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【発明の名称】 車両用空調ダクト構造
【発明者】 【氏名】竹重 國彦
【住所又は居所】広島市安佐北区可部南2丁目25番31号 西川化成株式会社内

【氏名】近藤 弘信
【住所又は居所】広島市安佐北区可部南2丁目25番31号 西川化成株式会社内

【氏名】田村 孝司
【住所又は居所】広島市安佐北区可部南2丁目25番31号 西川化成株式会社内

【氏名】木下 守
【住所又は居所】岡山県赤磐郡山陽町下市447 みのる化成株式会社内

【氏名】横田 日出男
【住所又は居所】岡山県赤磐郡山陽町下市447 みのる化成株式会社内

【要約】 【課題】インストルメントパネルPの内部に配設されるベントダクト11及びデフロスタダクト13を薄肉ヒンジ15により連結してブロー成形により一体成形する場合に、製造コストを増加させることなく、両ダクト11,13を車両への組み付け状態でしっかりと結合させる。

【解決手段】ベントダクト11及びデフロスタダクト13の車幅方向中間部同士を薄肉ヒンジ15により連結する。ベントダクト11の左側に上方へ突出する突部43aとその先端でデフロスタダクト13側へ突出する爪部43bを設ける。デフロスタダクト13の右側に下方へ突出する突部49aとその先端でベントダクト11側へ突出する爪部49bを設ける。デフロスタダクト13に前記突部43aが嵌入して爪部43bが係合する孔部41aを設ける。ベントダクト11に前記突部49aが嵌入して爪部49bが係合する孔部47aを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造であって、前記薄肉ヒンジは前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成され、前記第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側にはそれぞれ両ダクトを結合させるための結合部が設けられ、前記車幅方向左側の結合部は、第1ダクトに形成された第1係合突起と、第2ダクトに形成され前記第1係合突起が嵌入して係合する第1係合孔または第1係合凹部とからなり、前記車幅方向右側の結合部は、第2ダクトに形成され前記第1係合突起の突出方向と反対に突出する第2係合突起と、第1ダクトに形成され前記第2係合突起が嵌入して係合する第2係合孔または第2係合凹部とからなることを特徴とする車両用空調ダクト構造。
【請求項2】 請求項1において、第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部には、両ダクトの薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位を規制する規制部が薄肉ヒンジに対して所定の間隙を有して設けられていることを特徴とする車両用空調ダクト構造。
【請求項3】 車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造であって、前記薄肉ヒンジは前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成され、前記第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側にはそれぞれ両ダクトを結合させるための結合部が設けられ、前記各結合部は、一方のダクトに形成された係合突起と、他方のダクトに形成され前記係合突起が嵌入して係合する係合孔または係合凹部とからなり、前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部には、両ダクトの薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位を規制する規制部が薄肉ヒンジに対して所定の間隙を有して設けられていることを特徴とする車両用空調ダクト構造。
【請求項4】 車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造であって、前記薄肉ヒンジは前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成され、前記第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側には、それぞれ両ダクトを結合させるための結合部が設けられ、前記各結合部は、一方のダクトに形成された係合突起と、他方のダクトに形成され前記係合突起が嵌入して係合する係合孔または係合凹部とからなり、前記第1及び第2ダクトの車幅方向両端側にはそれぞれ車体後方向に延びる第1延長ダクト部及び第2延長ダクト部が形成され、前記第1延長ダクト部の上方に前記第2延長ダクト部が重合して配設され、前記第2延長ダクト部の下壁にはそれぞれ下方へ突出する凸部が形成され、前記凸部に対向する第1延長ダクト部の上壁部にはその凸部が嵌合する位置決め用の凹部が形成されていることを特徴とする車両用空調ダクト構造。