| 【発明の名称】 |
移動車両用の空調装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】越智 孝司 【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内
【氏名】土居 一紀 【住所又は居所】愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機株式会社技術部内
|
| 【要約】 |
【課題】冷媒式空調設備に比較して簡易な構成で、しかも廉価な空調設備をトラクター、コンバインなど移動車両の操縦室に設けること。
【解決手段】ミストクーラ30に外気の取り入れ用のダクト32をキャビン24のルーフ31の下側に配置し、前記ダクト32に接続する外気取入口32aをキャビン24のルーフ31の後方に設け、キャビン24のルーフ31の下前部に操縦室内の運転手に向けて霧状に水滴を吹き出す一以上のミスト吹き出し口32bを設ける。ミストクーラ30に吸い込まれた外気によりミストクーラ30内の水が霧化されて約10μmの径を持つ水滴となり吹き出し口32bから操縦室24内に吹き出され、ミストの蒸発時に蒸発潜熱が外気から奪われるため、操縦室24が冷却される。冷媒式空調設備に比較して簡易な構成で、しかも廉価な空調設備をトラクター、コンバインなど移動車両の操縦室24に設けることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操縦室を構成するキャビン24のルーフ31の下前部に操縦室内の運転手に向けて霧状に水滴を吹き出す一以上のミスト吹き出し口32bを備えたミストクーラ30を配置し、該ミストクーラ30のミスト吹き出し口32bから吹き出す外気の取り入れ用の外気導入ダクト32をキャビン24のルーフ31の下側に配置し、前記ダクト32に接続する外気取入口32aをキャビン24のルーフ31の後方に設けたことを特徴とする移動車両用の空調装置。 【請求項2】 操縦室を構成するキャビン24の頂部の後方を回動支点31aとして前方を開閉自在にしたルーフ31を設け、該開閉自在のルーフ31の後下部に外気導入ダクト32とその外気取入口32aを一体的に設け、さらにキャビン24の頂部側に着脱式の水槽34と送風機35を備えたミスト発生装置を配置したことを特徴とする移動車両用の空調装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、移動車両用の空調装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、トラクター、コンバインなど移動車両の操縦室はキャビン又はサンバイザに覆われている場合が多い。そして操縦室付近の快適性を向上させるために、空調装置や音響機器など様々な電装機器が取り付けられている。これに伴い、空調装置、音響機器及びその配線等をコンパクトに収納して操縦室付近の空間を効率よく利用することが行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】操縦室内を外気温度に関わりなく常に摂氏25度程度に保つ冷媒式の空調設備を取り付けておくと操縦室は快適空間になるが、このような冷媒式空調設備では、圧縮機やコンデンサ及び蒸発皿やエバポレータ等の関連付属部品も多いので全体に高価となる。 【0004】そこで本発明の課題は、このような冷媒式空調設備に比較して簡易な構成で、しかも廉価な空調設備をトラクター、コンバインなど移動車両の操縦室に設けることである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次のような手段により解決した。請求項1の発明は、操縦室を構成するキャビン24のルーフ31の下前部に操縦室24内の運転手に向けて霧状に水滴を吹き出す一以上のミスト吹き出し口32bを備えたミストクーラ30を配置し、該ミストクーラ30のミスト吹き出し口32bから吹き出す外気の取り入れ用の外気導入ダクト32をキャビン24のルーフ31の下側に配置し、前記ダクト32に接続する外気取入口32aをキャビン24のルーフ31の後方に設けた移動車両用の空調装置である。 【0006】請求項1の発明により、ミストクーラ30に吸い込まれた外気によりミストクーラ30内の水が霧化されて約10μmの径を持つ水滴となり、吹き出し口32bから操縦室(キャビン)24内に吹き出され、ミストの蒸発時に蒸発潜熱が外気から奪われるため、操縦室(キャビン)24が冷却される。 