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【発明の名称】 車両用冷暖房装置
【発明者】 【氏名】岩波 重樹
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】鈴木 康
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】山中 康司
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】小川 幸男
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】多田 世史紀
【住所又は居所】愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会社日本自動車部品総合研究所内

【要約】 【課題】アイドルストップ車両において、一年を通して冷房、暖房ともに機能し、且つ安価に対応できる車両用冷暖房装置を提供する。

【解決手段】走行中に一時停車した時に、エンジン10が停止される車両に適用され、エンジン10の駆動力を受けて作動する圧縮機111を有する冷房装置110と、エンジン10の駆動力を受けて作動する機械式ポンプ11によって冷却水が循環される暖房装置120とから成る車両用冷暖房装置において、1つのモータ210によって作動される圧縮機部220およびポンプ部230と、このモータ210の作動を制御する制御装置130とを設ける。そして、エンジン10が停止した場合でも、制御装置130によって、冷房装置110作動時には圧縮機部220が作動するようにモータ210を駆動させ、暖房装置120作動時にはポンプ部230が作動するようにモータ210を駆動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行中に一時停車した時に、エンジン(10)が停止される車両に適用されるものであって、前記エンジン(10)の駆動力を受けて作動する圧縮機(111)によって冷媒を圧縮した後、凝縮、膨張、蒸発させて空気を冷却する冷房装置(110)と、前記エンジン(10)の駆動力を受けて作動する機械式ポンプ(11)によって循環される冷却水を熱源として空気を加熱する暖房装置(120)とを有する車両用冷暖房装置において、1つのモータ(210)によってそれぞれ作動されると共に、前記冷媒を圧縮する圧縮機部(220)および前記冷却水を循環させるポンプ部(230)と、前記モータ(210)の作動を制御する制御装置(130)とを設け、前記制御装置(130)は、前記冷房装置(110)作動時に前記エンジン(10)が停止した場合、前記圧縮機部(220)が作動するように前記モータ(210)を駆動させ、前記暖房装置(120)作動時に前記エンジン(10)が停止した場合、前記ポンプ部(230)が作動するように前記モータ(210)を駆動させるようにしたことを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項2】 前記圧縮機部(220)は、前記圧縮機(111)に対して並列になるように前記冷房装置(110)内に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項3】 前記ポンプ部(230)は、前記機械式ポンプ(11)に対して直列になるように前記暖房装置(120)内に配設されたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項4】 前記モータ(210)の一方向回転時に、前記圧縮機部(220)が正常圧縮作動し、前記ポンプ部(230)は非作動となり、また、前記モータ(210)の逆方向回転時に、前記ポンプ部(230)が正常吐出作動し、前記圧縮機部(220)は非作動となるようにし、前記制御装置(130)は、前記冷房装置(110)および前記暖房装置(120)の作動状況に応じて、前記モータ(210)を一方向あるいは逆方向に回転制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項5】 前記圧縮機部(220)および前記ポンプ部(230)は、前記モータ(210)の回転軸(211)の両端側にそれぞれ設けられるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項6】 前記圧縮機部(220)と前記モータ(210)間には、冷媒洩れ防止用の軸封装置(240)が設けられ、前記ポンプ部(230)は、前記モータ(210)から磁気カップリング(250)を介して回転作動するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項7】 前記圧縮機部(220)と前記モータ(210)間には、一方向クラッチ(260)が設けられたことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項8】 前記圧縮機部(220)は、一方向回転時のみ正常圧縮作動する回転型圧縮機部(220)としたことを特徴とする請求項4〜項求項6のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項9】 前記圧縮機部(220)は、逆方向回転時に圧縮室(221)が開放される開放機構(222)を有することを特徴とする請求項8に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項10】 前記圧縮機部(220)は、スクロール式圧縮機部(220)であり、前記開放機構(222)は、半径補償機構(222)としたことを特徴とする請求項9に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項11】 