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、第1及び第2ダクトはインストルメントパネルの裏面に振動溶着されていることを特徴とする車両用空調ダクト構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロー成形により成形される車両用の空調ダクト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インストルメントパネルの内部には空調ユニットが配設されるとともに、その空調ユニットで生成された調和空気をインストルメントパネル表面に開口するデフロスタ吹出口やベント吹出口に導くためのダクトが設けられている。該ダクトは、前記デフロスタ吹出口やベント吹出口に独立して調和空気を供給する必要があることから複数設けられている。
【0003】また、前記複数のダクトを一体成形することにより製造工数の削減を図る技術として、例えば、特開平11−123923号公報に開示されるように、薄肉ヒンジにより連結した2つのダクトをブロー成形するようにしたものがある。すなわち、車両に組み付けられた状態にある複数のダクトは、デフロスタ吹出口やベント吹出口が互いに異なる位置に開口していることから、それぞれ異なる方向に延びており、また、各ダクトはインストルメントパネル内に配設されている機器類を避けるように比較的複雑な形状を有しているので、前記組み付けられた状態にある複数のダクトの型抜き方向を一致させることができない。これに対し、前記従来例のものでは、2つのダクトの間に薄肉ヒンジを設けることにより、成形時には両ダクトの型抜き方向が一致するように展開した状態で成形でき、その後、車両への組み付け時には薄肉ヒンジにより両ダクトを相対回動させることで組み付け状態とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来例のように、2つのダクトを薄肉ヒンジを介して一体に成形するようにした場合、組み付け場所に搬送するときや車両のインストルメントパネルに組み付けるときには、その作業性を良好にするために、両ダクトの相対位置を車両への組み付け状態として互いに固定しておく必要がある。
【0005】ところが、前記従来例の空調ダクト構造では、成形後にリベットにより2つのダクトを結合するようにしているので、部品点数が増加するとともにそのための工具が必要となり、製造コストが増加してしまう。
【0006】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のダクトをブロー成形法により一体成形する場合に、両ダクトの結合構造に工夫を凝らし、製造コストの増加を招くことなく、複数のダクトを車両への組み付け状態でしっかりと結合させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の第1の解決手段では、複数のダクトにそれぞれ形成した係合突起と係合孔または係合凹部とにより該ダクトを結合するようにした。
【0008】具体的には、請求項1の発明では、車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造を対象とする。そして、前記薄肉ヒンジを前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成し、該第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側にはそれぞれ両ダクトを結合させるための結合部を設け、車幅方向左側の結合部は、第1ダクトに形成された第1係合突起と、第2ダクトに形成され前記第1係合突起が嵌入して係合する第1係合孔または第1係合凹部とからなり、前記車幅方向右側の結合部は、第2ダクトに形成され前記第1係合突起の突出方向と反対に突出する第2係合突起と、第1ダクトに形成され前記第2係合突起が嵌入して係合する第2係合孔または第2係合凹部とからなる構成とする。
【0009】この構成によれば、第1及び第2ダクトは型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、そのブロー成形された両ダクトを脱型した後に、該両ダクトを薄肉ヒンジにより回動させて車両への組み付け状態とすることができる。さらに、第1及び第2ダクトは、薄肉ヒンジの車幅方向左側と右側とにそれぞれ設けられた係合突起と係合孔または係合凹部との係合により結合しているので、リベット等の結合部材は別途必要ない。
