トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】桑田 義正
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】田口 知生
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【要約】 【課題】既存の空調装置を利用して、車両の駐車時の冷房性能をより高めて快適性を向上することを目的とする。

【解決手段】主電源30より小電力の補助電源40と、補助電源40により冷媒を圧縮する第2圧縮機12と、補助電源40により冷媒を冷却・凝縮する第2凝縮器11と、第2圧縮機12及び第2凝縮器11を切換え弁16、17を介して蒸発器2aに接続する接続通路13〜15と、エンジン停止時第2圧縮機12及び第2凝縮器11を補助電源40により駆動させる駆動制御手段と、エンジン停止時切換え弁16、17を第2圧縮機12及び第2凝縮器11と蒸発器2aとの間で冷媒の循環が可能になるよう切換える切換え弁制御手段とを設けてある。従って、駐車時等エンジン停止時、第2圧縮機12、第2凝縮器11及び蒸発器2aの間において通常の冷凍サイクルとは別の第2冷凍サイクルが構成され、通常の空調装置を利用した冷却効果の高い冷房を行える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両用エンジンに駆動され、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機から吐出された冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧・膨張する膨張器と、該膨張器で減圧・膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた車両用空調装置において、車両に搭載される主電源とは別に設けられ、主電源よりも小電力とされる補助電源と、該補助電源の電力を駆動源として冷媒を圧縮する第2圧縮機と、上記補助電源の電力を駆動源として上記第2圧縮機から吐出された冷媒を冷却して凝縮する第2凝縮器と、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記蒸発器に接続する接続通路と、該接続通路に配設される切換え弁と、上記車両用エンジンが停止状態にあるか否か検出する停止検出手段と、該停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出された時、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記補助電源によって駆動させる駆動制御手段と、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出された時、上記切換え弁を上記第2圧縮機及び第2凝縮器と上記蒸発器との間において冷媒の循環が可能になるよう切換える切換え弁制御手段とを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】車両の室内温度を検出する車室内温度検出手段が備えられ、上記駆動制御手段は、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出され、かつ上記車室内温度検出手段により車室内温度が所定温度以上であることが検出された時、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記補助電源によって駆動させるよう構成されるとともに、上記切換え弁制御手段は、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出され、かつ上記車室内温度検出手段により車室内温度が所定温度以上であることが検出された時、上記切換え弁を上記第2圧縮機及び第2凝縮器と上記蒸発器との間において冷媒の循環可能に切換えるよう構成されることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】上記補助電源は、太陽電池から構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用空調装置に関し、特に駐車時等車両用エンジン停止時において車室内の冷却が可能な空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用空調装置においては、エンジンにより駆動されるコンプレッサーを利用しているため、エンジンが停止される駐車時は車室内を冷房することができない。