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【発明の名称】 車両用空調制御装置
【発明者】 【氏名】門井 勝
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号・三菱自動車工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、空調装置を取付けるエンジンの型式が異なり、それに対応して適正なエバポレータ通過風下限温度が異なる場合でも、共用化することができる空調制御装置を提供することにある。

【解決手段】車両の内燃機関2の回転力を伝達して空調用コンプレッサ25を駆動可能なクラッチ部材20と、車両の車室内に導かれる空気を冷却する冷却器31の通過風温度を検出する冷却器温度検出手段70と冷却器温度検出手段70で検出された冷却器の通過風温度が予め定められた下限温度(コンプレッサオフ温度)T,Tn以下になるとクラッチ部材20を切断する空調制御装置1とを有し空調制御装置1は内燃機関2と連動するトランスミッション52の型式情報を受信して、上記トランスミッション型式がCVTの場合には、上記下限温度をCVT以外の場合よりも低い値Tに補正する下限温度補正手段E2を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両の内燃機関の回転力を伝達して空調用コンプレッサを駆動可能なクラッチ部材と、上記車両の車室内に導かれる空気を冷却する冷却器の温度を検出する冷却器温度検出手段と上記冷却器温度検出手段で検出された冷却器温度が予め定められた下限温度以下になると上記クラッチ部材を切断する空調制御装置とを有し上記空調制御装置は、上記内燃機関と連動するトランスミッションの型式情報を受信して、上記トランスミッション型式がCVTの場合には、上記下限温度をCVT以外の場合よりも低い値に補正する下限温度補正手段が設けられていることを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項2】請求項1記載の車両用空調制御装置において、上記下限温度補正手段は、エンジン制御装置が記憶するエンジン回転数を受信して、予め定められた所定値よりも低い場合に限り、上記下限温度を補正することを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項3】請求項2記載の車両用空調制御装置において、上記下限温度補正手段は、上記エンジン回転数が低くなるに従って、上記下限温度を低くなるように補正することを特徴とする車両用空調制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンに取付けられる車両用空調制御装置、特に、エンジン駆動に連動して冷房運転される車両用空調制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の空調装置はヒータ系と冷却系を備え、これらを選択的に駆動制御することで、車内雰囲気温度を乗員の所望とする状態に維持するよう制御できる。ここで冷却系はエンジン駆動のコンプレッサや、コンプレッサで圧縮された冷媒を冷やすコンデンサや、コンデンサからの液化された冷媒を受け蒸発させることで気化熱を奪い、車内空気を冷やすエバポレータや、液化した冷媒を収容してエバポレータに供給するタンク等が配備され、これらが冷凍サイクル運転を行っている。コンプレッサは電磁クラッチを備え、そのクラッチは空調制御装置が行う所定の空調制御に応じて断接切換えが行われている。特に、エバポレータの通過風温度を検出し、同温度が予め定められた下限温度を下回るとクラッチを切断させ、下限温度に予め定められた一定値を加えた上限温度以上になると接続させ、エバポレータの過冷状態を避けるよう制御を行っている。
【0003】ところで、CVT等の無段変速機を装着した車両は、その走行時において、車両の変速制御手段がスロットル開度Thと車速Vに相当するCVTのプライマリ回転数を例えば図5に示すようなマップmaを用いて算出し、同プライマリ回転数Npを保持するようにCVTの変速比(プライマリ回転数Npとセカンダリ回転数Nsの回転比)を制御している。ここでCVTのプライマリ回転数Npはエンジン回転数に対応する値であり、図5に示すように、スロットル開度Thに応じて上限が規制され、A/T車等と比較してCVT車のエンジン回転数は低く抑えられる傾向にある。
