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【発明の名称】 ベントグリル構造
【発明者】 【氏名】荻原 智
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【氏名】鈴木 和裕
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内

【要約】 【課題】ベントグリルをインストルメントパネルの傾斜面に取り付けた場合であっても乗員に対して十分な送風を可能にする。

【解決手段】ベントダクト40に連なるサブダクト30に、回動軸21を支点に回動可能にベントグリル20を取り付ける。ベントグリル20を上方に回動した状態では、ベントグリル20はインストルメントパネル10からポップアップし、吹出口26が車両後方に向かう。ベントグリル20を下方に回動した状態では、ベントグリル20はインストルメントパネル10内に格納され、吹出口26からの送風を阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両のインストルメントパネルに装着され、ベントダクトからの空調風を車室内に吹き出すベントグリルを備え、前記ベントグリルは、前記インストルメントパネルからポップアップするように、前記ベントダクトの終端部に車両上下方向に回動可能に連結されることを特徴とするベントグリル構造。
【請求項2】 車両のインストルメントパネルに装着され、ベントダクトからの空調風を車室内に吹き出すベントグリルを備え、前記ベントグリルは、前記ベントダクトの終端部に車両上下方向に回動可能に連結され、上下一方向に回動すると前記インストルメントパネルからポップアップし、上下他方向に回動すると前記インストルメントパネル内に格納するように構成したことを特徴とするベントグリル構造。
【請求項3】 請求項1または2に記載のベントグリル構造において、前記ベントグリルを上下一方向に回動すると前記ベントダクト内と前記ベントグリル内とを連通し、上下他方向に回動すると前記ベントダクト内と前記ベントグリル内とを遮断するように構成したことを特徴とするベントグリル構造。
【請求項4】 請求項3に記載のベントグリル構造において、前記ベントグリルの壁面は前記ベントダクト内に緩挿され、前記ベントグリルの上下他方向の回動により前記ベントグリルの壁面が前記ベントダクト内と前記ベントグリル内とを遮断するように構成したことを特徴とするベントグリル構造。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載のベントグリル構造において、前記ベントグリルは前記インストルメントパネルの傾斜面に装着され、前記ベントグリルがポップアップすると吹出口の面が垂直に近付くことを特徴とするベントグリル構造。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のベントグリル構造において、前記インストルメントパネルに装着され、補助ダクトを介して導かれた前記ベントダクトからの空調風を前記ベントグリルからの吹出とは異なる方向に吹き出す開閉可能な補助グリルと、前記ベントグリルを上下一方向に回動すると前記ベントグリルのポップアップに連動して前記補助グリルを閉鎖し、上下他方向に回動すると前記ベントグリルの格納に連動して前記補助グリルを開放する連動手段とを備えることを特徴とするベントグリル構造。
【請求項7】 請求項6に記載のベントグリル構造において、前記補助ダクトと前記ベントダクトを一体化したことを特徴とするベントグリル構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のインストルメントパネルに装着される空調風吹出用のベントグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両のインストルメントパネルには空調風の吹出口が開口され、この吹出口にベントグリルが装着される。ベントグリル内には水平ルーバや垂直ルーバが設けられ、これらルーバの向きを変更することで空調風の吹出方向が変更可能となる。ルーバーの奥方にはシャットバルブが設けられ、シャットバルブの開閉により吹出口を開放または遮断する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車などのインストルパネルには緩やかな湾曲形状を有するものがある。このインストルメントパネルを用いた場合、造形上の理由等によりベントグリルは湾曲部に傾斜して取り付けられ、ベントグリルの吹出口は車室内斜め上方に向けられる。そのため、ベントグリルから車内後方に向けて送風するためには、水平ルーバーを下方に回動する必要があり、吹出口の開口面積が減少する。その結果、乗員に対して十分な送風を行うことができないおそれがある。