前記スクロール式圧縮機部(220)の固定側スクロール(223)あるいは可動側スクロール(224)のいずれか一方を、樹脂製にしたことを特徴とする請求項10に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項12】 前記ポンプ部(230)に設けられて前記冷却水を流入吐出させる羽根車(231)およびこの羽根車(231)を内部に収容するポンプハウジング(232)との隙間は、前記ポンプハウジング(232)の前記冷却水の流入口(233)から吐出口(234)に向けて、前記羽根車(231)の半径方向あるいは軸方向の少なくとも一方の方向に順次広くなるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項11に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項13】 前記圧縮機部(220)は、前記モータ(210)の一方向回転時に正常圧縮作動し、前記モータ(210)の逆方向回転時に非作動となり、また、前記ポンプ部(230)は、前記モータ(210)の一方向回転時および逆方向回転時共に正常吐出作動となるようにし、前記制御装置(130)は、前記冷房装置(110)および前記暖房装置(120)の作動状況に応じて、前記モータ(210)を一方向あるいは逆方向に回転制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3、請求項5〜請求項12のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項14】 前記ポンプ部(230)は、ラジアル翼で形成される前記羽根車(231)と、前記羽根車(231)の一方向回転時および逆方向回転時における前記冷却水の吐出流れ方向に沿う2つの吐出口(234a、234b)と、前記2つの吐出口(234a、234b)のうち、一方の吐出口(234a)に前記冷却水が流れる際に、前記一方の吐出口(234a)からの前記冷却水の吐出を許容し、且つ、他方の吐出口(234b)からの前記冷却水の吐出を阻止する弁機構(237、238)とを有することを特徴とする請求項13に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項15】 前記圧縮機部(220)と前記モータ(210)間には、一方向クラッチ(260)が設けられ、冷媒洩れ防止用の軸封装置(240)が、前記圧縮機部(220)側に設けられたことを特徴とする請求項4または請求項5または請求項12〜請求項14のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項16】 前記圧縮機部(220)の前記冷媒を吐出する冷媒吐出口(229)には、前記圧縮機(111)から吐出される前記冷媒の流入を阻止する逆止弁(290)が設けられたことを特徴とする請求項2〜請求項15のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項17】 前記圧縮機部(220)と前記モータ(210)間、および前記ポンプ部(230)と前記モータ(210)間にはそれぞれクラッチ機構が設けられ、前記制御装置(130)は、前記冷房装置(110)および前記暖房装置(120)の作動状況に応じて、前記クラッチ機構を断続制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行中に一時停車した時にエンジンを停止させる所謂アイドルストップ車両における車両用冷暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省燃費の観点より所謂アイドルストップ車両が市場に投入される例が有る。この車両においては、走行中一時停車した時にエンジンを停止させるようにしているため、エンジンの駆動力を受けて作動する冷房装置用の圧縮機や、暖房装置用の機械式ポンプも停止することになり、エンジン停止中は冷暖房装置として作動しないことになる。
【0003】この解決策として例えば、特開2000−130323号公報では、圧縮機に電動機部を一体で設けたハイブリッドコンプレッサに関する技術が開示されており、エンジン停止時には電動機部により圧縮機を作動させ冷媒を圧縮し、冷房装置を作動させるようにしている。
【0004】また、特開平9−277818号公報では、暖房装置の冷却水回路内に自身を迂回するバイパス流路を併せ持つ電動ポンプを設けた技術が開示されており、エンジン停止時に、電動ポンプを駆動させることで暖房装置を作動させるようにしている。
【0005】これにより、エンジンが停止した場合でも、冷房装置あるいは暖房装置のいずれかを作動可能としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記両公報の技術では、アイドルストップ車両において、一年を通して冷房、暖房の両者の機能を満たす冷暖房装置として考えた場合には片手落ちとなる。
【0007】また、両者の技術を併用すれば、冷房、暖房ともに満足できるようになるものの、追加すべき部品点数の増加、システムの複雑化を招き、非常に高価なものとなってしまう。
