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【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】清水 俊孝
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】高野 義昭
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】ホットガス暖房モード時の暖房性能を効率的に向上させる。

【解決手段】冷房用冷凍サイクルCにより室内熱交換器18を蒸発器として作動させ、この室内熱交換器18で冷却された空気を車室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクルHにより室内熱交換器18を放熱器として作動させ、室内熱交換器18で加熱された空気を車室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行する車両用空調装置において、室内熱交換器18の出口側と圧縮機10の吸入側との間に、冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒を圧縮機10の吸入側へ導出するアキュムレータ19を設置するととともに、アキュムレータ19に液冷媒を加熱する電気ヒータ40を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、冷房用減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷房用冷凍サイクル(C)と、前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)をバイパスさせて、前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、前記室内熱交換器(18)を、車室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、前記冷房用冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を車室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を車室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行する車両用空調装置において、前記室内熱交換器(18)の出口側と前記圧縮機(10)の吸入側との間に、冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒を前記圧縮機(10)の吸入側へ導出するアキュムレータ(19)を設置するととともに、前記アキュムレータ(19)に前記液冷媒を加熱する加熱手段(40、52)を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 前記圧縮機(10)は車両エンジン(12)により駆動され、前記空調ケース(22)内において、前記室内熱交換器(18)の下流側に前記車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器(24)を配置することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】 前記加熱手段は電気ヒータ(40)であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】 前記電気ヒータ(40)は、薄板状の電気抵抗体材料を含むヒータ本体部(42)をフィルム部材(43、44)により被覆した構成になっていることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】 前記電気ヒータ(40)を前記アキュムレータ(19)のタンク本体部(19a)の外周面の下部に円筒状に曲げて装着したことを特徴とする請求項3または4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】 前記暖房モード時に前記ホットガスヒータサイクル(H)の高圧圧力を検出する圧力検出手段(27d)と、前記高圧圧力が所定値以上となるように前記圧力検出手段(27d)の検出信号に基づいて前記電気ヒータ(40)の通電を制御する電気ヒータ制御手段(26)とを備えることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項7】 前記加熱手段は前記車両エンジン(12)からの温水が循環する温水配管(52)であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、暖房時に圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を室内熱交換器(蒸発器)に直接導入することにより、室内熱交換器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガス暖房機能を発揮する車両用空調装置に関するもので、特に、ホットガス暖房モード時の暖房性能を効率的に向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】そこで、特開平11−42934号公報では、ホットガスヒータサイクルにより暖房機能を発揮できる車両用空調装置が提案されている。