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【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】梅尾 忠司
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】乗員D頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、デフロスター性能を向上することのできる車両用空調装置を提供する。

【解決手段】空調ユニット1から車両前面ガラス13または運転室側面ガラス14へ空調風を供給するための空調風通路としての通風ダクト6を、前ピラー12の中に内蔵させた、または前ピラー12の中空状内部を空調風通路6の一部として用いている。これにより、乗員D頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、特に前面ガラス13下方でのデフロスター性能を向上することができる。また、車両前ピラー12の内部を利用しているため、通風ダクトの体積で運転室10内を狭くすることがないうえ、車両組み立てラインでのダクト組み付け作業を軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両運転室(10)の天井部に空調ユニット(1)と、前記車両運転室(10)の前方左右部に一対の中空状となった前ピラー(12)とを備えた車両に適用される車両用空調装置において、前記空調ユニット(1)から車両前面ガラス(13)または運転室側面ガラス(14)へ空調風を供給するための空調風通路(6)を、前記前ピラー(12)の中に内蔵させた、または前記前ピラー(12)の中空状内部を前記空調風通路(6)の一部として用いたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 前記空調風通路(6)に導入された空調風を前記車両前面ガラス(13)または前記運転室側面ガラス(14)に向けて吹き出す空調風吹出口(6a、6b)を前記前ピラー(12)に設け、その空調風吹出口(6a、6b)から前記空調風を略水平方向に吹き出させたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】 前記車両とはトラック・建設機械・農業機械等であり、前記空調ユニット(1)とは天井置きのキャビン用エアコンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転室の天井部に空調ユニットを備えた車両の空調風吹き出し構造に関するもので、特に、トラック・建設機械・農業機械等の車両に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、運転室の天井部に空調ユニットを備えた車両においては、通常、天井部から下方へ空調風を吹き出す構造を採用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来構造では、車両前面ガラスの曇り止めを行なうデフロスター吹き出しモードにおいて、温風が天井部から下方へ吹き出される構造のため、例えば中間期の梅雨時等に車両前面ガラスの曇り止め効果を充分に得ようとすると、運転室内の乗員頭部付近の温度上昇を招き、顔が火照る等で不快に感じるという問題がある。
【0004】また、例えば冬期等で車両前面ガラスの曇り止め効果を充分に得ようとすると、前面ガラスの上部で融解して発生した水が前面ガラスの下部で再凍結し、ワイパーの作動が阻害されるという問題がある。本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、乗員頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、デフロスター性能を向上することのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両運転室(10)の天井部に空調ユニット(1)と、車両運転室(10)の前方左右部に一対の中空状となった前ピラー(12)とを備えた車両に適用される車両用空調装置において、空調ユニット(1)から車両前面ガラス(13)または運転室側面ガラス(14)へ空調風を供給するための空調風通路(6)を、前ピラー(12)の中に内蔵させた、または前ピラー(12)の中空状内部を空調風通路(6)の一部として用いたことを特徴とする。
【0006】これは、課題に記す乗員頭部付近の温度上昇による不快感や、デフロスター性能の不足は、温風の空調風を天井部から吹き降ろす構造にあることに着目したもので、車両前ピラー(12)の内部を利用して温風を天井部から下方へ導くようにしたものである。
【0007】これにより、乗員頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、特に前面ガラス(13)下方でのデフロスター性能を向上することができる。また、車両前ピラー(12)の内部を利用しているため、通風ダクトの体積で運転室(10)内を狭くすることがないうえ、車両組み立てラインでのダクト組み付け作業を軽減することができる。
【0008】請求項2に記載の発明では、空調風通路(6)に導入された空調風を車両前面ガラス(13)または運転室側面ガラス(14)に向けて吹き出す空調風吹出口(6a、6b)を前ピラー(12)に設け、その空調風吹出口(6a、6b)から空調風を略水平方向に吹き出させたことを特徴とする。
【0009】これにより、乗員頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、車両前面ガラス(13)または運転室側面ガラス(14)に温風を均一に吹き出すことができるようになることからデフロスター性能を向上することができる。また、従来の天井部からの吹き降ろし構造では解消しなかった運転室側面ガラス(14)のデフロスター性能も向上することができる。
