば特に限定されるものではなく、厳密に一定の幅をもつものでなくともよいが、一定の幅をもつものであれば、隣り合う帯状樹脂補強材との幅方向の間隔をとりやすくなるなど帯状樹脂補強材の配設が容易になるため好ましい。こうした帯状樹脂補強材として、長方形の横断面を有するものが挙げられる。また、その縦断面の形状としては、長方形又は台形が挙げられる。さらに、少なくとも一カ所の屈折部を持つものも利用できる。その際、屈折部の開き角度は30°以上180°未満が好ましい。
【0022】帯状樹脂補強材の長手方向の長さについても特に限定されるものではない。一方、その幅についても特に限定されるものではないが、50mm以下の幅を有することが好ましい。この手段により、帯状樹脂補強材による金属曲板の歪みの発生をさらに抑えることができる。厚さについても特に限定されるものではないが、帯状樹脂補強材の重量が大きくなりすぎることなく、所望の機械的強度が得られるよう適切に選択することが好ましい。なお、帯状樹脂補強材の厚みは均一であることが好ましい。帯状樹脂補強材の厚さがばらついていると、機械的強度の増大にばらつきが生じてしまう。
【0023】また、隣り合う前記帯状樹脂補強材の幅方向に間隔についても隣り合う帯状樹脂補強材に当たらないものであれば特に限定されるものではないが、その間隔は50mm以下であることが好ましい。この手段によっても、帯状樹脂補強材による金属曲板の歪みの発生をさらに抑えることができる。さらには、帯状樹脂補強材が一定の幅をもつものであれば、互いに平行に配設されていることが好ましい。
【0024】帯状樹脂補強材の本数は、帯状樹脂補強材の総面積が出来る限り大きくなり、かつ帯状樹脂補強材の幅および幅方向に間隔に応じて適切に選択することが好ましい。
【0025】さらに、前記ほぼ曲がる方向は、前記曲がる方向を中心にして45°以下の角度をなす方向であることが好ましい。この手段により補強金属曲板の曲げ強さをさらに大きくすることができる。
【0026】帯状樹脂補強材は、いかなる接合方法によって金属曲板に接合されたものであってもよいが、例えば、帯状に延長する複数の補強平板材がその長手方向を金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方に一致するように互いに間隔をもって該金属曲板に接着されたものや、あるいは硬化性でペースト状のペースト補強材が金属曲板上の所定箇所に塗布されたものが挙げられる。
【0027】なお、前者の接合方法においては、補強平板材を接着剤などを用いて金属曲板に接着してもよいし、補強平板材を金属曲板上に配置させた後に金属曲板に圧着するなどして接着してもよい。
【0028】また、後者の接合方法においては、スプレー、ロール、刷毛、へら等によってペースト補強材を金属曲板を塗布することができる。また、この接合方法で均一な厚さの帯状樹脂補強材を形成する方法としては、ペースト補強材を均一な厚さに塗布してもよいし、あるいはペースト補強材を適当な厚さで塗布してペースト補強材層を形成した後(このときペースト補強材層の厚さにばらつきがあってもよい)、適当な押圧手段でペースト補強材層を押圧してその厚さを均一にしてもよい。[金属曲板補強方法]本発明は、いかなる金属より形成された金属曲板に適用することができる。その曲面の形状については、図1および図2に示した形状の他に、椀状などの形状が挙げられる。金属曲板の曲率についても特に限定されない。その曲面の面積および曲板の厚さについても特に限定されるものではない。
【0029】帯状樹脂補強材についても、いかなる樹脂より形成してもよく、公知の樹脂製補強材の材料から形成することができる。その硬度についても特に限定されるものではないが、JIS-A硬度計で測定して80以上であることが好ましい。
【0030】また、帯状樹脂補強材の形状についても帯状に延長しているものであれば特に限定されるものではなく、厳密に一定の幅をもつものでなくともよいが、一定の幅をもつものであれば、隣り合う帯状樹脂補強材との幅方向の間隔をとりやすくなるなど帯状樹脂補強材の配設が容易になるため好ましい。こうした帯状樹脂補強材として、長方形の横断面を有するものが挙げられる。また、その縦断面の形状としては、長方形又は台形が挙げられる。さらに、少なくとも一カ所の屈折部を持つものも利用できる。その際、屈折部の開き角度は30°以上180°未満が好ましい。
【0031】帯状樹脂補強材の長手方向の長さについても特に限定されるものではない。一方、その幅についても特に限定されるものではないが、50mm以下の幅を有することが好ましい。この手段により、帯状樹脂補強材による金属曲板の歪みの発生をさらに抑えることができる。その厚さについても特に限定されるものではないが、帯状樹脂補強材の重量が大きくなりすぎることなく、所望の機械的強度が得られるよう適切に選択することが好ましい。なお、帯状樹脂補強材の厚みは均一であることが好ましい。帯状樹脂補強材の厚さがばらついていると、機械的強度の増大にばらつきが生じてしまう。
【0032】また、隣り合う帯状樹脂補強材の幅方向に間隔についても隣り合う帯状樹脂補強材に当たらないようにとれば特に限定されるものではないが、その間隔は50mm以下であることが好ましい。この手段によっても、帯状樹脂補強材による金属曲板の歪みの発生をさらに抑えることができる。さらには、帯状樹脂補強材が一定の幅をもつものであれば、互いに平行に配設することが好ましい。
【0033】帯状樹脂補強材の本数は、帯状樹脂補強材の総面積が出来る限り大きくなり、かつ帯状樹脂補強材の幅および幅方向に間隔に応じて適切に選択することが好ましい。
【0034】さらに、前記ほぼ曲がる方向は、前記曲がる方向を中心にして45°以下の角度をなす方向であることが好ましい。この手段により、補強金属曲板の曲げ強さをさらに大きくすることができる。
【0035】金属曲板に帯状樹脂補強材を接合する方法は特に限定されるものではないが、例えば、帯状に延長する複数の補強平板材をその長手方向を金属曲板の曲がる方向およびほぼ曲がる方向の少なくとも一方に一致させつつ互いに間隔をもたせて該金属曲板上に接着する方法や、あるいは硬化性でペースト状のペースト補強材を金属曲板上の所定箇所に塗布する方法が挙げられる。
【0036】なお、前者の配設方法においては、補強平板材を接着剤などを用いて金属曲板に接着してもよいし、補強平板材を金属曲板上に配置させた後に金属曲板に圧着するなどして接合してもよい。
【0037】また、後者の接合方法においては、スプレー、ロール、刷毛、へら等によってペースト補強材を金属曲板を塗布することができる。また、この配設方法で均一な厚さの帯状樹脂補強材を形成する方法としては、ペースト補強材を均一な厚さに塗布してもよいし、あるいはペースト補強材を適当な厚さで塗布してペースト補強材層を形成した後(このときペースト補強材層の厚さにばらつきがあってもよい)、適当な押圧手段でペースト補強材層を押圧してその厚さを均一にしてもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0039】実施例1〜12および参考例1〜4ではいずれも、金属曲板として図2に示した形状をもつ鋼板1(200mm×300mm、厚さ0.5mm、曲率200)を用意した。この鋼板1においては、曲率中心に面する曲面がその裏面である。