【0010】また、第1及び第2ダクトの第1及び第2係合突起は、互いに反対側から第1係合孔または第1係合凹部及び第2係合孔または第2係合凹部に嵌入するので、車両への組み付け状態で結合されたダクトを搬送するとき等に、例えば第1係合突起が第1係合孔または第1係合凹部から抜けるように両ダクトが相対変位しても、第2係合突起が第2係合孔または第2係合凹部にしっかりと係合することとなり、このことで、第1係合突起と第1係合孔または第1係合凹部との係合状態も保たれる。
【0011】つまり、この発明によれば、第1及び第2ダクトを薄肉ヒンジにより連結して一体成形する場合に、製造コストの増加を招くことなく、該ダクトを組み付け状態でしっかりと結合させることができる。
【0012】本発明の第2の解決手段としての請求項2の発明では、請求項1の発明において、第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に、両ダクトの薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位を規制する規制部を薄肉ヒンジに対して所定の間隙を有して設けるものとする。
【0013】このことで、第1及び第2ダクトは、車幅方向略中央部の規制部により薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位が規制されていることから、係合突起と係合孔または係合凹部とからなる結合部のがたつきが防止されて、両ダクトがよりしっかりと結合する。
【0014】本発明の第3の解決手段では、複数のダクトにそれぞれ形成した係合突起と係合孔または係合凹部により該ダクトを結合するとともに、その複数のダクトの薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位を規制するようにした。
【0015】具体的には、請求項3の発明では、車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造を対象とする。そして、前記薄肉ヒンジを前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成し、該第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側にはそれぞれ両ダクトを結合させるための結合部を設け、該各結合部を一方のダクトに形成された係合突起と、他方のダクトに形成され前記係合突起が嵌入して係合する係合孔または係合凹部とからなるものとし、前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部には、両ダクトの薄肉ヒンジ軸線回りの相対変位を規制する規制部を薄肉ヒンジに対して所定の間隙を有して設ける構成とする。
【0016】この構成によれば、前記請求項1の発明と同様に、第1及び第2ダクトは、型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、そのブロー成形された両ダクトを脱型した後に、該両ダクトを薄肉ヒンジにより車両への組み付け状態とすることができる。さらに、第1及び第2ダクトは係合突起と係合孔または係合凹部との係合により結合しているので、結合部材は別途必要ない。
【0017】このとき、前記請求項2の発明と同様に、第1及び第2ダクトは規制部により相対変位が規制されていることから結合部のがたつきが防止されて、両ダクトがしっかりと結合する。
【0018】本発明の第4の解決手段では、複数のダクトにそれぞれ形成した係合突起と係合孔または係合凹部とにより該ダクトを結合し、さらにその複数のダクトの車幅方向両端側を互いに位置決めするようにした。
【0019】具体的には、請求項4の発明では、車幅方向に延びる長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが車幅方向に延びる薄肉ヒンジを介してブロー成形により一体成形された車両用空調ダクト構造を対象とする。そして、前記薄肉ヒンジを前記第1及び第2ダクトの車幅方向略中央部に形成し、該第1及び第2ダクトの薄肉ヒンジよりも車幅方向左側及び右側にはそれぞれ両ダクトを結合させるための結合部を設け、該各結合部を一方のダクトに形成された係合突起と、他方のダクトに形成され前記係合突起が嵌入して係合する係合孔または係合凹部とからなるものとし、前記第1及び第2ダクトの車幅方向両端側にはそれぞれ車体後方向に延びる第1延長ダクト部及び第2延長ダクト部を形成し、該第1延長ダクト部の上方に前記第2延長ダクト部を重合させて配設し、該第2延長ダクト部の下壁にはそれぞれ下方へ突出する凸部を形成し、該凸部に対向する第1延長ダクト部の上壁部にはその凸部が嵌合する位置決め用の凹部を形成する構成とする。