【0004】このように、CVT車のエンジンに取付けられる空調装置のコンプレッサは、一般的にその回転が低く抑えられる傾向にあり、冷凍サイクルで駆動する仕事量が低くなりやすく、特に、低エンジン回転数で走行を続ける場合、冷房不足に陥ることが無いように調整する必要がある。なお、空調装置はエンジンに駆動されるコンプレッサの冷凍サイクルでの仕事量が過度に大きくなって、エバポレータの過冷状態での運転を避けるため下限温度を設定し、あるいは、過度なエンジン回転数での駆動を避けるための上限回転数の設定等がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特定の車両、例えばA/T車のエンジンに特定の空調装置のコンプレッサが取付けられる場合、特定車両のエンジン特性に応じて、エバポレータの過冷状態での運転を避けられるような下限温度が設定される。この場合、コンプレッサの冷凍サイクルでの仕事量が十分に確保されている運転域では問題無いが、特に、低エンジン回転数域で走行を続ける場合、即ち、冷凍サイクルで駆動する仕事量が低くなりやすい場合にあっても、コンプレッサが過度に遮断される比率が高まることが無いように考慮することとなる。
【0006】ところが、特定の車両(A/T車)のエンジンに取付けられる特定の空調装置を、トランスミッション型式の異なる他のCVT車のエンジンにそのまま採用したとする。この場合、CVT車のエンジンの特性が特定の車両(A/T車)の場合と異なり、特に、その回転が低く抑えられる傾向にあることより、特定の車両(A/T車)と比較して、CVT車のエンジンに取付けられるコンプレッサの冷凍サイクルでの仕事量が低いことに起因し、特に、低エンジン回転数で走行を続ける場合、冷房不足に陥ることとなる。
【0007】この結果、空調装置をトランスミッション型式が異なる複数の車両に装着するには、特定の車両(A/T車)用の空調制御装置に代えて、エバポレータ通過風下限温度を比較的低くして適正化し、冷房運転域を比較的広げたCVT車用の空調制御装置に交換する必要があり、これがコスト増の要因となっている。本発明は、以上のような課題に基づき、空調装置を取付けるエンジンの型式が異なり、それに対応して適正なエバポレータ通過風下限温度が異なる場合でも、共用化することができる車両用空調制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため請求項1に記載の車両用空調制御装置は、車両の内燃機関の回転力を伝達して空調用コンプレッサを駆動可能なクラッチ部材と、上記車両の車室内に導かれる空気を冷却する冷却器の温度を検出する冷却器温度検出手段と上記冷却器温度検出手段で検出された冷却器温度が予め定められた下限温度以下になると上記クラッチ部材を切断する空調制御装置とを有し上記空調制御装置は、上記内燃機関と連動するトランスミッションの型式情報を受信して、上記トランスミッション型式がCVTの場合には、上記下限温度をCVT以外の場合よりも低い値に補正する下限温度補正手段が設けられていることを特徴とする。このように、車両の内燃機関に接続されるトランスミッションの型式がCVTの場合、CVT以外のトランスミッション型式を採る場合よりも下限温度を低い値に補正して適正化を図ることで、比較的、低回転域で駆動するコンプレッサの冷凍サイクルでの仕事量が低いCVT車であっても、コンプレッサの冷房運転域を比較的広げ、冷房不足を補うことができる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の車両用空調制御装置において、上記下限温度補正手段は、エンジン制御装置が記憶するエンジン回転数を受信して、予め定められた所定値よりも低い場合に限り、上記下限温度を補正することを特徴とする。予め定められた所定値より低い低エンジン回転数域で下限温度を補正するので、同領域での冷房不足が的確に改善され、所定値より高いエンジン回転数域では本来の冷却器の過冷状態での運転を確実に避けられる。
