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【発明の名称】 車両用換気装置
【発明者】 【氏名】澁谷 知足
【住所又は居所】山口県下松市大字東豊井794番地 株式会社日立製作所笠戸事業所内

【氏名】福島 義親
【住所又は居所】山口県下松市大字東豊井794番地 株式会社日立製作所笠戸事業所内

【要約】 【課題】換気密車体の鉄道車両において、外気温度変化に伴う車内圧力の調整の自動化を図る。

【解決手段】給気側の流路の途中に、熱膨張係数の異なる材質の板31b,31cを貼り合わせた風量調整板31を設置し、外気温度の変化に応じて、風量調整板31を変形させる。外気温度が上昇すると、板31が下流側に湾曲し、流路面積を大きくし、外気を大きくする。この結果、車内圧力が上昇する。外気温度が低下すると、逆に動作し、流路面積を小さくし、外気量を少なくし、車内圧力を降下させる。これによって、車内圧力を実質的に一定に保つことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車外の空気を車内へ供給する給気手段と、車内の空気を車外へ排出する排気手段とからなる車両用換気装置において、前記給気手段を構成する空気流路に、外気の温度変化に応じて変形し、実質的な給気通路の開口の大きさを変える風量調整装置を設けていること、を特徴とする車両用換気装置。
【請求項2】請求項1に記載の車両用換気装置において、前記風量調整装置は、熱膨張率の異なる2つの板を貼り合わせたものであり、該板の面は給気通路の空気の流れに実質的に直交して、板の一端を空気流路に固定していること、を特徴とする車両用換気装置。
【請求項3】請求項2に記載の車両用換気装置において、前記空気流れの方向において、前記板の前後にストッパーを設けていること、を特徴とする車両用換気装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は気密車体を有する車両の換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速鉄道車両、特にトンネル内走行時に車外圧力が変動し、この車外圧力変動によって、車内の圧力が変化する可能性のある速度で走行する鉄道車両においては、車外の新鮮な空気を車内に取り入れる給気送風機と、車内の空気を車外へ排出する排気送風機とを備えている。給気送風機と排気送風機は、車外圧力変動よりもトップ圧の高い能力を有した送風機で構成し、給気,排気の送風量を同等にして、車内の圧力変動をなくしている。この車体は気密車体になっている。この換気装置は、例えば、特開平7−172308号公報に示されている。
【0003】こうした換気装置では、車外の新鮮な空気を車内に取り入れる給気送風機と、車内の空気を車外へ排出する排気送風機の風量を同一に調整し、車内の圧力が外気の圧力と大きな差が無い状態にしなければならない。
【0004】この問題を解決するために、従来は車外に通じる新鮮空気取り込み口または排気吐き出し口にスライド調整式の風量調整板を設置して、換気装置を車両に搭載した後に、換気装置を運転しながら車内の圧力を測定し、前記風量調整板の開口寸法を調整して、車内の圧力を外気の圧力と大きな差が無い状態に調整していた。
【0005】しかしながら、このようにして車内圧力を調整しても、車外と車内の温度差が変化することにより車内圧力は変動してしまい、度々の調整を余儀なくされていた。
【0006】即ち、車内の温度が車外に比べて高温である場合、車内の空気が膨張しようとするために、車内圧力は上昇していた。逆に車内の温度が車外に比べて低温である場合には逆の現象となり車内圧力は降下していた。
【0007】このため、夏季と冬季で風量調整板の設置位置を調整するという方法において、車内圧力の調整を実施するケースもあった。
【0008】こうした問題を解決したのが、給気送風機と排気送風機に個別のモータを接続し、これを給気流路及び排気流路に設置した温度センサの情報を取り込んで独立に運転し、給気と排気の風量を自動調整することによって、車外と車内の温度差が変化しても、車内圧力を自動的に外気の圧力とあまり差が無い状態に保持できるものが知られている。こうした車両用換気装置の例としては、例えば、特開2001−180484号公報などが知られている。しかし、この換気装置の構成は、給気・排気各流路に設置される温度センサ,回転数を演算し制御する制御装置,給気・排気各個別のインバータ,モータで構成されており、部品点数が多く、構成が複雑であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の換気装置においては、給気側においては新鮮空気取り込み口に、そして排気側においては排気吐き出し口にスライド調整式の風量調整板を設置して、換気装置を車両搭載に搭載した後に、換気装置を運転しながら車内の圧力を測定し、前記風量調整板の開口寸法を調整して、車内の圧力を外気の圧力と大きな差が無い状態に調整していた。この場合、一度調整してしまうと、風量調整板は固定されるため車内と車外の温度差により車内圧力が変動してもその変動には追従出来ない。このため、従来は車内温度が車外温度より低温になる夏季と車内温度が車外温度より高温になる冬季とで、スライド調整式の風量調整板を移動させ、開口寸法を変化させていた。