【0020】この構成によれば、前記請求項1の発明と同様に、第1及び第2ダクトは、型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、そのブロー成形された両ダクトを脱型した後、該両ダクトを薄肉ヒンジにより車両への組み付け状態とすることができる。さらに、第1及び第2ダクトは係合突起と係合孔または係合凹部との係合により結合しているので、結合部材は別途必要ない。
【0021】また、第2延長ダクト部の凸部が第1延長ダクト部の位置決め用の凹部に嵌合して両者が位置決めされるので、両ダクトを車両への組み付け状態として搬送するとき等に両ダクトの車幅方向両端側の相対位置がずれることはなく、両ダクトをしっかりと結合させておくことができる。
【0022】本発明の第5の解決手段としての請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、第1及び第2ダクトをインストルメントパネルの裏面に振動溶着するものとする。このことで、第1及び第2ダクトをインストルメントパネルの裏面へ振動溶着する際に、両ダクトがしっかりと結合しているので、振動溶着機へのセットが簡単に行える。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】図1は、本発明を自動車のインストルメントパネルPに装着される空調ダクト1に適用した実施形態を示す。まず、インストルメントパネルPの構造について説明すると、図5に示すように、このインストルメントパネルPには、車室前方近傍に、フロントウインド(図示せず)の内面へ向けて調和空気が吹き出すフロントデフロスタ吹出口3,3が形成されるとともに、車幅方向両端近傍にそれぞれサイドウインド(図示せず)用のサイドデフロスタ吹出口5,5が形成されている。また、このインストルメントパネルPのサイドデフロスタ吹出口5,5の下側には車室へ向けて調和空気が吹き出すサイドベント吹出口7,7が形成され、さらに、その両サイドベント吹出口7,7の間の略中央部にはセンタベント吹出口9,9が形成されている。
【0025】前記インストルメントパネルPの内部の車幅方向中央部には、図示しないが、空調ユニットが配設されており、この空調ユニットのケース上壁にはそのケース内部で生成された調和空気の導出口が車体前後方向に並設されている。車体前側の導出口はデフロスタ吹出口3,5へ供給するための調和空気を導出するデフロスタ導出口とされ、一方、後側の導出口はベント吹出口7,9へ供給するための調和空気を導出するベント導出口とされている。
【0026】また、前記インストルメントパネルP内部の空調ユニットよりも上方には、該空調ユニットからの調和空気をインストルメントパネルPの前記吹出口3,5,7,9に導くための前記空調ダクト1が配設されている。該空調ダクト1は、前記空調ユニットのベント導出口にベント取入口2が接続されて調和空気をベント吹出口7,9へ導くためのベントダクト(第1ダクト)11と、前記空調ユニットのデフロスタ導出口にデフロスタ取入口4が接続されて調和空気をインストルメントパネルPのデフロスタ吹出口3,5に導くためのデフロスタダクト(第2ダクト)13とからなる。つまり、空調ユニットで生成された調和空気は、デフロスタ吹出口3,5及びベント吹出口7,9へ独立して導かれる。
【0027】前記ベントダクト11及びデフロスタダクト13は、ともに全体的にインストルメントパネルPの車幅方向両端に亘って延びており、そのうちのデフロスタダクト13はインストルメントパネルP内部の車体前端側に位置しており、ベントダクト11はその車体後側に隣接している。そして、ベントダクト11及びデフロスタダクト13はその車幅方向中間部分同士が薄肉ヒンジ15により連結されていて、これらは樹脂材料をブロー成形することにより一体成形されている。また、詳しくは後述するが、この空調ダクト1は、ベントダクト11及びデフロスタダクト13を展開した状態で成形し、その後、組み付け時には薄肉ヒンジ15により回動させて組み付け状態とするようになっている。