【0010】請求項3の発明は、請求項2記載の車両用空調制御装置において、上記下限温度補正手段は、上記エンジン回転数が低くなるに従って、上記下限温度を低くなるように補正することを特徴とする。予め定められた所定値より低い低エンジン回転数域で下限温度を補正するにあたり、エンジン回転数が低い領域ほど下限温度を低く設定するので、冷房不足を起こし易い領域ほどコンプレッサの冷房運転域を広げ、冷房不足を確実に補うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1には本発明が適用された空調制御装置及び同装置に制御系通信回線を介し接続されるエンジン制御装置の概略構成を示す。空調制御装置1は図示しない車両に搭載されたエンジン(ECVT)2の回転トルクを受けて駆動する空調装置3の一部である制御機能部を成す。ここで、空調制御装置(以後単にエアコンECUと記す)1はエンジン(ECVT)2の制御機能部を成すエンジン制御装置(以後単にエンジンECUと記す)4及び変速制御装置(以後単にミッションECUと記す)5と制御系通信回線であるCAN(Controller Arer Network)相互通信システム(以後単にCAN通信装置と記す)40により相互通信可能に連結される。
【0012】エンジン(ECVT)2は複数の図示しない燃焼室に供給される吸気の量を調整する吸気系6と、燃料量を調整する燃料供給系7と、点火時期を調整して点火処理する点火系8とを備える。吸気系6は図示いない吸気路に介在されるスロットル弁及びアイドル制御弁を有した吸気量調整部9を備え、ここには吸気量情報を検出するエアフローセンサ11とスロットルと開度Thを検出するスロットルセンサ12と温度センサ10とが配備され、これらの各信号はンジンECU4に出力される。なお、吸気制御部A1をエンジンECU4内に備える。
【0013】燃料供給系7は図示しない燃焼室に燃料噴射を行うインジェクタを有する燃料調整部13を備え、ここには空燃比センサ14が配備され、その信号はエンジンECU4に出力される。なお、燃料制御部A2をエンジンECU4内に備える。点火系8は点火プラグを含んだ点火回路を有する点火調整部15を備え、ここにはクランク角情報θを検出するクランク角センサ16が配備され、その信号はエンジンECU4に出力され、点火時期制御に使用されるとともにエンジン回転数Neの算出に用いられる。なお、点火制御部A3をエンジンECU4内に備える。
【0014】エンジンECU4は入出力回路17と、記憶回路18と、演算部を成すCPU19とを有し、しかも、同CPU19にはエアコンECU1との間で相互にデータ通信するためのCAN通信装置5との接続用のCANIC21とを備える。ここで、入出力回路17は信号回線に接続される多数のポートを有し、エアフローセンサ11、スロットルセンサ12、温度センサ10、空燃比センサ14、クランク角センサ16等よりの検出信号を入力でき、吸気量調整部9、燃料調整部13、点火調整部15に制御信号を送出するよう機能する。
【0015】記憶回路18はエンジン制御に使用する各種制御データやトランスミッション(以後単にミッションと記す)の型式情報を含むエンジン(ECVT)2の型式情報(ECVT)、等を記憶するROM181と、制御処理中の演算データを一時記憶するRAM182とを備える。CPU19は周知のエンジン制御処理、即ち、上述の吸気制御部A1、燃料制御部A2、点火制御部A3としての制御機能を備える。
【0016】CANIC21はコントロール部211とドライバー部212を備え、コントロール部211が周知の接続用ソフトウエアに沿ってCPU19から伝送されてきた送信データをCAN通信用に構成し、ドライバー部212を介し回線部401に発信する。同じく、他のECUであるエアコンECU1やミッションECU5からCAN通信装置40を介し受信された受信データは入力信号として構成されてCPU19に伝送される。なお、CAN通信装置40で用いる回線部401は2本のバスラインw1、w2と,これら両バスラインの両端の終端抵抗R1,R2と、GND線w3とで構成される。ここでのCAN通信装置40は、エンジンECU4とエアコンECU1とミッションECU5を回線部401に接続し、相互通信可能であり、この場合相互データ通信に用いる接続回線が比較的簡素化されるという利点がある。