この従来技術では、エンジン始動時のごとく温水温度が所定温度より低いときには、圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器をバイパスして室内熱交換器(蒸発器)に導入して、室内熱交換器でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、補助暖房機能を発揮できるようにしている。すなわち、上記の従来技術おいては、空調ケース内に設置された1個の室内熱交換器を冷房モード時の冷却器および暖房モード時の放熱器として切替使用している。
【0004】更に、上記従来技術では、室内熱交換器と圧縮機吸入側とを連結する低圧冷媒配管に電気ヒータ等の加熱手段を設置して、低圧冷媒配管の冷媒を加熱することにより、ホットガス暖房モード時の暖房性能を向上させるようにしている。つまり、低圧冷媒の加熱により圧縮機の冷媒吸入圧を高めて圧縮機吸入冷媒の密度を大きくし、これにより、冷媒の重量流量を増大させ、圧縮機仕事量を増大しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者の実験検討によると、上記従来技術では次の理由からホットガス暖房モード時の暖房性能を十分向上できないことが判明した。すなわち、ホットガスヒータサイクルでは、低圧冷媒配管の途中に冷媒の気液を分離して液冷媒を溜めるアキュムレータを設置しているので、低圧側冷媒は室内熱交換器の出口で飽和ガスとなるようにバランスする。
【0006】従って、電気ヒータ等の加熱手段は低圧冷媒配管内の飽和ガス冷媒を加熱することになる。ところが、液に比してガスに対する熱伝達率は大幅に低いので、加熱手段から冷媒への伝熱量がどうしても小さくなってしまい、ホットガス暖房モード時の暖房性能を十分向上できない。
【0007】本発明は上記点に鑑みてなされたもので、ホットガス暖房モード時の暖房性能を効率的に向上できるようにすることを目的とする。
【0008】また、本発明はホットガス暖房モード時の暖房性能向上のために電気ヒータを用いる場合において、防水性に優れた電気ヒータ構造を提供することを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷房用冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させ、この室内熱交換器(18)で冷却された空気を車室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)を放熱器として作動させ、室内熱交換器(18)で加熱された空気を車室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行する車両用空調装置において、室内熱交換器(18)の出口側と圧縮機(10)の吸入側との間に、冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒を圧縮機(10)の吸入側へ導出するアキュムレータ(19)を設置するととともに、アキュムレータ(19)に液冷媒を加熱する加熱手段(40、52)を備えることを特徴とする。
【0010】これにより、ホットガス暖房モード時に、アキュムレータ(19)内に溜まる液冷媒を加熱手段(40、52)にて加熱することができる。ここで、ガス冷媒に対する熱伝達率に比較して液冷媒に対する熱伝達率は大幅に高いので、加熱手段(40、52)の熱量を冷媒に効率よく伝達できる。そして、この伝熱によりアキュムレータ(19)内の液冷媒が蒸発するので、圧縮機(10)の吸入冷媒圧が上昇して吸入冷媒の密度が上昇するので、圧縮機(10)から吐出される重量流量が増加して、圧縮機吐出圧力が上昇する。これにより、圧縮機(10)の圧縮仕事量が増加する。その結果、室内熱交換器(18)での放熱量を効果的に増加でき、ホットガス暖房モード時の暖房性能を効率的に向上できる。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1において、圧縮機(10)は車両エンジン(12)により駆動され、空調ケース(22)内において、室内熱交換器(18)の下流側に車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器(24)を配置することを特徴とする。
【0012】これにより、室内熱交換器(18)で加熱された空気を下流側の温水式暖房用熱交換器(24)にて更に加熱して車室内へ吹き出すことができる。しかも、請求項1で述べた圧縮機(10)の圧縮仕事量の増加により車両エンジン(12)の圧縮機駆動負荷が増大してエンジン水温の上昇を促進する。このため、エンジン水温の上昇により暖房用熱交換器(24)の暖房性能を向上できる。その結果、室内熱交換器(18)での放熱量増加と温水式暖房用熱交換器(24)での放熱量増加とが相俟って、ホットガス暖房時の暖房性能を効率よく向上できる。
【0013】請求項3に記載の発明のように、請求項1または2において、加熱手段は具体的には電気ヒータ(40)で構成できる。