【0028】前記空調ダクト1の構造について詳しく説明すると、図1に示すように、ベントダクト11は、前記サイドベント吹出口7,7へ接続されるサイド用ベントダクト25と、該サイド用ベントダクト25の車幅方向略中央部から分岐して車体後方へ延びるように形成されるセンタ用ベントダクト27とからなる。サイド用ベントダクト25の車幅方向中間部分は略直線的に車幅方向に延びており、該中間部分の下壁には前記空調ユニットのベント導出口に接続される前記ベント取入口2が形成されている。また、前記サイド用ベントダクト25の中間部分の両端には、そこから車体後方へ延びる延長ダクト部(第1延長ダクト部)11a,11aがそれぞれ一体成形されている。該延長ダクト部11a,11aの車体後端には開口23,23が形成されており、該開口23,23がそれぞれ前記サイドベント吹出口7,7へ接続されている。また、前記センタ用ベントダクト27の下流端開口21は、前記インストルメントパネルPのセンタベント吹出口9,9に接続されている。
【0029】前記デフロスタダクト13は、前記ベントダクト11の車体前側において該ベントダクト11と略同様に車幅方向に延びる中間部分と、その中間部分の両端から車体後方へ一体に延びる延長ダクト部(第2延長ダクト部)13a,13aとからなる。このデフロスタダクト13の中間部分の下壁には前記空調ユニットのデフロスタ導出口に接続される前記デフロスタ取入口4が形成されており、一方、この中間部分の上壁の前端側にはインストルメントパネルPのフロントデフロスタ吹出口3,3に接続される上側接続口17,17,…が形成されている。また、前記デフロスタダクト13の延長ダクト部13a,13aの上壁は、略水平に延びるように形成されており、この上壁の車体後端にサイドデフロスタ吹出口5,5へ接続される開口19,19が形成されている。
【0030】また、前記ベントダクト11の延長ダクト部11a、11aの上方には、前記デフロスタダクト13の延長ダクト部13a,13aが重合して配設されている。前記デフロスタダクト13の延長ダクト部13a,13aの下壁には、図2(a)に示すように、下方へ突出する凸部29が形成されており、該凸部29は、その基端(上端)から先端(下端)に亘って横断面が略円形状とされるとともに、先端側ほど縮径するテーパ状に形成されている。一方、前記凸部29の先端面と対向するベントダクト11の延長ダクト部11a,11aの上壁には、その凸部29,29がそれぞれ嵌合して位置決めされる凹部31,31が形成されている。
【0031】また、図5に示すように、前記インストルメントパネルPのサイドデフロスタ吹出口5,5の開口面積はサイドベント吹出口7,7の開口面積よりも小さく設定されており、これに伴って、デフロスタダクト13の延長ダクト部13a,13aの通路断面積もベントダクト11の延長ダクト部11a,11aより小さくされている。すなわち、前記の如く延長ダクト部11a,13aの壁部に凹部31及び凸部29を形成して簡単な構造で位置決めするようにする場合に、通路断面積の小さい延長ダクト部13aの壁部に通路内方へ窪むような凹部を形成すると、通風抵抗への影響が比較的大きくなるが、この実施形態では、通路断面積の大きいダクト部11aに前記凹部31を形成しているのでその影響を比較的小さくできる。
【0032】前記薄肉ヒンジ15は、デフロスタダクト13の下壁とベントダクト11の下壁とを連結するように設けられている。すなわち、デフロスタダクト13の下壁の車体後端にはそこからベントダクト11の下壁における車体前端の平板状の連結板部32に連なるように延びる平板状の連結板部33が設けられており、該連結板部32,33の車体前後方向中央部にその車幅方向両端に亘って延びる薄肉ヒンジ15が形成されている。
【0033】また、前記デフロスタダクト13の車体後壁の車幅方向略中央部において薄肉ヒンジ15の軸線Xから上方に離間した部位には、図1及び図2(b)に示すように、通路外方(車体後方)へ膨出する膨出部(規制部)37が形成されている。一方、ベントダクト11の車体前壁の前記膨出部37と対向する部分には、該膨出部37と同様に通路外方(車体前方)へ膨出する膨出部(規制部)39が形成されている。そして、前記展開状態にあるベントダクト11及びデフロスタダクト13が前記薄肉ヒンジ15により互いに近接するように回動すると、該両ダクト11,13の相対位置関係が所定の状態になったときに両膨出部37,39の先端面同士が当接してそれ以上の近接回動が規制されるようになっている。言い換えると、両膨出部37,39の高さは、ベントダクト11及びデフロスタダクト13の相対位置関係が車両への組み付け状態となったときにその状態よりも近接する方向の相対変位が規制されるように設定されている。
