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【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】鬼頭 和雄
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】長沢 聡也
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】車室内の湿度が高くなって窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力を高めることのできる車両用空調装置を提供する。

【解決手段】車室内の湿度を検出する湿度センサ39を設けると共に、エアコンECU5は、湿度センサ39によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度TEOを低く可変する。これにより、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変され、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調ダクト(10)内に設けられたエバポレータ(9)と、前記エバポレータ(9)、膨張弁(8)、コンデンサ(6)と共に冷凍サイクルを構成するコンプレッサ(1)とを有し、前記エバポレータ(9)後流の温度を検出するエバポレータ後温度検出手段(32)と、少なくとも車室内温度、外気温度、日射量からなる環境条件を考慮して所望する空調状態となるよう空調装置を制御する空調装置制御手段(5)とを備え、前記空調装置制御手段(5)は、外気温度に応じて中間温度で高く低温もしくは高温では低くなる特性パターンから前記エバポレータ(9)の第1の目標エバポレータ後温度(TEO)を設定する第1のエバポレータ後温度設定手段と、冷房負荷が大きい場合には低く冷房負荷が小さい場合には高くなる特性パターンから前記エバポレータ(9)の第2の目標エバポレータ後温度(TEO)を設定する第2のエバポレータ後温度設定手段と、前記エバポレータ後温度検出手段(32)によって検出された前記エバポレータ(9)後流の温度が所定値以上である場合に、前記第1のエバポレータ後温度設定手段によって設定された第1の目標エバポレータ後温度(TEO)と、前記第2のエバポレータ後温度設定手段によって設定された第2の目標エバポレータ後温度(TEO)とを比較して低い方の目標エバポレータ後温度(TEO)を制御目標として設定する目標エバポレータ後温度設定手段とを持つ車両用空調装置において、車室内の湿度を検出する車室内湿度検出手段(39)を設けると共に、前記空調装置制御手段(5)は、前期車室内湿度検出手段(39)によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、前記目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度(TEO)を低く可変することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 空調ダクト(10)内に設けられたエバポレータ(9)と、前記エバポレータ(9)、膨張弁(8)、コンデンサ(6)と共に冷凍サイクルを構成し、可変容量機構により容量が可変する容量可変コンプレッサ(1)とを有し、前記エバポレータ(9)後流の温度を検出するエバポレータ後温度検出手段(32)と、少なくとも車室内温度、外気温度、日射量からなる環境条件を考慮して所望する空調状態となるよう空調装置を制御する空調装置制御手段(5)とを備え、前記空調装置制御手段(5)は、外気温度に応じて中間温度で高く低温もしくは高温では低くなる特性パターンから前記エバポレータ(9)の第1の目標エバポレータ後温度(TEO)を設定する第1のエバポレータ後温度設定手段と、冷房負荷が大きい場合には低く冷房負荷が小さい場合には高くなる特性パターンから前記エバポレータ(9)の第2の目標エバポレータ後温度(TEO)を設定する第2のエバポレータ後温度設定手段と、前記エバポレータ後温度検出手段(32)によって検出された前記エバポレータ(9)後流の温度が所定値以上である場合に、前記第1のエバポレータ後温度設定手段によって設定された第1の目標エバポレータ後温度(TEO)と、前記第2のエバポレータ後温度設定手段によって設定された第2の目標エバポレータ後温度(TEO)とを比較して低い方の目標エバポレータ後温度(TEO)を制御目標として設定する目標エバポレータ後温度設定手段と前記目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度(TEO)に従って前記容量可変コンプレッサ(1)の可変容量値(Duty)を設定する可変容量値設定手段とを持つ車両用空調装置において、車室内の湿度を検出する車室内湿度検出手段(39)を設けると共に、前記空調装置制御手段(5)は、前期車室内湿度検出手段(39)によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、前記可変容量値設定手段で設定した可変容量値(Duty)を大きく可変することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】 