| 【発明の名称】 |
車両用換気装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】寺本 泰庸 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】川島 大一郎 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】大宮 好雅 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】小木曽 浩一 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】牛田 芳雄 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】山田 修平 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】バタフライ弁が開口周縁部へ当接する際の打音を低減するとともに、逆流防止性を向上させる。
【解決手段】バタフライ弁を JIS-A硬度70〜80,比重1.01〜1.28の特性をもつポリエーテル系熱可塑性ウレタンから形成した。バタフライ弁の比重が小さいため、閉時の運動エネルギーが小さくなり打音が抑制される。また硬度と比重のバランスがよいため、逆流防止性や通風効率にも優れている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口をもつダクト本体と、該開口を一方側から覆うように該ダクト本体に揺動自在に取付けられた弾性を有する軟質板状のバタフライ弁とからなり、該バタフライ弁が該開口の周縁部に当接することで該開口を閉じる車両用換気装置において、該バタフライ弁はポリエーテル系熱可塑性ウレタンから形成されていることを特徴とする車両用換気装置。 【請求項2】 前記バタフライ弁は JIS-A硬度70〜80,比重1.01〜1.28の特性をもつ請求項1に記載の車両用換気装置。 【請求項3】 前記バタフライ弁は厚さ 0.2〜 0.4mmに形成されてなる請求項1に記載の車両用換気装置。 【請求項4】 前記ポリエーテル系熱可塑性ウレタンの重量平均分子量は 100,000〜 200,000である請求項1に記載の車両用換気装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は自動車の換気装置として用いられ、軟質で弾性を有するバタフライ弁の揺動により開口を開いて換気を可能とするとともに、開口を閉じて外部からの異物の侵入を防止する車両用換気装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車においては、タバコの煙などにより車室内の空気が汚れた場合に、その空気を車室外に速やかに排出するために換気装置が必要である。またドアの開閉時やエアコン使用時などに車室内の気圧が変化するのを防止するためにも換気装置が必要である。このような換気装置としては、例えば図1及び図2に示すように、複数の開口11をもつ樹脂製のダクト本体1と、開口11を覆うように外側から揺動自在に取付けられたゴム製のバタフライ弁2とから構成された車両用換気装置が知られている。 【0003】この車両用換気装置では、一般にバタフライ弁2の上端部がダクト本体1に固定され、下端部が揺動するように構成されている。また開口11の開口面は鉛直方向に対して傾斜し、開口11の両側の気圧が同等の場合にはバタフライ弁2は自重により開口11の周縁部12及び開口11を縦断するリブ13に当接して開口11を閉じるように構成されている。 【0004】すなわちバタフライ弁2の自重をWとし、鉛直方向に対して傾斜する角度をθとすれば、平常時にはバタフライ弁2はW・ sinθの力と自身の弾性力との合力で開口11の周縁部12に押圧されている。なおバタフライ弁2は約 0.5mm程度の薄肉に形成されているので、その重量は小さくW・ sinθ及び弾性力の値はきわめて小さい。そして車室内の気圧が外気圧より高くなってW・ sinθと弾性力の合力を超えると、バタフライ弁2が揺動して開口11を開くため、車室内の空気を外部へ容易に排出することができる。一方、風が強い時や洗車時などに砂塵や水が開口11へ向かっても、W・ sinθにさらに風圧や水圧が加わるため、バタフライ弁2は開口11の周縁部に向かって押圧されて開口11を閉じる。したがって開口11から車室内への異物の侵入が防止されている。 【0005】ところが上記した従来の車両用換気装置においては、バタフライ弁2が開口11を閉じる際に、バタフライ弁2が開口11の周縁部12及びリブ13の表面に当接したときに打音が発生し、それが異音となって車室内の乗員に聞こえるという不具合があった。さらに条件によってはバタフライ弁2にばたつきが発生し、それによって打音がさらに耳障りとなる場合もある。 【0006】このような不具合を防止するには、バタフライ弁2と開口11の周縁部12の少なくとも一方にフェルトなどの緩衝材を貼着することが有効である。しかしながらフェルトなどの緩衝材を用いると、部品点数が増加するためにコストアップになるという問題がある。 