【0007】請求項2の発明は、操縦室を構成するキャビン24の頂部の後方を回動支点31aとして前方を開閉自在にしたルーフ31を設け、該開閉自在のルーフ31の後下部に外気導入ダクト32とその外気取入口32aを一体的に設け、さらにキャビン24の頂部側に着脱式の水槽34と送風機35を備えたミスト発生装置を配置した移動車両用の空調装置である。 【0008】請求項2の発明により、送風機35により外気がミストクーラ30に吸い込まれ、水槽34内に設けられた、例えば超音波振動子39などによりミストは霧化されて約10μmの径を持つ水滴となり、吹き出し口32bから操縦室24内に吹き出される。 【0009】 【発明の効果】請求項1、2の発明により、冷媒式空調設備に比較して簡易な構成で、しかも廉価な空調設備をトラクター、コンバインなど移動車両の操縦室に設けることができる。また、開閉自在のルーフを開けてミスト発生装置のメンテナンスを容易に行うことができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の農業用トラクタ(以下、トラクタ)に用いられるキャビンの空調装置について説明する。図1のトラクタ側面図(操縦席のドアやフロントガラス及びリヤガラス等は図示せず)に示すように、トラクタ10はボンネット11に覆われたエンジン12を備え、該エンジン12の駆動力をプーリ2、2とベルト3を介して受けるカウンタケース4、ミッションケース5、クラッチ体6及びPTO変速ケース7等を一体的に連結した主フレーム13を機体の剛体の主要部とし、この主フレーム13の前後左右に一対の前輪14、後輪15をそれぞれ設けている。そして、前記エンジン12の回転動力をミッションケース5内の変速機構によって適宜減速し、前後輪14、15に伝達して走行する構成になっている。 【0011】また、ミッションケース5内の変速機構から自在継手8とPTO変速ケース7内の変速機構からPTOに駆動力が伝達される。また、カウンタケース4内のギアから図示しないPTO軸を経て防除ポンプ9が駆動し、薬液タンク25内の薬液が図示しないノズルから散布される。 【0012】前記ミッションケース5の中央部上面にはフロア18が設けられ、このフロア18の上方にはハンドル20、運転座席21、操作レバー(図示せず)等を内部に配置したフレーム構造により操縦室(キャビン)24を構成している。図示していないが、キャビン24の覆いに代えてサンバイサを設けても良い。 【0013】また、前記主フレーム13の後部には作業機を連結するためのリンク機構(図示せず)を設ける場合、ボンネット11の前方に薬液散布装置を設ける場合、又は車体の前方又は下方に芝刈り機を設ける場合もある。 【0014】キャビン24のフレーム構成は、図1、図2の平面図、図3の要部前面図及び図4の要部斜視図に示すように、フロア18の前端部の左右から夫々の側方に突出状に帯板で構成したステップ延長ブラケット17を取り付け、該ステップ延長ブラケット17の外面にキャビン24のパイプ状支柱16、16の下部を取り付けている。またフロア18の前側方にステップ延長ブラケット17を取付け、それにキャビン24の支柱16の下部を取り付けている。操縦室(キャビン)24の後部には散水用または薬剤散布用の給水タンク25が設置されている。 【0015】本発明の実施の形態では、乗用管理機用キャビンミストクーラ(以下、単にミストクーラという)30を操縦室(キャビン)24のルーフ31に設けたことに特徴がある。前記ミストクーラ30への外気導入ダクト32をルーフ31の下方後部に設け、該ダクト32の後端部に外気取入口32aを接続し、該外気取入口32aをルーフ31の後部に設ける。また外気導入ダクト32の他端部に左右一対の外気吹き出し口32bを接続し、該外気吹き出し口32bを操縦室(キャビン)24内の前部から運転者に向けて配置している。外気取入口32aから吸入した空気はダクト32内のフィルタ33を経由して外気吹き出し口32bからキャビン24内に吹き出される。 【0016】本実施の形態で使用するミストクーラ30は、図5に示すように、水槽34と該水槽34内の水をミスト状にして吹き出すための送風機35とミスト吹き出し口32b及び該吹き出し口32bまでのミスト流路36と送風機35からの送風路37の四つが設けられている。さらに水槽34に給水するためのタンク38(図2)も設置されている。ミスト流路36は送風路37で取り囲まれるように設けられた二重構造のダクトがミスト吹き出し口32bまで続いている。ミストクーラ30の水槽34には給水タンク38内の水が水槽34内にフロート弁(図示せず)を介して一定の水深になるように供給される。 