前記空調装置制御手段(5)は、前記車室内湿度検出手段(39)によって検出される車室内湿度の替わりに、車両の雨滴対応機器(40、41)が所定条件以上で作動する場合、その作動信号に対応して前記目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度(TEO)を低く可変する、もしくは前記可変容量値設定手段で設定した可変容量値(Duty)を大きく可変することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍サイクルを用いて車室内に吹き出す空調風の温度等、空調能力を自動制御可能な車両用空調装置に関し、特に車両のウインドウを防曇するための制御に関する。
【0002】
【従来の技術】図11及び図12のグラフは、従来の目標エバポレータ後温度TEOを決定する条件を示すものである。図11では、横軸の外気温度に応じて目標エバポレータ後温度TEOを設定している。具体的に図示した実施例では、17〜30℃の中間温度では目標エバポレータ後温度TEOを12℃と高くし、8℃以下の低温もしくは35℃以上の高温では目標エバポレータ後温度TEOを3℃と低くしている。
【0003】また、図12では、車室内温度、外気温度、日射量等からなる環境条件を考慮して所望する空調状態とするための目標吹出温度TAOが演算されたらそれを横軸に取り、その冷房負荷に反比例する目標吹出温度TAOに応じて目標エバポレータ後温度TEOを設定している。
【0004】具体的に図示した実施例では、冷房負荷が小さく目標吹出温度TAOが20℃以上と高い場合には目標エバポレータ後温度TEOを12℃と高くし、冷房負荷が大きく目標吹出温度TAOが2℃以下と低い場合には目標エバポレータ後温度TEOを3℃と低くしている。また、目標吹出温度TAOが2〜20℃の中間域では図12に示すようなヒステリシスを持たせている。
【0005】そして、エバポレータ後センサによって検出されるエバポレータ後流の実温度が所定値以上である場合、図11の外気温度条件から設定される目標エバポレータ後温度TEOと、図12の目標吹出温度TAOから設定される目標エバポレータ後温度TEOとを常に比較して、低い方の目標エバポレータ後温度TEOを目標温度として制御が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の温度制御では、春や秋等の中間時期では上記のいずれの条件でも目標エバポレータ後温度TEOが高くなり、あまり空調空気を冷やさない状態で温度コントロールが行われるため、雨天時等で高湿度となった場合に必要な除湿が行われず、窓曇りが発生する可能性がある。特に、可変容量コンプレッサを用いている場合、目標エバポレータ後温度TEOが高い場合には可変容量を絞って運転するため、必要な除湿効果が得られない可能性が高い。
【0007】本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、車室内の湿度が高くなって窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力を高めることのできる車両用空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。請求項1記載の発明では、車室内の湿度を検出する車室内湿度検出手段(39)を設けると共に、空調装置制御手段(5)は、車室内湿度検出手段(39)によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度(TEO)を低く可変することを特徴とする。これにより、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【0009】請求項2記載の発明では、車室内の湿度を検出する車室内湿度検出手段(39)を設けると共に、空調装置制御手段(5)は、車室内湿度検出手段(39)によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、可変容量値設定手段で設定した可変容量値(Duty)を大きく可変することを特徴とする。これによっても、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【0010】請求項3記載の発明では、空調装置制御手段(5)は、車室内湿度検出手段(39)によって検出される車室内湿度の替わりに、車両の雨滴対応機器(40、41)が所定条件以上で作動する場合、その作動信号に対応して目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度(TEO)を低く可変する、もしくは可変容量値設定手段で設定した可変容量値(Duty)を大きく可変することを特徴とする。