【0008】本発明の目的は、上記問題に鑑み、アイドルストップ車両において、一年を通して冷房、暖房ともに機能し、且つ安価に対応できる車両用冷暖房装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0010】請求項1に記載の発明では、走行中に一時停車した時に、エンジン(10)が停止される車両に適用されるものであって、エンジン(10)の駆動力を受けて作動する圧縮機(111)によって冷媒を圧縮した後、凝縮、膨張、蒸発させて空気を冷却する冷房装置(110)と、エンジン(10)の駆動力を受けて作動する機械式ポンプ(11)によって循環される冷却水を熱源として空気を加熱する暖房装置(120)とを有する車両用冷暖房装置において、1つのモータ(210)によってそれぞれ作動されると共に、冷媒を圧縮する圧縮機部(220)および冷却水を循環させるポンプ部(230)と、モータ(210)の作動を制御する制御装置(130)とを設ける。そして、制御装置(130)によって、冷房装置(110)作動時にエンジン(10)が停止した場合、圧縮機部(220)が作動するようにモータ(210)を駆動させ、暖房装置(120)作動時にエンジン(10)が停止した場合、ポンプ部(230)が作動するようにモータ(210)を駆動させるようにしたことを特徴としている。
【0011】これにより、冷房装置(110)が作動している時にエンジン(10)が停止した場合、モータ(210)が圧縮機部(220)を作動させることで、本来の圧縮機(111)に代わってこの圧縮機部(220)で冷媒の圧縮ができ、冷房機能を継続できる。
【0012】また、暖房装置(120)が作動している時にエンジン(10)が停止した場合、モータ(210)がポンプ部(230)を作動させることで、本来の機械式ポンプ(11)に代わってこのポンプ部(230)で冷却水の循環ができ、暖房機能を継続できる。即ち、エンジン(10)停止時においても1年を通して冷房および暖房機能の両者を確保することができる。
【0013】そして、圧縮機部(220)とポンプ部(230)を1つのモータ(210)で冷房時、暖房時の使い分けを可能とし、コンパクトで安価に対応できる。
【0014】請求項2に記載の発明では、圧縮機部(220)は、圧縮機(111)に対して並列になるように冷房装置(110)内に配設されたことを特徴としている。
【0015】これにより、圧縮機部(220)および圧縮機(111)は、互いに他方に対して高圧に圧縮した冷媒を流入させることがないので、圧縮機部(220)および圧縮機(111)の流入部の耐圧強度をむやみに引上げる必要がなくなり、コスト高になるのを防止できる。
【0016】請求項3に記載の発明では、ポンプ部(230)は、機械式ポンプ(11)に対して直列になるように暖房装置(120)内に配設されたことを特徴としている。
【0017】これによりポンプ部(230)を暖房装置(120)を形成する冷却水配管(123)内に組込むことで、配管の複雑化を防止でき、加熱器(121)には常にエンジン(10)内を流通する冷却水を供給できるので、暖房性能を低下させることがない。
【0018】請求項4に記載の発明では、モータ(210)の一方向回転時に、圧縮機部(220)が正常圧縮作動し、ポンプ部(230)は非作動となり、また、モータ(210)の逆方向回転時に、ポンプ部(230)が正常吐出作動し、圧縮機部(220)は非作動となるようにし、制御装置(130)によって、冷房装置(110)および暖房装置(120)の作動状況に応じて、モータ(210)を一方向あるいは逆方向に回転制御するようにしたことを特徴としている。
【0019】これにより、圧縮機部(220)とポンプ部(230)をモータ(210)の回転方向を変えることで冷房時、暖房時の使い分けを可能とし、安価に対応できる。
【0020】請求項5に記載の発明では、圧縮機部(220)およびポンプ部(230)は、モータ(210)の回転軸(211)の両端側にそれぞれ設けられるようにしたことを特徴としている。
【0021】これにより冷媒および冷却水が回転軸(211)を介して洩れるのを防止するための軸封装置(240)を最小限の数で設定することができる。即ち、冷媒用の軸封装置(123)を圧縮機部(220)とモータ(210)間に設け、冷却水用の軸封装置(241)をポンプ部(230)とモータ(210)間に設けるのみで対応できる。
【0022】請求項6に記載の発明では、圧縮機部(220)とモータ(210)間には、冷媒洩れ防止用の軸封装置(240)が設けられ、ポンプ部(230)は、モータ(210)から磁気カップリング(250)を介して回転作動するようにしたことを特徴としている。
【0023】これによりポンプ部(230)とモータ(210)間の軸封装置(241)を廃止することができる。
【0024】請求項7に記載の発明では、圧縮機部(220)とモータ(210)間には、一方向クラッチ(260)が設けられたことを特徴としている。
【0025】これによりモータ(210)の一方向あるいは逆方向回転時における圧縮機部(220)およびポンプ部(230)の正常作動の使い分けが容易にできる。
【0026】請求項8に記載の発明では、圧縮機部(220)は、一方向回転時のみ正常圧縮作動する回転型圧縮機部(220)としたことを特徴としている。
【0027】これにより圧縮機部(220)の一方向および逆方向回転時の正常圧縮作動および非作動の使い分けが、一方向クラッチ(260)なしで可能となる。
【0028】請求項9に記載の発明では、圧縮機部(220)は、逆方向回転時に圧縮室(221)が開放される開放機構(222)を有することを特徴としており、具体的には請求項10に記載の発明のように、圧縮機部(220)をスクロール式圧縮機部(220)とし、開放機構(222)は、半径補償機構(222)とするのが良い。
【0029】これによりモータ(210)が逆方向に回転した時、固定および可動側スクロール(223、224)間に歯間隙間(220e)を形成するので、モータ(210)のロスを低減することができる。
【0030】請求項11に記載の発明では、スクロール式圧縮機部(220)の固定側スクロール(223)あるいは可動側スクロール(224)のいずれか一方を、樹脂製にしたことを特徴としている。
【0031】これにより、逆方向回転時の固定および可動側スクロール(223、224)間の振動、干渉による異音を防止できる。