【0004】本発明の目的は、ベントグリルを傾斜して取り付けた場合であっても乗員に対して十分な送風を行うことができるベントグリル構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両のインストルメントパネルに装着され、ベントダクトからの空調風を車室内に吹き出すベントグリルを備えたベントグリル構造に適用される。そして、ベントグリルが、インストルメントパネルからポップアップするように、ベントダクトの終端部に車両上下方向に回動可能に連結されることにより上述した目的を達成する。
【0006】
【発明の効果】本発明は、ベントダクトの終端部に車両上下方向に回動可能にベントグリルを備え、ベントグリルをインストルメントパネルからポップアップするようにした。これによりルーバーの回動によらずに吹出口の向きを変更することができ、ベントグリルをインストルメントパネルの傾斜面に取り付けた場合であっても、乗員に対して十分な送風を行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】−第1の実施の形態−以下、図1〜図5を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1,2は、本発明の第1の実施の形態に係わるベントグリル構造を示す断面図であり、図3,4はこのベントグリル構造を適用したインストルメントパネルの斜視図(車両後方から見た図)である。なお、図1は図3のI-I線断面図(ベントグリルのポップアップ状態を示す図)、図2は図4のII-II線断面図(ベントグリルの格納状態を示す図)であり、図中矢印は空気の流れを示す。
【0008】インストルメントパネル10は、上下方向に緩やかな湾曲形状を有している。より具体的には、ウインドシールド下端から車室内に向けて緩やかな曲面の下り勾配斜面に形成されている。インストルメントパネル10の斜め上面には車両左右方向に複数(図では4個)の開口部11が設けられ、この開口部11にそれぞれベントグリル20が装着されている。ベントグリル20の奥方にはサブダクト30が配置されている。なお、インストルメントパネル10にはステアリング取付部12が設けられる。
【0009】図5はベントグリル20とサブダクト30、およびベントダクト40の斜視図である。なお、図5(a)は車両斜め前方から見た図、図5(b)は車両斜め後方から見た図である。ベントグリル20とサブダクト30はそれぞれ車両前後方向側面が開口した略ボックス形状をなしている。ベントダクト40にはベントグリル20の数に等しい開口部41が設けられ、その開口部41にサブダクト30の前端開口部が固定されている。ベントダクト40は開口部42を介して図示しない空調ユニットに接続され、空調ユニットで生成された空調風はベントダクト40を介してサブダクト30内に導かれる。ベントグリル20の左右外側面には、その前側上部に回動軸21が設けられ、この回動軸21に対応してサブダクト30の左右外側面に軸受け31が設けられている。
【0010】図1,2に示すように、ベントグリル20は回動軸21を介してサブダクト30に回動可能に支持され、ベントグリル20の下部壁面22はサブダクト30内に挿入されている。ベントグリル20内には、吹出口26の近傍にそれぞれ複数枚の水平ルーバー23と垂直ルーバー24が回動可能に配置されている。各水平ルーバー23はリンク機構を介して互いに連結され、その一枚の上下方向の回動操作により各水平ルーバー23はそれぞれ上下方向に回動する。各垂直ルーバー24の回動軸はリンク機構を介して互いに連結され、ダイヤル操作等により各垂直ルーバー24はそれぞれ左右方向に回動する。
【0011】ベントグリル20は、例えばその上部壁面後端部25の持ち上げまたは押し下げ操作により上下方向に回動する。ベントグリル20を上方に回動すると、図1に示すようにベントグリル20の下部壁面22はサブダクト30の下部壁面32に当接し、ベントグリル20はインストルメントパネル10表面よりも乗員側に飛び出す(ポップアップ)。このときベントグリル20内はサブダクト30内に連通し、吹出口26は車両後方に向けられる。これにより水平ルーバー23を下方に回動することなく、ベントダクト40からの空調風をサブダクト、ベントグリルを介して車両後方に送風することができる。その結果、吹出口26の開口面積の減少が抑えられ、乗員に対して十分な送風を行うことができる。なお、この状態では水平ルーバー23、垂直ルーバー24の回動により、吹出口26からの風向きを調整可能である。