【0014】このように、加熱手段として電気ヒータ(40)を用いると、電気ヒータ(40)での電力消費により車載バッテリ充電用発電機の発電負荷の上昇→車両エンジン(12)の発電機駆動負荷の増大→エンジン水温の上昇をもたらすので、温水式暖房用熱交換器(24)での放熱量をより一層増加でき、ホットガス暖房時の暖房性能を更に向上できる。
【0015】請求項4に記載の発明では、請求項3において、電気ヒータ(40)を、薄板状の電気抵抗体材料を含むヒータ本体部(42)をフィルム部材(43、44)により被覆した構成にすることを特徴とする。
【0016】これにより、電気ヒータ(40)のヒータ本体部(42)への水の侵入をフィルム部材(43、44)により防止して、電気ヒータ(40)の防水性を高めることができる。
【0017】請求項5に記載の発明では、請求項3または4において、電気ヒータ(40)をアキュムレータ(19)のタンク本体部(19a)の外周面の下部に円筒状に曲げて装着したことを特徴とする。
【0018】これにより、アキュムレータ(19)の外周面の周方向の全周からアキュムレータ(19)内の液冷媒を効率よく加熱できる。
【0019】請求項6に記載の発明では、請求項3ないし5のいずれか1つにおいて、暖房モード時にホットガスヒータサイクル(H)の高圧圧力を検出する圧力検出手段(27d)と、高圧圧力が所定値以上となるように圧力検出手段(27d)の検出信号に基づいて電気ヒータ(40)の通電を制御する電気ヒータ制御手段(26)とを備えることを特徴とする。
【0020】これにより、ホットガス暖房性能に直結するサイクル高圧圧力に応動して電気ヒータ(40)の通電を制御できる。従って、ホットガス暖房性能の不足時にはこの暖房不足に的確に応答して電気ヒータ(40)に通電して、暖房性能を向上できる。
【0021】請求項7に記載の発明のように、請求項2において、加熱手段を車両エンジン(12)からの温水が循環する温水配管(52)にて構成してもよい。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は第1実施形態による車両用空調装置の全体構成を例示している。圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して水冷式の車両エンジン12により駆動されるもので、例えば、固定容量型の斜板型圧縮機から構成される。
【0024】圧縮機10の吐出側は冷房用電磁弁13を介して凝縮器14に接続され、この凝縮器14の出口側は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める受液器15に接続される。凝縮器14は圧縮機10等とともに車両エンジンルームに配置され、電動式の冷却ファン14aにより送風される外気(冷却空気)と熱交換する室外熱交換器である。
【0025】そして、受液器15の出口側は冷房用減圧装置をなす温度式膨張弁16に接続されている。この温度式膨張弁16の出口側は逆止弁17を介して蒸発器18の入口側に接続されている。蒸発器18の出口側はアキュームレータ19を介して圧縮機10の吸入側に接続されている。
【0026】上記した圧縮機10の吐出側から冷房用電磁弁13→凝縮器14→受液器15→温度式膨張弁16→逆止弁17→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により通常の冷房用冷凍サイクルCが構成される。
【0027】温度式膨張弁16は周知のごとく通常の冷凍サイクル運転時(冷房モード時)に蒸発器18出口冷媒の過熱度が所定値に維持されるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。アキュームレータ19は円筒状のタンク本体部19aを有し、このタンク本体部19a内部にて蒸発器18出口からの冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める。
【0028】そして、タンク本体部19a内部にU字状の冷媒出口管19bを配置し、この冷媒出口管19bの上端開口部19cからタンク本体部19a内上部のガス冷媒を吸入するとともに、冷媒出口管19bの底部に開口するオイル戻し穴(図示せず)からタンク本体部19a内底部付近の、オイルが溶け込んでいる液冷媒を少量吸入して、この液冷媒をガス冷媒に混入して圧縮機10側へ導出するようになっている。
【0029】一方、圧縮機10の吐出側と蒸発器18の入口側との間に、凝縮器14等をバイパスするホットガスバイパス通路20が設けてあり、このバイパス通路20には暖房用電磁弁21および絞り21aが直列に設けてある。この絞り21aは暖房用減圧装置をなすものであり、オリフィス、キャピラリチューブ等の固定絞りで構成することができる。圧縮機10の吐出側から暖房用電磁弁21→絞り21a→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により暖房用のホットガスヒータサイクルHが構成される。
【0030】車両用空調装置の空調ケース22は車室内へ向かって空気が流れる空気通路を構成するもので、この空調ケース22内を電動式の空調用送風機23により空気が送風される。空調用送風機23は、図示の簡略化のために軸流式で示しているが、実際は、遠心式ファンを持つ遠心式送風機であり、この空調用送風機23は送風機駆動回路により制御されるブロワモータ23aにより回転駆動される。なお、本実施形態の送風機23の送風量は、ブロワモータ23aに印加するブロワ制御電圧を調整することにより、連続的または段階的に切り替え可能になっている。