そこで、実開昭58−136815号公報には、太陽電池等補助的な電源から熱電素子(送風ファン前の熱交換フィンを冷状態にするための素子)及び送風ファンに電力を供給して冷風を車室内に送風するように構成し、駐車時においても車室内の冷房を可能にすることが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の先行技術では、車室内に送風される空気は、空調装置のエバポレータとは別に設けられ、熱電素子によって冷状態にされる冷却フィンによって冷却される構成であるため、車室内の冷房効果を十分得ることができないという問題がある。つまり、冷却フィンでは、冷却フィンと空気との熱交換による冷却であるため、冷却効果はさほど高くなく、冷凍サイクルを利用した空調装置と比較した場合、十分な冷却効果が得られない。尚、冷却フィンの大型化や、熱電素子に対する供給電力の増加(太陽電池パネルの大型化)による冷却効果の向上も考えられるが、いずれの場合も、車両スペース上制約があり実現は難しいものである。
【0004】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、既存の空調装置を利用して、車両の駐車時の冷房性能をより高めて快適性を向上することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明にあつてはその解決方法として次のように構成してある。すなわち、本発明の第1の構成において、車両用エンジンに駆動され、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機から吐出された冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器と、該凝縮器で凝縮された冷媒を減圧・膨張する膨張器と、該膨張器で減圧・膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えた車両用空調装置において、車両に搭載される主電源とは別に設けられ、主電源よりも小電力とされる補助電源と、該補助電源の電力を駆動源として冷媒を圧縮する第2圧縮機と、上記補助電源の電力を駆動源として上記第2圧縮機から吐出された冷媒を冷却して凝縮する第2凝縮器と、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記蒸発器に接続する接続通路と、該接続通路に配設される切換え弁と、上記車両用エンジンが停止状態にあるか否か検出する停止検出手段と、該停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出された時、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記補助電源によって駆動させる駆動制御手段と、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出された時、上記切換え弁を上記第2圧縮機及び第2凝縮器と上記蒸発器との間において冷媒の循環が可能になるよう切換える切換え弁制御手段とを設けるよう構成してある。本発明の第1の構成によれば、駐車時等車両用エンジン停止時は、小電力の補助電源によって第2圧縮機、第2凝縮器が駆動されるとともに、切換え弁が第2圧縮機及び第2凝縮器と蒸発器との間において冷媒の循環が可能になるよう切換えられるため、第2圧縮機、第2凝縮器及び蒸発器の間において通常の冷凍サイクルとは別の第2冷凍サイクルが構成されることになり、通常の空調装置を利用した冷却効果の高い冷房を行うことができる。また、第2圧縮機、第2凝縮器は、小電力の補助電源でも駆動可能な小型タイプとされるため、限られたエンジンルーム内における配置上有利である。
【0006】本発明の第2の構成において、車両の室内温度を検出する車室内温度検出手段が備えられ、上記駆動制御手段は、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出され、かつ上記車室内温度検出手段により車室内温度が所定温度以上であることが検出された時、上記第2圧縮機及び第2凝縮器を上記補助電源によって駆動させるよう構成されるとともに、上記切換え弁制御手段は、上記停止検出手段により車両用エンジンの停止状態が検出され、かつ上記車室内温度検出手段により車室内温度が所定温度以上であることが検出された時、上記切換え弁を上記第2圧縮機及び第2凝縮器と上記蒸発器との間において冷媒の循環可能に切換えるよう構成してある。本発明の第2の構成によれば、車両用エンジンの停止状態で、かつ車室内温度が所定温度以上の高温時、小電力の補助電源によって第2圧縮機、第2凝縮器が駆動されるとともに、切換え弁が第2圧縮機及び第2凝縮器と蒸発器との間において冷媒の循環が可能になるよう切換えられるため、第2圧縮機、第2凝縮器及び蒸発器の間において通常の冷凍サイクルとは別の第2冷凍サイクルが構成されることになり、通常の空調装置を利用した冷却効果の高い冷房を行うことができる。また、車室内温度高温時のみ補助電源によって第2圧縮機、第2凝縮器が駆動されるため、補助電源による電力消費を必要最小限に留めることができる。
