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【発明の名称】 トラクタの空調装置
【発明者】 【氏名】正円 茂夫
【住所又は居所】大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボタ堺製造所内

【要約】 【課題】トラクタの空調装置において、車体の外気取入れ口を空調ユニットの吸気口に連通させる吸気ダクトと、空調ユニットが送り出す温調空気を運転キャビン内の吹出し口に送る送風ダクトとを狭いスペースに配置したり、吸気ダクトを軽量に構成できるようにする。

【解決手段】車体の外気取入れ口を、フィルター側吸気ダクト38、ユニット側吸気ダクト39を介して空調ユニット20の外気用吸気口28に連通させてある。フィルター側吸気ダクト38は、開口70aが車体後方向きの横断面溝形に形成した板金製構造体70と、この板金製構造体70の開口70aに入り込んでこの開口70aを閉じている空調ユニット20の送風ダクト26aとによって構成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調ユニットを運転パネルの裏側に設けてあるトラクタの空調装置であって、前記空調ユニットの吸気口を車体の外気取入れ口に連通させる吸気ダクトを、前記空調ユニットが送り出す温調空気を運転キャビン内の吹出し口に送る送風ダクトと、この送風ダクトによって開口が閉じられている横断面溝形の板金製構造体とによって構成してあるトラクタの空調装置。
【請求項2】 前記送風ダクトを、前記空調ユニットの熱交換器を収容しているユニットケースによって構成してある請求項1記載のトラクタの空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調ユニットを運転パネルの裏側に設けてあるトラクタの空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記トラクタにあっては、車体の外気取入れ口を吸気ダクトによって空調ユニットの吸気口に連通させ、空調ユニットが送り出す温調空気を送風ダクトによって運転キャビン内の吹出し口に送るように構成される。このため、従来、たとえば特開2002−87041号公報に示されるように、吸気ダクト及び送風ダクトとして、各別に作製したものが採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、吸気ダクト及び送風ダクトの設置に必要なスペースが大になり、その分車体が大型化するとか、吸気ダクトや送風ダクトの配置や組付けがしにくくなっていた。また、吸気ダクト及び送風ダクトのために車体が重量化しやすくなっていた。
【0004】本発明の目的は、上記した問題発生を回避しやすくしながら吸気ダクト及び送風ダクトを装備できるトラクタの空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0006】〔構成〕空調ユニットを運転パネルの裏側に設けてあるトラクタの空調装置において、前記空調ユニットの吸気口を車体の外気取入れ口に連通させる吸気ダクトを、前記空調ユニットが送り出す温調空気を運転キャビン内の吹出し口に送る送風ダクトと、この送風ダクトによって開口が閉じられている横断面溝形の板金製構造体とによって構成してある。
【0007】〔作用〕送風ダクトと、この送風ダクトによって開口が閉じられている横断面溝形の板金製構造体とによって吸気ダクトを構成し、送風ダクトが吸気ダクトの一部を兼用しているものであるから、吸気ダクトが全体にわたって送風ダクトとは別の部材で構成されていた従来に比して吸気ダクトが軽量化するようにして、かつ、吸気ダクト及び送風ダクトの設置に必要なスペースが小になるようにして吸気ダクト及び送風ダクトを構成できる。
【0008】〔効果〕従って、吸気ダクトが軽量化する分、車体も軽量化して、さらに、吸気ダクト及び送風ダクトの設置に必要なスペースが小スペースで済む分、車体も小型化して操縦や取り扱いが行いやすくなる。また、吸気ダクト及び送風ダクトを纏めて小さい設置スペースに容易に配置したり組付けられる。
【0009】請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0010】〔構成〕請求項1による発明の構成において、前記送風ダクトを、前記空調ユニットの熱交換器を収容しているユニットケースによって構成してある。
【0011】〔作用〕送風ダクトを空調ユニットのユニットケースによって構成し、送風ダクトと空調ユニットとが一体部品になっているものだから、空調ユニットを組付けることによって送風ダクトも一挙に組付けられる。
【0012】〔効果〕空調装置の組付け作業を行うに当たり、空調ユニットと送風ダクトとを一挙に組付けて能率よく行える。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に示すように、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1、左右一対の駆動自在な後車輪2、車体前部に位置するエンジン3が装備されている原動部、運転キャビン5を備えている自走車体の後部を形成しているミッションケース6の両横側にリフトアーム7を上下揺動操作自在に設けるとともに、前記ミッションケース6の後端部に動力取り出し軸8を設けて、トラクタを構成してある。このトラクタは、車体後部にロータリ耕耘装置(図示せず)を前記リフトアーム7によって昇降操作するように連結するとともに、このロータリ耕耘装置に前記エンジン3からの駆動力を前記動力取り出し軸8によって伝達するようにして、乗用型耕耘機を構成するなど、車体後部に各種の作業装置を昇降操作及び駆動自在に連結して乗用型作業機を構成するものである。