【0032】請求項12に記載の発明では、ポンプ部(230)に設けられて冷却水を流入吐出させる羽根車(231)およびこの羽根車(231)を内部に収容するポンプハウジング(232)との隙間は、ポンプハウジング(232)の冷却水の流入口(233)から吐出口(234)に向けて、羽根車(231)の半径方向あるいは軸方向の少なくとも一方の方向に順次広くなるようにしたことを特徴としている。
【0033】これにより、冷却水の流れをスムースにして、ポンプ部(230)の作動効率を向上できる。
【0034】請求項13に記載の発明では、圧縮機部(220)は、モータ(210)の一方向回転時に正常圧縮作動し、モータ(210)の逆方向回転時に非作動となり、また、ポンプ部(230)は、モータ(210)の一方向回転時および逆方向回転時共に正常吐出作動となるようにし、制御装置(130)によって、冷房装置(110)および暖房装置(120)の作動状況に応じて、モータ(210)を一方向あるいは逆方向に回転制御するようにしたことを特徴としている。
【0035】これにより、圧縮機部(220)とポンプ部(230)をモータ(210)の回転方向を変えることで冷房時、暖房時の使い分けを可能とすると共に、冷房装置(110)および暖房装置(120)の両者が作動している場合には、モータ(210)を一方向側に回転させることで、圧縮機部(220)とポンプ部(230)を共に作動させることができ、除湿暖房の対応が可能となる。
【0036】尚、請求項14に記載の発明のように、ポンプ部(230)には、ラジアル翼で形成される羽根車(231)と、この羽根車(231)の一方向回転時および逆方向回転時における冷却水の吐出流れ方向に沿う2つの吐出口(234a、234b)と、この2つの吐出口(234a、234b)のうち、一方の吐出口(234a)から冷却水が流れる際に、一方の吐出口(234a)からの冷却水の吐出を許容し、且つ、他方の吐出口(234b)からの冷却水の吐出を阻止する弁機構(237、238)とを有するようにすることで、モータ(210)の一方向回転時および逆方向回転時共に正常吐出作動可能となるポンプ部(230)とすることができる。
【0037】請求項15に記載の発明では、圧縮機部(220)とモータ(210)間には、一方向クラッチ(260)が設けられ、冷媒洩れ防止用の軸封装置(240)が、圧縮機部(220)側に設けられたことを特徴としている。
【0038】これにより、一方向クラッチ(260)が切られて圧縮機部(220)が非作動となり、ポンプ部(230)側を作動させる時には、モータ(210)は軸封装置(240)による摺動抵抗を受けないようにできるので、モータ(210)の省動力化を図ることができる。
【0039】請求項16に記載の発明では、圧縮機部(220)の冷媒を吐出する冷媒吐出口(229)には、圧縮機(111)から吐出される冷媒の流入を阻止する逆止弁(290)が設けられたことを特徴としている。
【0040】これにより、圧縮機部(220)内の吐出弁(220f)に圧縮機(111)側からの余分な冷媒圧がかからないようにして、吐出弁(220f)の本来の開閉機能を保持できるので、吐出弁(220f)の損傷を防止することができる。
【0041】また、逆止弁(290)を圧縮機部(220)の冷媒吐出口(229)に設けるようにしているので、冷媒配管(115a)途中に設けられるような別体の逆止弁に対して、ジョイント部材等余分な部品を必要とせず、更に冷媒配管(115a)の変更を伴うことがない。
【0042】また、請求項17に記載の発明のように、圧縮機部(220)とモータ(210)間、およびポンプ部(230)とモータ(210)間にはそれぞれクラッチ機構を設け、制御装置(130)によって、冷房装置(110)および暖房装置(120)の作動状況に応じて、クラッチ機構を断続制御するようにしても良い。
【0043】これにより、圧縮機部(220)とポンプ部(230)の使い分けが確実に対応できる。また、冷房装置(110)および暖房装置(120)が共に作動している場合に、圧縮機部(220)とポンプ部(230)を同時に作動させることも容易にでき、除湿暖房対応も可能となる。
【0044】尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0045】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本発明の第1実施形態を図1〜図4に示し、以下その具体的な構成について説明する。車両用冷暖房装置100は、走行中一時停車した時にエンジン10が停止される所謂アイドルストップ車両に適用されるものであり、冷房装置110、暖房装置120、制御装置130および電動圧縮機−ポンプ200とから成る。
【0046】冷房装置110は、周知の冷凍サイクルを形成するものであり、冷凍サイクル内の冷媒を高温高圧に圧縮する圧縮機111、圧縮された冷媒を液化凝縮する凝縮器112、液化された冷媒を断熱膨張させる膨張弁113、膨張した冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により自身を通過する空気を冷却する蒸発器114が冷媒配管115によって順次接続されたものである。
【0047】圧縮機111は、エンジン10の駆動力をプーリーおよびプーリーベルトを介して作動するようにしている。
【0048】暖房装置120は、エンジン10に設けられた機械式ポンプ11とエンジン10を冷却する冷却水を熱源として自身を通過する空気を加熱する加熱器121とを冷却水配管123により接続した周知のものであり、加熱器121の冷却水流入側には流量を調節するウォータバルブ122が設けられている。
【0049】機械式ポンプ11は、エンジン10の駆動力を受けて作動し、加熱器121に冷却水を循環させる。
【0050】尚、エンジン10の冷却水は、冷却水配管123aに設けられたラジエータ124によって冷却され、温度制御されるようにしている。