【0007】本発明の第3の構成において、上記補助電源は、太陽電池から構成してある。本発明の第3の構成によれば、車両用エンジン停止時、太陽電池によって通常の空調装置を利用した冷却効果の高い冷房を行うことができる。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、既存の空調装置を利用して、車両の駐車時の冷房性能をより高めて快適性を向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。空調装置全体を示す全体構成図1において、空調装置は、外気或いは内気を取り入れるブロアユニット1と、ブロアユニット1によって取り入れられた空気を冷却するクーリングユニット2と、ブロアユニット1によって取り入れられた空気を加熱するヒータユニット3と、冷却或いは加熱された空気を車室内に送給する空調ダクト4とから構成される空調ユニット10と、この空調ユニット10を制御する制御ユニット20と、主電源としてのバッテリ30と、車両のルーフに取付けられる補助電源としての太陽電池40とから構成されている。
【0010】上記ブロアユニット1には、外気取入口1a、内気取入口1b、内外切換えダンパ1c及びブロアファン1dとが備えられており、内外切換えダンパ1cは、制御ユニット20によって切換え制御されることによって外気或いは内気或いは外気と内気とを混合した空気を切換えて導入するとともに、ブロアファン1dは、制御ユニット20によってブロアファン1dのモータの回転が制御されることによって導入される空気量が調整されるように構成されている。
【0011】上記クーリングユニット2には、ブロアユニット1から送り出された空気を液化冷媒の蒸発による冷却作用によって冷却する蒸発器としてのエバポレータ2aが備えられている。そして、このエバポレータ2aには、以下の経路によって液化冷媒が供給されるよう構成されている。つまり、エンジンENGによって駆動される圧縮機2bから吐出された高温・高圧の冷媒ガスは、コンデンサ2c、クーリングファン2dとから構成される凝縮器において冷却、凝縮されて低温・高圧の冷媒ガスになり、その低温・高圧の冷媒ガスはレシーバタンク2eに蓄えられるとともに、その蓄えられた低温・高圧の冷媒ガスは膨張弁2fによって減圧・膨張されて低温・低圧の液化冷媒になり、エバポレータ2aに供給される。そして、エバポレータ2aでは、低温・低圧の液化冷媒の蒸発によってブロアユニット1から送り出された空気が冷却され、低温・低圧の液化冷媒は低温・低圧の冷媒ガスになり、その低温・低圧の冷媒ガスは圧縮機2bに戻され、所謂冷凍サイクルが構成されている。尚、圧縮器2b、クーリングファン2dは、乗員の空調スイッチ(図示省略)の操作を受けると、制御ユニット20によって圧縮機2bの電磁クラッチがオンオフ制御されて駆動されるとともに、クーリングファン2dのモータが制御されて駆動されるよう構成されている。
【0012】上記ヒータユニット3には、クーリングユニット2を通過した空気を加熱するヒータコア3aと、ヒータコア15に送り込まれる空気の量を調整するエアミックスドア3bとが備えられており、エアミックスドア3bは、制御ユニット20によって開閉制御されることによって冷却された空気と加熱された空気とを混合して温度調整した空気(以下、空調風と称する)を車室内に送り込むよう構成されている。
【0013】上記空調ダクト4には、上述の空調風を乗員の頭部及び上半身に向かって空調風を吹出すためのベント吹出口4aと、乗員の足元に向かって空調風を吹出すためのヒート吹出口4bと、フロントガラス等の窓ガラスに向かって空調風を吹出すためのデフロスタ吹出口4cとが備えられている。そして、空調ユニット10には、上記各吹出口4a〜4cから吹出される空調風量を調整するため、ベントドア5、ヒートドア6及びデフロスタドア7が備えられており、これらの各ドア5〜7は制御ユニット20によって開閉制御されるるよう構成されている。更に、空調ダクト4には、ヒータユニット3を介さずにクーリングユニット2で冷却された空気を直接ベント吹出口4aに導くことが可能な冷風バイパス8が備えられるとともに、この冷風バイパス8にはバイパスドア9が備えられており、このバイパスドア9は制御ユニット20によって開閉制御されるよう構成されている。
【0014】また、上記クーリングユニット2における冷凍サイクルには、更に、以下に示すように第2冷凍サイクルが構成されている。まず、上記コンデンサ2cに対してその容量が小さく構成される第2コンデンサ11aと、クーリングファン2dに対して小電力で駆動される、具体的には太陽電池40によって駆動される第2クーリングファン11bとから構成される第2凝縮器11と、太陽電池40によって駆動される電動式の第2圧縮器12とが追加されている。そして、第2凝縮器11は、コンデンサ2cとレシーバタンク2eとの間の冷媒通路2gに第1接続通路13を介して接続され、第2圧縮器12は、エバポレータ2aと圧縮機2bとの間の冷媒通路2gに第2接続通路14を介して接続され、かつ第2凝縮器11と第2圧縮機12とは第3接続通路15を介して接続されるよう構成されている。また、第1接続通路13の冷媒通路2gに対する接続箇所には、第1切換え弁16が配設されるとともに、第2接続通路14の冷媒通路2gに対する接続箇所には、第2切換え弁17が配設されている。以上の構成によって、第2圧縮機12、第2凝縮器11、第1切換え弁16、レシーバタンク2e、膨張弁2f、エバポレータ2a及び第2切換え弁17によって通常の冷凍サイクルとは別の第2冷凍サイクルが構成されている。