【0011】ここでいう車両の雨滴対応機器(40、41)とは車両フロントウインドウに取り付けられた雨滴センサ(40)や車両のワイパ(41)等である。そして、これらが所定条件以上で作動する場合とは、雨滴センサ(40)が雨滴を検出する信号が所定値以上で続く場合や、ワイパ(41)が所定時間以上連続して作動する場合等で、降雨状態であると判断でき、車室内の湿度が高くなって窓曇りが発生し易い条件といえる。よって、この条件の時に自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【0012】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わる車両用空調装置の全体システム構成図である。車両用空調装置の冷凍サイクルRには冷媒を吸入、圧縮、吐出するコンプレッサ1が備えられている。尚、このコンプレッサ1は、可変容量機構により圧縮容量が可変する容量可変コンプレッサ1となっており、制御弁33で圧縮容量を制御している。また、この制御弁33は空調装置制御手段であるエアコンECU5により制御されている。
【0014】コンプレッサ1は動力断続用の電磁クラッチ2を有し、コンプレッサ1には電磁クラッチ2及びベルト3を介して車両エンジン4の動力が伝達される。電磁クラッチ2への通電はエアコンECU5により断続され、電磁クラッチ2が通電されて接続状態になると、コンプレッサ1は運転状態となる。これに反し、電磁クラッチ2の通電が遮断されて開離状態になると、コンプレッサ1は停止する。
【0015】コンプレッサ1から吐出された高温、高圧のガス冷媒はコンデンサ6に流入し、ここで、図示しない冷却ファンより送風される外気冷却風と熱交換して冷媒は冷却されて凝縮する。このコンデンサ6で凝縮した冷媒は次にレシーバ7に流入し、レシーバ7の内部で冷媒の気液が分離され、冷凍サイクルR内の余剰冷媒(液冷媒)がレシーバ7内に蓄えられる。
【0016】このレシーバ7からの液冷媒は膨張弁(減圧手段)8により低圧に減圧され、低圧の気液2相状態となる。この膨張弁8からの低圧冷媒はエバポレータ(冷房用熱交換器)9に流入する。このエバポレータ9は車両用空調装置の空調ケース(空調ダクト)10内に設置され、エバポレータ9に流入した低圧冷媒は空調ケース10内の空気から吸熱して蒸発する。エバポレータ9の出口はコンプレッサ1の吸入側に結合され、上記したサイクル構成部品によって閉回路を構成している。
【0017】空調ケース10において、エバポレータ9の上流側には送風手段としてのブロワ11が配置され、ブロワ11には遠心式送風ファン12とブロワモータ13が備えられている。送風ファン12の吸入側には内外気切替手段としての内外気切替箱14が配置され、この内外気切替箱14内の内外気切替ドア14aにより外気導入口14bと内気導入口14cを開閉する。これにより、内外気切替箱14内に外気(車室外空気)又は内気(車室内空気)が切替導入される。内外気切替ドア14aは電気駆動装置としてのサーボモータ14eにより駆動される。
【0018】次に、空調装置通風系のうち、ブロワ11下流側に配置される空調ユニット15部は、通常、車室内前部の計器盤内側において、車両幅方向の中央位置に配置され、ブロワ11部は空調ユニット15部に対して助手席側にオフセット配置されている。
【0019】空調ケース10内でエバポレータ9の下流側には、エアミックス(A/M)ドア19が配置されており、エアミックスドア19の下流側には、車両エンジン4の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア(暖房用熱交換器)20が設置されている。そして、この温水式ヒータコア20の側方(上方部)には、温水式ヒータコア20をバイパスして空気(冷風)を流すバイパス通路21が形成されている。
【0020】エアミックスドア19は、温水式ヒータコア20を通過する温風とバイパス通路21を通過する冷風との風量割合を調節するものであって、この冷温風の風量割合の調節により車室内への吹出空気温度を調節する。すなわち、本例においては、エアミックスドア19により車室内への吹出空気の温度調節手段が構成されている。尚、エアミックスドア19は図1に示す電気駆動装置としてのサーボモータ22により駆動される。