【0017】エンジン2には周知の流体継手50と前後進切り換え装置51と無段変速機(ここではCVT)52と減速機及び差動装置53と図示しない前駆動輪側からなる回転伝達系Dが接続される。ここでCVT52は前後進切り換え装置51の出力軸に一体結合されたプライマリプーリ54と減速機及び差動装置53側に回転力を出力するセカンダリプーリ55を備え、このプライマリプーリ54とセカンダリプーリ55とにスチールベルト56が掛け渡される。両プーリ54,55は共に可動側と固定側のプーリー材に2分割に構成され、両プーリ材との相対間隔を図示しない油圧アクチュエータで制御できる。この油圧アクチュエータは油圧回路OPの変速比制御バルブ57に接続され、同バルブは電磁制御バルブ58を介しミッションECU5で切換え制御される。
【0018】なお、CVT52の油圧回路はエンジン回転に応じ駆動するオイルポンプ59を備え、オイルタンク61のオイルをライン圧としてセカンダリプーリ55、変速比制御バルブ57、電磁制御バルブ58側に供給できる。ミッションECU5はプライマリプーリ54とセカンダリプーリ55の回転数をプーリ回転センサ62、63より取込み、実変速比(回転比)を算出し、エンジンECU4より車速V、スロットル開度Thを取込み、車速V、スロットル開度Th相当の目標変速比を図5に示す変速比マップmaより演算し、実変速比を目標変速比に修正するよう電磁制御バルブ58を介し変速比制御バルブ57を切換えるというCVT制御を行う。
【0019】ここでミッションECU5は入出力回路64と、記憶回路65と、演算部を成すCPU66とを有し、しかも、同CPU66にはエアコンECU1との間で相互にデータ通信するためのCAN通信装置40との接続用のCANIC67とを備える。ここで、入出力回路64は、プーリ回転センサ62、63等よりの検出信号を入力でき、電磁制御バルブ58に制御信号を送出するよう機能する。記憶回路65は周知のトランスミッション制御に用いる設定値、図5に示す変速比マップma等が記憶処理されるROM651と、制御処理中の演算データを一時記憶するRAM652とを備える。
【0020】CPU66は上述のCVT制御機能を備える。CANIC67はコントロール部671とドライバー部672を備え、CPU64から伝送されてきた送信データをCAN通信用に構成し、ドライバー部672を介し回線部401に発信する。エンジン2のエンジン出力軸22にはプーリ23が結合され、このプーリ23と空調装置3のコンプレッサ25側のプーリ24との間にベルト26が巻き掛けられている。なお、コンプレッサプーリ24は電磁クラッチ20を介してコンプレッサ25の主部側に断接可能に連結される。この電磁クラッチ20は駆動回路201を介しエンジンECU4に接続される。
【0021】エンジン2で駆動されるコンプレッサ25は冷媒管路Cに接続され、この冷媒管路Cにはコンデンサ27、リキッドタンク28、膨張弁29、エバポレータ31がこの順に接続されている。空調装置3はエアコンパネル32のエアコンスイッチ(A/CSW)33の入力で操作者のエアコンオン、オフの意志を採り入れると共に、その他の図示しない温度、風量、モード等の各設定スイッチの入力に応じたエアコン制御を行う。更に、冷媒管路Cの高圧側でコンデンサ27の出口近傍にはコンプレッサ25の出口側管路圧力を検出する冷媒圧力センサ34が装着され、この冷媒圧力センサ34はその冷媒圧センサ圧力値HPに応じた電圧をエアコンECU1に出力する。更に冷却器温度検出手段としてエバポレータ通過風温度センサ70がエバポレータ31に取付けられており、エバポレータ31の通過風の温度情報相当を検出することによりエバポレータ31の温度を間接的に検出している。
【0022】エアコンECU1は入出力回路35と、記憶回路36と、演算部を成すCPU37とを有し、しかも、同CPU37にはエンジンECU4との間で相互にデータ通信するためのCAN通信装置40との接続用のCANIC38を備える。ここで入出力回路35は信号回線に接続される多数のポートを有し、冷媒圧力センサ34、エバポレータ通過風温度センサ70、エアコンスイッチ(A/CSW)33等よりの検出信号を入力できる。記憶回路36はROM361と、制御処理中の演算データを一時記憶するRAM362とを備える。ROM361にはエアコン制御に使用する各種制御データやこの空調装置3が用いる種分けマップmbとコンプレッサオフ温度マップmcを格納する。