【0031】また、空調用送風機23の吸入側には、車室外空気(以下外気と言う)を吸い込むための外気吸込口70、車室内空気(以下内気と言う)を吸い込むための内気吸込口71、および内外気切替手段を構成する板状の内外気切替ドア72が設けられている。なお、内外気切替ドア72は、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動されて、外気吸込口70から外気を吸い込む外気モードと内気吸込口71から内気を吸い込む内気モードとを少なくとも切り替える。
【0032】蒸発器18は空調ケース22内に設置される室内熱交換器であって、冷房モード時には冷房用冷凍サイクルCにより冷媒が循環して、蒸発器18での冷媒蒸発(吸熱)により空調用送風機23の送風空気を冷却するので、冷却器としての役割を果たす。また、暖房モード時には、蒸発器18はホットガスバイパス通路20からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0033】空調ケース22内において蒸発器18の空気下流側には、車両エンジン12からの温水(エンジン冷却水)を熱源として送風空気を加熱する温水式の暖房用熱交換器24が設置されている。この暖房用熱交換器24への温水回路には温水流れを制御する温水弁25が備えられている。
【0034】ところで、温水式の暖房用熱交換器24は、車室内の暖房のための主暖房手段をなすものであり、これに対して、ホットガスヒータサイクルHによる放熱器をなす蒸発器(室内熱交換器)18は補助暖房手段を構成する。
【0035】一方、空調ケース22の最も空気下流側には、車両フロント窓ガラスの内面に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのデフロスタ(DEF)吹出口31と、車両乗員の顔部(上半身)に向けて空調風(主に冷風)を吹き出すためのフェイス(FACE)吹出口32と、車両乗員の足元部(下半身)に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのフット(FOOT)吹出口33が設けられている。更に、これらの各吹出口31〜33を選択的に開閉する複数個のモード切替ドア34〜36が回動可能に設けられている。なお、このモード切替ドア34〜36は吹出モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動される。
【0036】空調用電子制御装置(以下ECUという)26は、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、電磁弁13、21の開閉およびその他の電気機器(11、14a、23、25、後述の電気ヒータ40等)の作動を制御する。
【0037】アキュームレータ19にはその内部の液冷媒を加熱する加熱手段として電気ヒータ40が備えられている。この電気ヒータ40は、ホットガス暖房モード時の暖房性能を向上するためのものであり、電気ヒータ40の具体例を図2、図3に示す。電気ヒータ40は、図2に示すようにアキュームレータ19の円筒状のタンク本体部19aの外周面下方部に配置され、固定される。
【0038】図3は電気ヒータ40の具体的構造を例示するものであり、薄板状のヒータ本体部42を多層フィルム部材43、44によりサンドイッチ状に挟み込み、一体化した構成になっている。ヒータ本体部42は薄板状の柔軟な電気抵抗体をシリコンラバーのような弾性体により被覆した構成になっている。ここで、電気抵抗体は細長い薄板状のものを複数個並置し、この複数個の電気抵抗体を電気的に並列接続している。そして、シリコンラバーは電気抵抗体の電気絶縁を行うとともに、複数個の電気抵抗体の固定を行う。
【0039】一方、多層フィルム部材43、44は同一の構成であり、以下の3種類のフィルム材を積層している。内側フィルム層43a、44aは融点が比較的低くて熱溶着による接着作用を発揮するものであり、ポリエチレン等の樹脂材からなる。なお、電気ヒータ40の温度は後述のように150℃に温度制御されるので、内側フィルム層43a、44aの樹脂材の融点が低いといってもこの150℃よりは高い温度であり、ポリエチレンの融点は200℃である。
【0040】中間フィルム層43b、44bはアルミニュウム等の金属箔からなり、水分透過を抑制して耐水性を高めるものである。外側フィルム層43c、44cは耐熱性を高めるものであり、そのため、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂により外側フィルム層43c、44cは構成される。
【0041】薄板状のヒータ本体部42をその表裏両側から多層フィルム部材43、44によりサンドイッチ状に挟み込み、その後、ヒータ本体部42と多層フィルム部材43、44との積層体に圧力を加えながら加熱することにより、内側層43a、44aの樹脂材に接着作用を発揮させて、ヒータ本体部42と多層フィルム部材43、44とを熱溶着により一体化する。
【0042】このようにして一体化された電気ヒータ40の全体形状は変形の容易な柔軟な薄板形状になっている。そのため、電気ヒータ40を図2のようにタンク本体部19aの外周面に沿って曲げてタンク本体部19aの外周面上に容易に装着できる。