【0021】温水式ヒータコア20の下流側には下側から上方へ延びる温風通路23が形成され、この温風通路23からの温風とバイパス通路21からの冷風が空気混合部24付近で混合して、所望温度の空気を作り出すことができる。更に、空調ケース10内で、空気混合部24の下流側に吹出モード切替部が構成されている。
【0022】すなわち、空調ケース10の上面部にはデフロスタ開口部25が形成され、このデフロスタ開口部25は図示しないデフロスタダクトを介して車両フロントガラス内面に空気を吹き出すものである。デフロスタ開口部25は、回動自在な板状のデフロスタドア26により開閉される。
【0023】また、空調ケース10の上面部で、デフロスタ開口部25より車両後方側の部位にフェイス開口部27が形成され、このフェイス開口部27はフェイスダクトを介して車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すものである。フェイス開口部27は回動自在な板状のフェイスドア28により開閉される。
【0024】また、空調ケース10において、フェイス開口部27の下側部位にフット開口部29が形成され、このフット開口部29は図示しないフットダクトを介して車室内乗員の足元に向けて空気を吹き出すものである。フット開口部29は回動自在な板状のフットドア30により開閉される。上記した吹出モードドア26、28、30は共通のリンク機構(図示せず)に連結され、このリンク機構を介して電気駆動装置としてのサーボモータ31により駆動される。
【0025】次に、本実施形態における電気制御部の概要を説明する。車両には車室内空気温度Trを検出する内気温度検出手段としての温度センサ35aと、車室外空気温度Tamを検出する外気温度検出手段としての温度センサ35bが設けられている。また、空調ケース10内のエバポレータ9の空気吹出直後の部位には、エバポレータ後温度Teを検出するエバポレータ後温度検出手段としてのエバポレータ後センサ32が設けられている。
【0026】前記したエアコンECU5には、上記した各温度センサ32、35a、35bの他にも空調制御のために、日射量Tsを検出する日射センサ35c、冷却水温度Twを検出する冷却水温センサ35d等周知のセンサ群35から検出信号が入力される。また、車室内計器盤近傍に設置されるエアコン操作パネル36には乗員により手動操作される操作スイッチ群37が備えられ、この操作スイッチ群37の操作信号もエアコンECU5に入力される。
【0027】この操作スイッチ群37としては、温度設定信号Tsetを発生する温度設定スイッチ37a、風量切替信号を発生する風量スイッチ37b、吹出モード信号を発生する吹出モードスイッチ37c、内外気切替信号を発生する内外気切替スイッチ37d、コンプレッサ1のオンオフ信号を発生するエアコンスイッチ37e等が設けられている。吹出モードスイッチ37cにより、周知の吹出モードであるフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモードの各モードがマニュアル操作で切り替えられる。
【0028】エアコンECU5はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものである。エアコンECU5は、電磁クラッチ2によるコンプレッサ断続制御部、内外気切替ドア14aによる内外気吸込制御部、ブロワ11の風量制御部、エアミックスドア19による温度制御部、吹出口25、27、29の切替による吹出モード制御部等を有している。
【0029】更に、エアコンECU5はエンジンECUを含む車両ECU38に接続されており、車両ECU38からエアコンECU5には車両エンジン4の回転数信号、車速信号等が入力される。
【0030】本実施形態の特徴構成として、車室内の湿度を検出する車室内湿度検出手段としての湿度センサ39を備えており、エアコンECU5に入力している。また、車両には雨滴対応機器として車両フロントウインドウに雨滴センサ40とワイパ41が備えられており、雨滴センサ40で検出する雨滴情報が車両ECU38に入力され、降雨時には車両ECU38からの出力でワイパ41が自動的に作動するようになっている。
【0031】次に、エアコンECU5による制御方法を図2に基づいて説明する。ここで図2は、エアコンECU5の制御プログラムの一例を示したフローチャートである。まず、イグニッションスイッチがONされてエアコンECU5に直流電源が供給されると、予めROMに記憶されている制御プログラム(図2のルーチン)の実行が開始される。
【0032】この時に、エアコンECU5内部のマイクロコンピュータに内蔵されたデータ処理用メモリ(RAM)の記憶内容等の初期化を行う(ステップS1)。次に、各種データをデータ処理用メモリ(RAM)に読み込む。即ち、エアコン操作パネル36上の各種操作スイッチ群37からのスイッチ信号や各種センサ群35からのセンサ信号を入力する(ステップS2)。