【0040】また、実施例1〜12については、鋼板1に帯状樹脂補強材2を接合する方法として、熱硬化性でペースト状のペースト補強材を鋼板1上の所定箇所に塗布してペースト補強材層を形成し、ペースト補強材層を押圧することによりその厚さを均一にした後、加熱して硬化させる接合方法を採用した。なお、参考例についてもペースト補強材を採用した。
【0041】ここで熱硬化性でペースト状のペースト補強材としては、表1に示す組成のものを用いた。ペースト補強材層の硬化条件は、180℃の加熱温度で30分間加熱するものとした。
【0042】
【表1】

【0043】(実施例1)図3に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例2)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された2本の幅30mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例3)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に30mmの間隔をもって並設された2本の幅30mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例4)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に50mmの間隔をもって並設された2本の幅30mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例5)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に70mmの間隔をもって並設された2本の幅30mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例6)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に90mmの間隔をもって並設された2本の幅30mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例7)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された5本の幅10mmの帯状樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例8)図5に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向を中心にして15°の角度をなす方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例9)図6に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向を中心にして30°の角度をなす方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;長い方が200mmで短い方が170mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例10)図7に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1のほぼ曲がる方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;長い方が200mmで短い方が170mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。ここでほぼ曲がる方向は、鋼板1の曲がる方向を中心にして45°の角度をなす方向とした。
(実施例11)図8に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向を中心にして60°の角度をなす方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;150mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(実施例12)図9に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向を中心にして75°の角度をなす方向とし幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;150mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
(参考例1)図4に示すように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向として設けられた1本の幅50mmの樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)を接合した。
(参考例2)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向として設けられた1本の幅70mmの樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)を接合した。
(参考例3)鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向として設けられた1本の幅90mmの樹脂補強材(長手方向の長さ;200mm、厚さ;2mm)を接合した。
(参考例4)図10に示されるように、鋼板1の裏面の中央部分に、長手方向を鋼板1の曲がる方向を中心にして直角方向(曲率0)として幅方向に10mmの間隔をもって並設された3本の幅30mmの帯状樹脂補強材2(長手方向の長さ;150mm、厚さ;2mm)をそれぞれ接合した。
[機械的強度の評価]
(曲げ強さ試験)本実施例および本参考例について、JIS−K6911で制定される曲げ強さ測定装置を用いてそれぞれ曲げ強さ試験を行った。また、補強を施していない2種類の鋼板{鋼板1(200mm×300mm、厚さ0.5mm、曲率200)、および鋼板2(200mm×300mm、厚さ0.8mm、曲率200)}についても同様にしてそれぞれ曲げ強さ試験を行った。図11に本試験を行っている様子を示した。
【0044】本試験では、支持点の間隔を300mmとした。また、押さえ具により補強金属曲板に作用させる荷重は、補強金属曲板押が5mm/分の速度で下方にたわむように選択した。表2にそれらの試験結果を示す。