【0043】そして、電気ヒータ40の外周面上にリング状のバンド部材41を嵌合装着し、このリング状のバンド部材41の両端部間をねじ等により締め付けることにより、電気ヒータ40をタンク本体部19aの外周面上に締め付け固定することができる。
【0044】一方、ヒータ本体部42とリード線45とを電気接続するリード線付け根部において、リード線45と絶縁被覆部材45aとの間に接着材45bを注入して固化させることによりヒータ本体部42とリード線45との電気接続部の防水性を確保している。
【0045】また、ヒータ本体部42の電気抵抗体材料として発熱温度を設定温度に自己制御しないタイプのものを使用しているので、電気ヒータ40の発熱温度を検出する温度センサ46(図2)を電気ヒータ40の外周面上に取り付けて、この温度センサ46の検出温度に基づいて電気ヒータ40の通電を制御するようになっている。
【0046】図4は第1実施形態の電気制御ブロック図であり、ECU26には、車両エンジン12の水温センサ27a、外気温センサ27b、蒸発器18の吹出空気温度センサ27c、圧縮機吐出圧力(サイクル高圧圧力)の圧力センサ27d、内気温センサ27e、車室内への日射量を検出する日射センサ27f等のセンサ群から検出信号が入力される。更に、電気ヒータ40の温度センサ46の検出信号もECU26に入力される。
【0047】また、車室内計器盤付近に設置される空調操作パネル28から以下の操作スイッチ群の操作信号がECU26に入力される。すなわち、エアコンスイッチ29aは冷凍サイクルの圧縮機10の起動または停止を指令するものであり、冷房モードを設定する冷房スイッチの役割を果たす。ホットガススイッチ29bはホットガスヒータサイクルHによる暖房モードを設定するもので、暖房スイッチの役割を果たす。
【0048】更に、空調操作パネル28には、空調の吹出モードを切り替える吹出モード切替スイッチ29c、車室内の温度を所望の温度に設定する温度設定スイッチ(温度設定手段)29d、送風機23のオン、オフおよび風量切替を指令するブロワスイッチ29e、外気モードと内気モードの切替を指令する内外気切替スイッチ29f等が設置されている。
【0049】次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。まず、最初に、冷凍サイクル部分の作動を説明すると、エアコンスイッチ29aが投入され、冷房モードが設定されると、ECU26により冷房用電磁弁13が開状態とされ、暖房用電磁弁21が閉状態とされる。従って、電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動されると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は開状態の冷房用電磁弁13を通過して凝縮器14に流入する。
【0050】凝縮器14では、冷却ファン14aにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。そして、凝縮器14通過後の冷媒は受液器15で気液分離され、液冷媒のみが温度式膨張弁16で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。
【0051】次に、この低圧冷媒は逆止弁17を通過して蒸発器18内に流入して送風機23の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器18で冷却された空調空気はフェイス開口部32等から車室内へ吹き出して車室内を冷房する。蒸発器18で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0052】冬期においてホットガススイッチ29bが投入され、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モードが設定されると、ECU26により冷房用電磁弁13が閉状態とされ、暖房用電磁弁21が開状態とされ、ホットガスバイパス通路20が開通する。このため、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が開状態の暖房用電磁弁21を通って絞り21aで減圧された後、蒸発器18に流入する。つまり、圧縮機10からの過熱ガス冷媒(ホットガス)が凝縮器14等をバイパスして蒸発器18に直接導入される。
【0053】このとき、逆止弁17はホットガスバイパス通路20からのガス冷媒が温度式膨張弁16側へ流れるのを防止する。従って、冷凍サイクルは、圧縮機10の吐出側→暖房用電磁弁21→絞り21a→蒸発器18→アキュームレータ19→圧縮機10の吸入側に戻る閉回路(ホットガスヒータサイクルH)にて運転される。
【0054】そして、絞り21aで減圧された後の過熱ガス冷媒が蒸発器18にて送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。ここで、蒸発器18にてガス冷媒から放出される熱量は、圧縮機10の圧縮仕事量に相当するものである。蒸発器18で放熱したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0055】なお、エンジン12の始動直後のように温水温度が低いときは空調用送風機23は低風量で始動するようにウォームアップ制御される。車両エンジン12の温水を温水式の暖房用熱交換器24に温水弁25を介して循環することにより、蒸発器18で加熱された送風空気を熱交換器24において更に加熱することができる。従って、寒冷時においても、蒸発器18と温水式の暖房用熱交換器24の両方で加熱された、より温度の高い温風を車室内へ吹き出すことができる。