【0010】請求項3に記載の発明では、車両とはトラック・建設機械・農業機械等であり、空調ユニット(1)とは天井置きのキャビン用エアコンであることを特徴とする。これにより、トラック・建設機械・農業機械等の車両で、乗員頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、天井置きキャビン用エアコンのデフロスター性能を向上させることができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係わる車両運転室の概略縦断面図である。また、図2は本発明の一実施形態における車両運転室内で前ピラーからの吹き出し状態を示す図であり、図3は本発明の一実施形態における前ピラーの断面図である。
【0012】本実施形態の車両は、トラック・建設機械・農業機械等の車両であり、10はその車両運転室である。その車両運転室10の前方左右部には、一対の中空状となった前ピラー12が配設されている。前ピラー12は、車体ボディーの天井部を支える部分である。そして、その天井部には、天井置きのキャビン用エアコンとして空調ユニット1が配設されている。ちなみに、Dは乗員であり、11はその乗員Dが座るように運転室10の内部後方に配設された運転席である。
【0013】空調ユニット1は天井部の上に設けられていて、乗員Dの頭上空間は広く確保されている。空調ユニット1の後方には図示しない室内空気吸入口(或いは室内空気吸入口と切替えダンパによって切替え自在な室外空気吸入口)から内気(或いは外気)を導入し、空調風として運転室内に送風するための送風機2を備えている。
【0014】また、中間部には冷暖房機構として、送風機2から送風される空気を冷却するエバポレータ(冷房用熱交換器)3と、送風される空気を加熱するヒータコア(暖房用熱交換器)4とが配設されている。エバポレータ3は、図示しない車両エンジンにて駆動される圧縮機を持つ冷凍サイクルに設けられ、送風空気を冷媒の蒸発潜熱により冷却する。また、ヒータコア4は車両エンジンの冷却水(温水)を熱源として送風空気を加熱する。
【0015】冷却または過熱された空調風は、吹き出しモードにより車両前方側の空調風通路6、または車両後方側の温風通路7のいずれかに、モード切替えドア5によって切替えられて通風される。車両前方側の空調風通路6は、車体ボディの前ピラー12の中に樹脂製の空調風通路としての通風ダクト6を内蔵させているか(図3参照)、または前ピラー12の中空状内部を空調風通路6の一部として用いる。
【0016】ちなみに図3の15は、車体ボディ12と通風ダクト6とを断熱するためのウレタン等の断熱材であり、例えば通風ダクト6の外方面に貼り付けされ、車両組み立てラインで通風ダクト6を前ピラー12の中に挿入することで組みつけられる。
【0017】そして、車両窓ガラスの曇りを晴らすデフロスターモードならば、ヒータコア4にて加熱された温風が空調風通路6に導入され、前ピラー12に設けられた空調風吹出口としての吹出グリル6a、6bから温風が車両前面ガラス13または運転室側面ガラス14に向けて略水平方向に吹き出される(図2参照)。
【0018】また、運転室10内を冷やす冷房モードならば、エバポレータ3にて冷却された冷風が空調風通路6に導入され、吹出グリル6a、6b内に設けられた風向ルーバーを乗員D側に向けることにより、吹出グリル6a、6bから冷風が乗員Dに向けて略水平方向に吹き出される。
【0019】また、運転室10内を暖める暖房モードならば、ヒータコア4にて加熱された温風が、運転室10の後方と運転席11の下を通って乗員Dの足元に至る温風通路としての温風ダクト7を通り、吹出口7aから温風を乗員Dの足元に向けて吹き出される。
【0020】次に、本実施形態での特徴を述べる。車両運転室10の天井部に空調ユニット1と、車両運転室10の前方左右部に一対の中空状となった前ピラー12とを備えた車両に適用される車両用空調装置において、空調ユニット1から車両前面ガラス13または運転室側面ガラス14へ空調風を供給するための空調風通路としての通風ダクト6を、前ピラー12の中に内蔵させた、または前ピラー12の中空状内部を空調風通路6の一部として用いている。
【0021】これにより、乗員D頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、特に前面ガラス13下方でのデフロスター性能を向上することができる。また、車両前ピラー12の内部を利用しているため、通風ダクトの体積で運転室10内を狭くすることがないうえ、車両組み立てラインでのダクト組み付け作業を軽減することができる。
【0022】また、空調風通路6に導入された空調風を車両前面ガラス13または運転室側面ガラス14に向けて吹き出す吹出グリル6a、6bを前ピラー12に設け、その吹出グリル6a、6bから空調風を略水平方向に吹き出させている。
【0023】これにより、乗員D頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、車両前面ガラス13または運転室側面ガラス14に温風を均一に吹き出すことができるようになることからデフロスター性能を向上することができる。また、従来の天井部からの吹き降ろし構造では解消しなかった運転室側面ガラス14のデフロスター性能も向上することができる。
【0024】また、本実施形態の車両とはトラック・建設機械・農業機械等であり、空調ユニット1とは天井置きのキャビン用エアコンである。これにより、トラック・建設機械・農業機械等の車両で、乗員D頭部付近の温度上昇による不快感を招くことなく、天井置きキャビン用エアコンのデフロスター性能を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
【公開番号】 特開2003−341351(P2003−341351A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−158036(P2002−158036)