【0023】種分けマップmbは例えば図3に示すように、エンジンを種分けしている。ここで複数のエンジン型式の内、(ECVT)はCVTに連結されたエンジンの型式を、(EM/T)はマニュアルミッションに連結されたエンジンの型式を、(E4A/T)は4段オートマチックミッションに連結されたエンジンの型式を、(E5A/T)は5段オートマチックミッションに連結されたエンジンの型式を示す。このうち、型式(ECVT)のエンジンは低回転域を多用することよりコンプレッサオフ温度T(<Tn:低修正値)としてL2特性線(図4参照)を採用するエンジンと種分けされ、(EM/T),(E4A/T),(E5A/T)のエンジンは通常回転域を多用することよりコンプレッサオフ温度TnとしてL1特性線を採用するエンジンとして種分けされている。
【0024】ここで、コンプレッサオフ温度マップmcは、例えば、図4に示すように、L1/L2特性線を設定している。ここで、コンプレッサオフ温度マップmcの特性線L2はエンジン回転数が所定値(ここでは2000rpm)以下で特性線L1より低く設定されており、これにより、同領域での冷房不足が的確に改善され、所定値より高いエンジン回転数域では本来のエバポレータの過冷状態での運転を確実に避けられるよう図っている。特に、エンジン回転数が低くなるに従って、下限温度であるコンプレッサオフ温度T(低修正値)を低くなるように設定し、冷房不足を起こし易い低回転領域ほどコンプレッサの冷房運転域を広げ、冷房不足を確実に防ぐよう図っている。
【0025】エアコンECU1のCPU37はエアコン制御手段E1として機能する。即ち、エアコンスイッチ(A/CSW)33の入力で操作者のエアコンオン、オフの意志を、その他の図示しない温度、風量、モード等の各設定スイッチの入力に応じたエアコン制御を行う。また、エアコンECU1はコンプレッサ負荷トルク算出手段E2として、エンジン出力軸22に加わるコンプレッサ25の負荷トルクTeを算出する。即ち冷媒圧力センサ34の出力値HPとエンジンECU4から送信されたエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcsを推定し、外気温出力値THAとエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcaを推定する。その上で、算出値(負荷トルクTca,Tcs)の内で、大きいほうの値を負荷トルクTe(コンプレッサ25の出力軸に加わる値)として算出する。
【0026】更に、下限温度補正手段E3として、エアコンECU1はトランスミッションの型式情報を含む型式(ECVT)を取込み、種分けマップmbより低回転域を多用するエンジンでL2特性線を採用するものと種分けされ、コンプレッサオフ温度マップmcの特性線L2によりコンプレッサオフ温度T(低修正値)を読み出す。その上で、エアコンECU1はエバポレータ31の通過風温度を検出し、コンプレッサオフ温度T(ここでは低修正値)を下回ると電磁クラッチ20を切り、このコンプレッサオフ温度Tに予め定められた一定値tを加えたコンプレッサオン温度を上回ると接続させエバポレータの過冷状態を避け、特に低回転域での冷房運転域の拡大を図るよう断接切換え制御を行う。
【0027】回線部401との接続用のCANIC38はコントロール部381により周知の接続用ソフトウエアに沿ってCPU37から伝送されてきた送信データをCAN通信用に構成し、ドライバー部382を介し回線部401に発信する。同じく、他のECUであるエンジンECU4やミッションECU5からCAN通信装置40を介し受信された受信データを入力信号として構成してCPU37に伝送する。このようなエアコンECU1とエンジンECU4とミッションECU5がCAN通信装置40で相互にデータ通信可能に構成されたエンジン(ECVT)2が駆動するとする。この時、ミッションECU5は上述の様に、スロットル開度Thと車速V相当の変速比にCVTを切換え制御する。一方、ECU4はエンジン制御に加え、コンプレッサ制御を行う。