【0056】ところで、ホットガスヒータサイクルHでは、ホットガス暖房時の冷媒流量の確保と圧縮機10へのオイル戻り量の確保のために、蒸発器18出口側にアキュームレータ19を備えている。このアキュームレータ19内部にて冷媒の気液界面が形成されるから、蒸発器18の出口側にて冷媒が飽和ガスとなるように低圧側の冷媒状態がバランスしている。
【0057】そして、アキュームレータ19の外周面の下部の全周にわたって電気ヒータ40が取り付けてあるので、電気ヒータ40に通電すると、アキュームレータ19内の下部に溜まっている液冷媒を加熱して蒸発させることができる。ここで、電気ヒータ40はガス冷媒でなく液冷媒を加熱するため、ガス冷媒の加熱に比較して熱伝達率が高くなる。従って、電気ヒータ40の発熱量を効率よく冷媒に伝達できる。
【0058】このアキュームレータ19内の液冷媒の蒸発により圧縮機10の吸入冷媒の圧力が上昇して、圧縮機10の吸入冷媒の密度が上昇するので、圧縮機10から吐出される重量流量が増加して、圧縮機10の吐出圧力が上昇する。これにより、圧縮機10の圧縮仕事量が増加する。その結果、蒸発器18での放熱量を効果的に増加でき、ホットガス暖房時の暖房性能を効果的に向上できる。つまり、電気ヒータ40の発熱量による冷媒への直接的な伝熱量だけでなく、圧縮機10の圧縮仕事量増加による放熱量の増加を図ることができ、ホットガス暖房時の暖房性能を効果的に向上できる。この暖房性能の向上に関する具体的数値例は後述する。
【0059】次に、第1実施形態によるホットガスヒータサイクルHの暖房モード時の能力制御を図5により具体的に説明する。図5の制御ルーチンは車両エンジン12の始動(イグニッションスイッチの投入)によりスタートし、ステップS10にて空調操作パネル28のホットガススイッチ29bが投入(ON)されているか判定する。ホットガススイッチ29bが投入(ON)されていると、次に、ステップS20にて外気温が第1所定値(例えば、10°C)以下であるか判定する。この判定はホットガス暖房の必要な低外気温域を判定するためのものである。
【0060】外気温が第1所定値以下のときは、ステップS30にてエンジン水温が所定値(例えば、80°C)以下であるか判定する。この判定はエンジン水温がホットガス暖房(補助暖房)を必要とする低温域にあるか判定するためである。エンジン水温が第1所定値以下のときは、次に、ステップS40にて冷房用電磁弁13を閉、暖房用電磁弁21を開の状態(すなわち、ホットガス暖房モードの状態)にする。
【0061】次に、ステップS50にてにてエンジン水温が第2所定値(例えば、50°C)以下であるか判定する。この第2所定値は第1所定値より所定温度だけ低い温度であり、ステップS50の判定は、エンジン水温が電気ヒータ40の発熱を必要とする、より一層の低温域にあるか判定するためである。
【0062】エンジン水温が第2所定値以下のときは、次に、ステップS60にて圧縮機10の吐出圧Pdが所定値(例えば、1.5kgf/cm2 G)以下であるか判定する。
【0063】吐出圧Pdが所定値以下であれば、ステップS70に進み、電気ヒータ40の表面温度(温度センサ46の検出温度)が所定値(例えば、150°C)以下であるか判定する。電気ヒータ40の表面温度が所定値以下であると、ステップS80に進み、電気ヒータ40に通電するとともに、ステップS90にて電磁クラッチ11に通電して圧縮機10を作動状態とする。すなわち、ホットガスヒータサイクルHにて圧縮機10の吐出冷媒を循環させるとともに、電気ヒータ40によりアキュームレータ19内の下部に溜まっている液冷媒を加熱して蒸発させることができる。
【0064】一方、ステップS50〜S70の判定がNOであると、ステップS100に進み、電気ヒータ40への通電を遮断する。電気ヒータ40の表面温度は本例ではステップS70の判定により150℃付近に制御される。
【0065】また、ステップS20にて外気温が第1所定値(例えば、10°C)より高いと判定されたとき、およびエンジン水温が第1所定値より高いと判定されたときはホットガス暖房を必要としない環境条件にあるので、ステップS110に進み、冷房用電磁弁13および暖房用電磁弁21をともに閉の状態にする。更に、ステップS120にて電気ヒータ40への通電を遮断し、ステップS130にて電磁クラッチ11への通電を遮断して圧縮機10を停止状態とする。
【0066】以上により、ホットガススイッチ29bがたとえ投入(ON)されていても、ホットガス暖房を必要としないときは自動的に電気ヒータ40への通電を遮断し、圧縮機10を停止させることができる。
【0067】次に、第1実施形態の作用効果を具体的に説明すると、図6のAは第1実施形態のホットガスヒータサイクルHにおいて電気ヒータ40に通電して電気ヒータ40の表面温度を150℃付近の所定値に制御している場合のモリエル線図である。これに対し、図6のBは第1実施形態のホットガスヒータサイクルHにおいて電気ヒータ40への通電を遮断した場合のモリエル線図である。