【0014】図2、図5などに示すように、運転キャビン内の運転座席9の前方に位置している運転パネル12の裏側に空調ユニット20を設けるとともに、図6に示すように、前記運転パネル12の走行速度やエンジン用燃料の量などを表示する計器盤10より上方の両横側に位置する部位に車体後方向きに設置してある上部吹出し口31、前記運転パネル12の前記計器盤10のやや下方の両横側に位置する部位に車体後方向きに設置してある中央吹出し口32、前記運転パネル12の下端近くの両横端部に車体後方向きに設置してある足元吹出し口33のそれぞれを運転キャビン5の内部に設けて、運転部用の空調装置を構成してある。
【0015】前記空調ユニット20は、図9などに示す如く車体上方向きの外気用吸気口28、車体横外向きでやや下向きである内気用吸気口29、吸気切り換え弁47のそれぞれが下端側の横側部に付いている樹脂製のユニットケース26と、図11などに示す如く前記ユニットケース26の下端側の内部に収容してある送風ファン22と、この送風ファン22を駆動するようにユニットケース26の下端部の横側部に取付けてある電動ファンモータMと、図4などに示す如く前記ユニットケース26の上端側の内部に収容してある熱交換器としてのエバポレータ21及びヒータコア23とによって構成してある。
【0016】図7に示すように、空調ユニット20の前記エバポレータ21は、原動部の着脱式の下部エンジンボンネット4aと、後端側の軸芯まわりで上下に揺動開閉自在な上部エンジンボンネット4bとで成るエンジンボンネット4の内部におけるエンジン3の前端部の上方近くに位置しているコンプレッサー56と、前記エンジンボンネット4内のエンジン冷却用ラジエータ53の前面近くに位置しているコンデサユニット54におけるコンデンサ本体54a及びこのコンデンサ本体54aの横端部に連設されているレシーバ54bとに対して、金属パイプやゴムパイプで成る冷媒循環パイプ52によって接続し、前記ヒータコア23は、エンジン3とエンジン冷却用ラジエータ53とを接続している冷却水循環路59に対して、金属パイプやゴムパイプで成るとともに温調バルブ58を備えている熱媒循環パイプ60によって接続してある。
【0017】図2、図5などに示すように、空調ユニット20の前記外気用吸気口28は、図1、図12の如く前記上部エンジンボンネット4bの後端部の外面側に上部エンジンボンネット4bの全幅にわたる吸気ガイド板35を付設して上部エンジンボンネット4bの後端部の両横側に設けてある長孔形式の外気取入れ口40に対して、上部エンジンボンネット4bと前記吸気ガイド板35との隙間で成る通気路36、上部エンジンボンネット4bの後端部の左右方向での中央部に位置する貫通孔41に上端側が入り込んでいる外気フィルター42、この外気フィルター42の下端側に一端が接続し、他端側が前記外気用吸気口28に接続している吸気ダクト37のそれぞれを介して連通させてある。
【0018】図11に示すように、空調ユニット20の前記内気用吸気口29は、前記運転パネル12の横壁部12bの下端部に設けてある開口46を介して運転キャビン5の内部に開口させてある。
【0019】図9などに示すように、空調ユニット20の前記ユニットカバー26の上端側でエバポレータ21及びヒータコア23の前方側に位置する部分により、温調空気を左右一対の送風口25から車体後方向きに送り出す送風ダクト26aを構成してある。すなわち、図5に示すように、この送風ダクト26aは、エバポレータ21及びヒータコア23から車体前方向きに吹き出された温調空気を山形の分流部26bによって車体左側と右側とに分流させ、分流部26bから車体左側に分流した温調空気を左側のガイド部26cによって車体後方向きに案内して前記左側の送風口25から送り出し、前記分流部26bから車体右側に分流した温調空気を右側のガイド部26cによって車体後方向きに案内して前記右側の送風口25から送り出すように構成してある。
【0020】空調ユニット20の前記送風ダクト26aにおける前記左側の送風口25は、この送風口25に入口48aが接続し、3つの出口48b〜48dが付いている図10の如き左側の送風ダクト48によって運転パネル12の前記左側の上部吹出し口31、中央吹出し口32、足元吹出し口33のそれぞれに連通させ、空調ユニット20の前記送風ダクト26aにおける前記右側の送風口25は、この送風口25に入口48aが接続し、3つの出口48b〜48dが付いている図10に示す如き右側の送風ダクト48により、運転パネル12の前記右側の上部吹出し口31、中央吹出し口32、足元吹出し口33のそれぞれに連通させてある。
【0021】これにより、前記吸気切り換え弁47及び前記温調バルブ58を、運転パネル12のステアリングハンドル11の下方に位置する部位に付設してある空調制御盤66(図2)が備えている吸気切り換え具65や温度調節具64によって操作し、前記ファンモータMを駆動操作することにより、運転部の空調が行える。