【0007】また従来の車両用換気装置においては、バタフライ弁2の塑性変形などによりバタフライ弁2と開口11の周縁部12との密着性が低下し隙間が生じることによって、砂塵や水などの異物が車室内に侵入する逆流を防止することが困難となり、逆流防止性が低下する場合があった。 【0008】そこで特開平7-167320号公報には、バタフライ弁を可撓性エラストマからなるシートと比較的剛性のストリップとから形成した複要素フラップが開示されている。このような構成とすることで、バタフライ弁の初期のそり、あるいは長期使用後の変形を防止することができる。しかしこの構成では、シートとストリップとが必要となるために、部品点数が多いという不具合が避けられない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、緩衝材あるいはストリップなどを用いることなく、バタフライ弁が開口周縁部へ当接する際の打音を低減するとともに、逆流防止性を向上させることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の車両用換気装置の特徴は、開口をもつダクト本体と、開口を一方側から覆うようにダクト本体に揺動自在に取付けられた弾性を有する軟質板状のバタフライ弁とからなり、バタフライ弁が開口の周縁部に当接することで開口を閉じる車両用換気装置において、バタフライ弁はポリエーテル系熱可塑性ウレタンから形成されていることにある。 【0011】上記車両用換気装置において、バタフライ弁は JIS-A硬度70〜80,比重1.01〜1.28の特性をもつことが望ましく、厚さ 0.2〜 0.4mmに形成されていることがさらに望ましい。またポリエーテル系熱可塑性ウレタンの重量平均分子量は 100,000〜 200,000であることが望ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の車両用換気装置では、ポリエーテル系熱可塑性ウレタン(以下、TPUという)から形成されたバタフライ弁を用いている。このバタフライ弁は、従来用いられているEPDMなどのゴムに比べて比重が小さいために閉時の運動エネルギーが小さくなり、バタフライ弁が開口周縁部に当接する際の衝突エネルギーが小さくなるため打音を抑制することができる。なおポリエステル系熱可塑性ウレタンでから形成されたバタフライ弁は、耐水性に劣るため自動車用には適さない。 【0013】またTPU製のバタフライ弁は、従来用いられているEPDMなどのゴム製のものに比べて小さな圧力変動で揺動するため、通風効率が向上する。そして詳細な理由は不明であるが、TPOなどから形成されたバタフライ弁に比べてバタフライ弁と開口周縁部の密着性が向上し、逆流防止性が向上する。この理由としては、硬度と比重とのバランスがよいこと、柔軟性に優れることなどが考えられる。 【0014】本発明に用いられるバタフライ弁は、 JIS-A硬度70〜80,比重1.01〜1.28の特性をもつことが望ましい。バタフライ弁の JIS-A硬度が70未満では逆流防止性が低下し、 JIS-A硬度が80を超えると通風効率が低下する。また比重が1.01より小さくなるとばたつきが発生しやすくなり、比重が1.28を超えると打音が目立つようになる。 【0015】本発明に用いられるバタフライ弁は、厚さ 0.2〜 0.4mmに形成されていることが望ましい。厚さが 0.2mmより薄いとばたつきが発生しやすくなり、厚さが 0.4mmを超えると打音が目立つようになる。 【0016】さらに本発明のバタフライ弁を形成しているポリエーテル系熱可塑性ウレタンは、重量平均分子量が 100,000〜 200,000であることが望ましい。分子量がこの範囲であれば、硬度と比重における上記特性値が容易に満足される。 【0017】ダクト本体はポリオレフィン、ABSなどの硬質樹脂から形成することができ、開口をもつものであればその形状は問わず従来と同様の形状とすることができる。またバタフライ弁は、上記特性を有するTPUからシート状に形成したものを打ち抜きなどにより板状とすれば、きわめて安価に製造することができる。 【0018】そしてバタフライ弁をダクト本体に揺動可能に取付ける方法には特に制限がないが、ダクト本体に設けられた突起をバタフライ弁に設けられた貫通孔に挿通し、突出した突起先端を溶融させて加締める熱カシメ法で行うのが単純で容易である。 【0019】 【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。 【0020】(実施例1)図1及び図2に本発明の一実施例の車両用換気装置であるダクトクォータベントを示す。このダクトクォータベントは、従来の技術で説明したものと構造的には同一のものであり、タルクを20重量%含有するポリプロピレン製のダクト本体1と、ダクト本体1に揺動自在に取付けられたTPU製のバタフライ弁2とから構成されている。 【0021】ダクト本体1は、車体に結合されるフランジ基部10と、フランジ基部10に形成された3つの開口11とから構成されている。フランジ基部10には内気流入通路となる図示しない垂直筒部が結合され、開口11は内気流入通路の出口側に形成されている。また開口11を縦断するリブ13が形成され、リブ13の表面は周縁部12の表面と同一平面を構成している。