【0068】電気ヒータ40への通電時は前述したようにアキュームレータ19内の液冷媒の蒸発により圧縮機10の吸入冷媒の圧力が上昇して圧縮機10の圧縮仕事量を増加できるので、電気ヒータ40の発熱量による冷媒への直接的な伝熱量に加えて、圧縮機10の圧縮仕事量増加による放熱量の増加を図ることができる。そのため、電気ヒータ40への通電時(モリエル線図A)には蒸発器18での放熱量Q1を、電気ヒータ40の非通電時(モリエル線図B)の場合の放熱量Q2から大幅に向上できる。
【0069】また、第1実施形態によると、上記のように電気ヒータ40の発熱による液冷媒の蒸発により圧縮機10の圧縮仕事量を増加できるので、車両エンジン12の圧縮機駆動負荷が増大してエンジン水温の上昇を促進する。このため、エンジン水温の上昇による暖房用熱交換器24の暖房性能向上を図ることができる。また、電気ヒータ40への通電は車載バッテリ充電用発電機(オルターネータ)の発電負荷の上昇→車両エンジン12の発電機駆動負荷の増大→エンジン水温の上昇をもたらすので、蒸発器18での放熱量増加と暖房用熱交換器24での放熱量増加とが相俟って、ホットガス暖房時の暖房性能を効率よく向上できる。従って、低外気温時においても車室内を急速に暖房できる。
【0070】図7、図8のモリエル線図は比較例(特開平11−42934号公報と同等のもの)であり、図7はアキュームレータ19の出口と圧縮機10の吸入側との間の低圧冷媒配管(吸入配管)を電気ヒータにより加熱する場合であって、図7のモリエル線図Cは電気ヒータに通電しない場合であり、これに対し、図7のモリエル線図Dは電気ヒータに通電した場合である。
【0071】図7のモリエル線図Cにおいて、圧縮機吸入冷媒(飽和ガス)を電気ヒータにより加熱すると、圧縮機吸入ガス冷媒が過熱度を持つようになるので、ホットガスヒータサイクルHは図7のモリエル線図Dの状態に移行し、蒸発器18での放熱量が増加する。
【0072】しかし、上記のように圧縮機吸入ガス冷媒を電気ヒータにより加熱する構成では、圧縮機吸入ガス冷媒の過熱度が増加するのみで、液冷媒を蒸発させることができないので、圧縮機吸入圧がほとんど上昇しない。そのため、電気ヒータによる吸入ガス冷媒の加熱分が蒸発器18での放熱量増加に貢献するだけであり、圧縮機吸入圧の上昇→重量流量の増加→圧縮仕事量の増加による放熱量増加を期待できない。
【0073】また、図8は暖房用減圧装置21aと蒸発器18の入口との間の低圧冷媒配管を電気ヒータにより加熱する場合であって、この場合は暖房用減圧装置21aにて減圧後の過熱ガス冷媒を電気ヒータにより加熱するので、やはり、ガス冷媒の過熱度が増加するのみで、液冷媒を蒸発させることができない。従って、図8の場合も図7の場合と同様に電気ヒータによるガス冷媒の加熱分が蒸発器18での放熱量増加に貢献するだけで、圧縮仕事量の増加による放熱量増加を期待できない。
【0074】また、図8の場合は暖房用減圧装置21aにて減圧後の過熱ガス冷媒をさらに電気ヒータで加熱するので、この電気ヒータ加熱後のガス冷媒温度は外気温よりも数十℃高い温度となり、外部への熱損失が増大するという不具合も生じる。
【0075】次に、実験データに基づいて第1実施形態の暖房性能向上の効果を具体的に説明すると、発熱容量:120Wの電気ヒータ40を図2のようにアキュームレータ19の外周面下部に装着して、電気ヒータ40の表面温度を150℃に制御してアキュームレータ19内の液冷媒を加熱した結果、図9に示す蒸発器放熱量の増加効果が得られた。
【0076】ホットガスヒータサイクルHのみによる暖房に対して、ホットガスヒータサイクルHの作動と電気ヒータ40によるアキュームレータ液冷媒の加熱とを組み合わせた場合は、−30℃〜0℃の外気温の変化範囲に対して、蒸発器放熱量を100W〜340W増加できることが判明した。
【0077】つまり、外気温が−25℃以下となるような極端な低外気温時を除いては、アキュームレータ液冷媒を加熱し、蒸発させることにより圧縮仕事量を増加させて、蒸発器放熱量の増加分を電気ヒータ加熱量(120W)よりも大きくでき、蒸発器放熱量を効率よく増加できる。
【0078】なお、図9は、実験室内でのベンチ試験の評価結果であり、圧縮機駆動動力および発電機駆動動力の増加によるエンジン水温上昇に基づく温水暖房性能の向上効果を考慮していない。このベンチ試験から実車での効果を推定すると、圧縮機駆動動力および発電機駆動動力の増加によるエンジン水温の上昇効果によって、外気温=−20℃の条件にて車室内への放熱量を電気ヒータ加熱量(120W)の3倍に当たる360W程度増加できる。
【0079】図10は前述の図7の比較例による蒸発器放熱量の増加効果を示しており、この場合は、電気ヒータ加熱量が同じ(120W)であっても、−30℃〜0℃の外気温の変化範囲に対して、蒸発器放熱量を80W〜130Wしか増加できない。
【0080】次に、図11は第1実施形態による暖房性能向上効果の内訳を要因別に示しており、図11の左側の縦軸は車室温度の上昇分を示し、右側の縦軸はホットガス暖房モードによる暖房性能の向上分を示している。図11の中央の棒グラフは第1実施形態において電気ヒータ加熱量を120Wにした場合であり、図11左側の棒グラフ(ホットガスヒータサイクルHの作動のみの場合)に比して暖房性能を合計で0.37KW向上できる。この暖房性能の向上によって小型乗用車クラスの車室内温度を約+2℃上昇させることができる。図11の右側の棒グラフは第1実施形態において電気ヒータ加熱量を150Wに増加した場合を示す。