【0028】エンジン制御では運転者の走行時の意志を図示しないアクセルの開度情報等より採りこみ、エンジン回転数Ne、外気温Tw、スロットル開度Th等によりエンジン情報を取込み、出力制御等を行い、その際、吸気量調整を行う図示しないスロットルバルブ及びアイドル制御弁を有した吸気量調整部9により吸気量制御を、燃料噴射を行う図示しないインジェクタを有する燃料調整部13により燃料量制御を、図示しない点火プラグを含んだ点火回路を有する点火調整部15により点火制御を行う。エンジンのメインルーチンの途中でコンプレッサ制御を行う。これに先立つエアコン制御を説明する。
【0029】ここで、エアコンECU1は冷媒圧力センサ34の出力値HPとエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcsを推定し、外気温出力値THAとエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcaを推定し、ここで大きいほうの値をエンジン出力軸22に加わる今回の負荷トルクTeとして演算し、エンジンECU4に送信する。更に、その上で、エバポレータ通過風温度を検出し、これが下限温度であるコンプレッサオフ温度T(低修正値)を下回ると電磁クラッチ20を切り、このコンプレッサオフ温度Tに予め定められた一定値を加えたコンプレッサオン温度を上回ると接続させ、エバポレータの過冷状態を避け、特に低回転領域ではコンプレッサオフ温度Tを低く設定し、この低回転領域での冷房運転域の拡大を図り、冷房性能が低下することが無いよう断接切換え制御を行うことができる。
【0030】一方、エンジン出力軸22に加わる負荷トルクTeを送信されたエンジンECU4は、的確に型式(ECVT)のエンジン制御を行え、特に、エアコン切換え制御時にはエンジン出力軸22に加わる負荷トルクTeの急変に対し、応答性よく適正な出力補正制御を行え、エアコン切換え時のエンジン回転数の変動やトルクショックを排除できる。次に,このようなエアコンECU1を備えた空調装置3が上述の型式(ECV)のエンジン(ECVT)2に代えて、他の型式(E4A/T)のエンジン(E4A/T)2aに取付けられた場合を説明する。
【0031】図2に示すように、型式(E4A/T)のエンジン(E4A/T)2aはその回転力伝達系Dがトルクコンバータ80、遊星ギア式変速機81及び図示しない後駆動輪回転伝達部からなる点が相違する以外は同様の構成を採り、同一部材に同一符号を付し、重複説明を略す。
【0032】なお、記憶回路18’はエンジン制御に使用する各種制御データやトランスミッション型式データを含むエンジン(E4A/T)2の型式情報(E4A/T)、等を記憶するROM181’と、制御処理中の演算データを一時記憶するRAM182’とを備える。このような型式(E4A/T)のエンジン2aの駆動時に、エンジンECU4aはエンジン制御に加え、コンプレッサ制御を行う。図1のエンジンECU4と同様にエンジン制御の途中でエアコン制御に入り、特に、エアコンスイッチ33のオン、オフ切換え時にコンプレッサ切換え制御を行う。
【0033】ここでもエアコンECU1はエアコン制御手段E1として機能しコンプレッサ負荷トルク算出手段E2として機能する。特にコンプレッサ負荷トルク算出手段E2として、冷媒圧力センサ34の出力値HPとエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcsを推定し、外気温出力値THAとエンジン回転数Neに基づいて負荷トルクTcaを推定し、両負荷トルクTcs、Tcaの内、大きい方の値をエンジン型式(E4A/T)2aのエンジン出力軸22aに加わる負荷トルクTeとする。更に、エアコンECU1は下限温度補正手段E3としてエンジン(E4A/T)2aのトランスミッションの型式情報を含む型式(E4A/T)を取込み、種分けマップmbより通常エンジン用のコンプレッサオフ温度Tnが算出される特性線L1を設定したコンプレッサオフ温度マップmcを採用することとなる。更に、ここではエバポレータ31の通過風温度を検出し、これがコンプレッサオフ温度Tn(通常値)を下回ると電磁クラッチ20を切り、このコンプレッサオフ温度Tnに予め定められた一定値tを加えたコンプレッサオン温度を上回ると接続させ、エバポレータ31の過冷状態を避けるとともに冷房性能が低下することが無いよう断接切換え制御を行うことができる。