【0034】さらに、前記ベントダクト11及びデフロスタダクト13は、前記車両への組み付け状態にあるときに互いに結合するように構成されている。すなわち、図3(a)に示すように、デフロスタダクト13の車体後壁の車幅方向左側には、そこから車体後方へ延びる板状部41が形成されており、該板状部41には上下方向に貫通する孔部(第1係合孔)41aが形成されている。また、ベントダクト11の車体前壁には前記板状部41に略対応する部位から該板状部41の下面に沿うように車体前方へ突出する突出片43が形成されており、該突出片43の車体前縁は、前記孔部41aの直下方に位置している。この突出片43の前縁には、そこから上方へ突出して前記孔部41aに嵌入して係合する突部(第1係合突起)43aが形成されている。また、該突部43aの先端には前記薄肉ヒンジ15の軸線Xに直交する方向におけるデフロスタダクト13側(車体前方)へ突出する爪部43bが設けられており、これにより爪部43bが前記孔部41aの板状部41上面側周縁と係合して孔部41aからの抜けが阻止されるようになっている。前記突部43a及び孔部41aにより車幅方向左側の結合部45が構成されている。
【0035】一方、前記ベントダクト11の車体前壁の車幅方向右側には、図3(b)に示すように、そこから車体前方へ延びる板状部47が形成されており、該板状部47には上下方向に貫通する孔部(第2係合孔)47aが形成されている。また、前記デフロスタダクト13の車体後壁には、前記板状部47に略対応する部位から該板状部47の上面に沿うように車体後方へ突出する突出片49が形成されており、該突出片49の車体後縁は前記孔部47aの直上方に位置している。この突出片49の後縁には、そこから下方へ突出して前記孔部47aに嵌入して係合する突部(第2係合突起)49aが形成されており、この突部49aの先端には前記車幅方向左側の爪部43bと反対方向、即ち薄肉ヒンジ15の軸線Xに直交する方向において互いに反対側(ベントダクト11の車体後方)に突出するように爪部49bが設けられている。これにより、爪部49bが前記孔部47aの板状部47下面側周縁と係合して孔部47aからの抜けが阻止されるようになっている。前記突部49a及び孔部47aにより車幅方向右側の係合部51が構成されている。
【0036】すなわち、前記ベントダクト11及びデフロスタダクト13にそれぞれ突部49a,43aが設けられており、ベントダクト11側の突部43aは孔部41aに対してその下方から嵌入する一方、デフロスタダクト13側の突部49aは孔部47aに対してその上方から嵌入する。さらに、突部49a、43aの先端に、薄肉ヒンジ15の軸線Xに直交する方向に互いに反対側に突出する爪部49b、43bを一体に形成している。
【0037】また、図1に示すように、前記ベントダクト11及びデフロスタダクト13には、それぞれインストルメントパネルPの裏面に溶着される複数の突条部55,57,59,61が設けられている。すなわち、前記デフロスタダクト13の上壁には、前記上側接続口17よりも車体前側に車幅方向に延びる突条部55が形成されるとともに、この突条部55から車幅方向左側及び右側に離間して一対の比較的短い突条部57,57が形成されている。前記ベントダクト11には、サイド用ベントダクト25の上壁の車幅方向両側にそれぞれ突条部59,59が形成され、センタ用ベントダクト27の車幅方向両側にそれぞれ突条部61,61が形成されている。
【0038】次に、前記空調ダクト1の製造手順について説明する。
【0039】ここで、この実施形態の空調ダクト1は、上述したように車両への組み付け状態ではデフロスタダクト13及びセンタ用ベントダクト27の膨出部37,39が薄肉ヒンジ15から離間して互いに当接するように形成されており、また、延長ダクト部11a,13aが互いに重合されているので、この状態では両ダクト13,27の型抜きができない。従って、成形に際しては、ベントダクト11及びデフロスタダクト13が、型抜き方向が一致するように展開した状態で成形可能な成形型を用意する。
【0040】まず、上述の如き成形型で型抜き方向が一致するように展開した状態で成形された空調ダクト1を脱型し、そのベントダクト11及びデフロスタダクト13を薄肉ヒンジ15により回動させて、図1に示すように、両者の相対位置が車両への組み付け状態となるようにする。このベントダクト11及びデフロスタダクト13が組み付け状態になると、図2(b)に示すように、前記膨出部37,39の先端面同士が当接してそれ以上の近接回動が規制される。この状態で、図3に示すように、車幅方向左側の突部43a及び右側の突部49aをそれぞれ孔部41a,47aに嵌入することによりダクト11,13が結合する。このとき、爪部43b,49bが孔部41a,47aの車体前後方向に突出して孔部41a,47aの周縁で係合しているので、突部43a,49aの抜けを防止できる。すなわち、ベントダクト11及びデフロスタダクト13は、結合部45,51により結合しているため、互いに離間する方向に回動することがなく、また、突部43a,49aが互いに反対方向から孔部41a,47aに嵌入され、かつ爪部43b,49bが車体前後方向において互いに反対方向に突出しているので、その結合部45,51の突部43a,49aがそれぞれ孔部41a,47a内でがたつくことはない。