【0081】(第2実施形態)第1実施形態では、アキュームレータ19内の液冷媒を加熱する加熱手段として電気ヒータ40を用いているが、第2実施形態では図12に示すように、電気ヒータ40の代わりにエンジン温水が循環する温水配管50をアキュームレータ19の下部に設けて、温水を熱源としてアキュームレータ19内の液冷媒を加熱するようにしている。
【0082】具体的には、暖房用熱交換器24の温水回路に三方弁タイプの電磁弁51、52を追加して、この電磁弁51、52に温水配管50を接続し、通常時は電磁弁51、52により温水配管50を暖房用熱交換器24の温水回路から遮断しておく。
【0083】そして、図5のステップS50およびステップS60の判定がYESとなるような条件(エンジン水温および圧縮機吐出圧がともに低いとき)になると、電磁弁51、52を切り替えて、温水配管50の温水通路を開く。これにより、暖房用熱交換器24通過後の温水が温水配管50に循環して、温水を熱源としてアキュームレータ19内の液冷媒を加熱できる。
【0084】なお、第2実施形態の冷凍サイクルでは、冷房用減圧装置16をキャピラリチューブ等の固定絞りで構成して、図1の受液器15を廃止している。
【0085】(他の実施形態)なお、電気ヒータ40の通電制御は図5の例に限定されることなく、種々変形できる。図5の例ではステップS60にて圧縮機10の吐出圧Pdが所定値(例えば、1.5kgf/cm2 G)以下であるか判定しているが、図13の例ではステップS60を廃止し、その代わりに、ステップS140を設けている。このステップS140では、外気温の判定値としてステップS20の第1所定値(例えば、10℃)よりも更に低い第2所定値(例えば、−10℃)を設定し、外気温が第2所定値より高いときは電気ヒータ40の通電を遮断し、そして、外気温が第2所定値以下の低温域のときのみ電気ヒータ40に通電する。つまり、図13の例では、外気温≦−10℃で、かつ、エンジン水温≦50℃である時に電気ヒータ40に通電する。図13の他の点は図5と同じである。
【0086】図14は別の例であり、図13におけるステップS50を廃止し、その代わりに、図5のステップS60(吐出圧の判定ステップ)を設けている。従って、図14では、外気温≦−10℃で、かつ、吐出圧Pd≦1.5kgf/cm2 Gである時に電気ヒータ40に通電する。図14の他の点は図13と同じである。
【0087】図15は更に別の例であり、図13、図14におけるステップS50、あるいはステップS60を廃止し、その代わり、ステップS150を設けている。このステップS150では、温度センサ27cにより検出される蒸発器吹出温度Teが所定値(例えば、10℃)以下であるか判定している。このステップS150は蒸発器18での放熱性能が低い状態であることを判定する。
【0088】図15の例では、外気温≦−10℃で、かつ、蒸発器吹出温度Te≦10℃である時に電気ヒータ40に通電する。
【0089】図16は更に別の例であり、図5のステップS60(吐出圧の判定ステップ)を廃止して、エンジン水温≦50℃である時に電気ヒータ40に通電する。図16の他の点は図5と同じである。
【0090】図17は更に別の例であり、図15のステップS150(蒸発器吹出温度Teの判定ステップ)を廃止し、その代わりに、ステップS160を設けている。このステップS16では、内気温センサ27eにより検出される内気温、すなわち、車室内温度Trが所定値(例えば、15℃)以下であるか判定している。このステップS160は車室内温度Trが低くて、車室内が暖房不足である状態を判定する。
【0091】図17の例では、外気温≦−10℃で、かつ、車室内温度Tr≦15℃である時に電気ヒータ40に通電する。図17の他の点は図15と同じである。
【0092】また、第1実施形態では、電気ヒータ40として自己温度制御機能を持たないタイプの電気抵抗体を用いているから、電気ヒータ40の表面温度を温度センサ46により検出し、この温度センサ46の検出温度に基づいて電気ヒータ40の通電を断続し、これにより、電気ヒータ40の表面温度を所定温度(例えば150℃)に制御しているが、電気ヒータ40を、所定の設定温度にて抵抗値が急増する正の抵抗温度特性を有する電気発熱体(PTCヒータ)により構成する場合は、この電気発熱体(PTCヒータ)が自己温度制御機能を発揮するので、温度センサ46が不要となり、これに伴って、ステップS70の判定も不要となる。
【0093】また、電気ヒータ40をアキュームレータ19の外周面だけでなく、アキュームレータ19の底面部にも設けるようにしてもよい。また、電気ヒータ40をアキュームレータ19の底面部だけに設けるようにしてもよい。図12の温水配管52のアキュームレータ19に対する設置場所も電気ヒータ40と同様に変更できる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成13年11月12日(2001.11.12)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−146057(P2003−146057A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−346197(P2001−346197)