【0051】また、制御装置130は、後述する電動圧縮機−ポンプ200のモータ210の作動を制御するものであり、図示しない各種センサからの信号、即ち、車速、エンジン回転数、蒸発器後方温度、車室内温度、A/C要求信号に基づいて、モータ210を作動させ、且つ、回転方向を制御するようにしたものである。
【0052】具体的には、図2に示すように、トランジスタ131を用いて制御装置130とモータ210を接続する回路としており、実線あるいは破線で示す通電パターンを有し、モータ210の一方向あるいは逆方向の回転制御を可能としている。
【0053】次に、本発明の要部となる電動圧縮機−ポンプ200の構成について、図3を用いて説明する。
【0054】電動圧縮機−ポンプ200は、モータ210の回転軸211の両端側にそれぞれ圧縮機部220、ポンプ部230が一体で設けられたものである。
【0055】モータ210は、モータハウジング212内に回転子213、固定子217が設けられ、回転子213を貫通する回転軸211が軸受け214a、214bによって支持され、整流子215にブラシ216から通電することで回転駆動する周知の直流モータである。
【0056】次に、圧縮機部220は、一方向(以下、正方向と呼ぶ)回転時のみに正常圧縮作動する回転型圧縮機部としており、更に具体的には、本実施形態ではスクロール式圧縮機部としている。
【0057】この圧縮機部220は、フロントハウジング226、リヤハウジング227内に設けられた固定側スクロール223、可動側スクロール224、偏心シャフト225から成り、偏心シャフト225は、上記モータ210の回転軸211の一端側と一方向クラッチ260を介して接続されるようにしている。この一方向クラッチ260によりモータ210の正方向のトルクが伝達され、可動スクロール224を駆動させ、逆方向の回転時にはトルクが伝達されないようにしている。
【0058】よって、モータ210の正方向の回転時に一方向クラッチ260、偏心シャフト225を介して可動側スクロール224は公転し、対向する固定側スクロール223との間に形成される圧縮室221内に流入口228から流入される冷媒を圧縮し(以下、正常圧縮作動と呼ぶ)、吐出口229から吐出するようにしている。逆に、モータ210の逆方向回転時には、可動側スクロール224は公転しないので圧縮仕事を行なわない(以下、非作動と呼ぶ)ようにしている。
【0059】尚、モータ210と圧縮機部220間、具体的には、回転軸211と偏心シャフト225間には、圧縮機部220内の冷媒がモータ210側に洩れるのを防止するための軸封装置240が設けられている。
【0060】更に、ポンプ部230は、冷却水の流入口233および吐出口234が設けられたポンプハウジング232内に遠心式の羽根車231を設けたものであり、上記モータ210の回転軸211の他端側に配設されるようにしている。
【0061】羽根車231の軸235およびモータ210の回転軸211にはそれぞれ磁気カップリング250が設けられ、この磁気カップリング250によりモータ210のトルクが軸235に伝達され、羽根車231が回転作動するようにしている。
【0062】ここで、この羽根車231は、上記一方向クラッチ260が圧縮機部220を正常圧縮作動させる正方向とは逆方向の回転時に、冷却水を吐出する(以下、正常吐出作動と呼ぶ)ように翼およびポンプハウジング232の形状を設定している。そして、正方向の回転時には羽根車231は、その翼およびポンプハウジング232の形状により空回り状態(以下、非作動と呼ぶ)となるようにしている。
【0063】尚、磁気カップリング250の間には、分離板236が設けられ、ポンプ部230内の冷却水がモータ210側に洩れないようにしている。
【0064】以上のモータ210、圧縮機部220、ポンプ部230は、それぞれのハウジング212、226、227、232が互い接続されることにより一体の電動圧縮機−ポンプ200を形成する。
【0065】この電動圧縮機−ポンプ200の圧縮機部220は、図1に示すように、冷媒配管115aによって圧縮機111に対して並列となるように、具体的には、凝縮器112の流入側と蒸発器114の流出側の間で接続されるように冷房装置110内に配設されるようにしている。
【0066】また、ポンプ部230は、機械式ポンプ11に対して直列となるように、具体的には、機械式ポンプ11とウォータバルブ122の間に位置するように暖房装置120内に配設されるようにしている。
【0067】尚、冷却水配管123には、モータ210およびポンプ部230が非作動時に機械式ポンプ11からの冷却水がポンプ部230を迂回するバイパス流路270を設けるようにしている。そして、このバイパス流路270には、ポンプ部230の正常作動時に吐出口234から流入口233にショートサーキットしないように逆止弁280が設けられている。
【0068】以上の構成に基づく本実施形態の作動について説明する。
【0069】車両走行時、即ち、エンジン10が作動している場合は、冷房装置110および暖房装置120は従来技術と同様に作動する。即ち、冷房装置110においては、エンジン10の駆動力を受けて圧縮機111が作動し冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒は、以下凝縮器112、膨張弁113、蒸発器114で順次液化凝縮、断熱膨張、蒸発され、蒸発器114を通過する空気を蒸発潜熱により冷却する。
【0070】また、暖房装置120においては、エンジン10の駆動力を受けて機械式ポンプ11が作動し、ウォータバルブ122が開かれ、冷却水を加熱器121に循環させ、この冷却水を熱源として加熱器121を通過する空気を加熱する。
【0071】しかしながら、適用車両がアイドルストップ車両のため、車両が一時停車した時にはエンジン10が停止し、エンジン10を駆動源とする圧縮機111および機械式ポンプ11が作動しなくなる。この時、電動圧縮機−ポンプ200を作動させるようにしている。