【0045】
【表2】

【0046】表2より、本実施例で得られた補強金属曲板では、いずれにおいても5mm変位時の荷重が補強を施していない鋼板の150%以上であることがわかる。それに対し、参考例4で得られた補強金属曲板では、5mm変位時の荷重が補強を施していない鋼板の150%未満であることがわかる。すなわち、本実施例の補強手段によれば、曲げ強さを確実に向上させることができることがわかる。
【0047】一方、実施例1で得られた補強金属曲板と、実施例8〜12でそれぞれ得られた各補強金属曲板とは、幅および隣り合う帯状樹脂補強材の幅方向の間隔が同じであるにも関わらず、前者の実施例1で得られた補強金属曲板が最も高い曲げ強さをもつ。このことから、帯状樹脂補強材の長手方向は、金属曲板のほぼ曲がる方向よりも曲がる方向とすることにより、さらに高い曲げ強さが得られることがわかる。
【0048】また、実施例8〜12で得られた補強金属曲板は、帯状樹脂補強材の長手方向(ほぼ曲がる方向)と曲がる方向とのなす角度が異なる他は同じ帯状樹脂補強材接合されているが、中でもほぼ曲がる方向が曲がる方向を中心にして45°以下の角度をなす実施例8〜10においては、実施例11及び実施例12に比べて曲げ強さがさらに向上していることがわかる。
[歪みの評価法]本実施例および本参考例について、帯状樹脂補強材を接合した面の反対側に黒色でつやのある塗料を塗り、2人以上で目視評価をして、歪みのないものを合格○とし、歪みのあるものを不合格×とした。
【0049】参考例2、3で得られた補強金属曲板では、鋼板に許容範囲外の歪みが発生したが、本実施例で得られた補強金属曲板ではいずれにおいても、鋼板に発生した歪みは許容範囲内にあることがわかる。すなわち、本実施例の補強手段によれば、鋼板の歪みの発生を十分に抑えることができることがわかる。
【0050】また、いずれの実施例においても帯状樹脂補強材が50mm以下の幅を有するため、鋼板の歪みの発生を十分に抑えることができた。
【0051】実施例13〜17および参考例5では、図12(a)に示されるように、ドア外板4の裏面に補強必要部分3を定め、図12(b)に示されるように、補強必要部分3に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように幅方向に間隔をもって並設された、一カ所の屈折部を有する帯状樹脂補強材2を塗布幅、塗布間隔および塗布厚を一定のもとで接合した。
【0052】このドア外板4においては、曲率中心に面する曲面がその裏面である。この中央部に補強必要部分3(200mm×400mm)を定めた。
【0053】また、ドア外板4に帯状樹脂補強材2を接合する方法として、熱硬化性でペースト状のペースト補強材をドア外板4上の所定箇所に塗布してペースト補強材層を形成し、ペースト補強材層を押圧することによりその厚さを均一にした後、加熱して硬化させる接合方法を採用した。
【0054】ここで熱硬化性でペースト状のペースト補強材としては、前述の表1に示す組成のものを用いた。また、プリプレグシートについても、表1に示す組成のものを用いた。ペースト補強材層の硬化条件は、180℃の加熱温度で30分間加熱するものとした。
(実施例13)図12(b)に示されるように、ドア外板4の補強必要部分に、鋼板の曲がる方向を横切るように並設された 本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを30°として接合した。
(実施例14)鋼板の補強必要部分に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように並設された本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを60°として接合した。
(実施例15)鋼板の補強必要部分に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように並設された本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを90°として接合した。
(実施例16)鋼板の補強必要部分に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように並設された本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを120°として接合した。
(実施例17)鋼板の補強必要部分に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように並設された本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを180°として接合した。
(参考例5)鋼板の補強必要部分に、ドア外板4の曲がる方向を横切るように並設された本の帯状樹脂補強剤(塗布幅;10mm、塗布厚;2mm、塗布間隔;10mm)を屈折部の開き角度φを0°として接合した。
【0055】実施例13〜17および参考例5について、JIS−K6911で制定される曲げ強さ測定装置を用いてそれぞれ曲げ強さ試験を行った。図11に本試験を行っている様子を示した。
【0056】本試験では、補強必要部分3の中心を、押さえ具によりドア外板に作用させる荷重は100Nとし、ドア外板の変位量を測定した。ドア外板の変位量と塗布量、および開き角度の関係を図13に示す。
【0057】図13より、本実施例で得られたドア外板は、開き角度が30〜180°の範囲では、0°に比べて、変位量が少ないため補強性に優れている。そして、開き角度30〜180°の範囲では、開き角度が30°よりも大きくなるほど、変位量は減少するが、一方、塗布量は増加する。つまり、必要な強度が得られる程度の開き角度を選択すれば、塗布量を押さえることが可能となる。従って、開き角度が30°以上180°未満において、優れた補強性をもつドア外板を得ることができ、さらに、必要性能に応じて開き角度を変えれば、高効率で良好な剛性を確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000100780
【氏名又は名称】アイシン化工株式会社
【住所又は居所】愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ヶ原1141番地1
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成13年11月12日(2001.11.12)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2003−146078(P2003−146078A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−346378(P2001−346378)