【0012】一方、ベントグリル20を下方に回動すると、図2に示すようにベントグリル下部壁面22の先端部がサブダクト30の上部壁面33に当接するとともに、ベントグリル下部壁面22がサブダクト30の下部壁面32の後端部に当接する。すなわち、ベントグリル20の下部壁面22がサブダクト30内の通路を横断し、下部壁面22により通路が遮断される。これによりサブダクト32からベントグリル20への空気の流れを阻止することができる。なお、ベントグリル20とサブダクト30の当接部、およびサブダクト30とベントダクト40の当接部にはそれぞれシール材28,34が装着され、これら当接部からの空気の漏れが防止される。
【0013】このときベントグリル20はインストルメントパネル10内に格納され、インストルメントパネル10の開口部11はベントグリル20の上部壁面27によって閉鎖される。これによりベント吹出口26からの送風が必要ないとき、インストルメントパネル10表面からベントグリル20が飛び出すことを防止し、インストルメントパネル10表面を平坦化することができる。
【0014】以上の実施の形態によると以下のような効果を奏することができる。
(1)ベントグリル20を上下方向回動可能に設け、インストルメントパネル10からベントグリル20をポップアップするようにしたので、吹出口26を車両後方に向けることができ、乗員に対して十分な送風を行うことができる。また、吹出口26の開口面積を確保するためにベントグリル20を大型化するといった必要がなく、造形の自由度を大きく損なうこともない。
(2)ベントグリル20からの送風が必要ないとき、ベントグリル20をインストルメントパネル10内に格納するので、インストルメントパネル10表面が平坦化され、デザイン性にも優れる。
(3)ベントグリル20のポップアップおよび格納に連動してサブダクト30内の通路を開放または遮断するようにしたので、ベントグリル20の格納時にベント吹出口26から無駄に送風されることがない。
(4)ベントグリル20の下部壁面22によりサブダクト30内の通路を遮断するようにしたので、吹出口開閉用のシャットバルブを別途設ける必要がない。したがって、シャットバルブを操作するためのリンク機構、ダイヤル等も不要であり、部品点数が低減され、構成が簡素化される。
【0015】−第2の実施の形態−図6〜9を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態ではインストルメントパネル10にベントグリル20を装着したが、第2の実施の形態ではインストルメントパネル10にベントグリル20とは別に補助グリル50を装着する。なお、図6〜9において、図1〜4と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。
【0016】図8,9に示すように、インストルメントパネル10にはベントグリル20の前方に複数(図では2個)の開口部13が設けられ、この開口部13にそれぞれ補助グリル50が装着されている。補助グリル50は、乗員がベントグリル20からの吹出を煩わしく感じるときに、乗員に直接風を当てずに乗員近傍の温度を維持するためのものであり、その吹出方向はベントグリル20の吹出方向とは異なる方向(図では上方)に向けられる。
【0017】図6は図8のVI-VI線断面図、図7は図9のVII-VII線断面図である。図6,7に示すように、サブダクト30の上面からは補助ダクト35が分岐し、補助ダクト35の端部はインストルメントパネル10の開口部13に達している。なお、サブダクト30と補助ダクト35は一体である。インストルメントパネル10の内側面には、左右一対のガイド51が設けられている(図6の矢視A参照)。ガイド51は開口部13の左右外側に位置し、ガイド51とインストルメントパネル10の間にはガイド51に沿ってスライド可能にスライドドア52が挿設されている。
【0018】ベントグリル20の左右外側面には回動軸21,29がそれぞれ設けられ、その一方の回動軸21を介してベントグリル20は前述したようにサブダクト30に連結されている。この回動軸21の最外部、すなわちサブダクト30の外側には、サブダクト30の左右外側面に沿って回動可能にレバー53が連結されている。他方の回動軸29はレバー53の長孔54に挿入され、この長孔54によりベントグリル20に対するレバー53の位置が規制される。