【0041】また、前記の如くベントダクト11及びデフロスタダクト13を組み付け状態にすると、図2(a)に示すように、デフロスタダクト13の凸部29がベントダクト11の凹部31に嵌合して両ダクト11,13の延長ダクト部11a,11a,13a,13a同士が位置決めされる。
【0042】次いで、前記空調ダクト1をインストルメントパネルPの組立ラインに搬送して、該インストルメントパネルPに組み付ける。その際に、例えばベントダクト11及びデフロスタダクト13が薄肉ヒンジ15の軸線X回りに互いに離間する方向に変位する外力が作用した場合、即ち図3においてデフロスタダクト13を時計方向に回動させる外力が作用した場合、車幅方向左側のデフロスタダクト13の板状部41における孔部41aが車幅方向左側のベントダクト11側の爪部43bから離れる方向に回動し、突部43aが孔部41aから抜けようとするが、車幅方向右側のデフロスタダクト13の突出片49の爪部49bが車幅方向右側のベントダクト11側における板状部47の基部側に接近するように回動するため、つまり、爪部49bと孔部47aの下面側周縁とが係合する方向に爪部49bが回動するため、突部49aが孔部47aから抜けることがない。このことで、左側の突部43aも孔部41aから完全に抜けることがなく、ベントダクト11及びデフロスタダクト13の車幅方向両側がしっかりと結合するようになる。
【0043】その後、前記空調ダクト1を振動溶着機(図示せず)に固定し、該空調ダクト1の突条部55,57,59,61をインストルメントパネルPの裏面の所定位置にそれぞれ圧接させた状態で振動させ、図4(突条部55のみ示す)のように溶着する。この際も、前記の如くベントダクト11及びデフロスタダクト13の結合状態が保たれ、さらに、デフロスタダクト13の凸部29とベントダクト11の凹部31とにより延長ダクト部11a,11a,13a,13a同士の位置決めがなされているので、振動溶着機への固定も簡単に行うことができる。
【0044】以上説明したように、この自動車用の空調ダクト構造では、車両への組み付け状態では互いに型抜きができないベントダクト11及びデフロスタダクト13を薄肉ヒンジ15により連結したので、両ダクト11,13を型抜きできるように展開した状態でブロー成形により一体成形できる。
【0045】そして、ベントダクト11及びデフロスタダクト13を薄肉ヒンジ15により回動させて車両への組み付け状態にしてから両ダクト11,13にそれぞれ一体成形されている突部49a,43aを孔部47a,41aに嵌入するので、両ダクト11,13の結合に際し、別途、リベット等を用いる必要はなく、製造コストが増加することはない。さらに、この結合状態にあるとき、膨出部37,39により両ダクト11,13の組み付け状態からの近接回動が規制されるので、突部49a,43aと孔部47a,41aとをしっかりと係合させておくことができる。
【0046】また、ベントダクト11及びデフロスタダクト13の車幅方向両端側に、それぞれ車体後方に延びる延長ダクト部11a,11a,13a,13aを形成し、その延長ダクト部11a,11aの上方に延長ダクト部13a,13aを重合させて配設して、それぞれの開口19,19,23,23をインストルメントパネルPのサイドデフロスタ吹出口5,5及びサイドベント吹出口7,7に接続するようにする場合に、凸部29と凹部31とによって延長ダクト部13a,13a及び延長ダクト部11a,11aの位置ずれを防止でき、このことで、ベントダクト11及びデフロスタダクト13をしっかりと結合させておくことができる。
【0047】(他の実施形態)尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、結合部45,51の突部43a,49aをそれぞれ孔部41a,47aに嵌入するようにしているが、これに限らず、図6に示すように係合凹部61a,63aを設け、それぞれに突部60a,62aを嵌入するようにしてもよい。
【0048】詳しくは、ベントダクト11の車体前壁における車幅方向左側に突出片60を形成し、該突出片60の車体前縁から前方へ斜め上方に延びる突部60aを設ける。デフロスタダクト13の車体後壁の前記突出片60に対応する部位には、そこから該突出片60の上面に沿うように車体後方へ膨出する膨出部61を形成し、この膨出部61の下壁に前記突部60aと略同方向の上方へ窪むように係合凹部61aを形成する。一方、デフロスタダクト13の車体後壁における車幅方向右側に突出片62を形成し、該突出片62の車体後縁から後方へ斜め下方に延びる突部62aを設ける。ベントダクト11の車体前壁には前記突部62aと略同方向の下方へ窪むように膨出部63を形成し、該膨出部63の上壁に下方へ窪むように係合凹部63aを形成する。そして、ベントダクト11とデフロスタダクト13とを結合する際には、車幅方向左側の突部60aを下方から係合凹部61aに嵌入し、一方、右側の突部62aを上方から係合凹部63aに嵌入する。そうすると、突部60a,62aの先端側がそれぞれ係合凹部61a,63aの周面に係合するようになる。