【0022】すなわち、ファンモータMを駆動操作すると、送風ファン22がファンモータMによって駆動されて送風作用する。すると、この送風作用により、キャビン外の空気が上部エンジンボンネット4bの前記外気取入れ口40から前記通気路36、外気フィルター42、吸気ダクト37、ユニットケース26の外気用吸気口28を介して、キャビン内の空気が運転パネル12の開口46、ユニットケース26の内気用吸気口29を介してそれぞれユニットケース26の内部に吸引される。ユニットケース26に吸引された空気は、エバポレータ21に供給されて、このエバポレータ21に冷媒循環パイプ52によって供給される冷媒によって冷却処理され、さらに、ヒータコア23に供給されて、このヒータコア23に熱媒循環パイプ60によって供給される温水によって加熱処理され、温調バルブ58の調節によって設定された設定温度の空気になって送風ダクト26aに噴出され、この送風ダクト26aと左右の送風ダクト48とによって左右の上部吹出し口31、中央吹出し口32、足元吹出し口33のそれぞれに送られて各吹出し口31,32,33から運転キャビン5の内部に噴出される。吸気切り換え弁47を外気吸引側に切り換え操作すると、外気用吸気口28が内気用吸気口29より大きく開くように調節されて、キャビン外気を空調ユニット20に多量に吸引して空調され、内気吸引側に切り換えると、内気用吸気口29が外気用吸気口28より大きく開くように調節されて、キャビン内気を空調ユニット20に多量に吸引して空調される。
【0023】図2、図5に示すように、空調ユニット20の外気用吸気口28と、上部エンジンボンネット4bの外気取入れ口40とを連通させている前記吸気ダクト37は、前記外気フィルター42に空気入口38aが接続しているフィルター側吸気ダクト38と、このフィルター側吸気ダクト38とは別部品に作製してフィルター側吸気ダクト38の空気出口38bに一端側を接続してある樹脂製のユニット側吸気ダクト39(図9)とによって構成してある。
【0024】図2、図5などに示すように、前記フィルター側吸気ダクト38は、車体前後方向に沿う方向に切断した端面を車体横方向に沿う方向で見た形状を横断面形状とすると、この横断面形状が車体後方向きの開口70aを備えている溝形になるように板金を組み合わせて成る板金製構造体70と、空調ユニット20の前記送風ダクト26aとによって構成してある。
【0025】すなわち、前記送風ダクト26aが板金製構造体70の前記開口70aに入り込んでこの開口70aの車体横方向での一端側の一部分だけが開いたままになって前記ユニット側吸気ダクト39が接続する前記空気出口38bになる状態に開口70aを閉じるように、かつ、板金製構造体70の内面側と送風ダクト26aの外面側との間に前記空気入口38aから前記空気出口38bに至る空気通路が形成されるように送風ダクト26aと板金製構造体70とを組み合わせることによって構成してある。つまり、送風ダクト26aがフィルター側吸気ダクト38の一部になるようにして構成してある。そして、前記板金構造体70と、前記送風ダクト26a及び前記ユニット側吸気ダクト39との間に、この間をシールするスポンジ製のシール材71を介装してある。
【0026】図7に示すように、エンジン冷却用ラジエータ53に冷却風を供給する回転ファン74の周囲を覆うファンシュラウド75を、エンジン3が加熱された熱気がエンジ冷却用ラジエータ53に吸気されることを抑制するようにエンジンボンネット内をエンジン冷却用ラジエータ53とエンジン3との間で仕切っている防熱板76に一体形成してある。すなわち、図13、図14に示すように、板体の絞り成形によってファンシュラウド75と防熱板76とを作製してある。
【0027】図4、図8などに示すように、前記冷媒循環パイプ52は、エンジンボンネット内の熱気が運転キャビン内に流入することを防止するようにエンジンボンネット内と運転キャビン内とを仕切っているとともに前記フィルター側吸気ダクト38の板金製構造体70を構成している素材で成る防熱板77を貫通しており、この防熱板77に対して図15、図16に示す取付け構造によって取付けてある。
【0028】すなわち、平板部78aとこの平板部78aの外周縁部から平板部78aの全周にわたって突出しているフランジ部78bとで成る半割パイプステー78の一対を、防熱板77に固定されている支持ブラケット79に前記フランジ部78bを締め付け連結している連結ボルト80を介して前記支持ブラケット79によって支持させてある。前記連結ボルト80による締め付け力のために、一対の半割パイプステー78が一対の冷媒循環パイプ52のそれぞれをゴム製のクッション材81を介して挟持するように構成してある。防熱板77の前記半割パイプステー78が付いている側とは反対側の側面に接着してあるスポンジ製のシール材82により、防熱板77のパイプ孔77aを全体にわたって閉塞させることにより、半割パイプステー78と前記クッション材81との間に出来る隙間83をエンジンボンネット側の熱気が通らないようにシールしてある。
【0029】〔別実施形態〕請求項1に記載の発明を実施するには、前記送風ガイド26aとして、上記実施形態の如く空調ユニット20のユニットケース26で成る送風ガイドを採用して実施する他、空調ユニット20とは別部品に作製した送風ガイドを採用して実施してもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
【出願日】 平成14年5月29日(2002.5.29)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2003−341345(P2003−341345A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−155230(P2002−155230)