【0034】一方、負荷トルクTeを送信されたエンジンECU4aは、的確に型式(EA/T)のエンジン2aのエンジン制御を行え、特に、エアコン切換え制御時にエンジンECU4aのエンジン出力軸22aに加わる負荷トルクの急変に対し、応答性よく適正な出力補正制御を行え、エアコン切換え時のエンジン回転数の変動やトルクショックを排除できる。
【0035】このように、エアコンECU1は実際に連結される各エンジン(ECVT),(EM/T),(E4A/T),(E5A/T)・のエンジン型式(ECVT),(EM/T),(E4A/T),(E5A/T)を各エンジンECU4,4a等より受信し、まず、コンプレッサ25の出力軸(コンプレッサプーリ25)に作用する負荷トルクTeを算出し、次いで、各エンジン2、2a等のエンジン型式(ECVT),(EM/T),(E4A/T),(E5A/T)に対応したコンプレッサオフ温度Tn(通常値)、T(低修正値)を演算し、コンプレッサ切換え制御を行う。
【0036】このため、エンジン型式が変わっても、単一のエアコンECU1を用い、常に、型式(ECVT)、(E4A/T)に相当するエバポレータ通過風下限温度であるコンプレッサオフ温度Tn(通常値)、T(低修正値)を用いコンプレッサ25を適正に断接制御でき、冷媒の過冷状態を避けるとともに冷房性能が低下することが無いよう断接切換え制御を行うことができる。上述のところにおいて冷却器温度検出手段として、エバポレータ通過風温度センサ70を用いてエバポレータ31の通過風の温度情報相当を検出することによりエバポレータ31の温度を間接的に検出する構成を採っていたが、エバポレータ31の温度を直接検出するタイプの温度センサを用いて冷却器温度検出手段を構成しても良くこの場合も図1の装置と同様の作用効果が得られる。
【0037】上述のところにおいて、エアコンECU1はトランスミッションの型式情報を含むエンジン型式(E4A/T)をエンジンECU4より取込み、種分けマップmbで種分けしていたが、直接ミッションECU5よりトランスミッションの型式情報を取込み種分けマップmbで種分けするようにしてもよく、この場合も図1の装置と同様の作用効果が得られる。上述のところにおいて、CAN通信装置5を用いてエアコンECU1とエンジンECU4を相互通信可能に連結するとの構成を採っていたが、エアコンECU1とエンジンECU4を送信用線、受信用線及びGND線で接続した周知の通信回線を用いて構成しても良く、この場合も、図1の装置と同様の作用効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明は、車両の内燃機関に接続されるトランスミッションの型式がCVTの場合、CVT以外のトランスミッション型式を採る場合よりも下限温度を低い値に補正して適正化を図ることで、比較的、低回転域で駆動するコンプレッサの冷凍サイクルでの仕事量が低いCVT車であっても、コンプレッサの冷房運転域を比較的広げ、冷房不足を補うことができる。
【0039】また、予め定められた所定値より低い低エンジン回転数域で下限温度を補正するとした場合、同領域での冷房不足が的確に改善され、所定値より高いエンジン回転数域では本来の冷却器の過冷状態での運転を確実に避けられる。また、予め定められた所定値より低い低エンジン回転数域で下限温度を補正するにあたり、エンジン回転数が低い領域ほど下限温度を低く設定するとした場合、冷房不足を起こし易い領域ほどコンプレッサの冷房運転域を広げ、冷房不足を確実に補うことができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号
【出願日】 平成13年11月14日(2001.11.14)
【代理人】 【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
【公開番号】 特開2003−146062(P2003−146062A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−349147(P2001−349147)