そして開口11の周縁部12の表面及びリブ13の表面は、それぞれフランジ基部10の開口面に対して30度傾斜している。 【0022】バタフライ弁2は、前記開口11の開口面より大きな面積をもち、厚さ 0.2〜 0.4mmの板状に形成されている。そしてその上端が開口11の上部に熱カシメ法により固定され、下端が揺動可能となっている。このバタフライ弁2は、重量平均分子量が 150,000のポリエーテル系熱可塑性ウレタン製シート(品名「 OPU-78N」オカモト(株)製)から打ち抜きにより形成され、厚さ 0.2〜 0.4mm, JIS-A硬度70〜80,比重1.09〜1.10の特性を備えている。 【0023】上記のように構成された本実施例のダクトクォータベントでは、通常状態ではバタフライ弁2は自重及び弾性により開口11の周縁部12及びリブ13の表面に圧接され、開口11を閉じている。そして車室内の圧力が外気より僅かに高くなると、その圧力は内気流入通路を介してバタフライ弁2に伝わり、バタフライ弁2は周縁部12及びリブ13から離れる方向へ揺動して開口11を開く。これにより車室内は外部と連通され、図2の矢印で示すように、内気は図示しない垂直筒部を通り内気流入通路から開口11を通過して外部へ円滑に排出される。 【0024】一方、洗車時や強風時に水圧や風圧が外部よりバタフライ弁2に作用すると、バタフライ弁2はその圧力により周縁部12及びリブ13に押圧されて開口11を閉じる。これにより車室内に水や外気が侵入するのが防止される。 【0025】本実施例のダクトクォータベントを評価試験装置に配置し、開口11の両側の風量を 100m3/hr〜 150m3/hrの間で変化させる試験条件下において、打音、逆流防止性、通風効率、ばたつき程度を測定し、結果を表1に示す。なお打音は人間の聴覚で評価した。また逆流防止性は、バタフライ弁2の下端と開口11の周縁部12との間の隙間の有無を目視により評価した。通風効率は、上記風量を流すときの圧力を測定することにより評価した。そしてばたつきの発生程度は、目視と聴覚により評価した。 【0026】(実施例2)バタフライ弁2を厚さ 0.3mmのTPU製シート(「モビロンフィルム MF300-T」日清紡績(株)製)から打ち抜きにより形成したこと以外は実施例1と同様にしてダクトクォータベントを製造し、同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。なおこのバタフライ弁2は、 JIS-A硬度78,比重1.28の特性を備えている。 【0027】(比較例1)バタフライ弁2を厚さ 0.3〜 0.5mmのEPDM製シート(品名「 ENK-600」クレハエラストマー(株)製)から打ち抜きにより形成したこと以外は実施例1と同様にしてダクトクォータベントを製造し、同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。なおこのバタフライ弁2は、 JIS-A硬度55,比重1.25の特性を備えている。 【0028】(比較例2)バタフライ弁2を厚さ 0.2〜 0.4mmのTPO製シート(弘進ゴム(株)製)から打ち抜きにより形成したこと以外は実施例1と同様にしてダクトクォータベントを製造し、同様にして評価試験を行った。結果を表1に示す。なおこのバタフライ弁2は、 JIS-A硬度60〜70,比重0.90〜1.00の特性を備えている。 【0029】<評価>【0030】 【表1】
【0031】表1より、比較例1のEPDM製のバタフライ弁をもつ従来のダクトクォータベントでは、打音と逆流防止性及びばたつきの性能に劣り、比較例2のTPO製のバタフライ弁をもつダクトクォータベントでは、通風効率は高いものの逆流防止性に劣っている。しかし実施例1及び実施例2のTPU製のバタフライ弁をもつダクトクォータベントでは、通風効率とばたつきの点で比較例2より僅かに劣るものの、全ての性能が良好であった。 【0032】 【発明の効果】すなわち本発明の車両用換気装置によれば、バタフライ弁が開口を閉じる際に発生する打音をフェルトなどの緩衝材を用いることなく低減することができ、またストリップなどを用いることなく逆流防止性が満足される。したがってコストの増大を抑制しつつ、車室内の静粛性が向上し安定した換気機能が発現される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000241463 【氏名又は名称】豊田合成株式会社 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地
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| 【出願日】 |
平成14年3月13日(2002.3.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2003−267040(P2003−267040A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−69130(P2002−69130) |
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