【0049】また、前記実施形態では、車幅方向左側の結合部45の突部43aを孔部41aに対し下側から嵌入し、右側の結合部51の突部49aを孔部47aに対し上側から嵌入するようにしているが、これに限らず、左側の突部43aを孔部41aに対し上側から嵌入し、右側の突部49aを孔部47aに対して下側から嵌入するように構成してもよい。尚、上述のように孔部41a,47aに替えて係合凹部61a,63aを設けるようにした場合も同様に構成することができる。
【0050】また、前記実施形態では、ベントダクト11の車幅方向右側に孔部47aまたは係合凹部63aを設け、デフロスタダクト13の左側に孔部41aまたは係合凹部61aを設けるようにしているが、これに限らず、例えばベントダクト11の車幅方向左側に孔部または係合凹部を設け、デフロスタダクト13の右側に孔部または係合凹部をそれぞれ設けるように構成してもよい。
【0051】さらに、前記実施形態では、ベントダクト11及びデフロスタダクト13の延長ダクト部11a,13aを、ベントダクト11及びデフロスタダクト13の中間部分と一体に成形するようにしているが、これに限らず、この中間部分とは別体に成形し、該中間部分に連結するようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に係る車両用空調ダクト構造によると、長尺状の第1ダクト及び第2ダクトが、型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、脱型後、両ダクトを車両への組み付け状態とすることができる。さらに、第1ダクトに形成された第1係合突起と、第2ダクトに形成された第1係合孔または第1係合凹部とを係合させるとともに、第2ダクトに形成され前記第1係合突起の突出方向と反対に突出する第2係合突起と、第1ダクトに形成された第2係合孔または第2係合凹部とを係合させることで、製造コストの増加を招くことなく両ダクトを結合できる。さらに、そのダクトを搬送するとき等に、一方の係合突起が係合孔または係合凹部から抜けるように両ダクトが相対変位しても、他方の係合突起が係合孔または係合凹部に係合することとなり、このことで両ダクトをしっかりと結合できる。
【0053】請求項2記載の発明によると、第1及び第2ダクトの規制部により結合部のがたつきを防止でき、このことで両ダクトをよりしっかりと結合できる。
【0054】請求項3記載の発明によると、請求項1の発明と同様に、第1ダクト及び第2ダクトが、型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、脱型後、両ダクトを車両への組み付け状態とすることができる。さらに、両ダクトは係合突起と係合孔または係合凹部との係合により製造コストの増加を招くことなく結合できる。そして、両ダクトの規制部により結合部のがたつきを防止でき、よって、両ダクトをしっかりと結合できる。
【0055】請求項4記載の発明によると、請求項1の発明と同様に、第1ダクト及び第2ダクトが、型抜き方向が一致するように展開した状態においてブロー成形可能となり、脱型後、両ダクトを車両への組み付け状態とすることができる。さらに、両ダクトは係合突起と係合孔または係合凹部との係合により製造コストの増加を招くことなく結合できる。そして、このとき第2延長ダクト部の凸部が第1延長ダクト部の上壁部に形成された位置決め用の凹部に嵌合するので、両ダクトの相対位置のずれを防止でき、このことで、両ダクトをしっかりと結合できる。
【0056】請求項5記載の発明によると、第1及び第2ダクトはしっかりと結合しているので、振動溶着機へのセットが簡単に行える。
【出願人】 【識別番号】390026538
【氏名又は名称】西川化成株式会社
【住所又は居所】広島県広島市安佐北区可部南2丁目25番31号
【識別番号】390040958
【氏名又は名称】みのる化成株式会社
【住所又は居所】兵庫県西宮市浜甲子園1丁目16番18号
【出願日】 平成14年5月28日(2002.5.28)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2003−341340(P2003−341340A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−153635(P2002−153635)