【0072】この電動圧縮機−ポンプ200は、制御装置130によって制御されるようにしており、その制御の詳細について、図4のフローチャートを用いて以下説明する。
【0073】まずステップS10で、モータ210を停止状態とする。ステップS20で、冷暖房の要求が有るか否かをA/C要求信号より判定し、否であればステップS10に戻り、モータ210の停止状態を継続する。冷暖房の要求がある場合は、ステップS30で、更に、冷房の要求か暖房の要求かを判定する。
【0074】ステップS30で冷房の要求の場合は、ステップS40に進み、車両が停車状態にあるか否かを車速信号より判定し、停車状態であればステップS50でエンジン10が停止状態か否かをエンジン回転数信号より判定する。エンジン10が停止状態であると判定されると、ステップS60で、モータ210を正方向側(一方向クラッチ260が作動する側の回転方向)に回転作動させ、圧縮機部220を正常圧縮作動させる。(この時、ポンプ230は非作動となる。)その後、エンジン10が停止している間は、ステップS60が継続され、圧縮機部220は作動し続ける。
【0075】尚、ステップS40で車両が停車状態でない(走行状態)と判定された場合、また、ステップS50でエンジン10が停止状態でない(エンジン回転状態)と判定された場合は、ステップS10に戻り、モータ210は停止され、圧縮機部220は停止されることになる。
【0076】また、ステップS30で、暖房の要求の場合は、上記ステップS40、ステップS50と同様に、ステップS70、ステップS80で、それぞれ車両、エンジン10の停車、停止状態を判定し、共に停車、停止状態の場合は、ステップS90でモータ210を正方向側とは反対の逆方向側(一方向クラッチ260が非作動となる回転方向)に作動させ、ポンプ部230を正常吐出作動させる。この時、圧縮機部220は非作動となる。)その後、エンジン10が停止している間は、ステップS90が継続され、ポンプ部230は作動し続ける。
【0077】尚、ステップS70、ステップS80で、車両が停車状態でない(走行状態)と判定された場合、また、エンジン10が停止状態でない(エンジン回転状態)と判定された場合は、ステップS10に戻り、モータ210は停止され、ポンプ230は停止されることになる。
【0078】以上の構成および作動説明より、本実施形態における作用効果について説明する。
【0079】まず、冷房装置110が作動している時にエンジン10が停止した場合、モータ210が正方向に回転し、圧縮機部220は正常圧縮作動するように回転制御されるので、本来の圧縮機111に代わってこの圧縮機部220で冷媒の圧縮ができ、冷房機能を継続できる。
【0080】また、暖房装置120が作動している時にエンジン10が停止した場合、モータ210が逆方向に回転し、ポンプ部230は正常吐出作動するように回転制御されるので、本来の機械式ポンプ11に代わってこのポンプ部230で冷却水の循環ができ、暖房機能を継続できる。即ち、エンジン10の停止時においても1年を通して冷房および暖房機能の両者を確保することができる。
【0081】そして、圧縮機部220とポンプ部230を1つのモータ210で回転方向を変えることで冷房時、暖房時の使い分けを可能とし、コンパクトで安価に対応できる。
【0082】また、圧縮機部220を、圧縮機111に対して並列になるように冷房装置110内に配設されるようにしているので、圧縮機部220および圧縮機111は、互いに他方に対して高圧に圧縮した冷媒を流入させることがないので、圧縮機部220および圧縮機111の流入部の耐圧強度をむやみに引上げる必要がなくなり、コスト高になるのを防止できる。
【0083】そして、ポンプ部230は、機械式ポンプ11に対して直列になるように暖房装置120内に配設されるようにしているので、ポンプ部230を暖房装置120の冷却水配管123内に組込むことで、配管の複雑化を防止でき、加熱器121には常にエンジン10内を流通する冷却水を供給でき、暖房性能を低下させることがない。
【0084】更に、圧縮機部220およびポンプ部230をモータ210の回転方向を変えることで冷房時、暖房時の使い分けを可能としているので、安価に対応できる。
【0085】また、圧縮機部220およびポンプ部230は、モータ210の回転軸211の両端側にそれぞれ設けられるようにしているので冷媒および冷却水が回転軸211を介して洩れるのを防止するための軸封装置240を最小限の数で設定することができる。即ち、冷媒用の軸封装置123を圧縮機部220とモータ210間に設け、冷却水用の軸封装置241をポンプ部230とモータ210間に設けるのみで対応できるようになる。本実施形態においては、更に、ポンプ部230は、モータ210から磁気カップリング250を介して回転作動するようにしているので、ポンプ部230とモータ210間の軸封装置241を廃止することができる。
【0086】また、圧縮機部220とモータ210間には、一方向クラッチ260を設けるようにしているので、モータ210の正方向あるいは逆方向回転時における圧縮機部220およびポンプ部230の正常作動の使い分けが容易にできる。
【0087】尚、制御装置130とモータ210とを接続する回路は、上記図2に対して図5に示すように、トランジスタ131に代えてリレー132を用いるようにしても良く、図中実線および破線のようにモータ210の正逆方向回転の制御が可能である。
【0088】また、バイパス流路270は、ポンプ部230の非作動時において、機械式ポンプ11が受ける負荷(通水抵抗)によっては、省略しても良い。
【0089】(第2実施形態)本発明の第2実施形態は、圧縮機部220を、正方向回転時のみ正常圧縮作動する回転型圧縮機部220を用いたもののバリエーションを示しており、一方向クラッチ260を廃止するようにしたものである。