【0010】即ち、夏季は車内温度が車外温度より低温となり、車内圧力は低下する方向にあるため、給気側の風量を増加させるために新鮮空気取り込み口の開口寸法を増加させ、逆に排気側は風量を減少させるために排気吐き出し口の開口寸法を減少させる調整を行っていた。冬季は車内温度が車外温度より高温となり、車内圧力は増加する方向にあるため、夏季とは逆の調整を行っていた。
【0011】本発明の目的は、上記のような手間のかかる調整作業を省略できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的は、給気手段を構成する空気流路に、外気の温度変化に応じて変形し、実質的な給気通路の開口の大きさを変える風量調整装置を設けること、によって達成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1,図2により説明する。車外の新鮮空気は給気ファン2によって給気ダクト3b,3cを経由し、車内4へ送り込まれる。新鮮空気の風量を調整するため、給気ダクト3bの吸い込み口5にはスライド式の風量調整板6が設置されている。
【0014】車内の空気は、排気ファン10によって、排気ダクト8b,8cを経由し、車外に排気される。この途中で給気ファン2及び排気ファン10を駆動するモータ11を冷却した後、車外へ吐き出される。排気吐き出し口12には給気側と同様、スライド式の風量調整板13が設置されている。
【0015】前述したように、風量調整板6及び13により給気,排気の開口寸法を変化させて風量を調整し、車内圧力14を車外圧力15と大きな差が無い状態になるように調整している。
【0016】給気ダクト3bには、風量調整板6よりも下流側に、第2の風量調整装置30を設置している。風量調整装置30は、主として、空気の流れに対して実質的に直交する板31からなる。板31は、熱膨張係数の高い材質の板31bと低い材質の板31cを貼り合わせて構成されており、一端(下端)を給気ダクト3bに固定している。2つ板のうち、一方の板または両方を給気ダクト3bに拘束している。これによって、板31は空気の流れ方向に対して前後方向にそれぞれ湾曲し、実質的に給気ダクトの通路面積を変える。新鮮空気の温度が高い場合には板31c側に湾曲する。板31の湾曲方向のそれぞれに板31に接触するストッパー32b,32cを設置している。
【0017】かかる構成によれば、風量調整装置6,13によって風量すなわち、車内圧力を調整した後に、車外と車内の温度差が変化した場合は次のようになる。
【0018】例えば、季節の変化により、外気温度が上昇し、車内の温度が車外より低くなると、板31bが大きく膨張し、板31cの側に曲がって変形する。このため、流路面積を拡大する。この結果、供給される新鮮空気の量が増大し、車内圧力が上昇する。
【0019】逆に新鮮空気の温度が低い場合には板31bが大きく縮小し、板31bの側に曲がって湾曲し、流路面積を縮小する。この結果、供給される新鮮空気の量が縮小し、車内圧力が低下する。
【0020】なお、風量調整板31は車両停車中において車内と車外の温度差で車内の空気の膨張,収縮により車内圧力が変動した場合のみ動作させ、走行中の車外圧力に大きな変動が生じた場合については、動作しないようにしたい。しかし、風量調整板31は新鮮空気の流れを受ける形で設置されるため、車内圧力と車外圧力の圧力差によっても変形するため、給気風量が過大又は過小になり、結果として車内の圧力変動を増大させてしまう恐れがある。なお、外気の温度変化により車内外温度差が生じ、車内圧力と車外圧力に差が発生するが、この差は走行中に生じる車内外圧力差に比べて小さい。したがって、車内と車外の温度差により生じる車内外圧力差の範囲だけに対応するように、風量調整板31の動作範囲にストッパー32b,32cを設け、風量調整板31の動作を必要な範囲のみに拘束する。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、車内外の温度の変化による車内圧力の変動を抑制できるようになる。これにより、温度が変化する季節毎に調整する必要が無くなり、調整の大幅な省力化が図れる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成14年5月23日(2002.5.23)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2003−341349(P2003−341349A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−148493(P2002−148493)