【0019】スライドドア52の後端部はばね55の一端に連結され、ばね55の他端はインストルメントパネル10に設けたばね支持部56に連結されている。スライドドア52の前端部はワイヤ57の一端に連結され、ワイヤ57の他端はインストルメントパネル10に設けたワイヤ支持部58を経由し、レバー53の前端部に連結されている。
【0020】第2の実施の形態において、ベントグリル20を上方に回動すると、図6に示すようにベントグリル20はポップアップする。このとき、ベントグリル20とともにレバー53が回動するため、レバー53によりワイヤ57が引っ張られ、スライドドア52はばね力に抗して上方に移動する。これによりベントグリル20の吹出口26は車両後方に向けられるとともに、スライドドア52により補助グリル50が遮断される。その結果、ベントダクト40からの空調風は全てサブダクト30、ベントグリル20を介して車両後方に送風され、乗員に対して十分な送風を行うことができる。
【0021】一方、ベントグリル20を下方に回動すると、図7に示すようにベントグリル20がインストルメントパネル10内に格納される。このとき、ベントグリル20とともにレバー53が回動するため、ばね力によってワイヤ57が引っ張られ、スライドドア52は下方に移動する。これによりベントグリル20への送風が遮断されるとともに、補助グリル50が開放する。その結果、ベントダクト50からの空調風は全て補助ダクト35を介して車両上方に送風され、乗員に対して直接風をあることなく乗員近傍の温度を所定温度に維持することができる。
【0022】このように第2の実施の形態では、インストルメントパネル10に補助グリル50を設け、レバー53やワイヤ57を介して補助グリル50の開閉をベントグリル20の開閉に連動させるようにした。これにより一度の操作で補助グリル50の開閉とベントグリル20の開閉を同時に行うことができ、操作性が向上するとともに、誤って補助グリル50とベントグリル20が同時に開放するおそれがなく、補助グリル50を効果的に機能させることができる。また、サブダクト30と補助ダクト35を一体としたので、部品点数が削減され、コストを低減することができる。
【0023】なお、本発明によるベントグリル構造は、上述した実施の形態に限定されることなく種々の変更が可能である。上記実施の形態では、サブダクト30とベントダクト40を別体としたが、両者を一体としてもよい。ベントグリル20の下方への回動によりベントグリル20をインストルメントパネル10内に格納するようにしたが、必ずしも完全に格納しなくともよい。ベントグリル20の格納時に、ベントグリル20の壁面22によりサブダクト30内の通路を遮断するようにしたが、ベントグリル20の格納に連動する他の部材により通路を遮断するようにしてもよい。
【0024】ベントグリル20の回動軸21をベントグリル20の上部ではなく下部に設けてもよい。この場合にはベントグリル20の上方への回動によりベントグリル20を格納し、下方への回動によりポップアップすればよい。インストルメントパネル10の形状、ベントグリル20、補助グリル50の位置は上記実施の形態に限定されない。例えばベントグリル20をインストルメントパネル10の傾斜面ではなく上面に取り付け、ベントグリル20のポップアップにより吹出口26を車両後方に向けるようにしてもよい。
【0025】ベントグリル20を手動で回動するようにしたが、回動軸21にモータなどのアクチュエータを設け、アクチュエータの駆動によりベントグリル20を回動するようにしてもよい。この場合、空調モードに応じてベントグリル20を自動開閉するようにしてもよい。
【0026】上記実施の形態では、連動手段としてレバー53、ワイヤ57、ばね55を用いたが、リンク機構などによりベントグリル20と補助グリル50を連動させるようにしてもよい。なお、本実施の形態において、空調風をベントグリル20に導くベントダクト40とサブダクト30がベントダクトを構成する。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
【出願日】 平成14年5月28日(2002.5.28)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開2003−341339(P2003−341339A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−154040(P2002−154040)