【0090】具体的には、図6に示すように、上記第1実施形態で説明したスクロール式圧縮機部220をベースにして一方向クラッチ260を廃止し、回転軸211、偏心シャフト225を介して圧縮機部220の可動側スクロール224を作動させるようにしている。
【0091】この実施形態においては、モータ210の正方向回転時においては圧縮機部220は正常圧縮作動を行ない、ポンプ部230は非作動状態となる。また、モータ210が逆方向回転時には、ポンプ部230は正常吐出作動を行ない、圧縮機部220は非作動状態となる。即ち、吸入弁を有しない回転型圧縮機部220においては、逆方向回転で作動させても冷媒の圧縮仕事を行なわず、圧縮室221内は真空ポンプ作用が働くことになり、モータ210の消費動力も非常に小さいものとなるので、圧縮機部220の正方向および逆方向回転時の正常圧縮作動および非作動の使い分けが可能であり、一方向クラッチ260を廃止できることになる。
【0092】その他の回転型圧縮機部220を用いたバリエーションとして、図7に示すように、公転するロータ220aとベーン220bとによって冷媒が圧縮されるローリングピストン式圧縮機部220としたものや、図8に示すように、ロータ220aに複数のベーン220bを有するロータリーベーン式圧縮機部220としたものも同様に適用することができる。
【0093】尚、ポンプ部230においても、図9に示すように、軸封装置241を介在させモータ210のシャフト211に羽根車231を直結するようにしても良い。
【0094】また、ポンプ部230を迂回するバイパス流路270は、バイパス弁281を設けたバイパス流路271として、このポンプ部230に一体で形成するようにしても良い。
【0095】(第3実施形態)本発明の第3実施形態を図10に示す。第3実施形態は、図6に示した第2実施形態のスクロール式圧縮機部220をベースに、モータ210の逆方向回転時に圧縮室221が開放される開放機構、即ち半径補償機構222を設けたものである。
【0096】この半径補償機構222は、偏心シャフト225の先端部を二面幅を有する板状にし、ブッシュ220dを介在させたものであり、モータ210が正方向回転する時には、図10(b)に示すように、冷媒圧縮時の反力F1により二面幅のa方向に可動スクロール224の公転半径を広げるように作用し、固定側スクロール223とのシール性を向上させる。
【0097】しかしながら、モータ210が逆方向回転する時には、図10(c)に示すように、可動側スクロール224の公転時における摩擦力F2により二面幅のb方向に可動スクロール224の公転半径を小さくするように作用し、固定側スクロール223との間に歯間隙間220eを形成するようになるので、モータ210の逆方向回転時の圧縮機部220のロスを更に低減することができる。
【0098】尚、スクロール式圧縮機部220の固定側スクロール223あるいは可動側スクロール224のいずれか一方を、樹脂製にしてやれば、逆方向回転時の固定および可動側スクロール223、224間の振動、干渉による異音を防止できる。
【0099】(第4実施形態)本発明の第4実施形態を図11〜図15に示す。第4実施形態は、上記第1実施形態に対して冷房装置110および暖房装置120が共に作動している場合に、圧縮機部220およびポンプ部230を共に作動状態となるようにして、除湿暖房機能を持たせるようにし、また、モータ210の省動力化のために軸封装置240の設定位置を変更したものである。
【0100】まず、図11〜図13に示すように、電動圧縮機−ポンプ200のポンプ部230は、モータ210の正方向回転時および逆方向回転時共に正常吐出作動する構成としている。具体的には、冷却水を流入吐出させる羽根車231は、翼の出口部分がラジアル方向を向くラジアル翼で形成されるものとしている。
【0101】そして、ポンプハウジング232には羽根車231の一方向回転時および逆方向回転時における冷却水の吐出流れ方向に沿う2つの吐出口234a、234bを図12に示すように、軸235方向から見た時に左右対称となるように設けている。
【0102】更には、この2つの吐出口234a、234bの内部にはそれぞれ、一方の吐出口234aに冷却水が流れる際に、一方の吐出口234aからの冷却水の流出を許容し、且つ、他方の吐出口234bからの冷却水の流出を阻止する弁機構が設けられている。この弁機構は、冷却水の吐出圧によって開弁し、また冷却水の負圧によって閉弁する逆流防止用のボール237と、このボール237の冷却水流れ方向の動きを停止させ、冷却水は流通させる孔を有するストッパ238から形成されるようにしている。
【0103】また、ポンプハウジング232においては、羽根車231との半径方向の隙間は周方向に均一とし、羽根車231との軸方向の隙間を、図13に示すように、流入口233側から吐出口234a、234b側に向けてa1、b1、c1のように順次広くなるようにしている。
【0104】一方、モータ210と圧縮機部220(ここではローリングピストン式として示している)の間においては、図11に示すように、上記第1実施形態同様に一方向クラッチ260が介在され、モータ210の正方向回転時のみ圧縮機部220が正常圧縮作動(逆方向回転時は非作動)するようにしている。そして、圧縮機部220からの冷媒洩れ防止用の軸封装置240を圧縮機部220側、具体的にはこの圧縮機部220の偏心シャフト225に設けるようにしている。
【0105】次に、上記構成に基づく作動について図14、図15を用いて説明する。まず、ポンプ部230においては、図14(a)に示すように、モータ210の正方向回転時には、冷却水はその流れ方向に沿って吐出口234a側に流れる。この時の流れの正圧(吐出圧)を受けて図中右側のボール237がストッパ238側に押しやられ、また図中左側のボール237は破線で示す負圧によって羽根車231側に引き寄せられて吐出口234bを閉塞させ、冷却水は吐出口234aから吐出されることになる。また、モータ210の逆方向回転時には、冷却水の流れは上記と左右逆となり、吐出口234bから吐出されることになり、ポンプ部230はモータ210の正方向、逆方向どちらの回転においても正常吐出作動が可能となる。