【0017】上記構成からなるミストクーラ30において、送風機35によりフィルタ33を通った外気がクーラ本体内に吸い込まれ、ミスト流路36側と送風路37側の二方向へ分岐して流れ、水槽34内に設けられた超音波振動子39によりミスト流路36内のミストは霧化されて約10μmの径を持つ水滴となり二重構造のダクトの内側(ミスト流路36)を通り、吹き出し口32bから操縦室(キャビン)24内に吹き出される。 【0018】また吹き出し口32b付近のダクト37内には蒸散材41が配置されており、ダクト37内で成長した水滴が吹き出し口32bから操縦室(キャビン)24内に落下しないように蒸散材41で水滴を吸収保持する。 【0019】蒸散材41は多数の気孔を有する親水性多孔室樹脂(ポリエチレン樹脂(PE)の焼結成形)からできていて、多数の気孔の毛細管現象により吸水・蒸発を行っている。水槽34内には雑菌の繁殖防止のため、不織布に銀ゼオライト(ゼオライトに銀をイオン結合)を添着させた抗菌シート(図示せず)を配置している。 【0020】ミストクーラ30のミスト吹き出し口32bからは微細な水滴が運転手に向けて吹き出されるので、ミストの蒸発時に蒸発潜熱が外気から奪われるため、操縦室24が冷却される。 【0021】また、図6(ルーフ31の開放時)及び図7(ルーフ31の閉塞時)の操縦室(キャビン)24の側面略図に示すように、キャビン24のルーフ31の後方部位に回動支点31aを設け、該回動支点31aを中心にルーフ31の前方を開閉自在とし、ルーフ31の後下部に外気導入ダクト32とその外気取入口32aを一体的に設け、ルーフ31の下側のキャビン頂部のフレーム16に支持させてワンタッチ着脱式の水槽34と送風機35等とミスト吹き出し口32bを配置した。このときキャビン24の後方に回動支点31aを有するルーフ31の開放時の保持ステー45を設ける。保持ステー45の回動支点45aはルーフ31側に設け、キャビン24側には保持ステー45の開放時の固定位置45bと閉塞時の固定位置45cに係合部材(図示せず)を設ける。 【0022】保持ステー45を設けることでルーフ31の開放時のミストクーラ30のメインテナンス作業、例えば給水タンク38の着脱が安全、容易に行える。またルーフ31は閉じた状態でトラクタが移動時に脱落や破損しないように、ルーフ31の前方に設けたルーフ固定用ロック31bによりキャビン24のパイプ状支柱16に締め付け固定している。 【0023】また、本実施の形態のキャビン24は図8に示すように、乗用管理機用簡易キャビン24のフレーム構成を分割組立一体式のものにすることで、運搬可能になる。これらのフレーム自体は分割構成であるが、組立により一体になり運搬可能な構成とした。 【0024】図8に示すように、左右枠46、47と該左右枠46、47にまたがって、それらの上端に取付けられるダクト32付きルーフ31と該ルーフ31の前支持枠51と後支持枠52、及び左右枠46、47の前方と後方にそれぞれ取り付けられる前支枠52と後支枠53からなる。これらの部材はアルミ材で軽量でありながら、組立後は一体キャビンとなるので、組立状態のままでトラクタ製造工場からトラクタ販売会社へ供給できる。その場合にはトラクタ販売会社では組立工数の大幅な低減ができる。前記部材の組立により得られる一体キャビン枠体の強度を高くするためには部材の接合は溶接で行い、それほど強度を要求されない場合にはボルトナットで行う。 【0025】図9のトラクタの車体の枠体構造の平面図に示すように、車体の主フレーム13にステップ延長ブラケット17を取り付けて、フロア幅を拡げ、ステップ延長ブラケット17上にはサブフロア床(板)19を取付け、またステップ延長ブラケット17上にパイプ状支柱16を載せて固定する。こうしてステップ延長ブラケット17上にパイプ状支柱16(図4)を装着する時、主フレーム13とステップ延長ブラケット17によりキャビン24の充分な保持強度が得られ、また装着工数を大幅に低減できる。なお主フレーム13の前方にはボンネット11を支持するための前フレーム58が設けられている。 【0026】また、ステップ延長ブラケット17をキャビン側下縁のタンクシール面の延長上に配置することにより、フレーム構成を平面視で前後方向直線上に簡略化でき、シール性を向上できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社 【住所又は居所】愛媛県松山市馬木町700番地
|
| 【出願日】 |
平成14年3月20日(2002.3.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
|
| 【公開番号】 |
特開2003−267043(P2003−267043A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−77556(P2002−77556) |
|