【0015】図2は、実施形態に関する制御ユニット20の詳細を示す制御ブロック図であり、以下、制御の概要を図2に基づいて説明する。制御ユニット20には、イグニッションスイッチの作動状態を検出するイグニッションスイッチ検出センサ18、車室内温度検出センサ19による検出信号が入力されるよう構成されており、そのイグニッションスイッチ検出センサ18によりエンジン停止状態(イグニッションスイッチオフ状態)が検出された時、エンジン停止状態を検出する停止検出手段20aと、該停止検出手段20aによりエンジン停止状態が検出され、かつ上記車室内温度検出センサ19により検出された車室内温度が所定温度α以上の時、第2クーリングファン11bと、第2圧縮機12とを太陽電池40によって駆動制御する駆動制御手段20bと、上記停止検出手段20aによりエンジン停止状態が検出され、かつ上記上記車室内温度検出センサ19により検出された車室内温度が所定温度α以上の時、第1切換え弁16と、第2切換え弁17とをそれぞれ第1接続通路13と冷媒通路2gとの連通が許容されよう切換えるとともに、第2接続通路14が冷媒通路2gとの連通が許容されるよう切換える切換え弁制御手段20cとが備えられている。
【0016】以下、図3のフローチャートに基づいて具体的制御内容について説明する。図3のステップS1において、イグニッションスイッチ検出センサ18、車室内温度センサ19による検出信号等各種検出信号が読込まれ、続く、ステップS2では、エンジン停止状態(イグニッションスイッチがオフ)か否か判定する。ステップS2でYESと判定された時、ステップS3に進み、車室内温度が所定温度α以上か否か判定する。ステップS3でYESと判定された時、つまり、エンジンが停止された状態で、かつ車室内温度が高い状態にあると判定された時は、炎天下における駐車時等車室内を冷房する必要がある状態と判定されるため、以降のステップS4〜S7において、車室内の冷房を行う。つまり、ステップS4では第1切換え弁16を、冷媒通路2gと第1接続通路13との連通が許容されるよう切換えるとともに、ステップS5では第2切換え弁17を、冷媒通路2gと接続通路14との連通が許容されるよう切換えられる。そして、ステップS6では、第2圧縮機12を太陽電池40によって駆動するとともに、ステップS7では第2クーリングファン11bを太陽電池40によって駆動する。尚、上記ステップS2或いはS3のいずれかでNOと判定された時は、第2冷凍サイクルによる冷房の必要性がないことから、ステップS8〜S11に進み、第1切換え弁16、第2切換え弁17を通常の冷凍サイクルが構成されるよう、切換えるとともに、第2圧縮機12、第2クーリングファン11bの駆動を停止する。
【0017】以上のように、本実施形態によれば、駐車時等車両用エンジン停止時は、小電力の太陽電池40によって第2圧縮機12、第2クーリングファン11bが駆動されるとともに、第1切換え弁16、第2切換え弁17が、第2圧縮機12及び第2凝縮器11とエバポレータ2aとの間において冷媒の循環が可能に切換えられるため、第2圧縮機12、第2凝縮器11及びエバポレータ2aの間において通常の冷凍サイクルとは別の第2冷凍サイクルが構成されることになり、通常の空調装置を利用した冷却効果の高い冷房を行うことができる。また、第2圧縮機12、第2凝縮器11は、小電力の太陽電池でも駆動可能な小型タイプとされるため、限られたエンジンルーム内における配置上有利である。
【0018】以上、本実施形態では、補助電源として太陽電池40を使用する例を示したが、その他主電源としてのバッテリ30よりも小容量の補助バッテリを使用するようにしてもよい。また、本実施形態では、車室内温度センサ19により検出された車室内温度が高い時、第2圧縮機12、第2凝縮器11による冷房を実行する例を示したが、その他、日射センサや外気温度センサ等に基づいて間接的に車室内温度を検出し、第2圧縮機12、第2凝縮器11による冷房を実行するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
【出願日】 平成14年3月14日(2002.3.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−267042(P2003−267042A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−69505(P2002−69505)