【0033】特に、内気温センサ35aの検出値である車室内温度に対応した出力信号Tr、外気温センサ35bの検出値である外気温に対応した出力信号Tam、日射センサ35cの検出値である日射量に対応した出力信号Ts、エバポレータ後センサ32の検出値であるエバポレータ後流温度に対応した出力信号Te、冷却水温センサ35dの検出値である冷却水温に対応した出力信号Twを入力する次に、上記のような入力データ及び記憶している演算式に基づいて、目標吹出温度TAOを演算し、その目標吹出温度TAOと外気温度Tamから目標エバポレータ後温度TEOを演算する(ステップS3)。この部分は本発明の要部であるため、詳細は後述する。
【0034】次に、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOに基づいてブロワ11風量、すなわちブロワモータ13に印加するブロワ制御電圧VAを演算する(ステップS4)。次に、上記のような入力データ及び記憶している演算式に基づいて、エアミックスドア19のエアミックス開度SW(%)を演算する(ステップS5)。次に、目標吹出温度TAOと車室内へ吹き出す空気流の吹出モードとの関係を表す吹出モードパターンデータに基づき、ステップS3で求めた目標吹出温度TAOから吹出モードを決定する(ステップS6)。
【0035】次に、ステップS3で決定した目標エバ後温度TEOとエバポレータ後センサ32の検出値である実際のエバポレータ後流温度Teとが一致するように、フィードバック制御(PI制御)にてコンプレッサ1の目標吐出量を決定する(ステップS7)。具体的には、コンプレッサ1に付設された電磁式容量制御弁33の電磁ソレノイドに供給する制御電流の目標値となるソレノイド電流(制御電流:In)を、記憶している演算式に基づいて演算する。
【0036】次に、ステップS4で決定されたブロワ制御電流VAとなるように風量制御部に制御信号を出力する(ステップS8)。次に、ステップS5で決定されたエアミックス開度SWとなるようにサーボモータ22に制御信号を出力する(ステップS9)。
【0037】次に、ステップS6で決定された吹出口モードとなるようにサーボモータ31に制御信号を出力する(ステップS10)。次に、ステップS7で決定されたソレノイド電流(制御電流:In)をコンプレッサ1に付設された電磁式容量制御弁33の電磁ソレノイドに出力する(ステップS11)。その後にステップS2の制御処理に戻る。
【0038】次に、本発明の要部である車両ウインドウを防曇するための制御について述べる。図3は、図2のフローチャート中で目標吹出温度演算のステップS3を更に詳細に説明するフローチャートである。まず、ステップS2で読み込んだ入力データ及び記憶している演算式に基づいて、目標吹出温度TAOを演算する(ステップS31)。次に、その目標吹出温度TAOと外気温度Tamから目標エバポレータ後温度TEOを演算する(ステップS32)。
【0039】図11及び図12のグラフは、その目標エバポレータ後温度TEOを決定する条件を示すものである。図11では、横軸の外気温度Tamに応じて目標エバポレータ後温度TEOを設定している。具体的に図示した実施例では、17〜30℃の中間温度では目標エバポレータ後温度TEOを12℃と高くし、8℃以下の低温もしくは35℃以上の高温では目標エバポレータ後温度TEOを3℃と低くしている。
【0040】また、図12では、ステップS31で算出した目標吹出温度TAOを横軸に取り、その冷房負荷に反比例する目標吹出温度TAOに応じて目標エバポレータ後温度TEOを設定している。
【0041】具体的に図示した実施例では、冷房負荷が小さく目標吹出温度TAOが20℃以上と高い場合には目標エバポレータ後温度TEOを12℃と高くし、冷房負荷が大きく目標吹出温度TAOが2℃以下と低い場合には目標エバポレータ後温度TEOを3℃と低くしている。また、目標吹出温度TAOが2〜20℃の中間域では図12に示すようなヒステリシスを持たせている。
【0042】そして、エバポレータ後センサ32によって検出されるエバポレータ9後流の実温度が所定値以上である場合、図11の外気温度条件から設定される目標エバポレータ後温度TEOと、図12の目標吹出温度TAOから設定される目標エバポレータ後温度TEOとを常に比較して、低い方の目標エバポレータ後温度TEOを目標温度として設定している。
【0043】次に、湿度センサ39によって検出される車室内湿度に対応した信号を取り込み(ステップS33)、その車室内湿度が所定値以上である場合に、ステップS32で設定した目標エバポレータ後温度TEOを低く可変する(ステップS34)ものである。
【0044】図4〜8は、具体的な実施例として目標エバポレータ後温度TEOを可変する一例を示すグラフである。まず図4は、目標エバポレータ後温度TEOを可変する場合の変化分△TEOを決めるグラフである。車室内湿度が80%以上で高湿の場合は目標エバポレータ後温度TEOを−6℃低くし、60%以下で低湿の場合は変化分0で目標エバポレータ後温度TEOは変えない。また、60〜80%の間は−3〜−6℃で可変するものである。