【0106】そして、このポンプ部230を有する電動圧縮機−ポンプ200の作動制御にあたっては、図15に示すフローチャートに基づいて行なうようにしている。基本的には上記第1実施形態で説明した(図4)ものと同一であるが、ステップS30をステップS31に、またステップS60をステップS61に変更したものとしている。即ち、ステップS31で、冷房装置110および暖房装置120が共に作動している場合の判定条件を追加しており、両者が作動している場合は、ステップS61でモータ210を正方向回転側に作動制御して圧縮機部220およびポンプ部230を共に正常作動するようにしている。
【0107】尚、ステップS31で、暖房装置120が作動していると判定された時は、ステップS70以降へ進み、モータ210を逆方向回転側に作動制御してポンプ部230を正常作動させる。この時、モータ210の回転軸211は、軸封装置240の摺動抵抗を受けずに回転する。
【0108】これにより、圧縮機部220とポンプ部230をモータ210の回転方向を変えることで冷房時、暖房時の使い分けを可能とすると共に、冷房装置110および暖房装置120の両者が作動している場合には、モータ210を正方向回転させることで、圧縮機部220とポンプ部230を共に作動させることができ、除湿暖房の対応が可能となる。
【0109】尚、ポンプ部230の羽根車231およびポンプハウジング232との隙間を冷却水の流入口233から吐出口234に向けて、順次広くなるようにしているので、冷却水の流れをスムースにして、ポンプ部230の作動効率を向上できる。
【0110】また、圧縮機部220とモータ210間に一方向クラッチ260を設けたものにおいて、軸封装置240を圧縮機部220側(偏心シャフト225)に設けるようにしているので、一方向クラッチ260が切られて圧縮機部220が非作動となり、ポンプ部230側を作動させる時には、モータ210は軸封装置240による摺動抵抗を受けないようにできるので、モータ210の省動力化を図ることができる。
【0111】尚、ポンプ部230の羽根車231とポンプハウジング232との隙間は、上記実施形態に対して図16、図17に示すように、羽根車231の半径方向に調整して、a2、b2、c2の順に広くなるようにしても良い。更には、軸方向および半径方向の組合せとしたものとしても良い。因みに、隙間を大きくしていく変化割合は、図18に示すように、直線的にしたり、順次変化割合が大きくあるいは小さくなるようにしても良い。
【0112】また、ポンプハウジング232の吐出口234は、羽根車231の中心から半径方向に延びる位置に設けるようにして、ポンプ効率の低下を許容しつつも、ボール237、ストッパ238を廃止して1つの吐出口234として対応するようにしても良い。
【0113】(第5実施形態)本発明の第5実施形態を図19に示す。第5実施形態は、上記第1〜第4実施形態に対して、圧縮機部220に逆止弁290を設けるようにしたものである。逆止弁290は、圧縮機部220の吐出口(冷媒吐出口)229に設けられ、ボール291とバネ292とから成る。
【0114】そして、逆止弁290は、圧縮機111が作動しており、圧縮機部220が停止している場合には、バネ292の付勢力により吐出口229を閉塞し、圧縮機111が停止し、圧縮機部220が作動する場合には、圧縮機部220からの吐出圧によってボール291を冷媒の吐出方向に押しやって吐出口229を開くように作動する。
【0115】これにより、圧縮機部220内の吐出弁220fに圧縮機111側からの余分な冷媒圧がかからないようにして、吐出弁220fの本来の開閉機能を保持できるので、吐出弁220fの損傷を防止することができる。
【0116】また、逆止弁290を圧縮機部220の吐出口229に設けるようにしているので、冷媒配管115a途中に設けられるような別体の逆止弁に対して、ジョイント部材等余分な部品を必要とせず、更に冷媒配管115aの変更を伴うことがない。
【0117】(その他の実施形態)上記第1〜第5実施形態では、モータ210の正逆方向の回転制御によって、圧縮機部220とポンプ部230の作動の使い分けを行なうものとして説明したが、圧縮機部220とモータ210間、およびポンプ部230とモータ210間にそれぞれクラッチ機構を設けるようにして、制御装置130によってクラッチ機構を断続制御することで、圧縮機部220およびポンプ部230の作動を使い分けるようにしても良い。
【0118】これにより、圧縮機部220とポンプ部230の使い分けが確実に対応できる。また、冷房装置110および暖房装置120が共に作動している場合に、圧縮機部220とポンプ部230を同時に作動させることも容易にでき、除湿暖房対応も可能となる。
【0119】また、圧縮機部220およびポンプ部230は、共にモータ210の一端側の回転軸211に設けるようにしても良い。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
【住所又は居所】愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地
【出願日】 平成14年4月25日(2002.4.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−191748(P2003−191748A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2002−124142(P2002−124142)