【0045】図5は、上述の図11に対応するもので、外気温度の中間温度域で目標エバポレータ後温度TEOを高くして除湿能力が不足する可能性のある部分を、図4で導き出される変化分△TEOだけ低く可変するものである。また、図6に示すように、車室内湿度が所定値以上である場合は、外気温度に関係なく一律目標エバポレータ後温度TEOを3℃と低く可変するものであっても良い。
【0046】図7は、上述の図12に対応するもので、目標吹出温度TAOが高く目標エバポレータ後温度TEOも高くなって除湿能力が不足する可能性のある部分を、図4で導き出される変化分△TEOだけ低く可変するものである。また、図8に示すように、目標エバポレータ後温度TEOの低い範囲が多くなるように横軸の目標吹出温度TAOに対する目標エバポレータ後温度TEOの変化点も同時に可変しても良い。
【0047】次に、本実施形態での特徴と効果を述べる。車室内の湿度を検出する湿度センサ39を設けると共に、エアコンECU5は、湿度センサ39によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度TEOを低く可変している。これにより、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【0048】(第2実施形態)本実施形態の要部である車両ウインドウを防曇するための制御は、第1実施形態と同じく図3のフローチャートに沿って行われる。但し、第1実施形態と異なるのは、ステップS34で目標エバポレータ後温度TEOを可変するのではなくコンプレッサ1の圧縮容量を可変という点である。図9、10は、車室内湿度によって圧縮容量を可変する場合の、可変容量値Duty可変方法の一例を示すグラフである。
【0049】通常、図2のフローチャートのステップS7では、冷媒圧力から可変容量値Dutyを0〜100%(図9中の一点鎖線)の範囲で決めて稼動しているのに対し、車室内が高湿である場合には例えば80〜100%(図9中の実線)の範囲で決めるようにしている。そして、図10に示すように、車室内が高湿である間、図9で導き出される可変容量値Dutyに上げて稼動するようにしている。もちろん、車室内が高湿である間、冷媒圧力に関係なく可変容量値Dutyを100%に上げて稼動するようにしても良い。
【0050】次に、本実施形態での特徴と効果を述べる。車室内の湿度を検出する湿度センサ39を設けると共に、エアコンECU5は、湿度センサ39によって検出された車室内湿度が所定値以上である場合に、可変容量値設定手段で設定した可変容量値Dutyを大きく可変している。これによっても、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【0051】(第3実施形態)本実施形態の要部である車両ウインドウを防曇するための制御は、第1、2実施形態と同じく図3のフローチャートに沿って行われる。但し、第1、2実施形態と異なるのは、ステップS33で車室内の湿度情報ではなく車両ECUからの雨情報を入力する点である。
【0052】ここで車両ECUから雨情報とは、車両の雨滴対応機器である車両フロントウインドウに取り付けられた雨滴センサ40や車両のワイパ41等が所定条件以上で作動しているという情報、つまり雨滴センサ40で雨滴を検出する信号が所定値以上で続く場合や、ワイパ41が所定時間以上連続して作動する場合等で、降雨状態であると判断できる。そして、ステップS34で目標エバポレータ後温度TEOを可変するか、もしくはコンプレッサ1の圧縮容量を可変するものであり、雨情報が入力される間可変を行う。
【0053】次に、本実施形態での特徴と効果を述べる。エアコンECU5は、湿度センサ39によって検出される車室内湿度の替わりに、車両の雨滴対応機器40、41が所定条件以上で作動する場合、その作動信号に対応して目標エバポレータ後温度設定手段で設定した目標エバポレータ後温度TEOを低く可変するか、もしくは可変容量値設定手段で設定した可変容量値Dutyを大きく可変している。
【0054】これによっても、車室内の湿度が高く窓曇りが発生し易い条件時に、自動で除湿能力が高くなるよう可変されるため、窓曇りを未然に防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成14年3月19日(2002.3.19)
【代理人】 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
【公開番号】 特開2003−267025(P2003−267025A)
【公開日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願番号】 特願2002−75583(P2002−75583)